【あの人が買ったメイドインニッポン】#31 染め職人・大籠千春さんが“一生手放したくないもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

ゲストは引き続き、染め職人の大籠千春さん。今回は、「一生手放したくないメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[大籠千春さんの愛着トーク]
・一生手放したくないのは、「山下寛兼さんの陶器のオブジェ」
・完全に用途のないオブジェに見えるけど…
・作家さんに尋ねたら「椅子」という回答が…!
・分からないけどやっぱり面白いなと思って購入
・心地好い暮らしとは、自分を機嫌よくできる環境に置いておくこと
・パックのイチゴもきれいなガラスの器にいれて食べられたら嬉しい
・特別な料理でなくても、好きな器に置いてきれいに食べること

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大籠千春さんが自分で作るおすすめメイドインニッポン

大籠千春さんが“一生手放したくない”メイドインニッポンは、「山下寛兼さんの陶器のオブジェ」でした。

5月8日~中川政七商店でも、宝島染工さんと一緒に作った、「草木染めの色重ねシリーズ」を発売します。お楽しみに。


ゲストプロフィール

大籠千春

短大で手工芸を専攻したのち、染め物工場での勤務を経て、2001年、地元の福岡で、天然染料100%を使用し伝統技術で染色をする工場「宝島染工」をスタート。洋服、服飾雑貨の染色加工を行うように。2013 年からは、オリジナル商品の企画、染色、販売を開始。
1点ずつ染める手染めでありながら、製造工程を整え中量生産に重きを置き、作品ではなく商品としてのものづくりに特化している。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回のゲストは、プロダクトデザイナーの柴田文江さんです。4/26(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 中西敦子

中西 敦子
中川政七商店 神戸大丸店

2017年   中川政七商店神戸大丸店 アルバイト入社
2019年   中川政七商店神戸大丸店 エキスパート
2019年夏  中川政七商店神戸大丸店 店長

2000年春、神戸の和菓子屋に就職。販売職で店長を経験し、2017年1月退職。以前から関心のあった日本のものづくりに関わりたいと思い、2017年2月に中川政七商店 神戸大丸店のアルバイトスタッフとして入社。2019年1月に正社員となり、現在に至る。



昔から日本各地でつくられているうつわが好きで、丹波焼の産地に地元が近いのもあって陶芸体験や窯元へ出向いて気に入ったものを買ったり、旅先でその土地のうつわをお土産にしたりすることが楽しみのひとつです。

そんな私にとって中川政七商店は、日本各地でつくられているものに日常のなかで出会える、楽しい場所でした。

転職活動を始めたころに偶然、中川政七商店のスタッフ募集案内を見つけ、改めてお店について調べてみたところ、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを知り、なんてすてきなビジョンなんだと思ったことを覚えています。

「17年間培ってきた接客力で、日本の工芸を元気にすることができたら楽しいだろうな」と思い、面接を受けアルバイトとして入社しました。

やさしい先輩方に恵まれ、楽しく働かせてもらうなかで、「ビジョンに対してもっと深く学び、関わり、お客様を増やしたい」「日本のものづくりのすばらしさを伝えていきたい」と思うようになり、2019年に正社員となって、その夏に神戸店の店長になりました。

入社してからずっと変わらず大切にしているのは、「お客様も、働く私たちも楽しいお店」でありつづけることです。

「暮らしのものを買いに」「洋服を買いに」「贈り物を買いに」「季節のものを買いに」「お出かけしたら立ち寄るお店」というように、お客様の暮らしにあたりまえにある存在になりたいと思っています。

お店に来て日本のしつらいに触れたり、ものづくりに触れたりしながら、会話や空間も楽しんでもらいたい。「日々の暮らしをこんな風にしたい!」と想像し、わくわくしてほしいと思いながらお店づくりも考えています。

また、働くスタッフさんにも工芸の伝え手として、日本のものづくりに貢献しているやりがいを感じてほしい。まずはチャレンジしてから考え、それぞれの得意を発揮して、苦手なものはみんなで助け合うことも意識しながら働いています。

店長になってもうすぐ5年。

販売だけでなく、戦略を考えたり、スタッフさんの育成も行う毎日です。

300年以上続く会社の一員となり、その長い歴史の一員になれていることに大きな責任も感じますが、大好きな日本のものづくりを多くの方に広めるお仕事ができていることに幸せや誇りを感じています。

これからも、ご来店くださるお客様や一緒に働くすべての方に感謝の気持ちを忘れず、お店に立ち続けたいと思います。

<愛用している商品>

更麻 ショートスリーブ 白

夏場の蒸し暑くべたつく時期、一日中サラサラ肌で過ごせるところが一番のおすすめポイントです。麻と聞くと「ちくちくするのかな‥‥」と思われがちですが、更麻はふわふわ!敏感肌の方でも安心していただけると思いますので、お店でぜひ触ってみてください。洗濯後の乾きが早いこともうれしいですし、とにかく丈夫。5年使っていますがほとんど変化のない状態で今も使えています。私にとって手放せないもののひとつです。

motta010

麻のハンカチを中川政七商店で初めて買って、使いはじめました。吸水力に感動して今は毎日mottaです。手を洗ってハンカチで拭くとき、なんとなくいつまでたっても水気がなくならないなぁといった経験ってありませんか?mottaは手を拭いた瞬間にスッと水分を吸い取ってくれます。

一部の店舗では刺繍のサービスもあり、私は旅先で、刺繍の対応をしている店舗や刺繍入り限定ハンカチを見つけると購入して、お土産にしています。

もんぺパンツ

入社してしばらくは自分が履くと野暮ったくなるんじゃないか‥‥と避けていたもんぺパンツですが、数年前に試しに買ってみたら、いまやほぼ毎日もんぺパンツを履くほどはまっています。

季節に応じてシリーズの入れ替えもあり、そのたびにどんどん買い足しているほど。

夏場はタイプライター生地やシャンブレー生地を使った軽やかな素材のもんぺパンツを前開きシャツやカットソーと合わせ、冬は厚手の生地のものをニットと、また春秋はベストと合わせるなど、本当に年中活躍します。仕事中も履きますし、プライベートでは長めのトップスに合わせて使うことが多いです。



中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは、採用サイトをご覧ください。

【わたしの好きなもの】落ち着いたピンク色が着まわしやすい「極薄綿のチュニック 桜」

あっという間に大好きな桜の季節が過ぎ、新緑のまぶしさに目を細める時期となりました。最近の奈良は日中だと半袖で過ごせるような日も多く、いよいよ暑い夏が来るぞ‥‥と既に心は夏へ向かっています。

この季節はいつもの道に小さな息吹が次々と咲き、外を歩けば晴れやかな気持ちに。花がそれぞれの色を装うように、私自身もまた、明るい色を身にまといたくてうずうずしていました。

そんな気持ちで最近迎え、夏まですごく使えそう!と周りにもおすすめしているのが「極薄綿のチュニック 桜」。昨年、この「わたしの好きなもの」の連載で同じ部の同僚がおすすめしていて、「なになに‥‥これは気になるな」と、ひそかに狙っていたお洋服の色違いです。

こちらのモデルさんは「濃紺」を着用

購入するぞと決めてはいたものの、悩んだのは色味。いつもの私ならベーシックな「濃紺」や「ライトグレー」を選ぶのですが、今回はええい!と春の勢いで「桜」を選びました。

実は、大人になって避けるようになっていたピンク色。もともとレースやピンク、花柄が大好きだった私ですが、30代半ばになってからは「かわいすぎるかな?」「自分に似合っているのかな?」と不安な気持ちが勝ってしまう。かわいいとは思いつつも遠ざかるようになっていたけれど、こちらは落ち着いたピンク色なので「私にも着られるかも」とちょっと勇気を出してみたのです。

着てみてまず驚いたのは、生地の気持ちよさ。極細の糸を編み立てた極薄綿は、さらさら・しっとりした肌触りで着ていて本当に快適です。

風通しがよくひんやりした肌触りなので、春にはカーディガンと合わせてレイヤードしたり、夏にはキャミソールの上からさらりとかぶって涼しく着たりと、長いシーズン着られそうなのもお気に入りです。

以前に取材へ伺った、世界のメゾンも愛する和歌山のニット生地メーカー・エイガールズさんが作った生地なのも、頼もしい限り。
ストレッチ性がよく動きをじゃましないので、どんな場面にも気兼ねなく着て行けます。

洗いにくい服は極力着たくなく、だからといってカジュアルすぎる綿Tシャツばかり着るのはちょっと飽きてしまうしなぁ‥‥という悩みも、形態安定加工を施すことで洗濯してもヨレにくく作られている、この服があれば解決。

上品な透け感で繊細な雰囲気がありつつも、じゃぶじゃぶ洗えるので「どの服を着ようかな」と朝クローゼットで悩むときパッと手に取りやすい気軽さがあります。

コーディネートが難しいかも?と少し心配していたピンク色も、大人っぽい色味とシンプルながら二の腕や肩を華奢に見せてくれるデザインもあってむしろ使いやすく、ある日はデニムスカートと合わせて着たり、

またある日はちょっとハードな印象のサロペットスカートと合わせて着たりと、手持ちのいろんなアイテムと合わせて楽しんでいます。どちらもスカートに裾をインして着ていますが、生地が薄いのでもたつきがなく、すっきりと着られるのも嬉しい!

中川政七商店のお洋服と合わせるなら、個人的には「播州織の高密度テーパードパンツ 生成」がおすすめ。どちらとも着心地がよいので休日にゆったりと着るのはもちろん、ストールやブローチを足してお出かけ服としても楽しみたいです。

おうち仕様はこんな感じでゆるりと
お出かけ仕様では「リネンキュプラの格子ストール」「小さな工芸のブローチ 籐」「ラッセル編みのショルダーバッグ」を合わせて。チュニックなのでお尻もすっぽり隠れます

※ちなみに私は身長160cm、普段のお洋服サイズはS~Mです

シンプルで着まわしのきく服は贈りものにも喜ばれそう。私も大活躍のピンクに続いて、次の色はどうしようかな‥‥と、実はもう一枚狙っています。

編集担当:谷尻

【あの人が買ったメイドインニッポン】#30 染め職人・大籠千春さんが“自分で作るもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、染め職人の大籠千春さん。初回は、「最近買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[大籠千春さんの愛着トーク]
・服は自分で買って着て覚える
・着ないと立体にならないから、分からない
・自分で作るおすすめ商品は「宝島染工のリネンシャツ」
・藍染めは、洗いこんでよくなることを逆算して作る
・藍染めほど愛されて残っている染料はない
・年齢や性別を区切らず誰にでも着ていただきたい

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大籠千春さんが自分で作るおすすめメイドインニッポン

右は大籠さんが7年ほど愛用して経年変化したもの

大籠千春さんが“自分で作るおすすめ”メイドインニッポンは、「宝島染工の定番商品として考えた思い入れあるシャツ」でした。

5月8日~中川政七商店でも、宝島染工さんと一緒に作った、「草木染めの色重ねシリーズ」を発売します。お楽しみに。


ゲストプロフィール

大籠千春

短大で手工芸を専攻したのち、染め物工場での勤務を経て、2001年、地元の福岡で、天然染料100%を使用し伝統技術で染色をする工場「宝島染工」をスタート。洋服、服飾雑貨の染色加工を行うように。2013 年からは、オリジナル商品の企画、染色、販売を開始。
1点ずつ染める手染めでありながら、製造工程を整え中量生産に重きを置き、作品ではなく商品としてのものづくりに特化している。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、染め職人の大籠千春さんにお話を伺っていきます。4/19(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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【あの人が買ったメイドインニッポン】#29 染め職人・大籠千春さんが“最近買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、染め職人の大籠千春さん。初回は、「最近買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[大籠千春さんの愛着トーク]
・最近買ったのは、竹職人 中村さとみさんのカトラリー
・竹のナイフで肉切れるの?と思って買ってみた
・チキンステーキがふつうに切れる…!
・陶器と金属がすれる音がないから、子どももお気に入り
・皮を残していたり、竹節の使い方もいい
・特別な技術で作った日用品にきゅんとする
・自分も、“ささる”物を作りたい

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大籠千春さんが最近買ったメイドインニッポン

大籠千春さんが“最近買った”メイドインニッポンは、「中村さとみさんの竹のカトラリー」でした。

5月8日~中川政七商店でも、宝島染工さんと一緒に作った、「草木染めの色重ねシリーズ」を発売します。お楽しみに。


ゲストプロフィール

大籠千春

短大で手工芸を専攻したのち、染め物工場での勤務を経て、2001年、地元の福岡で、天然染料100%を使用し伝統技術で染色をする工場「宝島染工」をスタート。洋服、服飾雑貨の染色加工を行うように。2013 年からは、オリジナル商品の企画、染色、販売を開始。
1点ずつ染める手染めでありながら、製造工程を整え中量生産に重きを置き、作品ではなく商品としてのものづくりに特化している。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、染め職人の大籠千春さんにお話を伺っていきます。4/12(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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花のある豊かな暮らしを、もっと気軽に。花のEC「LIFFT」が伝えたい価値

色とりどりの花を眺めると気分が晴れやかになり、自分のために誂えられた花束からは贈り主の想いが伝わってくる。

入学や卒業、就職や結婚にお店の開店など、祝いの場には、私たちの心に感動を与えてくれる花の存在が欠かせません。

その一方、何気ない日常の中で花を購入して飾ったり、プレゼントしたりする機会はそこまで多くないような気もします。日本人が一年に花を購入する回数は、平均すると1〜2回程度という調査結果もあり、多くの人にとってはあくまでも特別な「イベント」になってしまっているようです。

こうした状況に課題を感じ、もっと気軽に、日常的に花を楽しむ文化を根付かせたいと、奮闘している企業があります。

花や植物を気軽に贈る・飾るカルチャーが、日本を豊かにする

2014年に創業した「株式会社BOTANIC」。

都内に複数店舗を構える花と緑の専門店「ex.(イクス) flower shop & laboratory」や、オンライン通販で最高の顧客体験を追求する「LIFFT(リフト)」など幾つかの花のブランドを運営し、「花や植物に関わるすべての人々を幸せにする」ために活動を続けています。

「ex. flower shop & laboratory 中目黒店」

その想いの源泉はどこにあるのか。花にはどんな可能性があるのか。代表取締役CEOを務める上甲友規さんにお伺いしました。

BOTANIC 代表取締役CEO 上甲知規さん

「私がBOTANICの代表になった2021年は、ちょうどコロナ禍の真っ只中。

外出のハードルが上がっている中で、会えない人にプレゼントしたり、自宅で楽しんだりと、お花に注目が集まるポジティブな影響もありました。

お花の持つ可能性を感じられた一方で、それがカルチャーとして定着したかというと、そうではなくて。日常的に花を飾り、贈り合う文化が根付いているヨーロッパなどと比べると、まだまだ差があるのが現状です」

ヨーロッパ諸国をはじめとする、切り花文化が盛んな国々。実際にそうした国を訪れてみて、まさにカルチャーショックを受けたという上甲さん。

日本にも、花や植物を気軽に贈ったり飾ったりする文化をつくりたいと強く考えるようになります。

「ヨーロッパは切り花文化で、たとえばどんなカフェに入ってもお花が飾ってあるし、花売りの人を街の至る所で見かけます。

普段の買い物の最後にはお花屋さんに寄ることが多くて、小さい頃からお母さんの買い物についていって、お花を買うことが当たり前になっている。ほかにも、旦那さんが毎週金曜日にお花を買って帰るのが定番になっていたり、気軽にプレゼントする習慣もある。

必需品ではないけど、すごく美しくて、枯れていく儚さもある。感性価値の度合いが非常に高いお花を楽しむのはとても豊かなことだなと感じます。

お花がもっと売れるようになれば、日本の豊かさにもきっと繋がるはず!というのを海外で実感しました」

“最適な流通、適切な情報、最高の鮮度”を追求したオンライン通販「LIFFT」

当初は、実店舗型の「ex.(イクス) flower shop & laboratory」の運営からスタートした「BOTANIC」。次第に、花の魅力をより多くの人たちに届けるためには、従来の花屋のあり方とは違った仕組みが必要だと気付くようになります。

「『最適な流通で、適切に情報を提供しつつ、最高の鮮度のお花を届ける』ことで、花本来の魅力を体験していただきたい。それには、実店舗だけでは難しい部分もありました。

もちろん、無駄な在庫を減らしたり、季節感や旬の産地を重視した仕入れを考えたりとやってきました。それでも、たとえば悪天候の日が続くと客足が遠のいてしまって、お花が売れ残ってしまう。鮮度が落ちたお花は廃棄するしかなく、フラワーロスが発生します。

こうした問題に対して、オンラインだからこそ解決できるはず、と取り組んだのが『LIFFT(リフト)』です」

“Farm to Vase 農園からお手元(花瓶)へ”というコンセプトを掲げているオンライン通販の花屋さん「LIFFT」では余分な流通過程を出来る限り省略。

オーダーをいただいてから採花し、フローリストが花束にして速やかに配送することで、鮮度の良い状態で花を届けています。中間流通を省き、フラワーロスも最小限に留めることで適正な価格での提供も実現。

花の魅力を気軽に体験できる入口として、最適なサービスになっています。

「私たちが実際に農園に行き、直接話をして、素晴らしいと確信した生産者の方々にご協力いただいています。採花した花の梱包方法なども日々改善して、お花の品質を追求し続けているところです」

花の魅力をより深く伝える、紙の「Journal」

継続的に旬のお花が届く『定期便』メニューもあり、そこには『BOTANIC Journal』という冊子を同梱。届いた花の特徴や生産者さんの裏側の想い、さらにケアの仕方から飾り方まで、花を楽しむための情報が掲載されています。

「対面での接客の良さもあれば、こういった紙面を自分で読む良さもあると思っています。

特に、定期便は継続的に情報をお送りできるので、深いコミュニケーションが取れるのかなと。

飾り方やケアの仕方など、忙しい中で自分から積極的に学ぶのが難しい方も多いと思いますが、そんな時に、冊子をめくると欲しい情報がすぐに見つかるので、『いつも参考にしています』というお声もいただいています。

お花の情報の深掘りだったり、生産者さんの声だったりを楽しみにしてくださっているお客様も多いです。

お花を楽しむ体験に、毎回何か新しい発見を付け加えられるといいなと。撮影から執筆まで大部分は社内スタッフがおこなっていて、なかなか大変ですが、引き続きがんばって作っていこうと思います」

筆者個人としても、花を購入してきちんと飾れるのか不安だった時に、この冊子があるおかげでとてもスムーズに花瓶に入れることができました。書かれてある通りにケアをしてあげると、想像以上に長持ちさせることもでき、今後も花を楽しもうという意欲が湧いてきます。

花にまつわるストーリーも面白く、実際の花の魅力と、知識を獲得する楽しさが合わさることで、とても豊かな体験ができるのだなと感じています。

花の生産者、そしてフローリストの価値を伝えたい

ご両親の実家がどちらも農家をされていて、もともと農業に関心があったという上甲さん。その他の農業と比較して、花業界はまだまだ新しいアクションが足りていないと話します。

「他の農産物のビジネスには、新しくベンチャー企業が参入するような動きがありますが、お花業界はそれが少ないと感じています。なので、やりがいはありますよね。

他の農業も同じだと思いますが、日本の花農家さんは家族経営が多い印象で、跡継ぎ問題なども大きな課題です。物理的に土地が必要だし、ノウハウの習得も一筋縄ではいかないので、新たに外から入ってきて花農家をやるハードルはとても高い。

お花の品質は世界的にみてもトップクラスだと思いますし、凄く良いお花が流通している。若い世代を中心に、新たな取り組みを始める生産者さんも出てきていますし、私たちももっと花業界を盛り上げていきたいですね」

生産者の方々の素晴らしい仕事、そしてそこから生まれる花自体の魅力。それともう一つ、世の中に届けたい価値があるそうです。

「花屋の仕事に関わるようになって、フローリストの技術の高さに凄く驚いたんです。

花屋さんの仕事って、お客さんが選んだ花をぎゅっと束ねて包んでいるだけでしょって、そんな風に思われている人もいるかもしれませんが、実は全然そんなことはなくて。

花束を作るにしても、ディスプレイするにしても、繊細かつ高度な技術と専門知識をもって取り組んでいます。

ヨーロッパだと、国によってはマイスター制度や国家資格がしっかりある職業なのに、日本ではそこまで認知されていません。労働環境や賃金も決して良くない状態です。

『将来はお花屋さんになりたい』という子ども達が夢を諦めなくて済むように、もっとその価値を発信して、弊社がロールモデルとして変えていければと思っています」

花は暮らしを豊かにする

花を気軽に贈り、飾る暮らし。我が家も花を飾り始めて数か月ですが、既に色々な変化が起きています。

まず真っ先に「いい匂いがする!」と花に興味を示した子ども達。「実はこんなの持ってるよ」としまい込んでいた花器を出してきた妻。そして自分も、毎朝花の様子を見て、前日との違いに気づいたり、上手く飾れた時はなぜか誇らしい気持ちになったり、見たことが無い花が届くと冊子にかじりついて知識をため込んでみたり。毎日の生活に新しい刺激が加わりました。

自分の親や友人にもこの体験をしてもらいたい、今度何かプレゼントしてみよう。そんな風にも思っています。

暮らしを豊かにしてくれる花の魅力。そして、その魅力を作り出している生産者やフローリストの素晴らしい仕事。これらすべてを世の中に伝えていくために、これからも「BOTANIC」の取り組みは続きます。


<取材協力>
BOTANIC

文:白石雄太
写真:中村ナリコ