室町時代から愛でられてきた小さな器、おてしょ皿

—— なにもなにも ちひさきものは みなうつくし
清少納言『枕草子』の151段、「うつくしきもの」の一節です。
小さな木の実、ぷにぷにの赤ちゃんの手、ころっころの小犬。
そう、小さいものはなんでもみんな、かわいらしいのです。

日本で丁寧につくられた、小さくてかわいいものを紹介する連載、第12回は佐賀県有田の「おてしょ皿」です。

はじまりは室町時代。貴族たちに愛された、ちいさなお皿

おてしょ皿は、漢字では「手塩皿」と書きます。食卓で塩などの調味料を乗せる小さなお皿です。とりどりの形と絵柄は目にも楽しく、コレクターも多いのだとか。

様々なフォルム、絵付けがされた可愛らしいおてしょ皿。お箸と並べるとその小ささがよくわかります
様々なフォルム、絵付けがされた可愛らしいおてしょ皿。お箸と並べるとその小ささがよくわかります

おてしょ皿の歴史は古く、日本の文献で最も古い記録は室町時代。京都・朝廷の食卓で、手元に塩を盛るために使われていた器 (当時は土器) にその原型が見られます。

有田焼が生まれた1616年 (江戸時代初期) 以来、様々な磁器が作り出されましたが、おてしょ皿は江戸時代に作られた最も小さい器でした。4寸 (約11センチメートル) ほどの大きさに形や絵付け・装飾など、技術の粋を凝らして作られ、貴族や大名たちに愛されました。

現代では、醤油などの調味料や薬味入れとしてはもちろん、前菜の器として、ジャムやバター皿、アイスクリームやフルーツなどを乗せたプチデザート皿として、また箸置きやスプーンレストとしてなど、様々な形で使われています。

また食卓以外でも、リングやピアスなどの小さなアクセサリーやちょっとした小物を置くためのトレイとして活用する方も。

お刺身を盛り付けた一皿。小さな前菜に華やかな存在感を与えます
お刺身を盛り付けた一皿。小さな前菜に華やかな存在感を与えます

有田焼創業400年、おてしょ皿を振り返る

2016年に400周年を迎えた有田焼の記念プロジェクトのひとつとして、江戸時代のおてしょ皿を研究・復元し、現代に新しいおてしょ皿を生み出す取り組み「伊万里・有田焼 手塩皿collection創出プロジェクト」が実施されました。

有田焼の窯元21社が組織するこのプロジェクトでは、古い時代の貴重な有田焼を数多く所蔵し研究している佐賀県立九州陶磁文化館、同館名誉顧問の大橋康二氏を講師に勉強会を開催。同館所蔵の古いおてしょ皿の観察などを通じ、製作方法や土、絵付け・厚み・釉薬の風合いなどを確認していきました。

佐賀県立九州陶磁文化館に収蔵されている『柴田夫妻コレクション』のおてしょ皿
佐賀県立九州陶磁文化館に収蔵されている『柴田夫妻コレクション』のおてしょ皿

おてしょ皿のように食卓で1人1つ使う皿は、同じ形のものを複数枚作る必要があります。精巧なサイズコントロール技術がない時代、職人の手仕事によって限りなく同じ形のものを、その上とても小さなものを作っていくのはかなり難しいこと。収蔵品を細かく見ると、工夫や努力の跡が見えてくるのだそうです。

3Dスキャンで蘇った、江戸時代のおてしょ皿

こうして研究が深められた後、収蔵品の中から特徴のある13種類のおてしょ皿を選定し、実物を3Dスキャンし鋳込型を作成。そこから縁取りや細部の彫りなどの修正を繰り返し、形状を復刻しました。

こうして完全復刻されたフォルムを元に、各窯元が現代のライフスタイルに合った新作の制作に挑みました。

13のフォルム
復刻した13のフォルム。

写真の上段左から、丸文菊花型、菊花文菊花型、貝型、盤型。

中段左から、木瓜 (もっこう) 型、角型、折紙型、壷型、桃型。

下段左から八角型、富士型、七宝文菊花型、銀杏型。

いくつかの形を詳しく見ていきましょう。

13のフォルムの中に菊をモチーフにしたものは3つありますが、こちらは菊を横から見た所を表したもの。花弁に動きが感じられる珍しい表現が美しいですね
13のフォルムの中に菊をモチーフにしたものは3つありますが、こちらは菊を横から見た所を表したもの。花弁に動きが感じられる珍しい表現が美しいですね
七宝文菊花型。全て手で作られているので、花弁の先がちょっとずつ違う形です。指跡が残っている部分もあり、1つひとつ指先を使って花弁を作っていたことが伺えます
七宝文菊花型。全て手で作られているので、花弁の先が少しずつ違う形です。指跡が残っている部分もあり、1つひとつ指先を使って花弁を作っていたことが伺えます
木瓜 (もっこう) 型。木瓜は日本の家紋に由来します。鳥の巣の形に似ていることから、子孫繁栄を意味する形として、大名たちに愛されました。この凹凸模様を作るために何がしかの型がつくられていたようです
木瓜 (もっこう) 型。木瓜は日本の家紋に由来します。鳥の巣の形に似ていることから、子孫繁栄を意味する形として、大名たちに愛されました。この凹凸模様を作るために何がしかの型がつくられていたようです
盤型。なんと、将棋の盤の形です。将棋は大陸から伝来したゲームで、江戸時代に盛んとなり、有田では駒を作った時期もありました。この形が作られたことからも、流行の様子が伺えますね
盤型。なんと、将棋の盤の形です。将棋は大陸から伝来したゲームで、江戸時代に盛んとなり、有田では駒を作った時期もありました。この形が作られたことからも、流行の様子が伺えますね

バラエティ豊かなおてしょ皿は眺めているだけでも楽しく、コレクションしたくなる気持ちがとてもよくわかりました。「これも欲しい、あれも可愛い!」とついつい色々と買い求めてしまいました。

さて、どうやって使おう?と、食事の時間の楽しみがまたひとつ増えました。

<取材協力>
佐賀陶磁器工業協同組合
佐賀県西松浦郡有田町外尾町丙1217番地
電話:0955-42-3164
おてしょ皿公式サイト
http://otesho.aritayaki.or.jp/
佐賀県立九州陶磁文化館
佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
0955-43-3681

<参考文献>
「おてしょ皿 古伊万里のちいさなちいさな小皿」 編集:伊万里・有田焼手塩皿collection創出プロジェクト 2014年 佐賀陶磁器工業協同組合

文・写真:小俣荘子
写真提供:佐賀陶磁器工業協同組合

佐賀には人々に愛される鬼がいる?!鹿島の「浮立面」づくりの工房を訪ねて

日本人は古くから、ふだんの生活を「ケ」、おまつりや伝統行事をおこなう特別な日を「ハレ」と呼んで、日常と非日常を意識してきました。晴れ晴れ、晴れ姿、晴れの舞台‥‥清々しくておめでたい節目が「ハレ」なのです。

こちらでは、そんな「ハレの日」を祝い彩る日本の工芸品や食べものなどを紹介します。

佐賀県鹿島市で親しまれる鬼の面

「鬼」というと、節分や昔話の鬼退治など「追い払うもの」「悪者」というイメージが付いて回りますが、鬼に親しみを持って大切に扱う地域があります。

佐賀県鹿島市。この地には、鬼面をつけて集団で舞う「面浮立 (めんぶりゅう) 」が多く残っており、重要無形民族文化財に指定されています。現代では、秋に五穀豊穣を祈り奉納されています。

そう、神さまや天に向かって鬼が舞うのです。

面浮立は、笛、鉦、太鼓などの囃子に合わせて舞います。佐賀県南西部の伝統芸能で、五穀豊穣、雨乞祈願、奉納神事などの祭典や特別な行事の際に行われてきました
面浮立は、笛、鉦、太鼓などの囃子に合わせて舞います。佐賀県南西部の伝統芸能で、五穀豊穣、雨乞祈願、奉納神事などの祭典や特別な行事の際に行われてきました

面浮立は、戦で鬼面を被って奇襲をかけ、敵方を翻弄し勝利を収めたことが始まりとの言い伝えがあります。鬼が敵を追い払ったのですね。

この鬼は決して人に害を及ぼすことはなく、人々の生活を守り、悪霊を退治する存在として親しまれ、大切に扱われてきました。

鬼面と「シャグマ」と呼ばれる麻や馬の毛で作られたたてがみを付けて舞います
鬼面と「シャグマ」と呼ばれる麻や馬の毛で作られたたてがみを付けて舞います
地域ごとにお囃子のメロディや振り付け、面や衣装は少しずつ異なります
地域ごとにお囃子のメロディや振り付け、面や衣装は少しずつ異なります

「浮立」は「風流」が語源とも言われ、美しく勇壮な舞が表現された言葉なのだそう。このときに踊り手がつける鬼面を「浮立面 (ふりゅうめん) 」と言います。

浮立面は雌・阿 (左) と雄・吽 (右) で一対となっている
浮立面は雌・阿 (左) と雄・吽 (右) で一対となっています

行事で使う浮立面は地域ごとに保管されていますが、「魔除け」として家に浮立面を飾る習慣も根付いています。現代では、結婚祝いや新築祝いの贈り物として用いられることも多いのだそう。

迫力ある浮立面。たしかに魔除けにぴったりです
迫力ある浮立面。たしかに魔除けにぴったりですね

この浮立面を4代にわたって作り続けている、杉彫工房を訪ねました。

面と向き合いながら形を掘り出していく

木彫師の小森惠雲さん
木彫師の小森惠雲 (こもり けいうん) さん

浮立面を間近に見ると、その立体感、厚みに驚きます。

壁にかけられた浮立面。地域によって少しずつデザインが異なる。また、地位による色分けもあるのだそう
壁にかけられた浮立面。地域によって少しずつデザインが異なります。また、地位による色分けもあるのだそう
こちらは明治時代に作られたもの
こちらは明治時代に作られたもの。ちなみにこの大きな鼻の穴が面をつけた時の覗き穴となります

「浮立面は伝統工芸品なので、自己流の創作ではなく、元の姿を忠実に受け継いで作る必要があります。地域ごとのデザインを次世代につないでいくことが私の役割です。

立体感があるので、彫るには面をよく観察することが重要になります。左右のバランスを取るにも、定規で測っただけではその通りになりません。数字だけに頼ると位置がずれてしまう。

正面からだけでなく、上から、後ろから眺める。そうしてバランスを確認して彫っていく。木目によっても印象が変わるので、それも考慮します。

長年掘り続けることで、この勘所を磨いていきます」と当主の小森惠雲さん。

地域ごとに顔の幅や表情が異なる浮立面。少しの削り角度や削り位置の違いで全く異なるものになってしまうのだそう。実際に彫る様子も見せていただきました。

乾燥させて切り出した木に、まずは面の輪郭を描き削り出します
乾燥させて切り出した木に、まずは面の輪郭を描き削り出します
かなりの厚みです
かなりの厚みです
少しずつ掘り出して鬼の顔を浮かび上がらせていきます
少しずつ掘り出して鬼の顔を浮かび上がらせていきます
100種類以上の道具を使い分けて削り出すのだそう
角度や形、奥行きに合わせて、100種類以上のノミを使い分けます
ヤスリがけ等せず、仕上げまで全てノミだけで行い滑らかにしていくところが腕の見せ所
ヤスリなど使わず、全てノミだけで削り出してなめらかに仕上げていくのだそう

「鬼」は自分の中にあるもの

「鬼ってなんだと思いますか?」

小森さんに問いかけられました。小学校で浮立面の指導をするときに、子どもたちにもまずこの言葉を投げかけるのだそう。

「鬼は、一説には『隠 (おぬ) 』や『隠形 (おんぎょう) 』を語源として『おんに』になり、『鬼 (おに) 』となったといわれています。目に見えない、この世ならざるものや恐怖などを具現化したものが鬼なんですね。

天災や疫病などの思い通りにならないもの、自分の都合の悪いこと、己の中にある悪の気持ち、その全てが鬼と言えます。言い換えると、その姿を通してその存在に気づかせてくれるものでもあります。

例えば節分では『鬼は外、福は内』と言いますが、鬼は追い出されてそのままではかわいそうでしょう。自分の中の鬼を一度外に出して、その存在に気づいて、良い鬼 (福) に変えて心の内に返す。

恵方巻きを食べて、ただ待っていても物事は良くはならないですよね。自分の心を改めることが大切なのだと思うのです。

人間には煩悩がたくさんあるから、自分さえ良かったらいいという人もいるかもしれない。でもこうやって考えて、少しずつ自分の心を変えていったら、もっと世界は良くなると思うのです。

それに気づかせてくれるのが鬼なんだと私は考えています」

毎年、小学生が作る紙粘土の浮立面。自作の面を運動会で踊る際に被ります。小森さんの作った型を使って形を作り、色を塗るのだそう
小学生が作る浮立面。毎年、運動会で自作の面を頭にかぶって踊るのが恒例となっています。小森さんの作った石膏型を使って紙粘土で形を取り、色を塗って仕上げます。親子で参加して鬼のことを一緒に学ぶ機会になっているそうです

「お面は、顔の印象や表情をデフォルメしたものです。恐怖の表現から鬼は生まれていますが、浮立面も元は人間かもしれないと思うことがあります。鬼の顔から、ツノとキバを取ってみてください。可愛らしい顔なんですよ。

人間と変わらない。笑顔にすら見えるものもあります。地域によって色々な表情があるので、向き合っていると、怖い顔もあれば、寂しそうな顔の面にも出会います」

「自分の内なる鬼を見つけて取り出し、良いものにして己の中に戻す」

鬼面と向き合い続ける小森さんの言葉が印象的でした。

鬼は私たちが自分を省みる機会を作ってくれているのかもしれない、佐賀の人々の鬼との向き合い方に触れて鬼へのイメージが少し変わりました。

今度は秋に、面浮立を見にまたこの地を訪れてみようと思います。

<取材協力>

杉彫

佐賀県鹿島市古枝甲1221-1

0954-62-9574

文・写真:小俣荘子

面浮立・浮立面 画像提供:鹿島市

「お正月飾り」に込められた祈りをご存知ですか?

あけましておめでとうございます。

新年の挨拶をして、年賀状を受け取って、初詣にでかけて。「今年も良き年になりますように」と祈り、心新たにする一年のはじまり。

お正月飾りに込められた意味

門松、注連縄、鏡餅‥‥子供の頃から親しんできたお正月飾り。「そういえば、どんな意味合いがあるのだろう?」と調べてみると、ご先祖様が代々祈り続けてきた思いを垣間見ることができました。都会のマンション暮らしでも扱いやすい小さなお正月飾りと合わせて、その思いを紹介します。

歳神様をお迎えする目印「門松」

門松飾り
松に3本の竹、梅の水引をあしらった門松

門松は、歳神様が迷わずに降りて来るための依り代といわれています。地域によっていろいろな様式がありますが、神様が見つけやすいよう門前に飾られることが多く、マンションの場合などは玄関に飾ることが一般的になっています。

常緑で不老長寿の象徴である「松」、真っ直ぐに伸び子孫繁栄の象徴である「竹」、冬に花を咲かせ気高さの象徴である「梅」といった縁起物で飾ります。神様が宿るので、お正月三が日の間は神棚と同じようにお供え物をするという風習のある地域も。

歳神様へのお供物「鏡餅」

鏡餅飾り
白木で作った鏡餅に、伊賀組紐の職人による橙と、麻素材の裏白を添えて

鏡餅は、歳神様へのお供物です。お餅は古来から神饌 (しんせん=神様の食べ物)と言われてきました。また、神様が宿るとも言われるので、床の間のほか、神様に来ていただきたい場所に飾ります。

丸く整えられた平たいお餅を重ねる鏡餅。この形は、人の魂 (心臓) の形を表す「神鏡」を模しているとされ、お供えの後は、新しい神 (タマ) として小さく割って配り歩く「お年玉」という風習もありました。現代のお年玉のルーツですね。

大小2つ重ねることで陰 (月) ・陽 (日) となり、福徳を重ねるという意味合いもあるのだそう。お餅の上に乗せる「橙」には「代々栄えますように」という願い、下に敷く「裏白(うらじろ)」は「後ろ暗いことがないように」という意味が込められています。そのほかにも「喜ぶ」と掛けた昆布 (こぶ) や、「財産が伸びるように」と熨斗 (のし) を添えるなどして飾ります。その年の豊作や、健康と幸福を祈るお飾りです。

無病息災や厄除けを願う「羽子板」

羽子板飾り

お正月遊びとして知られる羽子突き。かつて羽子には、豆に羽をつけたものが使われていました。これを羽子板で突くことは豆まき同様に厄除けの意味があったとも言われます。

羽先の黒く固い部分を豆に見立てて「魔滅(まめ)」あるいは「マメに暮らせる」などの縁起を担ぎ、江戸後期のころから女子の誕生した家に羽子板を贈る風習ができました。現代でも、赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月や節句の贈りものとされています。お守りとして羽子板を飾ることで、無病息災や厄除けを願います。

福を呼び込む「打ち出の小槌」

打ち出の小槌
古くから小槌への信仰が厚い出雲。その地で小槌を作り続ける木工屋さんと作った由緒ある福小槌に、絹の飾り結びをあしらったデザイン

振ると様々な願いや夢が叶うと言われている「打ち出の小槌」。数々の昔話にも登場しますが、大黒様が持っている宝物です。お供え物と合わせて賑々しく飾ることで、新年に福を呼び込みます。

神様の宿るもの、願いのこもった縁起物に囲まれるお正月。家に居ながらにしてパワースポットを訪れたような時間なのですね。

新しい1年が、すこやかで幸せなものになりますように。

<掲載商品>

小さな鏡餅飾り (中川政七商店)

小さな門松飾り (中川政七商店)

<参考文献>

『日本大百科全書』 1994年 小学館

『日本年中行事辞典 (角川小辞典 16)』 鈴木 棠三 1978年 KADOKAWA

『知っておきたい日本の年中行事事典』 福田 アジオ、山崎 祐子、常光 徹、福原 敏男、菊池 健策 2012年 吉川弘文館

『【ふるさと東京】 民俗歳時記 (普及版) 』 佐藤 高 1993年 朝文社

『暦と行事の民俗誌』 佐藤 健一郎、田村 善次郎 2001年 八坂書房

『日本人のしきたり』 編集:飯倉 晴武 2003年 青春出版社

『宮本常一 歳時習俗事典』 宮本常一 2011年 八坂書房

『あそびのための郷土玩具』 監修:畑野 栄三、岩井 宏實 2005年 くもん出版

『雑学 日本のこよみ―歳時記』 とよた 時 1992年 誠文堂新光社

『羽子板』 山田 徳兵衛 1937年 芸艸堂

文:小俣荘子

12月6日、音の日。指物職人が生んだ「楽器オルゴール」

こんにちは。ライターの小俣荘子です。

日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。数多あるなかで、ここでは「もの」につながる記念日を紹介しています。

さて、きょうは何の日?

12月6日は「音の日」です

1877年12月6日、トーマス・エジソンが蓄音機「フォノグラフ」を発明しました。「オーディオの誕生日」とも言うべき日です。

1994年に日本オーディオ協会は日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会などと、音と音楽文化の重要性を広く認識してもらうと共にオーディオ及び音楽文化・産業の一層の発展に寄与することを目的に、12月6日を「音の日」として制定しました。

音質にこだわって作られた「楽器オルゴール」

「オルゴール」と聞くと、子どもの頃に遊んだおもちゃや、宝石箱などを思い出す方は多いかもしれません。

今ではそれらの印象が強いですが、オルゴールはれっきとした「自動演奏楽器」。蓄音機が生まれる以前は、簡単に音楽が楽しめる機械として親しまれていました。

今日は、オルゴールのなかでも、さらに音質にこだわって作られた「楽器オルゴール」を紹介します。まずはこちらの動画で音色をお聴きください。きっと、オルゴールのイメージが変わりますよ。

動画中で、一番上に乗っている箱が楽器オルゴールです。その下に積まれているのは音を大きく響かせる箱 (=サウンドボックス、共鳴箱) です。

音響学を取り入れて設計された楽器オルゴールは、中高音だけでなく、低音がしっかりと響き、柔らかく美しい音色を奏でます。その音には、心を落ち着かせる効果があるのだそう。

オルゴールは「箱」で音質が変わる

音質や音量の決め手は機械部分を収める箱と、その下で音を響かせる共鳴箱にあります。

音の出る機械部分。写真はシリンダータイプのもの
音の出る機械部分。写真はシリンダータイプのもの

音質の変化は、機械部分を木の板の上に乗せるだけでもわかります。

こちらの動画は、音の変化を実験したもの。機械部分をそのまま鳴らした場合と、木の上 (共鳴箱の上) に置いた場合で、音量や音質に大きな違いが現れます。音がやわらかくなり、さらに低音まで響くことに驚きます。

さらに、木箱の「組み方」も重要なのだとか。この楽器オルゴールでは、機械こそ一般的なオルゴールと全く同じですが、収める箱に伝統的な「指物 (さしもの) 」の技術を使うことで、美しい響きを実現しているといいます。

指物の技術を使った楽器オルゴール

指物の技術で実現した、楽器の響き

指物とは、釘や接着剤を使わずに木工品を組み立てる技術。

音は木の繊維を伝って響くため、組み合わせる際のわずかな隙間も影響を及ぼします。そこで、繊維をできるだけ長く保てる指物の技術がぴったりだったのです。

指物の技術を使ったオルゴールの箱
繊維を繋ぐようにピタリと組み合わさる指物の技術

70種類以上の木を試して選ばれた素材

「音響第一」の楽器オルゴールは、音質を損なうような装飾や塗装は一切ありません。もちろん、木の種類にもこだわっています。

開発したマイスターの永井淳 (ながい・じゅん) さんは、70種類以上の木を試して「心地よい音」を響かせる素材を研究したのだそうです。

密度の高い木材を使うと音がよく響くことから、選んだのは銘木の無垢材。楽器に使われることが多いメープルやウォールナットが用いられています。そのほか別注で、ローズウッド (紫檀) 、黒檀、マホガニーでも制作されています。素材の硬さや密度によって響きが異なるため、木の種類によって厚みを変えて作られます。

楽器にヒントを得て作られた構造

さらには、音がより美しく響くように楽器の構造も取り入れられています。バイオリンやピアノなどに多用される木材板の「スプルス」が響板(きょうばん)として使われています。たとえば、ピアノならば響板は弦の下に張ってあります。

響板のスプルス。曲がっている方が音の響きが良いのでカーブした仕上げになっています
響板が曲がっているとより音の響きが良くなるので、カーブした仕上げになっています
発想の元となったバイオリンの表面。カーブしたスプルスが使われています
発想の元となったバイオリンの表面。カーブしたスプルスが使われています

足は3本です。こちらはグランドピアノにヒントを得ています。3本足の場合、圧力がしっかりと足にかかるので、下に置かれた共鳴箱に最大限の響きを伝えることができるのだそうです。

オルゴールの足

冒頭の動画でも、おもちゃのオルゴールとの響きの差がわかりますが、直に楽器オルゴールの音色を聞くと、その美しさに驚きます。まろやかで奥行きのある音に包まれるのはなんとも心地よいものでした。

現在、この楽器オルゴールは、子どもの情操教育として使われたり、リラックス効果でより良い眠りを期待されたりすることも。

まるでリサイタルを訪れたような演奏を楽しめる楽器オルゴール。その日の天気、気温、湿度、聴く人の状態や気持ちで2回として同じ音色にはならないのだそう。オルゴールのある暮らし、始めてみたくなりました。

<取材協力>
EMI-MUSICBOX

<掲載商品>
楽器オルゴール シリンダータイプ
サウンドボックス (共鳴箱)

文・写真:小俣荘子

海に浮かぶ世界遺産、広島の嚴島神社で観る「観月能」

こんにちは。ライターの小俣荘子です。

みなさんは古典芸能に触れたことはありますか?

独特の世界観、美しい装束、和楽器の音色など、なにやら日本の魅力的な要素がたくさん詰まっていることはなんとなく知りつつも、観に行くきっかけがなかったり、そもそも難しそう‥‥なんてイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

気になるけれどハードルが高い、でもせっかく日本にいるのならその楽しみ方を知りたい!そんな悩ましき古典芸能の入り口として、「古典芸能入門」を企画しました。

そっとその世界を覗いてみて、楽しみ方や魅力を見つけてお届けします。

嚴島神社に奉納される「観月能 (かんげつのう) 」

フェリーから降り立つと、鹿に迎えられる宮島。島全体が御神体とされる神域です。世界文化遺産に厳島神社が登録された現在は、海外からの観光客も多くなりました。
フェリーから降り立つと、鹿に迎えられる宮島。島全体が御神体とされる神域です。世界文化遺産に厳島神社が登録された現在は、海外からの観光客も多くなりました

今回の舞台は広島県、秋の宮島。

国の重要無形文化財保持者 、いわゆる「人間国宝」の能楽師、友枝昭世 (ともえだ・あきよ) さんが舞う「観月能」へ。

「観月能」とは、月明かりの元で上演される能です。友枝さんによる嚴島神社での奉納は1996年から始まりました。年に一度、秋の月夜に催されています。その幽玄の世界を訪ねました。

日が暮れて、灯篭に明かりのともる参道
日が暮れて、灯篭に明かりのともる参道
潮が満ちると海に浮かんで見える嚴島神社。普段は夕方に閉門されますが、この日は特別に夜の姿が見られます
潮が満ちると海に浮かんで見える嚴島神社。普段は夕方に閉門されますが、この日は特別に夜の姿が見られます

能は、謡 (うたい) と囃子 (はやし) からなる「音楽」と「舞」で構成されていて、「日本のミュージカル」とも呼ばれる芸能です。

※「能」について詳しくは「古典芸能入門「能」の世界を覗いてみる ~内なる異界への誘い~」をどうぞ。

写真撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
厳島観月能「玉鬘 (たまかずら) 」。撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

環境すべてが舞台装置になる

おぼろげな光の中で鑑賞する観月能は、はっきりと観えすぎないことが魅力となります。舞台鑑賞で「観えにくさ」を良しとするのはなんとも不思議ですが、もやのかかった様子が夢うつつの世界をいっそう引き立ててくれるように感じられるのです。さらには、屋外ならではの風や水音、虫や動物の鳴き声などが入り込むことで情緒が加わります。

能舞台にも客席にも屋根がついているので、よほどの荒天でない限りこの場所で実施されます。以前にも、雨降る年に足を運んだことがありましたが、海面を打つ雨音がお囃子のリズムと一緒にビートを刻んでいるようで、舞のクライマックスが盛り上がりました。

世界全体が舞台装置であるかのような中に自分自身も包み込まれる。知らぬ間に物語の中に入り込んでしまったような感覚が生まれることもあります。舞台と客席、現実と物語の世界、それぞれの境界線が曖昧になるようです。

神様に捧げるために建てられた、嚴島神社の能舞台

能鑑賞のために海の上に特設された桟敷席からの眺め。嚴島神社の回廊からの眺め。海の向こうには広島の夜景が広がります。大鳥居を隔てて現実世界がはるか遠くに感じられ、神様のいる異界に立ち入っているような気持ちになります
能鑑賞のために海の上に特設された桟敷席からの眺め。海の向こうには広島の夜景が広がります。大鳥居を隔てて現実世界がはるか遠くに感じられ、神様のいる異界に立ち入っているような気持ちになります

かつては、神職や僧侶でさえ島に渡るのは祭祀の時のみ、島に上陸する際も厳重な潔斎 (けっさい。心身を清めること) が必要な神域とされていた宮島。

嚴島神社は、推古天皇が即位した593年ころの建立と言われ、1400年の歴史を持ちます。島全体が神聖な場所と考えられていたため、島の土の上に社殿を建てることをはばかり、海辺の浅瀬を選んだとも言われています。満潮時には、海水が社殿の奥まで届き、神社全体が海に浮かんでいるように見えます。

平安時代末期、栄華を極めた平清盛により今のような荘厳な社殿となります。平家一族の守護神として篤い信仰を得て、世に広く知られるようになり、平家滅亡後も、源氏、足利氏、毛利氏などによって大切にされてきました。

嚴島の能の起こりは、1563年。嚴島合戦で陶軍に勝利した毛利元就が、仮の能舞台を海の上に作らせて能を奉納したのが始まりと言われています。

歴史上のビックネームが連なる嚴島の歴史。当時の武将たちと同じ風景を見ていると思うと感慨深いものがあります。

写真撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

現在の常設の能舞台は、1680年に寄進されたもの。国の重要文化財に指定されています。

海の上にあるため、通常は床下に置かれる共鳴用の甕 (かめ) がなく、足拍子の響きをよくするため舞台の床が一枚の板のようになっているのが特徴なのだそう。十分に音が響くので、現代でもマイクは使われません。

潮の満ち引きで景色が変わっていく

干潮時は大鳥居の足元まで歩いて行くことができます
干潮時は大鳥居の足元まで歩いて行くことができます

舞台の序盤は潮が引いている状態。次第に波音が届き始め、潮が満ちていきます。波打つようになった海面に反射した光は、キラキラと舞台を照らします。

また、水位の変化で音の響きも変わるそう。水かさが増えるにつれて音の反響もよくなり、後半の見せ場となる舞に向かって雰囲気も音も盛り上がります。

潮の満ち引きは日によって異なるもの。毎年、観月能の開催日は「潮位」を第一に選ばれます。なるべく大潮の時で、満月に近く、ちょうど演能時間と満潮時が重なるという条件に合う、限られた秋の夜にだけ生み出される幻想的な舞台なのです。

少しずつ水位が上がっています。撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
少しずつ水位が上がっています。撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

さらに、観月能でシテ (主役) として舞う、友枝昭世さんは、水を効果的に扱い美しい光景を描き出します。

これまでの演目では、汐を汲むシーンや、水面を覗き込むシーンなどで、舞台の際まで歩み寄り (海に落ちてしまいそうなほど近づきます) 、その様子を演じていました。想像力を膨らませながら鑑賞している観客にとって、目の前にある水と演者の動きが結びつくと大変な臨場感を感じるもの。そしてその光景のなんと美しいことでしょうか。

撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

能面をかけていると、視野が非常に狭く、足元はほとんど見えていないのだそうです。柱を目印に、ためらうことなく一気に歩み寄り、優美に舞う姿に息を飲みます。美しい舞に加え、この場所ならではの様子に出会えるのも楽しみです。

亡霊が降り立ち、舞う

今年の演目は、源氏物語に基づいた「玉葛 (たまかずら) 」でした。

六条御息所の生き霊によって殺されてしまった夕顔、その娘が玉葛です。絶世の美女であったがために、恋に翻弄された玉葛の亡霊が、僧侶によって迷いを晴らして成仏する物語。「夢幻能 (むげんのう) 」という能の代表的な形式のストーリーです。

冒頭で玉鬘の亡霊は、小舟に乗った人間の女として僧侶の前に現れます。

実際に小舟は登場しませんが、さおを差し、その様子を表します。撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
実際に小舟は登場しませんが、さおを差し、その様子を表します。撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

秋の初瀬川で出会い、夕霧の絶え間に美しい紅葉を見ながら玉鬘ゆかりの二本の杉までともに行く女と僧侶。

秋の夕暮れ、水辺での出会い。舞台ともリンクします。この日はあいにくの雨で、霧がかかったような視界の先に舞台がありました。風ではらはらとたなびく装束の様子と霧が、異界の者との出会いに臨場感を加えているようでした。

僧侶に玉鬘の数奇な運命を語り、自身が玉鬘であることをほのめかし、弔いを頼んで女は消えます。そして後半では、玉鬘は寝乱れ髪の姿で登場します。

撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota
撮影:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

昔のことを思い悩み、妄執にひかれて苦悶する有様を見せ、美しく激しく舞う玉鬘。演じる友枝昭世さんならではの、美貌だけではなく、妖艶さすら感じる舞。神がかっているようにも見える姿に魅了されます。

玉鬘が成仏し、静かに終わる物語。公演終了後も、その美しさの残像を感じながら波音を聞いていました。

嚴島神社では、終演後も非日常空間が残ります。少し惚けたまま、余韻にたっぷり浸りながらの帰り道も心地よいものです。

宮島の島内にはお宿もあります。年に一度の幽玄の夜。ぜひ泊まりで訪れてみていただけたらと思います。

<取材協力>
嚴島神社
厳島観月能実行委員会

文・写真:小俣荘子
写真提供:M2 エムニー 横田三彩 misai yokota

11月8日「いい刃の日」。庖丁工房タダフサのお肉が“美味しくなる”ステーキナイフ

こんにちは。ライターの小俣荘子です。

表面は香ばしく焼き色をつけて、内側は赤さを残してしっとり焼き上げたステーキ。想像しただけで美味しそうですが、みなさんは、どんなカトラリーを使っていますか?

今回紹介するのは、「ステーキを美味しく、スムーズに切る」ために生まれたナイフ。新潟の「庖丁工房タダフサ」と中川政七商店が生み出したステーキナイフです。

なぜ巷のステーキナイフは切れにくいのか?

ステーキをカットするために、前後に何度もナイフを動かす。よくある光景かと思いますが、もっと簡単に切れないものでしょうか。実は、カトラリーとしての安全性を考慮して、ステーキナイフは「あえて切れすぎない設計」になっているものが多いのだそう。

そして、カリッとしたお肉の表面を切るには、ギザギザのノコ刃 (ノコギリのような刃) が必要です。この「ギザギザしたノコ刃をどう作るか」と「刃先を肉に入れてからスムーズに切るには」を、両立するアイデア戦を、刃物メーカーが繰り広げています。

庖丁工房タダフサのアイデアは、包丁づくりの刃付け (研ぎの工程) の技術を生かして開発することでした。

タダフサ ステーキナイフ

ナイフのように食い込み、包丁のように切れる

肉への刃の入りを良くするための独自の工夫を検討しました。たどり着いたのは、通常より粗目の番手で行う刃付け。

顕微鏡などで見ると、刃先の部分が非常に細かいギザギザしたノコ刃になっています。パン切り包丁の波刃がパンの表面を切るきっかけになるように、ノコ刃の刃先が、肉の表面を切り込むきっかけになっているのです。

拡大すると微細なギザギザしたノコ刃状となっています
拡大すると微細なギザギザしたノコ刃状となっています
こちらは普通の包丁の刃。上の写真と比べてみてください
こちらは普通の包丁の刃。上の写真と比べてみてください

まず、ギザギザのノコ刃でしっかりと捉え、一般的なカトラリーナイフよりも薄い刃が、スッと肉に入っていくので、スムーズに切れるのです。

ナイフを何度も動かさずに切れるので、お皿を傷つける心配も軽減されます。お気に入りのお皿で楽しめるのは嬉しいですね。

さらに、家庭でよく使われている三徳包丁と同じ両刃構造になっており、片面 (表) を粗く、もう片面 (裏) を細かく、表裏で異なる仕様で刃付けを行っています。

両方とも粗目でもよく切れますが、切り口がざっくりとするので、切った時の美しさに欠けます。包丁のように美しくなめらかに切れるよう、片方は細目にしたところがこだわりです。

こうして、よく切れるステーキナイフが実現しました。

鍛えた鋼で錆びにくく、使いやすいデザイン

様々なステーキナイフで検証を行いました (左から、柴田文江さん、タダフサ 曽根忠幸さん)

さらには日常使いしやすいように、素材やデザインにもこだわりました。

カトラリーは、包丁のようにこまめに研ぐなどのお手入れをする方は少ないはず。そこで、一般的な包丁でもよく使われる耐食性の高い、錆びにくい鋼を使用することに。

焼き入れ前に、鋼を「叩く」鍛造作業の工程を加えて、硬く強い鋼に鍛え上げています。

デザインは、他のタダフサの製品と同様にプロダクトデザイナー柴田文江さんによるもの。家庭で女性も抵抗なく使いたくなるような、やわらかみのあるフォルムと質感に仕上がりました。

完成した「ステーキナイフ」
完成した「ステーキナイフ」

このステーキナイフ、「表面が硬いもの」への刃入りが良いので、実はパンを切るのにも向いているのだそう。これ1本で他の食材もよく切れるので、家の中だけでなく、ピクニックやバーベキューでも使ってみたい!そんな気持ちにさせてくれる逸品です。

<取り扱い店舗>
中川政七商店 全店
中川政七商店 通販サイト

文 : 小俣荘子