【わたしの好きなもの】荷物が取りやすいリュックサック

左右の縦ファスナーが、こんなにも便利だなんて!


暖かな春の訪れがもうすぐそこまで来ていることを、肌で感じるようになってきた今日この頃。

今年の春はなるべく外出を控えようかと思っていますが、食品や消耗品の買い物などは必要ですし、出かける機会が無くなるわけではありません。

我が家の場合、外出となると基本的に小さい子どもも連れて行くことになります。オムツやおもちゃ、エチケットのためのハンカチやウェットティッシュ‥‥。子ども連れでの外出時には、持ち歩きたい荷物がたくさん。

小物が多く、カバンの中はぐちゃぐちゃになりがちで、ハンカチやオムツを探す度に毎回がさがさと中身をあさることにストレスを感じていました。

そこで今回取り入れたのが、「荷物が取りやすいリュックサック」。

きっかけは、同じ課の先輩である今井さんが愛用していると聞いたことでした。



「左右に縦ファスナーがついているから、左利きの私でも使いやすいの」

へーなるほど。左効きの方の苦悩話をよく聞きますが、カバンにもあったなんて。

利き手を選ばないように考えられた設計で、どちらの肩からカバンを下ろしても、楽に荷物が取り出せるんだそうです。



この縦ファスナー、カバンを膝の上に乗せた状態でもささっと荷物を取り出せて、利き腕関係なく本当に便利です。

さらに、「フックがついていて、カバン自体の収納も楽々なの。床が荷物でごちゃごちゃするのは嫌でしょ?」とのこと。

今井さんは、おでかけの後、カバンをハンガーラックに掛けておくそうです。カバンの帆布の風合いを損なわない金属のフックもお気に入りのひとつなんだとか。



なんとも使い勝手が良さそうなカバン。今井さんの話を聞いて、「育児にも使える!」とピンと来た僕は、妻に相談もせずに即購入したのです。

両サイドの縦ファスナーから、子どもの道具をすぐに取り出せることができる!
何にでも手を伸ばす子どもの手の届かない場所にカバンをかけることができる!

この考えが頭の中に浮かんでいたのですが、まさに的中。大いに役立ってくれました。

特に、僕のストレス軽減に貢献してくれたのが、独立した3つの収納部分です。

子どもの大切なものはメインの収納部分に。



頻繁に使うハンカチは一番外側のポケットとメイン収納の間にある中央のスペースに。

いずれも縦ファスナーでささっと取り出せます。

それぞれの収納部分は独立しているので、たとえば濡れたハンカチが子どもの道具に触れることも防げて安心。



外側のポケット部分には、エコバッグや他に必要なものを詰め込んでいます。

収納力も十分あって、カバンの中で小物がごちゃごちゃにならないので、とてもうれしいです。

帆布素材なのでいろんな服に合わせやすく、季節をとおして使うことができるのも良いポイント。

今は少し我慢して、いろいろ落ち着いたら、この便利なリュックを背負って家族みんなでおでかけしようと思います。




あ、ただひとつ、僕にとって問題がありました・・・。

通勤のカバンとしても使用するつもりでしたが、どうやら妻がとても気に入ったみたいで、ほとんど独占して使用しているのです。

もうひとつ色違いで買うか、諦めるか・・・。でも考えてみれば子どもの世話には大いに役立っているので、「家族のおでかけバッグ」として妻とふたりで仲良く使うことにしようと思います!



編集担当 森田

<掲載商品>
荷物が取りやすいリュックサック

【わたしの好きなもの】折りたためる桶

手に取りやすい場所に手に取りやすい状態で収納


ホームセンターなどでその存在は知っていた、折りたためるタイプのバケツ。キッチンにあると便利そうだなと思いながら、少し大きすぎる気がして買うのを躊躇していました。

そんなとき、中川政七商店からも「折りたためるバケツ」と、すこし小ぶりな「折りたためる桶」が発売されるという朗報が。人知れず楽しみに待ち、念願叶って手に入れました。

 
実際に使ってみると、やはりこのサイズ感と浅さが私にはぴったり。ちょっとした手洗いやつけ置きなど、思い立った時にパッと使えます。邪魔なときにはシンクに渡した水切り網の下によけられるので、つけ置き中に他の作業ができるのも便利です。


 

また、白で統一したキッチンにとけ込んで、出したままでも見た目がすっきりなのもうれしいところ。真っ白な見た目はルックスのよさだけでなく、汚れがきちんと落ちていることがよくわかり、すすぎ残しのチェックがしやすいといった使い勝手のよさにもつながっています。


 

そして、一番の特徴である「折りたためる」機能のおかげでシンク下の隙間にコンパクトに収納でき、使うときに他のものを動かすことなくすっと取り出せます。

バケツや桶って収納するときにかさばるのはもちろんなのですが、デッドスペースを減らしたくて重ねたり、中に小物を入れてしまうことで取り出すのが面倒になってしまいがち。手に取りやすい場所に手に取りやすい状態で収納できることで、使うハードルもしまい直すハードルも低くなって、より身近な道具になった気がします。


 

ちなみに、桶を買ったところあまりに使い勝手がよかったので、結局後からバケツのほうも買い足しました。こちらは洗車のときに使ったり、植栽をカットしたときのゴミ箱代わりにしたり、泥付きの野菜をいれるカゴにしたりといろんなシーンで活躍しています。




編集担当 寄田
 

【わたしの好きなもの】BAGWORKS BOYSCOUTSMAN

経年変化を楽しめる、大人に似合うリュック


BAGWORKSさんの帆布のリュック「BOYSCOUTSMAN」。
通勤着の雰囲気に馴染むシンプルなリュックを探していた時に出会い、かれこれ2年間お世話になっています。

「BOYSCOUTSMAN」という名前のとおり、アメリカのボーイスカウトの少年たちが使うリュックをリデザインしたものです。少年といいつつ、男女問わず街歩きに似合う感じが気に入っています。

リュックの中央に本革のベルトが通っているのがアクセントになって、凛とした大人の雰囲気にしてくれるのもポイント。



会社でも時々同じリュックの人を見かけますが、みんな、時間とともに、くったり感がでていい味わいに育ってきているんです。使い始めの頃はカチッとして見えるんですが、だんだん生地がやわらかくなってきて自分に馴染んでくるのがわかります。



サイドには大きく開くファスナーがついているので、タンブラーなどは背負ったまま出し入れします。



ツルンとしたナイロンのものに比べると帆布のリュックって汚れるイメージはないでしょうか?実は、奈良公園へ出かけた際に、落として泥まみれにしてしまったことがあるんです。

ベージュだし、汚れが残るかな?と心配していたのですが、帰って濡れたタオルで拭くと、まったくわからないほど綺麗になりました。
パラフィン加工のおかげでしょうか。とてもほっとした思い出があります。



まだまだ傷んでいる所もなく、2年分の経年変化を楽しみながら、引き続き通勤の相棒としてお世話になります。

編集担当 村垣

<掲載商品>
BAGWORKS BOYSCOUTSMAN 2
BAGWORKS BOYSCOUTSMAN WATER RESIST
BAGWORKS BOYSCOUTSMAN

竹箸は、軽く・強く・つまみやすい。竹の機能性に惚れ込んだヤマチクの挑戦

みなさん、自宅ではどんなお箸を使っていますか?

食卓の道具として私たちの暮らしに欠かせない「箸」。

毎日使うもので、自分の口に触れるものでもあり、本来は使いやすさや安全性がなによりシビアに要求される道具ですが、「どんなお箸?」と聞かれても、少し返答に詰まってしまうかもしれません。

わたし自身も、あまりに身近な存在であるために「お箸とは大体こんなもの」というぼんやりした常識が出来上がってしまい、あらためて深く考えることがありませんでした。

どんな素材で、誰がどんな風につくっているのか。

今回はそんなお箸の中でも、“竹”のお箸にこだわるメーカーさんに伺って、話を聞きました。

かつては定番だった竹の箸

熊本県玉名郡南関町。福岡との県境近くに工場をかまえる株式会社ヤマチクは、1963年の創業以来、「竹」をいかした製品づくりを続けてきたメーカー。

「竹の、箸だけ。」というメッセージを掲げ、純国産の竹材を用いた箸の専門メーカーとして日々ものづくりをおこなっています。

ヤマチク

「もう一度、竹のお箸を定番にしたい」

そう話すのは、ヤマチクの三代目で専務取締役の山﨑 彰悟さん。

ヤマチク 専務取締役の山﨑 彰悟さん
ヤマチク 専務取締役の山﨑 彰悟さん

いま、お箸と聞いて多くの人が連想するのは、おそらく“木”のお箸。

ただ、日本の食文化に箸が登場したとされる7〜8世紀頃には、主に竹が材料として使われていたとされています。「箸」という漢字に竹かんむりがついているのも、その名残なんだとか。

なぜ竹のお箸は少なくなってしまったのでしょうか。

「竹はあちこちに生えていて身近な素材ではあるのですが、加工が難しく、ある時から『輸入材の方が楽だね』という流れになってしまいました」

竹は真ん中が空洞で、厚みや曲がり方も一本一本大きく異なります。繊維の密集具合で強度も異なり、そのあたりを見極めて同じ形状・品質のお箸をつくるには高い技術とノウハウが必要になるとのこと。

ヤマチク
使える部分の厚みや強度がそれぞれ異なり、加工が難しい

結果、竹の加工をしていた会社も木材加工にシフトしたり、あらかじめ加工された輸入材を仕入れてそこに塗装などの仕上げをするようになったりと、竹のお箸、特に国産の竹を用いたお箸は少なくなってしまったのだそうです。

軽くて強い。竹は道具として優れている

「竹が素材として劣っているわけではなくて、加工さえできれば道具としてはとても優れたものがつくれます。僕たちは、竹のお箸がいいものだからこそ残したいと考えているんです」

と山﨑さんが言うように、しなりがあって強度が高く、木材よりも細く加工できて軽いという竹の特徴はお箸にうってつけ。ヤマチクでは竹のお箸が必ず生活の役に立つ、という思いで生産を続け、その中で加工技術も磨いてきました。

ヤマチク

竹箸しかつくれない。だからこそ生き残れる

シンプルなつくりに見えて、実際は非常に多くの工程を経てつくられる竹のお箸。

実際に工場を見学させてもらうと、見たことのない機械を前に黙々と作業する従業員の方々の姿がありました。

ヤマチク

山で伐採された竹は、竹材屋さんによって四角い棒状の部材に加工されてヤマチクの工場に入ってきます。

そこから、異なる粗さのやすりにかけてだんだんと形を整え、滑らかにし、塗装・検品・包装を経て製品に仕上げます。

竹のお箸 ヤマチク
竹のお箸 ヤマチク

「実は機械で削る方が難しいんです。お箸が口に入った時の口当たりの良さまで考えて仕上げていきますが、手で磨いた方が細かい調整がしやすい。

ただ、生産量との兼ね合いで機械は入れざるを得ないので、そこで技量による差が極力出ないように、難しい工程には治具をつけるなど工夫しています」

竹のお箸 ヤマチク
治具によって一定の品質を担保する

お箸を加工する機械は、そのどれもがオーダーメイドのオリジナル。職人の手の感覚を再現するために、山﨑さんの祖父でヤマチクの初代が考案したのが、熟練の職人が削る角度を再現した治具を取り付ける方法。

もちろん、竹の繊維の状態を見極めながら丁寧に素早く削るにはそれでも高い技術が必要ですが、ある程度習熟すれば仕上がりに差がでないように配慮されています。

「僕らは竹のお箸づくりしかできないんですが、その代わりそこに特化したからこそ生き残れたんじゃないかと思っています」

ヤマチクでは、決まった商品だけでなく、積極的に新規OEMの受注も受け、新しい形状・デザインに挑戦しています。そのたびに、最適な工程を考え、新しい機械の導入も検討し、進めていく。

こうして積み上がってきたノウハウと、そのエッセンスがつまったオリジナルの機械の数々。ここに竹箸専業としてのヤマチクの強みがあります。

初めての自社ブランド立ち上げ。50年後を見越して

プロジェクトメンバーを社員から有志でつのり、一年がかりで自社ブランドの立ち上げにも挑戦しました。

ヤマチク

「『okaeri(おかえり)』というブランドをつくりました。

これまでのように問屋さんに販売をお願いする部分も残しつつ、自分たちでも売り方を考える必要があるなと。

どうやって、どんな販路で売っていけばいいのか。自分たちで学び、メーカーとしてのあり方を少し変えられればと思っています」

竹のお箸と分かるように、持ち手側の先端を赤くしたシンプルなデザイン

目的のひとつは、社員のやりがいの部分。

有名ブランドのOEMを手がけたとしても、これまではヤマチクの名前が表に出るわけではありませんでした。

そんな中、自分たちで考え、自分たちで販売する自社ブランドの存在は、新たなノウハウの吸収はもちろん、社員のモチベーションアップにもつながることを期待しています。

竹のお箸 ヤマチク
ブランド立ち上げプロジェクトに志願した女性社員。仕事の幅の広がりを感じたのだそう

そして、もうひとつは50年後の竹箸づくりのため。

「今、山で竹を伐採してくれる人たちや、部材にして僕たちに届けてくれる加工屋さん。そういった人たちが非常に苦しんでいます。

その中で完成品を仕上げて販売する、僕たちの責任は重いと考えていて、どうにか、みんなが孫の代まで仕事を続けられるようにしていかないと駄目だと考えているところです」

輸入材に頼るメーカーが増えることで、国内の竹を伐採・加工していた人たちの仕事が減り、一人、また一人と辞めていっている状況にあるといいます。

ヤマチク
竹の伐採はかなりの重労働

竹は成長が早くエコな素材とも言われますが、計画的に伐採していかないと、あっという間に伸び放題になり山が荒れてしまう側面も。そうなると山に入ること自体が難しくなり、さらに荒れていくという悪循環に陥るのだとか。

「ありがたいことに生産がなかなか追いついていない状況もありつつ、少しずつですが材料屋さんに利益を回せるように値段も交渉してやっていければ。

荒れている竹林も管理できるようにして、サステナブルな竹の特徴をいかして正しい循環を取り戻したいですね」

我が家ではさっそく竹のお箸が活躍中。その軽さと、きちんとつまめる使いやすさに驚いているところです。

「日常の何気なく使っているものにも決して手を抜かない。それがものづくりの良さだと思うんです。

竹のお箸をつくるところが減ってきた今、Made In Japanの竹箸の品質はヤマチクが背負っている。そんな責任感を持ってこれからも取り組んでいきます」

竹のお箸 ヤマチク

新ブランドも立ち上がり、竹のお箸を食卓の定番にするというヤマチクの挑戦は続きます。

<取材協力>
株式会社ヤマチク
https://www.hashi.co.jp/
新ブランド「okaeri」に込めた思い

文:白石雄太
写真:中村ナリコ、株式会社ヤマチク提供

*こちらは、2019年9月5日の記事を再編集して公開いたしました。

【わたしの好きなもの】お食事かっぽうぎ

遊び着にも使える、赤ちゃんの割烹着


割烹着(かっぽうぎ)といえば、日本のエプロン。

かつては、炊事だけでなく水仕事全般や庭仕事など、服を汚したくないときに幅広く重宝されてきました。

さて、服を汚したくないのは大人だけでなく赤ちゃんも一緒です(と、親目線で勝手に思っています)。離乳食を食べるときは特にそうなのですが、可愛らしい赤ちゃんの衣服をできれば汚したくない。

そんな時におすすめなのが、この「お食事かっぽうぎ」です。



娘に着せてみたところ、とても可愛い。正直、割烹着が赤ちゃんにこんなにも似合うなんて思いもしませんでした。

縞模様が落ち着いた雰囲気で、優しい顔をしている赤ちゃんにピッタリなのでしょう。



可愛いデザインだけでなく、うれしい機能も兼ね備えています。

ひとつ目は、食べこぼしをキャッチできるポケット。

一見どこにも見当たらないポケット。実は前側の裾の裏側にあり、これを折り返すことで食べこぼしをキャッチできるようになります。

お食事のときは折り返して使って、不要な時は隠す。これなら遊び着として着せてあげるときに、どこかに引っ掛けてしまう恐れがありません。

見た目もすっきりでデザイン性も高く、親としてはうれしいポイントです。



ふたつ目は、先ほど書きましたが、遊び着にもちょうどいいのです。

娘は目につくものには何にでも手を伸ばして、口に運ぶようになってきました。気付けばおもちゃはよだれでベトベト。

被害はおもちゃだけにとどまらず、服の裾や袖口までベトベトになって汚れているときがあります。スタイだけでは防ぎきれない。

そこでこの割烹着を着せてあげると、袖口もしっかり隠れてくれるので、大切な服が汚れる心配がいりません。



表の生地は綿100%だったり、胸あたりの裏地には撥水生地が使用されていたり、細かい工夫も嬉しい・・・。

1枚あればいろいろと重宝するので、贈りものにもぴったりだと思います。

古くから愛されてきた割烹着。

現代に合わせた工夫が加わり、赤ちゃんにも受け継がれていく。そんな素敵な割烹着に出会えて僕はうれしいです。

お揃いの大人用の割烹着を買おうかなと妻が言うくらいに、家族みんなで気に入っています。(娘も素敵な割烹着をありがとうと思ってくれているはずです)


編集担当 森田

【デザイナーが話したくなる】親子のための器


「親子のための食器シリーズ」ができた時、真っ先に気になったことをデザイナーの岩井さんに聞きました。

「これ割れますよね?」
「はい、もちろん落としたら割れますね。」

この、あえて焼き物で子供の食器を作ろうという挑戦は、お母さんでもある岩井さんの思いがありました。

子供の食器を考えた時、私にも子供がいるので、どういうものに触れながら大きくなってほしいかなって
考えたんです。
もちろん親としては、割れなかったり、扱いやすいものが助かるというところがありました。
でも、小さい子ってなんでも触りたがるじゃないですか。そういう好奇心を大事にしたいなって。




このシリーズは、子供が手に持ったときに焼き物ならではの肌触りを感じてもらいたくて、
素焼きの部分と釉薬のかかった部分に分けて作ることにこだわりました。
素焼きの部分は「ざらざら」、釉薬の部分は「つるつる」。その違いだけでも子供って楽しそうに触るんですよね。




この手触りを大切にしながら、窯元さんに試作してもらったそうです。




今回、美濃焼の窯元さんにお願いしたのですが、美濃焼は昔ながらの分業制が根付いている地域なので、
釉掛け・焼成を行う窯元さんから成形する型屋さんへ詳細な形を伝えてもらう必要がありました。
そのために、窯元さんから型屋さんに説明いただく際に図面だけよりも伝わりやすいと思い、
まず社内の3Dプリンターで何度も調整しながら試作し、詳細な数値をつめていきました。






焼き物なので割れる前提ではありますが、それでもなるべく強い素材で、かつ焼き物の風合いを
残したいというところから、今回の素材は「せっ器(半磁器)」を使用しています。
せっ器とは、陶器と磁器の中間の性質をもち、陶器のように土の風合いを楽しめて、陶器より硬質で、磁器のように吸水性がほとんどないのです。硬質といっても、落としたりぶつけたりすると割れますし、
強化磁器のような強度はありませんが、少しでも使いやすいようにと検討を重ねました。




「親子のための食器シリーズ」は、平皿、飯碗、汁椀、マグカップの4アイテム。



このラインナップは、離乳食から自分でお片付けできる年齢まで使いやすいように考えられています。
離乳食の時は平皿に少しずつ野菜や魚を入れて、汁椀におかゆを入れたものを、親から子供へ。




平皿は重心も低く、自分で食べるようになっても置いて食べることを想定しているので、 洗いやすさを優先して、糸底以外はつるつるのみで仕上げました。




汁椀は木製なので、1歳前後の落としたりすることが心配な間は安心ですね。

2歳前後になって食べる量が増えてきたら、飯碗を追加。
だんだん食器の扱いにも慣れてくる年齢ではないでしょうか。




マグカップはコップ飲みが出来るよになったら記念に買い足してあげてもいいですね。
持ち手があるので一番割れやすいため、3,4歳の落ち着いて食事をするころがちょうどいいかもしれません。




「自分で自分で!」とお手伝い欲がでてくるのも、成長の証。
実はそれも踏まえて、岩井さんはデザインしています!

お片付けする際に、平皿は子ども用の小さなスプーンやフォークが、がちゃがちゃ動きすぎないような サイズを考えました。すくいやすいように立ち上がっている縁も、飛び出し防止になります。



汁椀が木製なのは、飯碗と重ねたときに安心して持てるようにというのも1つの理由。



汁椀も子供が持ちやすいように考えられています。
熱さに敏感な子供のために、底になるほど厚みをもたせて作られています。



小さなお椀ですが、山中漆器の木地屋さんがろくろで1点ずつ削っているものです。
本格的に漆を塗った試作品も作ってくださったのですが、今回は美濃焼の雰囲気に合う木の風合いを感じられるデザインになりました。




ところでなぜ「子供のための」ではなく「親子のための」なのか。。。
落ち着いた釉薬と汎用性のある形状にすることで、子供用と限定せずに小鉢や取り皿として大人も普段使いできるデザインに。
汁椀もあえて高台を低くして、フルーツやサラダが似合う小鉢のようなものを目指したということです。
(岩井さんも平皿は、自分の朝食の卵焼きとおにぎりを入れるのに重宝しているそうです。)



そしてマグカップは、8分目くらいで約100mlの容量になっています。
子供が飲んだ量も把握できますし、料理の際にちょっとした計量カップ代わりになるのが便利です。




小さかった我が子が成長して、学生時代は朝食プレートになったり、大人なって巣立っていく時は持っていってくれたら嬉しいなと、子供を思う気持ちがたっぷり詰まっています。

今は、もうすぐ4歳の娘さん。
時々割ってしまうことがあるけれど、そういう時は顔をくしゃくしゃにして泣きそうになるのを我慢しながら謝ってくるそうです。そして、次からは気をつけてお片付けするように。
経験を通じて学ぶことを、焼き物の器はたくさん教えてくれるのかもしれません。
おおらかに向き合うのはなかなか難しいんですが…(笑)と、岩井さんの顔は嬉しそうでした。


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