「だって、目が合っちゃったんだもん」
皆さん、お洋服やバッグなど、なにかに一目惚れした経験があると思います。その対象が“顔”のあるものとなると、正に目と目が合う瞬間があるのです。それはもう、赤い糸で繋がっているとしか言いようがない感覚を覚えます。
郷土玩具が好きな人ならきっと理解してくれるであろうこの気持ち。
一点一点職人さんの手によって丹精込めて作られた作品は表情や風合いがそれぞれに異なっており、人間の個性そのもののように感じます。
今回紹介する「育陶園シーサー」も、私と赤い糸で結ばれた相手の一人(二人?)です。
シーサーは沖縄に古くから伝わる守り神で、もとを辿ると紀元前エジプトのスフィンクスにルーツがあると言われています。シルクロードを経て中国から沖縄に伝わり、日本に残存する最古のシーサーと言われる「富盛(ともり)の石彫大獅子」が作られたのは300年以上も前の1689年。
それ以来、家の守り神として沖縄の人々に愛され続けてきました。シーサーの置き方に特に決まりはないそうですが、口を開けた右側の雄は悪霊を追い払い、口を閉じた左側の雌は幸せを呼び寄せて逃がさないとされ、二体で置くのが一般的とされています。
育陶園は那覇に300年続く壺屋焼の窯元。育陶園シーサーは、現代の名工に指定されている髙江洲育男氏の遺した型をベースに半手捻りで製作されています。
このシーサーミニミニはサイズこそかわいらしいですが、威厳がありながらもどこかコミカルで柔和な表情、立体感のある巻き毛、逞しい筋肉の質感など、大型のシーサーにも引けを取らない風格を備えています。


私がシーサーミニミニに出会ったのは昨年末、中川政七商店で働き始める前のことでした。通販サイトを眺めることを日々の癒しとしていたとき偶然目にとまり、実物を見たくてオープン間もない渋谷旗艦店に出掛けました。
すると、「仝(おどう)」と呼ばれる中央スペースに居ました、居ました、シーサーたち。
見た瞬間、これはもう「買い!」、即決でした。
手に取ってまず驚いたのがずっしりとした重量感です。守り神ですもの、あまりふわふわしていては不安になるというものですが、育陶園シーサーは手に伝わる重みから十分な安心感を与えてくれました。
さて、迷ったのが色です。一色仕立ての「辰砂」は飽きが来なくて良さそうだし、「緑釉」の緑は心が落ち着きそうだし、「青釉」の青は発色が素晴らしく綺麗だし、どうしよう、迷う、決められない・・・。
店員さんに助けを求めると、シーサーには特に色の決まりはないけれど、青は誠実さの象徴とされていることを教えて頂き、すんなり青釉に決定しました。あとは青の中から目が合う子を選ぶだけです。ほんのわずかな牙の傾き具合や眉間の距離、色の濃淡によって受ける印象が全く違うのが手作りの良さであり、面白さですね。
一つ一つ違うからこそ愛着のある「私のもの」になっていくのだと思います。大満足で帰宅すると、主人と息子が発熱で寝込んでおりました・・・シーサーの力よ、いずこに。
私はシーサーをはじめとする数々の飾り物たちに日々癒され、励まされながら生活しています。毎日見ても飽きることがありません。それはきっと眺める自分の気持ちが日々変わるからで、違う気持ちで眺めると違う返事を返してくれるのだと思います。
これからどんな相棒たちに出会えるのか、運命の相手と目が合う瞬間が楽しみです。
日本市羽田空港第2ターミナル店 玉野
5月2日は、「緑茶の日」です
夏も 近づく 八十八夜~
「茶摘み」の歌にあるように、立春から数えて88日目のきょうは八十八夜。春から夏になる節目の日です。ちょうどこの頃、茶摘みが最盛期であることから1990年に日本茶業中央会が「緑茶の日」と制定しました。
お茶の葉にとって霜は大敵。この八十八夜までは遅霜が発生することがあるので、茶葉を守るために藁(わら)をかぶせて霜を防ぎ、八十八夜になると安心して新茶の摘み取りをはじめるのだそうです。
もちろん、お茶の産地によって温暖差があるので実際の時期はそれぞれかもしれませんが、八十八夜の日に摘んだ茶葉は不老長寿の縁起ものとして、昔からとても貴重なものとされています。
縁起をかつぐという意味合いだけでなくこの時期のお茶は極上品!お茶の新芽には、ひと冬の間じっくり蓄えられた成分がたっぷり詰まっています。やわらかく甘い茶葉は、うまみがあり若々しい香りも楽しめるのだそうです。
奈良最古の製茶問屋「北田源七商店」の緑茶
新茶ももちろん味わいたいですが、お茶は普段から気軽に楽しみたいもの。奈良最古の製茶問屋「北田源七商店」は、老舗の経験を生かした美味しいお茶を提供しています。
緑茶は通常、単一の茶葉だけではなく、産地や品種、季節などによって異なる茶葉の特長を見極めてブレンドするという「合組(ごうぐみ)」という技術によってつくられます。
核となる「芯」、風味を加える「添」、香りをひきたたせる「香」、色を決める「水色」において、バランスよく「合組」することで、より奥ゆきのあるお茶に仕上がるのだそうです。
「北田源七商店」が「合組」によってブレンドした毎年いちばんのお茶。味と香りはもちろんのこと、色の美しさも一見の価値あり
ていねいにつくられた本格的なお茶を手軽に楽しめるティーパック包装のお茶
合組茶2種に「北田源七商店」オリジナルの茶小紋柄の布がついたギフトセットも
白い花が愛らしい茶小紋柄の布は、湯のみや茶器を拭ったりするのに便利
忙しい毎日の中で、お茶を淹れてひと息つく時間ってわりと大切です。茶のみ仲間、なんて言葉もありますが気の置けない誰かと一緒に、ほんの少し気持ちをゆるめることでなんだかほっとしますよね。「緑茶の日」のきょうは、そんな時間を楽しめるといいなと思います。
<掲載商品>
大和冠茶/大和露地/源作焙(北田源七商店)
※ 現在は取り扱いを終了しています
<関連商品>
中川政七商店 ECサイトお茶
<取材協力>
北田源七商店
奈良県天理市蔵之庄町415-1
0743-65-1064
http://kitada-genshichi.jp
文:杉浦葉子
*こちらは、2017年5月2日の記事を再編集して公開いたしました