【あの人が買ったメイドインニッポン】#56 作家の安達茉莉子さんが“最近買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、作家の安達茉莉子さん。今回は「最近買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

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安達茉莉子さんが最近買ったメイドインニッポン

安達茉莉子さんが“最近買った”メイドインニッポンは、「正宗工芸の牛刀」でした。


ゲストプロフィール

安達茉莉子

作家・文筆家。大分県日田市出身。大学卒業後、防衛省勤務、兵庫県篠山市(現・丹波篠山市)の限界集落での生活、イギリス大学院留学などさまざまな活動を経験。現在は「MARIOBOOKS」の屋号のもと、言葉とイラストを中心とした創作活動を行なう。著書に『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)『世界に放りこまれた』(ignition gallery)などがある。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、文筆家の安達茉莉子さんにお話を聞いていきます。10/18(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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料理研究家のツレヅレハナコさんによる「信楽焼の平土鍋」を使ったレシピ

10/9発売の「信楽焼の平土鍋」。鍋ものだけでなく、茹でる、煮る、蒸す、炒める…など幅広い料理に使える土鍋です。自分でも使ってみたところ、想像以上に使い心地がよく、使うほどにこの土鍋のポテンシャルに期待がふくらみました。この土鍋、料理のプロが使ったらどう使うんだろう?そんな好奇心から、料理研究家のツレヅレハナコさんのご自宅を訪ね、信楽焼の平土鍋におすすめのレシピを3つ教えていただきました。

信楽焼の平土鍋におすすめのレシピ
・獅子頭鍋
・鶏肉と里芋のみそクリームグラタン
・香港風にら牛肉土鍋ごはん

獅子頭(しずとう)鍋

「信楽焼の平土鍋は、煮るだけじゃなくて焼いたり炒めたりできるので、その機能性を活かしたレシピを作りました。肉団子を焼きつけた鍋でそのまま煮込むことで、肉のうまみがスープに入ります。

ふつうの土鍋よりも少し浅くて口径が広いので、具が沈まずに見えて、手を伸ばしやすいのがいいですね。容量はしっかり入るので、ホームパーティなど大人数で鍋を囲む時に重宝します」

材料(2~3人分)
豚ひき肉 200g
A長ねぎのみじん切り 10㎝分
Aれんこんのみじん切り 100g分
Aしょうがのすりおろし、にんにくのすりおろし 各1かけ分
A酒、しょうゆ、ごま油 各小さじ1
A片栗粉 大さじ1
A塩 小さじ½
干ししいたけ 20g
水 3カップ
白菜 1/4個(約600g)
緑豆春雨 40g
Bしょうゆ、酒、オイスターソース 各大さじ1
B砂糖 小さじ2
サラダ油 小さじ1(菜種油やこめ油、オリーブオイルなどでも)
ラー油 適宜

1.ボールにひき肉、Aを入れて練り混ぜ、8等分して小判型にする。
2.干ししいたけは水に入れて2時間~一晩、冷蔵庫でもどして(戻し汁はとっておく)薄切りにする。
3.白菜は葉の部分はざく切り、芯の部分はそぎ切りにする。
4.春雨はぬるま湯でもどして水けをきる。
5.土鍋にサラダ油をしいて中火にかけ、肉を入れると「ジュッ」と音がするほど十分に温まったら肉団子を並べ入れる。両面にしっかりと焼き色をつけ、バットに取り出す。
6.土鍋を洗わず白菜の芯の部分を敷き詰め、肉団子、しいたけをのせる。
7.干し椎茸の戻し汁に水を加えて3カップにし、Bを加えて土鍋に入れる。白菜の葉の部分をのせてふたをし、5分ほど煮る。
8.春雨を加え3分ほど煮て器に取り、好みでラー油をかける。

鶏肉と里芋のみそクリームグラタン

「意外に思われることも多いのですが、土鍋はオーブンでも使えるんです。具材を煮込んでチーズをかけたらそのまま焼けるので、洗い物が少なく済みます。立ち上がりがゆるやかでお皿のような見た目なので、グラタンをそのまま出しても違和感がありません。
土鍋は保温性が高いので、しばらく温かいまま食べられるのもいいところ。これからの季節におすすめの使い方です」

材料(4~5人分)
鶏もも肉 350g
里芋 6個(約350g・下処理済みの冷凍または真空パックでも可)
玉ねぎ 1個
むき甘栗(市販) 100g
マカロニ 150g
オリーブオイル小さじ½
バター 40g
小麦粉 大さじ4
牛乳 2カップ
みそ 大さじ2~3
溶けるチーズ 150g

1.鶏肉は皮と余分な脂を取り、一口大に切る。里芋は皮に一周切れ目を入れて竹串がすっと通るまで蒸し、熱いうちに皮をむいて8㎜厚さに切る。
2.玉ねぎは薄切り、マカロニは袋の表記通りゆでてざるにあげ、オリーブオイルをまぶす。
3.土鍋を中火にかけてバターを入れて溶かし、玉ねぎを加えてしんなりするまで3~4分炒める。
4.小麦粉を入れて1分ほど炒めたら鶏肉を加え、全体に混ざったら牛乳を少しずつ加える。
5.みそ、里芋、甘栗を入れて5分ほど混ぜながら煮る。
6.マカロニを加え、再沸騰したら耐熱容器に入れてチーズをのせる。
7.230℃のオーブンに入れ、20分ほど焦げ目がつくまで焼く。

中サイズの直径が約30cm、大サイズは約33cmになります。個体差があるため、それぞれ記載の数字より大きいものもございます。オーブンのサイズによっては、入らないこともございますのでご注意ください。

香港風にら牛肉土鍋ごはん

「香港に行った時に食べた、冬の名物料理『ボウジャイファン』を参考にレシピを作りました。土鍋でごはんを炊いて、その上に味付けした生肉などの具材を乗せて蓋をして蒸らしたら完成です。蒸らして作るので保温性が高い土鍋が向いています。気密性が高くないので、ごはんを炊くときにはふきんを巻くなどのコツがいりますが、調理したまま食卓に持ってこられる土鍋ごはんはやっぱり場が盛り上がります」

材料(4人分)
牛切り落とし肉 200g
にら 1束
Aしょうがのすりおろし、にんにくのすりおろし 各1かけ分
A卵白 2個分
Aしょうゆ、オイスターソース、紹興酒 各大さじ1
Aごま油、片栗粉 各大さじ1/2
A砂糖、豆板醤 各小さじ1
Bしょうゆ、オイスターソース 各大さじ1
B砂糖 小さじ1
米 3合
水 540ml
卵黄 2個分
粉山椒 適宜

1.米は洗い、2時間ほど浸水させてざるにあげる。牛肉は3㎝幅に切り、ボールに入れてAをもみこむ。
2.にらは3㎝幅に切り、牛肉に加える。器にBを合わせる。
3.土鍋のふたに布巾を巻き、上部で端同士を結ぶ。土鍋本体に米、水を入れ、ふたをして中火にかけ、沸騰したら弱火にして5分ほど炊く。
4.ごはんの上に牛肉とにらをのせ、真ん中をくぼませてふたをして更に5分ほど炊く。火を消して10分ほど蒸らす。
5.くぼみに卵黄をのせてBをごはんにかけて全体を混ぜる。好みで粉山椒を振る。

「よければ、ぜひタイ米で作ってみていただきたいです。独特のアジアな雰囲気になってより一層おいしいというか、また全然違った味になります。
お焦げを作りたい人は、蒸らす前の炊く時間を少し長くするとパリパリのお焦げができます」

密閉性が高くないので、ごはんを炊くのにはコツがいります。蓋にふきんを巻いて密閉性を高めて炊くのをおすすめします。

信楽焼の平土鍋を使った感想

もともと鍋が好きで、旅先でもついつい鍋を買ってしまうというツレヅレハナコさん。理想の台所を作るために建てたご自宅には、鍋専用の棚まであるのだとか。そんなツレヅレハナコさんに、信楽焼の平土鍋を使った感想を聞いてみました。

鍋専用の棚

「まず深さがちょうどいいですよね。深すぎず浅すぎず。一般的なものよりも浅めだと思うんですけど、直径が大きいので容量もしっかり入ってくれます。浅めで口が広いので具材が沈まず見やすくて、料理の時にも食事の時にも使いやすいなと思いました。

へりがあるからか、噴きこぼれづらいのもいいですね。鍋をやる時にある程度の量をいれても余裕があるので使いやすいです」

「取っ手がない点についてはどうなのかなと思っていたけど、へりの厚みがあるからしっかり掴めるし、意外と不便は感じなかったですね。見た目もスタイリッシュです。
黄瀬戸は、絶妙に黄みがかった色もいいですよね。土鍋でこの色は中々ないと思いますが、高級感があっていいと思いました」

「直径が大きいので、大人数で囲んでも見やすいし、手を伸ばしやすいですよね。今回のレシピは小さい方(中サイズ)で作りましたが、これが日本のスタンダードなサイズじゃないかなと思います。
うちでは人を招いて6~8人くらいで食卓を囲むことが多いので、大サイズも活躍しそうです。大容量でありながらデザインもよく、使い勝手もよいというのは、重宝するなと思いました」

ツレヅレハナコさん

食と酒と旅を愛する文筆家、料理研究家。著書に『まいにち酒ごはん日記』、『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』、『ツレヅレハナコのからだ整え丼』など。食や日常を綴るSNSも人気。

<関連特集>

<掲載商品>
信楽焼の平土鍋 中
信楽焼の平土鍋 大

<関連記事>
お鍋を囲む場を引き立てる、「うつわのような」土鍋【デザイナーに聞きました】
「うつわのような」信楽焼の平土鍋【スタッフが使ってみました】

文:上田恵理子
写真:奥山晴日

【あの人が買ったメイドインニッポン】#55 ラジオナビゲーターの板井麻衣子さんが“一生手放したくないもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、ラジオナビゲーターの板井麻衣子さん。今回は「一生手放したくないメイドインニッポン」についてのお話です。

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板井麻衣子さんが一生手放したくないメイドインニッポン

板井麻衣子さんが“一生手放したくない”メイドインニッポンは、「PINEの足踏みミシン」でした。


ゲストプロフィール

板井麻衣子

1984年生まれ。大分県臼杵市出身。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。
2010年度「ミス・ユニバース・ジャパン」にてグランプリを受賞。日本代表として同年8月、ラスベガスにて開催された世界大会に出場。
その後、ラジオのナビゲーターとして活躍の場を広げ、現在ではJFN「Salvage Music」 、J-WAVE「DIALOGUE RADIO 〜in the Dark〜」の番組を担当。
2018年には大分県臼杵市より「うすき応援大使」に任命され、モデル、MC、レポーター等多岐にわたって活躍中。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回は文筆家の安達茉莉子さんにお話を聞いていきます。10/11(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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【わたしの好きなもの】日常にシックなアクセントを加えてくれる「明山窯 HIJICA」

街中を歩いていてうつわの看板を見つけたとき。
インテリアショップの片隅にひっそり置いてあるのを見つけたとき。
ちょっとみるだけっ!と思わず惹かれて入店してしまうほど、うつわが好きです。
中川政七商店で働きはじめて2年。好きな種類の幅もぐっと広がりました。

磁器、陶器、漆器、硝子….。素材も形も色も違ううつわをその日の気分で選び、組み合わせることが、日々の料理のモチベーションにもなっています。
見た目で選びがちなうつわですが、さんちの背景や窯元を知ることでさらに愛着が湧いてきます。

「土もの」の奥深さに惹かれたのも、中川政七商店の「産地のうつわ」シリーズに出会ってから。
特に、信楽焼の素朴な佇まいと、ほどよくラフさのある形が好きです。

そんな魅力溢れる信楽焼シリーズを手がけてくださっているのが、滋賀県甲賀市信楽町にある明山窯。土のぬくもり、土味を生かしたおおらかさが特徴の窯元さんです。

暮らしに馴染む「土もの」の心地好さ

今日は、そんな明山窯のHomewareブランド「HIJICA」をご紹介したいと思います。食器だけでなくフラワーベースや傘立てなどのインテリア商品もあり、どれもが暮らしにすっと馴染むシリーズです。

“HIJICA”とは「土と火」「土と日(日常)」を表す造語。
陶器や土ができることは何か、その可能性を日常・暮らしに取り入れてみようという明山窯の新たなブランドプロジェクトです。

私は、その中でtablewareの2種を愛用しています!
HIJICAサラダプレート19cm ダークグレー
HIJICAシリアルボウル14cm ダークグレー

HIJICAの食器は、板状の土を用いる”たたら”という技法で成形されており、半球上の型に土を押しあてることで生まれる自然な形が特徴。手に持つと不思議としっくりくる。飽きのこないシンプルさが素敵です。

最初に触れて驚いたのは、そのシックな表情とゆらぎによるあたたかさの共存。素敵〜!!!と思わず写真をパシャパシャ撮ってしまいました。笑
佇まいの素朴な美しさ、そんな土ものの魅力を最大限に引き出したうつわです。

洗練されたシンプルで使いやすいサイズ感

実際に使ってみると、その使い勝手のよさに感動しました。まず伝えたいのが、何にでも合わせやすい絶妙な大きさ。シリアルボウルはその名の通り、シリアルやヨーグルトなど朝食にぴったりなサイズ感です。

またフルーツを盛るお皿としても。これからの秋の実りの季節に、どんなフルーツにもすっと馴染んでくれます。

ちょっとした副菜も手軽に素敵に見せてくれます。

サラダプレートは一品もののおかずをちょっと盛るのにちょうどいい大きさ。ほどよい立ち上がりのおかげで、汁気のあるおかずでも大活躍です。

実は使いやすい、ダークカラー食器の入口としてもおすすめ

うつわの色選びって意外と難しいですよね。
「白い器が使いやすいよね、合わせやすいし」。こうなる気持ち、とてもよく分かります!
実際に、店頭で接客させていただく時も、ホワイト系の器にされる方が多い印象です。

たまには違う色も…と迷っていらっしゃる方におすすめしたいのがHIJICAシリーズ。
特にダークグレーは、黒すぎないほどよくシックな色なので、「お店みたいな黒っぽいうつわがほしいな、でも使いこなすの難しいかな…」という方にもぜひおすすめしたいうつわです。

一見マットな質感のようですが、表面にはきらきらとした波のような表情も。この凹凸は焼くときにかける釉薬が、細かいまだら模様となる”縮れ”によるもの。工芸ならではの素朴さはもちろんのこと、光が反射してくれるので料理を美しく照らす効果があります。

日常だけでなく、ちょっとだけ気合いのいるレシピで頑張ってみた日、誰かにご飯を作ってみた日、そんなちょっぴり背伸びしたい食卓でも使いたいなあと思います。

暮らしに馴染む、心地好さ

もう一色のブルーホワイトや違うサイズも迎え入れて、合わせて使ってみたいです。
色違いやサイズ違いで揃えて使って大満足。うつわ集めの醍醐味ですね。笑

HIJICAシリーズはオンラインショップ限定販売の商品ですが、使ってみたいと思ってくださった方とは、ぜひ店頭でもお話できると嬉しいです。
「そういえば、あの商品使ってみたよ!」のお声、お待ちしております。
お客様と、訪れたことのある窯元のお話や、好きなうつわのお話ができることが、お店に立つ私の密かな楽しみでもあります。ぜひお声がけいただければ幸いです。

<掲載商品>
HIJICAサラダプレート19cm ダークグレー
HIJICAシリアルボウル14cm ダークグレー

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編集担当・奥島

【イベントレポート】和歌山の箒職人「Broom Craft」のさんち語り&手箒づくりワークショップ開催 in「ものづくりから覗き見るディープな世界展」

先日、「さんち商店街」初のポップアップイベント「ものづくりから覗き見るディープな世界展」が開催されました。この企画は日本各地のものづくりや職人の技、ものづくりから見える各地の歴史や風土、文化に魅せられた学生たちが経営するセレクトショップ「アナザー・ジャパン」とのコラボレーションによって実現したものです。

会期中は、さんち商店街が取り扱う商品のなかから、学生セトラー(※)がセレクトした商品の販売をはじめ、つくり手を招いたワークショップや、特別ゲストとの「異業種コラボな夜咄会」と題したお茶会など、さまざまなイベントが行われました。

※店舗を経営する学生たちのこと

職人の奥深き世界に触れる

プレオープニングイベントとして開催されたのは「和歌山の箒職人『Broom Craft』のさんち語り&手箒づくりワークショップ」です。「Broom Craft」は、棕櫚(しゅろ)製品の一大生産地である和歌山県海南市において約70年の歴史をもつ深海産業が立ち上げた新ブランド。産地ならではの伝統を受け継ぎつつ、掃きやすさを追求した棕櫚箒やキッチンブラシなど、現代に寄り添う製品を数多く手がけています。

3人の息の合った掛け合いで笑い溢れるトークショーに

前半は、産地である和歌山県海南市の個性や魅力、産業の成り立ち、そして原材料である棕櫚についてなど、スライドを使った〝さんち語り〟からスタート。話し手は「Broom Craft」の専務取締役であり〝ほうき〟プロデューサーの深海耕司さんと職人の津村昂さん、同じく職人の深海由衣さん。3人による楽しいトークショーが繰り広げられました。

「みなさんは棕櫚ってどんな素材か、知っていますか?」と深海耕司さん。

すでに箒やブラシになった状態は知っているものの、その原材料の棕櫚となると……参加者の頭にはパッと思い浮かばない様子です。

「棕櫚とはヤシ科の植物。その昔、和歌山県には山間部一帯に棕櫚が自生する〝棕櫚山〟があって、その収穫を生業とする山師は、当時の公務員の月給がたった1日で稼げるほどだったといわれています」

和歌山には、今でも棕櫚が多く自生する山がある(写真:阿部高之)

「実際、箒やブラシなどに使用するのは棕櫚の皮の部分。木の幹を守るように巻き付いている皮を1枚1枚丁寧にはいで使うんです」と話す深海さんの言葉に、「皮をはぐ様子は筍の皮に似ていますよね」と津村さんは加えます。

「Broom Craft」専務取締役の深海耕司さん(右)と、棕櫚を手にもつ職人の津村昂さん

ちなみに「Broom Craft」の母体である深海産業は、全国各地で使用される緑化資材(街路樹などの植栽の幹に巻きつける棕櫚テープや、植物の成長を支える棕櫚縄など)の90%以上のシェアを誇っているとか。まさに棕櫚のスペシャリストです。

これが棕櫚。皮を輪転機にかけて繊維状にしていくとか

「ひとくちに棕櫚といっても品質はさまざまですが、良質な棕櫚はハリとコシがあって、かつ、しなやか。水に強く、汚れたら洗って使えるのも特徴です。だからこそ箒やたわし、ブラシなどに向いているんです」(津村さん)

自分だけのオリジナル手箒をつくる

さて、トークショーの後はワークショップに突入。今回は卓上用箒として開発された手箒の仕上げ作業を体験していただくことに。テーブルや棚、窓のサッシなどに溜まったゴミや埃をサッと掃き出してくれるコンパクトな手箒です。

「Broom Craft」の手箒は埃を舞い上げることなくサッと掃き出せるのが魅力

赤やピンク、オレンジ、紺、茶色など、色や質感の違う15種ほどのレザーのなかから、自分の好きなものを選び、「Broom Craft」さんが用意してくれた手箒本体の持ち手に巻いて、銅線で留める作業を行いました。

「えー、たくさんあって迷う……どのレザーにしようかな」
「きれいに巻きつけられるかしら」
「銅線で巻きつけるってどうやるの?」

そんな声が挙がりながらも、作業開始です。

1人1人丁寧に指導する深海さん。笑いも絶えません
縁の下の力持ち!優しく教えてくれた深海由衣さん

ただ巻きつけるだけなのに、これがなかなか難しい。銅線をきつく巻きつけなければレザーが浮いてしまい、かといって力を入れすぎればレザーがよれたり、導線が切れてしまったり……。自分で実際に手を動かしてみると、こうした作業の一つ一つに職人の知恵や技が詰まっているのだと、改めて実感します。

少し戸惑い気味で始まったワークショップですが、作業を進める間にみなさん、なんだか楽しそうな雰囲気に……。

「これはなんだろう……?」「どうやって使うの?」との声が

作業に使う工具にも興味津々の様子です。たとえば上記写真の参加者が手にしているのは、簡単にいえば、巻きつけた銅線をねじり上げてきれいに締めるための道具ですが、「これは棕櫚箒用の道具なんですか?」との質問に、深海さんから出たのは意外な回答でした。「いいえ、元々は電気工事用の工具なんです。いろいろ試してみたところ、これがもっとも銅線を巻くのに適していたので採用することに。職人それぞれが、自分の扱いやすいように改良しながら使っています」。

掃き心地の良さにびっくり!

参加者がつくった手箒。素敵な仕上がりに!

普段、聞くことのできないさまざまな話をうかがいながら、作業は着々と進み……遂に完成!参加者それぞれに個性の違う、世界に一つだけの手箒が完成しました。

自分でつくった手箒でなんとなく机の上を掃いてみると……正直、驚きました。というのも、棕櫚の繊維そのものは意外としっかりとして硬めなのに、ササッと掃いてみると柔らかくしなり、びっくりするほど掃き心地が良かったのです。テーブルの溝に入り込んだゴミまでしっかりと掃き出してくれました。ほかの参加者からも、

「棕櫚って意外と軽いんですね」
「家で使うのが楽しみです!」
「手箒のとんがった形状が、細かな場所にもフィットして使いやすそう」

さんち商店街 × アナザー・ジャパンコラボ展「ものづくりから覗き見るディープな世界」の楽しいプレオープニングイベントは、こうして無事にお開きとなりました。

・「Broom Craft」のページはこちら:https://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/r/rbrand05/

文:葛山あかね

【四季折々の麻】10月:ふっくらとあたたかく、上品な艶感「綿麻のコール天」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

ふっくらとあたたかく、上品な艶感「綿麻のコール天」

10月は「清秋」。残暑もようやく終わり、清く澄みわたる空に爽やかな秋を感じる月となりました。木々が色を染める景色や、遠くから聞こえる虫の声。そんな時期に着ていただけたらと、豊かな空気を吸い込んで出かけたくなるような服を、綿麻のコール天で作りました。

素材に採用したのは、綿麻の糸を使って織ったコール天生地。コール天とはいわゆるコーデュロイのことで、日本の遠州地方で作られるコーデュロイを昔からこう呼びます。手間ひまをかけて職人が手がけた、畝(うね)のふっくらとした丸みと艶が特徴です。

毎年人気で、中川政七商店でも秋の定番となっているこの生地を用いて、今シーズンは「ベスト」と「ジャケット」、「イージーパンツ」「フレアスカート」をラインアップ。いずれも着まわしやすく、寒い季節まで長く着られるアイテムを揃えました。

【10月】麻の高密度織シリーズ:

綿麻のコール天 ベスト
綿麻のコール天 ジャケット
麻の高密度織 イージーパンツ
麻の高密度織 フレアスカート

今月の「麻」生地

秋から冬まで長い時期で着られる、綿麻素材の肉厚なコール天生地。

夏のイメージが強い麻ですが、実は秋冬にもたくさん着たいおすすめの素材です。吸湿発散性があるので重ね着する場合もムレにくく、何より上品な艶感で秋冬らしい落ち着きを纏っていただけます。今回は綿が主流のコール天生地に麻を取り合わせることで、綿の肌あたりの良さと、麻ならではの軽やかで上質な質感をそなえた生地に仕上げました。

国産コーデュロイ、特に遠州のコール天は、一つひとつの工程が丁寧で手が込んでいるのが特徴です。ベースとなるのは、タオルのように糸をループ状にして織り上げたパイル織生地。そこから糸をカッティングして凸凹した畝を作り、全体の糊を洗い落とす「糊抜き」後に、「毛焼き」の作業を施していらない毛羽を落とします。こうすることで、ふっくらとやわらかで、なめらかな生地に仕上がるのです。

完成した生地は艶があるためカジュアルすぎず、上品な“大人のコール天”といった印象に。

現場では腕の良い職人さんの高齢化も進んでいて、「あと何年できるか」という話もよく出ます。ですが一方で、国産のコール天に魅力を感じた若い職人さんが後を担おうとする動きも出てきているそう。いずれにせよ、貴重な生地であることに変わりはありません。

お手入れのポイント

お洗濯はできるだけ手洗いで。脱水で洗濯機を使う際や、洗濯機の手洗いモードを使って洗濯する際は、お洋服を裏返してネットに入れてください。

また着用時や着用後に洋服ブラシを軽くかけてもらうと、毛並みが整い艶も美しくなり長持ちします。毛並みは下から上の流れになっているので、ブラシも下から上にかけてくださいね。

ひと手間かかってはしまいますが、手間をかけることで良い状態で長く着られるはず。お洋服を手入れする時間も楽しんでいただければ嬉しく思います。

きちんと感もカジュアル感も出せる、上下でバランスのとれた4アイテム

セットアップにブーツや革靴を合わせてきちんと着たり、単品アイテムにスニーカー合わせでカジュアルに着たりと、いろいろな雰囲気を作れる4アイテムをラインアップ。

色展開は、生成・カーキ・墨紺の3色で、長く着たい定番の色合いを選びました。特に生成は素材そのものの色合いのため、麻の繊維も混じり杢(もく)感があり、奥行きのある雰囲気でおすすめです。

フィット感のあるベストは、きちんとした雰囲気が出せるアイテム。ずらりと並ぶボタンも端正で、やさしくもきりりとした印象をつくる一着です。

まだコートを着るまでもない秋の日に軽く羽織りたい、ノーカラーのジャケットは、カットソーやタートルネックとも相性の良いVネックラインに仕立てました。すっきりと大人っぽくも着られますし、パーカーを中に着ればカジュアルにも。シリーズのベストと合わせて、ジャケットからチラッと見せるコーディネートも魅力的です。

イージーパンツはとにかく暖かく、秋冬にたくさん履きたい楽ちんシルエットに。シンプルなトップスと合わせてパンツの存在感を引き立てたり、ざっくりしたニットに合わせてほっこりしたコーディネートにしたりと、合わせるアイテムで印象ががらりと変わります。おしりのポケットの毛並みを横に配しているのがポイントです。

後ろの裾を少し長くとったフレアスカートは、ぐるりとどこから見てもフレアの立体感がきれいになるよう調整しました。シリーズのベストとセットアップで着ると、上下でバランスのとれたコーディネートが楽しめます。タイツやブーツを合わせ、秋冬のお出かけ服としていろんな場所へ出かけていただけたらと思います。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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