親子の想いをつなぐ「草木染めの衣裳着雛飾り」ができるまで……アトリエシムラ 志村昌司×中川政七商店 羽田えりな 対談

怪我や病気から守られますように。

幸せな人生を送れますように。

雛人形は、子どものすこやかな成長を願って飾られます。

できればそれは、親から子への想いを紡ぐ媒介として、時代を超えて愛される、いつまでも飾りたくなるものであってほしい。

そんなことを考えて、アトリエシムラとコラボレーションした「草木染めの衣裳着雛飾り」は生まれました。

染織家・志村ふくみさんのお孫さんである志村昌司さんが代表を務める染織ブランド アトリエシムラ。その工房には、植物の色彩世界に魅了され、ふくみさんの芸術精神を継承したつくり手たちが集います。

日々自然と向き合い、植物の生命をいただいて糸を染め、一点ものの商品を作り出していく。

このアトリエシムラのものづくりに、雛人形の担当デザイナー羽田が深く共感し、コラボレーションを熱望。そこから、衣裳着雛飾りのプロジェクトはスタートしました。

今回の記事では、アトリエシムラ 志村昌司さんと羽田の対談の様子をお届けします。

雛飾りに込められた想いやアトリエシムラが大切にしている考え方、しつらい文化を残す意義、豊かな暮らしについて。多岐に渡るテーマで盛り上がった対談の様子をぜひお楽しみください。

※「草木染めの衣裳着雛飾り」先行ご予約会はこちら

植物の生命(いのち)の色をいただく草木染めの雛飾り

中川政七商店 羽田(以下、羽田):

今回のお雛様を作るにあたって世の中の衣裳着雛をリサーチしてみたところ、豪華絢爛というか、きらびやかな着物で和風のイメージが強いものが主流になっていました。

もちろんそれはそれで素敵なんですが、マンション住まいで和室がないご家庭がとても増えている中で、洋室に飾った時にそこだけ異空間のように見えてしまわないかが気になっていて。

どうしようかと考えて、やはり衣裳のきらびやかさを少し抑えたいなと思い、色々調べる内に草木染めに行きついて、そしてアトリエシムラさんのことを知りました。

ふくみさんの本を拝読し、「植物の生命をいただいて染めている」というお話にとても共感して。そして昌司さん含めアトリエシムラの皆さんに、その芸術精神が脈々と受け継がれていることに感銘を受けて。

親子代々、想いをつないでいく雛飾りというコンセプトにもぴったりだと感じて、お声がけさせていただいたんです。

中川政七商店 プロダクトデザイナー/デザイナー 羽田えりな

アトリエシムラ 志村昌司さん(以下、志村):

植物の生命の色、恵みをいただいているということは、現代の人たちに響くかもしれませんね。

僕たちもやっぱり「生命と工芸」というのがひとつの大きなテーマであると思っています。たとえば糸はお蚕さんの絹糸を使っていますが、養蚕農家の方が必ず供養するんですよね。亡くなったお蚕さんを。

自然から一方的に糸を取るのではなくて、それに対して供養をする。自然に敬意を表して、生命を大事に考えるということが、昔からおこなわれていたんです。


植物も同じで「生命の色をいただく」という感覚がいつもどこかにあるようなものづくりであること。それがすごく大事なんだと思います。

アトリエシムラ 志村昌司さん

羽田:

私たちも、植物の生命をいただいて、草木で染めているということを一番に伝えたくて、今回の商品名を「草木染めの衣裳着雛飾り」に決めました。

志村:

本物の草木染めの生地で作った衣裳のお雛様というのは、まず世の中に無かったでしょうからね。本当に珍しい、特別なものになっていると思います。

よく見ていただくと一本一本の糸で色が違っていたりして、そんなところも楽しんでもらえるとありがたいです。

織色(おりいろ)といって、糸と糸の交差で色が決まっているので、より複雑な、奥行きのある色味になっています。本物の装束や十二単と同じですよね。

無地は究極の生地

志村:

襟元の生地は何枚くらい重ねているんでしたっけ?

羽田:

女雛の方は七枚重ねています。

志村:

本当に十二単に近いですね。

無地の重ねというところが良くて。平安時代の装束がそこで自然を再現していたのと同じで、桃の節句にぴったりの春らしい表現になっている。

襟元で季節が表されていて、日本の美意識が出ているなと思います。

羽田:

生地の色についてやり取りしていた時に「イメージを教えてください」と言われたことがとても印象に残っているんです。

普通は、色の指示って出来るだけ明確に、たとえば見本帳などから「これでお願いします」と選びます。今回はそうではなくて、イメージを尋ねられて。

最初は「どういうことだろう?」と思いながら「これは春の光の暖かさとか、桜が段々と色づいていく様子。こちらは春の夕暮れ時の霞がかった感じでしょうか」と、どうにか言語化してお伝えしてみたところ「なるほど、よく分かりました」と仰られたことがすごく新鮮でした。

それでよく分かるということは、皆さん、普段から自然をよく観察されているのだなというか。具体的な色の指定ではなく、イメージとして全体を捉えてそこを目指していくのが、すごくアトリエシムラさんらしいなと思いました。

志村:

そもそも、植物の種類、採取場所、染める時期、水、染め手、織り手、あらゆるものが変化するので、基本的に同じ色は二度と出来ません。だから明確な指示も出来ないんですが、逆にそれが良さでもある。

当然、科学的なものとくらべるとゆらぎは入りやすくて均質にはならない。だけど、自然ってそもそも、どんなものでも均質じゃないですよね。より自然に近いというのはゆらぎが入った状態で、その入り方が、一人ひとりの織り手や染め手によって違うということなのかなと。

最終的に、植物の色というのは人間の差配を超えたところで決まってくるので、コントロールできない部分が出てきます。だからこそ「いただいている」ということに繋がってくるんでしょうね。

羽田:

均一化されたものが多い中で、逆にそういったゆらぎに価値を感じて下さる方もいらっしゃると思っています。

最初、着物の色柄をどうしようかと考えた時に、無地がいいなって直観的に思ったんですが、それも、糸の風合いによって自然にできる色むらがすごく素敵だなと感じたからなんです。

志村:

素材感みたいなものが紬糸にはありますよね。経糸に使っている生糸だけだと、非常にプレーンな生地になりますが、紬糸を入れることによって凹凸が出てきて、この風合いがすごくいい。

ただ、無地って実は制作が一番難しくて、ごまかしが効かないんです。色むらが魅力といっても、縞模様までいってしまうと無地ではなくなってしまうし、ゆらぎが入り過ぎるとそれは、単にうまく織れていないということになります。

民藝運動の主導者である柳宗悦によれば、無地には無限という意味があり、無限の柄が含まれているのだそうです。ある意味では究極の生地。祖母のエッセイにも、無地の着物っていうのは究極の着物だっていう話が出てきます。

なにも柄が無い、それはすべての柄が含まれているということだし、”色なき色”というのも、そこにすべての色が含まれているということ。

織り手の技量が顕著に出るので、無地を織る時はみんな緊張しています。

目鼻の描き方や形にもこだわった、愛らしいお顔

志村:

我々の仕事ではない部分ですが、お仕立ても大変だったんじゃないかなと思います。これは袖のところだけではなくて、実際にすべて着せているんですか?

羽田:

男雛はすべて着せています。女雛は打掛と唐衣(上から2枚)は衣裳の形になったものを着せています。こんなに小さなお人形に、これだけ別々の生地を重ねて着せるというのは大変なことだそうで、伝統的な衣裳の着せ方に基づきつつ、中に入れる綿の量を調整して分厚くなり過ぎないように仕上げたり、色々と工夫していただきました。

着付けをした後、体のバランスを整える振り付けという仕事もあるんですが、それもすごく難しい作業だと伺っています。

志村:

凄い技術ですよね。着物の大きさも少しずつ変えないといけないでしょうし。実際の着物も、お仕立てできる人が本当に少なくなっていて。人形もきっとそうだと思いますが、特殊技能なんだなと。

羽田:

今回、人形のお顔は次郎左衛門雛というものをベースに仕上げています。丸っこい輪郭に、細い筆で描いた引目鉤鼻がすごく愛らしいお顔になりました。絵巻物に描かれているような柔らかいイメージのお顔です。

世にある衣裳着雛のお顔は、ガラスの入れ目で輪郭もシュッとしていてリアルな御顔立ちのものが大半で、綺麗だけどちょっと怖いかも、という感覚もあって。

そんな時に、次郎左衛門雛というタイプもあることを津田人形さんに教えていただいて「これがいいです!可愛い!」となって、お願いしました。

志村:

さまざまな技術が用いられていて、手仕事の結晶ですね。妥協が無いし、羽田さんの想いがあってこそ実現したんだなと感じます。

羽田:

皆さんにご無理ばかり言ってしまって……

でも、すごく良いものができたと思っています。

お着物を見慣れていないお子さんも多いと思うので、最初はよく分からないかもしれないですが、毎年見ているうちに「あれ、うちのお雛様って、ちょっと他と違う」ということに気付いてもらえるんじゃないかなと。価値が伝わって欲しいです。

しつらい文化を次世代に繋げるために

志村:

次の世代に手仕事や自然の価値をどう伝えるのかって、すごく大事な問題で。

たとえば、スマートフォンやインターネットみたいなものはすごく便利だし、当然僕も使っています。一方でそれらが無かった時代も知っているので、なんというかアナログな方へ戻る“よすが”が多少はある気がするんですよね。

でもこれからの子ども達は、生まれたときからデジタルなものが身の回りにあるのが当たり前で、その状態しか知らないので、戻りようがない。

そんな時代に、自然や手仕事のものに接する機会を設けることにはとても意味があると思います。

僕たちも子ども向けに染めや織りのワークショップをやったりするんですが、参加してくれた子たちはすごく感動してくれて、記憶に残ったと言ってくれる。やっぱり、子どもの頃に感動したことって覚えているんだなと思うんです。

今回の商品も、子ども心に何か感じてもらえて、記憶に残るものになっているんじゃないかなと思いますね。まずは生活の中に、手仕事のものとか、草木のものを取り入れていただいて、心のふるさとというのかな。それを子どもに伝えていきたいですね。

羽田:

毎年飾るっていうトリガーがあることが大きいのかなって。

「人は急にしつらえない」という持論があるんですが、大人になってから、いざ急にしつらうって結構難しいと感じています。自分の友人たちの話を聞いたりしても「しつらいってなに?」みたいなところから分からなかったりとか。

季節に合わせてしつらう感覚って、小さな頃から時間をかけて培っていくものなんじゃないかなと。もちろん、幼い頃に一度で価値を理解したり、意味を全て知ったりというのは難しいので、気長に繰り返していくことで土壌になっていくものだと思います。

毎年目にするうちに「このお雛様ってどういう風に作られたんだろう」とか「毎年飾る意味ってなんなんだろう」という興味を持ってくれて、手仕事に共感する気持ちを持ってもらえたら嬉しいですよね。

志村: 

しつらうって、時間がかかるじゃないですか。その余裕が家庭にないとできないというか。

普段の営みを止めて、別の時間の流れにしないと、ただただめんどくさいってなりがちで。生活の豊かさって、時間の使い方に関わってくるから、効率的に生活を回していこうって発想だと、豊かになりにくいのかなって、すごく感じます。

羽田:

正直な話、しつらいが無くても生活には困らないんですよね。じゃあなぜ残したいのかと言われると、コスパやタイパみたいな価値観が、子どもたちの優先順位の上位になってしまう危機感があって。

季節を感じて、しつらいに時間を割く。コスパとは対極の行動だと思いますけど、その時間を知らないで育ってしまうと、工芸や手仕事、自然の尊さにも気付かないまま大人になってしまいそうで。それがしつらいを残していきたい理由のひとつなのかなと最近思うようになりました。

志村:

哲学者の國分功一郎さんが書かれた『暇と退屈の倫理学』というベストセラーがあって、資本主義が発展した時に、できた時間とお金を何に振り向けるかを考えるべきだというのが問題設定になっています。

江戸時代の頃よりも、今の方がよっぽどお金も時間もありますが、でもそれを資本主義の消費サイクルの中に投じていくと、本当の意味で豊かになれていないんじゃないか、そこを考えようと。

そこでの一つの解として、手仕事とか、生活と芸術の結びついた活動に、余った時間とお金を投じるべきだと書かれています。

自分の生活をどう豊かにしていくのかと考えたときに、手仕事とか、自然とつながることで得られる豊かさがあるということ。そこに気付いてもらえないと、手仕事でもの凄い時間と手間をかけたものの価値が伝わらない。

残念ながら今の時代は、人の労働、気持ち、そういったものの価値が、必ずしも正確に認識されていないのかなと感じます。

羽田:

本当に難しいですよね。どうやって伝えていけばよいのだろうって、ずっと考えています。

志村:

やっぱり、「言葉」と「もの」と、両方ですよね。どちらかしかない場合が多いので、両方がセットになって、伝えていくということ。

あとは、全体を変えるってすごく難しいので、まずは共感してくれる人たちのグループができてくることが大事なのかなと思います。

ブルネロ クチネリってご存じですか?職人さんを育てる学校もあって、卒業生が手仕事でお洋服を作っていたりする、イタリアのブランドなんですが。

羽田:

アトリエシムラさんみたいですね!

志村:

そうなんです。僕も似ているなと思ったりしていて。

そこが「人間主義的資本主義」という哲学を掲げていて、資本主義なんだけど、きちんと人の手でものづくりができていて、その価値がわかる消費者もちゃんといる。すべて手仕事で、丁寧にお洋服を作った場合、値段もそれなりになって、普通は買う人がついてこなくて成立しない。でも、このブランドはそれが成立していて、世界中に店舗もあるんですよね。

どういうことなんだ?と思って(笑)。哲学や価値観、そういうものを買う人がいる。日本ももっとその辺が育つといいのかなと思います。

100年後の草木染め

志村:

ポスト資本主義というか、効率追求のあとの社会がどうなるのか。

このまま効率を重視して、それがみんなの理想であるなら、もう手仕事なんかすべて止めたほうがいいでしょう。でも、それが一番いいとは思えない人もたくさん出てきていて、その分岐点が来ているのかもしれません。

何より、つくり手がすごく楽しいんですよ、手仕事は。

そのつくり手の喜びがあって、それが使い手の方にも伝わってきて、すると生活に潤いが出て優しい気持ちになれる。

そういう体験をすると、中々捨てられない。今回の雛飾りも、引越しの度に絶対捨てずに持って行く、そういうものになると思います。

自分のパートナーになってくれるものとの出会いというか。単に安くて機能的なものは、新しい機能のものが出るたびに買い替えることになる。それとは別に、一生この子とやっていく!みたいなものがあるって、大事なことですよね。

羽田:

草木染めの生地も、織りたてというか、できたところが生まれたての赤ん坊のようで、そこからだんだんと育っていく。初節句に買ってもらうとしたら、お子さんの成長とともに、生地も変化していく。すごく相性がいいと思いました。

幼い頃に買ってもらったもので、大人になっても持ち続けるものって、ほかにあまり無いと思います。

志村:

50年後でも子どもが持ってくれていると思うと、親も心を込めて選びたくなりますよね。

そう言えば、「草木染め」という言葉自体は、実は比較的新しい名称なんだそうです。

山崎斌(やまざきあきら)さんという大正から昭和にかけて活躍された草木染めの研究家の方がいらっしゃって、その方が命名したと言われています。

それまでも藍染とか、個々の名称はあったんですが、全体を指す言葉はなくて。化学染料が出てきてはじめて、それまでやっていた植物による染めが「草木染め」として概念化されました。

羽田:

それまでは植物で染めることが当たり前すぎて、言葉にする必要が無かったんですね。

志村:

その山崎さんが刊行した草木染めの図鑑(「日本固有草木染色譜」:初版1933年)に島崎藤村が序文を寄せていて、そこに「これはウィリアム・モリスの仕事に近い」という言葉が出てくるんです。

モリスが提唱したアーツアンドクラフツ運動では、生活と芸術と労働が一致していることが大切だとされていて、特に労働、働くことの喜びが重要視されています。

職人さんがいかに楽しく労働しているか、そして働く喜びが表現されたものが芸術であると。

そんなモリスの考え方と草木染めの営みに共通点があるということに、100年前の時点で藤村が言及しているのは興味深いですよね。生活と芸術と労働が一致したものが草木染めなんだというか。

そこから約100年経ち、雛人形という形をとりながら、平安の頃の衣裳を草木染めで再現できたというのもあるし、今年はふくみさんが100歳で記念の年でもあって。

祖母が染織の仕事を始めた頃、草木染めはどちらかといえば廃れつつあったそうです。そこから考えると、草木染めが続いていて、地位が向上していることは感慨深いことだなと思います。

羽田:

永く愛されるお雛様ができたなと思っています。ゆくゆくは草木染めで違うお色の着物にも挑戦してみたいです。お客様も選べるとさらに嬉しいと思うので。

志村:

どんな人の元に届くのか、楽しみですね。おしつらえしたものの写真とか、見せていただきたいですね。

文:白石雄太
写真:奥山晴日

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【あの人が買ったメイドインニッポン】#57 作家の安達茉莉子さんが“思い出深いもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

ゲストは引き続き、作家の安達茉莉子さん。今回は「思い深いメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

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安達茉莉子さんが思い出深いメイドインニッポン

安達茉莉子さんが“思い出深い”メイドインニッポンは、「瀬川辰馬さんの器」でした。


ゲストプロフィール

安達茉莉子

作家・文筆家。大分県日田市出身。大学卒業後、防衛省勤務、兵庫県篠山市(現・丹波篠山市)の限界集落での生活、イギリス大学院留学などさまざまな活動を経験。現在は「MARIOBOOKS」の屋号のもと、言葉とイラストを中心とした創作活動を行なう。著書に『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)『世界に放りこまれた』(ignition gallery)などがある。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、文筆家の安達茉莉子さんにお話を聞いていきます。10/25(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【わたしの好きなもの】わたしを支えてくれる毎朝のうつわ「明山窯 TEIBAN WARE」

幼いころから、朝ごはんの大切さを教わって育ちました。

自分で食事の支度をするようになり、日々感じるのは
朝食のひとときの尊さです。

朝があまり得意ではないのですが、忙しくてもできる限り朝食を準備し、
ほんの少しの時間でも、ふーっとひと呼吸する時間を作るようにしています。

毎朝使える、ちょうどよいサイズ感のお皿

そんなわたしがご紹介するのは、約400年続く信楽焼の窯元「明山窯」が作る、毎朝使いたい定番のお皿「TEIBAN WARE」です。

別々の形状を選び、色味は揃えました

「毎朝使いたい」
「このうつわがあるから、朝ごはんを食べたい」

そんな理想を思い描いて選んだこの2枚。

決め手となったのは、一人分のおかずやおむすびを載せるのにちょうどよいサイズ感であること。

元々オーバルや長方形が好きで、そうした食器はいくつか持っているのですが、魚皿や深皿など、限られた用途だけに使っていました。

一方、今回の長すぎない23センチ幅は、さりげなく我が家の食卓に溶け込んでくれます!

夫婦それぞれ、自分の使いたい形をチョイスする代わりに色味は淡青磁で揃えました。

個性豊かな我が家のうつわと合わせても、あえてメリハリをつけない配色を叶えてくれること、それでいて味わい深い色味がお気に入りです。

寝坊した日の朝食でも、優しいグリーンがほんの少しの彩りを与えてくれるので、すっかり頼もしい存在となりました(笑)。

陶器を頻繁に使う際、心配になるのがしっかり乾いているかな?という点。

「TEIBAN WARE」は幅広い用途に使いやすいように、少し角度のある縁がデザインされているのですが、食器を乾かすスペースが少ない我が家のキッチンで、通気性を保つ際にも役立ってくれています。

無数にある焼き物の産地。

それぞれの風土がうつわに息づき、沢山の魅力をみせてくれますが、我が家には不思議と信楽焼のものが集まってきました。

じっくり悩んで買うもよし、ひとめ惚れしてもよしです。

さまざまなきっかけと出会いがあると思います。

みなさんの食卓、そして暮らしのひとときを支えられるような素敵なうつわとの出会いがありますように。

<掲載商品>
【WEB限定】明山窯 TEIBAN WARE オーバル皿
【WEB限定】明山窯 TEIBAN WARE 長皿

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編集担当:中山

【わたしの好きなもの】コンパクトな生活サイズにもぴったりの小回りが利く棕櫚箒「Broom Craft 4玉ミドル」

我が家の高校生になる息子には、ハウスダストのアレルギーがあります。

こまめに掃除をするために、スティック型でパワーの強い掃除機を使っていますが、吸引力が強いと排気もそれなりに強い‥‥。掃除機で埃を吸い取ると排気側で埃が舞うのか、掃除をすると咳をします。そして、飛ばされた埃は、隅へ隅へ、逃げるように溜まっていく気が。特に回り階段は、掃除機をかけても埃が取り切れない気がして、本当は箒がいいんだろうな‥‥と、昔から頭にはありました。

室内で使うなら、あこがれの棕櫚(シュロ)の箒がいいな、という気持ちはあったものの、なかなか購入に至らなかったのは、そのサイズ。小柄なわたしには、おしなべて、どれも長いのです。

長柄の箒は幅もあるので、コンパクトな我が家にはオーバースペック。片手用の短いものもありますが、部屋中を掃くなら、やっぱり立ったまま胸元で取り回ししたい。そんな風に、何度か猛烈に欲しいと思う時期がありつつ、その都度見送ってきました。

なので、こちらの4玉ミドルを見たときに思ったのは、「これなら」。
柄が短めで、幅も4玉。よく見る7玉や9玉の箒の約半分です。

からだの小さいわたしにも、これなら。
そんなに広くない我が家でも、これなら。
階段の隅っこも、これなら!

実際使ってみると、予想以上に便利でした。

しっかりとしたコシはありますが、反発はあまりないので、箒を止めたところに埃がぴたっと集まって散らからない。箒って反発力を使うものではないんだな、寄せていくものなんだな、と認識が新たになりました。

階段も、隅っこをサーッと滑らせて、下の段に落としていくだけ。埃がまとまって舞い上がらず、きれいに集まります。柄が短いので階段を下りながらでも掃きやすく、踏板のすべり止めに溜まりがちな埃までスーッと取れました。

居間の掃除をするときも、掃除機をかける前に、椅子の足回りや家具の接地面を滑らせて、時間があれば板目にそって埃をかき出しておくと、すごくすっきりします。

もう一箇所、箒が便利だなーと思ったのが、お手洗いや洗面所。

トイレのかげや、洗面所と洗濯パンの間って、スティック型の掃除機だと、先端を外しても本体が入らないことが多いですが、箒であればそのまま差し込むだけで、埃を絡めとりながら寄せてきてくれます。

さて、掃き寄せた埃やゴミをどうするか。埃をなるべく室内に残したくないので、わたしはちりとりは使わず、掃きよせた埃は掃除機で吸いとって、箒の先も掃除機をかけてしまいます!

表と裏に掃除機をかけたら、あらかたきれいになるようです。

そして箒の収納場所。

毛先が傷まないように、箒はできれば浮かせて置いておきたい。天然素材なので押し入れや納戸ではなく、風通しのよい場所のほうがよさそう。どこがいいかなーと考えた結果、我が家の箒の定位置はキッチンになりました。

冷蔵庫の側面にマグネットフックをつけて、ほんの少しだけ床から浮かせてかけています。

ここでも、4玉ミドルのサイズ感が威力を発揮して、短い分圧迫感もなく、幅も冷蔵庫の飛び出た部分にシンデレラフィット。

小回りがきく、使い勝手のよい箒。

子どもの頃に出会っていたら、もうすこし掃除が上手な大人になっていたような気がします。

アレルギーは一生のおつきあい。コントロールには掃除の上手さ、マメさも必要です。というわけで、我が家の高校生にも使ってもらって、掃除上手な大人になれるよう、追加教育中です。

小柄なわたしは柄の真ん中当たりを持って掃き、高校生男子は柄の上の方を持って、問題なく使っています。小さめで軽いので、もっと小さいお子さんでも上手に使ってもらえると思います。

現代のコンパクトな生活サイズにぴったりの、コンパクトな棕櫚箒。
音も出ないので、マンションにお住まいの方にもおすすめです。

<掲載商品>
Broom Craft 4玉ミドル

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編集担当:内山

【わたしの好きなもの】赤ちゃんも大人も心地よい「BLANKED ガーゼ敷パッド」

4か月の子どもが寝返りやずり這いをするようになり、リビングに何を敷こうかな、と考え始めました。

プレイマットやジョイントマットなど色々と探してみましたが、機能性は良くてもデザインが雰囲気に合わなかったり、予算的に厳しかったり、中々これといったものが見つかりません…

マットレスをリビングの真ん中に敷くというのも、少し抵抗がありました。

木綿産地のこだわりが詰まったガーゼケット

そんな時、キャンプ用マットの上に敷くものを探していて偶然出会ったのが、BLANKEDの「ガーゼ敷パッド」でした。

BLANKEDは三河木綿の産地、愛知県蒲郡市にある機屋(はたや)さんが作るガーゼケットブランド。そのこだわりが詰まった「ガーゼ敷パッド」は、綿100%でふんわり軽くて柔らかく、薄すぎない4重構造のガーゼでできています。本体部分だけでなく縁のテープの部分やブランドロゴまで、すべて綿100%なので、どこでも舐めたり嚙んだりしてしまう赤ちゃんにも安心。部屋に置いてみたくなるかわいい色合いやデザインもポイントです。

まず気に入ったのが、ずっと触っていたくなるようなふんわりさらさらの触り心地。リビングの真ん中に敷いていて、赤ちゃんと一緒にこの敷パッドの上にいる時間も長いのですが、大人もくせになってついつい触ってしまう気持ち良さです。赤ちゃんだけでなく、自分用にも欲しくなり始めています。

高い吸水力でいつもさらさら

使い始めて一番驚いたのは吸水力です。

赤ちゃんは寝ているときに、滝のように大量の汗をかきます。いつも起きたときには頭がびしょ濡れ。その度に「シーツが湿っている!洗わないと」という気持ちになっていました。(とはいっても、普段そんなに頻繁には洗えない…。)

このガーゼ敷パッドにしてからは、寝汗をかいた後も、気づいたときにはすぐに乾いているのが嬉しいポイント。暑い夏でもさらさら気持ちよく過ごせたのか、子どももぐっすり眠れている気がします。

4重構造の薄さが絶妙だそうで、洗濯しても早く乾くので、手入れもとってもしやすいです。できるだけ1日中敷いていたいので、早く乾くのはとても助かります。

また、ガーゼは夏にぴったりだと思っていましたが、「空気を取り込みやすく、保温性にも優れている」と聞いて、これからの寒くなる季節にも使うのが楽しみです。

洗うほどに肌になじんでいくようなガーゼケット。子どもが成長してベッドで寝れるようになったら、シングルベッドの敷パッドとしても、ずっと使い続けてほしいなと思っています。

赤ちゃん用にも、自分用にも。ちょっといいシーツや敷パッドをお探しの方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

<掲載商品>
【WEB限定】BLANKED ガーゼ敷パッド

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さんち商店街「BLANKED」

編集担当:横山

【わたしの好きなもの】理想のエプロンで家事スイッチを入れる「kitten.kyotoのMAKU」

新しいエプロンが欲しくなり、事あるごとに探してはいましたがなかなか決まらず、はや2~3年。お店でいくつも手に取るうちに、「どんなものが欲しいのか具体的に考えず、やみくもに探してるから見つからないのかも」と気がついて、理想のエプロンの条件を改めて挙げてみることにしました。

まず年々重要に感じているのは、肩がこらないくらいの適度な軽さと、動きやすい柔らかさ。
そして床やお風呂掃除の時に屈んだとき、前に垂れて汚れたりしないこと。
さらに、洗いやすいタフな生地で、少しのシミやキズがあっても味わいにしてくれるような懐の深さです。
そして一番大切なのは、着けた時にテンションが上がるデザインであること。

家事道具すべてに欲しい条件かもしれませんが、なかでも特に、私にとってエプロンは、制服のようにわかりやすい”心の家事スイッチ”なのです。

お気に入りの靴を履くと背筋がシュッと伸びるように、少し面倒なこともササッとこなせるパワーがもらえるとベストだなと思います。

はたして理想のエプロンに出会えるのか‥‥と不安に思いきや、ひょんなことからすぐ見つかりました。一目見て、なんて素敵な色!と嬉しくなり、実際に手に取り着用すると、スッキリしたシルエットに満足。しかもディティールにもこだわりがあり、使い勝手も良いのです。

その理想のエプロンがkitten.kyotoのエプロン「MAKU」。

“MAKU”とは“巻く”ではなく、“幕”のこと。なぜ幕かというと、エプロンの足元に幕や暖簾のような中央スリットが入っていることと、さらに両端の紐を引くと寺院にある開いた幕の形になるからだそう。

スリットがあることで、長めのエプロンでも足さばきが良く動きやすいですし、幕を開ければ短くてかわいい形になり、屈み仕事もできちゃいます。

kitten.kyotoは、京都で暖簾や幕などを製造している加藤健旗店さんが、その技術を活かして新たに作ったワークウエアブランド。刷毛で一枚ずつ丁寧に染められた布が美しく、裏側にはわざと刷毛あとを残した耳を使ってあったりと、手しごと好きの私は思わずニヤリとしてしまいます。

普段から店舗の暖簾や祭りの法被などオーダーメイドで受けているからか、「その人らしさ」「お店の顔」を作る視点ならではのオリジナリティがあり、さらには作り手として作業するための使い勝手も工夫するといった視点が、このエプロンを生み出したんだなと感じます。

求めていた以上のエプロンが相棒になってくれて嬉しいのはもちろんですが、末永くお付き合いしたらカッコいい経年変化をしてくれそうで、それも密かな楽しみです。

私と同じくエプロンお探しの皆様。
もしかして、これかもしれませんよ!

<掲載商品>
【WEB限定】kiten.kyoto MAKU.

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編集担当:江藤