ピンク色を「桜色」と呼ぶのはなぜだろう。実は難しい桜色のものづくり

きっぱりとした晒の白や漆塗りの深い赤のように、日用の道具の中には、その素材、製法だからこそ表せる美しい色があります。

その色はどうやって生み出されるのか?なぜその色なのか?この連載では、ものづくりの「色」にまつわる物語をお届けします。

今回は、日本の春を染める、桜色。

桜色とは?花の色に思うあれこれ

実は英語でpinkといえば、ナデシコ属の花を指します。カーネーションもそのひとつ。

薄桃色の何かを見て「ピンク色」ではなく「桜色」と呼んだりするのは、日本人ならではなのかもしれません。

小野小町が詠んだという有名な一首にも、桜が登場します。

花の色は うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに

古い歌で「花」といえば桜のこと。咲き誇る桜がいつの間にか色あせてしまう様を、自身の美貌の衰えと重ねて詠んだとも言われています。

毎年その開花を我がことのように喜び、その散り際に人生まで重ねてしまう。

桜がこれほどまでに日本で愛されてきたのは、桜の開花を1年の農耕がはじまる予兆として人々が重んじてきたためとも言われています。

サクラの語源は、「さ」が田畑の神様、「くら」が神様が鎮座する場所。「桜の木の下で宴を開くことが、自然と農耕の始まるこの季節の行事になっていったんだと思います」と、以前桜についてお話を伺ったプラントハンターの西畠清順さんは教えてくれました。

桜の楽しみ方は、お花見だけに終わりません。園芸として自ら育てたり、歌に詠んだり描いたり、塩漬けにして食したり。そして小野小町も「花の色は」と詠んだように、その淡いピンク色をこよなく愛してきました。

桜色をつくるには。工房夢細工が叶えた「桜染め」

その桜色、実は作りだすには従来、紅花や茜が用いられてきました。

桜の木から抽出する染料の中にはオレンジ系の色素が多く含まれ、ピンク色だけを取り出すことは技術的に不可能とされてきたそうです。

しかし近年、福岡にある工房夢細工さんが日本で初めて、原材料に桜のみを使った桜染めに成功。

「さくら初め」と名付けて、様々な美しい桜色の染めものを生み出しています。

夢細工さんのさくら初めの布

さて、今年の桜はどんな具合でしょう。

なかなかお花見に行けないという日は、持ち物や家の中に「桜色」のものを取り入れて愛でてみるのも、いいかもしれません。

<協力>
株式会社工房夢細工


文:尾島可奈子

*2017年4月11日の記事を再編集して掲載しています。

土屋鞄のランドセル、300工程を超える手仕事を間近で見学

上質な革素材を使い、鞄や財布、小物など、上品でシンプルな革製品を次々と生み出す「土屋鞄製造所」。

レザーファンのみならず、名前を耳にしたこと、あるいは手がけた製品を目にしたことがあるかもしれない。男性から女性まで幅広い支持を誇り、今や全国各地に13店舗、さらに台湾にも進出するほどの人気ぶりなのだから。

大人がハマる、その魅力はどこにあるのか。東京・西新井にある工房を訪れた。

はじまりは11坪の小さな工房から

扉を開けると、そこにはだだっ広い空間が広がった。

扉に描かれたミシンマークが可愛い
扉に描かれたミシンマークが可愛い
所せましと鞄らしきものが‥‥
所せましと鞄らしきものが‥‥

いろんな音が響いている。ダダダダとミシンの走る音、トントントンとトンカチで革を打つ音、コンコンと穴を開けるような音も‥‥。

よく見ると、多くの人が床に直接座って作業をしている。あっちでも。

土屋鞄 ランドセル

こっちでも。

土屋鞄 ランドセル

そっちでも。座布団を一枚ひいて、あぐらをかいたり、足を伸ばしたり。手先を使うだけでなく、全身を使って作業をしているようである。

土屋鞄 ランドセル

もうおわかりのことと思うが、つくっていたのは‥‥

「ランドセルです。土屋鞄製造所はランドセルをつくることから始まりました」とは広報の三角 (みすみ) さんである。

ものづくりへの姿勢に魅力を感じ、入社を決意したという
ものづくりへの姿勢に魅力を感じ、入社を決意したという

土屋鞄製造所といえば、いわゆる“大人の鞄”のイメージが強いかもしれないが、スタートは子どものためのランドセルだった。

1965年。土屋鞄製造所は東京の下町にあるわずか11坪の小さな工房から始まった。

土屋鞄 ランドセル

当時、職人は創業者の土屋國男さんとたった一人の職人だけ。理想のランドセルを追い求め、
デザインをする人、素材を研究する人と、1人から2人、2人から3人へと、少しずつ仲間を増やしていったとか。そして今では製品の企画から製造、販売まで一貫したものづくりを行うまでになっている。

そもそもランドセルの理想のかたちとはどんなものなのか。土屋鞄が鞄づくりにおいて大切にしていること、そして人気のワケとは‥‥。ランドセルをつくる工程を追うほどに、そうしたことの答えが少しずつ見えてきた。

ランドセルには鞄づくりの粋が詰まっている

ランドセルづくりは素材選びにはじまり、裁断して、小さなパーツをつくっていく。小さなパーツをのりづけやミシンがけによって組み合わせて大きなパーツに仕立てたら、最終的に大きなパーツを一つの立体に組み立てていく‥‥。

と、おおまかに書いたが、綿密にいうと150以上のパーツを使い、300工程を超える手仕事によって成り立っている。

ランドセルを構成するパーツの一部
ランドセルを構成するパーツの一部

しかも、いずれも職人技が必要だ。たとえば素材選び。質の高い、良い状態の革を選ぶことはもちろん、大事なのはその革のクセや個性を見極めることである。

シワや傷、虫さされ跡がないかなどを厳しくチェックして使う部位を決める
シワや傷、虫さされ跡がないかなどを厳しくチェックして使う部位を決める

「どの革を使うのか、革のどの部分を使うのか。人間一人一人の肌の状態が違うように、自然の動物である牛一頭一頭にも個性がありますから。

そのなかで、たとえばランドセルの蓋には丈夫さが求められるので牛の背部分の革を、子どもの背中があたる部分には、柔らかな質感の革を使うというように、パーツごとに使う部位を決めていきます」

ミシンがけも難敵だ。

躊躇なくミシンがけをする職人さん‥‥プロである
躊躇なくミシンがけをする職人さん‥‥プロである

縫うのは真っ直ぐな平面ではなく、微妙なカーブをもつ立体。見ているとダダダダ、ダダ、ダダと緩急をつけながら丁寧に、しかしスピーディーにミシンをかけていく。

場所によって糸の太さも違えば、目の数も違う
場所によって糸の太さも違えば、目の数も違う

「とくに分厚い革が幾重にもなる部分は、歪みが出やすい。はじめは少しの歪みでも工程が進むにつれて次第に大きくなり、完成したときには決定的な歪みになりかねないので、やはり相当の技術が必要です」

はじめは、どこの部分なのか見当のつかなかった小さなパーツが、順序良く組み合わされ、次第に見覚えのある形になっていく。

内側に可愛いイラストが!テキスタイルデザイナーとのコラボ製品も
内側に可愛いイラストが!テキスタイルデザイナーとのコラボ製品も

また、目を釘付けにされたのが最終工程に近い“菊寄せ”という作業。

目打ちを使って細かくひだを寄せていく
目打ちを使って細かくひだを寄せていく

菊寄せとは鞄や財布などのコーナー部分の処理の仕方で、放射状にひだを寄せながら細かく折りたたむ技術のこと。織り込んだひだが菊の花びらのように見えることから、そう呼ばれるとか。

ため息がでるほどに美しい仕立てだ
ため息がでるほどに美しい仕立てだ

補強の意味をもつと同時に、見た目も綺麗な仕上がりに。菊寄せで職人の技量が分かるといわれるほど、繊細な仕事なのである。

心に寄り添う“思い出のうつわ=鞄”

“ランドセルづくりにおいて大事なのは、子どもたちが安心して使い続けることのできる丈夫さと使い心地。そして年月を経ても、愛せる佇まいであること”──。

「これは創業者である土屋がよく言う台詞です。ランドセルとしての機能性はもとより、6年間使い続けるものだからこそ、使うほどに愛着がわくようなものをつくりたい。鞄は“思い出のうつわ”だから、と」

創業より55年。追い求めたのは“丈夫さと美しさを兼ね備えた凜とした佇まい”だ。

そういえば土屋鞄のランドセルは箱型にもかかわらず角張ったイメージがまったくない。どこか丸みをおびたフォルムで、やさしい印象を受ける。

「たとえば、蓋部分の下側にあるラインを見てください。少しだけ山なりにカーブしているのが分かります。もしこれが直線だとしたら、もっと強くて堅い印象になるかもしれません」

ゆるやかで美しい曲線にミシンがけをすることは、とても難しいそうだ
ゆるやかで美しい曲線にミシンがけをすることは、とても難しいそうだ

また色合いに関しても「6年間、子どもたちにきちんと寄り添えるかどうかを考える」という。ベーシックな色だけでなく、ほかにはない微妙な色合いの製品も数多い。

多彩な色を考案。いずれも上品な趣だ
多彩な色を考案。いずれも上品な趣だ

微に入り、細に入り。土屋鞄では150ものパーツ一つ一つ、糸の太さや目幅に至るまで、すべてにおいて考え尽くされ、確かな手仕事によって生み出されているのだ。

「いろいろな鞄がありますが、とくにランドセルづくりは特殊だと言われます」

ちなみに工房はショップの脇にあり、誰でも見学可能。子ども用には低い位置に小窓(三角さんの右下部分)が設置されている
ちなみに工房はショップの脇にあり、誰でも見学可能。子ども用には低い位置に小窓(三角さんの右下部分)が設置されている

「袋状のものであれば裏面にして縫って、また表にひっくり返すことができますが、ランドセルは箱型ですから、より難しい作業を要求されることになる。

しかも、土屋鞄の職人たちは一つひとつ丁寧に、たくさんの数をつくるので、鞄づくりの基礎をきちんと身につけて応用できるようになるのだと思います」

ランドセルを選ぶ時間は家族の大切な時間になっていた
ランドセルを選ぶ時間は家族の大切な時間になっていた

大人鞄でも、大切なことは同じ

そんな土屋鞄製造所が、大人向けの鞄をつくり始めたのは2000年頃のこと。

西新井本店の店内にはたくさんの“大人向けの鞄”が並んでいた
西新井本店の店内にはたくさんの“大人向けの鞄”が並んでいた

当たり前といえば、当たり前の成り行きだろうと思う。

技術があるからこそ、子どもだけでなく、大人にとって大切な“思い出のうつわ”となるような鞄をつくりたい。そう思うことは至極当然のことである。

小学生にとってランドセルがかけがえのない宝物になるように、大人であっても宝物と呼べるような鞄に出会えたなら、それはどれほど幸せなことだろう。

大人ランドセル。日本人のみならず、外国人からも人気だとか
大人ランドセル。日本人のみならず、外国人からも人気だとか

高い技術がある。そして鞄一つひとつには、その人がその人の人生を、その人らしく生きていくことができるようにとの思いが込められている。

だからこそ。

土屋鞄が生み出す大人鞄は人気なのだろう。素直にそう思い、腑に落ちた。

次回は、そんな土屋鞄のものづくりに惚れこんで入社した若手職人の物語を紹介したい。

土屋鞄 ランドセル

<取材協力>

土屋鞄製造所

東京都足立区西新井7-15-5
03-5647-5124 (西新井本店)
https://tsuchiya-kaban.jp
https://www.tsuchiya-randoseru.jp

文:葛山あかね
写真:尾島可奈子、土屋鞄製造所

仏像修復のプロ集団、京都・美術院が考える「良い修理」とは

例えば京都の三十三間堂の千手観音像や、奈良の東大寺南大門に立つ金剛力士像。

数百年前の名作を今、私たちが目にできるのは、ある「仕事」のおかげです。

文化財修理。

個人の仏師さんや工房が修理を担うケースもありますが、中でも国宝指定の仏像の修理を日本で唯一許されているのが「公益財団法人 美術院」。

美術院

明治31年、文明開化に沸く国内で、日本美術の復興を指導した岡倉天心がその母体を作りました。

現在は京都、奈良の国立博物館内と京都市内に修理所を構え、総勢40名の技術者が所属。修理の対象は仏像をはじめ能面や絵馬、石灯籠まで幅広く、年間50〜60の案件を受け持ちます。

驚くべきはその作業に費やす時間。

一度の依頼でまとめて数件を頼まれることも多く、1年から数年をかけて修理を行うのが通常。中でも昨年修理を終えた三十三間堂は、千体に及ぶお像の作業を終えるまで、実に45年の歳月を費やしました。

普段は閉ざされている修復の様子を今回は特別に、見せていただけることに。京都市内にある修理所を訪ねました。

京都、文化財修理の現場へ

白い作務衣をきて、相談し合う女性二人。

美術院

美術院の技師、高田さんと浜田さんです。

今まさに修理中のお像について、高田さんに浜田さんが指示を仰いでいます。

美術院

「仙寿院宮 (せんじゅいんのみや) さまという、江戸時代の尼僧の方の坐像を修理しています」

こちらが仙寿院宮坐像
こちらが仙寿院宮坐像

所蔵は、金閣寺、銀閣寺とともに臨済宗大本山相国寺の山外塔頭 (さんがいたっちゅう。本山の敷地外にある子院) を成す眞如寺 (しんにょじ) 。京都市にあり、五山十刹のうち十刹のひとつに数えられた古刹です。

その仏殿にはお寺にゆかりのある4名の尼僧像があり、2014年から順に修理がスタートしました。

仙寿院宮坐像はその最後の1体。来年3月の完成を目指しているといいます。(※修復は2019年4月に完了しています)

「これまでやってきた中でも、尼門跡のお像を4体も続けて修理することは初めての経験でした。不思議なご縁で、修理も女性二人でさせてもらっています」

尼僧像が複数まとまってひとつのお寺にあるのは、全国的にも珍しいことなのだそうです。

なぜ修理が必要になるのか?

「現地確認に伺った際は、どのお像も表層の剥落が目立っていました。今残っている当初の彩色をこれ以上失わないよう修理し、剥落してしまったところを補彩 (ほさい) するのが、今回の主な修理です」

像は木彫りの上に、膠 (にかわ) で溶いた顔料で彩色されています。この膠が年とともに劣化し、木自体も痩せていくことで、彩色した層が剥がれ落ちたり、ひび割れてしまうのです。

手前の写真は修理前の様子。剥がれ落ちた表面の彩色片が、膝の部分に見受けられる
手前の写真は修理前の様子。剥がれ落ちた表面の彩色片が、膝の部分に見受けられる
手前の写真では表面のひび割れや彩色の剥落が確認できる
手前の写真では表面のひび割れや彩色の剥落が確認できる
すでに修理を終えた尼僧像の中には、このように一度解体してから修理を進めたものも
すでに修理を終えた尼僧像の中には、このように一度解体してから修理を進めたものも

「だいたい膠はもって100年。彩色の層などを見ると、このお像も17世紀に作られてから100年サイクルで修理がされてきたようです」

つまり、おそらくは今回が4回目となる、21世紀の修理。

技師は自ら現場に赴き、こうした像の状態を確認します。修理所までの運搬も、基本は自分たちでするそうです。

作られた当初の姿を見つけ出す

修理を始めてわかったのは、前回の修理とお像が作られた当時の肌色の差。

修理前の仙寿院宮像の頭部
修理前の仙寿院宮像の頭部

「前回の修理は江戸〜明治の頃にされたようなのですが、肌は真白く塗られていました。ですがその下から、より実際の肌色に近い色層が出てきたのです」

美術院が修理の上で重んじているのは「作られた当初の姿を大切にすること」。

この仙寿院宮像の場合は、江戸期に施された色層を除去して、元々の肌色に近い色を作るところから修復が始まりました。

「この色づくりが大変で。多くの時間を使います」

今回は、衣部分の下に隠れて色が後世に上塗りされていなかった、首まわりの色だけが頼り。

えりあわせの部分に、元々の色彩が残されていました。ここに近づけるため、白い板の上で色を試作していきます
えりあわせの部分に、元々の色彩が残されていました。ここに近づけるため、白い板の上で色を試作していきます

ちょうど肌色を作っていた作業台には、緑や青の顔料も並んでいました。理由を浜田さんが説明してくれます。

美術院、作業台の顔料

その工程、まるでお化粧のよう

「こうして自分の手を見てみても、血管の上は緑や青っぽい色に見えたりします」

美術院

「なので彩色をするときも、少し青系の色を混ぜたりするんです」

修理所の壁にずらりと並んだ顔料
修理所の壁にずらりと並んだ顔料
こうしてできた色で、肌の部分をムラなく塗り進めていく
こうしてできた色で、肌の部分をムラなく塗り進めていく

このお像に限らず、肌色を作るときには通常5種類以上の色を使うそうですが、今回はさらにひと工夫を加えたそうです。

「通常は継ぎ足しながら使う顔料も、今回は女性らしい肌色を作るということで、くすみが出ないように全て新しいものをおろしました」

こうして肌色が整えられた仙寿院宮像。ふっくらと柔らかな印象
こうして肌色が整えられた仙寿院宮像。ふっくらと柔らかな印象

それってまるで‥‥

「お化粧みたいですよね」

すでに修理が済んでいる3体は、高田さん、浜田さんの手によって無事に「お色直し」が済み、修理前とはまるで別人のような姿に生まれ変わっています。

先に修理が完了したお像のひとつ。見違えるほど表情は生き生きと、衣は色鮮やかに
先に修理が完了したお像のひとつ。見違えるほど表情は生き生きと、衣は色鮮やかに

「後世の彩色で埋まってしまっている彫刻の線などもあったのですが、例えばシワの一本一本、彫刻に沿って再現すると、より表情が豊かになっていきます。

だんだんお顔が生き生きとされてくるのを見ると、やはり嬉しいですね。眉や唇も、どうしたら女性らしく、元のお姿に近づくか考えながら彩色しています」

先の3体の修理を思い返す高田さんの表情は、とても楽しそうです。

お像に命を吹き込むように

顔の彩色は、お像に命を吹き込む大切な作業。

当初の姿に近づけるために、伝来の肖像画なども参考にします。表情を決める顔のパーツはいきなり描かずにまず和紙を貼り、その上から色や形を試すそうです。

生前の肖像画がこちら。眉や目元、口元をこれらの資料をもとに仕上げていく
生前の肖像画がこちら。眉や目元、口元をこれらの資料をもとに仕上げていく
美術院

「こうして絵を見ると、衣も実際に着ておられたものを再現しているのだとわかります」

衣の部分のクローズアップ
衣の部分のクローズアップ
実際の坐像の様子。肖像画と同じ金色の模様がわずかに見てとれる
実際の坐像の様子。肖像画と同じ金色の模様がわずかに見てとれる

肖像画は、衣部分の修復にも重要な資料です。表層が剥落して模様が欠けてしまっている部分は、こうした資料や周辺の図柄を根拠にして補うそう。とてもクリエィティブです!

背中の欠けた模様を、周辺の図案も参考に、映し紙などを駆使しながら補っていく
背中の欠けた模様を、周辺の図案も参考に、映し紙などを駆使しながら補っていく
色味もこうして再現
色味もこうして再現
残された手がかりをもとに、完成した時の姿を想像しながら彩色していくそう
残された手がかりをもとに、完成した時の姿を想像しながら彩色していくそう

「お像の様子を見ていると、彩色もお顔の表現も、生前のお人柄まで映しだそうという思いで施してあったんだろうなと想像できるんですね。

例えばこちらの方は、亡くなった翌年にお像が作られたことがわかっています」

美術院で修復された真如寺の尼門跡坐像

「きっと面影がすごく残っている状態で彫刻をしたのではないかなと。でなければここまで写実的には彫れないんじゃないかと思うんです。

そういう思いで作られた当初のお姿に戻っていただくのが、いい修理ではないかなと思っています」

美術院の目指す修理とは

高田さんの目指す「いい修理」は、修理の見学後に美術院所長の陰山さんに伺ったお話とも、符合していました。

所長の陰山さん。昨年まで現場で技師を務めていらっしゃいました
所長の陰山さん。昨年まで現場で技師を務めていらっしゃいました

「作られた当初の姿を大切にして、文化財を守り伝えることが我々の仕事です。

そのためには『ものに学んでいく』ということが、一番大切なところだと思います。

上から覆い隠すのではなく、そのものの一番いいところを引き出す。

そのために修理は手作業で行なうことを重んじています。

作った当時の作者と同じ苦労をしてみることで、得られる気づきがあるからです」

例えば今日修理していたお像には、金泥 (きんでい。金粉を膠で溶いたもの) が何層にも焼き付けられていたそう。高田さんは「きっと衣の金の刺繍の立体感を表しているのだと思う」と語り、同じように修復を施します
例えば今日修理していたお像には、金泥 (きんでい。金粉を膠で溶いたもの) が何層にも焼き付けられていたそう。高田さんは「きっと衣の金の刺繍の立体感を表しているのだと思う」と語り、同じように修復を施します

「体や道具の動きをなぞって感じ取った作者の意気込みや思いを、修復する手先の一つ一つにのせていけば、それがきっと後世にも伝わる。それが、いい修理なのではないかと思います」

美術院

「だからこの仕事をする人には、そのものの本来のいいところを見ようとする『目』が大事なんです」

実は技師の高田さんも浜田さんも、ご実家などにゆかりのある仏像がこの場所で修理される様子を見学したのをきっかけに、この仕事を志したと言います。

二人の心に深く残った当時の技師の方はきっと、今のお二人のように静かにひたむきに、数百年以上前の作者と向き合っていたのだろうと思います。

「修理は、ここではなくお寺に戻られたときがやっと完成ですね。

あるべき場所に、あるべき姿でお戻しできると、お像がどこかホッとされたようなお顔に見えるんです。その瞬間が一番安心しますね」

最後にそう語った高田さん。

現在の眞如寺には、仙寿院宮坐像に先駆けて高田さん、浜田さんが修理を手がけた坐像が3体、静かに並んでいます。

ご住職のご厚意で、その修理後のお像の様子を実際に見せていただけることに。

次回は、修理の依頼主である眞如寺を訪ねて、お像の由緒や修復プロジェクトの背景に迫ります。

※後編の記事はこちら:「まるで生きているよう。100年ぶりに蘇った「ある女性たち」を訪ねて、秋の京都へ」

<取材協力> *掲載順
公益財団法人 美術院
http://www.bijyutsuin.or.jp/

眞如寺
京都市北区等持院北町61
https://shinnyo-ji.com

*こちらは、2018年10月22日の記事を再編集して公開しました

「熊野筆」の選び方をプロに習う。最初の1本にはチークブラシがおすすめ

化粧筆といえば熊野筆。1本は持ってみたい憧れの化粧道具のひとつです。

熊野は地名ですが、どこにあるかはみなさんご存知ですか?

正解は広島県。

人口24000人ほどのこの町には、約100社の熊野筆メーカーがあります。なぜそんなにたくさん?どうやって選んだらいいの?今回は熊野筆の秘密と魅力に迫ります。

熊野筆のルーツをさぐる旅。山あいの村が全国一の産地に

熊野筆 広島

熊野筆は広島県・熊野町で作られる筆の総称です。名乗るためには以下の条件をクリアしなければなりません。

①穂首を熊野で製造すること。
②使用する原毛は、獣毛、化繊毛、植物繊維、羽毛、胎毛等。
③製造は熊野町内。但し、外注先は周辺地域も可。
①~③の条件を満たす、書筆、日本画筆、洋画筆、化粧筆、刷毛。

<熊野筆セレクトショップ公式サイトより引用>

中でも100年以上継承された技術や原材料により熊野町内で製作した書筆、日本画筆は、国の「伝統的工芸品」に指定されています。

今では全国で生産されている書道用の毛筆、画筆、化粧筆いずれも、その8割以上が熊野町産。しかし、もともと筆づくりに適した土地だったかというと、どうやらそうでもないようです。

熊野町は四方を山に囲まれた盆地の小さな村。平地が少なく農業だけでは生活が厳しかったために、農閑期を利用して、古くから奈良方面へ出稼ぎに行っていたそうです。

奈良は古くから墨や筆づくりが盛んな地域。村の人は出稼ぎ先で得たお金で墨、筆を仕入れ、帰りながらそれを売り歩くことで生計を立てていたのだとか。

江戸末期には、本格的に他の地域で筆づくりを学んでくる人も現れ、村の産業に発展しました。

ただ、筆づくりの原材料がもともと豊富だったわけでも、土地の条件が筆づくりに適していたわけでもありません。

次第に他の産地が近代的な工業へ生業を移し替えていく中でも、山あいの熊野町には新しい産業が入らず、筆づくりが受け継がれました。そうして一途に継承されてきた技術が、今の日本一の筆産地を生み出したと言えそうです。

初めての熊野筆を選ぶ。化粧道具のプロのおすすめは?

今も24000人の住民のうちおよそ1割の2500人が筆作りに携わり、地域内には約100社もの熊野筆メーカーが軒を連ねます。とはいえ、そんなにたくさん種類があったら、選ぶのに迷ってしまいそう。では、熊野筆はどう選んだら良いのでしょう?

実は、熊野町が運営する熊野筆のセレクトショップ「筆の里工房」が全国に4店舗あります。うち3店舗は広島県内、1店舗は東京銀座です。

数十あるメーカーさんから、銀座店では7社の熊野筆が置かれています。今では通販でも買える熊野筆ですが、せっかくならはじめの1本は、化粧道具のプロから説明を受けておすすめを選びたいところ。

早速伺ってみると、フェイスブラシ、リップブラシ、チーク用、アイブロウ用と様々な化粧筆がずらり。熊野筆ではじめの1本を買うなら、まず何を買ったらよいのでしょう?

店員さん:
「筆の質の良さを体感しやすいチークブラシがおすすめです。柔らかくチークを入れたい人は、繊細なリスの毛を使ったブラシがいいですよ」

試しにと手の甲に筆を滑らせてもらうと、もうずっと触れていたくなるような柔らかな肌ざわりです。

 

はっきりと色をのせたい人や固形のチークを使う人は、より固い毛質の、山羊の毛のブラシがおすすめだそう。同じチークブラシでも用途によって使う毛の種類が違うのですね!

「そうですね、筆を選ぶポイントは今言った毛質の他に毛量・穂先の形・軸(手に持つ部分)のデザインがあります。筆の作り方もメーカーさんによって微妙に違うんですよ」

なるほど。まずはどんなお化粧をしたいかを考えて、最後はデザインも含めて、自分の好みで選ぶ。筆選びに迷った時は今回のように相談したら良いのですね。

せっかくなので熊野筆をもうひとつ、より手軽に普段のお化粧にも取り入れやすそうなものを見つけました。リップブラシ。

熊野筆 リップブラシ

これはほとんどのメーカーさんがイタチの毛を使うのだとか。持ち運びもしやすいですし、いつでも良い化粧道具を携帯していると思うと、気持ちも豊かになりそうです。

手作業にこだわる熊野筆。機械化できないそのワケとは

毛筆の選毛工程
毛筆の選毛工程

お店に伺って実感したのが、今更ながら多くの筆が動物の毛でできているということ。そして用途に応じてベストな毛質のもので作られているということでした。

例えばイタチの毛はコシが強く毛先がよくまとまるため、リップブラシのように細い線をくっきり出すのに向いています。対して、山羊の毛は材料の含みが良く耐久性もあるので、はっきり色をのせたいお化粧や固形の素材にも相性が良いそうです。

熊野筆を作る工程のほとんどは今も手作業。その理由は、生き物の毛の質を見分け、同じ質のものを集め、揃えて、油分や汚れを取り、束ねてひとつの筆先(穂先)にまとめ上げるという一連の工程が、機械ではできないため。

自分の髪に置き換えてみると分かりやすいですね。1人の人間でも、箇所や年齢によって生え方のクセや色も様々に異なります。それを異なる材料から選り抜いて1本の筆の穂先としてまとめ上げるまでを想像すると‥‥その手間隙たるや。

実は町では以前、毛筆で「動物の毛の油分を抜き取る工程」の機械化を研究したのですが、結果として「機械化は難しい」との結論に至ったそうです。

はじめて選んだ熊野筆。ずっと触っていたくなる触りごこちに気の遠くなるような工程を重ねて、大事に使おう、と思い致すのでした。

<取材協力>
筆の里工房
http://fude.or.jp/jp/


文:尾島可奈子
*こちらは、2017年1月5日の記事を再編集して公開しました

連載「キレイになるための七つ道具」

美しくありたい。クレオパトラや楊貴妃のエピソードが今に伝わるほど、いつの世も女性の関心を集めてやまない美容。

様々な道具のつまった化粧台は子供の頃の憧れでもありました。そんな女性の美を支えてきた化粧道具を七つ厳選。「キレイになるための七つ道具」としてその歴史や使い方などを紹介していきます。

雨の日のプレーは靴下で変わる?アスリートに愛されるスポーツソックスづくりの現場

例えばサッカーの試合では、サポーターは「12人目の選手」と呼ばれるほど心強い存在。それと同じくらい、選手の身につけるウェアや道具もパフォーマンスを支える大切な「相棒」です。

古都・奈良にある株式会社キタイさんは、世界的なスポーツブランドの靴下も手がける、スポーツソックスづくりのスペシャリスト。日本のプロサッカー選手にもファンがいるといいます。

アスリートを足元から支えるキタイさんに、知られざるスポーツソックスづくりのお話を伺いました。

代表の喜夛(きた)さんが開発の極意を語る前編と、そのスポーツソックスの技術を駆使して実際に作られた靴下にせまる後編の、2話でお届けします。

※後編の記事はこちら:スニーカーでもパンプスでも「脱げない」フットカバー。プロサッカー選手も認める靴下メーカーの挑戦

複雑な靴下の機械
複雑な靴下の機械

「雨が降っても試合をするか」で、靴下の設計は変わる

訪れた奈良は、全国の生産量の5割を占める日本有数の靴下産地。数ある靴下メーカーの中でも、キタイさんはその高い技術力で早くからスポーツソックスづくりを得意としてきました。

インタビューに応じてくださった代表の喜夛(きた)さん
インタビューに応じてくださった代表の喜夛(きた)さん

「うちのメイン商品であるスポーツソックスはニッチなマーケットですが、ゴルフ用、サッカー用、ランニング用、それぞれに要求があって、靴下に求められる役割が異なります」

実際に工場で製造中だった靴下。つま先を綴じる前の状態
実際に工場で製造中だった靴下。つま先を綴じる前の状態

「雨が降っても試合をやめないサッカーのようなスポーツもあれば、雨天では中止する野球のようなスポーツもある。

雨の中でも試合をするなら、素材には水をよく吸う綿を使ってはダメですよね。水は吸わず、かつ晴れの日も快適な履き心地の、全天候型の靴下が必要になります」

試合をするコンディションを想定することから製品の設計が始まるんですね!確かに競技によって求められる機能も違いそうです。

「靴下づくりには、生地を編んでいく専用の特殊な機械を用います」

見るからに複雑なつくりの靴下編み機

「編み機そのものの性能がいいことももちろん必要ですが、ニーズに応える機能性を生み出せるかどうかは、機械の動きを設計するプログラムのアイディア次第です」

編み立て機の操作盤に差し込まれていたUSB。この中の設計図を読み取って靴下が編まれる
編み立て機の操作盤に差し込まれていたUSB。この中の設計図を読み取って靴下が編まれる

「ところが開発途中っていくつも壁に当たるんですね。『こういう靴下を作りたい』という強い思い入れがないと、つまづいた時に次を考えるエネルギーって生まれてこないんです。

その編み機をどう使い、何を作りたいのか。ノウハウと思い入れ、どちらも深いほど高付加価値の製品が生まれてくると思います」

実際のプログラム画面。組織図や機械への指示が細かく書き込まれている
実際のプログラム画面。組織図や機械への指示が細かく書き込まれている

機械の性能を熟知し、最大限のパフォーマンスを引き出すプログラムを考える。実際に作ってみたら、あとはひたすら試し履き。

その上でもし、その編み機で解決できない問題点にぶつかったら、それをクリアする新しいシステムを考えてくれないか、と機械メーカーにオーダーを出すこともあるそうです。

「そうすると、100の性能だった機械から、110、120というレベルの製品が作れるようになりますよね。これによって、世界中でもキタイにしかできないような、競争力のある製品を生むことができるんです」

実はこのスポーツソックスのづくりの高い技術を生かして、キタイさんが問題解決に取り組んだ靴下がありました。

それはこれからの季節に活躍するフットカバー。

ぬげにくいくつした

フットカバーの困りごとといえばやはり、脱げやすさです。次回、この「脱げやすい」フットカバーをキタイさんの誇る最新技術で「脱げにくく」した、その開発物語をご紹介します。

<掲載商品>
ぬげにくいくつした(2&9)

<取材協力>
株式会社キタイ


文・写真:尾島可奈子


*2017年4月の記事を再編集して掲載しました。

父の日に贈る、中川政七商店の「靴のお手入れ道具」

たとえば1月の成人の日、5月の母の日、9月の敬老の日‥‥日本には誰かが主役になれるお祝いの日が毎月のようにあります。せっかくのお祝いに手渡すなら、きちんと気持ちの伝わるものを贈りたい。

この連載では毎月ひとつの贈りものを選んで、紹介していきます。

父の日の贈りもの、中川政七商店とコロンブスが作った「靴のお手入れ道具」

今回のテーマは「父の日に贈るもの」です。

もともとアメリカで母の日が始まった後、せっかくならお父さんに感謝する日も、と始まった記念日。

すでに当日なのでもうプレゼントは買ってある、という人も多いかもしれませんが、今回はわたしが以前に父の日用に探して、つい自分も欲しくなったものをご紹介します。

それが中川政七商店とコロンブスが作った「靴のお手入れ道具」。

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国内トップシェアを誇る靴のお手入れアイテムの老舗、コロンブスと中川政七商店が「初めての人でもまずこれだけあればOK」な基本セットとして作ったのが、今回の「靴のお手入れ道具」です。

働くお父さんなら仕事上、ベーシックな色の革靴を何足か履きまわす、という人も多いのではと思います。もともと持っている愛用のものに磨きをかける道具なら、好みを選ばず喜んで使ってもらえそうです。

靴のお手入れクリームの秘密

内容は、靴のほこりを払うブラシ、汚れを落とすクリーナーに保革クリーム。付属のカットクロスにつけて使います。

中川政七商店「靴のお手入れ道具」

この靴を手入れするクリーム、何からできているかご存知ですか?実は動植物の、様々な成分のミックスでできているのです。

革用クリームの開発は、革の開発との追いかけっこ。

トレンドに合わせて新しい質感の革が開発されると、革用のクリームもそれに合ったものが作られます。

コロンブスさんの製造現場の様子
コロンブスさんの製造現場の様子

今回の「お手入れ道具」に入っているのは、靴以外にもハンドバックや革小物にも使えるオールラウンドタイプのクリーム。

主な成分は「カルナバ」「スクワラン」「コーンスターチ」。カルナバは南国に生息するヤシの木、スクワランはサメから抽出された保湿成分、そしてコーンスターチはとうもろこしです。

自然界ではおよそ出会うはずのなかったもの同士がミックスされて、それぞれ靴のツヤ出し、保湿、表面をサラッとさせる、などの効果を発揮します。

革ごとに適切な成分を選び抜き、目指す効果を最大に発揮できる塩梅で組み合わせるのが、開発メーカーの腕の見せどころ、というわけですね。

プロに聞くお手入れのコツ

中川政七商店「靴のお手入れ道具」

営業の窪田さんに、靴のお手入れのコツを伺いました。

「革製品は、しっかりとお手入れすることで長持ちします。大切な靴を長く履き続けるにはビフォアケア、つまり履く前にコンディションを整えておくことが重要です。

革も人間の肌と同じです。革の組織の中には15~18%の水分が含まれていて、そのままにしておくと表面から油や水分が抜け、カサカサ肌になってしまいます。

ひどくなるとケバケバが出たりひび割れを起こします。人間なら薬などで治りますが、革は一度なってしまうと修復不可能です。

そのため革本来の風合いや潤いを守るには、ケアする事がとても大事になるのです。

きちんとお手入れすれば、天然皮革に勝る素材はありませんよ!」

また、「靴につく汚れは水性なのか油性なのかわからない場合があるので、このクリーナーは両面の汚れに対応できるように作られています」とのこと。

日常生活に密着したお手入れアイテムのお話は面白く、奥深く、使う人の生活を親身に考えて開発されているのがうかがえました。

「いい靴を履くと、その靴がいい場所へ導いてくれる」

これは、イタリアの格言だそうです。

よく手入れされた靴は見た目の印象をよくするだけでなく、履いて過ごす時間や気持ちをぐっと充実させてくれるように思います。

父の日の贈りもの。

「ありがとう」と面と向かって言うのはなかなか照れくさいですが、使う人の日常を思って選んだものなら、きっと喜んでくれるはず。

贈った後に一緒に使ったら、家族の会話も増えそうですね。

<取材協力>
株式会社コロンブス
東京都台東区寿4-16-7(本社・ショールーム)
http://www.columbus.co.jp/

<掲載商品>
靴のお手入れ道具(中川政七商店)


文:尾島可奈子


*2017年6月掲載の記事を再編集して掲載しました。湿気の多い梅雨から日差しの強い夏に向かうこの時期。寒暖差の激しい今から、しっかり靴のお手入れをしておきたいなと思います。