おせちを豆皿に盛り付ける。かわいくておめでたい料理で正月を迎えよう

新年を祝う「豆皿」おせち

お正月に「おせち」食べていますか?

お重に詰まった縁起のよい料理を食べて、新年を祝う。日本のお正月ならではの光景ですが、近頃はおせち料理を食べない家庭も多くなっているとか。

「お重を持っていない」
「自分で作れない」
「高価なもので手が出ない」
「家族が少ないので余ってしまう」

こうした声を聞くにつけ、準備が大変、少人数の家族には向かないし贅沢、といったイメージが大きいのだなと感じます。

かく言う我が家も、妻と子どもと3人暮らしの正月に「おせち」は少し仰々しいなと、この数年は敬遠中。

でも、一年に一度、その年の幸せを願うおめでたい料理。せっかくなら‥‥食べたい。というのが正直なところ。もう少し気軽に楽しめればよいのに‥‥。

そこでオススメしたいのが、「豆皿」でコンパクトに楽しむおせち料理です。

豆皿でおせちを楽しむ
豆皿でおせちを楽しむ
もちろん和風のお盆にも映える

気軽に購入できて且つ窯元や産地の個性、そして“手仕事感”がしっかり伝わる豆皿は、うつわを集め始める導入としても最適。

そんな豆皿に、縁起のよい品々をちょうど食べきれる分だけ盛り付けて楽しむ。

盛り付けのポイントを、フードコーディネーター・栄養士として活躍されている三井愛さんに伺いました。

小さい中に個性が詰まった豆皿たち

有田焼の老舗窯元と中川政七商店が作った染付の豆皿
有田焼 染付の豆皿(鶴/鹿/松/梅/竹)。各1,300円(税抜)。購入はこちら

今回用意したのは、有田焼の老舗窯元と中川政七商店が作った染付の豆皿。白磁に素朴な絵柄を合わせたデザインで、普段使いにもオススメ。

描かれている柄は、松や梅、鶴など、縁起のよいモチーフをひとつひとつ手描きで表現したもの。手描きだからこその味わいが感じられます。

※中川政七商店の豆皿ラインアップはこちら

小さくかわいい豆皿には小ぶりの料理を盛り付ける

「豆皿自体が小さくてかわいいので、料理もできるだけ小ぶりなものを盛り付けてあげるのがオススメです」(三井さん)

少し小ぶりな品々を、一人分盛り付ける
少し小ぶりな品々を、一人分盛り付ける

おせち料理と聞くと、見た目にも派手な車海老や有頭海老を思い浮かべてしまいますが、サイズ的によいものがなければ無理に用意する必要はありません。

オススメは、金柑の甘露煮など小ぶりで見栄えのするもの。そのほか黒豆やかまぼこ、いくらに数の子など、それぞれに縁起のよい品の中から、好みやうつわに合ったものをセレクトすればよいとのこと。

マダコの酢の物
丸い豆皿には、伊達巻をポンと置いてもかわいい
丸い豆皿には、伊達巻をポンと置いてもかわいい

“自分の好きなものだけのおせち”と考えると、俄然、やってみよう!という気になってきますね。

「シンプルな白磁のお皿には、いくらや数の子の色がとてもよく映えます。ワンポイントで南天や木の芽を差し色として添えても綺麗です」

いくらの赤が映える
数の子は形の良いものを選んでカットする
数の子は形の良いものを選んでカットする

「食べ終わるとかわいい絵柄が見えるのも素敵ですね。何が出てくるだろうという楽しみにもなります」

品数はどれくらい必要?

さて、好きなものばかり!とはいえ、品数はどれくらい用意するとよいのでしょうか?

「正解があるわけではないですが、今回の豆皿の場合であれば5品くらいがよいと思います。適度に深さもあるので、思ったよりしっかり盛ることができて驚きました。

5品でちょうどひとり分の分量になりますし、プレートなどに載せたときも見栄えがしてかわいいです」

丸いプレートに5つの豆皿がちょうどよく収まる
丸いプレートに5つの豆皿がちょうどよく収まる

一口に豆皿といっても、形や大きさ・深さはさまざま。

気に入った形を家族分揃えてみるも良し、バラバラの形で組み合わせを工夫するも良し。気軽に揃えられる豆皿だからこそ、楽しみ方も広がります。

個性豊かな豆皿たち
個性豊かな豆皿たち

「少し深さがあるものは、紅白なますや筑前煮など、汁の出るものを安心して盛ることができます。

細長い形の豆皿には、かまぼこなんかがオススメです。また、黒豆のように盛り方で形を調整できるものも使いやすいと思います」

煮物も安心して盛ることができる
煮物も安心して盛ることができる
細長い豆皿に盛り付けやすい黒豆
細長い豆皿に盛り付けやすい黒豆

ちなみに、おせちに使われるかまぼこは幅広のものが一般的ですが、豆皿に載せる場合は普段の食卓に上がるような細長いもので良さそうです。

小さい豆皿ですが、しっかり高台がついていることもポイントなのだとか。

「洋食器の平皿の場合、のっぺりとした印象になることもありますが、今回の豆皿は高さが出るのでお料理が映えます。

プレートやお盆に乗せてもよいですし、クロスや和紙の上に直接並べても高さがあるので見栄えがします」

高さがあることで料理が映える
高さがあることで料理が映える

小分けにすることで食べやすい食材たち

お重のおせちでは、隣の食材の味がうつってしまったり、人によってはみんなで同じ料理をつつくのに抵抗があったりということも。

そうしたことが気になる食材ほど、豆皿に載せるのがオススメです。

くっつきやすい田作りも、小分けすると便利
くっつきやすい田作りも、小分けすると便利

「栗きんとんや、くっつきやすい田作りなどは、小分けになっている方が食べやすいですよね。または、お汁まで食べたいなと思うもの、味移りが気になるものも、ひとり分を豆皿に載せてあげるとよいと思います。

また、黒豆は、買ってくると味が濃いものが多かったりします。家で作れば細かい調整もできますし、多めに作っておいて、食べるときに一回分を盛るのに豆皿は最適ではないでしょうか」

豆皿に食べる分だけの黒豆を
工夫次第で並べ方はさまざま
工夫次第で並べ方はさまざま
手ぬぐいの上にのせてもかわいい
手ぬぐいの上にのせてもかわいい

小さくてかわいく、縁起もよい「豆皿」。

デザインや形、産地のことなどさまざまな切り口で選ぶのも楽しいはず。

お気に入りの豆皿と自分好みのおせち料理で、おめでたい新年を迎えましょう。

<関連商品>
・中川政七商店の豆皿特集:産地のうつわはじめ

<取材協力>
三井愛(みつい あい)
フードーコーディネーター・栄養士

フードコーディネーター・栄養士として、フードコーディネータースクールの企画・運営、料理教室、食育教室の企画・運営、スタイリング・撮影、栄養カウンセリング、メニュー開発、商品開発、コラム執筆など、食にかかわる業務を行なっている。

文、写真:白石雄太

※こちらは、2018年12月5日の記事を再編集して公開しました。うつわを集め始めるきっかけとしても手軽で楽しい豆皿。気になるデザインがあればぜひ一度手にとってみてください。

【わたしの好きなもの】The Magic Water

コンロの掃除を劇的に楽にしてくれたクリーナー


原材料は水だけ。なのに汚れ落ちがよく、除菌もできる。本当に?と半信半疑ではあったものの、以前デモンストレーションで見せてもらった、油性ペンの書き跡がみるみる剥がれ落ちていく様子が忘れられず、ものは試しと使ってみたのが1年ほど前。




もともと掃除や除菌にスプレータイプの消毒用アルコ-ルを使っていたので、そんなに使用頻度は高くないだろうと思っていたのですが、いざ使ってみると「これじゃなくちゃ」というシーンが意外と多く、ストックを切らすことなく今も使い続けています。

使ってみて実感しているのが、本当に油汚れがよく落ちること。原料は水だけなのになぜ?と不思議に思いますが、一生懸命説明を読んだ結果わかったのは、水を電気分解するとアルカリ性と酸性の2種類の水に分かれ、The Magic waterはその分かれたアルカリ性の水だけを抽出しているから、ということ。

キッチンの油汚れや手垢など身近な汚れの多くは酸性のため、アルカリ性の水と触れると中和作用が起きて汚れが落ちるようです。ただ、あくまで原材料は水だけなので空気にふれると徐々にアルカリが中和されて普通の水に戻るため、まな板の除菌や子どもが口に入れるおもちゃ、ペット用品にも使えるくらい安心、というわけです。

それを踏まえ、私が主に使っているのはキッチン周りです。



中でもこれは手放せない!となった1番の理由がコンロの掃除を劇的に楽にしてくれたこと。コンロを使った調理の後、五徳を外して全体にざっとスプレーしてそのまま食事。食べ終わる頃には汚れが浮いているのでそれを拭き取ると、嘘みたいにさっぱりときれいになります。アルコールのようにすぐに揮発してしまわないので、油汚れだけでなく乾いて硬くなった汚れもゆるみ、軽く拭くだけでつるつるに。洗剤のように泡が残ることもなく、拭き残ったとしてもやがて水に戻るので2度拭きもいらず、本当に楽ちん。ついでに、という感じでコンロ周りの壁や操作パネルも掃除できるのでキッチンがきれいな状態が続いています。

また、電子レンジや炊飯器、冷蔵庫の扉など洗剤が残ると嫌なものの掃除にもよく使っています。吹きつけて30秒~1分ほどそのままにしておくと除菌されるとのことなので、それも安心材料になっています。以前はアルコールを吹きつけたふきんで拭いていたのですが、アルコールはプラスチックやアクリルを白く濁らせてしまうことがあって、他に何か…と探していたのがThe Magic Waterにより解決しました。

他には犬のクッションの除菌・消臭や、アクリル製のトイレトレーの拭き掃除、夏には蚊取り線香入れの蓋についたヤニを落とすのにも重宝しましたし、ホコリがまいてベタついたペンダントライト、リモコンやドアの把手にも…。と、使っているシーンを思い出せばキリがないくらい、あちこちで活躍しています。

ひとつ失敗だったのが、最初に説明をあまりよく読まずに無垢のアルミを使ったトースターの内部に使ってしまったこと。幸いこのときは見た目に特に変化はなかったのですが、無垢のアルミはアルカリ性に弱く、変色や腐食の原因になるようです。アルミ鍋に酸素系漂白剤を入れて見事に変色させてしまったことをきっかけに「あれもまずかったのでは?」と気がついたのですが、それからは初めて使う素材は使っていいかどうか確認しながら使うようにしています。



原材料は水だけ、と言ってもアルカリ性のものなので何でもこれでOK!というわけではないのですが、とにかく今のところコンロ掃除に使うクリーナーでこれに変わるものがありません。ボトルのデザインもよく、掃除しているのに何となく気分が上がるところも大好きです。これからもストックを欠かすことなく、使い続けようと思っています。

編集担当 辻村

職人のありえないコラボから生まれた、燕三条のキッチンウェア「enzo」

キッチンウェア選びの“悩ましさ”

フライパンに鍋、ざるや包丁などの調理器具・キッチンウェア。

一度購入すると長く使うことになるこれらの道具を、こだわって選びたいという人は多いのではないでしょうか。

ただ、一口にキッチンウェアといっても、“焼く”に特化したフライパンと“切る”に特化した包丁とでは役割が異なるように、それぞれの道具に求められる要素は様々です。

役割が違う道具である以上、メーカーやブランドによって得意不得意は出てきてしまうもの。

そのため、使い勝手や機能性を個別に検討していくと、ブランドが分かれてしまいキッチンウェア全体のまとまりがなくなってしまう。逆にブランドを揃えようとすると、アイテムによっては機能性にもの足りない部分が出てくる。

キッチンウェア選びには、こうした悩ましさがつきものでした。

その悩みを解決する、機能性の追求と世界観の統一。この両立を目指したキッチンウェアブランドが、新潟 燕三条の地で生まれました。

日本を代表するキッチン用品の産地で生まれた「enzo」

世界でも有数の金属加工の産地として知られる、新潟県 燕三条エリア。その高い加工技術を背景に、キッチンウェアづくりにおいても国内有数のシェアを誇っています。

金属加工産地である燕三条
金属加工産地である燕三条
金属加工産地である燕三条
様々な加工業がひしめく燕三条
様々な加工業がひしめく燕三条

燕三条の大きな特徴は、工場の垣根を超えた、多素材・多製法のものづくりが行われている地域であるということ。自然環境的に恵まれていたわけではなく、何もない状態から、他産地の技術や多様な素材を取り込み、多素材・多製法のものづくりが混在する珍しい地域へと成長してきました。

「どれか一つ」ではなく「なんでも造れる」。

この強みを最大限にいかし、複数社の強みを掛け合わせることで誕生したブランドが「enzo(エンゾウ)」。

enzo

燕三条で60年以上にわたってキッチンウェアづくりに関わってきた産地問屋、和平フレイズ株式会社が新たに立ち上げた「made in 燕三条」を掲げる総合キッチンウェアブランドです。

和平フレイズ
和平フレイズ

「燕三条のものづくりのノウハウが詰め込まれた商品群で、かつ、ひとつの世界観を持たせるということに挑戦しました」

「enzo」のプロダクトデザインおよびブランドディレクターをつとめた堅田佳一さんはそう話します。

堅田佳一さん。新潟の燕三条をベースに活動するクリエイティブディレクター、プロダクトデザイナー
堅田佳一さん。新潟の燕三条をベースに活動するクリエイティブディレクター、プロダクトデザイナー

多素材多製法で文字通り“なんでも”つくってきた燕三条だからこそ可能なキッチンウェアの集合体。それぞれに最適な素材と製法を組み合わせ、使い勝手の良く洗練されたキッチンウェアをつくり出しました。

複数社の強みが交わることで、不可能が可能になる

今回、「enzo」の第一弾商品としてラインアップされたのは、「鉄フライパン」「鉄中華鍋」「ステンレスざる」「ステンレスボール」の4商品。

“焼き調理”に特化した鉄素材のフライパンは、直径20センチから26センチまでの4サイズ展開。いずれのサイズも、焼きムラが起こりにくいように底面を広く取った形状で、底の厚みは実験の結果、もっとも熱効率が良かったという2ミリ厚で統一されており、IHにも対応します。

enzoのフライパン
木のハンドルが印象的な鉄のフライパン
「enzo」の鉄フライパン
おすすめ料理はステーキ

鉄のフライパンでは珍しい木のハンドル(持ち手)が印象的ですが、使い勝手の面でも非常に持ちやすく、また、重さをそこまで感じない重量配分になっています。鉄フライパンに抱きがちな重くて使いづらい印象とは、いい意味で大きくギャップのある商品です。

フライパン

このハンドル部分は「鉄中華鍋」、さらに第二弾商品として発表が予定されている「鍋」とも共通になっています。

「フライパン・中華鍋の皿部分、第二弾発表予定の鍋、そしてそれぞれのハンドル部分は別々の会社にお願いして、会社の垣根を超えたデザインの統一を目指す体制をつくりました。ハンドルはさらに、ワイヤー部分と木の部分でそれぞれ別の専門会社に作ってもらっています。

フライパン・中華鍋・鍋が揃った時、ハンドルが共通であることでひとつの世界観が完成する。そういった狙いがあります」

ワイヤーと木で構成されたハンドル部分。ものづくりに従事する人から見ると、かなり難易度の高い設計
ワイヤーと木で構成されたハンドル部分。ものづくりに従事する人から見ると、かなり難易度の高い設計

堅田さんがそう言うように、何社かのメーカーの良さをクロスさせることで不可能が可能になり、総合キッチンウェアブランドと呼ぶにふさわしい、共通の世界観を持ったラインアップが完成しました。

ちなみに、ワイヤー部分の加工をしたのは、普段キャッチャーマスクなどもつくっている会社。

ワイヤーを複雑に曲げ、視野を広く見せ、かつ強度も保つことが必須な非常に加工条件の厳しいキャッチャーマスク製品を見て、「これは技術力がある!」と感じたそうです。

和平フレイズが問屋として培ってきたノウハウと、燕三条で切磋琢磨してきた各メーカーの高い技術力が合わさって、「enzo」のコンセプトを体現する製品が作り上げられました。

女性にも扱いやすい。軽さを追求した鉄中華鍋

もちろん、意味もなくマニアックで難しい加工をしているわけではなく、きちんと使い手のメリットにもつながることが大前提。

「ものづくりに従事している人たちが見ても納得できて、一般の人が見てもその良さ、特徴が分かるもの。それを心がけています」

様々な料理に使える「鉄中華鍋」は大・中・小の3種類(22センチ、26センチ、28センチ)。サイズに応じて持ち手の角度を調整してつけられていることと、軽さを追求した薄い鉄素材を使っていることで、中華鍋のイメージを一変させるほど軽く、女性でも扱いやすい鍋に。

enzoの中華鍋
女性にも扱いやすい「鉄中華鍋」
「enzo」の中華鍋
ハンドルの角度にまでこだわった

薄い素材ながら、燕三条を代表する槌目(つちめ)模様の加工で強度も担保。底面はフラットな形状にしたことで、こちらもIH調理に対応しています。

機能性と強度を高めた“一生モノ”のステンレスざる

ともすると、100円ショップのものでいいかと、妥協しそうにもなる「ざる」と「ボール」。これらのアイテムに関しても、徹底して使い勝手と道具としての存在感を追求しました。

「ステンレスざる」のコンセプトは“ざる屋さんの末長く使えるざる”。普段、意識することはないかもしれませんが、実は「ざる」には、ざる屋さんがつくったものと、ボール屋(器物屋)さんがつくったものが存在します。

enzoのステンレスざる
一生モノと呼ぶにふさわしい「ステンレスざる」を目指した

ボール屋さんがつくる「ざる」は、ステンレスの板材に丸い穴が均等に空いている、いわゆる“パンチングざる”といわれるもの。こちらのメリットはシンプルなつくりであるため強度が出しやすいことですが、ざる本来の役割である水切りの性能で比べると、ざる屋さんがつくる“メッシュ”タイプのものがやはり優れているんだとか。

そこで「enzo」では、水切り性能に優れたメッシュ素材で、強度をきちんと担保できる「ステンレスざる」を製作しました。

「ざるの課題として、叩いてしまいがちなフチの部分が変形してしまったり、使用していく中で網がガタつき外れてしまったりすることがあります。その辺りの課題を克服できれば、末長く使える一生モノのざるが作れると考えました」

ざる

ざる

フチの部分には通常は入れない“芯材”を巻き込むことで強度を上げ、網自体も太めのステンレス材で強固に仕上げています。

芯材を入れて強度を高めた設計
芯材を入れて強度を高めている

「芯材を入れるというのは、手つきざるの取っ手部分に使う技術なのですが、ヒアリングの中で、それこそが網を固定し、縁部分の強度を高める技術になると発見しました。

そして、その技術をフチ全部に入れてみましょう!ということをメーカーさんに提案し、かなりの試行錯誤を経てなんとか実現できました」

ボール屋さんがつくる「ステンレスボール」とフチ部分のデザインを合わせ、2社が介在していることを意識させない設計です。

ステンレスボール
ステンレスボールと重ねると、別々のメーカーでつくったとは思えない一体感がある
enzoのステンレスボール
深めで膨らみのある形状が特徴の「ステンレスボール」

燕三条の技術を掛け合わせ、さらに拡大していく「enzo」

燕三条という、多種多様な加工技術が集積した稀有な場所で、それぞれの分野の作り手たちが集結した、いわばオールスタープロジェクトとも言える「enzo」。

燕三条の“燕”と“三”を取った「燕三(エンゾウ)」、産地の職人と職人、技術と技術をつなげる“縁”になるものづくり、さらに工場と消費者の“縁”も“造る”という「縁造(エンゾウ)」の意味を重ねて、「enzo」というブランドネームがつくられました。

enzo

「今は6社がenzoの取り組みに参加してくれています。まだまだスタートしたばかり、もっと人と人の繋がり、縁を広げて、成長していきたいと思っています」

と、enzoプロジェクトを立ち上げた、和平フレイズ 代表取締役社長の林田さんは決意を込めて語ってくれました。

和平フレイズの林田社長
和平フレイズの林田社長

「和平フレイズという軸に、燕三条という場所、そして各メーカーさんの持っている技術を組み合わせた時、そのパワーを最大化するとどういったアウトプットになるのか。

そんな風に考えて商品を設計しています。今後3年でサイズ展開も含めて45〜60種類くらいのラインアップに育てていきたいと思っています」

と話す、堅田さん。

今後も作り手、使い手双方の意見を取り入れながら、商品ラインアップを拡充させていく予定です。

<取材協力>
和平フレイズ株式会社
https://www.wahei.co.jp/
「enzo」
https://enzo-tsubamesanjo.jp/
堅田佳一さん
https://katayoshi-design.com/

文:白石雄太
写真:浅見直希、和平フレイズ提供



<掲載商品>

【WEB限定】enzo ステンレスざる 21㎝
【WEB限定】enzo ステンレスボール 21㎝

【わたしの好きなもの】麻ウールのあったか綿入れジャケット

ふかふかで軽くてお布団に包まれてるような心地よさ


冬の防寒といえば、ダウンジャケットを思い浮かべますし、私も持っています。
確かに暖かいのですが、ちょっとカジュアルだなと思う時もあります。
大人っぽい装いで出かける時に似合うアウターとして、今年取り入れたのが「麻ウールのあったか綿入れジャケット」です。

このジャケットは、やさしいふかっとした肌触りがまるでぬくぬくとお布団に包まれているような感覚になるんです。
ダウンジャケットと変わらない軽さは、肩に重さを感じず過ごせます。普通にニットを来ていても、軽く袖を通せて窮屈さもありません。



麻ウールというだけあって、表地はウールだけよりさらっとしていますが、麻だけよりも暖かみを感じる手触りです。
少しシワ感があり自然な風合いが、こなれた感じに見えたります。
麻はもともと繊維の中に含まれる空気が多く冬でも暖かいという特徴がありため、ウールを混ぜてさらに保温効果がアップしています。
中綿も蓄熱効果の高い素材で、膝の上に乗せているだけで、じわっと暖かくなるほど。



袖口や裾は縫い目がなく折り返してあるので、ふわっとやわらかい表情です。
ふかふか、ふわっとしていますが、ダウンのようにもこもことした厚みがないので、
薄いわけではないのに着回しやすい。
車で出かけるときにも、ちょうどいいんです。暖房が効くまでジャケットを着たままでも運転しやすいし、
そのまま着ていれば暖房を効かせすぎなくてもいいのでエコです。



首元は襟が立ち上がっているので、寒さを防いでくれるし、ふかっとやわらかいので巻きものを
巻いたときには邪魔になりません。



肩こりの私は、とにかくこの軽くて暖かくてもこもこ窮屈感がないというのが最高です!
待ってましたのアウターは、毛玉もできにくく毎年永く着ていきたい定番となりました。

編集担当 今井
 

【わたしの好きなもの】袋が固定できるごみ箱

袋を付ける作業が好きなんです


リビングのごみ箱って、袋をつける派、つけない派って、それぞれの生活スタイルによると思うのですが、
我が家は「つける派」です。
なぜなら、子供がどんなゴミを捨てるか油断ならないから。。
紙類だけにしてと言っても、ずぶ濡れになったティッシュ(きっと飲み物をこぼしたんでしょう…)、
みかんの皮、溶けたチョコの何か…などなど、気付けばあやしいゴミがわんさか。

外側に袋が見えるのが嫌だから、何度か「つけない派」でチャレンジしましたが、
気付くと何かが付いている。。やっぱりこのイライラを軽減するには、「袋をつける派」で解決することにしました。




このごみ箱の好きなところは、見た目もとてもシンプルで、袋を付ける仕組みもシンプルなところ。

大正7年創業『Bunbuku/ぶんぶく』社で昭和30年代後半頃から発売され、
年々少しずつ改良を重ねて作り続けてきたというのだから、
生まれてから今までで、どこかで目にしてきたはず。
なんだか懐かしくて家に馴染むのは、きっと記憶のどこかにその思い出があるのだと思います。


さて、「袋が固定できる」という最大の特徴ですが。
ごみ箱の上から5cmくらいの所にある溝のようなくぼみを利用して袋を固定するリングをセットするというもの。
これがストンとはまる瞬間が「よしっ」と思わせてくれる気持ちよさ。
上からずるずるーっと下げていくと簡単にセットできます。外す際にも、くいっと引っ張れば簡単に外れます。
簡単に外れるけれど、ぴたっとはまっている間は、袋をずらさない頼れるリングなんです。
こういう作業って、毎回なんだか面倒だなって思うものですが、このごみ箱に限っては、ちょっと楽しい作業なんです。



もう1箇所、キッチンにもペットボトル分別用としても使っています。
スーパーなどのリサイクルに出すので、蓋のないごみ箱で、どれくらいたまったか見た目ですぐわかる。
いっぱいになったら袋ごと持っていって、リサイクルコーナーへ。
ペットボトルは洗ってきれいなので、袋はそのまま買い物用になったり、まだ使えそうだったらまたごみ箱にセットされることも。



昔から公共の場でもすんなり馴染むようなデザインのものを作ってきたメーカーだから、
リビングにもキッチンにもすんなり馴染むのは「さすが!」と納得です。
 


編集担当 宮浦


<掲載商品>
袋が固定できるごみ箱

中川政七商店のものづくり実況レポート。ふわふわの毛布とルームウェアを生み出す、毛布のまち 大阪 泉大津へ


中川政七商店の人気アイテムのものづくり現場をスタッフが実際に訪ねる「さんち修学旅行」、今回は大阪へ。

前編ではロングセラー商品「もんぺパンツ」のさらさらのはき心地の秘密を、大阪堺に訪ねました。

後編はその足で向かった毛布のまち、泉大津の今新毛織株式会社さんのものづくりをご紹介。

これからの季節にぴったりの、あたたかなオリジナル毛布やルームウェアの生地を作っていただいています。

 
泉大津の2重織毛布

▲新商品「泉大津の毛布でつくったかいまきウェア」「泉大津の毛布でつくったルームシューズ

ここからは、ルクアイーレ店店長の福井がお届けします!

 

日本最大の毛布の産地、泉大津へ


毛布の産地は泉大津やその周辺で全国の9割を締めているとのこと。日本で最大の産地と言えます。     
     
その中でも、今新毛織さんは、織りから染色、整理加工、縫製までを一貫生産する国内唯一無二の工場。  



本日は毛布ができるまでの工程を見学させていただけることに。柔らかい毛布はどのように作られているのでしょうか…

本日は今井社長と横田専務にご案内いただけることに。


▲工場を案内くださった今井社長

毛布はつくり方によって織毛布、マイヤー毛布、タクト毛布の3種類があります。
今回は、織毛布の代表であるウール毛布ができるまでを見学させていただきました。

毛布を作る反物は1反40mほど。毛布約20枚分にあたります。

織りあがった反物には、織り工程で着いたホコリや汚れがあり、紡績の際に油を使っているため、その脂分を落とすための洗浄が行われます。

織りあがった反物を糸でつなぎ合わせて、大きな洗浄機へ。



石鹸洗いを5回、水洗いを4回繰り返し、絞るところまでをこの機械で行います。

次は、染めの工程へ。
約100℃の蒸気で加熱。約90分で染めあげたら、大きな脱水機でしぼります。

染色が終わると、次は毛布づくりの要となる起毛工程へ。


ウールの場合は繊維が弱いので、摩擦を抑えて毛羽を取るため、濡れている状態で一度起毛の機械にかけ、乾かした後に残りの仕上げの起毛をかけます。

そうすることで、繊維を傷めることなく満遍なく毛を立たせることができるそう。



起毛機にはたくさんの針がついたローラーがついていて、繊維を突き刺して持ち上げるようにして毛をだしていきます。ローラーの間を何度も通るうちに繊維が1本1本引き出され、柔らかな毛布らしい手触りが生まれます。





伺って印象的だったのが「起毛というのは、生地の土台を残しつつ、綿(わた)に戻していくということ」という言葉。

綿に戻すという表現に想像が膨らみ、だから毛布ってふわふわなんだ。と改めてものづくりの面白さを感じました。


▲起毛する前とした後(右下部分)の違いがわかる見本。これだけ変わるんですね!

起毛は、毛布づくりでは最も重要な工程のひとつで、長年にわたって培われた起毛師さんの熟練とカンによりやわらかな風合いが生み出されています。

「機械で毛羽を出しているけれど、最高の風合いで仕上げるというところは、人の手によって決められているんです」という今井社長の言葉が心に残りました。


その後、仕上げとして起毛した毛の長さを揃えてカットするシャーリングと、毛の縮れに高圧のアイロンをかけて延ばすポリッシャーという処理が行われ、表面に光沢が生まれすべすべの手触りの毛布になっていきます。



最後の縫製工程では、両方のふちにヘムを縫い付けて裁断し、手作業で幅方向のヘムとタグを縫い付けて完成。



たくさんの大きな機械を通して毛布が完成する傍ら、その工程ごとに毛布の仕上がりを実際に手で触れて確認するということが大切で、手触りのよい毛布を作り上げるためにはたくさんの人の手がかかっているということを感じました。






▲ 今新毛織の工場。まるでひとつの町のように広いこの場所で、様々な工程が行われています

全盛期には3000万枚という生産量でしたが、海外から安価な毛布が入ってくるようになり今ではピーク時の5%ほどに減ってしまったとのこと。

毛布ならではのやわらかい肌触りの生地を、毛布としてだけでなく他の製品として生活に取り入れられるのでは…と新しいことにもチャレンジしていきたい。と今井社長。

中川政七商店の「泉大津の2重織毛布」や新商品「泉大津の毛布でつくったかいまきウェア」「泉大津の毛布でつくったルームシューズ」にも、そんな今井社長の熱意が込められています。





毛布でつくったあたたかくて、肌触りの良いルームウェアは冬の寒さを和らげてくれることまちがいなし。

毛布やさんが作っているからこそ、ふっくら嵩を出す起毛が実現されているということを実際に手に取って感じていただけるように、お店で伝えていきたいと思います!