【わたしの好きなもの】「防水機能で中身を守る」BAGWORKS CAMERAMAN

おでかけに連れていきたいカメラバッグ

趣味で始めたカメラ。週末には写真を撮りに車や徒歩でよく出かけます。

いつもリュックカバンに一眼レフカメラを入れて出かけていましたが、いざ写真を撮りたいときにさっとカメラを取り出しにくいし、何より衝撃に心配でした。
何年も使っている愛用のカメラのためにカメラバッグを買おうかと思っていましたが、どれもでかくて本格的なものばかりでごつごつしく手軽なものがあまりなく、欲しいと思えるカバンとなかなか巡り会えませんでした。

肩がけのカバンでカメラを取り出しやすく、衝撃から守ってくれる、そしておしゃれで使いやすいもの…。
そんなカバンが欲しいなぁと思っていたところ、ついに理想のカバンを見つけました。

BAGWORKSの「防水機能で中身を守る」BAGWORKS CAMERAMANです。
そう、うれしい。なんと防水機能も備えています。

外側はやわらかい帆布、内側にターポリンという防水機能を持つ素材が使用されています。
水に濡れると一見帆布に水が染み込んでいくように見えてしまいますが、内側でしっかり防水をしてくれます。
急な雨に濡れてしまっても大切なカメラを守ることができて安心です。




僕はいつも出掛ける際はカメラと財布を入れ、外側のポケットにスマートフォンを入れます。写真を撮りに行くくらいなら必要なものはこれくらいなので、とても”ちょうどいい”サイズ感です。 荷物がかさばらないので写真撮影にも集中できますし、どこへでも連れて行きたくなります。




カメラやレンズは様々な大きさがあると思いますが、やや小ぶりな一眼レフであれば本体にレンズをつけたままでもレンズがもうひとつ横に入ります。




もうひとつ、おでかけが楽しくなるポイントがあります。娘のおでかけセット入れにもちょうどいいのです。
おむつ、哺乳瓶、おしりふき、あと小さめの水筒も入るので、ちょっとそこまでの買い物や公園へのおでかけにぴったりでした。
かさばりがちな幼い子供の荷物。妻と僕と荷物を分担することで、妻の負担も減りますし、家族全員でおでかけが楽しくなりました。




カメラも子供の大切なグッズも守ってくれるカバン。 使い方によっては、もっといろんな使い方ができると思います。 僕はたまにお弁当入れとしても使っています。 いつもと変わらないお弁当が、なぜかこのカバンに入れるとお昼時が待ちきれない気持ちになります。 休日にはお弁当を入れておでかけ、というのも良いかもしれません。

このカバンの便利さ、手軽さを味わうといろんなところに連れて行きたくなります。本当に買ってよかったと思えるカバンです。
娘が大きくなったら、このカバンと一緒に遠出もしてみたいと思います。

編集担当 森田

<掲載商品>
「防水機能で中身を守る」BAGWORKS CAMERAMAN

中川政七商店が残したいものづくり #04郷土玩具

中川政七商店が残したいものづくり
#04 郷土玩具「鹿コロコロ」



商品三課 羽田 えりな

私は郷土玩具が好きです。
 
郷土玩具ってご存じですか?
いろんな定義がありますが、簡単に言うと日本各地で作られた「手づくりのおもちゃ」です。
発祥は、大昔から伝わっていたり、近代になってどなたかが趣味で作られたものが広がっていったりとさまざまなケースがあるのですが、よく聞くのは、位の低い武士や農民が閑散期の収入を賄うために作り、広まったという話です。

玩具の素材は、木や土と様々。
その中でも紙を何層にも固めて作る「張子」というものがありました。
江戸時代の城下町は商人文化ということもあり、不要になる紙が多かったことから、お城のあった地域には張子の玩具が多く残っているのだそうです。
玩具それぞれにそういった歴史に絡んだ背景もあり、知れば知るほど面白いものです。
 
私の家には、これまで集めてきた郷土玩具がたくさんあります。
作り手さんから直接購入したもの、玩具博物館の物販コーナーで見つけたもの、骨董市で出会ったもの、郷土玩具の愛好会でいただいたもの…と、小さなものや名もなきものまで含めると、その数ざっと100種ほど。
さすがに全部は飾りきれないので、選抜の玩具だけがリビングや玄関、お手洗いの棚といった、彼らにとっての「ステージ」へ送り出されます。
ひとり密かに飾るコンセプトを考え、ステージに上げる玩具を選出する気分は、アイドルのプロデューサーさながら。
ちなみにここ最近の私の推し玩は、長野県のそば食い猿です。



そんな郷土玩具たちへの愛に、「敬意」がはっきりと加わったのは、鹿コロコロを開発したときのこと。
開発初期、私は鹿コロコロの試作のため、張子づくりの技術を習得することから始めました。
作り方を教えてくださる職人さんを見つけ、直接お話を伺い、時には制作過程の写メを送ってアドバイスをいただきながら、数週間かけてやっとこさ1つ完成させたのですが、これがまぁ労力のわりにかわいくない。


「元々は庶民の仕事たったわけだし、材料も特別なものはいらないし、できるでしょ!」と超甘い考えだった自分を恥じました。全国の張子職人さん、本当にごめんなさい。
 
でも、実際に手を動かしたからこそわかったことがありました。
それは、張子づくりは本当に手間暇がかかるということ。
うちの張子たちも、こんなに長い道のりを経ていたとは。
これから商品として継続的に量産するには、製造工程も、生産体制も見直す必要があると心底思いました。
 
このときの実体験から、鹿コロコロの開発では「昔の良いところは生かしながら、いろんな人が作りやすくなる方法」を模索していきました。
その方法は、ベースの型を3Dプリンターで起こしたり、樹脂で型を量産したり、車輪に絵付けするための治具を作ったり…。
GoodJob!センターさんとお話しながら生まれた小さな工夫が積み重なって、現在の形になっていきました。
デジタルと手仕事を融合させて生まれた、新しい郷土玩具です。




今世の中に存在する郷土玩具の多くは、宗教的な意味合いとか、子供の無病息災を願う役割などから始まっていて、生まれた時は「郷土玩具」とは呼ばれていなかったと思います。
何十年、何百年も愛され続けた結果、「郷土玩具」になったのではないでしょうか。
そう思うと鹿コロコロも、本当の意味ではまだまだ郷土玩具ではありません。
まさに今、歴史を歩み始めたばかりです。
 
鹿コロコロは奈良の郷土玩具になったのか。
その答えが出る100年後が、私は今からとても楽しみです。

商品名:鹿コロコロ
工芸:郷土玩具
産地:奈良県香芝市
一緒にものづくりをおこなった方:Good Job! Center KASHIBA
商品企画:商品三課 羽田 えりな


<掲載商品>
鹿コロコロ(奈良)

【デザイナーが話したくなる】麻わたウールのセーター

冬の麻もの、糸からつくりました




麻と言えば夏、という印象が浸透していますが、実は、冬にも嬉しい効果があるのをご存知でしょうか。麻の商いから始まり300年、長く向き合ってきた中川政七商店だからこそ分かる魅力を引き出した、冬の麻ものを企画しました。

デザイナーの二井谷さんに話を聞いてみると、
「一口に麻と言っても実は20種類以上もあるんです。今回使用したのはリネンなのですが、繊維の中に空気が含まれていて、寒い季節には、天然のサーモスタットの役目を果たすような機能をもっています。」

オールシーズンに適した麻の特性を感じてもらいたい、という想いから、冬の麻ものづくりがスタート。
麻を活かした糸作りをご一緒してもらうなら!と相談に向かった先は・・・


独自の糸作りで世界に知られる佐藤繊維さんと開発




戦前からニット産業が盛んな山形県寒河江市で1932年創業の佐藤繊維さん。
天然繊維それぞれの機能を組み合わせて、これまでにない新しい糸作りをされています。
安い海外製品に押され軒並み廃業になってゆく国内企業の中で、こだわりの独自の糸作りで唯一無二の立ち位置を確立し、世界中の名だたるブランドが佐藤繊維さんの糸に惚れ込んでいます。



麻をいれた冬らしいニットをつくるのであれば、空気をふくむ紡績を施したふっくらとやわらかなウールをベースに、麻のわたを混ぜるのがいいのではないか、と編み地のサンプルをいくつか見せてくれました。
触ってみると、麻特有のシャリシャリとした涼しげな手触りではなく、冬のニットらしく温かみのある手触りです。



「麻が夏のものだと思われているのは、手触りがシャリっとしていて接触冷感の効果があるからだと思います。今回は、そんな麻の印象を一転させて、見た目も機能も手触りも冬にふさわしいものを作りたかったので、麻のわたを混ぜるという佐藤繊維さん独自の技術があってこそ実現できた物になりました。」

強度を出す為につよく撚った糸の状態で織ったり編んだりすると、どうしても清涼感のある手触りが前面に出てしまう麻。特殊な糸作りの技術で、麻に撚りをかけずにわたの状態で糸にすることで、やわらかく温かみのあるニットが完成しました。



佐藤繊維さん独自の糸作りにかかせないのが、古い機械に改良を加えたオリジナルの機械。大手紡績工場が標準的な糸を効率よく生産するために交換した、本来廃棄されるような機械です。古い機械は、効率はよくないけれど、機械自体がゆっくり動き繊細な原料でも引くことができる為、丁寧に糸を作るのに理想的な構造になっているそうです。

古いとはいえ、世の中に流通している機械ですが、麻をわたの状態でまぜた糸作りは効率が悪く大量生産に適していない為、佐藤繊維さん独自の技術になっているのだそうです。この温かみのある糸は、効率第一ではなく、素材を活かすために試行錯誤を重ねた作りたいものをなんとしても作るための“物づくりの現場”から生み出されたからこその風合いです。


見た目も機能も手触りも、冬にふさわしい麻のもの




糸作りからこだわって完成したニット。
「ニットの風合いが面白いものにできたので、それを活かしたくて、形はあえてシンプルで定番なものにしました。」
という言葉のとおり、どんな服にもあわせやすいベーシックな形に仕上がりました。



一見シンプルに見えて、こだわりの糸ならではの豊かな表情。ざっくりと編み、絶妙な縮絨(しゅくじゅう)加工* を施していることで、ウールのふくらみがより一層引き立ちます。
佐藤繊維さんがアレンジした古い機械でつくられたからこそ、画一化された工業的なものではなく、1つ1つ風合いが違う温かみのあるニットに仕上がりました。

※縮絨加工:毛織物の仕上げ工程の一つ。ニットの風合いを決める重要な仕上げ法。適度な縮みが入り、ふっくらと仕上がる為、セーター・カーディガンなど定番のニットに最適な風合いになります。



素材の特性を活かしたいという佐藤繊維さんと中川政七商店の想いが形になって出来上がったニット。社内で感想を聞いてみると、ボリュームがあるのに軽くて楽、という感想が口々にあがりました。冬は重ね着で肩が凝りがちなので、暖かくて軽いのは嬉しいポイントです。
素材によって糸の染まり具合が違って立体的、という声も。麻の特性を活かすために、ウールなど複数の素材を撚り合わせてつくった糸ならではの表情です。


今年はニットベストが新登場





季節の変わり目に、重ね着の主役として活躍します。シンプルながら素材感が印象的な大人の着こなしをお楽しみください。

中川政七商店が残したいものづくり #03麻

中川政七商店が残したいものづくり
#03 麻「中川政七商店の麻」


商品二課 河田 めぐみ

日本における麻織物の歴史は最も古く、長年にわたって人びとの衣生活を支えてきた麻。
かつて奈良は麻織物の一大産地でした。独自の晒技法で全国に広く知られていたのは純白の美しい麻織物「奈良晒」。
1716年、中川政七商店はそんな奈良晒を商いとして創業したのが始まりです。
 
創業から303年、世の中の主流は綿素材や化学繊維に変わりましたが、現在でも中川政七商店では当社のルーツである様々な麻の織り物や編み物を使用した衣服を作っています。
現在では様々な工程において機械化され大量に作ることができるようになりましたが、それと同時に、昔と変わらず手の仕事、手の感覚、みたいなものが、素材を作るうえで欠かせないものだということを感じます。

扱っているものは昔も今も変わらず天然の繊維。
毎年品質や特性も微妙に変化したり温度や湿度によっても仕上がりが大きく変わることがあります。
昨日は織れていたけど今日は織れない、みたいなことが多くあることを知りました。
まさに生命と向き合う仕事だと感じます。
そうして出来上がった生地には、機械で作ったものであっても、人の手のぬくもり、自然の豊かさを感じます。
そんな麻の特性を生かし、春夏秋冬、暮らしに寄り添い、心地よさとともにある麻の服作りを目指しています。

 

10月からの新作では、はじめて防寒機能のある中綿入りのコートを作りました。
普段着ている麻の服に自然と馴染むような冬のアウターを作りたい、という想いで企画しました。
表地に使用している素材は麻とウールを混ぜたもの。
染めから乾燥まで、ゆっくり時間をかけて仕上げているため自然素材ならではの皺感が独特な雰囲気を作り出しているのが特徴です。
生地に圧力をかけていないため麻であってもふっくらした暖かさがあります。
ぜひ冬に着る麻の風合いに触れていただきたいです。
 
 
シリーズ名:中川政七商店の麻
工芸:麻
産地:静岡県浜松市(麻ウールのあったか綿入れコート)
商品企画:商品二課 河田 めぐみ



<掲載商品>
手織り麻を使ったフリルシャツ

産地のうつわを気負わず毎日。「きほんの一式」の楽しみ方 <信楽焼・有田焼編>

 


益子、美濃、信楽、有田…日本はせまいながらも焼き物の宝庫。 
そんな全国の産地と、暮らしの中で気負わず使えるシリーズを作りました。
その名も「きほんの一式」。



産地ごとに、飯碗・中鉢・平皿・湯呑みもしくはマグカップをラインナップ。

一揃えあれば和洋問わずさまざまな料理に合い、朝・昼・晩と1日の食事に活躍します。




今回一緒にものづくりをしたのは、益子、美濃、信楽、有田の4産地。

それぞれどんな特徴や楽しみ方があるのか、「ここが◎◎焼ならでは!」「こういう使い方がおすすめ」などなど、作り手の皆さんに伺った産地横断インタビューを前後編に分けてご紹介します!

前編では益子焼と美濃焼をお届けしました。今回は後編、信楽焼と有田焼編をお届けします!


「素朴でありながら表情豊かなうつわ」信楽焼


▼信楽焼の「きほんの一式」とは
信楽焼の一式は、江戸時代に幕府に茶壺を献上して以来、茶壺をつくり続けてきた明山窯と制作。明山窯オリジナルの粗土ながら上品な表情の「明山土」を用いて、ざっくりとした風合いところんとした丸みある形のうつわが完成しました。

色は「並白」「黄はだ」「鉄茶」の3種類。信楽焼の雰囲気を残すため、 焼き上がりによって色や質感に様々な表情が生まれる釉薬を採用しています。使うほどに釉薬の表面の細かなひび(貫入)に色が入り、いい味わいに育っていきます。




このアイテムに注目!「信楽焼の飯碗」


「昔からの生活用具としての信楽焼らしさは、飯碗によく表れていると思います。

信楽では茶道のお茶碗も作られていて、『利休信楽』という利休好みの茶碗も有名です。

利休も愛した信楽焼の侘び寂びのある風流な味わいを、お楽しみいただけたら嬉しいです。

飯碗の小は、子どもの手にも馴染む大きさなので、小学校低学年ぐらいのお子様にも扱いやすいサイズですよ」




作り手おすすめの楽しみ方

うつわを楽しむポイントは、釉薬のあるところ、ないところの「差」だそう。


▲底や高台は釉薬をかけず、焼くと赤い「火色」が出る信楽の土味をいかしました

「無釉部分は信楽焼特有のザラっとした質感があり、その部分を程よく残すことで独特の『景色』を表現しています。

はじめはザラッとしているこの部分も使うほどに、表面がしっとりとしてくるのも愛着のわくところ。無釉部分は吸収しやすく汚れがつきやすいこともありますが、そのシミも味わいと捉えて楽しまれる方が多いです」

また信楽焼は、焼くタイミングなどによって個体差が出るのも特徴。

「私達の窯は特に個体差が出る『還元焼成』という焼き方を多く採用しています。

まるで昔の薪窯で焼いたような表情を残せて、同じものがないため、その個体差を店頭でお楽しみいただいて、自分だけの『ひとつ』を是非見つけていただきたいです」


うつわの色いろ

今回のきほんの一式シリーズでひときわ目を引くのが、信楽焼の明るい「黄はだ」色。その使い方についても、明山窯さんからアドバイスが。



「『黄はだ』は一見鮮やかではありますが、味のある渋めの色なので、どんなお料理にもしっくりと馴染みます。

朝食などにお使いいただくと、一日を明るい気分で過ごせる、そんな色ですね」

とのこと。うつわから元気をもらうというのも素敵なアイデアですね。




「印判絵柄のゆらぎが楽しいうつわ」有田焼


▼有田焼の「きほんの一式」とは

多様な絵付けの磁器で発展した、有田の高い印判技術をいかしました。江戸時代に庶民が愛した印判のうつわは印刷ならではのかすれやにじみが味わい深く、料理を明るく彩り引き立てます。

印判とは、焼成前のうつわに判や型紙、転写紙を用いて模様を写し取る絵付けの技法。この技術により絵付けにかかる時間が大幅に圧縮され、それまで高級品だった有田の染付磁器を庶民も手にすることができるようになりました。



転写とはいえ、ひとつひとつに現れるかすれやにじみが味わい深く、その表情は豊か。そんな印判のうつわに描かれるのは、子孫繁栄・長寿の意味を持つ「微塵唐草」、福を絡めとる「網目」、長寿を象徴する「菊花」。縁起のよい3つの絵柄が採用されています。

このアイテムに注目!「有田焼の飯碗」


「高台にこだわる産地としては、やはり飯碗に有田焼の特徴がよく出ていると思います」

と語るのは、有田焼のきほんの一式を手がけた金善窯さん。

「成形の工程で、一度型から抜いて削り込んで鋭角にすることで、一手間かかった美しいシルエットになりました」

薄作りの品のいい佇まいが魅力的です。



作り手おすすめの楽しみ方

「呉須と釉薬のコントラストは有田焼らしい魅力です」



「特に今回は、工業製品のような均質なイメージではなく、素材の持つ温かみを表現するために、あえて精製を抑えた陶土を使用しています。

磁器素材のもつ強度や扱いやすさは保ちながら、どこか懐かしい雰囲気のあるうつわに仕上げました。

特に微塵唐草は、和の雰囲気がありながら今の暮らしに合うデザインで、和食も洋食もどちらを盛ってもお料理が美味しく際立つと思います」



作り手も自信をのぞかせる仕上がり。確かにどこか北欧のような雰囲気も感じられます。

~~

産地を横断して眺めてみると、こんなに個性豊か。

作り手のみなさんの視点や思いに触れると、うつわへの眼差しもガラリと変わります。

店頭では実際にうつわが「産地横断」して揃い踏みしているので、ぜひ手にとってその違いを発見しながら、「私はこれ!」という出会いを楽しんでみてくださいね。

産地のうつわを気負わず毎日。「きほんの一式」の楽しみ方 <益子焼・美濃焼編>

 

益子、美濃、信楽、有田…日本はせまいながらも焼き物の宝庫。 そんな全国の産地のうつわを、暮らしの中で気負わず使えるシリーズができました。

その名も「きほんの一式」。



各地の窯元とともに産地ならではの味わいを大切にしながら、現代の食卓で活躍する「基本のうつわ」を制作。

産地ごとに、飯碗・中鉢・平皿・湯呑みもしくはマグカップを揃えました。

一揃えあれば和洋問わずさまざまな料理に合い、朝・昼・晩と1日の食事に活躍する使いやすいデザイン。



同じ産地で統一したり、違う産地で取り合わせたりと思い思いに楽しめます。







今回一緒にものづくりをしたのは、益子、美濃、信楽、有田の4産地。

それぞれどんな特徴や楽しみ方があるのか、「ここが◎◎焼ならでは!」「こういう使い方がおすすめ」などなど、作り手の皆さんに伺った産地横断インタビューを前後編に分けてご紹介します!

今回は前編、益子と美濃焼編です。


「ぽってりとした温かな手触りのうつわ」益子焼


▼益子焼の「きほんの一式」とは

益子の土をいかした、ぽってりとした愛らしい表情のうつわ。益子の伝統的な釉薬から3色を選び、玉縁 (たまぶち) と呼ばれる丸みのある縁を設けました。



手がけた和田窯さんは、できる限り地元の材料を使い、伝統的な益子焼を制作している窯元です。益子の土を使い、益子焼の伝統にならった釉薬を用いたうつわは、土地に根ざした健康的な美しさが魅力。

今回のきほんの一式にも、5種類の伝統釉のうち、糠白(ぬかじろ)、青磁(せいじ)、本黒(ほんぐろ)を採用しています。


このアイテムに注目!「益子焼の平皿」


食パンが1枚しっかり置けるぐらいの使いやすいサイズ感。汁気のあるカレーやパスタ、煮魚なども盛り付けられるよう、立ち上がりのある壁を周囲に付けました。

8寸の平皿は、和田窯さんが40年作りつづけているお皿。



窯の前身である合田陶器研究所の合田先生が韓国の窯を指導に行ったのをきっかけに、韓国のオンギ (キムチ壷) の蓋の形からヒントを得て生まれたプレートです。

デビューした当初は和食器が主流だったため高台は小さく鉢型だったものを、ナイフとフォークにも対応できる安定感のあるプレートにリデザイン。



海を渡り、また時代とともに進化を遂げたアイテムです。


作り手おすすめの楽しみ方

益子焼の特徴といえば何と言ってもその「ぽってり」とした佇まい。



実は、土を生かすというより、もともと土が良質でなかった為に釉薬をたっぷりかける特徴があり、そこから益子焼の代名詞とも言えるぽってりとした大らかさが生まれたのだとか。



今回は玉縁と呼ばれる丸みのある縁をつけたことで、「益々ぽってりとして愛らしい形になった」と和田窯さんがコメントを寄せてくれました。




「渋みのあるシャープなうつわ」美濃焼


美濃焼の「きほんの一式」とは

釉薬の流れやいびつな形を表情として楽しむ、日本独自・茶人好みの焼き物文化を生み出してきた美濃焼。その特徴をいかし、きほんの一式では粗目の土味と茶人の愛した釉薬の妙技を感じるうつわが揃いました。

美濃の風土に根ざしながらも現代の感覚を軽やかにとり入れる、作山窯さんが手がけています。

このアイテムに注目!「美濃焼の中鉢」



作山窯さんにお話を伺うと、きほんの一式シリーズの中で一番「お茶道具としての美濃焼」らしい形をしているのが中鉢とのこと。



シリアルやサラダ、フルーツ、スープ、煮物等、多用途に使える、ちょうど良い深さの「中鉢」。内壁の立ち上がりをゆるやかなカーブにしているので、スプーンでもすくいやすく、洗いやすいのが特徴です

「抹茶碗に近い大きさで、程よい重さと厚みが手に馴染み、料理にも扱いやすい形状に仕上げています」



また、その「色」も注目ポイントだそうです。

うつわの色いろ



「千利休とともに茶の湯を大成した古田織部の指導でつくられたのが、美濃焼独特の『青織部』の緑色です」



「釉薬が縮れて粒状になった「かいらぎ」は、茶人たちも愛したうつわの色。「土灰」は古くからうつわに使われてきた釉薬で土の質感と色味が特徴です」



「青織部はこれ以上濃くなると、和食以外が使いにくくなりますし、かいらぎも、真っ白ではない微妙な白であることで、どんなお料理も映える色合いになっています」

わずかな色味の加減に、料理の和洋を問わずに今の食卓にうつわを活かす、作り手の心遣いを感じます。


前編はここまで。次回は信楽焼と有田焼をお届けします!



<掲載商品>
益子焼の飯碗
美濃焼の中鉢