【はたらくをはなそう】コミュニケーションデザイン室 佐藤菜摘

佐藤菜摘
コミュニケーションデザイン室 室長/広報・PRプランナー

国内機械メーカーで法人営業やブランドマネージャー、PRなどを6年経験。2018年3月中川政七商店入社。広報・PRプランナーとして、中川政七商店のブランドコミュニケーションや工芸メーカーのコミュニケ-ションサポートに携わる。公式インスタグラムの運営も担当。PRSJ認定PRプランナー


東京の下町、小さな商店街で生まれ育った私は、いつも暮らしの中につくり手がいました。

ちりめん細工職人、手づくり豆腐店、町工場の匠たち‥‥商店を営む祖父母にひっつきながら、ものづくりに携わる人々の姿を眺める毎日。しわが刻まれたあの手から、小さく丸まったその背中から、なにかが生み出される様はまるで魔法のようでした。

手先が不器用な自分は、そうした人やものへの愛を「作り手」ではなく「伝え手」として繋いでいきたいと、いつからか思うように。でも、どんな業界がいいのか、そもそもどんな職業があるのか、ずっと答えは分からずにいました。

前職は、大きな工場をもつメーカーに入社。一つのブランドの商品企画、マーケティング、営業、PRなどものづくりの川上から川下まで任せてもらえ、気が付けば夢中になっていました。そして自分は長所も短所も「情熱」なんだと自覚し、その情熱をより発揮できそうな場所で働きたいと、また一歩新たなステージへ進んでみたくなりました。

“日本のものづくりを世の中に広める”。

高校生の頃、メモに残した言葉です。大それた夢ですが、10年以上たった今でも心に灯し続け、すべての原動力になっています。

この夢を実現させるには、中川政七商店しかない。人の手から生み出されるものへの愛を爆発させるには、もうここしかない。そんな気持ちで会社の門を叩きました。

卸や展示会を担当する「大日本市課」のメンバーとして配属され、楽しく働きはじめた頃。入社一か月後の面談の日に、突然「広報職」への異動を提案されました。前職で広報を経験していたし興味はあったものの、青天の霹靂。創業300余年の歴史とこれからの未来を「広報」として担うことに不安を感じ、目の前が真っ白になったのを覚えています。

あれから5年の月日が過ぎ‥‥

“いま、自分は「天職」に就いている。”

大げさに聞こえるかもしれないけれど、ふとした瞬間に、そう思います。あの日の異動をきっかけに、私の中の歯車がピタっとハマったように「情熱」が加速していきました。

たくさんの人が手をかけて生まれる商品やプロジェクト。そこに「世の中の視点」を加えることが私の仕事です。新商品が出るたび、あるいは社内のデザイナーや産地のつくり手の方々と話しをするたび、彼らの想いを世の中に届ける媒介者になれることに、最高にワクワクします。

すべては百年先の日本に、工芸を繋いでいくために。小さな一歩かもしれないけれど、点と点かもしれないけれど、社会を変えていけることに、大きな喜びと誇りを感じています。

そして会社のことを誰よりもたくさん知れる、というのも役得です。社員と話すたび、会社の歴史を知るたび、これからの会社の進む道を聞くたび、「いい会社だなぁ」と口癖のように呟いてしまいます。

はたらく人全員が、同じ旗印に向かっていること。それがこんなにも気持ちよく、そして一人ひとりの戦闘力を上げるんだ。日々、ビジョンである「日本の工芸を元気にする!」の存在を噛み締めながら過ごしています。

5年前、1人心細くスタートした広報ですが、とにかく全力で取り組んでいたら、気がつけば職種にとらわれずさまざまなプロジェクトに呼んでもらえ(時には呼ばれてなくても勝手にジョインし 笑)、おかげさまで広報チームも3人に増えました。

あの頃の夢に、人生で一番近づいている今。

広報という仕事に出会えたことはもちろんですが、中川政七商店ではたらけていること、何よりものづくりに携わる人々とはたらけていることが、最高に幸せで最高の「天職」だと信じています。

この先もし環境が変わっても、この情熱はずっと絶やさず、そして自分に恥じない仕事をしていきたい。

まだまだ、わたしの夢ははじまったばかりです。


<愛用している商品>

十二ヶ月のタペストリー

絵を飾るように、花を生けるように、お部屋の中に季節を表現してくれるタペストリー。江戸時代から変わらない製法で作り続ける、手績み手織りの麻織物に、一枚一枚人の手で絵を描いています。工芸が、日常に小さな幸せをもたらしてくれる、ささやかな存在であることを象徴するような商品です。

更麻

麻100%のインナーを開発した、と初めて聞いたときの衝撃。そして梅雨時にしか編めないという、ものづくりの面白さを再確認させてくれた商品です。さらりとした肌触りと、高い放湿性。更麻のインナーを着用してから、肌トラブルが減った気がします。

雪音晒の寝具

シーツに枕カバー、バスタオルと、我が家は雪音晒だらけです。パウダースノーを踏みしめたような、キュッとした感触、さらさらな肌触り。寝汗も洗濯もすぐに乾きます。究極の晒加工といわれるほど不純物を取り除いた雪音晒は、眠る時間もお洗濯する時間も、心地好く導いてくれます。



中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは、採用サイトをご覧ください。

「お茶碗、どう選んでいますか?」うつわを愛でる3人の、食卓談義

個人的な話ですが、うつわが好きでたまりません。

食事を盛り付けるだけなら、夫婦2人で10枚もあれば十分なのかもしれませんが、色や形、手ざわり、大きさ、それらをひっくるめた独特の佇まい。そんな魅力に惹かれ、せっせと買い求めていたら、いつの間にか我が家の食器棚はいろんな表情の品で溢れ、いつでも私を励ましてくれる、宝箱のような存在になりました。

このたび中川政七商店では、そんな、機能だけではないうつわのよさを、食卓で楽しんでいただきたいと、さまざまな産地・さまざまな絵柄のお茶碗を集めた「好日茶碗」シリーズを発売しました。

うつわのなかでも特に「属人器」と呼ばれるお茶碗は、「決まったものを使う」「複数種類を持たない」という方が多数。買い替えるタイミングも、割れてしまったことを機に、という方が多いようです。

担当デザイナーからそんな話を聞いた私は、好奇心がむくむく。「改めて、他の人のお茶碗事情を聞いてみたい!」と思ったのです。

この興味をきっかけに、うつわ好きの3人の方に集まっていただき、好日茶碗シリーズの発売を前に「食卓談義」なる座談会を開催。うつわと、その中でもお茶碗に関するお話を伺ってみました。

座談会に参加いただいた方

左:境 祐希さん
夫婦と子ども2人の4人暮らし。ならまちの食堂・喫茶「七福食堂」の店主。骨董が好きで、自身で集めた古いうつわは店内でいただける定食の提供にも使用する。https://www.instagram.com/shichifuku.shokudo/
※今回の座談会場所も七福食堂さんで行いました

中央:岡田 理(しずか)さん
美術作家。陶器を素材としたオブジェを制作している。画家の夫と3人の子ども達とともに普段は主に古陶磁を食卓で使い、家族旅行では肥前や美濃瀬戸などで古窯跡地を回る。

右:あやかさん
夫と2人暮らし。「ごはん愛好家」という肩書で、奈良を拠点に料理家として活動。企業のレシピ開発を手がける他、自宅で開く料理教室は毎回すぐに予約が埋まる人気。
https://www.instagram.com/ayaka.i_03/


そもそも、何がきっかけで、うつわ好きに?

うつわを愛してやまない皆さん。

それぞれにこだわりや好みはあると思いますが、それは追々伺うとして、そもそもいつ、何がきっかけでうつわに目覚めたのでしょう?

あやかさん:

「大学生になって一人暮らしをはじめたときに、初めて自分でお茶碗を買いました。最初は100円ショップでシンプルなものを迎えて。

そのうち、人を呼んで食事を作ったり、おもてなしをしたりするのが好きだったこともあり、自宅に人が集まるようになってきたんですね。

それで、せっかく食事を出すなら美しく、ときめきのある形で出したいなって貪欲さが出てきて、それが始まりですね。そこから、アルバイトをしながら少しずつうつわを集める日々が始まり、今に至ります。誰かを喜ばせたくてハマったうつわ収集ですが、今では自分自身もごはんを食べるたびにときめいて、自分の楽しさにも繋がっています」

岡田さん:

「私は結婚してからですね。一人暮らしのときから、うつわを見るのは好きだったものの、料理をあまりしなかったので、暮らしのなかにうつわがあることにリアリティがなかったんです。

すごく好きになったのは結婚した後。夫婦ともに海外生活から戻ったタイミングで、新鮮な目で見る日本の古陶磁の面白さに夫がハマりはじめたのがきっかけです。最初は作家物のうつわが数枚ある程度だったのですが、ある日、お蕎麦が食べたいねってなったんです。それで蕎麦猪口を買おうと思い、いろいろ調べてるなかで、いろんな絵柄の蕎麦猪口があることを知って、絵が面白いなと気付いて。本当は2つあれば十分だったんですけれど、素敵なものがあれば迎えるようになりました。

蕎麦猪口って、おかずを盛ったりお酒を入れたりもできる。夫婦ともそんなにお酒を飲まないのですが、日々増える蕎麦猪口を使いたいがために、あえてお酒を飲んでいた時期もありました(笑)。

今ではいろんなうつわが家にあって、子どもたちもそれぞれに自分の好きな絵柄があるみたい。食事の時間になったら食器棚からうつわを引っ張り出してきて、その日の気分で選んでくれています。子どもが選ぶなかで『さすがにこれはダメ』というものもあるんですけど、頑丈そうなものを中心に、自分で決めたものを楽しみながら使ってもらってます。6歳の長男は染付のうつわが好きなのですが、4歳の次男は鉄釉や変わった柄が描いてあるものが好きみたいで。好みも個人差がありますね」

境さん:

「私もあやかさんと一緒で大学生くらいからですね。奈良で一人暮らしを始めたのですが、最初は色々とお金もかかるので、食器はほとんど実家から持ってきたものを使ってたんです。あの、パンのフェアでもらえるやつとか(笑)。あれはあれで、割れないし本当に便利です。

毎日暮らしていくのに何とか慣れてくると、料理にも改めて目が向くようになり、それでうつわにも自然と興味を持ち始めました。

私は古いものが好きで、一番最初に買ったのは、民芸館のミュージアムショップで見つけたマグカップ。知り合いの古着好きの方が『古着は作り手の思想を身に纏えるのがいいんだ』と言っていて、自分が好きなものを毎日使える喜びに気付いたのが購入のきっかけです。

それで、買いだしたらいろんなものに興味がわくようになって、骨董市や好きな作家さんの個展などで、お茶碗やプレートも集めるようになりました。でも実は、今もまだパンのフェアでもらったうつわも持ってるんですよ。そうやって、自分がお世話になったものが食器棚に並んでいる風景がいいな、生活やなって思いますね」

あやかさん:

わかります。私もまだ100円ショップで買ったうつわ、持ってます。もう本当に使いやすくて。電子レンジで何かを温めたいときとか、すごく気軽に使えるんですよね。だから、なかなか捨てられない。安いからダメとかではなくて、うつわごとのよさがありますよね」

うつわ初期と今で、選び方はどう変わった?

それぞれ異なるきっかけで、うつわの魅力に気付いた皆さん。ハマり始めた初期の頃と今では、選び方も変わったのでしょうか?

たくさん迎えてきたからこその気付きや、選び方のポイントを教えてください。

境さん:

「初期はうつわ単体としてビビッとくるものを買っていましたが、だんだん揃ってくるにつれて取り合わせを考えるようになりましたね。自分が持っている他のうつわに合わせて買わないと、極端なものだと食卓に並べても合わないようになってしまうなぁと」

岡田さん:

「我が家は今も、取り合わせよりも、ものそのものが好きで買っています。取り合わせを考えることもあるんですけど、日々勢いで選んでますね(笑)。ただ、子どもが増えるなど家族の形態が徐々に変化しているので、使いやすいサイズは少しずつ変わってきているかもしれません。

例えば、家族が増えてからは大皿をよく使うようになりました。おかず一品しか作りたくないような料理を作るのがしんどい日も、どんと盛り付ける大皿が素敵なものであれば、その日は幸せ。料理を頑張らなくても、うつわがお気に入りのものなら食卓はよく見えるということに味をしめて、ずっとうつわに助けてもらってます。

いくつかある家族の話題として、食卓に載ったうつわについて『今日の絵柄はこうだね』のような会話もしていて、それが家族の楽しみになっていますね」

岡田さん宅の食器棚写真(写真提供:岡田さん)

あやかさん:

「家族でうつわについて話すの、すごく素敵ですね!私も境さんと同じで、最初はキュンとくるかこないかで選んでました。出合ったら買う!という感じです。今は、うつわと料理の相性を想像してます。気になったうつわをすぐに迎えるんじゃなくて、そのうつわに何を盛りたいか考えてみて、『3種類以上思い浮かばないものは迎えない』というルールをつくっています。

というのも、初期の頃に気に入って買ったうつわのなかで、使いづらいものは結局、出番がなくなってしまって。それって残念だなと思うようになったんです。うつわは使ってあげて価値が芽生えると思っているので、そのうつわがいくらお店でキラキラしていても、いざ家の食卓にあがったときに活躍してくれるか、可愛がってあげられるかを大事にしています」

普段、どんなお茶碗を使っていますか?それぞれのお茶碗事情

それぞれの理由で、たくさんのうつわに日々愛情を注ぐ皆さん。ところで属人器と言われるお茶碗事情についてはいかがですか?

岡田さん:

「うちは古いものが好きなので、9割くらいは骨董ですね。あと子どもは、汁椀や大皿などは大人と同じものを使うのですが、お茶碗については使いやすさを考えて、某量販店のものなども愛用しています。数で言うと夫がどんどん買ってくるので、お茶碗だけでも常に20個ほどあって、かなりの量になってしまいました(笑)。

我が家は誰がどのお茶碗というのが決まってなくて、私と子どもが『今日はこれがいいな』という感じで選んでいます」

境さん:

「小さい頃からその日の気分で選んで使うの、いいですね。我が家は夫婦と小さい子ども1人、赤ちゃんが1人で、貰いものも含めてお茶碗は5個。ペアで買ったのもあるし、各々が好きなものをバラバラに買ったものもあります。

うちは岡田さんと反対で、それぞれが使うお茶碗が決まっていて、それをほぼ毎日使います。スタメンじゃないものを使うときは、洗い物が間に合ってないときですね(笑)。私はというと木の合鹿椀(ごうろくわん)を使っているのですが、それがすごく好きで。漆が剥げても使い倒したいなと思っているくらいです。かなり大きいのでごはんを盛るだけじゃなくて、汁を入れてもいい。それを毎日使っています。

さっき、取りあわせを意識してうつわを買っていると話しましたけど、いまお茶碗にしている合鹿椀は『これだ!』と思って迎えたもの。木の質感とか育っていくサマとか、そのものの魅力に惹かれちゃって。全然取り合わせられなくて、食卓で完全に浮いてますね(笑)」

境さんお気に入りの合鹿椀(写真提供:境さん)

あやかさん:

「私はクリーム色と白色、黒色の3種類を、ペアで計6つ持っています。大皿などは個性的なものも好きなのですが、お茶碗に関してはシンプルなものが使いやすいなって。毎回の食事でどれを使うかは、一緒に並ぶ他のうつわが何色かで、バランスを見ながら決めています。

実はもう一つ、ごつごつした緑系の奇抜な感じのお茶碗も持っているのですが、それを使うとごはんが美味しくなかったんですよ。それで、お茶碗によって、ごはんが美味しく感じられるかどうかは違うんだなって気付きました。柄はお気に入りなので、今は食器棚の中で箸置き入れとして活躍してもらってます」

あやかさんが愛用するお茶碗たち(写真提供:あやかさん)

手しごとのうつわを選ぶ理由

量販店で安価に手に入るものから、工業製品として機能性をしっかり持たせて作られるものまで、ひとくちにお茶碗と言っても出自は様々。

今回座談会に参加いただいた3人は手しごとのものを好んで使われているようですが、改めてなぜ、手しごとのものを選ばれているのでしょうか?

岡田さん:

「風合いというか、出ているオーラが違うように感じています。とはいえ、機能性を求めることももちろんあります。子どもがガンガンぶつけたりすると、素敵なうつわを使っていてもハラハラしちゃって楽しくなくなるから。あまり縛られずに、その時々で使い分けてますね。

実は昨日ちょうど、長年お世話になっていた某量販店のお茶碗を長男が卒業したんです。これまでは、お茶碗だけは子どもが扱いやすいものを使っていたのですが、隣に座っているお父さんのお茶碗を見て、『僕もこういうの使ってみたい』って。子どもも何となく独特の魅力に惹かれたのかな」

あやかさん:

「手しごとで作られたうつわからは、何だろう‥‥豊かさを感じますね。毎日3回ある食事の底上げをグッとしてくれる感覚があって、それが人の手で作られたものを使う理由です。幸福度が違うなって、とっても思います」

境さん:

「私は自宅でもお店でも、工業製品も結構使ってて。それはやっぱり、安定性とか再現性があるのと、気軽に使えるという理由が大きいですね。そういうものも必要やなって思うんですよ。そういうものがあるから、手しごとのものもよく見える。

そんななかで手しごとのものを使うのは、やっぱりそこに見える景色というか。特にお茶碗は、毎日使うものですよね。毎日食卓で見るたびに、買った時の思い出とか、うつわを取り巻く歴史みたいなものに思いが馳せられるので、よりいっそう愛着がわいていく。工業製品よりも、そういうものが乗りやすいんじゃないかなと思います」

七福食堂さんの食器棚

好日茶碗、自分が使うならどれですか?

最後は、新たに登場した好日茶碗シリーズのお話。6つの産地で計12絵柄があるお茶碗、皆さんだったらどれを、どんな風に使いますか?印象に残ったものを教えてもらい、実際に家庭でも使っていただきました。

境さん:

「私は『呉須独楽筋(ごすこますじ)』ですね。見た感じの印象が、自分が持っている骨董系のうつわと取り合わせがよさそうだなと思いました。あとはシンプルに柄がいい。これにごはんを盛って他はお味噌汁だけでも、かなり気分が上がりそうだなって」

境さん宅での様子。お茶碗にはよそわれたのは、奈良の郷土料理である「茶粥」(写真提供:境さん)

岡田さん:

『飴白格子(あめしろごうし)』です。白ごはんが美味しそうに見えるだろうなと思えたのと、深さがあるのでスープも飲めそうだなと。我が家は子どもたちが納豆ごはんを好んで食べていて、深いと混ぜやすいので、大人も子どもも使いやすそうだなという印象です。私はたくさんあるうつわの産地のなかでも、特に小鹿田焼が好きなのですが、それと合わせたときも温かみのある色がよく合いそうだなと思いました」

「あと、鹿が描かれた『さび白鹿(さびしろしか)』も可愛らしさがいいですね。デザインのルーツとして、『鹿は古くから禄(ろく=天からの贈りもの)と音が通じることから、幸いや喜びの象徴とされてきた』という話もグッときました。食卓は子どもたちにとって学びの場でもあるので、かわいい絵はもちろんですが、絵付けの意味を食卓で話すことで、その話が記憶に残るのもいいなって思います」

岡田家では、お茶碗にスープを盛り付け(写真提供:岡田さん)
※汁物を入れる場合は、目止めをしっかり行ってからお使いください
持ちやすい形は、お子さんの手でも安心(写真提供:岡田さん)

あやかさん:

「私は『安南唐草(あんなんからくさ)』。濃い色ではないのに、パッと目につく絶妙な淡い色が好きですね。あとはシンプルに使いやすそうだなって。ごはんを盛るだけじゃなくてスープも盛れるし、茶碗蒸しも作れそう。和にもエスニック系の料理にも合わせやすくて、スープを盛ってパクチーを載せるのも映えそうです。料理への妄想を一番かき立ててくれるお茶碗だと思いました」

あやかさん宅の食卓。赤や黄など鮮やかな野菜たちの色を、お茶碗が引き立てる(写真提供:あやかさん)

うつわが持つ、機能だけでない魅力。見ているだけでも心が和んだり、楽しくなったりする、暮らしの道具としての頼もしさをより感じる座談会となりました。

お気に入りのものをずっと使い続けてもいいし、毎日の気分に合わせて使い分けるのもいい。それはお茶碗もまた、同じなのだなぁと思いました。

心を寄せられるうつわで、日々を楽しく過ごしていけたら。
このたびの好日茶碗シリーズも、そんな楽しい食卓の、よき相棒になれば嬉しく思います。


文:谷尻純子
写真:奥山晴日


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毎日を”好日”に。日々の幸せな食卓を願って生まれた「好日茶碗」

晴れの日も、雨の日も、昨日悲しいことがあった日も、今日が楽しみな日も。私たちは毎日、朝を迎え、食卓につき、食事をとります。

日常の何気ないシーンが、少しでも心地好く、幸福な時間になれば。そしてどんな日も、毎日が最良でありますように。そんな願いを込めて、中国でうまれた禅語「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を拠り所に、「好日茶碗」と名付けたご飯茶碗のシリーズを作りました。

全部で12絵柄を用意したお茶碗は、すべて職人の手で絵付けをおこなったもの。岐阜や石川、佐賀など、各地のつくり手に協力いただきながら、山水・草木・鳥獣・吉祥文様などをモチーフに、日本人が暮らしを営むなかで育んだ感性をお茶碗の景色として表現しました。

担当したデザイナー・榎本の言葉を借りながら、私たちが好日茶碗を通じて願うことをお伝えできればと思います。


かつての人々が絵付けに込めた想いを、今のお茶碗に載せて

ご飯茶碗をはじめ、茶器や花瓶など、日本の陶磁器には古くからさまざまな絵柄が描かれてきました。

吉祥紋、山水図、四季図、故事図。抽象的でダイナミックなものもあれば、繊細で緻密に描かれたものもあり、その絵柄は今もなお、各地の陶磁器にしばしば見られます。

昔の人はなぜ、そのままで十分使えるにも拘らず、陶磁器に絵を描いたのでしょうか。好日茶碗のシリーズを開発するにあたって、デザイナーの榎本はまずそこから考えました。

「昔から陶磁器が好きで普段からたくさん触れていました。そんななかで中川政七商店でも『食卓で毎日使える、お茶碗に特化したシリーズを作りたい』と思い、そうとなれば改めてお茶碗の歴史を知るべきだろうと、まずはいろいろ調べていったんです。

昔の人が使っていたお茶碗には、手に取るのが楽しくなる絵柄がたくさん描かれています。調べていくうちに、どんどんそこに注目したい想いが湧いてきて。もともと僕自身も絵を描くのが好きですし、絵付けのうつわも好きだったのですが、そもそも昔の人たちはどうしてこんなに豊かな景色をお茶碗に描いていたのだろうと、当時に思いを馳せてみたんですね。

和食器の絵付けは室町時代や安土桃山時代、江戸時代などから見られます。そしてその時代は、大多数の人が今よりも物理的に生きるのが困難だった時代です。例えば草花文様には繰り返す命を尊ぶ思いや自然の賛美を込めて、吉祥文様には日々の安寧や明るい未来を願って、といったように、うつわに絵を描くということは、豊かさへの、つまり好日への祈りだったのではないかと考えるようになりました」

食べることに苦労したり、争いが絶えなかったりした時代。うつわの絵柄からは「不安の伴う毎日に、少しでも幸せを感じられるように」という、当時の人たちの願いや想い、そして忘れずに持ち続けた遊び心を感じたと榎本は続けます。

「そうやって、さまざまな絵付けを知っていくにつれ、当時に込められた願いや想いは今の私たちにとっても、同じように必要とされるものではないかと思うようになりました。

今は物質的には豊かになったけれど、一方、疫病の流行や世界で起きる悲しいニュースなど先の見えない時代でもあります。日々の安寧への想いは強くなっていて、昔の人々が願ってきた祈りを今を生きている私たちも感じ始めているんじゃないかなと。

そんな風に考えて『かつての人たちが大切なものをすくいあげて、祈りや畏敬の念を込めて描いたように、現代の職人さんたちと好日に寄り添うお茶碗を作ってお客さんと一緒に味わいたい』と、好日茶碗のコンセプトに至りました」

過去と地続きにある、多様性を大事にした12絵柄

コンセプトが決まったら、次は一緒にものづくりをしてくださるつくり手探しと、絵柄の検討です。

榎本が今回、つくり手との関係で大切にしたのは「共創」というキーワード。

「中川政七商店のデザイナーが考えたものを、ただ作ってもらうのではない関係性に挑戦したい」と、それぞれが得意なデザインや、普段のものづくりの延長にある絵柄を咀嚼しながら、二人三脚で歩みを進めていきました。

「つくり手の喜びを感じられるようなうつわを、お客さんに楽しんで使ってもらいたい」。そこにも、好日茶碗らしいこだわりがあるのです。

肝心の絵柄はというと、榎本いわく“1000本ノック”のように、まずはひたすら案を考えていきました。ここでも、好日茶碗だからこそのこだわりが。

「ご飯を食べるのって、毎日の営みじゃないですか。食事のうつわで『好日を感じるってどういうことかな』と考えていくと、過去と地続きの毎日が表現されていることだと結論に至って。それで、絵柄を考える際には『昔の人が引き継いできたデザインのうえにあるもの』を共通のテーマとして置きました。

もちろん奇抜な絵柄が描かれたうつわも一つの価値だとは思うのですが、過去との地続き感で考えると断たれてしまう。だから、好日茶碗の絵柄は、日本を含むアジア圏で昔から描かれてきた模様や、暮らしのなかで手の届きそうな自然や植物から考えたいと思いました。それらのモチーフにこそ、身近なものへ愛おしい眼差しを持って未来を願ってきた、絵柄の本質があるのではないかなって。

うつわに絵が描かれてきた理由を考えると、『願いを届けたかった・伝えたかった』という、つくり手の想いがあると思うんです。そうやってつい、ものを描いてしまう行為って、ものづくりの原点なんじゃないかなと。そこから離れないようなお茶碗を作りたいとこだわりました」

6つの窯元・作家と共に作り上げている好日茶碗。多様性を楽しんでいただけたらと、表情も形も、三者三様ならぬ六窯元六様で本当にさまざまです。

「例えば『染錦稲穂雀(そめにしきいなほすずめ)』『染錦山水遊鳥(さんすいゆうちょう)』を作ってくださっている渓山窯さんは、有田の窯元です。染付と色絵が得意で、作られているものはすべて手描きで絵付けされています。渓山窯さんは、やらないことをきっぱり決めてものづくりに臨んでいる姿勢が面白い。理由を聞くと『めんどくさがりやだから』と冗談で言われるのですが(笑)、つっこんで聞いてみると、せかせかしないで作るのを大事にされているんですね。

代表の篠原祐美子さんは、幼少期にご自身のおじいちゃん、おばあちゃんが工房で仕事をしているすぐ隣で遊びながら育っておられて、その空気感がとても好きだったそうです。『その時の空気感を残したものづくりをしたい』と願って今もものづくりをされていて、できあがるものもゆったりしている。日ごろの姿勢が、作り出すものにも表れているなと感じています。そんな風に、窯元さんそれぞれの特徴も感じながら手に取っていただけると嬉しいですね」

好日茶碗 渓山窯「染錦山水遊鳥」

毎日の食卓から、日々の幸せを願って

それぞれに個性を持つお茶碗は、実は高台の裏やお茶碗の底に絵が入っている品も。食器を洗う時間など、食卓に並んでいるとき以外にも出合いや発見を用意しました。

どれにしようか迷ってしまうところですが、最初のインスピレーションや他のうつわとの相性、何よりご自身の食卓が楽しくなりそうかなど、ぜひいろいろな視点で心ゆくまでお考えいただき、とびきりの一つを迎えてください。

「絵があることによって気持ちが和んだり、無地のうつわにはない感情の動き方があったりするのを感じていただければと思います。ご飯を盛る前に食卓に並んでいるさまや、食器棚に置いて光が差している景色もいいですよね。でも、お茶碗は使っているときが一番美しい。気に入ったものを日常でぜひ、たくさん使ってください」

日々是好日。

ほかほかのご飯と、お茶碗に描かれた幸せな景色が、皆さんの毎日を少しでも「好日」にしてくれたらと願いを込めて。一つひとつ、少しずつ異なる手しごとならではの表情を、自分だけのお気に入りとして長くお愉しみください。


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文:谷尻純子

【暮らすように、本を読む】#03『正しい暮し方読本』

自分を前に進めたいとき。ちょっと一息つきたいとき。冒険の世界へ出たいとき。新しいアイデアを閃きたいとき。暮らしのなかで出合うさまざまな気持ちを助ける存在として、本があります。

ふと手にした本が、自分の大きなきっかけになることもあれば、毎日のお守りになることもある。

長野県上田市に拠点を置き、オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する、「VALUE BOOKS(バリューブックス)」の北村有沙さんに、心地好い暮らしのお供になるような、本との出合いをお届けしてもらいます。

<お知らせ>

先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、中川政七商店の「みかん番茶」が書籍と一緒にお手元に届きます。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。



自分にとっての”正しい”を見つける。
『正しい暮らし方読本』

絵本作家・五味太郎さんによって、ユーモアたっぷりに描かれる様々な「正しい○○の方法」。思わず身構えてしまいそうなタイトルとは異なり、ほのぼのとしたイラストで、読む人の想像力を掻き立てます。

1993年発売の本書ですが、30年経っても全く色褪せない、むしろ新しさすら感じる、暮らしの切り取り方が絶妙です。

例えば、「正しい箸のもち方」では、握り込むように持ったり、両手で一本ずつ持ってもいい。指の形は人それぞれ、自分が気持ちよく食事できることが大切だと優しく語りかけます。

他に「正しいお弁当のあり方」や「正しい猫のかい方」でも、思わぬ角度から提示された正しさは、笑いを誘うのと同時に、妙な説得力があります。そんな風に自らの生活に照らし合わせながら読み進めていたかと思えば、ふいに「正しい怪獣とのつきあい方」なんてものが出てくるので、空想に耽ることもしばしば。

子どもが読めば楽しく感性が磨かれ、大人が読めばハッとする。社会を生きるうえで押し付けられてきた正しさを、その意味を、じっくり考えるきっかけになる一冊です。

特に心に残っているのは「正しいかさのさし方」にて、傘から体をはみ出しながらも、楽しそうに雨の中を歩く人のイラストと共にあるこんな一文。

"雨の日に外を歩くということは、「すこし雨にぬれてみる」という気持ちが大切ですから、雨がさはこのくらいが正しい"

日々の生活に窮屈さを覚えた時、この本を手に取り眺めてみる。完璧でなくても、他の人と違っても、自分なりの正解が見つかったならそれで十分。読み終える頃には、心が少し軽くなっているはずです。

ご紹介した本

・五味太郎『正しい暮し方読本』

本が気になった方は、ぜひこちらで:
VALUE BOOKSサイト『正しい暮らし方読本』

※先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、中川政七商店の「みかん番茶」が書籍と一緒にお手元に届きます。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。

VALUE BOOKS
長野県上田市に拠点を構え、本の買取・販売を手がける書店。古紙になるはずだった本を活かした「本だったノート」の制作や、本の買取を通じて寄付を行える「チャリボン」など、本屋を軸としながらさまざまな活動を行っている。
https://www.valuebooks.jp/


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【暮らすように、本を読む】#01『料理と毎日』
【暮らすように、本を読む】#02『おべんとうの時間がきらいだった』

【あの人の贈りかた】手間のかかる、贅沢な時間を届ける(スタッフ野村)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は企画・コンサルティング担当の野村がお届けします。

無駄で、面倒で、ささやかな贅沢を。
吉野ヒノキの芳香チップ」と「日本の精油シリーズ」

贈りものを選ぶときは、少しだけ贈る相手の輪郭を広げるようなものを選んでいる気がします。

毎日の生活や仕事に必要なわけではないけど、あるとちょっとだけ肩の力が抜けたり、いつもと違うことを考えたりできるもの。贈る・贈られること自体が、ある意味で不要不急で、日常のなかの余白だからこそ、せっかくなので日々の小休止になるようなものを選びたいのかもしれません。

お世話になった上司へ、御礼の品を選んだときのこと。常に仕事に追われているその人は、忙しさのあまり体調を崩して大変だった時期がありました。そのとき、常に香りを携帯して、自分のペースを保っていたとか。

そんなエピソードを思い出しながら、家でもゆっくり香りを楽しんでくださいと、芳香チップと精油をセットにして贈りました。芳香チップは、付属の巾着に入れてそのまま吊り下げてもよし、お皿などに盛りつけて精油を振っても楽しめます。

消臭効果もあるヒノキのチップなので、匂い取りとして使ってもらってももちろんよいのですが、せっかくなので木の肌触りを味わったり、精油を2、3滴垂らして一息ついたり、あえてちょっと手間のかかる時間の使い方をしてほしいという気持ちで選びました。

産地ごとの個性を楽しめるのも精油の魅力。旅先で、お土産としてその地の植物から採れた精油を買って帰ることもよくあります。このときは奈良に住む自分からの贈りものとして、吉野ヒノキの香りを選びました。自分はよく、休みの日の朝に湯舟にお湯を張り、浴室の隅にヒノキの精油を少し垂らして、ちょっとした温泉気分を楽しんだりもします。贅沢ですね。

そういえば贅沢の贅とは、役に立たないよけいなもの、という意味。日々の仕事や生活で充実している人にこそ、無駄で面倒なささやかな贅沢を贈ってみるのも面白いかもしれません。

<贈りもの>

・中川政七商店「吉野ヒノキの芳香チップ 巾着つき」
・中川政七商店「日本の精油シリーズ」

毎日のハンカチに香りをしのばせて。
「motta」「motta Handkerchief Perfume」

新しく仕事をはじめる親戚に贈ったのが、リネンハンカチと香水のセットです。ハンカチは何枚あっても困らないけど、自分ではあまり買い足さない。でもお気に入りの一枚があって、そこに好きな香りを吹きかけたりすると、結構気分が変わるものでもあります。普段はあまり意識されないけれど、意外と気持ちに寄りそったり、気分を変えてくれたりする存在です。

なかでもmottaは、麻のハンカチを使ったことがない方にもぜひ一度、試してみてほしい品。思ったより水を吸ってくれるし、たたんでもかさばらない。頼りになるハンカチで、いろんな色柄から選べる楽しみもあります。このときは、シンプルな緑の一枚に、深い森林の香りをイメージした香水を合わせました。

香りもののなかでも、身に着ける香水を贈るのはハードルが高いかもしれませんが、ハンカチとセットなら試してもらいやすいと思います。常に匂いのするのが苦手な方や、仕事の都合で香水がNGな方は、ハンカチにひと吹きしておいて休憩のときに一息つく、という使い方もできます。

その親戚は今まであまり香水をつけなかったようですが、今では毎日つけるようになって新しく買い足したとか。意外と?狙い通り?気に入ってくれた!というのも、贈りものの楽しみの一つですね。

<贈りもの>

・中川政七商店「motta 051」
・中川政七商店「motta Handkerchief Perfume」

ゆっくり頁をめくる贅沢な時間と、応援の気持ちを贈る「本」

何かあげたいものがあるわけではない、でも応援する気持ちを伝えたい。そんなときによく本を選びます。自分が好きな本から一冊をあげてもいいし、本屋さんに行ってその人のことを考えながら、これがいいかな?と考えるのも楽しい時間です。

本を読むのが苦手な人だったら、絵本や写真集もおすすめです。詩集や歌集もいいかもしれません。別に読み切らなくても、勉強やためになることがなくても、絵や写真を眺めているだけで心が安らぐこともあると思います。

忙しい毎日のなかでちょっと手をとめて、本の表紙を開く。読書がいいのは「ながら」ができないことです。音楽くらいは聞けますが、テレビやスマホは見れません。その意味では銭湯とか温泉に入るのに似ているかもしれません。他に何もできない時間というのも今、結構贅沢なことだと思います。

ひと工夫したいときは、本と一緒に、それに合ったものをセットで贈ることもあります。どこかの国のエッセイと、その国発祥のお菓子とか。前に「石をさがそう」というテーマの絵本と、石をさがすためのルーペを一緒に贈ったこともあります。本は無限にあるので、何を選んでもその人らしい贈りものができあがります。

この本は、ここ1年で一番いろんな人に紹介した一冊です。ちょっと疲れちゃったな、でも何に疲れているんだろう?そんな漠然とした、でも意外と複雑な悩みを、臨床心理士の著者が一つひとつ解きほぐしてくれます。絵本のように驚くほど読みやすくて、とても自分のことを語ってくれている。今を一生懸命生きている、すべての人におすすめです。

<贈りもの>

『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社 / 東畑開人 著)

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 企画・コンサルティング担当 野村隆文

【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 江藤あかね

江藤 あかね
中川政七商店 二子玉川ライズ店


2018年 中川政七商店 横浜ルミネ店 配属
2019年 中川政七商店 ラゾーナ川崎プラザ店 配属
2021年 中川政七商店 ラゾーナ川崎プラザ店 店長
2023年 中川政七商店 二子玉川ライズ店 店長



学生の頃から和紙の産地巡りをしたり、工芸のワークショップに参加したりと、ものづくりが大好きだったので、ずいぶん前から中川政七商店が手がける日本市などのお店を見かけるたびに買い物をしていました。

ある時、これからの生き方や子育てをしながらの働き方について見つめ直す機会があり、その頃たまたま買い物に行った中川政七商店で受けた接客や、素敵な包装紙などに感動し、お店だけでなく会社自体にも興味が湧くきっかけがありました。どんな会社だろうと調べてみると、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンや「こころば」(※十か条からなる中川政七商店の価値基準)などから、自分自身の大切にしていることと重なる部分があると分かり、思い切って中川の門を叩きました。

この会社に入って一番思ったのは、「いい人ばかりの会社だな!」ということ。これは他者を大切にする当社のしごとのものさしが根底にあるのですが、それを当たり前のように皆がやるというのは、実は難しいことですよね。

でもお店で感じるのは、周りの人を尊重する良い文化は、温かい気持ちを受け取った人がまた他の誰かにできたりして、自然と伝染していくものなんだな、ということ。私自身その輪に内包されて、人としても成長させてもらっているのを感じます。

私が店長として大切にしているのは、進むべき方向を示しながら、スタッフそれぞれが自分のスタンスで仕事を楽しむことです。自分の課題や目標と向き合っていくのは大変ですが、積み上げた努力が形になっていく楽しさを皆で共有したいのです。この考え方も当社に入ってから強く思うようになったことの一つで、そのための読書など勉強は欠かせません。店長の仕事として人を育てることはとても重要ですが、まずは育てる人が育たなければいけないのは言わずもがな。私も育ちながら、スタッフ皆で育て合っている感じです。

入社時はまだ保育園に通っていた子ども達も小学生になり、今は少し時間に余裕ができたのですが、それでも日々一緒に働いてくれる人たちの理解なくしては成り立ちません。そんな感謝の気持ちがまずあって、その上で「なぜ働くのか」と言えば、好きな仕事をすることは特別な何かではなく、自分の人生において欠けては困る大切なことの一つだからでしょうか。

日常の地続きに仕事と子育てがあって、趣味や家事の時間も全て、違和感なく共存している感じなのです。優先順位もその時々で変わるし、「こうあるべき!」という考え方はあまりしないようにしています。

ママ店長になれたのは、関わってくれた全ての人達のおかげ。そうして力を貸してくださったように、私もまた誰かの力になれたらと思います。これから子育てする可能性のある人や既にされている人が、今の頑張りの先にある自分の人生を想像したときに、私のように店長をする選択もできるんだと思ってくれたら、それだけでとても嬉しいです。

まだまだ続いていく自分の道が、これから何と出会ってどうなるのか、これからも楽しんでいこうと思います。

※写真は当店のスタッフであり、写真家としても活動されている柴田 真由さんに撮影してもらいました


<愛用している商品>

motta

タオルも良いのですが、ハンカチを扱う美しい手元に憧れます。mottaは濡れてもすぐに乾き、いつもピシッとハリがあるところが大好き。色柄も好みで、たくさんコレクションしています。

日本の精油

日ごろからコスメなどは自然の精油を使っているものを愛用しています。日本の精油シリーズも愛用中で、新作の南の森ブレンドは寝る前のストレッチなどリラックスの時間に香らせて楽しんでいます。

きほんの一式

シンプルですが表情豊かな釉薬が存在感あるシリーズです。食事を盛り付けると、ちょっとしたものでも美しく見せてくれるところが大好きです。家族のお茶碗や朝食用の平皿、汁物用に中鉢など、楽しませてもらってます。