精油の選び方使い方をプロに聞く。今注目の和精油を取り入れたい理由

最近植物の力ってすごいなと改めて感じる出来事がありました。
気づいたきっかけは、精油。

家の周囲に自然が多く、築年数の古い家に住んでいるので、梅雨~夏にかけては虫との攻防戦が繰り広げられる我が家。
これまで殺虫スプレーをまいてたのですが、匂いが苦手で、代わりになるものを探していました。
そんな時に行き当たったのが、ハッカの精油。台所に精油を垂らして置いておくと、コバエがほとんど出ず、さわやかな香りで快適!

精油というと、好きな香りを愉しむものなのかと思っていましたが、実用的に生活の役にも立つのだな、と認識が一変しました。

そうなると、もっと色々活用してみたい、と興味も沸くもの。そこで、ジャパニーズアロマの第一人者である重松浩子さんにお話を伺いました。

重松浩子

Jスタイルアロマ研究所代表
英国ITEC認定アロマセラピスト

北海道から沖縄まで日本産精油の産地訪問を重ね、産地と消費者をつなぐ「日本産精油」の普及に力を注いでいる。日々の暮らしになじみ、道具のように使う精油(エッセンシャルオイル)の活用を研究。著書に「はっか油で楽しむ暮らしのアイデア」(玄光社)ほか。アロマセラピー&自然療法専門誌「セラピスト」(BABジャパン)にて、日本産精油についての記事を連載。

精油を生活に取り入れる魅力とは

「便利な暮らしの中で、旬とか季節感を忘れてしまいがちですが、じつは身体は季節ごとのリズムをとらえて、リズムに合わせてバランスをとろうとしてるんです。そこに対してアプローチして、心身のリズムを整えてくれるのがよいところだと思います」

たしかに、コロナ禍で外出制限が続く中、家に花を飾ることが癒しになったという方も多いのではないでしょうか。
春の桜に、秋の紅葉。季節のうつろいに目を向けることは、四季のある日本に暮らす私たちにとっては、季節の習慣のようなものなのかもしれません。

ところで、精油って様々な種類がありますよね。
難しく考えずに好きな香りを楽しめばいいのかもしれませんが、リズムを整えるためには、選び方にも何かコツがありそうです。

植物を暮らしに取り入れる、と考える

「皆さん、精油として瓶になった瞬間、使い方が分からないと言うんですが、植物を暮らしに取り入れることって、ごく自然に行ってることですよね。

端午の節句に菖蒲、七夕に笹の葉、冬至に柚子湯などの行事もそうですし、ふだんから季節ごとのお花を飾ったりもすると思います」

そこで重松さんが特におすすめしているのが、和精油。
和精油とは、日本の風土で育つ植物からつくられる精油のことです。

和精油のメリットとは

「元の植物を知ってるということは、生活に取り入れるのに適したタイミングや取り入れ方が自然と分かるということ。

例えば、柚子なら冬。お風呂に柚子を浮かべるように、精油を1~2滴垂らせば柚子湯です。海外の植物では、それが分かりません。

日本で見かける植物なら、時期や取り入れ方をなんとなく知ってるので、気負わなくても自然と使えるものです」

なるほど、家に飾る花が季節によって変わっていくことを考えれば、香りもその時々に適したものを選ぶというのはごく自然なことだと感じます。
日本の植物であれば、自然と選ぶこともできそうです。

精油を自宅で気軽に取り入れる方法

選び方のコツを掴んだところで、自宅で気軽に取り入れるおすすめの方法を聞いてみました。

重松さんのおすすめは、芳香浴。
ひとくちに芳香浴と言っても、リラックスしたい時とリフレッシュしたい時で取り入れ方に違いがあるようです。

①いい空気をつくってリラックス

芳香浴と聞くと、香りを楽しむような印象ですが、
はっきりと香らせるだけではなく、まずは“いい空気をつくる”ことがおすすめなのだそうです。

「森林浴の香りをこんな“香り”と言える方はいないけど、空気はいいと感じるじゃないですか。
いい香りではなく、自然と深呼吸したくなる、いい空気をつくるのがコツです」

例えば、掃除のスプレーに混ぜて、拭き掃除する時に使ったり、カーテンやソファ等のファブリックにスプレーで吹きかけたり。
アロマポットなど特別な道具を準備しなくてもいいので、気軽に始められそうです。

②はっきり香らせてリフレッシュ

次に、はっきりと香らせて気分転換するいわゆる香りを楽しむ方法があると言います。

「春の沈丁花や秋の金木犀のようにはっきり香りを届けることで、気分転換できます。
おすすめの方法は、マグカップにお湯を垂らして香りを楽しむこと。ハンカチなどでも代用できます」

マグカップがおすすめなのは、温かいと早く香る為。疲れてる時や乾燥する季節には特に、湯気とともに吸うのも心地好いと言います。

その他、ボウルや洗面器にお湯を張り、精油を垂らして、手首まで浸す手浴(しゅよく)という方法も教えていただきました。

「私は手浴をする際、ボウルに花ふきんをいれておくんですよ。その後に絞って、首の後ろに当てると更に心地好いんです」

そして最後に、その香りが好きだからといって、ずーっとそれだけではなく、メリハリ、リズムをもつことが大切だと言います。

「香水や柔軟剤の香りが強い方って、ご本人は気付いてないことも多いと思いませんか。
嗅覚は、センサーなんです。焦げくさい、腐ってるといった危機を判断したら、香りを感じ続けている理由がないので、次に備えます。
だから、ずっと同じ香りをまとってると、どんどん香りが分からなくなってしまうんです。

一定時間使ったら換気したり、別の香りにしたり。その時々の体調リズムにあわせて使い分けるのがおすすめです」

選び方にも使い方にも、共通してリズムやメリハリが大切なのだということが分かりました。

ただ、精油って容器は小さいけれど、1~2滴垂らせば十分なことが多いため意外と長持ちします。
せっかく購入したのだから、1シーズンと言わず長く使いたいもの。例えば、夏におすすめのハッカの精油。これは夏しか使えないのでしょうか。

季節ごとの活用方法

「小豆をゆでるときに、砂糖だけじゃなく塩をちょっといれたりするでしょう。
同じように、主役として使うのか、隠し味として使うのか、季節によってそれぞれの役割も変わります。
同じ精油でもオールシーズン役割を変えながら楽しめるんです」

清涼感あふれるハッカも、夏場だけでなくそれぞれの季節に合わせて幅広い楽しみ方ができると言います。

<主役となる春夏の活用術>

主役として使われることが多い夏には、まずは暑さ対策として。

「お風呂に少し垂らしたり、水に精油を垂らして布を浸し、クールダウンしたい場所をふき取るのもおすすめです。
私は、お手製のリンスに加えて清涼感を楽しんでいます。夏のお風呂は暑いので、スーッとするのが気持ちいいんです」

水を無香料の消毒液などに変えてつくると、虫除け用の足ふきシートとしても活躍します。
掃除スプレーとして水に少し混ぜて使えば、芳香浴にもなります。

<引き立て役となる秋冬の活用術>

ハッカというと夏のイメージですが、じつは秋冬にも引き立て役や気分転換として活躍します。

「例えば、秋冬に活躍するヒノキなどの樹木精油に少しだけ加えることで、木の香りの独特なえぐみが、落ち着きます。
我が家では、衣類や布団など、布ものを仕舞うクローゼットに使うことが多いです。

また、お湯を入れたマグカップに1滴垂らし、目を閉じて香りの湯気を鼻からゆっくり吸いこみます。風邪のひき始め、花粉の時期など鼻づまりが気になる時にスッキリします。
仕事や勉強がはかどらないときに集中力を取り戻す気分転換にも便利です」

今回はハッカを例に取り上げましたが、それぞれの精油のおすすめの活用方法は商品ページでご覧いただけます。

クスノキ
ハッカ
ヒノキ
ヒバ
ブンタン
ユズ

自然のリズムにあわせて精油を選び楽しむ。
そんなコツが分かっていれば、こうしなくてはいけないというレシピではなく、応用を利かせて自分で楽しめるように思います。
ハッカを手始めに、次はこれからの季節に活躍しそうな樹木精油を取り入れてみたいと思います。

<関連特集>

写真:奥山晴日
文:上田恵理子

【季節の手ざわり】涼を感じる、縁側時間

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

中川政七商店ラヂオ「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けしています。
小さな音色や先人の声に耳を澄まし、暮らしを整える、そんな時間をご一緒できればと思います。

さて、文月、夏の盛りを迎える時期ですね。
今回は先人たちから受け継いできた、涼をとる知恵をご紹介していきます。のんびりと縁側に腰掛けるイメージでごいっしょしませんか。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


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涼を取り入れる、日本の暮らしの道具

①暑い夏も小粋に乗り切る、あおぐ道具

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② 暑い日だからこそおいしい、夏の味「氷出しで冷やし煎茶」

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③暑い日だからこそおいしい、夏の味「そうめん」

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④夏と上手に付き合う、くつろぎの道具

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⑤夏の風情を愉しむ、日本の手花火

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お便りを募集しています

番組内でご紹介させていただく、リスナーの皆さまからの投稿を募集しています。
「わたしの心地好い暮らしをつくる道具」をテーマに、お気に入りのアイテムや、しつらいの風景、意外な使いかたなど、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いをお聞かせください。


次回「季節の手ざわり」は、8月19日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信中です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
次回は8月5日(金)配信予定です。

お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【工芸うんちく旅】 福井県鯖江市「越前漆器」

こんにちは。
中川政七商店ラヂオのお時間です。

今日から始まる新番組「工芸うんちく旅」。
工芸好き男子ふたりが、日本の工芸産地をめぐり、職人さんや地元の方々から聞いてきたうんちくや小ネタ、地域の風習、食文化などを紹介する番組です。

普段はあまり記事にはならない、でも、それを知ることでより工芸が好きになる、いわゆる「B面」的な工芸のうんちくや小ネタたち。それらは実際に現地に赴き、お話を伺う中で、ポロポロと溢れ出てきます。

中川政七商店の高倉泰と編集者の引地海が採取してきた、そんな情報たちを、クイズや職人さんの音声なども交えながら紹介していきます。

Vol.01 福井県鯖江市/越前漆器

<前編(7/1公開)>

<後編(7/8公開)>

記念すべき第一回の舞台は福井県鯖江市。
鯖江市といえば隣接する越前市と越前町とあわせて、「工芸の街」として有名です。
越前漆器をはじめ越前和紙、越前打刃物、越前箪笥など数多くの伝統工芸品に加え、メガネの生産も盛んで、国産メガネの約9割がこの鯖江市でつくられていると言います。

今回は、そんなものづくりの街、鯖江市で200年以上前に創業した越前漆器の老舗、漆琳堂8代目の内田徹さんを訪ねました。

越前漆器の話はもちろん、その成り立ち、鯖江市の歴史、食文化から漆塗り体験まで!
今回の旅を通して、工芸好き男子ふたりが印象的だったうんちくを語り尽くします。


ナビゲータープロフィール

高倉泰(たかくらたいら)

中川政七商店による産地支援事業「合同展示会 大日本市」のディレクター・バイヤー。
大学卒業後、店舗デザイン・設計の会社を経て、2014年に中川政七商店に入社。日本各地のつくり手と共に展示会やイベントを開催し、商品の仕入れ・販売・プロモーションに携わる。
古いものや世界の民芸品が好きで、ならまちで築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らす。山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。ほとけ部主催。
twitterアカウントはこちら

引地海(ひきじかい)

Pomalo 株式会社 クリエイティブ・ディレクター。大学卒業後、広告代理店を経てフリーの編集者に。雑誌やWEBサイト、イベントの企画・制作・プロデュースを手がけ、2019年よりコンテンツ・エンジニアリング・カンパニー Pomalo(ポマーロ)に参加。11歳から17歳までをアメリカ・サンディエゴで過ごした帰国子女。2児のパパで、趣味はお弁当づくりとキャンプ。


自己紹介エピソードも配信しています


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製造風景

番組内で話していた漆器のものづくりの様子を、ダイジェスト映像でお届けします。
実際には数えきれない程の工程を経てつくられているので、ここでお見せするのは、ほんの一部ですが、少しでもお届けできれば幸いです。

<関連記事>
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漆器のお手入れ・洗い方・選び方。職人さんに聞きました
来たれ、ものづくりのまちへ。1泊2日で楽しむ鯖江の旅
ものづくりの現場を満喫!「RENEW」徹底ガイド

プレゼントキャンペーン

食洗機で洗うこともできる、漆琳堂さんの 「朱色の朝倉椀」を1名様にプレゼント!
中川政七商店で取り扱っている商品とは形が若干異なり、一乗谷の朝倉氏遺跡から出土した漆器のお椀と同じ形状にして、「朝倉椀」と名付けた美しい漆椀です。

<応募方法>
twitterもしくはInstagramにて、ご応募ください。

【実施期間】
2022年7月1日(金)~7月18日(月)

【応募方法】
twitterの場合
①「@nakagawamasa7」をフォロー
②「#工芸うんちく旅」をつけて番組の感想を添えてツイート
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

Instagramの場合
①「@nakagawamasa7」をフォロー
対象の投稿に番組の感想をコメント
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

【結果発表】
2022年7月下旬頃を目安に、当選者さまへDM(ダイレクトメッセージ)をお送りいたします。

職人さんへの質問募集

職人さんに聞いてみたい質問などがございましたら、下記フォームよりご投稿お申し込みください。
時期によって募集中の工芸は異なります。
番組のご感想もお待ちしております。

次回予告

次回の配信は、8/5(金)。大阪府堺市の「注染手ぬぐい」の染めものの現場を訪ねます。
お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

贈りものにエピソードを。阿部守商店「おさかなの素」

30歳を超えた頃から、大切な人への贈りものには選んだ理由を添えるようになりました。父の日ならビール、母の日ならカーネーションと定番品をそのまま贈るのも悪くはないけれど、「あのね、このビールはお父さんと同じ年に生まれた醸造所が造っていてね、」とか「この器は、あなたの地元に産地があってね、」といった風に、つくり手が込めた想いとか、相手にぴったりな理由とか、話したくなるエピソードがあるとなお、贈りたい気持ちが増すのです。

けれどそのぶん「これだ!」と思えるものを探すのは難しく、どうしてそれを贈るのか、自分で納得できないと決められない。少々、やっかいな主義を持ってしまいました。

こんな私なので、贈りものを探すときはいつも少し途方に暮れてしまいます。相手が喜び、なおかつ伝えたいエピソードのある品を、毎回一から探し出すのは割と途方もない道のりで、時間もかかる。こうして私は次第に、気になった品・気に入った品を「贈りたいものリスト」として、少しずつ書き溜めておくようになりました。

甘いものならあれ、気の利いた雑貨ならこれ、と、いざとなったらリストが助けてくれる安心感は結構心強く、リストに鎮座する品々を眺めては、楽しい未来に想いを馳せます。もちろん全てがエピソードも含めて推せる品ばかり。いざ出番が来たときは嬉しくて、手渡すときの私はたぶん、にこにこしていると思います。

中川政七商店が経営コンサルティングを手がけた、阿部守商店がつくる「おさかなの素」が、このたび、そのリストに新しく名を連ねました。

宮城県塩竃市。太平洋に面する港町で、魚加工業を営む同社が新しく発表したこの品は、魚のほぐし身と調味料の白醤油、海苔がセットになり、「お茶漬け用」「炊き込みご飯用」と大きくは2種類をラインアップ。

例えばお茶漬けセットなら、冷凍されたお魚を開封してご飯と一緒にお茶碗に盛り付け、白醤油とお湯を注げば出来上がりと、豪華なお茶漬けが簡単に完成します。

「紅鮭」「さば」「ほっけ」など数種類の魚がセットになった「おさかなの素」は、魚種や内容量の異なる複数の価格帯が用意されていて、予算や好みに合わせて検討できるのも魅力的。同じく東北の地で活動されているakaoniが手掛けたパッケージやロゴデザインは、ほどよい気品とどこか懐かしい土着感あるデザインで、贈りものにぴったりです。

「お茶漬けセット」「炊き込みご飯セット」とも、基本の「おさかなの素」は共通。調理の工程や白醤油の分量などがそれぞれ異なる

さて、今回は定番だという「紅鮭」を炊き込みご飯にしてみます。実家を出てから「魚の調理はこんなに面倒だったのか!」と、めっぽう肉派になってしまったのは私だけではないはず。魚は食べたい。だけどめんどくさい。そうやって魚と距離を置く日常が今やすっかり普通になってしまったけれど、やっぱり魚が食卓にあると嬉しいし、それが手間なくつくれるなんて、私の心は静かなお祭り状態です。

封を開けて、炊飯釜に入れて、あとは炊くだけ。今回はちょっと“丁寧な暮らし”風に楽しんでみようと土鍋で炊いてみましたが、もちろん手軽に炊飯器でも大丈夫。次に蓋を開けたときには立派な鮭入り炊き込みご飯が出来上がりです。

お茶碗によそい、刻んだ青じそと付属の海苔をまぶす。例えば朝ごはんにするなら、いつものお味噌汁や定番のおかずを添えただけでも、夢のような朝定食が完成するのです。

何歳になっても「炊き込みご飯」と聞けば、ついテンションが上がってしまう。淡い紅色が白米に映え、お茶碗の中の美しい景色に思わず顔がほころびます。

お箸でとって口に運べば、海苔の香ばしさが白醤油の染みた鮭を引き立て、口の中に優しい海が広がるよう。「うん、おいしい!」。丁寧に身をほぐしてあるので骨もなく、食べ進めやすいのも安心感があって嬉しい点です。

阿部守商店が商いをする宮城県塩竃市は、江戸時代には仙台の外港として水産業で栄えた場所。現在は国内有数のマグロの水揚げ地となっている一方で、環境問題などを背景に、水揚げ量は年々減少の一途をたどり、地域の水産業は大きな課題に直面しているといいます。

そんな塩竃の土地で、ルーツを漁師に持つ同社。世界中の海をめぐりさまざまな魚と出合った後は、もっと魚を知りたいと、塩竃の魚市場で卸業を始めました。そして、いまは漁師と魚卸業で培った”美味しい魚を見極める目”を強みに、魚加工業をされています。

阿部守商店が目指すのは、塩竃の海をまた、たくさんの魚が集まる場所にすること。そのために「環境負荷を極力控えながら、美味しい魚を届けられるような品の提案に取り組んでいきたい」と、新商品開発を主導した阿部守商店二代目の阿部久仁雄さんは話します。

塩釜港(写真提供:塩竈市秘書広報課)

「限られた資源を大切にするために、獲れた魚は美味しく、無駄なくいただきたい」。

そんな想いから生まれた「おさかなの素」は、通常は捨ててしまう魚の切れ端も活かせるようにとほぐし身を採用。何度も何度も試作を繰り返し、開発されたそうです。

あらゆるアプローチから魚を究めた信頼できるつくり手であり、美味しくいただくことが、塩竃の海を元気にしていく貢献にもなる。

「美味しいうえに、ものづくりの想いにもグッとくる。そんな品、応援せずにはいられない!」と、「贈りたいものリスト」への追加を決めたのでした。

お世話になった先輩へ、暑い夏に料理の手間を軽減できるお中元にするのもいいし、私と同じく、たぶん稀にしか魚料理が食卓に出ない友達への、誕生日プレゼントにするのも喜ばれそう。

まずは、幼い私に美味しい魚料理をつくってくれた家族へ、何でもない日にふと贈ってみようと思います。


<掲載商品>
宮城 塩竃 阿部守商店 「おさかなの素」

「炊き込みご飯セット」
・2種4袋 3,900円(税込)
・3種6袋 5,600円(税込)

「お茶漬けセット」
・4種4袋 3,780円(税込)
・5種6袋 5,400円(税込)
・5種10袋 8,640円(税込)
※いずれも送料込み。沖縄県のみ送料+500円

購入先はこちら:阿部守商店 ECサイト


文:谷尻純子

【季節の手ざわり】五感で愉しむ、日本の夏

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

本日よりスタートする「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けいたします。
小さな音色や先人の声に耳を澄まし、暮らしを整える、そんな時間をご一緒できればと思います。

さて、水無月、じめじめとした梅雨の合間にのぞく晴れ間に、初夏の気配を感じる時期。
五感で愉しむ、心地好い日本の夏の準備、はじめてみませんか。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


プラットフォーム

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日本の夏を五感で愉しむ暮らしの道具

①癒やしを感じる「風鈴」の音色

→中川政七商店の風鈴ラインアップはこちら

②自然に学ぶ先人の眼差しから生まれた「蚊取り線香」

→関連商品はこちら

お便りを募集しています

番組内でご紹介させていただく、リスナーの皆さまからの投稿を募集しています。
「わたしの心地好い暮らしをつくる道具」をテーマに、お気に入りのアイテムや、しつらいの風景、意外な使いかたなど、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いをお聞かせください。


次回「季節の手ざわり」は、7月15日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信予定です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
初回は7月1日(金)配信予定です。

お楽しみに。

【中川政七商店ラヂオ】職人さんへの質問を募集しています

1月からスタートした「中川政七商店ラヂオ」
第1シーズンを終えてしばらくおやすみしていましたが、次回6月末にスタート予定の第2シーズンに向けてコンテンツを準備中です。

そこで、工芸のものづくりに興味がある方、中川政七商店の商品を愛用いただいている方に、番組で紹介させていただく質問や感想などの投稿を募集しています。

次回からの配信では、中川政七商店と一緒にものづくりをしている日本全国の職人さんの製造現場へ伺い「工芸のうんちく」をお届けする番組をスタートします。

2回目の訪問先は、注染手ぬぐいの産地、大阪府堺市。
3回目の訪問先は、有田焼の産地、佐賀県有田町。

注染手ぬぐい、有田焼にまつわる質問や感想は、こちらからお気軽にお寄せください。

① 注染手ぬぐいの産地、大阪府堺市へ

2回目配信予定の訪問先は、大阪府堺市毛穴町。
注染手ぬぐいのつくり手である株式会社ナカニの中尾弘基さんにご案内いただき、製造現場を見学させていただきます。

注染は糸自体を染めるので、表・裏がないのが最大の特徴です。
色褪せしにくく、生地の糸自体を染めることで通気性が保たれ、柔らかいため、手ぬぐいや浴衣に用いられています。
中川政七商店で販売している手ぬぐいも、裏表がないものは注染の技法でできたものです。

株式会社ナカニは、古くから手ぬぐいの産地として知られる大阪府堺市毛穴町で、昭和41年創業。注染の技法を最大限活かしながら、新たな個性をかけあわせた商品をお届けしています。

これからの季節は手ぬぐいが活躍するシーズンでもあります。
注染手ぬぐいにまつわる質問や、自分が持っている商品についての愛着など、
お聞きしたいこと、お伝えしたいことがあれば、お気軽にコメントをお寄せください。
6月21日(火)までの募集となります。

②有田焼の産地、佐賀県有田町へ

泉山磁石場
まるで特撮の舞台。日本磁器が産声を上げた場所

第3回配信予定の訪問先は、佐賀県有田町。
有田焼のつくり手である幸楽窯の徳永隆信さんにご案内いただき、製造現場を見学させていただきます。

華やかな絵付けの伝統的な有田焼 (有田観光協会提供)
華やかな絵付けの伝統的な有田焼 (有田観光協会提供)

有田焼と言えば、日本で初めて磁器がつくられた産地。
透き通るように白い磁肌と呉須 (藍色の顔料) で描いた染付け、ガラス質の上絵具 (赤、緑、黄、紫、青) を用いた華やかな赤絵が特徴です。耐久性が高く、美術品から日用品まで様々なものが生産されています。400年の歴史の中で、様々な様式が誕生しました。

中川政七商店とは、これまで「金鳥の渦巻蓋物」や「有田焼の立雛飾り」、「有田焼の武者飾り」を一緒につくってきました。

有田焼にまつわる質問や、自分が持っている商品についての愛着など、
お聞きしたいこと、お伝えしたいことがあれば、お気軽にコメントをお寄せください。
7月10日(日)までの募集となります。

これまでの「中川政七商店ラヂオ」はこちらからご視聴いただけます。

今後の配信もお楽しみに。