長く使うことは、長くつくること。花ふきんは、無理のないものづくりが生んだロングライフデザイン

「これからの時代、さらに重要になってくるであろう“ものをつくりすぎない、大切に使う”といった姿勢にもこれらは良い提案をしてくれている。丈夫なので長く使える、またくたくたになったら台拭きや雑巾に使用してください、と自ら謳っている。
その姿勢はこれからのものづくりに欠かせないように思う。」

花ふきんをお使いの皆さま、ご愛用いただきありがとうございます。
実はこの度、私たちの代表商品である花ふきんが、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。
上記のコメントは、審査員の方からいただいた受賞コメントの一部です。

ロングライフデザイン賞とは、長年にわたり人々に愛されスタンダードであり続ける力を持ったデザインを顕彰するもの。愛用してくださる皆さまとともに受賞した賞です。
そして、その裏にいる、つくり手の皆さんとともに受賞した賞でもあります。

受賞コメントを読んで、長く続くということは、ものづくりに無理がないことも大切だったのかもしれない、と改めて感じました。
何度もお話してきている花ふきんですが、今日は、もう一段深く、花ふきんの背景にあるものづくりの営みをお届けできたらと思います。

花ふきんを企画した中川みよ子さん、初期から花ふきんのものづくりに伴走し続けてきた田出睦子さんに話を聞いてみました。

左が中川みよ子さん。右が田出睦子さん。

理にかなったつくり方が生んだ、機能性

「花ふきんは、他のかや織ふきんと何が違うんですか?」
お店でよく聞かれる質問です。

左が花ふきん。右がかや織ふきん。サイズや厚みが違うことに加え、目の粗さも異なる為、最も吸水速乾性に優れています

他のかや織ふきんと異なるのは、
目の粗い“蚊帳”本来の組織で織られた生地が、大判サイズ2枚仕立てでつくられているところです。

生地の目が粗いことによる、吸水速乾性はもちろん、
一般的なふきんよりも大きい為、畳んで拭けば水気をよく吸い、2枚仕立てで薄いから、広げて乾かせばすぐに乾く。かや織の生地がもつ機能性を最大限活かしたプロダクトです。

この大判薄手の花ふきん、エアコンの普及により廃れつつあった“蚊帳”の機能を別の物に再生する発想から生まれたものですが、
実は、理にかなったものづくりの視点で生まれたデザインでもあります。

「58×58cmのサイズは、反物の幅をちょうど二つに折り畳んだサイズなんです。そうすると生地の無駄がないでしょう。素材に合わせてサイズが決まりました」(中川さん)

中川政七商店は元々、麻の問屋からはじまっている為、布とはお金そのもの。布を余らせる発想がなかったのだと言います。
言われてみれば、商品の企画担当から、「布の無駄が出ないようにこの形なんです」という言葉を、今でもよく聞くことに気が付きます。中川政七商店に根付く、無駄のないものづくりの思想は今なおずっと受け継がれているのです。

結果として、花ふきんは一般的なふきんよりも大判になり、食器拭きだけでなく、料理に使ったり、お弁当を包んだり、様々な使い方が生まれていきました。

更に、2枚仕立てと薄手なことにも理由があります。

「今とは規模が違いますから、当時、縫製は内職さんにつくってもらう体制でした。
生地を重ねる程、縫うのに工夫が必要になってくるんですよね。内職さんが持ってる普通のミシンで縫うには、あまり重ねすぎない方がよかったんです。
自分一人でつくるわけではないので、縫いやすい、つくりやすいということは、ものづくりする上で疎かにしてはいけない点でした」(中川さん)

結果として、速乾性は抜群。干している様子も、蚊帳本来の佇まいをそのままに、うっすらと透ける美しいものになりました。

素材との出会いが生んだ「残したいものづくり」

実はこの、うっすらと透ける佇まいこそが、かや織との出会いを生んだのだと言います。

「もう25年程前になります。今みたいに全国に店舗があるわけではなく、知名度ももちろんなく、ならまちでひっそりとお店を営んでいた頃でした。お客様に来ていただく為にどうするかと考え、様々な企画展を行っていました。

その中の一つとして、“じ・えんどー終わりを思うー”と題し、色んな作家さんに骨壺等の終わりの道具をつくってもらって企画展を行ったんですね。その際、幽玄な世界をつくりたくて、演出として吊ったのが、“蚊帳”との初めての出会いでした」(中川さん)

蚊帳との出会いである「じ・えんどー終わりを思うー」展のDM。

触ってみれば、やわらかくて肌触りがいい。吸水性もいい。エアコンの普及で蚊帳の需要が廃れ、身近にいる奈良のつくり手が困っていると言う。
この肌触りのよい美しい素材と、身近なつくり手の技を残したい。そんな想いで、機能性をそのままに、ふきんに再生するものづくりが始まりました。

「ふきんにすると言っても、ただ真っ白なものだと味気ないと思ったんです。台所や食卓に置いた時に彩りを添えるようなものにしたいと思い、花の色に見立てて染めました」(中川さん)

素材の本質を捉え、その知恵を学び、現代の暮らしに寄り添うようアップデートする。
中川政七商店のものづくりに根付く、温故知新の考え方は、この花ふきんから始まっていきました。

左が初期の花ふきん、右が今の花ふきんのパッケージ

25年以上続く中で、ふきんのものづくりには、失敗もたくさんあったと言います。

「失敗ばっかりしてますよ。つくり手の皆さんと、今度はあれやってみよう、これやってみようってつくっては、全然売れなかったり。この仕様では継続してつくり続けるのは大変だねって言って終わったり。環境によくないから、と終わったものもありました」(中川さん)

「でも花ふきんだけはずっと続いてるんですよね。パッケージは変わってるけど、最初につくったものが、サイズも厚みも目の粗さも色も、ずっと続いてますね。
なんでだろう、使ってくださる方がいるからだと思いますけど、つくり手の皆さんとも、入社して以来ずっと、私の社会人人生ずっと一緒にお仕事しているので、今回の受賞を報告できることが本当に嬉しいです」(田出さん)

一枚のふきんを支える、たくさんの手しごと

「失敗ばかり」という言葉の通り、一見シンプルなつくりですが、そのものづくりは一筋縄では行きません。

例えば「織り」の工程では、糸の張り具合が少しでも緩めば目が歪み、糸を張りすぎればすぐに切れてしまいます。職人さんは糸の素材や湿度、天候、機械の癖を見ながら、片時も休まず織機の間を行き来して、糸の具合を調整してまわります。

ふきんの質感や色味を決めるのが「染め・糊付け・幅出し」の工程。生地に熱を通すため工場内の温度が40℃にも達する過酷な環境の中、高度な技術に支えられて、ふんわりとした風合いや繊細な色合いが生み出されます。最後の重要工程「縫製」は、目の粗い生地を2枚重ねて縫うため、1枚1枚人の手でミシンがけをしています。

こうしてたくさんの人の手に支えられて、一枚のふきんが完成します。

中川政七商店にとって、ロングライフデザインとは

「狙ってつくれるものではないですけど、今年の春に発売したばっかりの番茶シリーズをロングライフデザインにしないといけないねって、チームで話してました。

これも奈良のつくり手4社さんとつくってるのですが、畑を何か所も一緒に回らせていただいて、お茶の植樹に参加させていただいたりとか、苗木いただいて会社で植えたりとか、
そんなふうに膝を突き合わせて、つくり手の皆さんと関わっていくと、跡を継ぐお子さん達にお会いする機会もあって。
この子たちが育って後を継ぐっていう時に、この商品を残したいなって、感じるんですよね」(田出さん)

花ふきんから受け継いだ“残したいものづくり”。最新のものづくりにも、そんな想いが脈々と受け継がれています。
30年後、一体どんな風に育っているのか。私も番茶シリーズのいちファンとして、ものづくりの輪に加わるようで、今からなんだか楽しみです。

こうして企画担当の話を聞いてみると、改めて、中川政七商店は関わる人みんなが幸せになることを目指して、ものづくりを行っているのだと実感します。
使う人に喜んでいただくことはもちろん、つくる人も含めて、関わる人全員が幸せになるように。

三方良しのものづくりだからこそ、ロングライフデザインになるのだと信じて。これからも、一つずつ、日本の素材技術風習に向き合って、私たちのものづくりを続けていきます。


<関連特集>

写真(インタビュー):中部里保
文:上田恵理子

【季節の手ざわり】自然の力を借りる、秋の養生

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

中川政七商店ラヂオ「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けしています。
季節の移ろいを感じ暮らしを整える、そんなひと時をご一緒しませんか。

10月に入り秋が深まるこの時期、空気がひんやりと冷え、肌寒く感じる日も多くなってきましたね。そこで今回は、本格的な寒さがやってくる前に習慣にしておきたい「自然の力を借りる、秋の養生」のお話です。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


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自然の力で養生する、暮らしの道具

じんわり体を温める「小豆のカイロ」

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体を内側からあたためる「生姜湯」

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お便りを募集しています

番組内でご紹介させていただく、リスナーの皆さまからの投稿を募集しています。
「わたしの心地好い暮らしをつくる道具」をテーマに、お気に入りのアイテムや、しつらいの風景、意外な使いかたなど、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いをお聞かせください。


次回「季節の手ざわり」は、11月11日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信中です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
次回は10月14日(金)配信予定です。

お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

毎日の食卓にちょっとした感動を届ける。“香る”スープ体験

毎日の食卓に、添えられると嬉しいもの。
お野菜、香の物、汁もの。

そう思いつつ、パスタなど、主食のみでさくっと済ませてしまうこともしばしば。
食べる時間は大切だけど、つくるのも1日3食となれば、毎食きっちり一汁三菜を用意してもいられない。そんな時もあります。

とは言え、あると絶対にいいと分かっている。添えものは、食卓の豊かさに繋がるように思います。
食欲の秋、日々の満足度をあげてくれる、あると絶対にいい、そんな汁ものをつくりました。

親しみのある、初めての味わい

日常の中で味わっていただきたいので、日本の食卓に合う定番の6種類をつくりました。

左上から時計回りに、豚汁、カニたまスープ、クラムチャウダー、ミネストローネ、クリームスープ、カレースープ

多くの方に親しみがあり、なんとなく味が想像できるものではないでしょうか。
でも、いざお湯を注いでみると…
ちょっとした驚きのあるスープができあがります。

「食事って、食べることだけじゃなくて、料理をつくることが、自分の日常生活にひもづいてるんですよね。
日々の食事って食べる以上につくるという意識があって。つくることを楽しんだり、豊かな暮らしをしてる自分に満足するっていう側面もあるのかなと感じてます。
だから、ただあればいいってわけでもなくて、ちょっと豊かになるようなものにしかったんです」

そう話すのは、中川政七商店の食品開発を担当する田出さん。
料理する際の視点も大切に、手軽ではなく、無理がないことを大切に考えながら、汁ものの企画がスタートしました。

「それで、最初に話してたのが、香りを立たせたい、ということでした。何をもって豊かに感じるかというと、“香り”なのかなって。普段から、豊かさとは何か、ということはよく話していて。産地、旬、ひと手間など、中川政七商店の食品開発で大切にしていることの中から、今回は“香り”をピックアップしていきました。
和食材との相性の良さから、もともと中川政七商店の食品開発では、生姜や柚子など香り高い食材を使うことも多いんです」

こちらも同じく食品開発を担当する内山さん。
ちょっとした豊かさを食卓に添えたいという思いで、組み合わせを考えていく中で、今回は強力な助っ人に入っていただくことに。一つ星レストラン「sio」のオーナーシェフ、鳥羽周作さんです。

一つ星レストラン「sio」のオーナーシェフ、鳥羽周作さん

ここからは、鳥羽さんにお話を伺っていきましょう。
読んでしまえば、絶対に飲みたくなる、おいしい理由をお届けします。

“香り”を愉しむ。フリーズドライの中にあるレストラン体験

香りを立ち上らせること。それは、お湯を注ぐフリーズドライが得意なことでもありました。

「紅茶って水出しでは香りが開かないじゃないですか。温度と香りって密接な関係なんですよね。そういう意味で、フリーズドライの長所を最大限活かしたプロダクトができたと思います。香りを立ち上らせるために、粉体と固体に分けたり、製法にも工夫をこらしています。
6種類全て、それぞれの香りに注目してもらえると、いつもの食卓の中で、ちょっとだけ贅沢な気分になっていただけるんじゃないかなと思います。
フリーズドライの中でのレストラン体験、ともいえるんじゃないかと思いますね」

フリーズドライのベストを目指す、最高の調味

さて、お味はというと….

「フリーズドライと言っても、手軽だからいいのではなく、また飲みたいなって思えるくらい美味しいものかどうかってところを、まずは考えていきました。
フリーズドライって、食感や具の感じが、その場でつくったものとは当然違いますよね。でも、フリーズドライの中でのベストがあるんです。500円の一皿の中にも5万円の一皿の中にもそれぞれ目指すべき最高点があって、今回もそこを目指してつくっていきました」

まずはシンプルにおいしい、ということ。
その中でポイントにしたのが、“調味”だったと言います。

「素材にこだわってつくる料理って“調理”だと思うんです。ただ、必ずしもいい食材ばかりを使えない中で、大事になるのは味のバランスや味付けなどの“調味”。
今回、フリーズドライという土俵の中で扱える食材と、その中で表現できる最高の調味があわさったベストなアプローチができたんじゃないかなと思ってます」

では、実際どんな味わいなのか、一つひとつ、ご紹介していきましょう。
食べる前でも、食べてからでも、シェフとの答え合わせ、お楽しみください。

ゆず香る利尻昆布だし「里いものとん汁」

お湯を注いだ瞬間にゆずの香りがパッとはじける豚汁。食べる前から、もうおいしい。

「シリーズを通して香りがポイントになってると思うんですけど、中でも、豚汁はいいですね。レストランと同じ出来立ての感覚に近い香りの体験を味わえると思います。
粉体と固体に分けることで、香り高くなっただけでなく、具材の種類も豊富でしっかり感じられるものになったので、満足感もあると思います」

あられ香ばしいカツオ本枯節(ほんかれぶし)「カニたまスープ」

やさしいカツオの出汁にカニの旨味。あられの食感と香ばしさがアクセントのカニたまスープ。あられが目にも華やかです。

「お米とかお煎餅の香ばしさをいれることで、カニの生臭さを抑えて、旨味だけが活きる、ありそうでなかった和のスープになりましたね。

あともうひとつ大事なのが、満足感。“食べるスープ”ってイメージがあったんで、ただ飲むっていうより、食べるって意味での満足感もある一品になりましたね。
雑炊的の旨味と香りはありつつ、スープなので軽やかで非常に飲みやすい。いい感じに仕上がったと思います」

酒かす香る 玉ねぎたっぷり「クラムチャウダー」

酒かすと玉ねぎの甘さに絶妙に合う、アサリとクリームの旨味を感じるクラムチャウダー。
ふわっと香る酒かすに、ちょっとした驚きがあります。

「単純にクラムチャウダーをつくっても、他にもあるじゃんって中で、酒かすをいれることで意外性を出しました。同時に旨味も倍増していったんですけど、酒かす特有の香りをフリーズドライで表現するのが難しかったんですよ」

その難しい部分の調整を重ねてくださったのが、フリーズドライの製造メーカーであるアスザックフーズ株式会社の皆さん。鳥羽さんの監修の元、何度も試作を重ね、抑えつつ際立たせるという絶妙なバランスで仕上げていただきました。

「貝のうまみとクリームと酒かすっていう異なる旨味の調和みたいなのが非常にバランスよくとれていて、ボリュームもあり、満足度の高いスープになりました。
みんな好きなスープをちょっと違った視点でバランスよくつくったって意味ではすごい優秀なものだと思いますね」

山椒香る 蓮根とセロリの「ミネストローネ」

山椒の香りで、濃縮したトマトの旨味と酸味が際立つミネストローネ。
フリーズドライなの?と感じるほど旨味が際立っています。

「これはもう最高にいいですね。僕はこれ1番好きです。
ミネストローネって結構酸っぱくて洋食っぽい感じなんですけど、これは濃縮されたトマトのような旨味があって、でもどこか和の風味もあるんですよね。いい意味で期待を裏切ると思います」

「今回お料理もあえて肉じゃがとおにぎりと組み合わせたように、和食にも合うんですよね。
食べる人を想像した上で、お客さまが食べたいものをつくるっていう僕の基本的な考え方なので、中川政七商店のお客さまを想像しながら調味していきましたね。中川政七商店のお客さまが持ってる器とか食事の想像をしたときに、温かみのある器を使ってたりとか、やっぱり和食をつくることが多いんじゃないかと思って。

れんこんだとかズッキーニだとか和洋折衷の食材もはいっていて、僕としては、中川政七商店がつくる今の暮らしに合うスープを最も体現できたように思います」

白みそ香る 鶏ときのこの「クリームスープ」

白みその甘さとクリームのコク。バランスの良い濃厚さで満足感のあるクリームスープ。
味噌の風味によって、和食との相性もいいスープです。

「クリームスープのコクやとろみをフリーズドライで実現するのがそもそも難しいんですよね。ただラインアップとしては必ずあってほしいじゃないですか。
濃厚すぎずシャバシャバでもなく、満足感があり軽やかでもある。結構具も入って満足感もあることを考えると少し軽めにしないといけなくて。
絶妙なバランスを目指して、細かいチューニングを重ねてつくっていきました。

最後まで、クリーム2つが1番難しかったですね。その、難しいとこをOKしたものなので、かなりいい感じに出来上がったと思います。
ザ洋食って感じでもないので、和食にも合いますし。みんなが好きな王道な感じに仕上がったかなと思います」

昆布だし香る 蓮根と玉ねぎの「カレースープ」

昆布だしの旨味に、スパイスの辛さや香りがしっかり効いたカレースープ。
確かにカレーらしい味なのですが、スープの軽やかもあり、新鮮な味わいです。

「カレーを出汁で伸ばしたっていう、いわゆるカレーうどんみたいな形じゃなくて、スープにカレーのエッセンスをいれた感じなんですよね。カレーを構成している香りだったりスパイスっていう部分をスープに落とし込んでる。
だからあくまでも、スープ料理としてのカレーの立ち位置っていうところが、ありそうでなかったものになってると思いますね」

「無事に仕上がって本当によかった。どうなるかと思った」と8回の試作を経て完成した商品を見ながら話す。左からsioの鳥羽周作さん、中川政七商店の田出さん、内山さん。

フリーズドライの特徴に、美味しさが必ず反映できる具材や調味バランス。そして香り高さ。8度もの試作を繰り返し、細かいチューニングを経て完成しました。

毎日の食卓に、いつもよりちょっと感動するスープ体験を。

「実はスープって、主役にも、脇役にもつなぎ役にもなれるっていう、万能選手なんですよね。どの立ち位置でもふるまえる、食卓に寄り添える食べ物。
そこに香りが加わってレストラン体験になるっていう、新しいスープの価値を示せるようなフリーズドライになったかなと思ってます」(鳥羽さん)

「ちょっときれいなお花を飾ったとか、週末にいいビールを飲むとか、そういう豊かさってありますよね。素朴だけど、日常の時間が豊かになること。
私たちが、日本の素材のよさを活かしながら、鳥羽さん、製造メーカーの皆さんと手間かけてつくったものが、そういう風に皆さんの食卓に寄り添えたらいいなと思います」(田出さん)

日常の中で、ひとつのフリーズドライにお湯を注ぐだけで、香りが立ち上りちょっとだけ幸せな気分になる。日に日に寒くなるこれからの季節、一汁のある食卓が、一日の満足度を高めてくれそうです。


<掲載商品>
ゆず香る利尻昆布だし「里いものとん汁」
あられ香ばしいカツオ本枯節 「カニたまスープ」
白みそ香る 鶏ときのこの「クリームスープ」
山椒香る 蓮根とセロリの「ミネストローネ」
昆布だし香る 蓮根と玉ねぎの「カレースープ」
酒かす香る 玉ねぎたっぷり「クラムチャウダー」


写真:枠谷結也
文:上田恵理子

<プレゼントキャンペーン>

発売を記念して、食の豊かさをお届けするプレゼントキャンペーンを実施いたします。

【応募方法】
twitterもしくはInstagramにて、ご応募ください。

【実施期間】
2022年10月5日(水)~10月30日(日)

【応募方法】
◆twitter
①「@nakagawamasa7」をフォロー
②「#香るスープ」をつけて感想をツイート
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

◆Instagram
Instagramの場合
①「@nakagawamasa7」をフォロー
②対象の投稿に感想をコメント
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

【結果発表】
2022年11月上旬を目安に、当選者さまへDM(ダイレクトメッセージ)をお送りいたします。

【プレゼント内容】
・1名様にsioのディナーにペアでご招待(有効期限2023年3月まで)
・5名様に中川政七商店の「食のお試し便」
をプレゼントいたします。

▲sioの内観と料理写真

sioのディナーご招待は、ご希望に応じて、㐂つねでのディナーにご変更も可能です
食のお試し便の内容は以下を予定しております。
・番茶3種
・産地のカレー2種
・花ふきん1枚
食品の味や花ふきんの色は届いてからのお楽しみ。
食卓で過ごす時間に、豊かなひと時をお届けできれば幸いです。

【工芸うんちく旅】栃木県「琺瑯」

こんにちは。
中川政七商店ラヂオのお時間です。

「工芸うんちく旅」は、工芸好き男子ふたりが、日本の工芸産地をめぐり、職人さんや地元の方々から聞いてきたうんちくや小ネタ、地域の風習、食文化などを紹介する番組です。

栃木県/琺瑯

今回は、創業88年の老舗琺瑯メーカー、野田琺瑯さんをピックアップ。野田琺瑯さんは、今では国内で唯一となった全ての琺瑯製造工程を一貫生産している会社で、代表的な商品に冷蔵庫用ぬか床の「ぬか漬け美人」やシンプルかつ洗練された「White Series」などがあります。今回は、栃木にある野田琺瑯の工場を見学させていただくとともに、社長の野田靖智(のだやすとも)さんにお話を伺いました。

琺瑯って聞いたことはあるし、実際に持っているけど、いざ説明するとなると難しい、、、そんな方も多いのでは?改めて、琺瑯の性質やその特性、琺瑯の歴史から始まり、日用品として広まっていった経緯など、さらには近代における新たなライバル素材の出現などに関して語ります。

また、野田琺瑯さんの人気シリーズの開発秘話や人気商品となった経緯などに関しても、ナビゲーターふたりの実体験をもとに紐解いていきます。さらにさらに、ナビゲーター引地が勝手に妄想する琺瑯の未来についても熱く語ります。キーワードは「男性」と「キャンプ」!?

琺瑯好きはもちろん、琺瑯は持っているけど詳しくは知らない方から琺瑯ビギナーまで、幅広い方にお楽しみいただけると思います。

プラットフォーム

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ナビゲータープロフィール

高倉泰(たかくらたいら)

中川政七商店による産地支援事業「合同展示会 大日本市」のディレクター・バイヤー。
大学卒業後、店舗デザイン・設計の会社を経て、2014年に中川政七商店に入社。日本各地のつくり手と共に展示会やイベントを開催し、商品の仕入れ・販売・プロモーションに携わる。
古いものや世界の民芸品が好きで、ならまちで築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らす。山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。ほとけ部主催。
twitterアカウントはこちら

引地海(ひきじかい)

Pomalo 株式会社 クリエイティブ・ディレクター。大学卒業後、広告代理店を経てフリーの編集者に。雑誌やWEBサイト、イベントの企画・制作・プロデュースを手がけ、2019年よりコンテンツ・エンジニアリング・カンパニー Pomalo(ポマーロ)に参加。11歳から17歳までをアメリカ・サンディエゴで過ごした帰国子女。2児のパパで、趣味はお弁当づくりとキャンプ。


プレゼントキャンペーン

「White Series レクタングル浅型」SサイズとMサイズをセットでプレゼント!
琺瑯の保存容器は、熱伝導率が良く冷却性にも優れ、酸や塩分に強く中に入れる食品に影響を与えません。その場に調和し凛とした美しさを保ちながら食材を引き立たせる白。佇まいも機能性も優れた保存容器です。

<応募方法>
twitterにて、ご応募ください。

【実施期間】
2022年9月30日(金)~10月20日(木)

【応募方法】
①「@nakagawamasa7」をフォロー
②「#工芸うんちく旅」をつけて番組の感想を添えてツイート
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

【結果発表】
2022年10月下旬頃を目安に、当選者さまへDM(ダイレクトメッセージ)をお送りいたします。

ご質問・ご感想を募集しております

パーソナリティへの質問や、ご視聴の感想、ここに行ってほしい!といったリクエストなど、お聞きしたいこと、お伝えしたいことがあれば、お気軽にコメントをお寄せください。

あわせて、職人さんへの質問も募集しております。現在募集中の工芸は、「南部鉄器」になります。

皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回「工芸うんちく旅」は、10月14日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「季節の手ざわり」も配信中です。
こちらは、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けしています。
次回は10月7日(金)配信予定です。

お楽しみに。

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【季節の手ざわり】実りをいただく、旬の手しごと

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

中川政七商店ラヂオ「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けしています。
季節の移ろいを感じ暮らしを整える、そんなひと時をご一緒しませんか。

さて、秋分の頃、爽やかな風が吹き、木々にはたわわに実った果実。食材を買いに出かけると、秋の旬が目に入り、季節が移り変わったことを感じますね。そう、待ちに待った実りの季節の到来です。今回は、「実りをいただく、旬の手しごと」のお話です。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


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秋の実りを愉しむ、暮らしの道具

ぬか漬け

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レモン酒

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次回「季節の手ざわり」は、10月7日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信中です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
次回は9月30日(金)配信予定です。

お楽しみに。

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インテリアに招き猫、という選択。中川政七商店社員の暮らしとSETOMANEKI

毎日忙しく働いたり家事をしたり。「暮らしに余白がないなぁ」とふと疲れてしまったとき、自分を緩めてくれる心の拠りどころの一つが、自宅のインテリア。

ふかふかのソファや、やさしく明かりを灯す照明器具はもちろんですが、植物や絵、オブジェなど、見るとそれだけで元気になれる存在も欠かせない。便利や機能的とは違うけれど、その佇まいの美しさや纏うぬくもりが愛おしく、無駄なように見えて自分にとってはちっとも無駄じゃない、そんなものって皆さんにもありませんか。

今回ご紹介するのは、暮らしの心地好さを招いてくれる置物、その名も「SETOMANEKI」。名前を聞き、何となくピンときた方もいるでしょうか。そう、SETOMANEKIとは「瀬戸招き」。何とこちらは招き猫なのです。

画像提供:中外陶園

江戸時代に江戸の町人文化から誕生したと言われる、日本独自の縁起物である招き猫。日本に暮らす誰もが知る存在ではありますが、その一方で独特のデザインや「商売繁盛」のイメージからか、何となく「自分とは関係がなく、お店に置いてあるもの」と思い、自宅に飾る発想には至らなかった方も多いのではないでしょうか。

SETOMANEKIのつくり手は、愛知県瀬戸市の陶磁器メーカー・中外陶園さん。瀬戸で長らく招き猫をつくり続ける一方で、日本中の様々な招き猫を集めた「招き猫ミュージアム」も運営する、言わば“招き猫のプロフェッショナル”です。以前に、その招き猫愛に惹かれ、中川政七商店でも取材をさせてもらいました。
その時の記事はこちら

このたび「日本の文化である招き猫を、もっと身近に感じてほしい」との強い想いに中川政七商店が共鳴し、同社の経営再生支援を実施。そして”NEW MANEKINEKO”をコンセプトに、これまでの印象をがらりと変えるSETOMANEKIを誕生させるに至りました。

暮らしの中に招き猫。今までは考えもしなかったけれど、意外といいかも! ということで、発売より一足先に中川政七商店の社員が自宅のインテリアに取り入れてみました。三者三様・三者三猫の、その相性やいかに……!?

築150年の日本家屋をリノベーションして暮らす、高倉家にて

奈良県外出身で「奈良で家を持つのであれば古い家に住みたい」と考え、築150年の日本家屋をリノベーションして暮らすスタッフの高倉。日本中や海外を旅しては各地の民芸品を集めてきた高倉の家には、さまざまな地域から生まれた新旧の多様なオブジェが並びます。

「土着性のあるものが好きで、すごくスタイリッシュなデザインというよりも、各地域から生まれてきたものをつい集めてしまいます。SETOMANEKIで一番気に入った色は”黒金結晶(くろきんけっしょう)”。古いものを好む理由の一つに表面のテクスチャーの魅力があるのですが、例えば木彫りの彫刻や素焼きの土器など、経年変化で味わい深くなっているものと一緒に置いても、負けないくらいの表面の質感があります。古いものと合わせてもちょうどいいバランスでした」

「あと、もともと招き猫が縁起物なだけあり、置くとすごく明るい気分になるのも発見でしたね。招き猫が持つエネルギーみたいなものが、この抽象的な形になっても、ちゃんと活きている感じがしました。子どもたちも気に入り、思い思いの場所に動かしてました」

無骨でさっぱりしたインテリアが好きな、平井家にて

続いてはスタッフ・平井の家へ。インテリアコーディネーターとして勤務していた経歴を持つ平井の家は、少し無骨でさっぱりした印象のインテリアが特徴的です。

「この家のリフォーム依頼をしたときにお願いしたイメージは、工場とか線路下。殺風景な感じが好きなんです。子どもが自分の好きなものを色々飾るので、アニメのおもちゃや写真なんかも、ところどころに置いています」

「SETOMANEKIは表情がないので、うちのようなちょっと男性的なインテリアにも合いましたね。でも、ナチュラルなイメージのコーナーに置けばそれはそれで馴染むし、おもちゃと並んでも違和感がない。一般的な招き猫は派手なのでインテリアとの相性がありそうですが、SETOMANEKIだとその場に溶け込む感じがします。いろんなテイストの家に合うので、プレゼントにあげても意外と置きやすいと思います」

インダストリアルなデザインの中に、草花が溶け込む谷尻家にて

最後にご紹介するのは、スタッフ・谷尻の家。夫婦で暮らす自宅では、草花が咲く軽やかな庭のようなイメージが好きな妻と、キャンプやインダストリアルなデザインを好む夫がそれぞれに集めたものが、うまく融合しています。

「夫婦ともに動物が好きなんですけどマンションで飼えないので、鳥や熊などをモチーフにしたアイテムを、玄関やリビング、寝室などのいたるところに置いています(笑)。といっても可愛くなりすぎるのは好みじゃないので、ちょっとかっこよかったり、癖があるものを取り入れることが多いですね」

「これまで猫の置物は可愛いイメージのものとの出会いが多く、うちには無かったのですが、SETOMAENEKIは洗練されたデザイン。落ち着いた色のものだと、一つ置くだけで全体をクールに引き締めてくれる感じがあるし、雑貨コーナーに飾った”黄(マット)”は、草花やガラスなど透明感のある空間に置いても馴染みました。どこに置こうか、置き所がありすぎて迷ったくらいです。

曲線の美しさも魅力的で丸いフォルムにちょっと抜け感もあり、仕事で煮詰まっている時など、ふとした瞬間に目をやるとリラックスできますね。招き猫であることをつい忘れてしまうほど自然にそこにいるのですが、一方で、招き猫がいい気を招いてくれそうで気持ちが晴れやかになります」

雰囲気の異なる自宅のいずれもに、いかにも「はじめから居ましたよ」といった表情で溶け込んでいたSETOMANEKI。どんなインテリアにも寄り添う、その懐の深さは想像以上でした。

「日本の文化を今の暮らしにあった形で取り入れられる」。それは何だか少し誇らしく、“おしゃれ”だけではない良さを感じます。暮らしのなかに心を寄せられるものがある。そんな幸せを、ぜひご体験ください。


<掲載商品>


カラー:赤、白、黒(マット)、黄(マット)、黒金結晶、白(金手)、赤(金手) 
    ※以上、第一弾販売分
価格 :大 33,000円、中 6,600円、小 3,850円
    ※黒金結晶および金手は、大 38,500円、中 7,700円、小4,950円

ブランドサイト:setomaneki.jp

写真:奥山晴日


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