金鳥の夏は、なぜ「日本の夏」なのか

「金鳥の渦巻」を見て、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?

夏のうだるような暑さと、蝉の鳴き声と、氷をめいっぱいいれて結露したグラスと、なんだか落ち着く蚊取り線香の香りと…。
私は、そんなどこにでもあるようなリアルな夏の一日が鮮やかに思い浮かびます。

「でもね、海外の人はチキンスープですか?って言うんですよ」

「金鳥の渦巻」を見て夏を思うこの現象、きわめて日本ローカルな話なのだと言います。
冷静にパッケージを見てみると、たしかに。そこには、蚊取り線香や夏らしいモチーフが描かれているわけではありません。

「金鳥の夏」は、なぜ「日本の夏」なのか。
今日は、「金鳥の渦巻」が日本の夏の風物詩になるまでのお話をお届けします。

上山専務登場。こちらの特大キンチョールは、スリム版キンチョールの発売にあわせて制作したCMに登場しているものだそうです。

毎年夏の恒例になりつつあるコラボレーションのご縁もあり、
KINCHOでおなじみ、大日本除虫菊株式会社の専務取締役 上山久史さんを訪ねました。

海外では「チキンスープ?」と言われるパッケージ

「海外の方にこのパッケージを見せると、チキンスープですか?って言われるんですよ。
なるほどなあ、蚊取り線香って分かる人がそもそも変だよなぁって。鶏が前面にいて、蚊取り線香のイラストも写真も一切入ってませんから」

そんな「金鳥の渦巻」が生まれたのは、1902年(明治35年)のこと。かれこれ120年前までさかのぼります。

そもそも蚊取り線香は、日本ローカルなもの

「蚊取り線香はもともと、我が社の創業者である上山英一郎がつくったものなんです。

和歌山県有田市のみかん農家の生まれなんですが、
ある時、みかんの苗を持ち帰ろうと来日していたアメリカの植物輸入会社の社長さんを、恩師である福沢諭吉先生から紹介されて農園に招待し、みかんの苗を渡したようで。
そのお礼としていただいたのが、除虫菊の種でした」

マーガレットに似た小さな白い花を咲かせる除虫菊。可愛らしい見た目とは裏腹に、花の部分にピレトリンという殺虫成分が含まれています。

除虫菊は、元々ユーゴスラビア(現セルビア共和国)が原産地。北海道と同じくらいの緯度に位置する寒い地域なので、蚊には困っておらず、ノミ取り粉として使われていたそうです。

「蒸し暑い日本では、ノミよりももっと悩まされる虫がいて。それが蚊なんですけども。
この殺虫成分、蚊にも聞くんじゃないかって、実際に火をくべると蚊がぽたぽたと落ちていったそうなんです」

日本ならではの困りごとから、仏壇線香に除虫菊を練りこんで、蚊取り線香が誕生しました。
今でこそアジアの蒸し暑い地域に広まっているものの、蚊取り線香は日本生まれ日本育ちの商品です。

ところで、蚊取り線香を知らない方が見ると、チキンスープと間違われるほど“鶏”が主張するこのデザイン。一体どのようにして生まれてきたのでしょうか。

「鶏口と為るも牛後と為る勿れ」の信条から生まれた、鶏のロゴマーク

世界初の商品として蚊取り線香を開発した、創業者の上山英一郎さん。
パイオニア精神をもち、「鶏口と為るも牛後と為る勿れ」ということわざを信条としていたそうです。

「2500年くらい前に、秦が中国統一しようとした時代にできたことわざなんですよ。
反秦同盟をつくっていった諸国を表した言葉で、
強い勢力のあるものにつき従うより、たとえ大きくなくても独立したものの頭でいようという意味がこめられています。

そんな信条に習い、会社が大きくなかろうと、先駆者として“鶏口”になることを目指して、このマークがつくられました」

蚊取り線香以外にも、日本初のエアゾールである「キンチョール」や吊るすだけで虫を寄せ付けない「虫コナーズ」など、画期的な商品を世に生み出してきた歴史を見れば、
パイオニア精神をもってものづくりへと向き合う姿勢がうかがえます。

「蚊取り線香のパッケージは、金鳥が除虫菊という殺虫成分をたくさん使ってつくった商品ですよっていうのが分かるように、つくっていったんだと思いますよ。
100年以上も前のことなんで正確に資料が残ってるわけじゃないんですが。

手前どもがパイオニアとして蚊取り線香をつくってるので、このパッケージを見ると、頭の中で渦巻が見えるという製品なんです」

なるほど、たしかにこのパッケージ=蚊取り線香だと刷り込まれています。

では、そんな「金鳥の渦巻」が日本の夏を背負ったのは、いつ頃のことなのでしょうか。

「金鳥の夏、日本の夏」は、1作目のCMの不出来から生まれた

CMでおなじみの、”KINCHO”の仕掛け花火

「いまとなってはお馴染みのキャッチコピーが生まれたのは、CMを放映しだしてからなので、50年程前のことですね。しかも、1作目にはないんです。

実は初めてCMをつくる際、最初に3年分撮ってたんですが、1作目の反応がいまいちだったんです。
このままじゃまずい、インパクトを出すためにキャッチフレーズを考えようってなって。
2作目から追加で“金鳥の夏、日本の夏”というキャッチコピーをいれたんです。それが意外と受けました」

こちらもCMでおなじみのキャッチコピー「金鳥の夏、日本の夏。」

「でも私が小さい頃はいじめられたんですよ。いち企業が日本の夏を背負っていいのかって。いまではもう、50年以上言ってるから誰も怒れないんですけど。笑」

金鳥と言えば、蚊取り線香で日本の夏。日本には蚊がいっぱいいるから、その蚊に効くものを世界で初めてつくった金鳥の蚊取り線香。

そんな納得感が反響を呼び、時間をかけて定着していったようです。

「金鳥の渦巻」は変わりなく。

「商品は時代を追うごとに進化していますが、パッケージデザインは、120年の歴史の中でほとんど変化していません。

ロゴマークは実は7回変わっているのですが、それも変遷というか、初期に試行錯誤していた時期があったというだけです。120年の中の20年くらい。その後はほとんど変わっていません」

復刻したパッケージの変遷。真ん中のシンプルなものは戦時中の統制下でのデザイン

たしかに、パッケージの変遷を見せていただくと、パッケージの要素には大きな変更がありません。

「大半の方が生まれる前からこの姿なんですよ。だから、安定感というか、あるのが当たり前。空気のような存在になりつつあるんじゃないかと思っています。

金鳥の夏が日本の夏になったのは、時間軸の話をなしには語れないです。50年100年の時間の中で、皆さんの頭の中で日本の夏になっていったんだと思います」

大日本除虫菊で保有している最古の現品が、1919年(大正8年)のもの。この時期にはいまのものとほぼ変わりがないと言います。

今後も変わりないですか?と聞くと、
「ええ、もちろん。大きな変更をする気はまったくありません」
と、安心のお返事。

生まれてからずっと当たり前に生活の中にある、金鳥の渦巻。
これからも変わらず、日本の夏の風物詩としてあり続けてくれるようです。


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そんな日本の夏の風物詩を、自宅で愉しめるコラボレーション商品が、本日6月1日より発売。
日本の夏を、より夏らしく愉しんでみませんか。

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夏によく見るあの”缶”が有田焼に?再現することで見えてきた工芸の面白さ

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写真:直江泰治
文:上田恵理子

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第五話 家事問屋の「下ごしらえボール」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀 薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、家事問屋の「下ごしらえボール」についてのお話です。

料理のしたごしらえには欠かせないボール。野菜を洗う小さなものから、お肉を捏ねたりパスタをあえる大きなものまでメーカーによってもサイズはさまざま。だけど、調味料を混ぜたりドレッシングをつくる時には「少し大きいかも……」なんて思ってしまうこともありますよね。
そんな時に役立つのが家事問屋の「下ごしらえボール」。両手で抱える大きなサイズはもちろん、てのひらサイズのちいさなものまでサイズ展開はなんと7種類!

今回は有賀 薫さんに「下ごしらえボール 11」と「下ごしらえボール 13」の使い心地を語っていただきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作りはじめて10年間3,500日以上続いたスープをもとに、現代家庭に合うスープレシピを発信。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

小さいから取り回しやすい

今日は家事問屋さんの「下ごしらえボール」を使って、和えものをつくってみました。ボールのなかで衣をつくって、ほうれん草など野菜をいれて合えれば完成。大きいサイズは2人前ぐらいをつくるのにちょうど良いですね。お弁当のおかずなどもサッと完成します。

小さいサイズは内側にメモリがついているので、計量ができてとても便利。計量カップを使わず、ボールだけで調味料を混ぜたり、ドレッシングを作ることができるのもいいですね。

調理道具は「大は小をかねない」

調理道具は生活スタイルが変わることで、使いやすいサイズも変わってくると考えています。定番のサイズ、というものがありますが一人暮らしには少し大きかったり、夫婦2人分の料理をつくるには小さいサイズのものの方が出番が増えてきます。

調理道具ってほとんどのものは「大は小をかねない」と思うのです。

その点、家事問屋さんのボールはこの絶妙なサイズ感が魅力的。小さいので取り回しもしやすいですし、ボールのふちがフラットで軽いのでとっても洗いやすい。また、形もすこし独特で底面がフラットで安定するので安心して使えます。

5回にわたる有賀薫さんへのインタビューも本記事で最終回。お話をお伺いしながら、「調理道具は大は小をかねない」という話になるほど、と聞き入ってしまいました。
使い心地のよい道具を使えば、キッチンに立って料理をつくるのがもっと楽しくなるはず。この機会に、我が家の調理道具も見直してみたいと思います。

<掲載商品>
家事問屋 下ごしらえボール 11
家事問屋 下ごしらえボール 13

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文:アズマヒロエ

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第四話 家事問屋の「お玉」と「味見スプーン」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「語りたくなる推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、手馴染みが良く、料理中の心強いおともになる「お玉」と「味見スプーン」についてのお話です。

料理をつくるのに欠かせない道具たち。鍋やフライパン、うつわなどは好みのものを揃えているけれど、菜箸やお玉などは、はじめに買ったものをそのまま使い続けている人も多いのではないのでしょうか?
使う出番が多いからこそ「ちょっと不便」を抱えたままではなく、「使っていて気持ちいい」ものを選ぶべき。そう語ってくれたのはスープ作家の有賀薫さん。
キッチンにあるとつい手にとってしまうような便利アイテム、家事問屋の「お玉」と「味見スプーン」の魅力を語っていただきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作りはじめて10年間3,500日以上続いたスープをもとに、現代家庭に合うスープレシピを発信。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

お玉は「大きすぎないもの」を選ぶこと

長年スープづくりをして、たくさんのお玉を触ってきたから分かることがあります。それは大きすぎないものを選ぶことと、実際に触ってみると気づくことがあると言うことです。

見た目が良くても、持って、すくってという動きをしないと分からないことが多いんです。ちょっとしたサイズでも使いやすさは変わりますし、手持ちの鍋との相性もありますね。そして、鍋に対してぴったりのサイズでもうつわに盛り付ける時にぶつかってしまったり、下手したらはみ出て溢してしまったり、ということも……。

その点、家事問屋さんの「お玉」はとても使いやすいサイズだと思います。とくに、この「浅さ」がポイント。

様々なお椀でシミュレーションしてくださいました

カーブが浅いので、さまざまな大きさの具材が盛り付けやすいと思います。小さなお豆腐が入ったお味噌汁はもちろん、じゃがいものような大きな根菜、豆腐の角を崩さずきれいにきれいに盛り付けたい! というときも便利。滑り込ませて、そっと置くのもこれひとつで出来ます。

そして家事問屋の「おたま」の素晴らしいところは、手持ちの切り口。丁寧に丸く削られているので、なめらかで持ちやすいのです。グリップがなくすっきりしたデザインなので、場所をとらず収納しやすいのも良いですね。

あると思わず手が伸びる「味見スプーン」

家事問屋さんは「味見スプーン」もいいですよ。スープをちょっと味見をしたい、調味料を混ぜたいな、という時など出番が多いです。お尻の方はフォークのようになっているので、根菜が煮えているか確認するときにもさっと取り出して使えますね。

味見用のスプーンって、使った後の置き場所をどうするかの問題があると思います。大きいスプーンを使うと置いた場所が濡れたり汚れてしまいますよね。そんな時に登場するのが「味見スプーン」。スプーンのサイズがこぶりで絶妙な角度なので、キッチンまわりを汚さないのがとっても嬉しいです。

キッチンに立つ皆さんは、調理道具のちょっとしたストレスに意外と気づいてないと思うんです。だからこそ、自分にぴったり合うようなものに出会えると幸せですよね。家事って「ちょっとしたことの積み重ね」だからこそ、使っていて気持ちいいことってとても大事だと思います。

もちろん私も買った後に「失敗した!」ということもあるけれど、だからこそ出会えたときに感動するんです。ぜひ皆さんも素敵な道具を見つけてみてください。

次回は、家事問屋の「下ごしらえボール」についてお話いただきます。
お楽しみに。

<掲載商品>
お玉 中 サテン
家事問屋 味見スプーン

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文:アズマヒロエ

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第三話 伊賀焼のスープボウル

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。
中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「語りたくなる推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、おひとりさまにちょうどいい、具だくさんを味わう「伊賀焼のスープボウル」についてのお話です。

具だくさんのスープを熱々で食べたい時はもちろん、ちょっとした一人鍋にも使えて、手に取りやすい「ちょうどいい」小ぶりな鍋がキッチンにあるととても便利。
今回はそんなニーズを叶えてくれる「伊賀焼のスープボウル」の使い心地や、おすすめの料理を、お伺いしてきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作りはじめて10年間3,500日以上続いたスープをもとに、現代家庭に合うスープレシピを発信。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

しっかり深さがあるから具沢山なスープにぴったり

ころんとした丸みのあるシルエットの「伊賀焼のスープボウル」。容量がたっぷりで深さもあるので、ボリューム感のあるシチューや純豆腐にはぴったりだと思います。

そして直接火にかけることができるのが最高にいいですよね。お出汁を入れて豆腐やネギ、卵を入れてコンロで火にかければ一人分の純豆腐があっという間に完成。そのまま直接スープボウルにごはんを入れてもいいですね。

そしてオーブントースターが使えるのも便利なポイント。たとえば「伊賀焼のスープボウル」にごはんを入れて、2日目などに残ったクリームシチューやビーフシチューをかけてチーズを散らしてトースターへ。ドリア風にアレンジすることもできると思います。

具材を煮込んで簡単「ひとり鍋」にも

一人暮らしの方であれば、小鍋として使うものいいですね。スープボウルにお出汁とカット野菜を入れてそのままコンロで煮て、完成。いまはひとり分の鍋の素も販売されているので、ちょうど一食分をつくることができて便利です。白菜と豚肉重ねてミルフィーユ鍋にするのもいいと思います。

数年前に発刊した書籍の中で「ひとり分の鍋」を紹介するページがあったのですが、もしその時に出会っていたら「伊賀焼のスープボウル」をおすすめしていたと思います!

ひとり分の鍋って意外と難しいんですよね。最低でも水が200〜300ml入って、具材がひたるまでしっかり煮込むことを考えると400mlぐらいの容量がないとなかなか厳しいんです。でもこのスープボウルはたっぷり550mlあるので安心。

直火で素材を炒めてからスープ作りもできるし、スープかけごはんにも使える。おひとりさまにちょうどいいサイズ感です。

次回は「家事問屋のお玉とスプーン」についてお話いただきます。
お楽しみに。

<掲載商品>
伊賀焼のスープボウル

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文:アズマヒロエ

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第ニ話 RIN&CO.の漆のうつわ

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。
中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「語りたくなる推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、令和の一汁一菜を叶える「RIN&CO.の漆のうつわ」についてのお話です。

「漆塗りのうつわ」と聞くと、使うのに少しハードルを感じたり、なかなか出番がないかもと思ってしまうことも多いはず。ですが、そんな漆塗りの器が毎日、そして和食はもちろん洋食や中華料理でも使えるとしたら……。
RIN&CO.の漆のうつわは扱いやすくて毎日使える、そう語ってくれたのはスープ作家の有賀薫さん。毎日キッチンに立ち、食卓を考える有賀さんが愛して止まないRIN&CO.の魅力を語っていただきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作り始めたスープが2020年2月時点で約2900日以上になる。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

毎日使いたくなる漆のうつわ

RIN&CO.は、日常の中での使い心地が抜群にいい漆のうつわです。様々なカラー展開がされていますがとくに真塗の黒は、毎日使うことができますね。
私は「塗り」のうつわが好きでさまざまなサイズのものを持っていますが、どうしても和に偏ってしまって出番が少なくなってしまいます。ですが、RIN&CO.のうつわは日常使いができるデザイン。洋食や中華、アジア料理でもなんでも合わせることができて、組み合わせの自由度が高いのも魅力ですね。

そしてとっても軽くて扱いやすく、薄いのに触っても熱くならないのもいいです。小さな塗りの器というと大人のイメージですが、実は小さなお子さんにも向いています。
なにより、食洗機で洗うことができるのが嬉しい! 傷も付きづらいですし、やっぱり毎日使うものだからこそ使い心地がいいのはとても大切ですね。現代の食卓を考えてつくられていると思います。

RIN&CO.でつくる「令和の一汁一菜」

「碗」と「平碗」「深ボウル」、そして「平皿」を揃えるのがおすすめです。これがあれば和食でも洋食でも、一汁一菜が簡単にできます。

まずは和食。「平碗」にごはん、「椀」にお味噌汁、そして「平皿」に生姜焼きとサラダを盛り付けてみました。このセットを使えばごはんとお味噌汁、おかずの一汁一菜が完成します。

こちらは洋食。「平皿」に焼いたパンを乗せ、「平椀」にポタージュ、サラダは「深ボウル」に合わせました。
ふつうの漆のお椀にサラダやごはん、スープを盛り付けると不自然になってしまいますが、RIN&CO.のうつわはどの料理も美しく見せてくれます。

「平皿」の小さいサイズは食パンにぴったりあいますし、大きいサイズにはカレーやパスタ、具沢山の焼きそばなんかをのせてもいいですね。そして「平椀」や「深ボウル」を使ってスープやサラダを添えるのもすてきです。

もちろんこの黒い器で揃えてもいいですし、お家にある白い器と組み合わせてもとても相性がいいと思います。
このうつわさえあれば食卓がまとまる、「令和の一汁一菜セット」として販売してもいいと私は思います(笑)。

次回は「伊賀焼のスープボウル」についてお話いただきます。
お楽しみに。

<掲載商品>
RIN&CO.

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文:アズマヒロエ

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北の地のものづくり「RIN&CO.(リンアンドコー)」

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第一話 保存の器

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。
中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「語りたくなる推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、ちょっとしたおかずもつい箸が伸びる「保存の器」についてのお話です。

毎日の食事を楽にしてくれる常備菜や、少し多めにつくったおかずの保存。プラスチックの保存容器はとても便利ですが、食卓にそのまま出すのはすこし味気ないですよね。「食器としてそのまま食卓に出せる保存容器がほしい」という思いから生まれたのが「波佐見焼きの保存の器」です。
保存もできて、温め直しもOK。そして食器にもなるこの商品の使い心地や、おすすめの使い方を、スープ作家の有賀薫さんにお伺いしてきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作り始めたスープが2020年2月時点で約2900日以上になる。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

料理が美しく映える、色とツヤ。

今日は常備菜を保存するのに使ってみました。

食べ終わったあとも、別途保存容器に移し替える必要もなく、付属のフタを乗せてさっと冷蔵庫にしまうことができるのも便利。付属のフタは形も可愛いので、これはこれで、ちょっとした小皿としても使えそうです。

そして保存容器なのに、うつわとしてテーブルに置いた時にお料理が映えるのがいいですね。色味とツヤもきれいで、そして内側のラインがアクセントになっているのがデザインとしても素敵です。

ちょっとした余り物も思わず食べたくなるうつわ

3つのサイズがあるので、用途や食材の量に合わせて使えますね。

中鉢はうつわとしてのサイズ感がとてもいいです。まずはそのまま食卓に出して、残ったらそのまま保存してもいいですし、量が減ったら小さいのに移し替えていきます。

小鉢は、おかずなどを「ちょっと余してしまった」という時に使えますね。私が家庭で一番使っている保存容器のサイズに近いので、出番が多そうです。

ちょこ鉢は梅干しやお漬物などにいいですね。

お漬物、例えばたくあんが2切れとかほんのちょっと余ってしまうことってありますよね。こういう時、プラスチックの保存容器だとあまり手が伸びないのですが、この「保存の器」を使えばそのまま食卓に出すだけでみんな食べてくれると思います。ついつい箸がのびてしまう、そんな器だと思います。

次回は「RIN&CO.の漆のうつわ」についてお話いただきます。
お楽しみに。

<掲載商品>
保存の器

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文:アズマヒロエ