しめ縄の簡単な作り方・飾り方。プロに教わるしめ縄づくり体験

お正月の「しめ縄」を手づくりする

とある日の東京・表参道「中川政七商店」。店の一角には2畳分ほどの絨毯が敷かれていた。続々と集まる参加者は靴を脱いで絨毯の上に座り込み、足元には五本指、あるいは二本指の靴下を履いている──。

もうすぐお正月。その日は、年神様をお迎えするために必要なお飾り“しめ縄”を作るワークショップが催された。

今回は「麻」を用いた作り方を教えてもらうことに。

しめ縄といえば藁というイメージが強い人にとっては「麻」は意外かもしれない。実は、伊勢神宮のしめ縄は麻で作られているそうだ。

一方で出雲神社ではイネ科の植物「真菰(マコモ)」が使われており、全国の神社でも伊勢系と出雲系では稲藁と真菰でそれぞれ使い分けされている。

職人さんがつくった注連縄
職人さんの逸品。麻ならではのツヤと仕立ての美しいこと!

教えてくれたのは創業100年を誇る麻問屋「麻光」三代目代表の江藤富士江さんである。

代々続く麻問屋「麻光」三代目の江藤富士江さん
代々続く麻問屋「麻光」三代目の江藤富士江さん。全国各地の神社へしめ縄を納める。また、国産麻の可能性を広めるワークショップも多彩に展開

「麻」で作るしめ縄とは?「麻は、神様の“よりしろ”です」

「一口に麻といってもいろんな種類やタイプがありますが、今回は長くて硬く、しっかりとした精麻(せいま)を使っていただきます」

ワークショップの様子
精麻は2メートルほどの長さ。江藤さんの身長よりも大きい

精麻とは、簡単にいうなら大麻草の茎の表皮を手間暇かけて精製した繊維のこと。

古来の麻の栽培方法や精麻に仕立てるための伝統技術があってこそ、独特のツヤと輝きのある質の高い精麻になるのだとか。

大麻草の茎の表皮を手間暇かけて精製した繊維、精麻(せいま)
これが精麻。黄金色でツヤと輝きがある

「そもそも麻には“穢れを祓う(けがれをはらう)”という意味があります。邪から身を守り、ご縁を紡いでくれるんです。

神社で神主さんがお祓いに使う祓串(はらえぐし)という道具に巻きつけられているのも精麻ですし、伊勢神宮の御札『神宮大麻』に用いられているのもまた精麻です」

さらに精麻は鈴緒の材料でもあるという。鈴緒とは、神社でお賽銭をするときに鳴らす鈴に繋がる綱のこと。鈴を鳴らすために、私たちが揺らすあの部分である。

「つまり麻は、私たちと神様をつなぐアンテナなようなものであり“神様のよりしろ”という意味も込められています」

そんなありがたい精麻を使って、早速、しめ縄作りスタートだ。

撚り(より)をかけて、捩る(もじる)。初心者にもできる、つくり方

しめ縄は、地域や作り手によって多様な形やサイズがあるけれど、今回は初心者向けの作り方を教えてもらった。

しめ縄作りの様子
今回のしめ縄作りには、細く長い精麻7本を使う

それぞれの手元に7枚の精麻を用意。

「まずは精麻2枚を1セットにしてなめします。両手で揉むようにして寄り合わせ、2枚が1本の紐になるようにしながら、繊維を少し柔らかくしていきます」

この紐を3本作ったら、ここからが本番。
足の親指に2本の紐をかけて、縄状に綯(な)っていきます。

ワークショップの様子
足の親指にかけるようにして固定する

このときポイントは「しっかり撚り(より)をかけながら、捩る(もじる)こと」。

撚り(より)とは紐を回転させることであり、捩る(もじる)とは、撚った紐を互い違いに交差させて編んでいくことである。しかも、撚りをかけるのは右回転で、捩る方向は左回転‥‥。

撚って、捩る‥‥。頭では分かっているものの、これがなかなか難しい。紐を撚ってから捩る。撚ってから捩る‥‥。

途中、江藤さんから「しっかり撚らない(よらない)とほぐれやすくなり、しっかり綯え(なえ)ませんので、ぎゅっと撚って(よって)からしっかりと捩って(もじって)くださいね」との檄が飛ぶ。

ワークショップの様子

ん、んん?? よって、なって、もじる‥‥?

耳慣れない用語の連発に戸惑いつつ、また「撚り(より)をかけてね」「ときには撚りを戻しつつ」‥‥言葉遊びのようだと思いながら、江藤さんに手取足取り教えられ、次第に形になっていく。

頭で考えて作るというより、手の感覚で綯っていけるようになるのが面白い。

「しめ縄の職人さんたちはこの作業をみんなで集まって、おしゃべりしながら行います。このくらいの長さだったら2分もあればできるかしら」

私たちはといえば、すでに40分ほど経過しているだろうか。

ワークショップの様子
次第に慣れていき、1本の本縄になっていく

四苦八苦しながらもようやく本縄が完成したら、3本目の紐を用意して、同じく親指にかけ、

「これもしっかりと撚りをかけます。撚りをかけながら、本縄のらせんに寄り添わせるようにして、はめ込んでいきます」

ワークショップの様子
本縄の編み目の間にさし込むようにして綯って(なって)いく
ワークショップの様子
3本を綯うとこんな感じに。右の輪は親指にはめていた部分
ワークショップの様子
江藤さんの身長ほどあった精麻が、半分ほどの長さに

3本目の紐を無事に綯え(なえ)終わったら、最後に1枚だけ残っていた精麻で細い飾り紐を編む。これも同じく〝撚って、捩る(よって、もじる)〟の繰り返しだ。

ネックレスやブレスレットの紐としても使える
ネックレスやブレスレットの紐としても使えるとか
飾り紐でつくったネックレスをしている江藤さん
江藤さんのしているネックレスがまさに飾り紐を使ったものだとか
ワークショップの様子"
飾り紐で、本縄をしっかり留め‥‥

形は自由につくっていい

「飾り紐で本縄を留めたら、あとは好きな形に仕立てていきましょう」

しめ縄の一般的な形には、大根型、牛蒡型、輪型(わかざり)などあるが、どんな形にするのかは意外と自由だそうで、長いまま神棚用にしてもよし、丸めてリース型にもしてもいい。あとは形やバランス、毛先を整えれば完成だ。

参加者のお一人が作った世界でたった一つのしめ縄!
参加者のお一人が作った世界でたった一つのしめ縄!

麻のしめ縄は、いつでも触れる場所に飾る

「このしめ縄はお正月に限らず、1年中、愛でて、触れてほしいもの」と語る江藤さん。

藁で作ったしめ縄は、お正月に飾ったら1月15日に神社などで行われる“どんど焼き”で燃やし、天にお返しするという慣わしがあるけれど、麻のしめ縄は少し違うとか。

「先ほど申し上げた通り、麻は穢れを祓ってくれるものですから、普段から、日常的に身近に置いてほしいんです。

いつでも目について、いつでも触れられる場所に飾ってください。玄関や神棚でもいいですし、キッチンやリビング、寝室でもいい。ことあるごとにシュシュッとはらうように触れることを毎日のお作法にしてみては」

取り替えるのは、新しいことを始めようとするときや、何かに区切りをつけるときなど、その人それぞれの人生の節目でいいとか。

 

さて、まずは。

手作りの麻のしめ縄で、はじめてのお正月を迎えてみたい。

できあがった、世界でたった一つのしめ縄

<取材協力>
麻問屋「麻光」
神奈川県藤沢市大鋸924-3
090-7702-7276
asamitsu.fujie.81@gmail.com

 

文:葛山あかね
写真:mitsugu uehara

*この記事は、2018年12月19日の記事を再編集して公開しました。

オススメの「鍋つかみ」はミトン型?グローブ型?調理道具との相性で考える選び方

こんにちは。細萱久美です。

基本の調理道具をさんち連載で紹介していますが、次は何を取り上げようと台所を眺めていたところ、毎日必ず手に取るものがありました。鍋つかみです。

厳密には調理道具ではないかもしれませんが、調理をサポートする名脇役の一つです。鍋つかみが必要な調理道具が無いご家庭では、もしかしたら不要なアイテムかもしれませんが、我が家では欠かせない道具です。

私が鍋つかみを使うのは、鉄瓶、土鍋、琺瑯鍋、オーブンなど。鉄瓶は1日に何度か沸かすので、都度鍋つかみが必要になります。

仮に鍋つかみが無ければふきんで代用すると思いますが、火傷をしないためにもしっかり厚みがあって頼もしい鍋つかみが安心です。

鍋つかみには色々な形状があり、一般的にはミトン型・グローブ型・ホルダー型などがあります。素材もコットン以外に、シリコンやアルミ製など多くの種類が見られます。

私も複数の鍋つかみを持っていて、ミトン・グローブ・フラットホルダーと立体ホルダーの4タイプです。調理道具との相性で使い分けをしていて、断トツに使うのが立体ホルダー型。

使う調理道具やシチュエーションによって鍋つかみに求める機能が少し違うので、形状にもバリエーションがあるだろうと簡単に整理してみました。

素早く、パーツを掴みたい時はホルダー型(特に立体をおすすめ)

立体ホルダー型の鍋つかみ

愛用の立体型は、三角錐の形状をしています。掴む時の手の形に自然とフィットするので、素早く使いたい時に便利。鉄瓶や、土鍋、鍋蓋にはこれがベストです。

長年使っているのは黒田雪子さん作の「Tetra」という製品。藍染の生地を使って丁寧に作られています。

鍋つかみは焦げたりすることがあるのでどちらかと言うと消耗品かもしれませんが、このTetraは大事に10年くらい使い続けています。

使い込んだものの手馴染みが良く、全く手放せません。素早く掴む機能性と見た目の良さでは、今のところこれ以上の鍋つかみは見つかっておらず、無くなると困るので実は何個か在庫しています。

汎用性を求めるならばフラットのホルダー型

フラットホルダー型の鍋つかみ

市場のホルダー型は圧倒的にフラットが多いと思いますが、私はあまり使っていません。個人的には三角錐を推奨していきたい気持ちです。

ただ汎用性で言えばフラットは鍋敷きにもなるので、多機能を求めるならばフラットを一つ選ぶのが良いかもしれません。

鍋敷きとして使う例

素早く、高温の調理道具を掴みたい時はミトン型

ミトン型の鍋つかみ

私が次によく使うミトン型は、オーブン料理の時に使います。

オーブンはかなり高温になるので鉄板が素肌に触るとすぐに火傷してしまいます。素肌を出さず、しっかりホールドするにはミトン型が安心。着脱もしやすいので次の作業にもすぐに移れます。

オーブン料理で使用する例

しっかりホールドし、やや細かい作業をする時はグローブ型

グローブ型の使用例

グローブ型は、ミトンよりもさらにしっかりホールドしたい時に使います。鉄板は素早くミトンで掴みますが、ホールド力がやや弱いので、熱々のオーブン皿や土鍋を移動する際はグローブでしっかり掴みます。

比較的長時間、細かい作業をするにもグローブが圧倒的に使いやすいので、私にはあまり縁がありませんが、アウトドアにも便利そうです。

グローブ型の鍋つかみ

このブローブ型の鍋つかみは、中川政七商店のオリジナルで、最近うちにも仲間入りしました。

軍手を特殊な編み方で二重編みにし、熱が伝わりにくい構造になっているので、200度位のオーブンから出した鉄板を持っても問題なしとのこと。最近お菓子作りを再開したので、出番が増えそうです。

調理道具と吊るしてある鍋つかみ

すぐに使えるように、台所の壁に吊るしておきたい道具。なので、機能と同時に見た目にもこだわりたいものです。

一緒に吊るす道具は恐らく金属製が多いでしょうか。その中に、お気に入りの鍋つかみがあればきっと良いアクセントになると思います。

<紹介した商品>
Tetra

中川政七商店
二重軍手の鍋つかみ

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美

京都の紅葉は小さな美術館が穴場。混雑を避けて楽しむ、12月の賢い巡り方

京都の紅葉。そう聞いて、あたり一面真っ赤に染まる風光明媚な景色とともに、人混みを思い浮かべる人も多いのでは。

例年、京都の紅葉は11月の勤労感謝の日前後から見頃を迎え、第3、第4土日は尋常ではない数の人で街中が溢れかえります。

紅葉の狙い目は、12月第1週の東山界隈

実は、京都でも屈指の紅葉の名所・南禅寺と永観堂を擁する東山一帯は、12月第1週ともなれば観光客もひと段落する時期。

例年京都の紅葉が見ごろを迎えるのは11月下旬~12月上旬ですが、年によっては12月の第1週のところもあり、多くの寺院が12月の第1日曜~第2日曜あたりまでライトアップをしています。

バラつきがあるため時期の断言はできませんが、ゆっくりと楽しみたい方にはおすすめです。

そして紅葉の名所がひしめく東山は、小さいけれど秀逸な美術館の宝庫。しかもそのほとんどが王道の紅葉狩りルートに点在しています。

今回は、紅葉の名所と共に、美術館を巡る東山黄金ルートの紹介です。

真如堂の紅葉

名所の間に点在する小さな美術館を楽しむ

東山散策の起点といえば、「南禅寺」や「無鄰菴」に近い地下鉄蹴上駅が候補にあがりますが、ひと駅手前の東山駅での下車がおすすめです。

山県有朋旧邸・無鄰菴の庭はあまりにも有名ですが、ここにも、あの名手が手がけたお庭を持つ小さな美術館があります。

並河靖之七宝記念館(なみかわやすゆきしっぽうきねんかん)

三条通りから平安神宮へ抜ける白川沿いにある、七宝家・並河靖之の自宅兼工房を開放した美術館。

明治から大正期に活躍した並河は生涯をかけて七宝を探求し、有線七宝の技法を用いてさまざまな作品を生み出しました。

並河が七宝で描く季節の花や鳥などの優美な図柄や、多彩な釉薬の色味、独創的な形状は国内外で高く評価され、内国勧業博覧会や万国博覧会などでも多くの賞を受賞しています。

館内では並河の作品を春季と秋季の2回に分けて企画毎に展示しているので、季節を変えてまた訪れるのもおすすめです。

建物も見どころが多く、表屋・主屋・旧工房・旧窯場は国の登録有形文化財、京都市景観重要建造物および歴史的風致形成建造物に指定されています。

並河靖之七宝記念館の植治の庭

さらに忘れてはならないのが、七代目小川治兵衛(植治)の庭。あの円山公園や平安神宮、無鄰菴の庭を手掛けた名作庭師の庭が、この小さな美術館で鑑賞できることはあまり知られていません。

ここなら、植治の庭を思う存分楽しめるのではないでしょうか。

南禅寺で紅葉を楽しむ

並河靖之七宝記念館を出て南禅寺へ。縄張りの名手・藤堂高虎(とうどう たかとら)が手がけた、高さ22メートルの「三門」が現れます。

歌舞伎の演目『楼門五三桐』の中の石川五右衛門の名台詞、「絶景かな、絶景かな」でも有名な三門。その周囲を赤や黄色の紅葉が彩る光景は見事です。

南禅寺の紅葉を堪能した後は、永観堂方面へ向かいます。すると、ここにも小さいながら見応えのある美術館が。

野村美術館

野村美術館

こちらは野村財閥を築きあげた野村得庵のコレクションをもとに開館した野村美術館。茶の湯と能に深く傾倒した得庵のコレクションは、重要文化財7件、重要美術品9件を含む約1700点にのぼります。

中でも茶碗のコレクションは素晴らしく、『練上志野茶碗 銘 猛虎』や中国産の大天目、朝鮮王朝時代の『三島茶碗 銘 土井三島』など名品揃い。茶道関係者も多く訪れるそうです。

練上志野茶碗 銘 猛虎
練上志野茶碗 銘 猛虎
中国の大天目
中国の大天目
三島茶碗 銘 土井三島
三島茶碗 銘 土井三島

また、入り口右手には立礼茶席があり、茶席のみの利用も可能。間近で茶道具を鑑賞しながら、実際に所蔵されている現代作家の茶碗でお抹茶と生菓子が楽しめます。

茶碗を実際に手にするのとしないのでは、やはり印象の残り方が違います。鑑賞した後は、茶碗の魅力を肌で感じてみてください。

こちらは南禅寺と永観堂の中間というゴールデンルートに位置しており、東山の紅葉狩りとなれば、ほぼ確実に通り過ぎるルート。足早に通り過ぎるにはあまりにももったいないほど見応えのある美術館です。

野村美術館を出発して、まっすぐ7分ほど。右手に深紅に染まる永観堂の紅葉を横目に、鹿ヶ谷通りを進みます。

泉屋博古館(せんおくはくこかん)

野村美術館と同じ鹿ヶ谷通り沿いには、全国屈指の青銅器コレクションを展示する泉屋博古館があります。

泉屋博古館

紀元前11世紀の中国ものと伝わる青銅製の太鼓、大きな虎が人間を抱きかかえている酒器、精緻な文様が刻まれた鏡鑑の数々など、見たこともない古代中国のデザインやモチーフには思わず感嘆の声が漏れるほど。

夔神鼓(きじんこ)商時代後期 前12~前11世紀 正面に人面を刻んだ青銅製の太鼓
夔神鼓(きじんこ)商時代後期 前12~前11世紀 正面に人面を刻んだ青銅製の太鼓
商時代後期 前11世紀 虎が人間を抱きかかえる青銅製の酒器
商時代後期 前11世紀 虎が人間を抱きかかえる青銅製の酒器

青銅器の概念が覆されるだけでなく、その膨大なコレクションにも圧倒されるばかりです。

休憩スペースが紅葉の穴場

そして素晴らしいのは休憩スペースからの眺め。東山が迫る広々とした庭園が大きなガラス張りの窓いっぱいに望め、赤や黄色に染まる晩秋の東山との対比が見事。

休憩室から見た中庭の風景

広い館内を存分に楽しんだ後は、鹿ヶ谷の雅な風景を眺めてひと息。本当は秘密にしておきたい穴場スポットのひとつです。

泉屋博古館から少し東へ逸れて哲学の道へ。春は世界中からの観光客で賑わうこの場所は、秋になれば人もまばらでひっそりとした静寂が訪れます。哲学者・西田幾多郎が思索にふけって歩いた道は、こんな雰囲気だったかもしれません。

再び鹿ヶ谷通りへ向かい、さらに白川通りを渡って吉田山方面へ進みます。

真如堂

哲学の道から徒歩10分ほどの吉田山の麓にあるのは、京都屈指の紅葉名所・真如堂。色とりどりの景色の中に三重塔がそびえる様は目を見張るほど美しく、本堂をぐるりと一周囲むように真っ赤な紅葉が燃え広がります。

真如堂の紅葉

どこを見渡しても紅葉・紅葉・紅葉。

何層にも紅葉の葉が重なっており、先に色づいた上層の葉が落ち、それによって下層の葉が日に当たって紅くなるので、時期によっては、上も下も紅一色の世界に染まる幻想的な景色が見られます。

真如堂の紅葉

そして驚くべきは、これだけ豪勢な景色が無料で楽しめること。ここまで贅沢な紅葉狩りは、京都の街中ではなかなかできない体験です。

真如堂の紅葉

真如堂の門の正面にある宗忠神社の入口から吉田山に入り、宗忠神社の境内を経て竹中稲荷神社へ。

吉田山一帯

参道に並ぶ赤い鳥居や本殿と紅葉のコントラストは息を飲むほど美しく、観光客の滅多に来ない穴場の紅葉スポットです。真如堂から徒歩5分とは思えない静寂に包まれます。

竹中稲荷神社から徒歩5分ほどの山頂にあるのが、吉田山の名店・茂庵。2階の客席では東に大文字山、西に京都市街を眺めながら、美味しいコーヒーや手づくりのケーキなどがいただけます。

吉田山の名店・茂庵

重要文化財に指定されている木造建築の空間も素敵です。

茂庵から吉田山の反対側へ下り、吉田神社の境内を通って重森三玲庭園美術館へ。

重森三玲庭園美術館

こちらは東福寺本坊庭園や光明院の庭を手掛けた作庭家・重森三玲の旧宅で、吉田神社界隈で残る本格的な社家の唯一の遺構。

寺院の庭と違い、住宅建築に適合した三玲の庭が京都で見られるのはここだけです。

重森三玲庭園美術館

モダンな市松模様で波を表現した襖絵など、桂離宮にも見られるような、歴史的建築と現代的なデザインとの融合も新鮮です。

重森三玲庭園美術館

見学は午前・午後それぞれ1回ずつの予約制。重森家の親族の方の解説を聞きながら見学できます。

ご紹介したすべての行程は距離にして5キロほど。各スポット間の移動所要時間は長くて徒歩10分程度です。

由緒ある名所・旧跡が一堂に会し、紅葉と同時に世界中から人々が押し寄せる東山エリア。人混みに負けず王道を行くのも京都の秋の風物詩ながら、たまには少し横道へ逸れて、京都の持つ数々の「美」を楽しむ紅葉散策はいかがでしょうか。

<取材協力>

並河靖之七宝記念館
京都市東山区三条通北裏白川筋東入ル堀池町388-2
075-752-3277
10:00~16:30(入館/16:00)
休館日/月・木曜(祝日の場合は翌日)
※夏季・冬季長期休館有
http://www.kyoto-namikawa.jp

野村美術館
京都市左京区南禅寺下河原町61
075-751-0374
10:00~16:30(入館/16:00)
休館日/月曜(祝日の場合は翌日)
※夏季(6月下旬-8月下旬)、冬季(12月下旬-2月下旬)は休館
http://nomura-museum.or.jp

泉屋博古館
京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
075-771-6411
10:00~17:00(入館/16:30)
休館日/月曜(祝日の場合は翌日)
https://www.sen-oku.or.jp

真如堂(真正極楽寺)
京都市左京区浄土寺真如町82
075-771-0915
9:00~16:00
https://shin-nyo-do.jp/

重森三玲庭園美術館
京都市左京区吉田上大路町34
075-761-8776
予約観覧制
電話またはメール(shigemori@est.hi-ho.ne.jp)にて予約
http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/association-jp.html

文:佐藤桂子

京都で買える好みのお箸。御箸司 市原平兵衞商店の「みやこ箸」

京都へお箸を探しに

こんにちは。細萱久美です。

ここ最近は仕事の関係で関西と東京を行き来しています。先日久々に銀座の中央通りを歩いていたら、団体観光バスが次から次へと。

平日でも非常に賑わいがあり、来年の東京はどんな人口密度になるのだろう‥‥と楽しみとドキドキを感じました。

関西では、住まいの奈良を拠点に大阪・京都を日常的に訪れます。どちらも言わずと知れた観光地で、場所によっては銀座に劣らぬ賑わいです。

観光目的では無いですが、奈良から近いこともあり休みの日に一番頻繁に行くのは京都です。

京都は母の出身地で、小さい頃から毎年行っていたので第二の故郷でもあります。小さな頃は、おばあちゃんちのある場所、大学生の頃は人の多さにもめげずに桜や紅葉を愛でたりのまさに観光地。

そして今は美味しいものを食べたり、ギャラリーやセレクトショップなどを巡る刺激的な街という感じで親しんでいます。定期的に開催されている骨董市もほぼ欠かさず訪れており、食とモノの街として、毎月のように訪れています。

モノと言えば、京都はかつて日本の都であったことから、日本らしい多様な伝統文化、伝統芸能、伝統行事、食文化などが生まれ、それらを支える形で産業も発展しました。

伝統の継承には難しさもあると想像しますが、今の暮らしに合わせてうまく変化、発展されるのが上手な産地とも感じます。

例えば、包丁の「有次」は、観光客の絶えない錦市場にありながら、専門的な品揃えときめ細かいサービスで、「アリツグ」の名で世界的に有名なブランドとなっています。私はまだ持っていませんが、名入れ包丁は憧れの1本です。

他にも伝統の技を継承し、クラシックなアイテムも守りながら、新しいアイテムや見せ方に発展させ、海外も視野に活躍している京都ブランドは「金網つじ」「開花堂」「唐長」などはよく知られています。

今回ご紹介する京都ブランドは、むしろ知る人ぞ知るローカル感の強いお箸の小売店「御箸司 市川平兵衛商店」です。

400種以上を揃えるお箸の専門店、「御箸司 市川平兵衛商店」

御箸司 市川平兵衛商店

四条烏丸駅から程近く、市内の真ん中にありながら、脇道に存在するので目指して行かないと辿り着かないかもしれません。

こちらは、創業明和元年(1764年)の老舗お箸の専門店。禁裏御用(今で言う宮内庁御用達)御箸司として今に至ります。

決して広くは無い店内に、お箸がぎっしりと並びます。食事用をはじめ、料理用や、京都ならではの茶懐石用など、あらゆる用途に最適な箸を揃え、その数は実に400種。言ってみれば2本の棒というシンプルな造形の箸の奥深さを感じます。

京都の専門店というと若干緊張しますが、親切な接客と、どの箸にも見本があり、持って感触を確かめることが出来るのでじっくりお気に入りを選ぶことができます。

他産地で作られた塗りのお箸も充実していますが、ここで買うならおすすめは京都で作られている竹の箸。

京都は竹の産地でもあり、茶道具なども作る腕の良い職人が多いのです。その中でも私が指名買いして愛用しているのは、こちらの看板商品である「みやこ箸」です。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

その特徴は、まず「すす竹」を使っていること。

すす竹とは天井裏などに使用されていた竹が、囲炉裏やかまどの煙でいぶされ、約150年の年月が経て、頑丈で丈夫に経年変化したものです。古い建物が減少すると共に取れなくなるので、今では大変貴重な素材と言えます。

食卓を引き立てる美しい「みやこ箸」

姿形は細身で、とりわけ箸先は細く手削りされているため小さいものもつまみやすいのです。愛用の箸は塗り箸も含め何膳かありますが、このみやこ箸を使うと、食事の所作も不思議と上品に見える気がします。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

箸自体キリッと美しく、食事用以外に、取り分け箸にも。おばんざいでもちょっと美味しそうに見えるのは気のせいでしょうか。和菓子の取り箸にも良さそうで、京都の生菓子に合わせたくなります。

使いやすさで選ばれるお箸は色々あると思いますが、食事の気分すら変えてくれるお箸との出会いはあまり多くないかもしれません。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

すす竹は一膳一膳個体差があり、中には節のあるものも。カタログは存在しないので、好みの一膳と出会えるのは実際の店舗のみです。

クラシカルなパッケージ好きの私としておまけに嬉しいのは、購入の際入れてもらえる袋が可愛いこと。ギフト用にも同様な袋が用意されています。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

京のみやこで自分のため、人のために丁寧にお箸を選ぶなんて、ちょっと大人の旅はいかがでしょうか?

<紹介したお店>
御箸司 市原平兵衞商店
京都府京都市下京区小石町118-1
075-341-3831
https://ichiharaheibei.com/

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美

*こちらは、2019年8月6日の記事を再編集して公開しました。

持ち歩くアート。京都の老舗染物屋の新ブランド「ケイコロール」の魅力

楽しげな印象を与えてくれる、カラフルなテキスタイル小物たち。これらのデザインを構成しているのは、90年以上前から受け継がれてきた「伝統柄」だ。

手ぬぐい生地を使った「あずまトート」
手ぬぐい生地を使った「あずまトート」。裏地を付けていないトロンとした生地感と、コンパクトに折りたたんで持ち運べる手軽さが魅力
底がコロンと愛らしい形の「まるトート」
底がコロンと愛らしい形の「まるトート」。本体はもちろん、持ち手の部分も手染めしているこだわりよう。A4ノートや書類も入るサイズ感が人気
手ぬぐい生地を使ったポーチ
S、M、Lの3サイズを展開するポーチは、手ぬぐい生地を使ったやわらかさが特徴。コロンと丸く、角がないので入れるものを選ばない

他にも、ヘアターバンやインテリアとしても使える定番の手ぬぐい、好みの長さにカットしてくれるロール、おにぎりがピッタリ2つ入る「おにぎり袋」など、日常を楽しくするような素敵なアイテムを届けている。

ケイコロールのカラフルなテキスタイルたち

これらを手掛けるのは、京都・壬生(みぶ)に工房を構える、創業90年目の山元染工場(やまもとせんこうじょう)。創業時から舞台衣裳を専門に手掛けてきたこの工房には、なんと10万枚にも上る衣裳用の型紙が残っている。

初代から受け継がれてきた舞台衣裳専門の型紙
初代から受け継がれてきた舞台衣裳専門の型紙

90年以上前のデザインと、現代美術の出会い

そんな型紙を用いてオリジナルのテキスタイルブランドを展開するのが「ケイコロール」。主宰の山元桂子さんは京都造形芸術大学大学院で現代美術を専攻し、2009年に山元染工場へ嫁いだ。

「ケイコロール」主宰の山元桂子さん

時代ものや舞台など、衣裳に用いられる柄はユニークな古典柄も多い。創業当時、初代が衣裳用のデザインを専門に手掛ける絵師を出入りさせ、オリジナルの型紙を制作させたという。

そして代々大切に受け継がれた独自のデザインは、桂子さんの感性によりまた違った表情を見せる。

柿渋紙で作られた創業当初の型紙。左は当時から受け継がれた柄の見本帖
柿渋紙で作られた創業当初の型紙。左は当時から受け継がれた柄の見本帖
柿渋紙で作られた創業当初の型紙

山元染工場に蓄積された膨大な型紙を駆使して次々に新しいデザインを生み出していく桂子さん。見るものを晴れやかな気持ちにさせてくれるような、明るく大胆な色使いが特徴だ。

世界に一つしかないテキスタイルを生み出す

染める時は一切下絵を描かないぶっつけ本番。柄の組み合わせも配色も、すべて頭の中で組み立てながら染めていくのだそう。

感覚だけで組み合わせるので、同じ柄を用いてもまったく同じデザインは二度と作れない。

染めていく作業風景
柄と柄の間隔や配置もその場で計算しながら染めていく

型をずらしたり、かすれを残したり、本来なら「タブーのかたまり」と言われるような手法もあえて用いる。そうすることで、手仕事ならではの温かみある風合いを表現し、独自の柄を生み出しているのだ。

生地に対して型を斜めにずらし、あえてランダムな配置に
生地に対して型を斜めにずらし、あえてランダムな配置に

桂子さんが一番大切にしているのが「色」。工房には、歴史ある「京都の染物屋」というイメージとはかけ離れた、ポップで鮮やかな染物が並んでいる。

柄の組み合わせ同様、色の組み合わせも桂子さんの感覚によるもの。赤と黄色、緑と紫など、原色同士の組み合わせも心地よく晴れやかな印象だ。独特の配色からは、大学・大学院で染色を学んだという桂子さんの「美術作家」としての一面がうかがえる。

様々な色の生地

自分のペースで、丁寧に届ける

「本当に営業が苦手で」と笑う桂子さんは、制作に追われることもあり、ケイコロールの営業活動をしたことはほとんどないという。

それでも、20018年には「BEAMS JAPAN」のバイヤーがケイコロールに興味を持ち、コラボレーションが実現。オリジナルの手ぬぐいも大好評だった。

一つひとつが手作業のため安定した生産が難しく、常時商品を取り扱う店は「アーバンリサーチ京都」、左京区「ホホホ座」などごく一部だが、2019年8月には京都の人気カフェ「うめぞのカフェ&ギャラリー」での展覧会、ホホホ座での展示販売を開催するなど、着実に活動の幅を広げている。

今後はネット販売にも力を入れていきたいと、桂子さんは意気込みを見せる。

「ケイコロール」主宰の山元桂子さん

明るく、いつも前向きな桂子さん。そんな人柄を映し出したかのように色鮮やかな作品を手にすると、こちらまで気持ちが明るくなれるようだ。

<取材協力>
ケイコロール(山元染工場)
京都市中京区壬生松原町9-6
075-802-0555

文:佐藤桂子
写真:桂秀也

わたしの一皿 つるつるぽってりの優しいうつわ

秋の花粉症なのか、鼻水が止まらない。晩秋、11月半ばからのアメリカ・サンフランシスコでの展示会も迫ってきました。鼻水垂らしながらただいま準備中。日本の今の手仕事をたんまりと持っていきます。みんげい おくむらの奥村です。

どうしてなのかうまく言葉では説明できないけれど、子供の頃からバターがそれほど好きではない。

バターの香りを嗅ぐとたまらない、という人が多いそうだが、個人的には全然なのだ。牛乳もチーズも大好きなのに。

鹹蛋(シェンタン)という中華圏を中心に見られる食材。アヒルの卵を塩漬けしたもの

ところが、バターに似たような食材は好んで使っている。鹹蛋(シェンタン)という中華圏を中心に見られる食材。

アヒルの卵を塩漬けしたもので、黄身はバターのようなコク。白身はよい感じの塩加減。

これ一つで旨味も塩気も決まるという万能の食材。台湾や香港では朝粥のお供としてもこれをよく食べる。

黄身と白身がそれぞれまるで違う調味料のようなので、簡単な料理でもなかなか複雑味が出る。さっと素材と炒め合わせればよいだけなので、時間がない日に重宝します。冷めても美味しいのでお弁当にもどうぞ。

今日選んだのはエリンギ。この組み合わせは台湾でよく食べられている定番料理だ。

エリンギの鹹蛋炒め。エリンギ四本ぐらいで鹹蛋一つ。あとは彩りに小ねぎでもあればもう十分。

調理風景

コロコロの一口大に切ったエリンギを油で炒めて焼き目をつけて取り出しておく。その鍋に油を再度入れて鹹蛋の黄身を潰すように油と合わせる。

火は弱め。じゅくじゅくっと黄色い泡が立ってくると、それがバターのような香りになる。焦がさないように気を付けて。

調理風景

そしたらエリンギを鍋に戻し、このバター的なものをからめつつ、細かく刻んでおいた白身を合わせ、小ねぎもパラパラ。ざっと炒め合わせて、好みで黒胡椒をふってください。これだけ。

今日のうつわはちょっと遊び心。木のうつわにしてみた。料理が味も雰囲気もやわらかいから、うつわもやわらかく。鹿児島の木工作家の盛永省治さんの定番のプレートだ。

鹿児島の木工作家の盛永省治さんの定番の木製プレート

盛永さんは家具からうつわから花器、アート的なもの。作るものの幅が広い。

ものづくりの根底にあるのは木という素材が持っている美しさをどう表現できるのか、とそういうことなのだと思う。

どの作品も彼の手がきちんと加わっているのになんだかいやらしさがなくて、自然な雰囲気がする。

このうつわは厚みがよい。この厚み、ぼってり感が出せるのは木という素材ならでは。この全体の雰囲気のやわらかさは厚みあってのことなのだと思う。

このうつわはいくつか違う種類の木で作ってもらっているので、同じ大きさや厚みでも材によって重さがぜんぜん違うのがおもしろい。

あるとき盛永さんと話していたら、うつわや家具についてはものすごく職人気質に、正確さとスピードとを大事にしていることを教えてくれた。

職人と芸術家を行ったり来たりするような感覚がある作り手。でも、どちらも中途半端でない。

この作り手の場合、木目が生きたうつわを手にしたら、ぜひその次は木そのものの形や動きが感じられるウッドボウルやウッドベースを手にしてもらいたい。

誰の身近にもある木という素材があらためてものすごく可能性に満ちたものなんだと感じられるはず。

一人の作り手から生まれるこの幅。それこそが盛永さんの魅力だろう。

エリンギと鹹蛋(シェンタン)の炒め物

つるつるぽってりのうつわに料理をのせました。料理もうつわも優しさがある、という感じが伝わるのでしょう。

エリンギの食感の良さは残りつつ、塩気も旨味もたっぷりでご飯にもお酒にもいい。

鹹蛋のこのコクは日本酒だって合うと思う。ぬる燗でこんなのやったら最高。今年ももうそんな季節になってきましたね。

奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com

文・写真:奥村 忍