【参加者募集】読者だけのシークレット工場見学へご招待!

菅原工芸硝子の製作風景・さんち

「さんち」は2周年を迎えました

(※ツアーへの応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。)

2016年11月1日にスタートした「さんち 〜工芸と探訪〜」は、本日めでたく2周年を迎えることができました!

日々「さんち」を訪れてくださっている読者の方々や、私たちの企画に賛同いただき、快くご協力くださった取材先の方々。「さんち」に関わってくださっているみなさんに、この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

さんち編集部では、2周年の記念とみなさまへの感謝の気持ちを込めて、工場見学ツアーを企画。読者のみなさんの中から、5名の方をご招待します!

私たちが考えた「はじめてのさんち旅」は以下の通りです。ぜひ、たくさんのご応募、お待ちしています!

さんち編集部と行くシークレット工場見学。富士山グラスが生まれる現場へ!

富士山グラス

さんち編集部がみなさんをご案内するのは、千葉・九十九里にある菅原工芸硝子株式会社。「さんち」でも以前取材した、あの「富士山グラス」を製造するガラスメーカーさんです!

富士山グラス
贈りものにも人気の「富士山グラス」

※富士山グラスの取材記事はこちら

鈴木啓太さんの新作ガラススピーカー「exponential」も菅原工芸硝子さんで作られています
鈴木啓太さんの新作ガラススピーカー「exponential」も菅原工芸硝子さんで作られています

※ガラススピーカー「exponential」参考記事はこちら

2周年を記念して読者の方をご招待したい!という編集部のお願いを、快く聞いてくださった菅原さんの工場にお邪魔して、「富士山グラス」をはじめとしたガラスづくりの見学・体験にご参加いただけます。

※応募は締め切りました※

【日程】
2018年11月25日 (日) 9:00頃集合〜18:00頃解散
【集合/解散場所】
渋谷周辺の予定。専用の送迎バスで移動します!
※詳しい日程や集合場所は、参加が決定された方に個別にお知らせいたします
【場所】
菅原工芸硝子株式会社
(〒283-0112 千葉県山武郡九十九里町藤下797)
【参加費】
無料(昼食・お土産付き)
※ご自宅から集合/解散場所の交通費は自己負担にてお願いいたします
【参加人数】5名

※お一人さま一回限りのご応募とさせてください
※アンケートフォームの送信をもちまして、ご応募完了となります
※原則、18歳以上(高校生不可)の方のみを対象とさせていただきます

【ご応募〆切】2018年11月7日 (水) 23:59

【見どころその1】社長みずから案内!普段は立ち入れないシークレットエリアでの見学も

菅原裕輔社長。
菅原裕輔社長

製造工程の見学では、特別に菅原工芸硝子の菅原裕輔社長が案内役をつとめてくださいます。

ひとつひとつの現場の説明から、商品開発の舞台裏まで、興味深い話をたくさん聞けることでしょう。

さらに、普段は一般に公開していないエリアや、職人さんに近い距離での見学が可能に。ガラスが生まれる瞬間を間近で目撃できる、さんち読者だけの特別な見学会です。

【見どころその2】オリジナルのガラスづくり体験

ガラスづくりを体験

一輪挿し・コップ・手つきグラスなど、職人さんのサポートを受けながらオリジナルの器が製作できます。

ものづくりの楽しさに触れるとともに、職人さんたちがいかに熟練した技術を持っているのか、きっと体感できるはず。

【見どころその3】ガラスの器で美味しいランチを!

工房に併設されているカフェにて、地元の野菜などをいかしたランチを楽しみます(費用は編集部が負担します)。カフェで使われている食器はもちろん菅原工芸硝子さんのガラスの器。日常でのガラスの使い方の参考になるかもしれません。

※カフェメニューはこちら

【見どころその4】併設のショップでお買い物。最後にはお土産も!

また、最後には菅原工芸硝子さんからのお土産も!どうぞお楽しみに。

自由時間には、併設のショップでお買い物をお楽しみいただけます。

(※ショップでのお買い物は自己負担にてお願いいたします)

さんち編集部が同行!みなさんをご案内します

さんち編集部の尾島可奈子。
さんち編集部の尾島可奈子。「工場見学の醍醐味はやはりその熱気!見たり体験した後に、ものを見る目がガラリと変わるのも好きなところです。この日限りのシークレットツアー、当日は一緒にさんち旅を楽しみましょう!」

編集部の尾島が、みなさんと一緒にツアーをめぐります。

「さんち」の感想、好きな工芸のこと、読んでみたい記事、この機会に聞いてみたいこと、大歓迎です。

楽しい「さんち旅」にできるように、編集部でも引き続き企画を練ってまいります。ぜひご応募ください!

※応募は締め切りました※

【日程】
2018年11月25日 (日) 9:00頃集合〜18:00頃解散
【集合/解散場所】
渋谷周辺の予定。専用の送迎バスで移動します!
※詳しい日程や集合場所は、参加が決定された方に個別にお知らせいたします
【場所】
菅原工芸硝子株式会社
(〒283-0112 千葉県山武郡九十九里町藤下797)
【参加費】
無料(昼食・お土産付き)
※ご自宅から集合/解散場所の交通費は自己負担にてお願いいたします
【参加人数】5名

※お一人さま一回限りのご応募とさせてください
※アンケートフォームの送信をもちまして、ご応募完了となります
※原則、18歳以上(高校生不可)の方のみを対象とさせていただきます

【ご応募〆切】2018年11月7日 (水) 23:59

日本画を彩る胡粉と岩絵具。伝統画材の製造現場を訪れる

伝統的な胡粉(ごふん)を守るナカガワ胡粉絵具へ

まず向かったのは日本画絵具国内シェア80%を誇るナカガワ胡粉絵具さん。京都市の南側、宇治茶で知られる宇治市に拠点をもつナカガワ胡粉絵具さんは、明治26年から水車による胡粉製造を始められたという老舗の日本画絵具メーカーです。

今回はそのルーツである胡粉の製造工程を見せていただきました。

胡粉とは貝殻からつくられる日本画の白色絵具のこと。最近では胡粉ネイルという製品もあったりと、少しずつ知名度を上げている胡粉ですが、日本画絵具の中でも用途が幅広く、他の絵具との混色や下地にも使われる日本画には欠かせない重要な存在だそうです。

これが胡粉です
これが胡粉です

原料は天然のイタボガキだけ。10年以上かけて風化させたものを使う

「ご存知かと思いますが、胡粉の原料は貝殻です。ほんの少しの不純物を除いて99.8%が貝の粉でできているんですね。だから食べることもできます。『塩豆』などの豆菓子のまわりを覆っている白い粉は実は胡粉なんですよ」

「ナカガワ胡粉絵具で使われる貝殻は天然のイタボガキだけ。みなさんが召し上がっている牡蠣の1種です。他のメーカーさんではホタテなど他の貝を使うこともあるようですが、ナカガワ胡粉絵具では天然のイタボガキにこだわっています」

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「海から上がってきた貝殻をそのまま使えるかというとそうではない。屋外に積み上げて風化させるために10年以上の年月が必要です。有機物が分解され、チョークのようにもろもろになります。ここからがやっと胡粉の製造がスタートです」

余計なものを取り除いて純粋な貝に

「胡粉の製造はひたすらに精製と粉砕、そして水簸(すいひ)です。とにかく貝殻から不純物を取り除いて粒子を細かくしていくこと。そのためにまず貝車という機械で研磨していきます。

ドラム缶のようなものの中に貝殻を入れて、ぐるぐると回す。そうすると中で貝殻同士がガチャガチャと当たって表面の鱗や汚れが取れるというわけです」

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「研磨できたものを人の手で選り分けていきます。やはり海から来たものなので、他の貝殻や石ころなど余分なものが混じっていたり、貝殻にくっついていたり。そういった不純物をハンマーなどを使いながら取り除きます」

粉砕し、粒子を均一に整えていく

「ここからは精製できた貝殻を粉砕して粒子を均一に整えていく作業です。胡粉の粒子の細かさは他の岩絵具と違い、すべて一緒で5ミクロンです。ナカガワ胡粉絵具では6種類の胡粉をつくっていますが、その違いは粒子の細かさではなく原料である貝殻の質によるものです」

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「ハンマーミルやスタンプミルと呼ばれる機械を使って何段階かを経て粉砕していき、最終的に60メッシュの網を通るまで細かくしていきます。この段階で大分粉らしくなってくるのですが、触るとまだジャリジャリとした感覚が残ります」

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「ここからが胡粉づくりの最大の特徴です。宇治茶のように石臼でゴリゴリと挽いていくのですが、お茶やコーヒーと違い、水を加えたウェットな状態で挽いていき、水簸と呼ばれる作業で分級(ぶんきゅう)していきます。

水の流れる層をいくつも用意し、粒子の粗いものが沈み、細かいものが隣の層へ送られていく。そうして粒子の大きさによって選り分けていく方法です」

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「例えば、バケツの中に水を入れて、その中に砂と粘土を入れて手でかき回すとする。すると粘土は水に溶けるが、砂は粒子が大きいので下に沈みますよね。それと似たようなことが層内で起こっているんです。

胡粉以外にも、砂金を採集する場合や、陶石から粘土を作るときに使われる手法です。この作業を何日もくり返し、最後の沈殿層に沈んだものを汲み上げて乾燥させたものが、私たちの目にする胡粉です」

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純粋な貝だけでできた絵具、胡粉。雛人形の頭(かしら)にも使われているマットな質感は、粒子が細かいので薄く塗っても白く発色する唯一無二の画材だと教えてもらいました。

工房の中はあらゆるものが真っ白になっていました
工房の中はあらゆるものが真っ白になっていました

世界中で愛される日本画絵具メーカー、吉祥へ

次は京都の日本画絵具メーカー 吉祥さんへ。吉祥さんは日本画絵具を専門としながら欧米やアジアを中心に世界20カ国以上で商品を展開するグローバル企業。こちらで新岩絵具の製造工程を見せていただきます。

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天然岩絵具と新岩絵具

「岩絵具には大きく分けて2種類のものがあります。ひとつは天然の良質な鉱物をそのまま粉砕・精製した天然岩絵具。もうひとつは新岩絵具。こちらは新岩と呼ばれる色の塊の原石をつくり、それを天然岩絵具のように粉砕・精製した絵具です。

天然岩絵具だけでは色相に限りがあるために、新岩絵具の種類の豊富さは日本画の歴史を変えたとも言われています」

「天然岩絵具も新岩絵具も同様に粒子の粗さによって色味が変わります。粒子が細かいものが明るく白っぽい。さわってみても全然違いますよね。粒子の粗さは5番から13番まで番号がつけられているのですが、その中でいちばん粒子が細かいものは白(びゃく)と呼ばれています」

細かいものは粉状
細かいものは粉状
粗いものは砂のような手触りです
粗いものは砂のような手触りです

新岩から絵具へ

「新岩絵具のもととなる新岩は、フリットと呼ばれるガラス体質に金属酸化物を混合し、700度から1000度の高温で焼成しつくられます。安定した色をだすために、徹底した一定の温度管理が必要です」

粉砕する前の新岩
粉砕する前の新岩

「こうして出来上がった新岩を粉砕し、分級をしていきます。小さく砕いた何度もメッシュに通して粒子の大きさごとに選り分けていく作業です。このあたりは胡粉の製造工程と似ていますが、胡粉との違いはさまざまな粒子の大きさごとに製品としているところですね。

同じ新岩からできていても粒子の大きさによって色が変わるので、それぞれの活かし方、楽しみ方があります」

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粒子の大きいものがメッシュの上に残ります
粒子の大きいものがメッシュの上に残ります

「何度もふるい分けをしていく中で、大きな粒子は番号の若い絵具に、小さな粒子は13番や白(びゃく)に、などそれぞれの品番へ分級し、乾燥して仕上げていきます」

実は、歴史は明治からだという岩絵具の世界。それまでは胡粉に染料を染めつけて中間色をつくっていたそうですが、明治になり、西洋の油絵が入ってきてから、それに対抗するように生まれた岩絵具はこれからも進化を続けていきそうです。

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色とりどりの絵具が作られていました
色とりどりの絵具が作られていました

岩泉さんにご案内いただいた日本の伝統画材の世界、いかがでしたでしょうか。美術を学ぶ学生やプロのアーティストですらなかなか訪れないという伝統画材の製造現場。想像よりもずっと奥深く、道具をよりよく知ることで創作の可能性も無限に広がっていきそうです。ぜひお店に足を運んで日本の伝統画材に触れてみてください。


<取材協力>

ナカガワ胡粉絵具株式会社
京都府宇治市菟道池山24番地
0774-23-2266
nakagawa-gofun.co.jp

株式会社 吉祥
京都府京都市南区豊田町5-2
075-672-4532
www.kissho-nihonga.co.jp

画材ラボ PIGMENT
東京都品川区東品川2-5-5 TERRADA Harbor Oneビル 1F
03-5781-9550
pigment.tokyo

文・写真:井上麻那巳

こちらは、2017年5月11日の記事を再編集して公開いたしました。

森下典子さんに聞く、映画「日日是好日」の楽しみ方と茶道具の秘密

それまで縁がないと思っていた人にも茶道の面白さや奥深さを感じさせてくれる、そんな映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)が一般公開された。

エッセイストの森下典子さんによる自伝エッセイを原作にした、樹木希林さん、黒木華さん、多部未華子さんらの共演作品だ。

日日是好日に登場する茶道具
劇中で使われる茶道具はすべて本物
日日是好日に登場するお茶碗

劇中で使われる茶碗や棗(なつめ)、掛け軸といった茶道具はすべて本物。スクリーンに登場するお宝を愛でつつ、いわば眼福にあずかりながら、日本の伝統文化であるお茶に親しむことができる内容となっている。

原作は2002年に刊行された森下典子さんのエッセイ

原作となった『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』は、2002年に刊行された森下典子さんのエッセイ。20歳から茶道教室に通い始めた著者の目を通じて、茶道の心得、人生のあり方などが優しいタッチで綴られている。

「日日是好日」(新潮文庫)
「日日是好日」(新潮文庫)

ここで注目したいのが、森下さん自身、若い頃は茶道に疑問を感じることもあったという事実。

茶道について「カビくさい稽古事」と感じていたことや、茶道教室に通い始めた頃の心境について、「日本の悪しき伝統の鋳型にはめられる気がして反発で爆発しそう」、とまで感じていたことなどが原作に書かれている。

ひょっとすると映画館の来場客の“お茶”に対するイメージも、これに近いものがあるのではないだろうか。それだけに、映画後半、主人公の心境の変化にグッと感情移入させられるはずだ。

さんち編集部では今回、原作者の森下典子さんに、映画で使われた茶道具にまつわるエピソード、特に見てもらいたいシーンなどを聞いた。

茶道具は季節を表す

「日日是好日」原作者の森下典子さん
原作者の森下典子さん

劇中の茶道具はすべて、今回の撮影のために森下さんの師匠である武田先生(※原作で用いられている仮名)に借りたものだという。

森下さんは、「武田先生が集めている茶道具は、女性らしく可愛らしいものが多い印象です。茶道具がつくりだす季節感が好きなんですよね」と話す。

茶道では、季節に沿った茶道具を使い分ける。

これは一例だが、秋なら棗(なつめ:薄茶用の抹茶を入れる茶器)の絵柄に、秋草と鈴虫が描かれているものを使い、掛け軸には「開門多落葉」(もんをひらけば らくようおおし)、あるいは「掬水月在手」(みずをすくえばつきてにあり)といった禅語が書かれたものを掛ける。

茶花(ちゃばな:茶室に置く自然の草木)には清らかな秋の草花である秋明菊を挿れて、食籠(じきろう:御菓子を入れた蓋付きの器)を開けると、そこには柿など、秋の味覚をテーマにした生菓子が入っている。

日日是好日に登場する掛け軸
「掬水月在手」(みずをすくえばつきてにあり)と書かれた掛け軸

繰り返しになるがこれはほんの一例で、その組み合わせは無限と言ってもいい。

「茶道具に触れて、和菓子を食べて、花を眺めて、掛け軸に展開されている世界を想像して。いまという季節を、五感に味わわせてくれるのがお茶の世界です。それはもう、総合芸術と言えますね」

ただ、大事なのはあまり華美にならないこと、とも付け加える。

「和菓子にしても、お道具にしても、お茶の世界では要素を引き算していきます。どんどん引き算していくので、そこに大きな間や余白が生まれます」

茶道具にはちょっとした季節のヒントになるものが、余白の中に極めてさりげなく表現されている。それが、日本文化に特有の遊び心につながるのだろう。

もてなす側が仕掛ける壮大な“なぞなぞ”を楽しむ

「ちょっと待って、これ何だろう。スーッと描かれた曲線の上に、ゴマ粒のような点がある。そうか、秋草の上で鳴く鈴虫だ。そんな具合で、大きな間の中に想像の余地を残してくれている、そんなところも茶道具の魅力だと感じています」

森下典子さんによる棗のイラスト
「虫に秋草蒔絵中棗(むしにあきくさまきえちゅうなつめ)」
『好日日記(こうじつにっき) 季節のように生きる』
森下典子著(PARCO出版)

森下さんに言わせれば、もてなす亭主は客に、壮大な“なぞなぞ”をかけているに等しい。

掛け軸に円相(えんそう:宇宙などを象徴的に表した、丸を描いたもの)をかける。茶花の中にすすきを1本。和菓子に衣被(きぬかつぎ:里芋の形を模した月見団子)を出せば、客人は円相を満月に見立てた”お月見”がテーマだと気が付く。

十五夜に食された里芋を模した月見団子「きぬかつぎ」
昔、十五夜に食された里芋を模した月見団子「きぬかつぎ」

お客が、ひょっとしてこれはと気付き、亭主と交わす会話の中で答え合わせをする。そんなコミュニケーションが取れるのも、お茶の楽しさのひとつだと話す。

「お客は、これはきっと何かの仕掛けだぞ、と思うわけです。お互いが、気付くかどうかで楽しみ合い、分かったときには『ああ!』という感動がある。

そんな瞬間に、窓の外から心地の良い風が入ってきていることや、月の光が差し込んできていることに気づく。人の営みに呼応して、自然がシンクロしてくるときがあるんです」

お茶室では、そんな体験をすることがよくあるらしい。

日日是好日に登場する茶道具
茶道具には、もてなす亭主から客人への“なぞなぞ”が隠されている

意外にも自由でクリエイティブな、茶道具の選び方

「武田先生も、普段から様々な茶道具の組み合わせを考えていらっしゃいます。稽古のとき、『これとこれを組み合わせて良いの?』なんて戸惑うこともあるんですよ」と森下さん。

お茶の世界というと、どうしても厳格なイメージを抱きがちだが、必ずしもそういうことでもないらしい。

「例えば、海外旅行でベトナムに行くでしょう。すると現地でボウルなどの器を見て、このデザインならお茶碗や水差しにできる、なんて発想が浮かびます。

お茶道具には“こうであらねばならぬ”という決まりはありません。作法は厳しく、細かい仕草まで決まっているのに、使う道具には自由さが認められている。だから、そこにメッセージや遊びの要素を入れ込むことができるんだと思います」

「日日是好日」原作者の森下典子さん
「映画の中で、私が組み合わせた茶道具をお茶の先生方が見たら、と思うと、冷や汗の出るところではあります」と、おちゃめな笑顔でニコッと微笑む森下さん

風をあらわす掛け軸の前に、花を置いて香りを感じる

このほか、劇中で使われた思い出深い茶道具について聞いた。

森下さんは、掛け軸がとても好きだという。

「掛け軸は『書』としての魅力もありますが、その背景には哲学が込められています。映画では滝の掛け軸の前で、主人公が(想像の世界の中で)滝壺から吹き上がる冷気を感じ、水しぶきを顔に浴びて涼しさを楽しむシーンがありました」

「同じく、劇中に登場する『風』の掛け軸もお気に入りです。この書体はいかにも、そよりと吹いてきた風、という感じがするでしょう。風従花裏過来香(かぜ かりより すぎきたって かんばし)と書いてあるんですが、花のそばを通り抜けた風がその香りを運んでくるという、その禅語の内容も含めて好きですね」

劇中に登場する「風」の掛け軸
劇中に登場する「風」の掛け軸。風従花裏過来香(かぜ かりより すぎきたって かんばし)と書かれている

お気に入りの書に関しては、劇中の茶道教室に掲げられている「日日是好日」も挙げた。

「これは当時(映画の撮影時)小学6年生だった中西凜々子さんによる書です。映画の中の茶道教室の空気が、これでバチっと決まりました。明るくてのびやかで、それでいてすごく一生懸命。大人には決して書けないおおらかな書です」

中西凜々子さんが書いた「日日是好日」の書
撮影時、小学6年生だった中西凜々子さんが書いた「日日是好日」の書。人生に同じ日は無いという想いから、それぞれ違った雰囲気で“日”の字が書かれている

12年に1度しか使われない干支の茶碗

茶道教室で正月に行われる「初釜」の席では、干支の茶碗が使われる。文字通り十二支をテーマにした茶碗だが、正月とその年の最後の稽古に使われるだけで、その年を終えれば12年後まで箱にしまわれたままだという。

「戌のお茶碗だけは、武田先生のところで見つかりませんでした。そこで、お道具屋さんに数点を見繕っていただいたものを、助監督と相談して決めました。12年後の戌年のお正月に『これ、映画に出た茶碗だよね』と思い出すことでしょう」

戌のお茶碗
戌のお茶碗

坂高麗左衛門(さかこうらいざえもん)の水指や即中斎宗匠の書かれた掛け軸など、名のある高額な茶道具もたくさん使われている。

そうした茶道具を慈しむように確認しながら、撮影当時を振り返る森下さん。

「日日是好日」原作者の森下典子さん
映画に使われた茶道具の写真を眺める森下さん

お茶は美味しいもの!普段の飲み物として、自宅で気軽に始めてみる

一方で、「これからお茶を始める人は、最初から名器を揃える必要はありません」ともアドバイスする。

「茶碗、お茶入、棗などは、教室に通っているうちに欲しくなるものです。そこでデパート、お茶道具屋さんに行くわけですが、さほど高額でないものも店頭には並んでいます。

 

最初は、お茶碗だって数千円のもので十分。そういうものから揃えて、お台所のやかんでお湯を沸かし、まずは普段の飲み物として、自宅でお茶を飲んでみるところから入っていただけたら良いと思います」

映画では、美味しそうに淹れられたお茶がアップになる場面がある。

表千家ではあまり泡立てずにお茶をいただく
美味しそうなお茶のアップ。表千家ではあまり泡立てずにお茶をいただく

作法や道具が重要なのはもちろんだが、やはりお茶の美味しさも大きな魅力。

「お茶が美味しいのは、何よりも大事なことです。茶道は、お茶という飲み物の周りにできた文化ですから」と森下さんも話す。

茶道が心のモヤモヤを取り払ってくれる。入り口はさまざま

お茶をやめようと思っていたときに、森下さんの原作に出会って続けられたという方もいる。

いま、森下さん自身にとって、茶道はどんな存在になっているのだろうか。

「心の中に重たいものを抱えているとき、人間関係のしがらみに悩んでいるとき、茶道教室で“なぞなぞ”の気付きに出会うと、靄が一緒に消えてくれるんです。そんなとき、今日は来て良かったと思う。帰り道は風が気持ちよく、また空の高さを感じます。こんな感覚を味わって欲しいと思います」。

自分の将来に悩んだときも、お茶に助けられたという。

「稽古場の中に、世間とは違う価値観や時間の流れがあることに助けられました。お茶、仕事、その両方があったからクルマの両輪のように前に進んでいけました」

短時間で結果が求められる世の中になりつつある。しかし、長い目で遠くからモノを見ることも大事。ゆっくりとめぐる季節を感じ取る、そんな茶道の精神が息づいていたことで、森下さん自身も救われていた。

日日是好日に登場する茶道具

お茶を習いに行くように、映画を観に来てほしい

映画については、「事件は何も起こりません。サスペンスの要素もないし、淡々とした映画ですが、その静けさが良いのだと思っています」と穏やかに総括する。

「お茶を習いに行くようなつもりで、観に来てくれたら良いなと思います。派手なBGMも使っていませんし、水の音と、湯の音が聞き分けられるくらい、静かなシーンが続くので、そんな空間で時間を過ごしてもらえたら。

毎日が慌ただしく、追い立てられる生活を送る私たちに、いま必要な映画になっているのではないでしょうか」

今回の映画の撮影を開始するにあたり、大森立嗣監督は森下さんの通う茶道教室に足を運んでいる。

「足をしびれさせながらも3~4時間、見てくださいました。スマホの電源も切ってらしたようで、帰りに往来に出て電源をつけた時に、『もう4時間か』と時間の経過に驚かれつつ、『見上げた空がスカっと抜けているように感じた』と仰っていました。

わずか数時間でもスマホから離れてお茶室で過ごすだけで、日常が非日常に変わります。そこに、象徴的なものを感じました」

「日日是好日」原作者の森下典子さん

原作のまえがきには、次のように書かれている――。

世の中には、『すぐわかるもの』と、『すぐにはわからないもの』の二種類がある。すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐにわからないものは、何度か行ったり来たりするうちに、後になってじわじわとわかりだし、「別もの」に変わっていく。そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。

お茶って、そういうものなんだ、と森下さん。

「茶道教室に通っていても、初めは脚がしびれるだけで、何も見えてこないと感じるかも知れない。でもきっと、そのうち『お稽古を続けていて良かったな』と思える瞬間がやってくる。お稽古の時間を積み重ねていくことは、自分の中に豊かなものを積み重ねていくことではないでしょうか」


森下 典子(もりした のりこ)

1956年、神奈川県生まれ。1987年、『週刊朝日』の名物コラム「デキゴトロジー」の記事を書くアルバイトをしていた体験を描いた『典奴どすえ』(朝日新聞社)でデビュー。以後、雑誌などにエッセイを執筆している。2002年、茶道の稽古を通じて得た気づきを書いた著書『日日是好日 お茶が教えてくれた15のしあわせ』(飛鳥新社)を出版。2008年に新潮文庫化され、現在もロングセラーを続けている。

映画「日日是好日」

絶賛全国上映中
監督:大森立嗣
出演:黒木華 樹木希林 多部未華子 鶴見辰吾 鶴田真由
原作:森下典子「日日是好日 お茶が教えてくれた15のしあわせ」(新潮文庫刊)
配給:東京テアトル ヨアケ
映画公式サイト:http://www.nichinichimovie.jp/

茶道文化の入り口を開く茶道の総合ブランド「茶論(さろん)」と、「日日是好日」のタイアップ企画を茶論各店及び一部劇場で実施中。詳しくは茶論公式サイトで

文:近藤謙太郎
写真:mitsugu uehara

【はたらくをはなそう】中川政七商店店長 川島理紗

川島理紗
(中川政七商店 ルミネ新宿店 店長)

2013年 遊中川 玉川高島屋S・C南館店にスタッフ入社
2014年 遊中川 横浜タカシマヤ
2015年 遊中川 玉川高島屋S・C南館店
2016年 同店の店長となる
2018年 中川政七商店 ルミネ新宿店 店長

もともと奈良が好きだった私が出会ったのがこの会社でした。
奈良の本店に立ち寄った際、「なんて素敵なお店なんだ!」と
感動したのを今でも覚えています。
外観、雰囲気、商品、スタッフ…全てのものに感動していた矢先、
募集を見てチャレンジしてみようと思い応募しました。
今では自分が店長になり、お客様にあの時の自分の感動を伝えることができているかなと
毎日試行錯誤しています。

そんな私が仕事をする上で大切にしていることは
「相手の気持ちを考える」
「否定しないこと」です。
お客様の立場だったらどう考えるだろう。
スタッフの立場だったらどう感じるんだろう。
どんな想いでこの商品を作ったのだろう。
そんな風に相手の立場に立って想像します。

店長として、スタッフとたくさん会話をしながら
相手が本当に考えてることを引き出し、
一緒に解決に導いていくことが多いです。
相手の考えが自分と異なっても、その視点が面白くもあり勉強になるので、
人の意見や考えを受け入れることも大切にしています。

また、自らチャレンジするのは苦手な方ですが、
いつもチャレンジする環境を与えていただくことが多いので
できるだけ否定せずにまずは受け入れてみようと思っています。
これまでも受け入れてみることで、新たな発見や出会いがありました。

働くことはたくさんの人と関わりを持つこと。
そのたくさんの人を大切にしたいと考えています。
直営店のスタッフとして、お客様の笑顔や一緒に働くスタッフの楽しんでいる姿が
私にとって一番仕事にやりがいを感じる瞬間です。

はじめての「金継ぎ教室」体験レポート。修復専門家 河井菜摘さんに習う

以前の記事「漆を使って器をなおす、修復専門家のしごと」にてお話を伺った修復専門家、河井菜摘さん。インタビューのなかで「日用品はそれぞれが自分でなおせる方が良い」と話してくれた河井さんの教室で、実際に金継ぎに挑戦してみました。

東京都内で行われる金継ぎ教室

ある月曜の朝、通勤ラッシュの地下鉄で押しつぶされそうになりながら向かったのは清澄白河。下町の情緒が色濃く残りつつも、アートの街として、最近はコーヒーの街としても知られています。

駅から歩いて10分ほどのところにあるマンションの一室で、金継ぎ教室は行われています。教室へ入ると、大きなテーブルに作業用の席が10席ほど用意されています。それぞれの席にビニール製のマットが敷かれ、テーブルの中心には漆のしごとに使う道具がたくさん並んでいました。

金継ぎ教室に持参した器

持ってきた器は4つ。口が欠けてしまったカップが3つと、割れてしまった大きなお皿がひとつです。どれも大切に使っていたものの、いつからか割れたり欠けたりしてしまいました。

金継ぎ教室に持参した器
金継ぎ教室に持参した器

金継ぎキットを確認

器を先生にみてもらったら、金継ぎキットの中身を確認します。必要な道具は思っていたよりも少なく、意外と身近なものが多い。このほかに、自分でカッターとはさみ、エプロンを用意します。

この道具たちで金継ぎができるのかとワクワクすると同時に、教室オリジナルの金継ぎノートがかわいらしく、「大丈夫!難しくないよ!」と言ってくれているようで勇気がわいてきました。必要な道具が揃っていることを確認し、いよいよ金継ぎの作業スタート。

金継ぎキット

金継ぎは、漆の技法のひとつ

早速、主役である漆の登場です。漆は肌につくとかぶれてしまうため、作業中は薄いゴムの手袋を着用します。

「金継ぎ」という名前から、金で継いでいると勘違いされることも多いのですが、金継ぎは漆の技法のひとつです。漆が接着剤になって割れた器をくっつけて、破損した部分は漆で埋めて復元する。金はその上から蒔いているだけで、お化粧のようなものです。

金の代わりに銀を蒔いたりそのまま漆で仕上げることもあるそうですが、金はどんな器にも合うため、河井さんははじめての方には金をおすすめすることが多いのだとか。

当たり前に漆、漆とくり返していますが、私たちが漆と呼んでいるものはウルシ科の漆の木の樹液です。漆の木に傷をつけて、出てくる樹液を採集したものがこの生漆。チューブから出した直後はベージュ色ですが、空気に触れることですぐに濃い茶色に変色します。

漆

漆は水分があるところで乾きます。よく乾くのに必要な条件は温度が25度以上で、湿度が65%以上。乾くというよりは硬化するといったイメージなのですが、ジメジメした時期はよく乾き、逆に空気が乾燥し、気温の低い冬は必ず保管用の室(むろ)に入れないと乾かないそうです。

はじめての金継ぎ教室
はじめての金継ぎ教室
はじめての金継ぎ教室
はじめての金継ぎ教室

材料は、漆とお餅と土と木

次に登場したのは和菓子に使うお餅の粉です。和菓子に使うものなので、口に入れてももちろん大丈夫。なんとお餅と漆を混ぜることで、糊漆(のりうるし)という天然の接着剤になるのです。割れをくっつける作業は、この糊漆を使って進めていきます。

パズルのように組み合わせていきます
パズルのように組み合わせていきます

次は欠けを埋める作業です。使うのはケヤキの木の粉と土の粉。先ほどの糊漆に木の粉を混ぜると欠けを埋める天然のペーストになり、これを刻苧(こくそ)と呼びます。もうひとつ、土の粉とお水を混ぜたものに漆を加えると錆漆(さびうるし)に。

錆といっても金属ではなくて、土とお水と樹液といったすべて天然の材料からできています。ちなみに今回使う土の粉は京都の稲荷山の土だそうです。金継ぎは器にも人にもやさしいと聞いたことがありますが、環境にもやさしいのかもしれません。

ガラスの板の上で、刻苧や錆漆をつくっていきます
ガラスの板の上で、刻苧や錆漆をつくっていきます

欠けの大きさや形状によってこのふたつを使い分け、欠けてしまった部分を復元していきます。

はじめての金継ぎ教室

根気強く、なめらかに

糊漆と錆漆でベースができたら、錆漆をデザインカッターや3種類の紙やすりを使い分けながら削って、研いで、形を整えなめらかにしていきます。

はじめての金継ぎ教室

その上に弁柄漆(べんがらうるし)と呼ばれる赤い漆を錆漆をなぞるように塗っていきます。それをまたなめらかに紙やすりで研いで、もう一度。錆漆の上に漆を塗ることで防水性を出していきます。

はじめての金継ぎ教室
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弁柄漆とは、顔料の入った色のついた漆の1種。こういった色のついた漆は、生漆を精製して有色透明な茶色に仕上げた透漆(すきうるし)をベースに顔料を入れたもので、総称して色漆(いろうるし)と呼ばれています。

私たちになじみ深い漆の色は赤色ですが、青や緑のものもあるそう。白漆には白い顔料を入れているけれど、もともと茶色の透漆に対して白を足しているので仕上がりは薄いベージュになる。それが漆らしい色で持ち味なのだと河井さんは教えてくれました。

はじめての金継ぎ教室

数ある色漆の中で、なぜ金継ぎでは弁柄漆を使うのか。ひとつの理由として、金を蒔いた時に下に赤色があると金の発色が良く見えるそうです。言われてみれば、油絵の色の塗り方だったり、私たちの普段のお化粧だったり、同じようなことはよくありますね。

根気強く、表面をなめらかに仕上げたら、いよいよ最後の弁柄漆。この漆が金粉の接着剤になるので、金の形を決めることになります。慎重に慎重に。いつの間にか表情も真剣に。

はじめての金継ぎ教室
はじめての金継ぎ教室

金継ぎのクライマックス「金蒔き」

ほぼ全ての工程を終えて、残すは金粉を蒔くのみ。今回使うのは金粉の中でもいちばん細かいもので、肉眼で見ても消えるように細かい。

金の値段は年々変わっているそうで、10年前は1g当たり3,200円くらいだったものが、今は2倍以上の金額だとか。ただ、この金粉は細かいので思っているよりもたくさんの面積に蒔くことができるそうです。

はじめての金継ぎ教室

使う道具は毛棒と真綿。まず毛棒に金粉を含ませて、弁柄漆めがけて金粉を落としていき、フワフワの真綿を使って磨いていきます。やさしくやさしく。

はじめての金継ぎ教室
はじめての金継ぎ教室
完成です!
完成です!

それまでの苦労が嘘だったかのように、最後の金蒔きの作業はあっという間。それでも、教室内でちょっとした歓声があがるぐらい、金を蒔いた器たちは美しく、新品の器にはない魅力に溢れていました。

はじめての金継ぎ教室

2時間半の教室を3日間、少し急ぎ足ではあったものの小さな欠けの2点は仕上げることができました。

実際に自分が手を動かしてみることで、自分が使うもの、壊したものを自分でなおすことは、当たり前のようで普段できていないことだということ。河井さんの話してくれた変幻自在の漆のおもしろさ。すべて自然の材料を使っていること。たくさんの発見に満ちた3日間でした。

河井さんの教室はキャンセル待ちも多いようですが、金継ぎは市販で本やキットも販売され、教室も多くあるようです。お宅に眠る欠けてしまった器たち、ぜひなおして救ってあげてくださいね。

河井菜摘さんのインタビュー記事
漆を使って器をなおす、修復専門家のしごと


河井菜摘(かわいなつみ)

鳥取、京都、東京の3拠点で生活をし「共直し」と漆を主軸とした修復専門家として活動。陶磁器、漆器、竹製品、木製品など日常使いの器から古美術品まで600点以上の修復を行う。修理の仕事の他に各スタジオでは漆と金継ぎの教室を開講し、漆作家としても活動している。
kawainatsumi.com

文:井上麻那巳
写真:伊藤ひかり・中村ナリコ

こちらは、2017年2月9日の記事を再編集して公開しました

【はたらくをはなそう】日本市店長 白井実穂

白井実穂
(日本市 博多デイトス店 店長)

2014年 直営店スタッフとして入社
2017年 中川政七商店 広島パルコ店 店長
2018年 中川政七商店 イオンモール岡山店 店長
同年 日本市 博多デイトス店 店長

中川政七商店で働いていると、
中川政七商店があるその土地と自分とのつながりを感じます。

それはお客さまとの会話、スタッフとのコミュニケーション、
メーカーさんとのつながりであったり、
工芸、産地、おいしいもの、景色が綺麗な場所、
もともとは縁も所縁もなかったその土地を愛おしく、
自然とおすすめしたい気持ちになっていきます。

わたしは自分の生まれた土地を誇りに思っていて、
その土地の素敵なことやものを、たくさんの人に知ってほしいと思っています。
実は中川政七商店に関わる人は、皆そうなのかもしれません。

わたしにとってはたらくということは、
「自分の思いを実現すること」です。

お店を通して中川政七商店に関わるたくさんの人たちに、
日本のたくさんの工芸やその産地に興味を持ち、それらを誇りに思ってもらうこと。
そして、それを積み重ねることで、作り手さんにも誇りを持ってもらうこと。
その結果、工芸を未来に残していくこと。

それを実現するとき、
わたしが肌で感じたその土地に対する愛おしい気持ちや、
スタッフの皆さんがその土地を大好きな気持ちは
とても説得力があって、信頼できることだと感じます。

この7月から、より地域に密着したお店で働きたいという希望もあり、
お土産業界の地産地消を目指す「日本市」というブランドへ異動しました。
いままでにない地元メーカーさんとのコミュニケーションができ、
これからの展開にワクワクしています。

世の中のたくさんの皆さんに
よりよく伝えられる、良いタッチポイントであるように
お店のスタッフの皆さんと地元メーカーさんと協力して
毎日楽しくここちよいお店を作り上げていきたいです。