涼しく着られる夏の生地「高島ちぢみ」シリーズをリニューアル

今年も夏がすぐそこに迫ってきました。年々暑さが増す日々にまだ涼しい時期から戦々恐々としてしまいますが、心強いアイテムを迎えることでちょっとだけ、そんな暑さを楽しみにしていたりする自分もいます。

最近はいろいろな知恵の詰まった便利グッズがありますよね。新しい商品を手に取るたびに、その技術の進化に感動してしまうほどです。一方で、日本で昔から夏をのりきる術として愛されてきたものもたくさんあります。素足に気持ちいいゴザや、音色から涼をとる風鈴、火照る肌に風をサッとおくる扇子や団扇、冷たい水に浸して首に巻くてぬぐい‥‥。暑さを感じにくい“布”も、その知恵の一つでした。

今回取り上げるのは、そんな夏の生地の一つ「高島ちぢみ」を使って仕立てたシリーズです。凸凹があって肌離れがよく、涼しく楽に着られる高島ちぢみは、日本の夏の家着として長く愛されてきた布。このたび中川政七商店では、当社の夏の定番商品でもある高島ちぢみシリーズを、より快適にご着用いただけるようリニューアルしました。担当をしたのは中川政七商店デザイナーの星野、製造をお願いしたのは、過去の高島ちぢみシリーズから長くご一緒している木村織物さんです。

この記事では改めて高島ちぢみの魅力をお届けするとともに、新シリーズで工夫したポイントもご紹介させてください。



軽くて涼しい夏の布、高島ちぢみ

滋賀県北西部の高島市を産地とする布・高島ちぢみ。豊かな伏流水に恵まれるこの場所は、水にまつわる独自の文化が今でも残り、その清らかな水を使って伝統産業の高島ちぢみも作られてきました。

ちぢみとは、糸に強い撚りをかけて表面にシボを作った織物のこと。高島ちぢみの特徴の一つに「ちぢみ」の名のとおり伸縮性が挙げられますが、これはその撚りによるもので、緯糸(よこいと)に強撚糸(きょうねんし)と呼ばれるぎゅっとねじった糸を使用することで糸が戻る力がはたらき、生地が縮まって伸縮性が高まるというわけです。

「最初は織り上がり幅が165cmある布も、加工した後は強撚糸が縮まることによって100cmくらいになるんです。もともとの織り上がりはかや生地みたいな粗い密度で織られているんですけど、加工するとそれがグッと縮まって今の生地になります。密度を詰めて織っていないので生地が軽いし、風通しもよくて涼しいのが高島ちぢみの良いところです」(デザイナー・星野)

またもう一つの特徴がシボによりできる凹凸。この凹凸が肌との密着を防ぐため、吸湿性・速乾性に優れ、肌着やパジャマなど夏の家着の生地として重宝されてきた歴史がありました。中川政七商店の高島ちぢみシリーズも夏に登場するたび多くのお客様にご愛用いただいています。

リニューアルのポイント【1】伸縮性はそのままに、形態変化を抑える

ご紹介してきたように、織物ながら高い伸縮性を持つのが特徴の高島ちぢみ。動きをじゃませず快適に着られる一方で、その伸縮性の高さゆえに洗濯で縮みやすい特徴を持つ生地でもありました。リニューアルにあたって最も星野がこだわり、また星野と木村織物さんの頭を悩ませたのもこの点です。

「もともとの高島ちぢみシリーズも伸縮性がよくて着やすかったんですけど、どうしてもお洗濯したときの初回の縮みが大きかったんです。形を整えて干したり、着用したりするなかでまた元のサイズに戻っていくのですが、『思っていたより縮んだ』というお客様のお声もいくつかありました。

生地の特徴とはいえ、知らない方にとってはびっくりされるかもしれないですし、できれば洗いざらしで変化をあまり気にせず着られたら、もっと嬉しいですよね。

なので、涼しさや肌あたりは守りながら、お客様が実際使う時により快適に扱えるように、木村織物さんとお洗濯初回の縮みを抑える方法を探っていきました」

生地の特徴をほどよく活かしながら縮率を抑える方法はないかと、星野は作り手さんと模索を続けます。たどり着いたのは生地の段階で洗い工程を増やすこと。生地を織り上げた後、製品へと縫製する前に湯洗いする方法を採用しました。

「高島地方では縮率の平均が8%前後といわれるなか、最終製品を洗ってテストしてみたところ、中川政七商店で開発したシリーズは5%以内に抑えられました。高島ちぢみならではの良さはそのままに、お洗濯後の大きな縮みは以前より軽減できています」

リニューアルのポイント【2】伸縮しても素敵に見える仕立てとシルエット

伸縮率を軽減できたとはいえ、どうしても多少は縮みが発生する高島ちぢみ。星野がもう一つこだわったのは、縮みが発生しても気にならないシルエットに仕立てることでした。

今回の新シリーズでは生地幅をぜいたくに使い、ワイドシルエットに。ゆったりと着られる他に身体のラインをひろいにくい良さもあり、縮んでもフィットしすぎないのでストレスになりません。

またワンピースとシャツには前部分にタックを入れたことで、生地の形態変化が多少あっても全体のシルエットが損なわれないように工夫。さらには首元にシャツのようなデザインを採用し、前でボタンをとめるタイプにしたため、夏の暑い日もささっとラクに着脱できます。

「他にも、洗うことによって布が伸びたり縮んだりして、首もとや裾がひらひらした形になってしまうことってありますよね。今回のシリーズはそこもできるだけ防げるように意識していて、ステッチの糸には伸縮するミシン糸を採用しました。そうすることで布だけでなく糸も伸縮するので、シルエットが崩れるのを多少は軽減できると思います」

リニューアルのポイント【3】色落ちしにくく、涼やかな色合い

こだわった3つ目は生地の色。シリーズには紺・薄墨・薄緑・薄紫の4色をラインアップし、先染めの糸を採用して立体的な色みに仕上げています。

「布の色は糸の段階で染めるもの(=先染め)と、織り上がった布を染めるもの(=後染め)のどちらでも表現できますが、糸の段階から染めることで、経糸(たていと)と緯糸の組み合わせで色の表現に幅が出せるんです。

今回の商品では紺と薄墨は縦に黒色の糸を使ってスタイリッシュな色合いに、薄緑と薄紫は白色の糸を使って軽やかな色合いにと、夏らしい爽やかな色を選んでみました。シャツとパンツは上下別の色で組み合わせてもすてきに見えるようにトーンを揃えています。

あとは生地が白化(はっか。少し色が白茶ける現象)しにくいのも、先染めのいいところです」

木村織物さんでの製造の様子(撮影:平田尚加)/読みもの「高島ちぢみ」より

涼やかな着心地と色合い、ゆったり着られるシルエットで、夏の暮らしのお供になる服に仕上げた新・高島ちぢみシリーズ。お部屋着はもちろん、ちょっとそこまでのワンマイルウェアとしても着ていただけます。

「夏ってすごく暑くてやる気が起きない日も多いと思うんですけど、涼しくてゆったり着られる服があったら、夏が心地よくなるかな、夏もいいもんだなと思っていただけるかな、と考えて作りました。

きちんと見えつつリラックスできる服で、肩肘はらないアイテムなので、ご自宅でゆっくり過ごすときや、近所へ出かける際の強い味方のように着ていただけたら嬉しいです」

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高島ちぢみのワイドシャツ
高島ちぢみのワイドワンピース
高島ちぢみのキュロットパンツ

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文:谷尻純子

【あの人の贈りかた】幸せな時間にひと役買う品を(スタッフ清水)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は生産管理担当の清水がお届けします。

ストレスのない使い心地を考えた「割烹着」

贈りものを選ぶ際、相手の日常や暮らしを、少し想像してみることにしています。
「日々どんな暮らしをしているかな?」「憧れているもの、好きなものってどんなイメージだろう?」と、さまざまなことに想いを巡らせます。

先日、毎日忙しく家事をする母に「割烹着」を贈りました。
結婚して妻と子どもと暮らすなかで、料理を作ったり、子どもの面倒を見たり、掃除やごみ捨てなど、いろんなことを手際よく同時に進めている妻の姿を見て、妻にも、そして改めて自分の母にも感謝の気持ちがうまれています。

今も忙しく暮らす母。少しでもストレスなく家事ができればな、と考えて選んだのがこちらの品です。

下に着用している洋服の袖までしっかりと覆い、油や水、ホコリなど、あらゆる汚れから守ってくれるのが、割烹着の最大の魅力。

中川政七商店の割烹着は後首ぐりにゴムが入り、後ウエストには紐付きで脱ぎ着がしやすく、さらに袖にもゴムが入っており、水や汚れが袖口から入ってこない作りになっています。

やや厚手の丈夫な生地のため、しっかり使えて、しっかり洗えるのも特徴の一つ。
家事の時間をより快適にしてくれる割烹着です。

丈の短いタイプもあります

<贈りもの>
・中川政七商店「割烹着 ロング丈

幸せを招く猫「SETOMANEKI」

友人や同僚の転職・引っ越しの際には「新天地でも幸あれ」の想いを込めて、贈りものを選んでいます。

「またご飯いこうね」「必ず一緒に仕事しよう!」と言葉をかけて送り出しつつも、お互いに慌ただしく、次に会うことができたのは数年先ということもしばしば。
毎日会って励ましたり、支え合ったりできない分、何か心に寄り添うようなものが贈れたらなと考えていました。

そんな時に出会ったのが「SETOMANEKI」。
その名のとおり、焼き物の産地・瀬戸で作られた招き猫です。

SETOMANEKIがそっと家のなかに佇み、大切な相手に福を呼んでほしい。
良い出会いを招き、毎日が楽しく、自分らしく前に進んでほしいと願い、送っています。

上品でカジュアルなデザインであり、カラーバリエーションも豊富。
その人らしさを想像しながら、色を選ぶのも楽しい時間です。

とびっきり応援したい方には「金手」のSETOMANEKIもおススメです。

<贈りもの>
・中外陶園「SETOMANEKI

大切な人と一緒に食べたいケーキ「週末シトロン」

友人のおうちに招いていただいた時や、久しぶりに会う知人への手土産には、肩肘を張らず、それでいて可愛く、テンションの上がる贈りものを選びたいと思っています。

そんなシーンにピッタリなのが「週末シトロン」。
フランスで昔から親しまれている伝統焼菓子「ウィークエンドシトロン」から着想し、作られたケーキです。

「週末に大切な人と一緒に食べたいケーキ」という、素敵な意味が込められているのも気に入っている点。
味や見た目はもちろんですが、贈りものに込められた意味も、プレセントを選ぶ際のポイントとして大切にしています。

すべての工程を手作業で行い、製法にこだわり、保存料などの添加物は不使用。
子どもから大人まで味わえるどこか懐かしく、優しい味が楽しめます。

ウキウキするパッケージの可愛さもあいまって、週末に渡せることを楽しみにさせてくれるお菓子です。

<贈りもの>
・「週末シトロン」
・販売サイト:https://shumatsu-citron.com/

※中川政七商店の店舗では、奈良蔦屋書店でのみシリーズ品「奈良シトロン」の販売がございます

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 生産管理担当 清水優也

【暮らすように、本を読む】#10「ゆるめる・温める・巡らせる」

自分を前に進めたいとき。ちょっと一息つきたいとき。冒険の世界へ出たいとき。新しいアイデアを閃きたいとき。暮らしのなかで出会うさまざまな気持ちを助ける存在として、本があります。

ふと手にした本が、自分の大きなきっかけになることもあれば、毎日のお守りになることもある。

長野県上田市に拠点を置き、オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する、「VALUE BOOKS(バリューブックス)」の北村有沙さんに、心地好い暮らしのお供になるような、本との出会いをお届けしてもらいます。

<お知らせ: 「本だった栞」をプレゼント>

先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、同社がつくる「本だった栞」が同封されます。買い取れず、古紙になるはずだった本を再生してつくられた栞を、本と一緒にお楽しみください。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。



自然に寄り添うセルフケアで、からだの不調をととのえる

頭痛やPMS、肩こり、花粉症、不眠症‥‥。家事や育児、仕事に追われ、日々を忙しなく過ごしているうちに、気づけば体調を崩してしまうことは、現代を生きるわたしたちにとって珍しいことではありません。

慢性的な不調に対処するひとつの選択肢として、植物の力で、からだをととのえることにフォーカスしたのが本書『ゆるめる・温める・巡らせる』です。著者の鈴木七重さんが植物療法士の視点から、3つのケアを通して、からだの不調と向き合う方法を紹介しています。

「ゆるめる」では、からだとこころの緊張をほぐし、穏やかでリラックスした状態に。「温める」では、からだの内と外の両側から温めることで、冷えを解消し、細胞のひとつひとつを元気に。「巡らせる」では、腸内環境を整え、リンパの流れをよくして、デトックスしながら滞りのないからだにする。

自身の体験談を交えた具体的なケアの方法から、おすすめの精油まで、詳しく解説しています。さらに、ハーブティやバーム、調味料など、身近なハーブや精油を使ったレシピや、今すぐ真似できるストレッチやマッサージ、呼吸法など、気軽に試せるセルフケアも満載。自分のからだの状態を確かめ、たのしみながら実践していくことができます。

不調にあわせた「正しいケア」ではなく、一番大切なのは、自分が「心地いい」と感じるからだの声を聴くことだと、鈴木さんは話します。いわく「不調はからだの状態を知るサイン」。無意識に過ごしていた環境を整え、ゆるめる・温める・巡らせるを意識することで、健やかな状態を取り戻せる。

わたしもさっそく植物の力を試してみたいと思い、からだやこころをととのえる手軽な方法として、直接付けられるロールオンタイプの精油を持ち歩くようになりました。緊張を感じる時や疲れた時に、香りを身につける。すると、強張ったからだが少しゆるみ、こころが軽くなるのを感じます。

新年度を迎え、緊張状態が続く人もいることでしょう。そんな時は、仕事の合間に飲む一杯のハーブティで、おおらかな気持ちを取り戻せるかもしれません。疲れたこころを癒すお守りのように、生活に植物の力を取り入れてみませんか?

ご紹介した本

・鈴木七重『ゆるめる・温める・巡らせる』

本が気になった方は、ぜひこちらで:
VALUE BOOKSサイト『ゆるめる・温める・巡らせる』

先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、同社がつくる「本だった栞」が同封されます。買い取れず、古紙になるはずだった本を再生してつくられた栞を、本と一緒にお楽しみください。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。

VALUE BOOKS
長野県上田市に拠点を構え、本の買取・販売を手がける書店。古紙になるはずだった本を活かした「本だったノート」の制作や、本の買取を通じて寄付を行える「チャリボン」など、本屋を軸としながらさまざまな活動を行っている。
https://www.valuebooks.jp

文:北村有沙
1992年、石川県生まれ。
ライフスタイル誌『nice things.』の編集者を経て、長野県上田市の本屋バリューブックスで働きながらライターとしても活動する。
暮らしや食、本に関する記事を執筆。趣味はお酒とラジオ。保護猫2匹と暮らしている。

【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 中西敦子

中西 敦子
中川政七商店 神戸大丸店

2017年   中川政七商店神戸大丸店 アルバイト入社
2019年   中川政七商店神戸大丸店 エキスパート
2019年夏  中川政七商店神戸大丸店 店長

2000年春、神戸の和菓子屋に就職。販売職で店長を経験し、2017年1月退職。以前から関心のあった日本のものづくりに関わりたいと思い、2017年2月に中川政七商店 神戸大丸店のアルバイトスタッフとして入社。2019年1月に正社員となり、現在に至る。



昔から日本各地でつくられているうつわが好きで、丹波焼の産地に地元が近いのもあって陶芸体験や窯元へ出向いて気に入ったものを買ったり、旅先でその土地のうつわをお土産にしたりすることが楽しみのひとつです。

そんな私にとって中川政七商店は、日本各地でつくられているものに日常のなかで出会える、楽しい場所でした。

転職活動を始めたころに偶然、中川政七商店のスタッフ募集案内を見つけ、改めてお店について調べてみたところ、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを知り、なんてすてきなビジョンなんだと思ったことを覚えています。

「17年間培ってきた接客力で、日本の工芸を元気にすることができたら楽しいだろうな」と思い、面接を受けアルバイトとして入社しました。

やさしい先輩方に恵まれ、楽しく働かせてもらうなかで、「ビジョンに対してもっと深く学び、関わり、お客様を増やしたい」「日本のものづくりのすばらしさを伝えていきたい」と思うようになり、2019年に正社員となって、その夏に神戸店の店長になりました。

入社してからずっと変わらず大切にしているのは、「お客様も、働く私たちも楽しいお店」でありつづけることです。

「暮らしのものを買いに」「洋服を買いに」「贈り物を買いに」「季節のものを買いに」「お出かけしたら立ち寄るお店」というように、お客様の暮らしにあたりまえにある存在になりたいと思っています。

お店に来て日本のしつらいに触れたり、ものづくりに触れたりしながら、会話や空間も楽しんでもらいたい。「日々の暮らしをこんな風にしたい!」と想像し、わくわくしてほしいと思いながらお店づくりも考えています。

また、働くスタッフさんにも工芸の伝え手として、日本のものづくりに貢献しているやりがいを感じてほしい。まずはチャレンジしてから考え、それぞれの得意を発揮して、苦手なものはみんなで助け合うことも意識しながら働いています。

店長になってもうすぐ5年。

販売だけでなく、戦略を考えたり、スタッフさんの育成も行う毎日です。

300年以上続く会社の一員となり、その長い歴史の一員になれていることに大きな責任も感じますが、大好きな日本のものづくりを多くの方に広めるお仕事ができていることに幸せや誇りを感じています。

これからも、ご来店くださるお客様や一緒に働くすべての方に感謝の気持ちを忘れず、お店に立ち続けたいと思います。

<愛用している商品>

更麻 ショートスリーブ 白

夏場の蒸し暑くべたつく時期、一日中サラサラ肌で過ごせるところが一番のおすすめポイントです。麻と聞くと「ちくちくするのかな‥‥」と思われがちですが、更麻はふわふわ!敏感肌の方でも安心していただけると思いますので、お店でぜひ触ってみてください。洗濯後の乾きが早いこともうれしいですし、とにかく丈夫。5年使っていますがほとんど変化のない状態で今も使えています。私にとって手放せないもののひとつです。

motta010

麻のハンカチを中川政七商店で初めて買って、使いはじめました。吸水力に感動して今は毎日mottaです。手を洗ってハンカチで拭くとき、なんとなくいつまでたっても水気がなくならないなぁといった経験ってありませんか?mottaは手を拭いた瞬間にスッと水分を吸い取ってくれます。

一部の店舗では刺繍のサービスもあり、私は旅先で、刺繍の対応をしている店舗や刺繍入り限定ハンカチを見つけると購入して、お土産にしています。

もんぺパンツ

入社してしばらくは自分が履くと野暮ったくなるんじゃないか‥‥と避けていたもんぺパンツですが、数年前に試しに買ってみたら、いまやほぼ毎日もんぺパンツを履くほどはまっています。

季節に応じてシリーズの入れ替えもあり、そのたびにどんどん買い足しているほど。

夏場はタイプライター生地やシャンブレー生地を使った軽やかな素材のもんぺパンツを前開きシャツやカットソーと合わせ、冬は厚手の生地のものをニットと、また春秋はベストと合わせるなど、本当に年中活躍します。仕事中も履きますし、プライベートでは長めのトップスに合わせて使うことが多いです。



中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは、採用サイトをご覧ください。

【わたしの好きなもの】落ち着いたピンク色が着まわしやすい「極薄綿のチュニック 桜」

あっという間に大好きな桜の季節が過ぎ、新緑のまぶしさに目を細める時期となりました。最近の奈良は日中だと半袖で過ごせるような日も多く、いよいよ暑い夏が来るぞ‥‥と既に心は夏へ向かっています。

この季節はいつもの道に小さな息吹が次々と咲き、外を歩けば晴れやかな気持ちに。花がそれぞれの色を装うように、私自身もまた、明るい色を身にまといたくてうずうずしていました。

そんな気持ちで最近迎え、夏まですごく使えそう!と周りにもおすすめしているのが「極薄綿のチュニック 桜」。昨年、この「わたしの好きなもの」の連載で同じ部の同僚がおすすめしていて、「なになに‥‥これは気になるな」と、ひそかに狙っていたお洋服の色違いです。

こちらのモデルさんは「濃紺」を着用

購入するぞと決めてはいたものの、悩んだのは色味。いつもの私ならベーシックな「濃紺」や「ライトグレー」を選ぶのですが、今回はええい!と春の勢いで「桜」を選びました。

実は、大人になって避けるようになっていたピンク色。もともとレースやピンク、花柄が大好きだった私ですが、30代半ばになってからは「かわいすぎるかな?」「自分に似合っているのかな?」と不安な気持ちが勝ってしまう。かわいいとは思いつつも遠ざかるようになっていたけれど、こちらは落ち着いたピンク色なので「私にも着られるかも」とちょっと勇気を出してみたのです。

着てみてまず驚いたのは、生地の気持ちよさ。極細の糸を編み立てた極薄綿は、さらさら・しっとりした肌触りで着ていて本当に快適です。

風通しがよくひんやりした肌触りなので、春にはカーディガンと合わせてレイヤードしたり、夏にはキャミソールの上からさらりとかぶって涼しく着たりと、長いシーズン着られそうなのもお気に入りです。

以前に取材へ伺った、世界のメゾンも愛する和歌山のニット生地メーカー・エイガールズさんが作った生地なのも、頼もしい限り。
ストレッチ性がよく動きをじゃましないので、どんな場面にも気兼ねなく着て行けます。

洗いにくい服は極力着たくなく、だからといってカジュアルすぎる綿Tシャツばかり着るのはちょっと飽きてしまうしなぁ‥‥という悩みも、形態安定加工を施すことで洗濯してもヨレにくく作られている、この服があれば解決。

上品な透け感で繊細な雰囲気がありつつも、じゃぶじゃぶ洗えるので「どの服を着ようかな」と朝クローゼットで悩むときパッと手に取りやすい気軽さがあります。

コーディネートが難しいかも?と少し心配していたピンク色も、大人っぽい色味とシンプルながら二の腕や肩を華奢に見せてくれるデザインもあってむしろ使いやすく、ある日はデニムスカートと合わせて着たり、

またある日はちょっとハードな印象のサロペットスカートと合わせて着たりと、手持ちのいろんなアイテムと合わせて楽しんでいます。どちらもスカートに裾をインして着ていますが、生地が薄いのでもたつきがなく、すっきりと着られるのも嬉しい!

中川政七商店のお洋服と合わせるなら、個人的には「播州織の高密度テーパードパンツ 生成」がおすすめ。どちらとも着心地がよいので休日にゆったりと着るのはもちろん、ストールやブローチを足してお出かけ服としても楽しみたいです。

おうち仕様はこんな感じでゆるりと
お出かけ仕様では「リネンキュプラの格子ストール」「小さな工芸のブローチ 籐」「ラッセル編みのショルダーバッグ」を合わせて。チュニックなのでお尻もすっぽり隠れます

※ちなみに私は身長160cm、普段のお洋服サイズはS~Mです

シンプルで着まわしのきく服は贈りものにも喜ばれそう。私も大活躍のピンクに続いて、次の色はどうしようかな‥‥と、実はもう一枚狙っています。

編集担当:谷尻

花のある豊かな暮らしを、もっと気軽に。花のEC「LIFFT」が伝えたい価値

色とりどりの花を眺めると気分が晴れやかになり、自分のために誂えられた花束からは贈り主の想いが伝わってくる。

入学や卒業、就職や結婚にお店の開店など、祝いの場には、私たちの心に感動を与えてくれる花の存在が欠かせません。

その一方、何気ない日常の中で花を購入して飾ったり、プレゼントしたりする機会はそこまで多くないような気もします。日本人が一年に花を購入する回数は、平均すると1〜2回程度という調査結果もあり、多くの人にとってはあくまでも特別な「イベント」になってしまっているようです。

こうした状況に課題を感じ、もっと気軽に、日常的に花を楽しむ文化を根付かせたいと、奮闘している企業があります。

花や植物を気軽に贈る・飾るカルチャーが、日本を豊かにする

2014年に創業した「株式会社BOTANIC」。

都内に複数店舗を構える花と緑の専門店「ex.(イクス) flower shop & laboratory」や、オンライン通販で最高の顧客体験を追求する「LIFFT(リフト)」など幾つかの花のブランドを運営し、「花や植物に関わるすべての人々を幸せにする」ために活動を続けています。

「ex. flower shop & laboratory 中目黒店」

その想いの源泉はどこにあるのか。花にはどんな可能性があるのか。代表取締役CEOを務める上甲友規さんにお伺いしました。

BOTANIC 代表取締役CEO 上甲知規さん

「私がBOTANICの代表になった2021年は、ちょうどコロナ禍の真っ只中。

外出のハードルが上がっている中で、会えない人にプレゼントしたり、自宅で楽しんだりと、お花に注目が集まるポジティブな影響もありました。

お花の持つ可能性を感じられた一方で、それがカルチャーとして定着したかというと、そうではなくて。日常的に花を飾り、贈り合う文化が根付いているヨーロッパなどと比べると、まだまだ差があるのが現状です」

ヨーロッパ諸国をはじめとする、切り花文化が盛んな国々。実際にそうした国を訪れてみて、まさにカルチャーショックを受けたという上甲さん。

日本にも、花や植物を気軽に贈ったり飾ったりする文化をつくりたいと強く考えるようになります。

「ヨーロッパは切り花文化で、たとえばどんなカフェに入ってもお花が飾ってあるし、花売りの人を街の至る所で見かけます。

普段の買い物の最後にはお花屋さんに寄ることが多くて、小さい頃からお母さんの買い物についていって、お花を買うことが当たり前になっている。ほかにも、旦那さんが毎週金曜日にお花を買って帰るのが定番になっていたり、気軽にプレゼントする習慣もある。

必需品ではないけど、すごく美しくて、枯れていく儚さもある。感性価値の度合いが非常に高いお花を楽しむのはとても豊かなことだなと感じます。

お花がもっと売れるようになれば、日本の豊かさにもきっと繋がるはず!というのを海外で実感しました」

“最適な流通、適切な情報、最高の鮮度”を追求したオンライン通販「LIFFT」

当初は、実店舗型の「ex.(イクス) flower shop & laboratory」の運営からスタートした「BOTANIC」。次第に、花の魅力をより多くの人たちに届けるためには、従来の花屋のあり方とは違った仕組みが必要だと気付くようになります。

「『最適な流通で、適切に情報を提供しつつ、最高の鮮度のお花を届ける』ことで、花本来の魅力を体験していただきたい。それには、実店舗だけでは難しい部分もありました。

もちろん、無駄な在庫を減らしたり、季節感や旬の産地を重視した仕入れを考えたりとやってきました。それでも、たとえば悪天候の日が続くと客足が遠のいてしまって、お花が売れ残ってしまう。鮮度が落ちたお花は廃棄するしかなく、フラワーロスが発生します。

こうした問題に対して、オンラインだからこそ解決できるはず、と取り組んだのが『LIFFT(リフト)』です」

“Farm to Vase 農園からお手元(花瓶)へ”というコンセプトを掲げているオンライン通販の花屋さん「LIFFT」では余分な流通過程を出来る限り省略。

オーダーをいただいてから採花し、フローリストが花束にして速やかに配送することで、鮮度の良い状態で花を届けています。中間流通を省き、フラワーロスも最小限に留めることで適正な価格での提供も実現。

花の魅力を気軽に体験できる入口として、最適なサービスになっています。

「私たちが実際に農園に行き、直接話をして、素晴らしいと確信した生産者の方々にご協力いただいています。採花した花の梱包方法なども日々改善して、お花の品質を追求し続けているところです」

花の魅力をより深く伝える、紙の「Journal」

継続的に旬のお花が届く『定期便』メニューもあり、そこには『BOTANIC Journal』という冊子を同梱。届いた花の特徴や生産者さんの裏側の想い、さらにケアの仕方から飾り方まで、花を楽しむための情報が掲載されています。

「対面での接客の良さもあれば、こういった紙面を自分で読む良さもあると思っています。

特に、定期便は継続的に情報をお送りできるので、深いコミュニケーションが取れるのかなと。

飾り方やケアの仕方など、忙しい中で自分から積極的に学ぶのが難しい方も多いと思いますが、そんな時に、冊子をめくると欲しい情報がすぐに見つかるので、『いつも参考にしています』というお声もいただいています。

お花の情報の深掘りだったり、生産者さんの声だったりを楽しみにしてくださっているお客様も多いです。

お花を楽しむ体験に、毎回何か新しい発見を付け加えられるといいなと。撮影から執筆まで大部分は社内スタッフがおこなっていて、なかなか大変ですが、引き続きがんばって作っていこうと思います」

筆者個人としても、花を購入してきちんと飾れるのか不安だった時に、この冊子があるおかげでとてもスムーズに花瓶に入れることができました。書かれてある通りにケアをしてあげると、想像以上に長持ちさせることもでき、今後も花を楽しもうという意欲が湧いてきます。

花にまつわるストーリーも面白く、実際の花の魅力と、知識を獲得する楽しさが合わさることで、とても豊かな体験ができるのだなと感じています。

花の生産者、そしてフローリストの価値を伝えたい

ご両親の実家がどちらも農家をされていて、もともと農業に関心があったという上甲さん。その他の農業と比較して、花業界はまだまだ新しいアクションが足りていないと話します。

「他の農産物のビジネスには、新しくベンチャー企業が参入するような動きがありますが、お花業界はそれが少ないと感じています。なので、やりがいはありますよね。

他の農業も同じだと思いますが、日本の花農家さんは家族経営が多い印象で、跡継ぎ問題なども大きな課題です。物理的に土地が必要だし、ノウハウの習得も一筋縄ではいかないので、新たに外から入ってきて花農家をやるハードルはとても高い。

お花の品質は世界的にみてもトップクラスだと思いますし、凄く良いお花が流通している。若い世代を中心に、新たな取り組みを始める生産者さんも出てきていますし、私たちももっと花業界を盛り上げていきたいですね」

生産者の方々の素晴らしい仕事、そしてそこから生まれる花自体の魅力。それともう一つ、世の中に届けたい価値があるそうです。

「花屋の仕事に関わるようになって、フローリストの技術の高さに凄く驚いたんです。

花屋さんの仕事って、お客さんが選んだ花をぎゅっと束ねて包んでいるだけでしょって、そんな風に思われている人もいるかもしれませんが、実は全然そんなことはなくて。

花束を作るにしても、ディスプレイするにしても、繊細かつ高度な技術と専門知識をもって取り組んでいます。

ヨーロッパだと、国によってはマイスター制度や国家資格がしっかりある職業なのに、日本ではそこまで認知されていません。労働環境や賃金も決して良くない状態です。

『将来はお花屋さんになりたい』という子ども達が夢を諦めなくて済むように、もっとその価値を発信して、弊社がロールモデルとして変えていければと思っています」

花は暮らしを豊かにする

花を気軽に贈り、飾る暮らし。我が家も花を飾り始めて数か月ですが、既に色々な変化が起きています。

まず真っ先に「いい匂いがする!」と花に興味を示した子ども達。「実はこんなの持ってるよ」としまい込んでいた花器を出してきた妻。そして自分も、毎朝花の様子を見て、前日との違いに気づいたり、上手く飾れた時はなぜか誇らしい気持ちになったり、見たことが無い花が届くと冊子にかじりついて知識をため込んでみたり。毎日の生活に新しい刺激が加わりました。

自分の親や友人にもこの体験をしてもらいたい、今度何かプレゼントしてみよう。そんな風にも思っています。

暮らしを豊かにしてくれる花の魅力。そして、その魅力を作り出している生産者やフローリストの素晴らしい仕事。これらすべてを世の中に伝えていくために、これからも「BOTANIC」の取り組みは続きます。


<取材協力>
BOTANIC

文:白石雄太
写真:中村ナリコ