贈りものにエピソードを。阿部守商店「おさかなの素」

30歳を超えた頃から、大切な人への贈りものには選んだ理由を添えるようになりました。父の日ならビール、母の日ならカーネーションと定番品をそのまま贈るのも悪くはないけれど、「あのね、このビールはお父さんと同じ年に生まれた醸造所が造っていてね、」とか「この器は、あなたの地元に産地があってね、」といった風に、つくり手が込めた想いとか、相手にぴったりな理由とか、話したくなるエピソードがあるとなお、贈りたい気持ちが増すのです。

けれどそのぶん「これだ!」と思えるものを探すのは難しく、どうしてそれを贈るのか、自分で納得できないと決められない。少々、やっかいな主義を持ってしまいました。

こんな私なので、贈りものを探すときはいつも少し途方に暮れてしまいます。相手が喜び、なおかつ伝えたいエピソードのある品を、毎回一から探し出すのは割と途方もない道のりで、時間もかかる。こうして私は次第に、気になった品・気に入った品を「贈りたいものリスト」として、少しずつ書き溜めておくようになりました。

甘いものならあれ、気の利いた雑貨ならこれ、と、いざとなったらリストが助けてくれる安心感は結構心強く、リストに鎮座する品々を眺めては、楽しい未来に想いを馳せます。もちろん全てがエピソードも含めて推せる品ばかり。いざ出番が来たときは嬉しくて、手渡すときの私はたぶん、にこにこしていると思います。

中川政七商店が経営コンサルティングを手がけた、阿部守商店がつくる「おさかなの素」が、このたび、そのリストに新しく名を連ねました。

宮城県塩竃市。太平洋に面する港町で、魚加工業を営む同社が新しく発表したこの品は、魚のほぐし身と調味料の白醤油、海苔がセットになり、「お茶漬け用」「炊き込みご飯用」と大きくは2種類をラインアップ。

例えばお茶漬けセットなら、冷凍されたお魚を開封してご飯と一緒にお茶碗に盛り付け、白醤油とお湯を注げば出来上がりと、豪華なお茶漬けが簡単に完成します。

「紅鮭」「さば」「ほっけ」など数種類の魚がセットになった「おさかなの素」は、魚種や内容量の異なる複数の価格帯が用意されていて、予算や好みに合わせて検討できるのも魅力的。同じく東北の地で活動されているakaoniが手掛けたパッケージやロゴデザインは、ほどよい気品とどこか懐かしい土着感あるデザインで、贈りものにぴったりです。

「お茶漬けセット」「炊き込みご飯セット」とも、基本の「おさかなの素」は共通。調理の工程や白醤油の分量などがそれぞれ異なる

さて、今回は定番だという「紅鮭」を炊き込みご飯にしてみます。実家を出てから「魚の調理はこんなに面倒だったのか!」と、めっぽう肉派になってしまったのは私だけではないはず。魚は食べたい。だけどめんどくさい。そうやって魚と距離を置く日常が今やすっかり普通になってしまったけれど、やっぱり魚が食卓にあると嬉しいし、それが手間なくつくれるなんて、私の心は静かなお祭り状態です。

封を開けて、炊飯釜に入れて、あとは炊くだけ。今回はちょっと“丁寧な暮らし”風に楽しんでみようと土鍋で炊いてみましたが、もちろん手軽に炊飯器でも大丈夫。次に蓋を開けたときには立派な鮭入り炊き込みご飯が出来上がりです。

お茶碗によそい、刻んだ青じそと付属の海苔をまぶす。例えば朝ごはんにするなら、いつものお味噌汁や定番のおかずを添えただけでも、夢のような朝定食が完成するのです。

何歳になっても「炊き込みご飯」と聞けば、ついテンションが上がってしまう。淡い紅色が白米に映え、お茶碗の中の美しい景色に思わず顔がほころびます。

お箸でとって口に運べば、海苔の香ばしさが白醤油の染みた鮭を引き立て、口の中に優しい海が広がるよう。「うん、おいしい!」。丁寧に身をほぐしてあるので骨もなく、食べ進めやすいのも安心感があって嬉しい点です。

阿部守商店が商いをする宮城県塩竃市は、江戸時代には仙台の外港として水産業で栄えた場所。現在は国内有数のマグロの水揚げ地となっている一方で、環境問題などを背景に、水揚げ量は年々減少の一途をたどり、地域の水産業は大きな課題に直面しているといいます。

そんな塩竃の土地で、ルーツを漁師に持つ同社。世界中の海をめぐりさまざまな魚と出合った後は、もっと魚を知りたいと、塩竃の魚市場で卸業を始めました。そして、いまは漁師と魚卸業で培った”美味しい魚を見極める目”を強みに、魚加工業をされています。

阿部守商店が目指すのは、塩竃の海をまた、たくさんの魚が集まる場所にすること。そのために「環境負荷を極力控えながら、美味しい魚を届けられるような品の提案に取り組んでいきたい」と、新商品開発を主導した阿部守商店二代目の阿部久仁雄さんは話します。

塩釜港(写真提供:塩竈市秘書広報課)

「限られた資源を大切にするために、獲れた魚は美味しく、無駄なくいただきたい」。

そんな想いから生まれた「おさかなの素」は、通常は捨ててしまう魚の切れ端も活かせるようにとほぐし身を採用。何度も何度も試作を繰り返し、開発されたそうです。

あらゆるアプローチから魚を究めた信頼できるつくり手であり、美味しくいただくことが、塩竃の海を元気にしていく貢献にもなる。

「美味しいうえに、ものづくりの想いにもグッとくる。そんな品、応援せずにはいられない!」と、「贈りたいものリスト」への追加を決めたのでした。

お世話になった先輩へ、暑い夏に料理の手間を軽減できるお中元にするのもいいし、私と同じく、たぶん稀にしか魚料理が食卓に出ない友達への、誕生日プレゼントにするのも喜ばれそう。

まずは、幼い私に美味しい魚料理をつくってくれた家族へ、何でもない日にふと贈ってみようと思います。


<掲載商品>
宮城 塩竃 阿部守商店 「おさかなの素」

「炊き込みご飯セット」
・2種4袋 3,900円(税込)
・3種6袋 5,600円(税込)

「お茶漬けセット」
・4種4袋 3,780円(税込)
・5種6袋 5,400円(税込)
・5種10袋 8,640円(税込)
※いずれも送料込み。沖縄県のみ送料+500円

購入先はこちら:阿部守商店 ECサイト


文:谷尻純子

【季節の手ざわり】五感で愉しむ、日本の夏

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

本日よりスタートする「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けいたします。
小さな音色や先人の声に耳を澄まし、暮らしを整える、そんな時間をご一緒できればと思います。

さて、水無月、じめじめとした梅雨の合間にのぞく晴れ間に、初夏の気配を感じる時期。
五感で愉しむ、心地好い日本の夏の準備、はじめてみませんか。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


プラットフォーム

ラヂオは7つのプラットフォームで配信しています。
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日本の夏を五感で愉しむ暮らしの道具

①癒やしを感じる「風鈴」の音色

→中川政七商店の風鈴ラインアップはこちら

②自然に学ぶ先人の眼差しから生まれた「蚊取り線香」

→関連商品はこちら

お便りを募集しています

番組内でご紹介させていただく、リスナーの皆さまからの投稿を募集しています。
「わたしの心地好い暮らしをつくる道具」をテーマに、お気に入りのアイテムや、しつらいの風景、意外な使いかたなど、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いをお聞かせください。


次回「季節の手ざわり」は、7月15日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信予定です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
初回は7月1日(金)配信予定です。

お楽しみに。

【中川政七商店ラヂオ】職人さんへの質問を募集しています

1月からスタートした「中川政七商店ラヂオ」
第1シーズンを終えてしばらくおやすみしていましたが、次回6月末にスタート予定の第2シーズンに向けてコンテンツを準備中です。

そこで、工芸のものづくりに興味がある方、中川政七商店の商品を愛用いただいている方に、番組で紹介させていただく質問や感想などの投稿を募集しています。

次回からの配信では、中川政七商店と一緒にものづくりをしている日本全国の職人さんの製造現場へ伺い「工芸のうんちく」をお届けする番組をスタートします。

2回目の訪問先は、注染手ぬぐいの産地、大阪府堺市。
3回目の訪問先は、有田焼の産地、佐賀県有田町。

注染手ぬぐい、有田焼にまつわる質問や感想は、こちらからお気軽にお寄せください。

① 注染手ぬぐいの産地、大阪府堺市へ

2回目配信予定の訪問先は、大阪府堺市毛穴町。
注染手ぬぐいのつくり手である株式会社ナカニの中尾弘基さんにご案内いただき、製造現場を見学させていただきます。

注染は糸自体を染めるので、表・裏がないのが最大の特徴です。
色褪せしにくく、生地の糸自体を染めることで通気性が保たれ、柔らかいため、手ぬぐいや浴衣に用いられています。
中川政七商店で販売している手ぬぐいも、裏表がないものは注染の技法でできたものです。

株式会社ナカニは、古くから手ぬぐいの産地として知られる大阪府堺市毛穴町で、昭和41年創業。注染の技法を最大限活かしながら、新たな個性をかけあわせた商品をお届けしています。

これからの季節は手ぬぐいが活躍するシーズンでもあります。
注染手ぬぐいにまつわる質問や、自分が持っている商品についての愛着など、
お聞きしたいこと、お伝えしたいことがあれば、お気軽にコメントをお寄せください。
6月21日(火)までの募集となります。

②有田焼の産地、佐賀県有田町へ

泉山磁石場
まるで特撮の舞台。日本磁器が産声を上げた場所

第3回配信予定の訪問先は、佐賀県有田町。
有田焼のつくり手である幸楽窯の徳永隆信さんにご案内いただき、製造現場を見学させていただきます。

華やかな絵付けの伝統的な有田焼 (有田観光協会提供)
華やかな絵付けの伝統的な有田焼 (有田観光協会提供)

有田焼と言えば、日本で初めて磁器がつくられた産地。
透き通るように白い磁肌と呉須 (藍色の顔料) で描いた染付け、ガラス質の上絵具 (赤、緑、黄、紫、青) を用いた華やかな赤絵が特徴です。耐久性が高く、美術品から日用品まで様々なものが生産されています。400年の歴史の中で、様々な様式が誕生しました。

中川政七商店とは、これまで「金鳥の渦巻蓋物」や「有田焼の立雛飾り」、「有田焼の武者飾り」を一緒につくってきました。

有田焼にまつわる質問や、自分が持っている商品についての愛着など、
お聞きしたいこと、お伝えしたいことがあれば、お気軽にコメントをお寄せください。
7月10日(日)までの募集となります。

これまでの「中川政七商店ラヂオ」はこちらからご視聴いただけます。

今後の配信もお楽しみに。

金鳥の夏は、なぜ「日本の夏」なのか

「金鳥の渦巻」を見て、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?

夏のうだるような暑さと、蝉の鳴き声と、氷をめいっぱいいれて結露したグラスと、なんだか落ち着く蚊取り線香の香りと…。
私は、そんなどこにでもあるようなリアルな夏の一日が鮮やかに思い浮かびます。

「でもね、海外の人はチキンスープですか?って言うんですよ」

「金鳥の渦巻」を見て夏を思うこの現象、きわめて日本ローカルな話なのだと言います。
冷静にパッケージを見てみると、たしかに。そこには、蚊取り線香や夏らしいモチーフが描かれているわけではありません。

「金鳥の夏」は、なぜ「日本の夏」なのか。
今日は、「金鳥の渦巻」が日本の夏の風物詩になるまでのお話をお届けします。

上山専務登場。こちらの特大キンチョールは、スリム版キンチョールの発売にあわせて制作したCMに登場しているものだそうです。

毎年夏の恒例になりつつあるコラボレーションのご縁もあり、
KINCHOでおなじみ、大日本除虫菊株式会社の専務取締役 上山久史さんを訪ねました。

海外では「チキンスープ?」と言われるパッケージ

「海外の方にこのパッケージを見せると、チキンスープですか?って言われるんですよ。
なるほどなあ、蚊取り線香って分かる人がそもそも変だよなぁって。鶏が前面にいて、蚊取り線香のイラストも写真も一切入ってませんから」

そんな「金鳥の渦巻」が生まれたのは、1902年(明治35年)のこと。かれこれ120年前までさかのぼります。

そもそも蚊取り線香は、日本ローカルなもの

「蚊取り線香はもともと、我が社の創業者である上山英一郎がつくったものなんです。

和歌山県有田市のみかん農家の生まれなんですが、
ある時、みかんの苗を持ち帰ろうと来日していたアメリカの植物輸入会社の社長さんを、恩師である福沢諭吉先生から紹介されて農園に招待し、みかんの苗を渡したようで。
そのお礼としていただいたのが、除虫菊の種でした」

マーガレットに似た小さな白い花を咲かせる除虫菊。可愛らしい見た目とは裏腹に、花の部分にピレトリンという殺虫成分が含まれています。

除虫菊は、元々ユーゴスラビア(現セルビア共和国)が原産地。北海道と同じくらいの緯度に位置する寒い地域なので、蚊には困っておらず、ノミ取り粉として使われていたそうです。

「蒸し暑い日本では、ノミよりももっと悩まされる虫がいて。それが蚊なんですけども。
この殺虫成分、蚊にも聞くんじゃないかって、実際に火をくべると蚊がぽたぽたと落ちていったそうなんです」

日本ならではの困りごとから、仏壇線香に除虫菊を練りこんで、蚊取り線香が誕生しました。
今でこそアジアの蒸し暑い地域に広まっているものの、蚊取り線香は日本生まれ日本育ちの商品です。

ところで、蚊取り線香を知らない方が見ると、チキンスープと間違われるほど“鶏”が主張するこのデザイン。一体どのようにして生まれてきたのでしょうか。

「鶏口と為るも牛後と為る勿れ」の信条から生まれた、鶏のロゴマーク

世界初の商品として蚊取り線香を開発した、創業者の上山英一郎さん。
パイオニア精神をもち、「鶏口と為るも牛後と為る勿れ」ということわざを信条としていたそうです。

「2500年くらい前に、秦が中国統一しようとした時代にできたことわざなんですよ。
反秦同盟をつくっていった諸国を表した言葉で、
強い勢力のあるものにつき従うより、たとえ大きくなくても独立したものの頭でいようという意味がこめられています。

そんな信条に習い、会社が大きくなかろうと、先駆者として“鶏口”になることを目指して、このマークがつくられました」

蚊取り線香以外にも、日本初のエアゾールである「キンチョール」や吊るすだけで虫を寄せ付けない「虫コナーズ」など、画期的な商品を世に生み出してきた歴史を見れば、
パイオニア精神をもってものづくりへと向き合う姿勢がうかがえます。

「蚊取り線香のパッケージは、金鳥が除虫菊という殺虫成分をたくさん使ってつくった商品ですよっていうのが分かるように、つくっていったんだと思いますよ。
100年以上も前のことなんで正確に資料が残ってるわけじゃないんですが。

手前どもがパイオニアとして蚊取り線香をつくってるので、このパッケージを見ると、頭の中で渦巻が見えるという製品なんです」

なるほど、たしかにこのパッケージ=蚊取り線香だと刷り込まれています。

では、そんな「金鳥の渦巻」が日本の夏を背負ったのは、いつ頃のことなのでしょうか。

「金鳥の夏、日本の夏」は、1作目のCMの不出来から生まれた

CMでおなじみの、”KINCHO”の仕掛け花火

「いまとなってはお馴染みのキャッチコピーが生まれたのは、CMを放映しだしてからなので、50年程前のことですね。しかも、1作目にはないんです。

実は初めてCMをつくる際、最初に3年分撮ってたんですが、1作目の反応がいまいちだったんです。
このままじゃまずい、インパクトを出すためにキャッチフレーズを考えようってなって。
2作目から追加で“金鳥の夏、日本の夏”というキャッチコピーをいれたんです。それが意外と受けました」

こちらもCMでおなじみのキャッチコピー「金鳥の夏、日本の夏。」

「でも私が小さい頃はいじめられたんですよ。いち企業が日本の夏を背負っていいのかって。いまではもう、50年以上言ってるから誰も怒れないんですけど。笑」

金鳥と言えば、蚊取り線香で日本の夏。日本には蚊がいっぱいいるから、その蚊に効くものを世界で初めてつくった金鳥の蚊取り線香。

そんな納得感が反響を呼び、時間をかけて定着していったようです。

「金鳥の渦巻」は変わりなく。

「商品は時代を追うごとに進化していますが、パッケージデザインは、120年の歴史の中でほとんど変化していません。

ロゴマークは実は7回変わっているのですが、それも変遷というか、初期に試行錯誤していた時期があったというだけです。120年の中の20年くらい。その後はほとんど変わっていません」

復刻したパッケージの変遷。真ん中のシンプルなものは戦時中の統制下でのデザイン

たしかに、パッケージの変遷を見せていただくと、パッケージの要素には大きな変更がありません。

「大半の方が生まれる前からこの姿なんですよ。だから、安定感というか、あるのが当たり前。空気のような存在になりつつあるんじゃないかと思っています。

金鳥の夏が日本の夏になったのは、時間軸の話をなしには語れないです。50年100年の時間の中で、皆さんの頭の中で日本の夏になっていったんだと思います」

大日本除虫菊で保有している最古の現品が、1919年(大正8年)のもの。この時期にはいまのものとほぼ変わりがないと言います。

今後も変わりないですか?と聞くと、
「ええ、もちろん。大きな変更をする気はまったくありません」
と、安心のお返事。

生まれてからずっと当たり前に生活の中にある、金鳥の渦巻。
これからも変わらず、日本の夏の風物詩としてあり続けてくれるようです。


<関連特集>
そんな日本の夏の風物詩を、自宅で愉しめるコラボレーション商品が、本日6月1日より発売。
日本の夏を、より夏らしく愉しんでみませんか。

<関連の読みもの>
夏によく見るあの”缶”が有田焼に?再現することで見えてきた工芸の面白さ

→読みものはこちら

写真:直江泰治
文:上田恵理子

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第五話 家事問屋の「下ごしらえボール」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀 薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、家事問屋の「下ごしらえボール」についてのお話です。

料理のしたごしらえには欠かせないボール。野菜を洗う小さなものから、お肉を捏ねたりパスタをあえる大きなものまでメーカーによってもサイズはさまざま。だけど、調味料を混ぜたりドレッシングをつくる時には「少し大きいかも……」なんて思ってしまうこともありますよね。
そんな時に役立つのが家事問屋の「下ごしらえボール」。両手で抱える大きなサイズはもちろん、てのひらサイズのちいさなものまでサイズ展開はなんと7種類!

今回は有賀 薫さんに「下ごしらえボール 11」と「下ごしらえボール 13」の使い心地を語っていただきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作りはじめて10年間3,500日以上続いたスープをもとに、現代家庭に合うスープレシピを発信。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

小さいから取り回しやすい

今日は家事問屋さんの「下ごしらえボール」を使って、和えものをつくってみました。ボールのなかで衣をつくって、ほうれん草など野菜をいれて合えれば完成。大きいサイズは2人前ぐらいをつくるのにちょうど良いですね。お弁当のおかずなどもサッと完成します。

小さいサイズは内側にメモリがついているので、計量ができてとても便利。計量カップを使わず、ボールだけで調味料を混ぜたり、ドレッシングを作ることができるのもいいですね。

調理道具は「大は小をかねない」

調理道具は生活スタイルが変わることで、使いやすいサイズも変わってくると考えています。定番のサイズ、というものがありますが一人暮らしには少し大きかったり、夫婦2人分の料理をつくるには小さいサイズのものの方が出番が増えてきます。

調理道具ってほとんどのものは「大は小をかねない」と思うのです。

その点、家事問屋さんのボールはこの絶妙なサイズ感が魅力的。小さいので取り回しもしやすいですし、ボールのふちがフラットで軽いのでとっても洗いやすい。また、形もすこし独特で底面がフラットで安定するので安心して使えます。

5回にわたる有賀薫さんへのインタビューも本記事で最終回。お話をお伺いしながら、「調理道具は大は小をかねない」という話になるほど、と聞き入ってしまいました。
使い心地のよい道具を使えば、キッチンに立って料理をつくるのがもっと楽しくなるはず。この機会に、我が家の調理道具も見直してみたいと思います。

<掲載商品>
家事問屋 下ごしらえボール 11
家事問屋 下ごしらえボール 13

<関連特集>

<関連記事>
有賀薫さんインタビュー記事はこちら

文:アズマヒロエ

スープ作家・有賀薫さんに聞いた推しの逸品。第四話 家事問屋の「お玉」と「味見スプーン」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。中川政七商店が扱う暮らしの道具の中から、「語りたくなる推しの逸品」を教えていただきました。

今回ご紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
5つの商品を推し認定していただきました。

今日は、手馴染みが良く、料理中の心強いおともになる「お玉」と「味見スプーン」についてのお話です。

料理をつくるのに欠かせない道具たち。鍋やフライパン、うつわなどは好みのものを揃えているけれど、菜箸やお玉などは、はじめに買ったものをそのまま使い続けている人も多いのではないのでしょうか?
使う出番が多いからこそ「ちょっと不便」を抱えたままではなく、「使っていて気持ちいい」ものを選ぶべき。そう語ってくれたのはスープ作家の有賀薫さん。
キッチンにあるとつい手にとってしまうような便利アイテム、家事問屋の「お玉」と「味見スプーン」の魅力を語っていただきました。

スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作りはじめて10年間3,500日以上続いたスープをもとに、現代家庭に合うスープレシピを発信。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。

お玉は「大きすぎないもの」を選ぶこと

長年スープづくりをして、たくさんのお玉を触ってきたから分かることがあります。それは大きすぎないものを選ぶことと、実際に触ってみると気づくことがあると言うことです。

見た目が良くても、持って、すくってという動きをしないと分からないことが多いんです。ちょっとしたサイズでも使いやすさは変わりますし、手持ちの鍋との相性もありますね。そして、鍋に対してぴったりのサイズでもうつわに盛り付ける時にぶつかってしまったり、下手したらはみ出て溢してしまったり、ということも……。

その点、家事問屋さんの「お玉」はとても使いやすいサイズだと思います。とくに、この「浅さ」がポイント。

様々なお椀でシミュレーションしてくださいました

カーブが浅いので、さまざまな大きさの具材が盛り付けやすいと思います。小さなお豆腐が入ったお味噌汁はもちろん、じゃがいものような大きな根菜、豆腐の角を崩さずきれいにきれいに盛り付けたい! というときも便利。滑り込ませて、そっと置くのもこれひとつで出来ます。

そして家事問屋の「おたま」の素晴らしいところは、手持ちの切り口。丁寧に丸く削られているので、なめらかで持ちやすいのです。グリップがなくすっきりしたデザインなので、場所をとらず収納しやすいのも良いですね。

あると思わず手が伸びる「味見スプーン」

家事問屋さんは「味見スプーン」もいいですよ。スープをちょっと味見をしたい、調味料を混ぜたいな、という時など出番が多いです。お尻の方はフォークのようになっているので、根菜が煮えているか確認するときにもさっと取り出して使えますね。

味見用のスプーンって、使った後の置き場所をどうするかの問題があると思います。大きいスプーンを使うと置いた場所が濡れたり汚れてしまいますよね。そんな時に登場するのが「味見スプーン」。スプーンのサイズがこぶりで絶妙な角度なので、キッチンまわりを汚さないのがとっても嬉しいです。

キッチンに立つ皆さんは、調理道具のちょっとしたストレスに意外と気づいてないと思うんです。だからこそ、自分にぴったり合うようなものに出会えると幸せですよね。家事って「ちょっとしたことの積み重ね」だからこそ、使っていて気持ちいいことってとても大事だと思います。

もちろん私も買った後に「失敗した!」ということもあるけれど、だからこそ出会えたときに感動するんです。ぜひ皆さんも素敵な道具を見つけてみてください。

次回は、家事問屋の「下ごしらえボール」についてお話いただきます。
お楽しみに。

<掲載商品>
お玉 中 サテン
家事問屋 味見スプーン

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有賀薫さんインタビュー記事はこちら


文:アズマヒロエ