細萱久美が選ぶ、生活と工芸を知る本棚『堀井和子 和のアルファベットスタイル 日本の器と北欧のデザイン』

こんにちは。中川政七商店バイヤーの細萱です。

生活と工芸にまつわる本を紹介する連載の五冊目です。今回は、個人的にかなり想い入れのある本をご紹介します。

堀井和子さんの『和のアルファベットスタイル』というエッセイで、器やインテリアの綺麗な写真が添えられています。本の紹介をする前に、まずは堀井さんのことを。

堀井さんの肩書きは一言に表せないのですが、料理スタイリストに始まり、食や料理の本を多数出版されたり、「粉料理研究家」という時期もありました。

以降もインテリア、雑貨、暮らし、国内外の旅などにまつわる本も数多く執筆。現在は、ご主人と「1丁目ほりい事務所」を構え、食器やテキスタイルをデザインしたり、アートやイラストなどの企画展をされたりと、幅広い活躍をされています。

精力的に堀井さんが出版されていたのはかれこれ30年前くらいなので、現在40~50代の雑貨好き女性はご存知のことでしょう。熱烈なファンも多く、私もまさにその一人。著書は全て持っていて、今後も手放すことは無さそうです。

なぜそこまで堀井さんに惹かれるのだろう?

わたしを離さない理由はいくつかありますが、センスやスタイルが誰とも違っていて、オリジナルを貫いていること。そしてそのスタイルが流行などに左右されず、ブレのないことが大きいのです。

その大きな特徴は、本のデザインやイラスト、写真まで全てご自身で手掛け、パーソナルブランディングがしっかりしていることです。そこまでトータルに手掛ける方は、今でも少ないと思います。

初めて読んだのはパンやお菓子の本ですが、単なるレシピ本ではなく、そのアートな感じに「なんだこのおしゃれな本は!」と、大学生の私にはものすごい衝撃でした。旅の本に書かれていたアメリカのバークレーに憧れて、卒業旅行で訪ねるほどでした。

それまで、料理にも暮らしのことにもさほど興味のなかった私ですが、食や身の回りのものに一気に興味が沸いたのも堀井さんの影響が何よりも大きく、今の仕事にもつながっている気がします。

16年前の本なのに新鮮に読める、「好き」を磨くヒントがいっぱい

『和のアルファベットスタイル』には、堀井さんの持ち物である、和と北欧の食器やインテリアに加え、缶や紙ナプキンのコレクション、それらに関する本も紹介されています。発行は2001年と16年も前ですが、今でも新鮮な感覚で見られるのが凄いところ。

そういえば、北欧ブームが起きたのも、映画の「かもめ食堂」の公開や、イケアの日本進出の2006年前後でしょうか。北欧と日本のモノに親和性があることを知ったのも堀井さんからかもしれません。

本では東北地方を紹介したページもあり、中川政七商店でもお取引のある「釜定」さんも取り上げられています。釜定の鉄瓶や鉄のフライパンはモダンで、北欧やフランスの鋳物にも通じるデザインを感じます。

他にも工芸の店の「光原社」や、ざるやかごの「ござく森久商店」の存在もこの本で知り、美しい手しごとに一気に興味を抱きました。その後、東北を旅したのは言うまでもなく、盛岡には何度か足を運んでいます。

紹介されているコレクションや本は、デザインがどれも素敵です。料理、アート、デザイン、建築、工芸、絵本などのジャンルにおいて、装丁やレイアウトの美しい、楽しい本がお好きとのこと。私も「見せるため為の本」を飾っていますが、それも堀井さんに本の美しさ、楽しさを教わったからなのだと思います。

堀井さんからもらった影響のせいでしょうか、いまでも缶が欲しくてお菓子を買うことも少なくないですし、風合いの良い紙は捨てられずに取ってあります。お金や希少性ではない自分だけの宝物ってあるなと共感しています。

たとえば、「骨董屋や、美術館の展示を前に、どれか一品を買えるとしたらと想像して、いつも最後に『これにする!』」と決めるのだとか。そうすると、「すごいと思うもの」と「好きだと感じるもの」が一致するわけではないことに気付けるのだとか。なにも国宝や重要文化財だから自分の気持ちが動くのではありませんからね。

そう言えば、自然とそのような見方をしている自分にふと気付き、ようやく「好き」にブレが無くなってきたように思え、少し嬉しくなりました。

<今回ご紹介した書籍>
『和のアルファベットスタイル 日本の器と北欧のデザイン』
堀井和子/ 文化出版局

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。


文:細萱久美
写真:杉浦葉子

RENEW × 大日本市鯖江博覧会2017 公式アプリ「さんちの手帖」の使い方

RENEW × 大日本市鯖江博覧会とは?

2017年10月12日(木)~15日(日)の4日間に渡って行われる工芸産地のイベント。

「RENEW」は、普段は見ることのできない工房が特別に開放され、ものづくりの現場を見学・体験できる、体感型マーケット。2015年から始まり、年に一度福井県鯖江市河和田地区で開催されています。<br/ ><br/ >「大日本市博覧会」は、「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げる中川政七商店が、100年後の「工芸大国・日本」を目指し2016年より開始した産地巡礼型の工芸の祭典。

その両者の想いが合致し、2017年は「RENEW×大日本市鯖江博覧会」が開催されることになりました。

特設ページはこちらからどうぞ!

全80ヶ所の 見どころがアプリの中に

工房、ショップなどの見どころめぐりのガイドに欠かせないのが、公式ガイドアプリ「さんちの手帖」。80ヶ所すべての見どころ情報をアプリで見ることができます。

 

app store さんちの手帖
google play さんちの手帖

 

ここからは、RENEW × 大日本市鯖江博覧会を120%楽しむアプリの使い方をご紹介。

見どころめぐりを、もっと楽しく便利に

地図を開けば、どの場所にどんな見どころがあるのか一目瞭然。
位置情報をオンにすると、自分の今いる位置から近いスポットを確認できます。

 

旅印を集めてプレゼントをもらおう!

すべての見どころが、「旅印」の獲得ポイント。アプリを使って旅印を集めると、集めた数に応じて会場限定のプレゼントがもらえます。

アプリをダウンロードして各見どころを訪ねると、「旅印」を獲得できることを知らせる通知が届きます。(※事前にアプリ画面から通知の許可が必要です)
イベント中、集めた「旅印」の数に応じて、RENEW × 大日本市鯖江博覧会限定のプレゼントがもらえます。

<プレゼントその1:旅印80個>
TOKYOBIKE 漆塗りエディション・1名様

80の見どころを周り旅印を集めてくださった方には抽選で、「TOKYOBIKE 漆塗りエディション」をプレゼント!人気の自転車ブランド「TOKYOBIKE(トーキョーバイク)」と鯖江市の越前漆器の老舗「漆琳堂」がコラボレーションした、漆塗りのスペシャル仕様となっております。

トーキョーバイク・漆琳堂(しつりんどう)・中川政七商店 鯖江博覧会×renew(リニュー)
TOKYOBIKE漆塗りエディション 抽選1名様

 

<プレゼントその2: 旅印30個>
CAP SABA(tsugi) / 漆椀(お椀や うちだ)

福井県鯖江市を拠点とするデザイン事務所 TSUGI(ツギ)による「めがねのまち、鯖江」をモチーフとしたキャップと、同じく鯖江市を拠点とする1793年(寛永5年)創業の老舗・漆琳堂が手がける「おわんや うちだ」の漆椀をプレゼント。<br/ >なかなか手に入らないプロダクトたちをこの機会にぜひ。

RENEW × 大日本市鯖江博覧会
SABA CAP(tsugi)と漆椀(お椀や うちだ )各15名様

 

<プレゼントその3:旅印5個>
RENEW × 大日本市鯖江博覧会 特製ふきん(非売品)

「さんちの手帖」を運営する中川政七商店から、創業地・奈良特産の蚊帳生地を生かした人気のふきんをプレゼント。旅印5つなら、意外と近くで集まりますよ!

非売品蚊帳ふきん RENEW× 大日本市鯖江博覧会
RENEW × 大日本市博覧会限定・さんちの手帖ふきん

※ プレゼントの交換場所は、「うるしの里会館」です。
※ RENEW×大日本市博覧会の期間(2017年10月12日~15日)以外に集められた旅印はプレゼント交換の対象にはなりません。

 

「さんちの手帖の使い方」

ここからは、具体的なアプリの使い方をご案内していきます。

 

 

<RENEW × 大日本市鯖江博覧会 特設ページへ>

アプリのTOPページに設置された、「RENEW × 大日本市鯖江博覧会 」特設バナーをタップしてください

RENEW × 大日本市鯖江博覧会

 

<見どころを探す>

「見どころ」タブから、80ヶ所すべての見どころ情報を見ることができます

RENEW ×大日本市博覧会

イベントを楽しむほど、豪華プレゼントに1歩近づきます。ぜひご参加ください!

 

<「旅印」を取得する>

各見どころに入ると、お知らせが届きます。お知らせをタップして旅印を取得しましょう

RENEW × 大日本市鯖江博覧会

通知を逃してしまったら・・

通知が消えてしまっても、アプリメニューの「訪問した見どころ」からも旅印を取得することができます

RENEW ×大日本市鯖江博覧会 中川政七商店
通知が消えてしまっても、「訪問した見どころ」からも旅印を取得することができます

 

<「旅印」を確認する>

獲得した「旅印」は、下のメニューの「旅印帖」で確認できます

RENEW × 大日本市鯖江博覧会

<Q & A>

Q:プレゼントはどこでもらえますか?
→ A.さんちブース(場所:うるしの里会館)へお越しください

 

Q:近くにいるのに、旅印の通知がきません
→ A.位置情報サービスはオンになっていますか?また通知を許可していますか?
(左上メニューにある「通知設定」・「位置情報設定」をご確認ください)

 

Q:通知設定も位置情報設定もオンになっていますが、見どころにきても通知がきません
→ A.一度、該当の見どころから100m以上離れて再度近づいてみてください

 

Q:使い方がわからないので質問をしたいです
→ A.さんちブース(場所:うるしの里会館)へお越しください

 

 

「さんちの手帖」をダウンロード

app store さんちの手帖
google play さんちの手帖

 

デザインのゼロ地点 第9回:スウェット

こんにちは。THEの米津雄介と申します。

THE(ザ)は、ものづくりの会社です。漆のお椀から電動自転車まで、あらゆる分野の商品をそのジャンルの専業メーカーと共同開発しています。

例えば、THE ジーンズといえば多くの人がLevi’s 501を連想するはずです。「THE〇〇=これぞ〇〇」といった、そのジャンルのど真ん中に位置する製品を探求しています。

ここでいう「ど真ん中」とは、様々なデザインの製品があるなかで、それらを選ぶときに基準となるべきものです。それがあることで他の製品も進化していくようなゼロ地点から、本来在るべきスタンダードはどこなのか?を考えています。

連載企画「デザインのゼロ地点」、9回目のお題は、「スウェット」。

スウェットと聞いて、多くの人はトレーナーやパーカーを思い浮かべるのではないでしょうか。スウェットは生地の名称なので、正しくはスウェットシャツやスウェットパーカーと呼ぶようですが、今回はその生地と製品について、ゼロ地点を探ってみたいと思います。

そもそもスウェット生地ってどんなもの?

生地メーカーに確認して調べてみると「大きな特徴は、生地が二層構造になっていること。外側はジャージーで、内側にはタオルのようなパイル織りの生地を組み合わせたもの」という答えをいただきました。

つまり、ジャージーの伸縮性と、タオルの吸汗性、そしてそれらを組み合わせた生地の厚みによって生まれる防寒性などが特徴といえるようです。

材質は綿100パーセントで構成されたものから、吸汗性だけでなく速乾性を考慮したポリエステル混紡のもの(ポリエステル65パーセント、綿35パーセントが多い)、繊維にポリウレタンを1~2パーセント程度混紡して伸縮性をより向上させたものなど様々な種類があります。

スウェット生地のアップ

説明を聞いているとなんだかすごそうです。

 

内側のパイル織りの話は「なんとなくタオルのような感じになっていたなぁ」と想像ができたのですが、ジャージーとの二層構造での組み合わせ、という部分が話だけではいまいち理解できず、そもそものジャージー素材について調べてみることに。そして、手元にあるスウェット生地を分解してみました。

ジャージーとはニット (編み物) の一種で、ジャージー編みと呼ばれるもの。1本または数本の糸を輪の形にしたループの中に次のループを通すことを繰り返し、布状に編む編み方です。

実は日本には編むという伝統はあまりなく、輸入された時期も遅いそうです。17世紀後半 (1673年–1704年頃) に、スペインやポルトガルから靴下などの形で編地がもたらされました。

その際にスペイン語やポルトガル語で「靴下」を意味する「メディアス」 (medias) や「メイアシュ」 (meias) から、なまって変わった「メリヤス」が、日本では編み物全般を指すようになったとのこと。

そのため、製造の現場ではジャージーではなくメリヤスと呼ばれることも多いそうです。

ジャージー及びメリヤスの編み目の構造

これを手作業ではなく機械で1本の糸から作るというだけでも驚きですが、スウェット生地はさらにこれの裏側にタオルのようなパイル織りが組み合わさっているというのです。

細かく見てみるために、スウェット生地の裏側のパイルをピンセットで引っ張ってみると、構造がわかりやすく見えてきました。

ジャージーの裏側から細いグレーの糸でパイル用の白い糸を等間隔に留めているのが見えます。この細い糸がしっかり留まっているから、表地のジャージーが伸縮してもパイルの長さがずれたりしないのでしょう。驚きです。

いつも当たり前に着ている生地ですが、実はものすごい技術が隠されていることを知りました。

スウェットの歴史に欠かせない、世界的なメーカー

そのスウェット生地の歴史を語る上で欠かせないのは、アメリカのニッティングメーカーであったラッセル。

ラッセルは1902年、アラバマ州アレキサンダー・シティに「ラッセル・マニュファクチャリング・カンパニー」としてベンジャミン・ラッセル氏によって設立されたメーカーです。

このラッセル社が、1920年代にウールで作られていたフットボール用のシャツをコットン素材に改良し、着心地の改善を図ったことがスウェットの原点であると言われています。

当時のラッセル社。手前がベンジャミン・ラッセル氏

その後、1930年代から生地へのプリント技術を背景にハイスクールやカレッジのスポーツユニフォームとして定着していきます。過去にはNFL (ナショナルフットボールリーグ) 全28チームのほとんどにユニフォームや練習着を提供していたり、全米メジャーリーグのオフィシャルサプライヤーにもなっています (1992〜2004) 。

russell athletic crewneck sweatshirt

ラッセルは1940~60年代のスウェット隆盛期には吊り編み機と呼ばれる機械で作られていました。吊り編み機は給糸口と呼ばれる糸の供給口が1~2セットしかなく、1台の機械で1時間に1メートルしか編むことができない非効率な機械でした。

しかし、高度経済成長を迎えるともにシンカー編み機という名の次世代の編み機が普及します。シンカー編み機は給糸口が24セット、つまり単純計算で最大24倍の生産効率があります。1時間に24メートルもの長さを編むことができるのです。

吊り編み機 写真:カネキチ工業株式会社
シンカー編み機 写真:カネキチ工業株式会社

生産効率も一段と上がり、スウェットは世界中に普及します。日本でも数回にわたってブームと言われるような時代がありました。現在ではファストファッションからハイブランドまで、数多くのメーカーやブランドから発売されるベーシックアイテムになっています。

お手頃価格でベーシックな形状というイメージのある無印良品。フードの平紐や、少し暗めのジッパーの色など、一見ベーシックに見えながら無印良品っぽさがある気がします

愛される理由は、人の温もりを想起させる生地

1920~30年代にかけて生まれ、100年近くも世界中の人々から愛されているスウェット。なぜこんなにも長い期間、人々に愛されるのでしょうか?

精巧に並んだ編み目のパターンや、生地自体の肌触りの良さ、そしてどこか人の温もりのようなものを感じさせるディティールに、その答えがあるような気がします。それらの要素が人々を魅了してきたのだと仮定すると、やっぱりスウェットのデザインを考えた時、真っ先にフォーカスしたいのは生地ではないでしょうか。

実は、前述の高度経済成長期に世の中から消えてしまった吊り編み機には、糸や生地に負担をかけずにゆったりと織り込んでいくことで、柔かく耐久性がある生地を作れるメリットがありました。

1940~60年代に作られたスウェットは、今ではヴィンテージとして愛され、50年以上前の製品が古着としてセカンドサイクルされていることが、吊り編み生地の耐久性や品質の良さを物語っています。

そんな吊り編み生地での代表格といえばループウィラー。日本発のスウェット生地専門ブランドで、吊り編みの生地を用いた数多くのアイテムを手掛けています。

ナイキを筆頭に、様々なブランドとのコラボ商品も豊富で、世界中で人気を博します。特徴的なロゴやネームの取り付け方法は好みの分かれるところですが、良質なスタンダードとしての筆頭ではないでしょうか。

吊り編みの生地は、1台の機械で1時間に1メートルしか編めないという生産効率による供給不足がネックですが、肌触りはもちろん、洗濯を繰り返してもその良質な状態が続く耐久性は目を見張るものがあります。

僕たちTHEも、吊り編み生地の可能性の探求を基軸に、新しいシリーズを作りました。

現在、日本の和歌山県に数百台しか残っていないこの生産設備を残していくことと同時に、それが発展していくことで、良質な製品が当たり前になること。

そして、吊り編みの生地がデザインのゼロ地点としてスウェットを語る基準値になること。

そんなことが実現できたら、という思いで作ったのが「THE SWEAT」シリーズです。

THE Sweat Zip up Hoodie (GRAY)
THE Sweat Crew neck Pullover (NAVY)

THE Sweat Crew neck PulloverとTHE Sweat Zip up Hoodieの吊り編み生地はアメリカンピマコットンを用い、その生地をつくる糸も特製です。素材を無理に引っ張らずに自然な状態を保つことで、柔軟性を持たせた糸を使っています。やや専門的に言うと、紡績段階で撚糸による斜行を極力なくすようにしたのです。

縫製とパターンの研究は、創業60年のカットソーメーカー、丸和繊維工業株式会社。肌着から事業をスタートし、身体の動きや姿勢に合わせた独自のパターン研究と縫製技術が評価され、2010年には同社の製品が宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙船内被服にも選定されています。

その独自研究に基づいた衣服設計と縫製技術を応用し、見た目はベーシックな形状でありながら、動いても着崩れが起きない最高の着心地を目指しました。

普遍的な形状に、いつまでも風合いの変わらない生地。そこに少しだけ機能が進化したTHEらしいプルオーバーとパーカーが完成しました。

2017年10月7日からTHE SHOP TOKYO (KITTE) とTHE SHOP KYOTO (藤井大丸) の店頭にて先行発売をしていますので、ぜひ触ってみていただけたら嬉しいです。
http://the-web.co.jp/

デザインのゼロ地点・「スウェット」編、いかがでしたでしょうか?

次回もまた身近な製品を題材にゼロ地点を探ってみたいと思います。それではまた来月、よろしくお願い致します。

<写真提供>
FTLジャパン株式会社
カネキチ工業株式会社
(掲載順)

米津雄介
プロダクトマネージャー / 経営者
THE株式会社 代表取締役
http://the-web.co.jp
大学卒業後、プラス株式会社にて文房具の商品開発とマーケティングに従事。
2012年にプロダクトマネージャーとしてTHEに参画し、全国のメーカーを回りながら、商品開発・流通施策・生産管理・品質管理などプロダクトマネジメント全般と事業計画を担当。
2015年3月に代表取締役社長に就任。共著に「デザインの誤解」(祥伝社)。


文:米津雄介

燕三条 工場の祭典 公式アプリ「さんちの手帖」の使い方

燕三条 工場の祭典とは?

2017年10月5日(木)~8日 (日)の4日間にわたり日本を代表するものづくりの産地、新潟県燕三条地域と、その周辺で開催されている「燕三条 工場 (こうば) の祭典」。
「開け、KOUBA!」を合言葉に、普段はなかなか目にできない工場が開放され、誰でもものづくりの現場を見学できるイベントです。地元の食・農に触れられる「耕場」、土地のお土産が手に入る「購場」も合わせたKOUBAの数は、全103箇所にものぼります。

 

全103ヶ所の KOUBAがアプリの中に

「KOUBA(こうば)」めぐりのガイドに欠かせないのが、公式ガイドアプリ「さんちの手帖」。

103ヶ所すべての「KOUBA」情報をアプリで見ることができます。

app store さんちの手帖
google play さんちの手帖

 

KOUBAめぐりを、もっと楽しく便利に

地図を開けば、どの場所にどんな「KOUBA」があるのか一目瞭然。
位置情報をオンにすると、自分の今いる位置から近いスポットを確認できます。

工場の祭典公式アプリ・さんちの手帖の使い方

 

旅印を集めてプレゼントをもらおう!

すべての「KOUBA」が、「旅印」の獲得ポイント。アプリを使って旅印を集めると、集めた数に応じて会場限定のプレゼントがもらえます。

燕三条工場の祭典公式アプリ さんちの手帖・旅印

アプリをダウンロードして「KOUBA」へ入ると、「旅印」を獲得できることを知らせる通知が届きます。(※ 通知の許可が必要です)
イベント中、すべての「KOUBA」で獲得できる「旅印」を集めると、燕三条 工場の祭典限定のプレゼントがもらえます。

<プレゼントその1:旅印103個>
オリジナル名入れ金型・1名様

103の見どころを制覇し、全旅印をコンプリートした方には、なめらかに文字が浮かび上がるオリジナル名入れ金型をプレゼント!精度の高い金型作りの技術を誇る武田金型製作所さん/MGNETさんに、世界に一つだけのオブジェのような金型を作っていただけます。

工場の祭典・マグネット・さんちの手帖
好きな文字でオリジナル金型を作れます

文字が浮かび上がり、消える様子はマジックのようです

 

<プレゼントその2: 旅印10個>
庖丁工房タダフサ製 まな板

パン切り包丁などで一躍人気となった三条の庖丁屋さんが、庖丁の柄に使われる抗菌作用の高い素材を生かして作ったまな板。1枚あれば料理の腕も上がりそう?

工場の祭典・まな板・さんちの手帖
包丁工房タダフサ製 抗菌炭化木 まな板 10名様
タダフサのまな板
側面に庖丁工房タダフサのロゴが入っています

 

<プレゼントその3:旅印3個>
中川政七商店 特製ふきん(非売品)

「さんちの手帖」を運営する中川政七商店から、創業地・奈良特産の蚊帳生地を生かした人気のふきんをプレゼント。旅印3つなら、意外と近くで集まりますよ!

工場の祭典・ふきん・さんちの手帖
中川政七商店製 蚊帳のふきん(非売品)

 

「さんちの手帖の使い方」

 

 

<燕三条 工場の祭典 特設ページへ>

アプリのTOPページに設置された、「工場の祭典」特設バナーをタップしてください

 

<見どころを探す>

「見どころ」タブから、103ヶ所すべての「KOUBA」情報を見ることができます

 

<「旅印」を取得する>

各KOUBAに入ると、お知らせが届きます。お知らせをタップして旅印を取得しましょう

燕三条工場の祭典 公式アプリさんちの手帖

通知を逃してしまったら・・

通知が消えてしまっても、アプリメニューの「訪問した見どころ」からも旅印を取得することができます

通知が消えてしまっても、「訪問した見どころ」からも旅印を取得することができます

 

<「旅印」を確認する>

獲得した「旅印」は、下のメニューの「旅印帖」で確認できます

<Q & A>

Q:プレゼントはどこでもらえますか?
→ A.さんちブース(場所:三条ものづくり学校)へお越しください

 

Q:近くにいるのに、旅印の通知がきません
→ A.位置情報サービスはオンになっていますか?また通知を許可していますか?
(左上メニューにある「通知設定」・「位置情報設定」をご確認ください)

 

Q:通知設定も位置情報設定もオンになっていますが、見どころにきても通知がきません
→ A.一度、該当の見どころから100m以上離れて再度近づいてみてください

 

Q:使い方がわからないので質問をしたいです
→ A.さんちブース(場所:三条ものづくり学校)へお越しください

 

 

「さんちの手帖」をダウンロード

app store さんちの手帖
google play さんちの手帖

 

二人の門出に贈る 男女の理想の違いを追求したタオル

こんにちは。ライターのいつか床子です。

たとえば1月の成人の日、5月の母の日、9月の敬老の日‥‥日本には誰かが主役になれるお祝いの日が毎月のようにあります。せっかくのお祝いに手渡すなら、きちんと気持ちの伝わるものを贈りたい。この連載では毎月ひとつの贈りものを選んで、紹介していきます。

第10回のテーマは「ブライダル」。
気候がおだやかで晴れ間も多い10月は、多くの結婚式が開かれる絶好のシーズンです。ゲストも服装を選びやすく、秋の味覚を取り入れたおいしいおもてなし料理にも心が踊りますね。

さて、今月のさんちが特集している島根県の出雲は、縁結びとゆかりの深い土地です。
全国的には神無月、出雲では神在月と呼ばれている旧暦の10月。全国の八百万 (やおよろず) の神様たちは出雲大社に集合して、男女を始めあらゆる縁結びについて話し合う「神議り (かみはかり) 」と呼ばれる大会議を開きます。

神様の世界でも、人の世界でも、10月はご縁の糸が深く結ばれる特別な時期のようですね。そこで今回の贈りものには縁結びの「糸」にちなんで、結婚祝いにぴったりのタオルを選んでみました。

男性と女性はタオルの理想も違う

今回ご紹介する「THE TOWEL」が画期的なのは、女性用と男性用の2つのバリエーションがあることです。「タオルに男性用と女性用があるってどういうこと?」と不思議に思う人も多いでしょう。

開発したのは、世の中の新たな定番を生み出すことを目指すブランド「THE」。オリジナルタオルを作るにあたって、女性と男性で必要とするタオルの質感に違いがあることに気付いたそうです。

WHAT A WONDERFUL TOWEL for LADIES!

女性用タオルの箱

女性用の「THE TOWEL for LADIES」は、肌を優しく包み込む極上の柔らかさが魅力。糸を撚 (よ) る回数を抑える「甘撚り (あまより) 」製法を使うことで、しっとりした肌触りを実現しています。

さらに、甘撚り製法の弱点である毛羽立ちやすさを防ぐため、パイル糸には特殊な「コンパクト糸」を使用。縦糸と横糸には、マカロニのように中心が空洞で吸水性・速乾性も高い「中空糸」を使い、軽量化に成功しました。

女性用タオルの質感

WHAT A WONDERFUL TOWEL for GENTLEMEN!

男性用タオルの箱

一方で、男性用に開発された「THE TOWEL for GENTLEMEN」は、ごしごし思い切り拭いて水気を取れるようにと、糸は通常の2倍の密度で織り上げられています。

女性用と同じく中空糸を使用することで軽やかな使い心地を実現しつつ、横糸の3分の1に麻 (リネン) を使ってタフさと速乾性を追求。毎日使ってもへたれず、豪快に使用できます。

見た目にも女性用との質感の違いがわかります
見た目にも女性用との質感の違いがわかります

タオルはいずれも日本最大のタオルの産地であり、世界トップの製造技術を誇る今治で製造。糸には絹のような光沢がある綿「スーピマコットン」を使っています。

実はこの糸の使用量も「理想のタオル」を実現する鍵のひとつ。バスタオルを一本の糸に撚り直すと、市販品はおよそ6キロメートル。

それに対して「THE」の女性用は10キロ、男性用はなんと17キロ。従来のタオルより、圧倒的に使われている量が多いのです。糸から考え抜かれた使い心地、というわけですね。

タオルは毎日使うもの。心地よいタオルがある暮らしは、日々をさりげなく、それでいて確実に豊かなものにしてくれるはず。新しい門出を迎える大切な二人に、お互いの違いもどうぞ楽しんで、とちょっぴりお節介なメッセージを託くして贈りたくなります。

タオルにしっかりと織り込まれた糸のように、二人のご縁が固く、末長く結ばれますように。

<取材協力>
株式会社THE
http://the-web.co.jp/products/towel-for-ladies

<掲載商品>
THE
THE TOWEL for LADIES
THE TOWEL for GENTLEMEN

文:いつか床子

ハレの日を祝うもの お月見を彩る「三方」

こんにちは。ライターのいつか床子です。

日本人は古くから、ふだんの生活を「ケ」、おまつりや伝統行事をおこなう特別な日を「ハレ」と呼んで、日常と非日常を意識してきました。晴れ晴れ、晴れ姿、晴れの舞台‥‥清々しくておめでたい節目が「ハレ」なのです。

こちらでは、そんな「ハレの日」を祝い彩る日本の工芸品や食べものなどをご紹介します。

お月見に「すすき」を供えるのは、なぜ?

10月の風物詩といえばお月見。いよいよ明日は十五夜です。澄んだ空の下で美しい月を眺めるのも楽しみのひとつですが、お月見には実りの象徴でもある月に収穫の感謝を届ける意味合いもあります。

床の間や月の見える位置に、月に見立てた丸いお団子を供えるのは定番ですね。採れたばかりの里芋を供える地域もあることから、「芋名月 (いもめいげつ) 」とも呼ばれています。

お月見だんごの写真

また、月の神様の依代 (よりしろ) としてすすきも供えられています。すすきは茎の内側が空洞になっているので、そこに神様が宿ると古くから信じられていたのです。

お月見の代名詞ともいえる「十五夜」の風習は平安時代に中国から伝わり、平安貴族が月を愛でながら宴や船遊びを楽しみました。その後、庶民のあいだにも広がるうちに、ちょうど秋の収穫期ということもあり、秋の実りを感謝する行事として定着したようです。

実は十五夜は本来、旧暦の8月15日を指しています。旧暦と新暦にはズレがあるため、現在では日付が毎年変動し、2017年の十五夜は10月4日水曜日にあたります。

十五夜の月は「中秋の名月」とも呼ばれますが、月の満ち欠けの周期の関係上、満月になる確率は低いのだとか。今年の満月は2日後の6日にやってきます。

格式と風情を添える伊勢宮忠の「三方」

月見団子は床の間か月の見える位置に供えるのが基本です。この月見団子をお供えするときにおなじみの台が 「三方 (さんぼう) 」。

三方の様子

三方は神様へのお供えを載せるための器で、三方向に穴が開いていることが名前の由来。折敷 (おしき) と呼ばれるお盆の下に土台が付いています。お正月の鏡餅や桃の節句の柏餅を供えるときにも使われていますね。

美しくくり抜かれた3つの穴

こちらの三方は、神棚・神祭具の専門店である伊勢宮忠 (みやちゅう) のもの。創業から80余年、代々の宮師 (神棚を作る職人)が伊勢神宮のお宮造りの技術を忠実に継承し、神棚や神祭具の一つひとつを手作業で作り続けています。

伊勢宮忠の三方には、木曽の山で育った天然木の中でも主に樹齢200~300年の木曽桧を使用。伊勢神宮のご用材としても用いられている非常に格式高い素材です。

柾目 (まさめ) 挽きをすることでまっすぐに入った細やかな木目が美しく、ほのかにピンクがかった色味は年月とともにゆっくりと上品な薄茶色へ変化していきます。

美しいまっすぐな木目
美しいまっすぐな木目
外からは見えないところまで、丁寧に作り込まれています
外からは見えないところまで、丁寧に作り込まれています

月見団子はお盆やお皿に載せても問題ないとされていますが、三方で飾るとより本格的なハレの日のしつらえに。小さいもので3寸(9センチメートル)からサイズがあるので、飾るスペースがあまりとれないという人でも安心です。

道具を整えて、今年は風情たっぷりのお月見を。

<取材協力>
株式会社宮忠
三重県伊勢市岡本1丁目2-38
http://www.ise-miyachu.jp/

<関連商品>
お月見うさだるま
季節の懐紙 お月見うさぎ

文:いつか床子