【わたしの好きなもの】益子のビルマ汁

簡単にできる!酸味と辛味であったか鍋


「ビルマ汁」って何?
ほとんどの方は、そう思われるのでは。
栃木県益子町田町でもごく一部の地域で、家庭料理として親しまれている「ビルマ汁」。
トマトの酸味に唐辛子のピリ辛、カレーの風味が効いた旨みたっぷりのスープです。



クセになるおいしさで、夏はさっぱりと食べやすく、我が家のやみつき料理に仲間入り。
夏野菜を足して栄養アップしたスープは、何度も食卓に登場しました。
肌寒くなってきたこの頃は、さらにバージョンアップして「ビルマ汁鍋」に!



すごく簡単で、カレーのスパイスとピリ辛で身体がホカホカにあったまります。
レシピというほどではないですが、作り方のご紹介。

1. 「益子のビルマ汁」1袋と同量の水を鍋に入れる
2. 1を火にかけて温まってきたら、固形スープの素を1つ入れて溶かす
3. お好みの野菜を入れて火が通ったら出来上がり
※これで2、3人分くらい。お鍋として主役の料理にするなら2袋分で作るのがおすすめです



冷蔵庫の余り物の野菜で、だいたいのものが合います。
我が家は、キャベツ、かぼちゃ、玉ねぎ、きのこなどに鶏肉or豚肉、ソーセージがよく登場。
もともとゴロっとしたじゃがいもが入ってるので、それも具材の一つになります。。

この美味しさ、なかなかうまく伝えられないのですが、スパイシーなトマト鍋、という感じでしょうか。
とにかく会社でスタッフに実演アピールするくらい、私はビルマ汁鍋を推しています(笑)。

夕食にビルマ汁鍋を作って、朝に残りのスープをパンと一緒に食べても美味しいし、
シメにうどんを入れて夜食にしたら、テスト前の子供も満足。
いろんなタイミングでアレンジが効きます。
自分では難しい味付けをすっ飛ばして、ささっと迷わず美味しくできるのがレトルトのいいところですよね。
本場・益子でも食べてみたいなと思いを馳せながら、ぬくぬくとおうち時間を過ごしております。


<掲載商品>
益子のビルマ汁

編集担当 平井

【わたしの好きなもの】Fabrico NEKO

猫アレルギーな私に幸せをくれたネコクッション


私は大の「生きもの」好き。
それは、共にはたらく中川政七商店の皆には周知の事実。
哺乳類・爬虫類・昆虫…  本当に、生きているものすべて愛しいのですが
特に好きなのが「もふもふ」のもの。
ふんわりとした毛並みに、やわらかな抱き心地…
そう、特に猫なんか飼えたら最高なのですがー…

悲しいかな、何と私は猫アレルギー。

直接抱っこしようものなら、目が充血し、くしゃみが出て、のども痛くなります。
それでもやはり大好きで、猫がいるお家に行く際には、事前に薬を飲んで 覚悟をして(笑)臨みます。


そんな悲しい運命を背負った私が巡り合ったのが、fabricoのNEKOクッションでした。



初見。形は、確かに可愛い。いわゆるデフォルメした猫ではなく
そこに本当に佇んでいるかのような自然なシルエットが好感的。



「でも、要するに猫型のクッションでしょう…?」とあまり期待せず触れてみると、その手触りに驚きました。
世界に誇るパイルファブリックの産地、和歌山県 高野口で作られたフェイクファー生地は
なめらかに吸い付くような触感で、大げさではなく本物の猫を撫でているよう。
裏面もしっとりとしたモケット生地で、思わずずっと触れていたくなる気持ちよさ。
「心地いい」という質感への尋常ならざるこだわりと、産地の確かな技術力を感じます。



私は家と会社にも置いてるのですが、休憩中、膝の上に乗せて撫でていると何とも幸せ。
打ち合わせなどで席を外して戻ってきたときに、
ちょこんと椅子にいるのを見ると、思わず顔がほころぶような存在感。
使っている時だけでなく 使っていない時も、それがあるという風景がまた愛らしいのです。



「いつかは猫が飼いたいけれど、今は当分これでいいかも…」
なんて思いながら、今日もひと撫で、一日を過ごしています。


<掲載商品>
「ふわふわの猫型クッション」
「本物のような猫型クッション」

編集担当 宮原

【わたしの好きなもの】季節のしつらい便 お月見


家族で歳時記を楽しむキット


 
節分、ひな祭り、端午の節句、七夕など、日本に古くから伝わる年中行事の数々。
 
季節の移ろいを感じたり、伝統文化に触れるきっかけになったり、日々の生活に節目をつけてくれる素敵な風習だなと、最近はしみじみ感じています。
 
伝統的な行事でありつつ、子どもから大人まで、家族みんなで気軽に参加できるのもいいですよね。我が家も上の子がもうすぐ5歳。一緒にやれることもいろいろと増えてきました。
 
そんな中、これからの季節、夏の終わりから秋にかけて何か楽しめる行事はないかなと考えていたところ、親子で手軽に楽しめる「お月見飾りセット」なるものが登場。


お月見といえば、あの白くて丸いお団子が美味しそうだし、なにより最近宇宙にハマっている息子は「月を見る」という行為に興味を持つはず。さっそく、やってみることに。
 


水をいれてこねるだけ。簡単につくれるお月見団子


 
いきなりお月見と言ってもよくわからないと思うので、まずは「一緒にお団子つくってみる?」と問いかけてみると、「うん!」と即答。幸先の良いスタートです。
 
特別な準備は不要で、「飾る」「つくる」「食べる」が揃ったこのキット。お団子づくりはキットに入っているお団子の粉と水を混ぜてこねるだけ。息子も意気揚々とつくりはじめます。


生地をこねるだけ、といっても、その変化が彼には新鮮だったようで「なんかぬるぬる!」「粘土みたいになってきた!」と興奮気味。少しこねては様子を見て、またこねて。


最初は2重にしたビニール袋に入れて、まとまり始めたらボウルに移します。途中、やや疲れて「まだ子どもだから時間かかるよー。大人だったらもうできてるかな?」と弱音も出ましたが、「完成したらアイスかけて食べようね」と励まし、生地がまとまるまでやり切りました。




生地ができたら、飾るサイズにちぎって手のひらで丸めます。こちらも初めてにしてはなかなか上手。不器用な親と違って意外と器用なのかもしれません。


自分でつくるから興味が湧く


 
宇宙にハマってからというもの、丸い形状のものを見ると「木星だ!」とか「大きい!アルデバランだ!(※:おうし座の恒星)」とか、星に見立てて盛り上がる癖がついた息子。今回はそれを自分で、たくさんつくれるとあって非常に楽しそう。「これは地球。こっちが海王星!」と絶好調です。(月なんだけど、ということは一旦置いておいて)
 




丸めて並べたお団子を茹でていく工程は親にバトンタッチ。「危ないから離れてて」と言っても、「(茹でているところを)見てみたい!」と前のめりにぐんぐん来ます。普段、親が料理中にキッチンの様子を気にすることはないのに、自分が手塩にかけた星たちの様子がよほど気になるのでしょうか。

十分に気を付けつつ、お鍋を上から見せてあげると「すごいねー、泡がぶくぶくしてるねー」と感心しきり。これをきっかけに、料理にも挑戦し始めたりしないかなと、密かに期待しています。


添付のしおりでお勉強



茹でたお団子はうちわで乾かして、そのあと冷蔵庫で15~30分ほど冷やします。後で飾りやすいように、キットについている竹串をあらかじめ刺しておいた方が良さそうです。


この時間を利用して、「今日作っているのはお月見団子といって、お月様にお供えするものなんだよ」とお月見情報を軽く伝えてみました。すると少し考えた後、「月はムーン。地球の衛星だよ!」というマイペースな回答が。“お供え“がピンとこなかったのかな‥‥。
 
そこで、キットに入っている「歳時記のしおり」の出番。イラストを見ながら、月の満ち欠けに応じて色々な名前がついていること、お月見のうさぎのこと、お団子は月のすがたを模していることなんかを説明していきます。


宇宙ブーム到来中で、月の形がいろいろ変わることはぼんやり知っていましたが、それぞれに名前があるのには驚いた様子。
 
「この時は?」
「新月(しんげつ)だよ」
「これは?」
「十六夜(いざよい)だって」
「こっちは?この漢字は?」
 
と興味津々。目論み通りです。あっという間に名前を覚えていくので、子どもの集中力って凄いなと思います。かく言う自分も、パッと分かるのは三日月と満月くらい。昔の人はこんなに細かく名前をつけて変化を楽しんでいたんだなと、勉強になりました。
 

お団子の完成。お月見とは?


 
そうこうしている内に30分経過。お団子を取り出して、残すは飾り付け。吉野檜の三宝に懐紙をひいて、お団子を並べます。


と、息子は瀬戸焼で作られたうさぎのお飾りで遊び始めました。陶器の人形は珍しいのか、感触を確かめるように触っています。
 
そのうさぎに、水引のすすき飾りを挿して飾り付けは完成。「すごいねー、きれいだねー」と本人も仕上がりに満足気。まだ満月ではない時期でしたが、なんとなく、窓の外に向けて飾っておきました。


飾りつけていないお団子は、約束通りアイスを載せてデザートに。できたてのお団子はかなりもちもちで、大人であれば何もつけなくても素朴でとても美味しく感じると思います。
 
最後に、「お月見のこと、すこし分かった?」と聞いてみると、「お団子をつくって、お団子の月(三宝に飾ったもの)を見ながら、お団子を食べること!」との答え。うーん、ややこしい!(笑)。やっぱり、お祈り・お供えみたいな概念はまだ難しかったようです。


でも、月の名前を覚えたり、自分でお団子をつくったり、楽しくいろいろな経験ができました。子どもの年齢やタイミングによって、感じること、学べることもそれぞれ変わってくると思います。
 
親子でつくるお月見、ぜひ皆さんも楽しんでみてください。
 

<掲載商品>
季節のしつらい便 お月見

こちらは、2020年9月1日の記事を再編集して掲載いたしました。

【デザイナーが話したくなる】日本の手花火

デザイナーおすすめのお家花火プログラム

毎年、夏の風物詩「花火」を手掛けている村垣さん。
日本の花火の素晴らしさをいつも熱く語ってくれるのが印象的なんです。 花火職人さんと膝を突き合わせながら、みなさんに日本の花火文化を伝えつつも 楽しんでいただける手花火を試行錯誤しながら作っています。

日本には、伝統的な夏の行事がたくさんありますが、その中でも夏を感じるイベントと言えば「花火大会」は、 はずせません。日本の花火は世界一ともいわれるほど、高い技術力を誇ります。
しかしながら、今年は花火大会は中止になってしまった現状。 とはいえ、夏を満喫したいですよね、そこでおすすめなのが、「日本の手花火」。

花火には火の種類や形の種類など違いがたくさんあり、 その美しい火花には、日本の花火文化を絶やすまいと今も伝統的な製法を守る花火職人の熱い思いが宿っています。 どれもおすすめですが、今回は花火大会のプログラムように楽しめるよう、村垣さんにおすすめの順番を 聞いてみました。



●花火大会の始まりにおすすめ!わくわくする花火
1.大輪菊:菊の花のような華やかで、繊細な火花の花火。燃焼時間が長いので、いつまでも楽しみが続きます。


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2.星ススキ:流れ星があふれ出てくるような、キラキラと輝く可愛らしい花火。



●中盤の盛り上がりに!華やかな花火
3.三色柳:それぞれ異なる火花が激しく降り注ぐその姿はまるでナイアガラのようです。



●フィナーレに向けてジーンとする、芸術的な花火
4.錦糸和火:日本ではじめて作られたといわれる元祖花火。「和火」と呼ばれる赤橙色の火花は息をのむ美しさです。



5.藍色涼火:青色の火花は難しいとされる中、最後の一瞬まで美しく、目の覚める藍色の火花を散らす希少な花火。


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●しめといえば!いつまでも心に残る花火
6.大江戸牡丹(線香花火):点火から燃え尽きるまでの様々な表情は起承転結に例えられる、情緒的な花火。


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「それぞれの違いを1本1本見ていただきたいのはもちろんですが、国産花火ならではの繊細で美しい火花が 夏の思い出になったら、もっと嬉しいです。」と村垣さん。


毎年、村垣さんは花火を企画する際にたくさんの花火のサンプルを参考にしています。
今頃になると、そのサンプルを持って「夏の幸せ配ります~」と、にこにこしながらスタッフに 花火のおすそ分けをくれます。
その姿を見ると「夏本番ですね」と思わせてくれる、社内の夏の風物詩になっています。

<関連商品>
日本の手花火


*こちらは、2020年8月6日の記事を再編集して公開しました

【わたしの好きなもの】強撚綿スムース生地の服

ストレッチがきいてて透けないのに綿素材・・・
まさに万能カットソー!

身軽にカットソーを1枚で着たいけど、Tシャツだとカジュアルすぎるし、化繊が入っているものは苦手。 そんな思いを解決してくれる、私の一番のお気に入りが「強撚綿スムース生地」シリーズ。
もう4年目になる人気のシリーズですが、私自身も定番着として4年目もお世話になります。 今年は嬉しいことに春から着回し出来る七分丈のプルオーバーが出来、春夏秋と3シーズンお世話になっているシリーズです!



綿を強く撚った強撚糸を高密度に編み立てたスムース生地。毛羽立ちにくく、綿素材なのにさらっとした肌触り。
ジャケットのインナーにも着れる、キレイ目のすっきりとしたシルエットですが、伸縮性があるので窮屈な感じが全くしません。もう一度いいますが、素材が綿100%なんです!

白いTシャツは、インナーの透け感を気にしたりしますが、この素材なら白でも透け感を気にせず着ています。



首周りも広すぎないので、きちんと感があります。これ1枚あればデニムにあわせても大人っぽい雰囲気になるんです。



社内でも着用率が多く、時々同じ日に何人かでお揃いになることも。
私は、色違いで何枚も持っているので、会社でも休日でもほんとにお世話になっています。
洗濯も気軽に、洗濯ネットに入れて普通に洗います。干す時に、形を整えておけば、私はほとんどシワも気になりません。少し気になっても、さっとアイロンをかければOK。
プルオーバーは、4年目ですが特に型崩れもなく今年も活躍しそうです。
今年も来年も…その先も、なくなると困るずっと作って欲しいシリーズです。

編集担当 鳥海


<掲載商品>
強撚綿スムースのノースリーブ

煎茶のプロがすすめる淹れ方・急須・茶葉選び。「美味しい日本茶のコツは3杯淹れること」

カネ十農園 表参道 松本貴志さんに教わる煎茶道入門

日本人にとって身近な飲み物である「日本茶」。

特に近年ではペットボトル入りの緑茶飲料が普及し、いつでもどこでも手軽に日本茶を楽しめるようになりました。

その一方で、急須を使って茶葉からお茶を淹れる機会が減ってきているようにも感じます。

急須で淹れる日本茶

農林水産省が平成28年に発表した統計によれば、1世帯当たりのリーフ茶(茶葉で淹れる緑茶)の消費量はこの20年ずっと減少傾向にあるようです。

筆者もそうですが、いざ自宅で淹れてみようと思っても、必要な道具や茶葉の選び方など分からないことが多く、ハードルの高さを感じている人が多いのかもしれません。

そんなハードルを下げ、もっと気軽に日本茶を楽しむ方法について、専門家に聞きました。

静岡の茶農園が運営。日本茶専ティーサロンの“ティーバーテンダー”に聞く

カネ十農園 表参道
カネ十農園 表参道

表参道に昨年オープンした、日本茶の体験型ティーサロン「カネ十農園 表参道」。

同店を運営するのが、日本を代表するお茶の産地 静岡で、100年以上にわたって茶農園を営んできた「カネ十農園」(静岡県牧之原市)。

「茶葉はもっとおいしくなれるはず」という想いで、地元牧之原だけでなく国内外の製茶技術を学び、茶葉の可能性を追求し続けている農園です。

静岡のカネ十農園が表参道店をオープン

今回話を聞いたのは、「カネ十農園 表参道」で、“ティーバーテンダー”として日本茶を提供している松本貴志さん。

茶葉の選び方、淹れ方のコツなど、色々と伺いました。

カネ十農園 表参道
店内には、テーブルに畳をあしらった10席ほどのカウンター席が用意されています。左手前が松本さん。奥にいるのは同店スタッフの加藤大地さん

オープンキッチンのカウンターで接客する松本さんは、もともと都内でバーテンダーとして18年間も勤めていたという異色の経歴の持ち主。

業務の幅を広げるため、ソムリエの資格を取得しようと畑の勉強を始めて土の奥深さに気づき、その後、縁のあったカネ十農園から誘われてお茶の世界にやってきました。

カネ十農園 表参道の松本貴志さん
カネ十農園の松本貴志さん

「弊社の本業は農家。土づくりから始め、木を育て、製茶業を続けています」

とのことで、松本さんも普段は表参道の店舗で業務を行い、一番茶の収穫のときには静岡に戻るのだそうです。

静岡のカネ十農園が表参道店をオープン
カネ十ファーム 静岡 牧之原の茶畑

美味しい日本茶の淹れ方とは

さて本題ですが、日本茶を美味しく淹れるには何が必要なのでしょう。

「道具に関して言うと、目が細かい急須が最適です。目が粗いと茶葉が通り抜けて湯呑みに出てしまいます。

ここでは玉川堂(ぎょくせんどう)さんの急須を使用していますが、淹れやすくて個人的にオススメです」

カネ十農園 表参道で使用している玉川堂の急須
カネ十農園 表参道で使用している玉川堂の急須
カネ十農園 表参道で使用している玉川堂の急須
網目部分が細かいものがオススメだとか

やはり、何は無くともまずは急須。

と言っても難しく考える必要はなく、茶葉をせき止める部分の目が細かいものを選んでおけばよいそう。

お店で浸かっている急須
こちらもお店で使っている急須

「静岡茶の深蒸し茶は細かいし、鹿児島の普通煎茶は形が少し大きめ、京都の番茶は葉が広いなど、産地やお茶の種類によって茶葉のサイズや形も変わってきます。

ひとまずは目の細かい急須を選んでおけばどんな茶葉にも対応できると思います」

静岡のカネ十農園が表参道店をオープン
牧之原 カネ十農園で収穫された茶葉

ちなみに、紅茶用のティーポットの様に茶こしの網が本体と分かれているものは、十分に茶葉が開ききらないためあまりオススメできないとのことでした。

温度・蒸らし時間・水で味が変わる

「1-2人分なら茶葉4グラムに対して100-150ミリリットルのお湯。40秒ほど蒸らしてから出し切ってください。3-4人分なら、茶葉は5g、お湯は200-250ミリリットルが理想です」

と、茶葉の分量についても教えてもらいましたが、これはあくまで目安。

煎茶なのか、ほうじ茶なのか、茶葉の種類によっても分量や蒸らし時間は異なってきます。

茶葉の形やサイズは、産地や加工方法によって様々
茶葉の形やサイズは、産地や加工方法によって様々

「ほうじ茶や棒茶は沸騰したお湯を使っても大丈夫ですが、煎茶は80~85度くらいがベスト。でないと、渋みが出すぎてしまいます。

水は、軟水で淹れた方が味も色もきちんと出て美味しいとされています。日本では、普通に水道水を使っておけば問題ないでしょう。

カルキ臭が気になる場合は、沸騰させてから温度を下げる方法もあります」

分量のほか、温度・蒸らし時間・水で美味しさが変わってくるということで、その辺りを調整できる道具が揃っていると良さそうです。

目安はあるけれど、自由に淹れて楽しむべし

ストップウォッチ機能がついたスケールがあると便利
ストップウォッチ機能がついたスケールがあると便利

「分量については、計りを用意してグラム数を見るのが正確ですが、ティースプーンひとすくいが何グラム、というのを感覚で覚えておくこともできます。

あとは、温度設定ができるケトルがあると非常に楽ですね。

もしくは、沸騰したお湯を一度湯冷まし用の器に移すとそれだけで80〜90度に温度が下がります。そのあたりの感覚を掴んでおけば、いちいち温度を計らなくても調整が可能です。

どこまでこだわるかにもよりますが、無理のない範囲で、手持ちの道具を活用して淹れてもらえればよいと思います」

一度湯冷ましを経由することで温度を下げることができる
一度湯冷ましを経由することで温度を下げることができる

時間はスマートフォンで計測できるし、水は水道水でよくて、ケトルやポットも特別なものは必要ない。

ふむ。かなりハードルが下がった気がします。

「分量や時間、お湯の温度など、もちろん目安は存在します。

ただ、そこから先は個人の好み。色々試しながら自由に、気軽に淹れていただきたいですね」

3回楽しめる煎茶道

ちなみに、煎茶の場合、3回お湯を淹れるのが正しい飲み方とされているそう。

カネ十農園の煎茶

「煎茶道において、一煎めは茶葉が開いていない状態。つまり前哨戦です。

二煎めが本番。そして三煎めで味も落ち着きます」

一煎ごとにお湯を出し切るのがポイント
一煎ごとにお湯を出し切るのがポイント

1杯分の茶葉で3度も楽しめるのは何やらお得な気分。

ポイントは、一煎ごとにきちんと湯呑みにお茶を出し切ることだそう。茶葉がお湯に浸かったまま時間が経つとどんどん雑味が出てきて渋くなるだけなのだとか。

茶葉の選び方

茶葉の選び方については好みもあるため、ともかく色々と試してみるのがスタートになるとのこと。

その中で、選びやすさのポイントとして挙げられるのが「シングルオリジン」か否か。

品質にブレが少ないシングルオリジンの茶葉であれば、好みの基準を定めやすい
カネ十農園 表参道で販売している茶葉

コーヒー豆でよく聞くフレーズですが、ここでは「単一の農園で作られている茶葉」であるという意味。

「日本茶の多くは、色々なところで作られた茶葉をブレンドした状態で売られています。

そのため、同じ種類の茶葉を買ったはずなのに、その時々で味にばらつきが出やすく、自分の好みを定めにくい。

弊社は単一の農園で製造から加工まで一貫しておこなっているので、安定した品質で茶葉を提供することが可能です」

玄米茶
玄米茶

まずは、この農園のこの茶葉が好き!という風に自分の好み定めていき、そこから派生して同じ系統のお茶を色々試すことで、好みを広げていくのが近道のようです。

こだわり始めると色々と奥が深そうで、ワクワクしてきます。

クリームチーズとお茶が合う!? 日本茶文化をつなぐために必要なこと

人気商品の「カネ十 アールグレイ」
人気商品の「カネ十 アールグレイ」。英国式の製法で作られています
人気が高い「カネ十 アールグレイ」

「ちなみに、このお店で人気の茶葉は、『柚子煎茶』『カネ十アールグレイ』といった商品。若い方もよく買っていかれます。

名前から味が想像できないと思いますが、この珍しさに惹かれて購入して、気が付いたらリピーターになっているケースが多いです。

商品名やパッケージデザインも含め、日本茶の普及にはこうしたブランディングが重要だと痛感しています」

パッケージデザインにもこだわった
パッケージデザインにもこだわった

こうした気づきは、ティーサロンという形態でお茶を提供することで得られたもの。

「今後は、畑の肥料を試行錯誤して、茶葉の味にどんな違いが出るかを研究していきたいと思っています。

そして、店舗ではユニークな淹れ方、料理との合わせ方など、面白い提案をしていけたら良いですね。

最近だと、クリームチーズとお茶の相性がとても良いことに気づいて驚きました。この組み合わせで新しいドリンクメニューも開発中です」

カネ十農園の松本貴志さん
店舗を通じて色々な提案をしていきたいと意欲的に話す松本さん

冒頭で触れたように、ペットボトル飲料を除けば縮小気味の日本茶市場。

カネ十農園では、100年以上の経験を活かした茶葉作りをベースに、表参道である種実験的な提案も繰り返しながら、日本茶文化が再度普及することを目指しています。

茶葉は開封しなければ1年は持つそう。1杯当たりのコストはペットボトルよりも安く、実はお得です。

まずは難しく考えず、直感で茶葉を選ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。

<取材協力>
カネ十農園 表参道
http://kaneju-farm.co.jp/

文・写真:近藤謙太郎
*こちらは、2019年2月1日の記事を再編集して公開しました。温かいお茶にホッとする季節、美味しい淹れ方のコツを知っておくと、休憩の時間も一層楽しめそうです。

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原作者に聞く、映画「日日是好日」の楽しみ方と茶道具の秘密

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*こちらは、2019年11月23日の記事を再編集して公開しました