【わたしの好きなもの】食洗機で洗えるひのきのまな板

まな板スタンドをやめました

我が家にはもともと木のまな板と、気軽に使える小ぶりのプラスチック製のまな板がありました。

夜ご飯の支度には主に木のまな板を使います。包丁の当たりが良くて、「トントントン…」という気持ちの良い音は、食事の支度を楽しくしてくれます。しかし、木のまな板は分厚くて重さがあるので、気軽に切りたいときは軽くて取り回しの良いプラスチック製の出番がしばしば。ただ、包丁の当たりが木のようにやわらかでないので、しっくり来ているわけではないのです。

そこで、木製なのに厚さ1cmという「食洗機で洗えるひのきのまな板」を、我が家のキッチン周りを軽やかで快適にしてくれるアイテムとして早速取り入れました。

木のまな板は厚みがないと反りや割れてしまうという印象。「厚さ1cmって、本当に反らないの?」と、不思議でした。

その秘密は、まな板の両端に板目が垂直になるように板をはめ込んだこと。これによって反りにくくなり、ぎりぎりまで薄く仕上げることができたのだそうです。

我が家の水切りカゴは小さめで、二人分の食器を洗ったら、分厚いまな板を入れたままには出来ませんでした。なので、まず最初に洗ってから、まな板スタンドへ立てて乾かしていました。

このまな板に替えたら、お皿同様に水切りカゴに入れっぱなしでも、場所を取らない!水を切って、ふきんで拭いて、まな板スタンドへという工程がなくなりました。

とても軽いので、切った食材もまな板ごと持ち上げてお鍋に、なんてことも気軽にできます。

「よっこいしょ」という感じがなくて、使うときも、洗うときも軽やかです。

木製って黒ずんでくるのも、気になりますよね。

これを防いでくれるのは、シリコン塗装とウレタン塗装だそうです。シリコン塗装って、鉄のフライパンに施されているのをよく見ますね。木の内部で硬化し撥水することで黒ズミ・カビを抑えるとのこと。

そして横からの黒ずみを防いでくれるのがウレタン塗装。二種類の塗装技術でお手入れも楽チンな木のまな板ができたんですね。

残念ながら、我が家には食洗機がないのですが、反りに強い加工と塗装技術によって、木製なのに食洗機で洗える!という、すごいまな板だということは、声を大にして言いたいです。高温で洗うので衛生的だし、食器と別に洗う手間も省けるし、ぜひ食洗機生活の方には使っていただきたいです!

まな板スタンドがなくなったキッチンスペースは、とってもスッキリして、包丁も新調したことだし(→最適包丁の記事をご覧ください)、それだけで引っ越したわけでもないのに、キッチンが新しくなった気分です。

編集担当 今井

<掲載商品>

食洗機で洗えるひのきのまな板 小
食洗機で洗えるひのきのまな板 大
最適包丁
最適包丁 パン切り

【わたしの好きなもの】玉ねぎで涙がでない包丁

玉ねぎで涙がでない包丁


私は、包丁仕事が苦手です。

家では三徳包丁を使っていますが、苦手意識からか「さあ、刃物を使うんだぞ」と、いつも気負ってしまいます。

ペティナイフならもう少し気楽かな、と思っても、キャベツやかぼちゃなど大きめの野菜や、一枚肉を切る時には小さすぎて、夜ご飯の支度はやっぱり三徳がメインでした。

なので、この最適包丁を作る時、デザイナーの「三徳だと大きすぎるけど、ペティだと物足りない時がある」という思いを聞いて、「すごくわかる!」と同意しました。

まず持った瞬間「軽い!」、そして「小ぶり!!」を実感。



三徳に比べて刃渡りが4、5cm変わるだけで、ペティよりも大きいのに、かわいらしく思えました。

手におさまっている感覚があり、包丁が苦手な私にとっても「気軽に取り回せそう」と気持ちに余裕ができました。



これまで苦手意識を持っていた要因のひとつが、変に力が入ってしまい「指を切ったらどうしよう」と思ってしまうこと。

「切れ味がよくて長続きするように、薄刃に仕上げてあるんです」という、デザイナーの言葉と、「よく切れる包丁の方が力まないから、怖くないんだよ」という先輩主婦の言葉を信じて、いざ夕食の支度に投入。

メニューは筑前煮。人参、大根、蓮根をザクザクっと切ってみたところ‥‥力むことを忘れて切り終わっていました。切った後に、「あれ、普段はもっと肩に力はいってたはずなのに」と気づいたほどです。

それほど、スッと刃が入っていくんです。そして、切り口がいつもよりツルツルな気がしてきれい。



こうなると、いつもは怖いからスライサーを使っている、玉ねぎの薄切りにも挑戦。

怖いのもありますが、玉ねぎって、目が痛くなりますよね。涙がボロボロ出て、鼻水まで出そうになる。そこまでして頑張るなら、洗い物は増えるけどスライサーを使おう、という選択でした。

挑戦の結果‥‥玉ねぎも切れる切れる。すごく薄く切れるのが楽しくて、あっという間に半玉終わってしまいました。そして気づいたのです。

「涙がまったく出ていない!!」

思わず夫に報告に行ったほどです。(※涙の出具合には、個人差があると思います)



デザイナーに聞いてみると、

「薄刃なので、繊維をつぶしにくいみたいです。」

「ただ、玉ねぎで涙が出ないようにとお願いしたわけではないので、薄刃がゆえに、結果そうなったという感じです。でも、みんなから同じような報告があって、嬉しいです。」と喜んでいました。



みじん切りも、最初の縦に切り込みを入れる時点で細い間隔でスッスッと包丁が入ります。これも薄刃ならではなのかと感動。おかげでいつもより細かいみじん切りになって、まるでシェフ気分です。

一度買った包丁って「まだ使えるし」となかなか替えるきっかけがなかったのですが、「最適包丁」は、仕事から帰ってバタバタと夕食の支度をする時の気持ちを上向きにしてくれる。そんな大切な役目をはたしてくれました。


<掲載商品> 最適包丁


編集担当 今井

【わたしの好きなもの】天然毛の歯ブラシ

洗い上がりつるつるの歯ブラシ

朝昼晩の歯磨きは、毎日欠かせないルーティンですね。

歯磨きには、ナイロンの歯ブラシを使っている人が多いかと思います。私もそのひとりで、大体1ヶ月から2ヶ月くらいで買い替えていました。スーパーなどで見かけると予備を買ってちょっと多めにストックしたり。考えてみるとあまり経済的ではありませんね。

そんなときに気になっていたこの「天然毛の歯ブラシ」。

素材には馬毛が使われており、どんな磨き心地なんだろうと、とても興味をそそられました。どちらかというとちょっと硬めの、コシがあるブラシの方が好みですが、はたして馬毛の強度のほどは?



天然毛の歯ブラシデビューの日。せっかくなのでこちらも気になっていた「海塩の粉歯みがき」といっしょに使ってみました。



ヘッド部分は、市販の歯ブラシで「小さめヘッド・コンパクト」とうたわれているものよりはやや大きめのサイズ。ブラシにコシがあり、歯茎を傷めずに磨けている感じがします。

ブラッシングの後は歯の表面がつるつるに。舌で確認すると明らかでした。



ちなみに、普段の歯磨きでは口の中が泡あわになってしまうのが苦手で、いつも短い時間で吐き出してしまうのですが、「海塩の粉歯みがき」は泡も立たず、ほどよい塩加減なのでテレビを見ながらずっとマッサージしている感覚。

磨き終わったら軽く口をゆすぐだけでさっぱりします。歯が抜けたときの血止めに塩水でうがいした思い出が蘇ります。

私はゴシゴシと強めに歯磨きをしてしまう癖があり、これまで歯ブラシを頻繁に買い換えていました。その点、馬毛のブラシはコシと弾力から復元力が高く、寿命が長いのも嬉しいところです。

お手入れとして、使用後は水気をよく切り、最後にティッシュかタオルで軽く押さえるようにしています。



獣臭がするのでは?と気になる方へ。最初に「海塩の粉歯みがき」を使って磨いたときは香ばしいような、独特のにおいがありましたが、1週間もすれば薄れてきます。また、ミントなどのチューブタイプの歯磨き粉を使う場合には、ほとんどにおいは感じられませんでした。

今まで何本も買い替えてきた消耗品のナイロン歯ブラシから、長く大事に使える歯ブラシに出会えました。さっぱりとした後味の「海塩の粉歯みがき」もお気に入りです。

編集担当 今井

桐たんすの良さを今見直す。服をカビや虫食いから守る圧倒的な気密性の秘密

成人式や結婚式、子どもの入学・卒業式といった人生の節目に袖を通す、ドレスや着物などの晴れ着。

高温多湿な日本の気候で、こうした晴れ着の保管は非常に難しいもの。

気をつけていたつもりでもカビが生えてしまったり、虫に食われてしまったり。そんな失敗を防ぐため、晴れ着、特に着物の収納に古くから活躍してきたのが、“桐”のたんすです。

桐のたんす

桐たんすというと、昔の嫁入り道具の定番でおめでたいもの、といったイメージしか持ち合わせていない人も多いかもしれません。

実際は、日本の気候に適応するための高い機能性を兼ね備えた家具であり、その性能は、今の時代においても衣服収納の“最上級”とされるほど。

桐たんす

しかし近年、人々の価値観や住環境が変換する中で、その数は減少の一途を辿っています。

大切な衣服を守りたいニーズ自体は変わらないならば、これからの時代に桐たんすの持つ機能性を活かす道はないものか。

日本一の桐と称される「会津桐」の里、福島県の三島町で、桐たんすづくりや桐の持つ可能性について聞きました。

会津桐たんすの圧倒的な気密性

ほかの木材に比べて軽い、熱を通しにくい、水が浸透しにくい、伸縮が少ない、といった特徴を持つ桐の木。

中でも、福島県大沼郡三島町を中心とした一部のエリアで育った桐は「会津桐」と呼ばれ、材の緻密さや木目の美しさから日本有数の品質をもった桐として重用されてきました。

「冬が長い影響なのか、木目の中で冬目と呼ばれる部分が太くなります。その結果、はっきりと美しい木目が出てきます。材が緻密で、削ったときには非常に綺麗な光沢が出る。そして桐の中では少し硬い部類なので、しっかりとした加工ができることも特徴です」

三島町で「会津桐」のみを使って桐たんすづくりを続ける会津桐タンス株式会社の板橋充是さんは、そう話します。

会津桐タンス 管理部長 板橋充是さん
会津桐タンス 管理部長 板橋充是さん

こうした会津桐の特徴と、職人による精密加工が合わさった結果、会津の桐たんすは着物や貴重品の保存に高い効果を発揮してきました。

「桐は湿気を吸ったり吐いたりする性質を持っているので、年間を通じて内部の湿度があまり変動せず、カビが生えにくいんです。

また、着物につく虫が嫌がる成分を含んでいて防虫効果もあるとされています。個人的には、非常に気密性が高いのでそもそも虫が入り込めないんだと思っています」

桐タンス
修理を繰り返して長く使えることも特徴のひとつ。こちらは、上半分だけ新調したタンス

その気密性の高さは、新潟・福島で水害があった際にも証明されたのだとか。

「洪水で、弊社のお客様が使われていた桐たんすが流されてしまったんです。

ぷかぷかと水に浮いている状態で発見され、引き上げてみると、中の着物がまったく濡れておらず、大変感激されました。

桐たんすの性能は本当にすごいと感じましたね」

板橋さん

このほか、火災にあった際にその難燃性、気密性のおかげで中身が無事だったこともあったそう。衣服収納の“最上級”というのも頷けます。

使えるまでに35年

こうした性能の高さを実現するためには、熟練の加工技術はもちろん、桐の木を育てる段階からさまざまな手間暇をかけて準備をする必要があります。

「太さの目安として直径30〜40cm。30年以上は育てないと使える桐になりません」

と、板橋さんが言うように、まず使える材料になるまで30年以上。桐は、きちんと手をかけて育てないと10〜20年ほどで寿命を迎えてしまうため、その間も気が抜けません。

桐タンス
敷地内に保管している桐の木材。時間が立つほどシブが出て黒くなってくる

さらに、伐採してからは、変形を抑えるための乾燥と、後の変色を抑えるためのシブ抜きに3年〜5年。そこまで管理してようやく、材料としてのスタートラインに立てます。

桐
乾燥を終えて切り出した木材。たんすの表面に使えるのは、木目が綺麗に揃っている部分だけ。左側の間隔が広いところは使えない
桐
桐は樹の中心に穴があって幅広板がとり難い。また、なるべく無駄を出さないために、継ぎ合わせて使用する
桐タンス
柾目を揃えて一枚の板をつくる下ごしらえの作業中

非常に手間と時間を要する桐の生育ですが、桐たんすの最盛期だった昭和40年頃には1本数百万円で取引きされており、多くの人が競って育てていたのだそう。

また、かつては女の子が生まれると家の近くに桐を植え、嫁入りの時にはその桐でたんすをつくり、親の想いを詰め込んで持たせる風習も盛んでした。

「実際には、シブ抜きまで含めると35年ほど掛かるので、嫁入りに間に合わないこともありました。その時は、すでに工場にある材料と交換する形でたんすをつくっていましたね。

桐が高値で売れるので、そのお金でたんすをつくって、他の道具も揃えて結婚式の費用まで賄えた家もあったようです」

100組に1組しか買わない。桐たんすの現実

地域の文化に深く関わっていた桐の木ですが、外国から入ってくるの安い輸入材の影響などもあり、桐の植栽はどんどん減少していきます。

「昔は桐畑で何十本もまとまって植栽されているところがいくつもありましたが、今はあちこちにポツリポツリと生えているものをかき集めないといけない状況です」

桐タンス
これだけの桐材を保管しているところはほとんどないんだとか

さらに、桐たんす自体も時代の変化に抗えず、生産数はどんどんと減少しています。

「今でも、自分の娘の嫁入りにたんすを贈りたい親御さんはいらっしゃいます。

そうした親子が年間100組ほどは弊社の展示場に足を運んでくれるのですが、結局、娘さんの方が『いらない』と言って断ってしまう。

お買い上げいただけるのは、100組中1組といったところでしょうか」

マンション住まいで大きなたんすが置きづらいことや、そもそも着物を着る習慣がなくなっていることもあって、立派な桐たんすをもらっても必要ないと考える人が大半のよう。

「40年前は、お嫁に行くときに1棹(さお)、2棹は当たり前という時代だったんですが。需要はかなり減っています」

桐タンス
内部は色々なパターンがあり、実はサイズも含めて柔軟にオーダーできる
桐タンス

桐の米びつにバターケース。桐の特徴をいかした新商品

生産数減少にともなって、桐たんす職人の数も少なくなってきているといいます。

職人
会津桐タンス株式会社で30年以上のキャリアを持つ二瓶さん
かんな
精密な加工を要するタンスづくりには、かんなを極めることが必須となる
桐タンス
組み立てから修理まで、基本的にすべての工程をひとりの職人が担当する

仕事がなくなると、新しい人を雇えず、後継者が完全に途絶えてしまう。

会津桐タンス株式会社では近年、技術継承の意味も込めて、たんす以外の商品開発にも積極的に取り組んでいます。

「もう少し身近なもの。茶筒だったり、米びつだったりをつくっています。

重要なのは、桐の良さ・特徴をいかせるのかどうか。

軽さ、断熱性、気密性のあるものづくり。かつ、時代に合った商品をつくりたいと考えています」

米びつ
会津桐でつくった米びつ

米びつにしても、茶筒にしても、気密性や湿度の調整は大切で、確かに、桐でつくれば理にかなっています。茶筒の開閉の機構は、たんすの引き出しの加工技術を応用しているのだそう。

茶筒
気密性を利用した、スライド式の茶筒

最近取り組んでいるのはバターケース。

「真夏は無理ですが、それ以外の季節は机の上に出しっぱなしにしておいてもバターが溶けず、いつでも塗りやすい状態で使えて快適です。

桐の断熱性のなせる技かなと思います」

シンプルな商品ながら、桐材のブロックをくり抜いてつくっており、そのおかげで内側に角がなく洗いやすいなど、細かい工夫もされています。

これからも、桐でつくる必然性があるもの、自分たちの技術をいかせるものに挑戦していくつもりとのことでした。

椅子
桐の椅子は、その軽さに驚きます。肌触りも優しく、ご高齢の方に好評なのだそう

1棹100万円前後にもなる桐たんすの補填にとしては厳しいですが、桐の良さに触れる入り口として人々の手に渡れば、桐たんすの魅力が見直されるきっかけになるかもしれません。

30年後、今年植えた桐でたんすをつくりたい

桐たんすそのものに関しても、嫁入り需要は減少したものの、50代以上の方からの注文や、修理の依頼はまだまだ健在とのこと。

桐タンス
引き出しのレール部分は、貼り付けではなく、分厚い状態から彫り出してつくることで、経年しても隙間があかない
桐タンス
こうした小物入れサイズのものでも、その気密性は健在

さらに、サイズの小さなタイプや、洋間にも合うチェストタイプなどをラインアップし、間口を広げつつあります。

桐タンス
チェストタイプのたんす

大切なものを大事に保管したい。そのニーズが変わらない以上、衣服収納の“最上級”である桐たんすの本質を変えずに、今の時代にあった収納を実現できる可能性も十分にあると感じます。

この春には、「桐たんすの格好良さに惹かれた」新入社員が東京からやってきました。

東京工芸高校の卒業生である彼女は「古いたんすにも魅力がある。現代風に少しリメイクしてみたり、取り入れやすいサイズにしてみたり、挑戦してみたいです」と話します。

新入社員
東京からやってきた新入社員

若い人たちにも響く魅力は必ずある。それが伝えられれば、需要も回復し、職人を目指す人も増えるかもしれない。

桐たんすをかっこいいと感じる彼女は、この会社にとって、そして地域の人にとって、きっと励みになる存在なのではないかと感じます。

桐畑の再生にも町ぐるみで取り組み始めた三島町。板橋さんも、東京からやってきた彼女も、口を揃えて話したのは「今植えた桐で、30年後にたんすをつくりたい」ということ。

耐用年数100年ともいわれる桐たんすづくり。時代に合わせたアップデートを模索しながら、次の30年にどんな形で続いていくのか、この先がとても楽しみになりました。

<取材協力>
会津桐タンス株式会社
http://www.aizukiri.co.jp/

文:白石雄太
写真:直江泰治

*こちらは、2019年10月8日の記事を再編集して公開いたしました。

益子焼「よしざわ窯」人気の秘密。鳥やレモンのうつわはどうやって生まれたのか?

栃木県益子にある「よしざわ窯」は代表作「レモン皿」のような、見た目のかわいらしいデザインが魅力。シンプルでアンティークのようなモノから、花や鳥、動物、植物をデザインしたものなど、さまざまな凝った食器をネットショップで販売しています。

リーズナブルな価格で、色合いが鮮やかなことから多くの女性ファンを惹きつけました。Instagramを中心に人気に火がつき、ただ今売り切れが続出中です。

個性的でかわいらしいデザインが人気です
個性的でかわいらしいデザインが人気です

今回はそんな「よしざわ窯」へお邪魔して、お話を伺ってまいりました。「よしざわ窯」の人気の秘密に迫ってみようと思います。

色合いも鮮やか。一風変わった形のお皿も人気です
色合いも鮮やか。一風変わった形のお皿も人気です
食材を載せるとさらに映えます
食材を載せるとさらに映えます

「なんでもやってみよう」とネットショップからスタート!

「よしざわ窯」代表の吉澤泰久さんにお話を伺いました
「よしざわ窯」代表の吉澤泰久さんにお話を伺いました

もともとサラリーマンだった吉澤さん。益子焼の窯元だった両親は個人で器を制作し、益子町で開かれる陶器市などで販売していたのですが、2006年そろそろ引退というタイミングで引き継ぐことになりました。

奥さんの出産を機に2003年に開設したネットショップ「on the table」を一緒に運営する形で試行錯誤が始まります。「器の制作からネットショップの運営までなんでもやってみよう」という気持ちでした。

創業メンバーで現在もデザインを担当する成良恵奈さんなど、制作者やホームページを運営する人など分担制ができあがり、今に至ります。

「そこに成良がいたのが後々大きかったですね。デザインをきちっとやってくれる人がいたから、いろいろなことが自由にできました。どんなアイデアでも、きちんとデザインされているお皿ができるようになったのが大きい」と吉澤さんは言います。

成良さんがいたことで自由にできた。いったいどういうことでしょうか。

社員のアイデアから生まれた鳥鉢

成良さんが全てのデザインを担当しているのかというと、どうやら違うようです。最初に変わったデザインの器を考えついたのはパートタイムで仕事をするの事務職の女性だったそうで‥‥。

「”鳥鉢”ということで鳥の形をした”取り鉢”を作ったら、というアイデアが出たんです。それを成良がイラストに起こしてくれた。うちの器はそんなふうに、誰かのアイデアをバトンリレーするように作っていくことが多いですね」

取り鉢だから鳥の形
取り鉢だから鳥の形

アイデア自体は「よしざわ窯」で働いている皆さんから生み出されます。それを取りまとめるのは成良さんを含めた女性3人のデザイン部です。企画会議のようなものはありません。アイデアの元となる言葉や写真、イラストから図面に起こして、形にしていきます。

吉澤さんは成良さんと保育園から高校までずっと一緒だったそうです。成良さんは造形作家としても活動しており、個展も開いています。ただ、デザインの勉強をしていたわけではなく、全部独学。ほかの2人は主婦のデザイナーです。彼女たちは石膏の型作りから見様見真似で学びながら、今までやってきたそうです。

「みんなで『こういうのいいよね』『ああいうのいいよね』と言いながら進めていきます。時には成形段階で変えてしまうこともあります。その辺はカチッと決めていません。合理的に進めているわけではなく、途中で感覚的に制作を止める場合もあります」

アイデアから図面に起こします
アイデアから図面に起こします

さらに吉澤さんは「言語的なアイデア、もしくはアイデアの欠片みたいなものをかなり無責任に投げっぱなし。でも、デザイン部の3人がちゃんと器として成り立つ、デザインとして成り立つものにしてくれます。実際に形にしていくなかでの修正能力は相当高いですね。3人を信頼しています」と語ります。

女性スタッフが3分の2!使う人の目線で生み出される器の魅力

よしざわ窯で働くスタッフの3分の2は女性です。フットワーク軽く、アイデアがあがった時点で「まずはやってみよう」と動き始めます。

女性スタッフが多い「よしざわ窯」
女性スタッフが多い「よしざわ窯」

「家事の中でも、“毎日の料理”は重い課題です。お客さまから『そこそこな料理が器で助けられました』という声をいただき、勇気づけられました。それはうちの妻もよく言っています。それくらい器には日々を助けるパワーがある」

スタッフは自身の毎日の家事の中から、「こんな器があったらいいのに」を商品のアイデアにしていくことが多いそう。使う人の立場に立って考え抜かれた器が使う人に選ばれる。よくよく考えてみれば、これは必然の結果なんですね。

レモンのお皿です。カレーを入れるもよし。サラダを入れるもよし
レモンのお皿です。カレーを入れるもよし。サラダを入れるもよし

料理を載せてこその器

よしざわ窯のネットショップ「on the table」では“器は食卓で使ってこそ”という意味合いが込められています。よしざわ窯の器は料理と常にセット。使うということをかなり意識して作っているそうです。

「料理のアイデアから器に落とし込むというケースもありますが、後からどんな料理を載せられるのかを考えることもあります。そのへんもかなり曖昧。一生懸命いろんなものを載せてみて、これは何に使ったらいいのか。ネットショップでは必ず、使い方と一緒に提案しています」

「お皿は料理と常に組み合わせ」と吉澤さん
「お皿は料理と常に組み合わせ」と吉澤さん

カレーを食べるときにいいのか。サラダを食べるときにいいのか。はたまた麺類を食べるときにちょうどいい深さなのか。皆で話し合います。さらに「よしざわ窯」ではホームページやSNSで、自社の器にどんな料理を載せたらいいのか、提案もしています。最近では、ホームページを作るための写真スタジオも新設したといいます。

自然光がたっぷり入るホームページ制作スタジオ
自然光がたっぷり入るホームページ制作スタジオ

益子の土があったからこそ、このデザインが出来上がった。

さて、工場を見学させていただきましょう。

よしざわ窯では石膏型の上に粘土の生地を当てる、たたら作りで器を製作しています。ろくろでは丸いものしか作ることができませんが、たたら作りはさまざまな形の器を作ることができるので自由度が高いのが特徴。よしざわ窯のような凝ったつくりの器に適した作り方といえます。

石膏型を緻密に作り上げます
石膏型を緻密に作り上げます

ちなみに、益子の土は砂気と鉄分が多いそうです。そのため、やや厚手でごつごつした質感を持っており、出来上がりはボテッとした感じのものになります。「これがたたら作りと相性が良かった」と吉澤さんは言います。益子という土地だからこそ成り立つデザインでもあったわけです。

石膏型の上に粘土を上に当てます
石膏型の上に粘土を上に当てます

アイデアはざっくりと。生産管理はきっちりと。

製作は全て分担制。それぞれ1日に何個作ったかという表があるそうです。アイデアを考えるときは「ざっくり」でも、正確さやスピード、生産管理に関しては効率性を追い求めています。

窯の部屋に行くと、素焼きや本焼きを待つ器が大量の台車に乗せられています。地面にはレールのようなものが引かれており、焼きあがったらいつでも入れ替えられるようになっています。

大量の器が窯焼きを待っています
大量の器が窯焼きを待っています

「器の価格をリーズナブルにするために、どれだけロスを減らすか、どれだけ作った商品を無駄なく、寝ている状態なく窯から出して商品化できるか。こだわってきました」と吉澤さん。

2つの窯で効率的に焼き上げます
2つの窯で効率的に焼き上げます

よしざわ窯はネットショップを中心に販売をしています。決済方法は先払いで、お客さんからお金をいただいて、出来上がったものをすぐに発送する仕組み。売り切れの場合も、メールマガジンに登録していれば再入荷情報がお知らせで届く。そうやって、できるだけ在庫ロスや売り逃がしを防いでいるのです。

ネットショップだからできたこと

さかのぼること2000年代。器が売れなくなった時期がありました。ここ、益子にはたくさんの販売店がありますが、お店の棚はどこもすでに腕利きの陶芸家や工房の作品がひしめき合っている状態。売り先をどうしようか悩んでいるときに吉澤さんが出会ったのがネットショップでした。

「ネットショップと出会ったことが大きかった」と話す吉澤さん
「ネットショップと出会ったことが大きかった」と話す吉澤さん

「個人のお客さまへ、ギャラリーや百貨店で取り扱われている高級な器だけでなく、私たちが作っているようなもうちょっと安くて手作り感のあるものをお届けしたかったんです。

これまで多くのお客さんに向き合うには、東京へ行くしかなかった。でも、ネットであれば田舎からでも発信できます。誰にお礼を言ったらいいか、わからないですけどね(笑)」

インターネットやSNSを積極的に活用することで、よしざわ窯のかわいらしい器たちを求める人々の心に刺さり、人気の窯元となりました。

使う人の実感を元にスタッフがアイデアを生み出し、デザイン部が取りまとめる。作ったものはしっかりと在庫・流通管理をしてお客さんに届ける。今の時代に合わせるようにフレキシブルな体制を作り上げていったのです。

スタッフたちが力を合わせて一つの「作品」を仕上げていく。だからこそ、温かみのある器が提供できているのでしょう。

<取材協力>
よしざわ窯
栃木県芳賀郡益子町益子3546
0285-77-0880

文:梶原誠司
写真:長谷川賢人(1、4枚目はよしざわ窯ご提供)

*こちらは、2019年5月3日の記事を再編集して公開いたしました。

【わたしの好きなもの】仕事の時間のチョコレート

仕事の時間を応援してくれます!


もともと、チョコレートは好きでした。
カバンの中や会社の机の中には、ストックしておきたいタイプです。

そんな私の最近のお気に入りは、クラフトチョコレートメーカーのMinimalさんとのコラボ商品
「仕事の時間のチョコレート」。
その理由は、チョコレートへのイメージが変わったからです。




<チョコレートは、フルーツでした。>
Minimalさんのホームページには、こんな言葉がのっています。
「本当かなぁ」と一度Minimalさんの直営店に足を運び、
何種類か試食させていただいて、驚きました。
原材料はカカオ豆と砂糖だけなのに、
豆の種類がちがうだけで本当に香りが変わります。
Minimalさんは、世界中のカカオ農園に直接足を運び、品質の良いカカオ豆を自ら選び仕入れています。
良質なカカオ豆の個性を表現する事を追究し、自社工房で職人がカカオ豆から
一枚のチョコレートの板になるまで、すべて手仕事で製造し、販売しています。




そして「ザクザク」とした食感!
カカオ豆本来の香りを引き出すために生まれた、独自製法によるものだそうです。
”カカオ豆””カカオ濃度””焙煎具合”それぞれが少し異なるだけで、
味や口の中の香りの残り方がまったく変わります。

チョコレートって、口当たりがなめらかで、甘いもの。
そんなイメージが変わりました。
もっと奥が深くて、面白いものだったのです。
丁寧なものづくりって、価値観を変える強さがあるのだと改めて感じました。

中川政七商店とのコラボ商品「仕事の時間のチョコレート」は、スッキリした酸味が特徴。
そして、70%というハイカカオなのに美味しい!
「仕事の時間」に食べてちょうどいいチョコレートは、
・気分を切り替える →チョコレートの酸味
・集中力を高める →チョコレートのカカオ濃度
・気持ちを落ち着かせる→チョコレートの深いコク
・糖分を補給する →チョコレートの甘味
これらを考え抜いて作られているんです。




・酸味の強さでリフレッシュを引きだたせるために高級チョコレートの深い甘味と酸味をもった
カカオ豆である「ドミニカ共和国」シングルオリジンを採用
・集中力を高めるために「ハイカカオ」と呼ばれるカカオ濃度70%に
・浅煎でも深煎でもなく「中煎」にすることで、チョコを食べた後、カカオの香りの余韻をちょうど良い長さを残す
・Minimalのチョコの形状が会話をつくりコミュニケーションを活性化させる
こんなこだわりがぎゅっと詰まった、1枚のチョコレート。




仕事で煮詰まって気分を切り替えたい時、集中力を上げてもう少しがんばりたい時、
机の引き出しの中から出てきて、私を応援してくれています。

日にちが近づく、バレンタインデーやホワイトデ―。
今年は、「仕事の時間のチョコレート」をプレゼントしたいと思います。
そして、誰か私にもプレゼントしてください!

編集担当 立石