ローストビーフからバームクーヘンまで!ものづくりの町が提案する新しいバーベキューグッズ

こんにちは、さんち編集部の尾島可奈子です。
ゴールデンウィークも後半戦、今は旅の空、という人も多いのではないでしょうか。気持ちの良いレジャーシーズンの到来です。野外での楽しみといえば、子供も大人も人気なのがバーベキュー。最近では燻製やチーズフォンデュなど、楽しみ方の幅もどんどんと広がっています。そんな中、金属加工の街として名高い新潟県燕三条で、産地の技術を活かした新しいBBQ道具が開発されているとのこと。ものづくりの町発のバーベキューブランド「TSBBQ」のデビューを追いました。

日本人の6人に1人はバーベキュー好き

2014年のレジャー白書によると、国内のバーベキュー人口は約2100万人。日本人のおよそ6人に1人は年に1度バーベキューを楽しんでいる計算になります。最近の意識調査ではその魅力として「食事が普段より美味しく感じる」ことを理由に挙げる人が最も多く、サイドメニューも充実したパーティー形式のバーベーキューが特に女性から人気を集めています(バーベキュー情報サイト「BBQ GO!」調べ)。単なる野外で焼肉、から、いわば「女子会バーベキュー」に、人気がシフトしてきているんですね。

それは1本の問い合わせから始まった

こうした中、古くから金属加工の技術が発達してきた新潟県・燕三条で和包丁やアウトドア製品を企画製造する株式会社山谷産業のWEBショップ「村の鍛冶屋」に、ある1本の問い合わせが入ります。

「バーベキューの網の上で本格的なローストビーフを焼けるような道具がないか?」

野外で火を使うバーベキューには、丈夫で加熱に耐える、金属製の調理道具が欠かせません。長年その鍛治の技術でアウトドア製品を作ってきた山谷産業さんに、ユーザーの「こんな道具がないかな」の声が届いたのでした。

ちょうどこの頃、三条市が開催していた経営セミナー「コトミチ人材育成講座」で、山谷さんは新潟市でデザイン会社を営む石川さんと出会っていました。このユーザーの声を、単に商品化して終わらせるのではなく、今ものづくりの町として認知されはじめている「燕三条」発のバーベキューブランドとして、世に送り出すのはどうだろうか。話はまとまり、燕三条発のバーベキューブランド、「TSBBQ(ティーエスビービーキュー)」が誕生します。

ブランド名の秘密

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ブランド名の「TS」には、バーベキューシーンがもっとオシャレに楽しくなるようにと、「Try Stylish」の意味が込められています。そして同時に、TsubameSanjoの頭文字でもあります。

ものづくりの町燕三条の大きな特徴は、金属加工のメーカーさんだけでなく、金属の研磨や包丁の柄などに使う木工のメーカー、商品を入れる梱包資材屋さんなどが産地の中に全て揃っていること。

「全ての工程を半径10km以内でできることが強みです。一企業のブランドではなく、様々な工程を担うメーカー同士が一体となって発信している産地全体のブランドとして、TS(燕三条)の名を冠しました」

取材にあたり山谷さん、石川さんが語られた言葉です。「TS」から始まるブランド名には、単に地名を冠しただけでない、産地のものづくりへの思いと自信が込められていました。ブランドロゴは、三条の「三」の線の上を、燕が滑空する姿が描かれています。その線の交差が、バーベキューに欠かせない金網を表します。

焼肉と違うバーベキューの楽しみ方

こうして第1弾として開発されたローストスタンドは、バーベキューの網の上に設置して、手回ししながらじっくりとお肉を焼くという、焼いている時間も楽しめる道具です。

第1弾のローストスタンド。剣先に肉を刺して焼きます
第1弾のローストスタンド。剣先に肉を刺して焼きます
分解するとこんな感じ。持ち運びもコンパクトなように作られています
分解するとこんな感じ。持ち運びもコンパクトなように作られています
しっかり肉を巻いて‥‥
しっかり肉を巻いて‥‥
持ち手を回して、焼き加減を見ながらじっくり焼きます
持ち手を回して、焼き加減を見ながらじっくり焼きます

ここで少し日本のバーベキュー文化について触れておくと、日本では室内での焼肉と同じく、焼きながら食べるスタイルが一般的ですが、バーベキュー発祥の欧米では、実は素材を全て焼いてからきれいにお皿に盛り付けて一斉に食べるのがスタンダード。日本バーベキュー協会によると、日本では焼きながら食べるために「おいしく食べる」ことに重点が置かれますが、一方の欧米、特にアメリカでは、食べ始めるまでの間、調理もパフォーマンスとして演出し客人をもてなすため、「焼いている時間も楽しむ」ことに重きが置かれていると言います。そうした視点で今回のローストスタンドを見てみると、今までの日本のバーベキューにはなかった、欧米スタイルのバーベキューの楽しみ方ができる道具と言えそうです。

出来上がるまでもエンターテイメント
出来上がるまでもエンターテイメント

そしてこのスタンドのもう一つの魅力は、ローストビーフだけでなく他の食材にも応用できること。なんとバームクーヘンを作ることだってできてしまいます!

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焼きたてホカホカをどうぞ
焼きたてホカホカをどうぞ

ものづくりの町とバーベキュー。一見かけ離れた存在に見えますが、人が楽しいと思う瞬間や場所のそばに、役に立つ道具がある、そんな作り手と使い手のいい関係がもうひとつ、始まろうとしているのかもしれません。


「TSBBQ」 http://www.yamac.co.jp/tsbbq/ (5月24日よりサイトオープン)

・販売店舗:WEBショップ「村の鍛冶屋」本店・楽天店・yahoo店・Amazon店
・販売開始日:2017年5月24日
・お問い合わせ:tsbbq@yamac.co.jp
・第1弾「ローストスタンド」

実際の商品は持ち手がこのように落ち着いた色味になります(抗菌炭化木)
実際の商品は持ち手がこのように落ち着いた色味になります(抗菌炭化木)

<取材協力>
株式会社山谷産業
株式会社フレーム

<参考>
日本バーベキュー協会

BBQ GO!「バーベキューに関する意識調査2016」


文:尾島可奈子

鎌倉観光におすすめの、小町通りにある土産・雑貨店「鎌倉八座」

こんにちは。さんち編集部の西木戸です。
「さんち必訪の店」。産地のものや工芸品を扱い、地元に暮らす人が営むその土地の色を感じられるお店のこと。
必訪(ひっぽう)はさんち編集部の造語です。産地を旅する中で、みなさんにぜひ訪れていただきたいお店をご紹介していきます。
今回は、2017年3月末に鎌倉・小町通りにオープンしたばかりの「鎌倉八座」をご紹介します。

鎌倉駅東口を出て、鶴岡八幡宮に続く小町通りを進むこと約3分。賑わう小町通りの角に、藍色の看板の「鎌倉八座」が見えてきます。

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内装や商品でも使われているイメージカラーの藍色は、鎌倉時代の武士に「勝ち色」と呼ばれ、縁起がいいとされていた色。湘南在住の藍染ユニット、Litmusさんによる藍染暖簾も素敵です。

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「鎌倉八座」は、“八百万の神奈川土産と、「八」にかけた末広がりの縁起もの”と出会えるお店。鎌倉は、鶴岡八幡宮のお膝元であったり、八福神がいると言われていることもあって、「八」がコンセプト。お店の中央にある什器が八角形になっている他、ロゴ、商品、商品掛けなど「八」にちなんだ縁起のいいもので囲まれています。

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また、「鎌倉八座」という店名には、古都・鎌倉の歴史に紐付く意味合いも。
武家政権の中心地として発展した鎌倉には、幕府に商売の権利を保護された7つの商いの場がありました。絹座、炭座、米座、檜物座、材木座、相物座、馬商座など、業種によって分かれており「鎌倉七座( かまくらしちざ )」と呼ばれたそうです。今でも鎌倉の地名として残っている「材木座」は、文字通り材木を扱う場所だったのでしょう。材木座海岸の東側にある和賀江島( わかえじま )は、材木を集散する貿易の拠点となっていた国内最古の築港( 人口の港 )遺跡。今でも潮干時に見ることのできるたくさんの小石は、その跡だと言われています。

和賀江島にある石碑には、材木座に関する由来も。

和賀とは今の材木座の古い名前であり、この場所が昔はいかだ木が集散する港だったことから、やがて現在の名がつけられるようになった。和賀江島は、その和賀の港の出入り口に築かれた堤を言い今から694年前の貞永元年に、勧進聖人往阿弥陀仏の申請を受け平盛綱の協力を得て7月15日に起工し8月9日に完成させたものである。
参考サイト:鎌倉市HP

「鎌倉八座」は、そんな商業が花開いた歴史ある町・鎌倉で、地域の工芸や食材をはじめ、鎌倉のモチーフや四季を感じられる「土産もの」を揃えた8つ目の新しい商業になる、という意味も込められているのだそう。
地元に古くから続く技術と、現代の新しいものづくりが組み合わさった土産ものが揃っています。古都でありながらも、新しい文化が発展し続ける鎌倉らしいです。
鎌倉の伝統技術を用いて作られた工芸品や、八幡さまの使いであり平和の象徴とされる「鳩」をモチーフにした商品、漫画「オチビサン」の限定アイテムなど、「鎌倉八座」でしか手に入らないオリジナル商品にも注目しながら、気になった商品を紹介していきます。

鳩しるべ

陶器でつくられた鳩の中に、おみくじが入っている「鳩しるべ」。鎌倉の「鶴岡八幡宮」の他、京都の「石清水八幡宮」、大分の「宇佐神宮」など、全国に多数点在している八幡宮ですが、これらの八幡宮を移動する際に道しるべとなったのが鳩だったことに因んで作られました。鎌倉名物に因んだ言葉でお告げが書かれています。

鳩しるべ : 各450円(税別)
鳩しるべ : 各450円(税別)

オチビサングッズ

鎌倉のどこかにある「豆粒町」を舞台にした、安野モヨコさんによる漫画「オチビサン」。鎌倉に住んでいた安野モヨコさんが四季折々の自然や文化を描いています。これまで、オチビサンのWEB SHOPのみで展開していた限定グッズが、初めて実店舗に登場です。アイテムの一例、オチビサンの御朱印帳。四季の草花をイメージしたリースの中でオチビサンたちが遊んでいます。

オチビサンの御朱印帳 : 2400円(税別) ※赤のくみひもは付きません
オチビサンの御朱印帳 : 2400円(税別) ※赤のくみひもは付きません

鎌倉の手彫り豆皿

鎌倉の伝統工芸「鎌倉彫」の工芸士・遠藤英明さんによる鳩の豆皿。一つひとつが手作業で掘られています。丸みを帯びたフォルムがかわいいです。対になった形をセットにして贈りものにも。生漆(茶)と白漆(白茶)で仕上げた2種類です。

鎌倉の手掘り豆皿 : 各4,000円(税別)
鎌倉の手掘り豆皿 : 各4,000円(税別)

鎌倉 ハニカムコーヒー

3分ほどで一気に焙煎するのが一般的なコーヒー豆ですが、ハニカムコーヒーは低温で20分ほど時間をかけて焙煎。豆の持つ苦味の旨さと柔らかさを調整しながら、ていねいに焙煎されたコーヒー豆です。北鎌倉の焙煎工場「ベルタイム」と一緒に作った「鎌倉八座ブレンド」です。

鎌倉 ハニカムコーヒー : 640円(税別)
鎌倉 ハニカムコーヒー : 640円(税別)

鎌倉ハト豆

子ども達にひもじい思いをさせたくないと、平和を願い作られた”ハトマメ”。130年間作り続けられている「ハト豆」は、今でも手作業で作られており、永らく福岡県朝倉のみで販売されていましたが、この度はじめて、平和を願う思いと八幡さまの鳩に縁を感じ、鎌倉八座限定で販売です。オリジナルのパッケージで展開します。

鎌倉ハト豆 : 300円(税別)
鎌倉ハト豆 : 300円(税別)

藍色だるま

平塚市にある、創業150年のだるま屋・荒井だるま屋さんと作った、藍色のだるま。藍色は鎌倉時代、武士たちに「勝ち色」とされ、縁起のよい色とされてきたそうです。末広がりの八の字が胸に入っています。

藍色だるま 大 : 2,000円(税別)/小 : 1,000円(税別)
藍色だるま 大 : 2,000円(税別)/小 : 1,000円(税別)

湘南手捺染 鳩菱紋(はとびしもん)

平塚市にある手捺染工場で、昔ながらの技法を用いて一反一反ていねいに手染めされたテキスタイルを使ったシリーズ。八幡さまの使いである鳩を、子孫繁栄・無病息災に無病息災に通じるとされる「菱紋」に見立てた縁起の良い文様。鎌倉で時々見かける、愛らしくもお騒がせなリスも時々登場しています。

八の字型の袋と鳩テキスタイルの2つの「ハ」が合わさった「八重ご縁守り」。お清めした5円玉を納めて身につけることで、末広がりにご縁が訪れるよう願いが込められています。

八重ご縁守り : 800円(税別)
八重ご縁守り : 800円(税別)
ペットボトルカバー、御朱印帳、ギャザーポーチ、小銭入れ、定期入れ、香袋などの、日常的に使えるアイテムが揃います
ペットボトルカバー、御朱印帳、ギャザーポーチ、小銭入れ、定期入れ、香袋などの、日常的に使えるアイテムが揃います

鎌倉にちなんだお土産の揃う「鎌倉八座」は、誰かへのお土産に加えて、鎌倉観光の思い出として自分の分も持ち帰りたくなるような商品がたくさんありました。
明月院・長谷寺・成就院といった紫陽花の名所も見頃を迎える時期です。お出かけ際には、「鎌倉八座」へも足を運んでみてはいかがでしょうか。

鎌倉八座

鎌倉市小町1-7-3
0467-84-7766
営業時間 : 9:30〜18:30

文 : 西木戸弓佳
写真 : Nacása & Partners Inc.

【はたらくをはなそう】EC課 今井晃子

今井晃子
(デジタルコミュニケーション部 EC課)

2015年入社。

アパレル系通販会社での経験を活かし、WEB特集の企画制作をはじめ、
商品情報の登録や画像加工など、中川政七商店オンラインショップの運営、
FacebookやTwitter、LINE@など各種SNSの更新を担当。

中川政七商店に中途採用で入社して、もうすぐ丸2年を迎えようとしています。

どこで働いたとしてもいつも思うのは「最低限のちからで最高の成果をあげる」こと。
あたり前だしそれができれば苦労しないのですが、できるできないはさておき、
はたらく上で心がけている、わたしの小さな心持ちです。
ここで忘れてはいけないのが、「絶対に無理はしないこと」。
続ける、続けたい仕事ならば、「嫌いになるほどがんばらない」のがポイントです。

社会人になって初めの頃は、プライドが高く、無理をしてでも
目の前の仕事をこなしていましたが、最終的に抱えきれずに
当時の同僚や先輩方にご迷惑をかけた記憶があります。
今思ってもとても効率の悪いはたらき方をしていたな、と反省しています。

「最低限のちからで最高の成果をあげる」こと、は必ずしも自分ひとりで!
ということではありません。頼れるチームがあるなら大いに頼ろうという
図々しさも含まれています。
困ったときはお互い様の精神は、損得なしで助け合える最高の合言葉。

中川政七商店ではたらいていて、恵まれてるな~と感じるのは
助け合える環境や仲間、相談できる上司ができたことです。
あとは自分ができる仕事を全力で取り組むだけで、最高の成果があげられるはず。

少々他力本願な聞こえ方になったかもしれませんが、
会社は人でできていると思っているので、ひとりで頑張っても
あまり大したことはできません。
チームの一員として最高の結果を得られるように、
これからもこの場所でかんばっていこうと思います!

炊事、洗濯、掃除、工芸。「洗濯板」

こんにちは。中川政七商店のバイヤーの細萱です。
初夏を迎え、日中は暑いくらいの陽気になってきましたね。季節の変わり目に、洋服をせっせと衣替えしています。冬のアウターやニットはなるべく4月中に片付けを。ニットは毛玉を取って、家で洗う方がふんわり仕上がるような気がするので、もっぱら家洗い派です。とは言え、洗濯機の手洗いモードで、ネットに入れてニット用洗剤で洗うので楽ちん。コートも手持ちのものは家で洗えるものが多く、ほとんどクリーニングに出しません。

あと、長袖であまり着なくなるシャツと、これから着たい夏用のシャツがあります。当たり前かも知れませんが、一度でも着たシャツは綺麗に見えても仕舞う前に洗います。普通に洗濯機で洗えば良さそうですが、襟や袖口の汚れが意外に頑固で、白や淡い色物は、うっすら汚れが残ることもあって気になります。そのまましばらく仕舞い込んでいると、襟袖の黄ばみが気になることはありませんか?皮脂汚れが時間の経過と共に酸化して黄ばみとなるようです。特に男性や代謝の活発なお子さんの皮脂汚れはしっかりと落としておきたいものです。

洗濯機や洗剤が進化しても、私が一手間掛けるのに利用してるのが、洗濯板と固形洗濯石鹸。何ともアナログな道具です。部分洗い用の小さな洗濯板を使って、襟袖を石鹸で軽くこすり洗いしてから洗濯機で洗うと格段に汚れが落ちます。デリケートな生地にはあまり向きませんが、普段よく着る綿やしっかりした麻のシャツはすっきり綺麗になって気持ちが良いです。

愛用の洗濯板は、中川政七商店でも取り扱いをさせて頂いている「松野屋」さんのもの。栃木県で作られているブナ製です。固い木材なので強度があり、適度な重みで頼もしい存在感。昔ながらの道具ですが、今も使う人が結構いると見え、木製以外にプラスティック製も売られています。プラはまだ未体験ですが、軽くて手入れが楽なので、長期旅行に持参すると下着を洗うのに便利そうな。
洗濯機はもはや生活に欠かせないとても便利な家電ですが、より仕上がりの完成度を上げるのに超アナログな道具が手助けになるのは面白いなと思います。

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

文・写真:細萱久美

こんにちは。中川政七商店のバイヤーの細萱です。
初夏を迎え、日中は暑いくらいの陽気になってきましたね。季節の変わり目に、洋服をせっせと衣替えしています。冬のアウターやニットはなるべく4月中に片付けを。ニットは毛玉を取って、家で洗う方がふんわり仕上がるような気がするので、もっぱら家洗い派です。とは言え、洗濯機の手洗いモードで、ネットに入れてニット用洗剤で洗うので楽ちん。コートも手持ちのものは家で洗えるものが多く、ほとんどクリーニングに出しません。

あと、長袖であまり着なくなるシャツと、これから着たい夏用のシャツがあります。当たり前かも知れませんが、一度でも着たシャツは綺麗に見えても仕舞う前に洗います。普通に洗濯機で洗えば良さそうですが、襟や袖口の汚れが意外に頑固で、白や淡い色物は、うっすら汚れが残ることもあって気になります。そのまましばらく仕舞い込んでいると、襟袖の黄ばみが気になることはありませんか?皮脂汚れが時間の経過と共に酸化して黄ばみとなるようです。特に男性や代謝の活発なお子さんの皮脂汚れはしっかりと落としておきたいものです。

洗濯機や洗剤が進化しても、私が一手間掛けるのに利用してるのが、洗濯板と固形洗濯石鹸。何ともアナログな道具です。部分洗い用の小さな洗濯板を使って、襟袖を石鹸で軽くこすり洗いしてから洗濯機で洗うと格段に汚れが落ちます。デリケートな生地にはあまり向きませんが、普段よく着る綿やしっかりした麻のシャツはすっきり綺麗になって気持ちが良いです。

愛用の洗濯板は、中川政七商店でも取り扱いをさせて頂いている「松野屋」さんのもの。栃木県で作られているブナ製です。固い木材なので強度があり、適度な重みで頼もしい存在感。昔ながらの道具ですが、今も使う人が結構いると見え、木製以外にプラスティック製も売られています。プラはまだ未体験ですが、軽くて手入れが楽なので、長期旅行に持参すると下着を洗うのに便利そうな。
洗濯機はもはや生活に欠かせないとても便利な家電ですが、より仕上がりの完成度を上げるのに超アナログな道具が手助けになるのは面白いなと思います。

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

文・写真:細萱久美

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