海と桜と温泉と。港町に伝わるご当地ひな祭りを訪ねて

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
明日はひな祭り。といえば豪勢なひな壇飾りのイメージですが、日本各地にはちょっと変わったひな飾りがあるのをご存知ですか?地域のお母さんたちの手作りから始まって、今や全国から観光バスがやってくる一大イベントになった、伊豆稲取温泉の「雛のつるし飾りまつり」を訪ねました。

2月某日。ここだけ台風でも来ているんじゃないかという土砂降りの雨の中、海沿いを走る電車を伊豆稲取駅で降りて、アップダウンのある道を歩いて15分。一軒のお家を訪ねます。ここは伊豆稲取に伝わる「雛のつるし飾り」を製作する「ニコニコ会」さんの工房です。

「いやーすごい雨ねぇ、これじゃ桜も散っちゃうかしらねぇ」

会の取りまとめ役の齋藤さんが迎えてくれました。この時期、温暖なこのエリアでは早咲きの桜が咲くのです。伺った日にはもう若葉がのぞいていました。

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静岡県の中でも関東に近く、太平洋に突き出た伊豆半島は、温暖な気候で温泉も多く、一帯が昔からの観光地です。中でも半島の東側、東伊豆町に位置する伊豆稲取温泉は、おとなり河津町の早咲きの桜とともにこの時期、珍しいひな飾りが見られる町として人気を集めています。

晴れるとこんな気持ちの良い景色です。
晴れるとこんな気持ちの良い景色です。

ご自宅の一室を解放した体験教室の部屋に入ると、豪華なひな壇飾りと、部屋いっぱいに人形をつるした飾りが。あいにくのお天気を吹き飛ばすように華やかです。

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「昔はこのつるし飾りだけを、座敷に飾ったんですよ」

見入っていると、今日の体験教室の先生、久保田さんが声をかけてくれました。

「今のようなひな壇は、昔は裕福な家庭しか持てなかったんです。それを、せめてもと母親が自分の着物をほどいて人形を手縫いしたのが始まりと言われています」

見ると本当にいろいろな形の飾りがあります。それぞれに意味があるそうです。

「全部女の子の健やかな成長を祈った、縁起を担いだものなんですね。邪気を払うと言われる桃や、神様の使いと言われるうさぎ、早くおすわりができるように、足が丈夫になるようにと座布団や草履なども。稲取名産の、おめでたい金目鯛もありますよ」

ハート型の桃。
ハート型の桃。
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「全部で40種類くらいあります。つるすとだいたいひとつの高さが160~190cmくらい。必ず人形の数も紐の数も奇数と決まっているんです。縁起物なので、つないだ縁が『割れない』よう縁起を担いでいるんですね。基本的に人形の組み合わせは自由なんですが、作る人によっては下の方に海のものや地を這うもの、上の方に空を舞うものなど、工夫していますね」

他所で見つけたつるし飾り。地に植わる花や海中の亀が一番下にきています。
他所で見つけたつるし飾り。地に植わる花や海中の亀が一番下にきています。
こちらも他所で発見。お金に困らないよう、巾着もずっしりと一番下に。
こちらも他所で発見。お金に困らないよう、巾着もずっしりと一番下に。

桃の節句ということで、私は桃の飾りづくりを体験させてもらいました。まずは生地選びから。

体験支度中の齋藤さん(左)と久保田さん(右)。
体験支度中の齋藤さん(左)と久保田さん(右)。
この組み合わせに決めました。
この組み合わせに決めました。
こちらも、三つ桃(みつもも)という桃の飾りの一種。
こちらも、三つ桃(みつもも)という桃の飾りの一種。
このように三角に折り合わせて縫っていきます。
このように三角に折り合わせて縫っていきます。

針と糸を持つのも久しぶりです。たどたどしく縫っていると、じゃあ、ここは私やろうか、と久保田さんが助け舟を出してくれます。その手が早い、早い。

一針一針返し縫いにしていきます。
一針一針返し縫いにしていきます。

「孫が生まれたらみんなで集まって縫ったり、注文が入ればみんなで担当を分けて縫うんです。ひとりの人が同じ人形をまとめて作った方が効率がいいでしょう」

ニコニコ会さんをはじめ稲取にはつるし雛の保存会が4つあり、この後取材に向かうつるし雛の展示施設などで売られる、商品づくりも請け負っています。つるし雛の存在が知られるようになってからは、「うちにも欲しい」と全国から注文が入るそうです。地域のお母さんたちで、今はお土産ものとしてもつるし雛を作っているのですね。

綿を詰めて…
綿を詰めて…
紐を通して、
紐を通して、
引っ張ると…
引っ張ると…
完成です!
完成です!

だいぶ久保田さんに手伝ってもらいましたが、自分の手でつくったものはやはり愛おしいです。

もう1種類、三つ桃(みつもも)も同じ要領で完成です。
もう1種類、三つ桃(みつもも)も同じ要領で完成です。

「地域の学校に年に1度教えに行ったりもしているんですが、女の子も男の子も喜んで作りますね。この地域の子供達は、みんなつるし雛の作り方を知っているんですよ」

外はまだざぁざぁ降りの雨ですが、お昼からは晴れるとの予報。

「旅館組合の村木さんが案内してくれるから、『雛の館』と『むかい庵』に行ってみて。すごい飾りがあるから!」

笑顔で送り出されて、雨の中を駆け出しました。

銭湯でアート鑑賞?強くて美しいタイルの世界

こんにちは。さんち編集部です。
大のお風呂好きと言われる日本人。子どもの頃父に連れられて行く近所の銭湯は、父にとっても私にとってもちょっとした贅沢の時間でした。最近はずいぶんその数も減ってしまった銭湯ですが、銭湯巡りが好き、という人が周囲にひとりはいますし、京都には元銭湯を活かしたカフェもあるそう。特にそのタイルアートが美しく、人気と耳にしました。今日は銭湯に行ったつもりで、湯船の向こうに覗く美しきタイルアートの世界を訪ねてみたいと思います。

京都、元銭湯を活かしたカフェ「さらさ西陣」へ

まず伺ったのは京都の「さらさ西陣」さん。元銭湯を活かしたカフェとして人気を集めています。

手前に自転車がたくさん停まっているのも、京都らしいですね。
手前に自転車がたくさん停まっているのも、京都らしいですね。

京都市北区、最寄りの千本鞍馬口のバス停から歩いて7分ほど。到着したお店は、その外観、まさしく銭湯です。わくわくしながら中に入ってみると…

高い天井、真ん中で大きく仕切られた空間。まさしく、銭湯です。そして壁一面のタイル、タイル。こちらに勤めて10年になるという店長の尾崎さんが迎えてくださいました。

脱衣所の鏡がそのまま残されています。奥が湯船だったところ。少し段差があります。
脱衣所の鏡がそのまま残されています。奥が湯船だったところ。少し段差があります。
男湯と女湯を仕切る壁が半分取り払われて、程よい間仕切りに。
男湯と女湯を仕切る壁が半分取り払われて、程よい間仕切りに。
こんなところに、元銭湯の名残が。
こんなところに、元銭湯の名残が。

尾崎さんはもともとこの近くのご出身。子供の頃にこのご近所の銭湯(船岡温泉と言って、こちらも素敵です)に通ったこともあったそうです。「さらさ西陣」は、京都市内に数店舗を構えるカフェサラサの2号店で、オープンして今年で16年になります。

「実は、銭湯でカフェがやりたくてここをオープンしたわけではないんです。もともとここは藤の森温泉という銭湯でした。銭湯が役目を終えて取り壊しの話が出た時に、当時1号店を開いていたオーナーに『こういう場所があるんだけど』と声がかかったんです。サラサは複数店舗ありますが、既にある場所を生かすのがお店を開く条件です。ここの場合は、銭湯がそのままコンセプトになったんですね」

建物のつくりは当時のままだという店内は、学生さんや主婦の集まり、常連さんのおじさんまで、幅広い層の方が思い思いにくつろいでいます。その壁面は一面のタイル張りです。マジョリカタイルと呼ばれる、今では使用禁止の鉛の釉薬が使われた古い時代のタイルが見所です。

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男湯側へのアプローチには、のれん風の「ゆ」の手ぬぐいが。なんとなくこちらの方が男性が多い?
男湯側へのアプローチには、のれん風の「ゆ」の手ぬぐいが。なんとなくこちらの方が男性が多い?
かつての番台のそばに、不思議な置物が。
かつての番台のそばに、不思議な置物が。

体重計のような、秤のような面白い置物を見つけたので、これも当時のものですか、と伺うと、あれは音楽を流すスピーカーですよ、と意外な答えが変えってきました。以前からあったように馴染んでいます。

「空間としてすでに出来上がっているので、後付けでいろいろと持ってきても馴染むんですね。うちは看板メニューを売りにしているわけでもなく(しいて言えば牛スジチャーハンかな、と教えてくれました)、ただ料理も空間も、安心してくつろげることを心がけています。他のお店との違いはやっぱりこの場所が持っている力です」

思えばかつて銭湯はご近所さん同士の社交の場。カフェという人が集って憩う場所にぴったりの空間かもしれません。それにしても、場所の持つ力ってなんでしょう。「さらさ西陣」さんでは時折ライブも行われるとのこと。昔その耐水性や丈夫さから銭湯に使われていたタイルが、今はその見た目の美しさや音の反響性がこのカフェで活きています。タイルのある空間が、どうして今人を惹きつけているのでしょう。もう少し、調べてみようと思います。タイル専門の博物館があると知って、岐阜県は多治見を訪ねました。

3月の桜

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

3月は桜。そろそろ開花予報が流れ出す頃です。日本人がこよなく愛する春の顔。その膨大な注文を受けるため、清順さんが代表を務める「そら植物園」では毎年、長野での「桜の枝切り合宿」で新年が始まるそうです。5日間で数千という枝を目利きするという清順さんに、早速桜のこと、伺っていきましょう。

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◇3月「桜」

前回も少し触れましたが、昔の日本でお花見といえば梅でした。梅から桜に取って替わったのは平安の頃から。庶民の間に広まったのは江戸時代頃だと言われています。

桜という名前の語源は、「さ」が田畑の神様、「くら」が神様が鎮座する場所。神様は大のお酒好き、お祭り好きです。桜の木の下で宴を開くことが、自然と農耕の始まるこの季節の行事になっていったんだと思います。

今回季節鉢に選んだ桜は「旭山桜」の盆栽仕立て。背丈が大きくならない矮性(わいせい)種ながらたくさんの花をつけるので、鉢に入れた状態で「小さな花見」を楽しむことができます。桜の魅力が凝縮された鉢です。水やりを忘れなければ、八重の大き目の花をたくさんつけてくれます。

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◇桜=日本のもの?

実は桜の起源も、日本とは限らないんですけどね。中国、韓国、ヒマラヤという人もいる。中国にも桜は自生するし、桜=日本のもの、とは決めつけない方がいいかもしれない。それでも、日本でもっとも愛でられた樹木であることには、変わりありません。神様が座る木がこれだと決めたというのは、それだけ別格だったということです。名前はそういう証拠やから。それじゃあ、また来月に。

(ひとこと)
プラントハンターは、初めて見た木が梅なのか桃なのか桜なのか、花も葉もない状態で一瞬でわからなければいけません。もっと言えば同じ桜でも何の種類か、いつ頃に、何色の花が咲くのか。一流のプラントハンターは、それが冬芽を見ただけで、パッとわかるんですよ。

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<掲載商品>
花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・植物(鉢とのセット):以下のお店でお手に取っていただけます。
中川政七商店全店
(阪神梅田本店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店は除く)
遊中川 本店
遊中川 神戸大丸店
遊中川 横浜タカシマヤ店
*商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋、花宇の五代目。
日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。日々集める植物素材で、国内はもとより海外からの依頼も含め年間2,000件を超える案件に応えている。2012年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、植物を用いたいろいろなプロジェクトを多数の企業・団体などと各地で展開、反響を呼んでいる。著書に『教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント』(徳間書店)、『プラントハンター 命を懸けて花を追う』(徳間書店)、『そらみみ植物園』、『はつみみ植物園』(東京書籍)


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「”お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。


聞き手:尾島可奈子

三十の手習い「茶道編」四、あらたまの年をことほぐ

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
着物の着方も、お抹茶のいただき方も、知っておきたいと思いつつ、中々機会が無い。過去に1、2度行った体験教室で習ったことは、半年後にはすっかり忘れてしまっていたり。そんなひ弱な志を改めるべく、様々な習い事の体験を綴る記事、題して「三十の手習い」を企画しました。第一弾は茶道編です。30歳にして初めて知る、改めて知る日本文化の面白さを、習いたての感動そのままにお届けします。

◇あらたまの年をことほぐ

1月某日。
今日も神楽坂のとあるお茶室に、日没を過ぎて続々と人が集まります。木村宗慎先生による茶道教室4回目。2017年最初のお稽古です。

お茶室に入ると、床の間の飾りがまず目に飛び込んできます。

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青竹に挿してある柳は、長く畳へと伸びています。上の方は輪っかに結ばれていました。ひとつずつ、宗慎先生が解説してくださいます。

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「これは結び柳。最近では料理屋などで飾られているのを見かけることが多いのですが、そもそもは御所の飾りから来ています。起源は諸説あるのですが、もともと中国では別れの際、また会えますようにとまじないの意味を込めて柳を結んだものを渡す習慣がありました。詩人の王維(おうい)が友人との別れを詠んだ漢詩にも『客舎青青 柳色新たなり(出立する宿のそばの柳が雨に濡れて青々として)』と柳が詠いこまれています。

柳という木は水辺にあるでしょう。空を目指してどんどん育っていくのに、葉は育つほどまたどんどん下に、水に触れるほど伸びる。空を目指していったものが再び下へと伸びてくるのが、生命の循環、無限のループのように思われたんですね。

床の間に結び柳を飾る時は、花筒のなかに水を入れてしまうとダメなんです。どんどん芽を吹いてしまいます。柳は切ったぐらいでは枯れません。それくらい生命力の強いものだから、あらたまの年をことほぐ時に柱に掛けて、魔除けと繁栄の願いを込めて作られていたんですね。新年の代表的な飾りもののひとつとして、好まれてきました。上からざっと下ろしてあるのは龍に見立ててあるともいいます」

もうひとつ、結び柳の横に掛けられたふさふさとした飾りは、蓬莱飾(ほうらいかざり)または掛蓬莱(かけほうらい)と呼ばれるもの。緑の長いひげのような部分は、ヒカゲノカズラ、という植物だそうです。

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「クリスマスリースの正式な材料ですね。クリスマスが本当は12月24日ではないって知っていますか?聖書にはキリストがお生まれになった日付の記述は、一切ありません。ローマ教皇庁が、後から決めた日付です。

クリスマスの直前に、二十四節気だと何がありますか?冬至ですね。1年で最も日が短い日です。ヨーロッパなど冬が暗く寒い地域は、春を待ちわびる思いが切実です。冬至は、この日を境に日が長くなる、いよいよ春がくるぞと祝う、大事な時期でした。その時に、光り輝く神の子がお生まれになる…と重ね合わせて、効果的な日付を考えたんですね。

ヒカゲノカズラは、名前の通り、日が全く差さないような森の中、ツタカズラのように生え広がって、真冬にも青々と緑の葉を茂らせます。それをたくましい生命の象徴であるかのように、昔の人が思ったんですね。柳と同じです。日本では、古くは御所の柱に、片一方は柳、一方はヒカゲノカズラが飾られたといいます。

こうした飾りには、生命力の強さだけでなく、異なるふたつのものが揃って初めてものごとが整うという考え方も込められているよう思います。異なるふたつ、すなわち「陰・陽」です。例えば掛蓬莱の元になった、正式な御所のかざりは“卯槌(うづち)”と言います。芯には魔除けの桃の木。固い木です。その周囲には柔らかくふわふわとしたヒカゲノカズラ。これは男女、のニュアンスをも含んだ陰陽の表現ではと思わせます。

御所を飾っていたものが、今では家々やお店に飾られている。お上で行われていたことへの憧れが、民間の暮らしにも落ちてゆき、取り入れられるわけです。いつ、なにをどうすればよいのか、こうしたしきたりを故実(こじつ)と言います。宮中で行われるものの場合は有職(ゆうそく)故実、江戸城などの典礼儀式の場合は武家故実と言います。11月の亥の子餅は武家故実と有職故実の両方にまつわるお菓子であったというわけですね。

一見、難しい故実を、暮らしに取り入れ、人へのもてなしに取り込んだりするのが、実に面白い。故実に込められたのは、古(いにしえ)の人たちの祈りにも似た想いです。そうした想いを受け取り、今に生かすことで、質・量のわかりやすい豊かさではなくて、様々なことが楽しくなるんじゃないかなと思います。新年は特にそういうものを意識します」

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床の間には麻苧(あさお・麻糸や麻生地の元となる)を使った「麻熨斗(あさのし)」が飾られていました。ご進物につける熨斗紙には簡略化されたアワビ熨斗があしらわれていますが、こうして三宝に熨斗を飾るというのは、部屋自体に熨斗が掛けてあることを示すそうです。自分が急に、美しく包装された贈りものの箱の中にいるように思えてきます。

「お茶の家だと炭を飾ったりもしますね。自分にとり、家にとり神聖と思われるものに改めて敬意を表する。新年に大切なことです。こういうものは気持ちの表れなので、他所と違っていてもいいんです。うちはこう、こちらはこういう理由でこの形なのだろうな、と思いを汲むことが大事。なんでもありなんです。でもなぜそうしたのかという理由やルーツをたずねるところが、面白いんです」

◇花びら餅に思う

「では、このあたりでお茶とお菓子を出しましょう。新年なのでお濃茶を差し上げようと思います」

オコイチャ、という耳慣れない言葉にこの先の展開をワクワクと見守るうち、本日のお菓子が運ばれてきました。新年最初のお茶会・初釜(はつがま)でいただく「花びら餅」。決まりごとで、独楽盆(こまぼん)という上から見ると独楽のように見えるかわいらしいお盆に盛られています。

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白い半月型のお餅の内に、うっすらと赤い色が透けて見えます。両側から出て見えるのは、ゴボウ?

いただきます、と菓子器を両手で持ち上げてから、懐紙を正面においてお菓子を取ります。こちらは餅菓子なので、楊枝で切らずに手でいただいて良いそうです。パクリといただくと、柔らかいお餅の中に、やはりゴボウの食感。少しの塩気と白味噌の餡の甘みと、くるくると口の中の変化を楽しみながら、あっという間に平らげてしまいました。

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「元は宮中で三が日の間に召し上がる『御菱葩(おんひしはなびら)』というお菓子が起源です。民間でいうお雑煮の、原型のひとつになっています。御所のお鏡餅は、白いまん丸のお餅を数枚重ねた上に、あずきで赤く染めた菱形のお餅を3つ、六角形に組み合わせて乗せるんです。ちょうど亀甲の形ですね。丸と角(亀甲)、かつ紅白です」

飾ってある餅は食べられないので、同じ思いで食べられるよう作り上げたのが、丸く白いお餅に菱形の赤く染めたお餅を入れた「御菱葩」。白い丸餅が天皇、赤い菱餅が皇后でしょうか。ここにも“陰・陽”です。あずきの赤色には魔除けの力があると信じられていたそうです。それにしてもなぜ、ゴボウが…?

「本来挟んであるのはゴボウではなく、押し鮎という発酵食品の鮎でした。その理由は諸説あってわからないのですが、神代の時代、神武天皇が日本の国を平らげる時に、鮎に道筋を教わったという話もあります。動物と植物とを合わせる、と見ることもできます。色々な陰陽を重層的に組み合わせてあるんですね。ところが、押し鮎は食べづらく美味しくない。そこで色が似ているという理由で、冬場に取れる京野菜の堀川牛蒡に変わりました。これも、固いものと柔らかいものの組み合わせです。夫婦和合、陰陽の和合を説く食べ物であったわけです。ときに古くからの宮中の行事はとてもプリミティブです」

本来宮中の流れを汲む行事食が今の花びら餅になったのは、江戸時代の末期に裏千家11代目・玄々斎(げんげんさい)が宮中から拝領してきて、許可をもらって茶席用のお菓子にアレンジしたのがきっかけだそうです。

「茶席や民間に伝え残され、変容した故実は、それぞれ『いい加減が、良い加減』。元を辿ると結局どれだったんですかというくらい、いろんな理由にたどり着きます。時々の暮らしのなかに取り混ぜながら、今、叶う姿にする。だからと言って、簡単に、当たり前のように、おざなりに済ませてしまうとつまらないものです。

例えばなぜお雑煮を新年に食べるのか。年始を祝うという時に、その意味などわからずに過ごしているのは、実はすばらしいことです。ごちゃごちゃ説明などいらない。これは本当につよい。でもその上で、なぜこんなことをするのか、おじいちゃん、おばあちゃん、父母が何気なくやっていたことを、また自分が引き継いでやっていく中で、どこかで立ち止まってちゃんと考えることが、より深くする、と思うんですよね。

花びら餅を食べる時にいつも思います。食べて美味しいわ、だけでは面白くないんですよ。自分なりに考えるのが、本当の豊かさをもたらすと思います」

宮中のお鏡餅から行事食へ、そして初釜の花びら餅へ。食べて美味しいわ、で済ませてしまいそうだった味や食感、いろかたちを、もう一度思い返します。その意味と共に改めて花びら餅をお腹におさめたところで、生まれて初めていただくお濃茶のお点前が始まりました。

◇お濃茶の作法

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普段のお茶席でいただくのは薄茶(うすちゃ)。対して濃茶は、その名の通り湯量に対してお抹茶の量が多く、色も味も濃い。薄茶は点てると言うのに対して、濃茶は練る、と言うそうです。ひとつのお茶碗で数人が回し飲みします。

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お茶碗が回ってきたら、袱紗を添えて、左手のひらにしっかりと乗せます。お椀を少し持ち上げて感謝を捧げたら、お椀を回して、ずずずずず、と音を立てていただく。ワインのテイスティングと同じで、空気と一緒に口に含むと香りがたつので、わざと音を立ててすすって、鼻から抜ける香りを味わうのだそうです。

「利休の師・武野紹鴎(たけの・じょうおう)は『一口ひとくち、噛むように飲むべし』と言ったそうです」

三口半、四口ほどいただいたら、畳に置いて口をつけたところを拭い、次の人に手渡します。

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「お濃茶の作法、わからない、と怖がらなくて大丈夫です。とにかく三口半飲んで、飲んだところを拭いて、ぬるくなる前に回す。その上で、いただきますのお辞儀とどうぞのお辞儀が互いに揃えばかっこいいですね」

美味しいものを、しっかり味わいつつ冷めないうちにとなりの人へ。ひとつの茶碗で同じお濃茶を次々といただいていくと、不思議な連帯の気持ちが芽生えてきます。

◇お茶碗を拝見

お点前を頂戴したお茶碗を、改めて見せていただきました。

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「これは御本(ごほん)茶碗。日本から注文して、朝鮮の窯で焼かせたお椀です。なかでもこれは徳川家光の命で小堀遠州が考案した茶碗です。立鶴(たちづる)と言って、鶴の絵は家光が描いたものをハンコにして、朝鮮に送って焼かせたと言われています。高台も見てみてください。面白い形をしていますからね。拝見の仕方は、しっかり両手で持つこと、そしてゆっくりと見ることです」

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「高台を3つに割った上で、1箇所削ってあります。真ん中に一筋釉薬がかかっているのも、立鶴茶碗に関してはみな大体同じです。わざとそうしてあるのですね。茶碗はお尻、高台が大事なんですよ。理由は簡単です。お茶を飲み終わって、最後に見るのが高台なんです。ここで茶碗の印象が終わるんですよ」

もうひとつ、淡路島に伝わる珉平焼(みんぺいやき)のお椀を見せていただきました。大きく描かれた伊勢海老に、新年の特別な空気を改めて味わったところで、今日の稽古もそろそろおしまいの時間です。

伊勢海老のヒゲがお椀の内側にまで伸びている。
伊勢海老のヒゲがお椀の内側にまで伸びている。

「今宵はこれくらいにいたしましょう。今日は初釜らしくお濃茶としつらえの話をしました。

しきたりや故実は我々の先祖の、祈りにも似た思いが込められているものです。ややこしい、めんどくさいルールだと思うのではなく、興味を持ったなら、これはいける、面白い、と思えるものを取り入れてみる。全部やらなくていいんです。それと、一見何気なく見える人の振る舞いを、けっして何も考えずにやっているのではない、とどこかで謙虚に思っていないとつまらない、ということです。

改めて、今年もよろしくお願いします」

全員で深々と礼をして、新年最初のお稽古が幕を閉じました。

◇本日のおさらい

一、何気ない年中行事の意味を、時々立ち止まって考えてみること

一、何気なく見える人の振る舞いを「何気なく」に留めず、謙虚な姿勢で受け止めること


文:尾島可奈子
写真:井上麻那巳
衣装協力:大塚呉服店

2月14日に贈る 日本一の靴下

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

たとえば1月の成人の日、5月の母の日、9月の敬老の日‥‥日本には誰かが主役になれるお祝いの日が毎月のようにあります。せっかくのお祝いに手渡すなら、きちんと気持ちの伝わるものを贈りたい。この連載では毎月ひとつの贈りものを選んで、紹介していきます。

連載第2回目のテーマは「バレンタインに贈るもの」。愛を伝える日、贈るものの定番は何と言ってもチョコレートですが、実はヨーロッパでは、恋人探しにあるアイテムの力を借りる風習があるそうです。それは靴下。男性が女性と話しながら脚を組み、チラリと靴下を見せたらそれは彼女を愛しているサイン。値段も手頃で何足あっても困らないので、異国のお話にあやかって贈りものにするのもいいかもしれません。

そんなわけで2月の贈りものは靴下に決定。今日は靴下を編み続けて生産量日本一の奈良県に、贈りものにぴったりの靴下を探しに行きましょう。最近は履く人や季節、目的に合わせて様々なタイプの靴下が作られているようですよ。

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奈良県の靴下生産量は国内シェア約34%(平成24年統計)で全国第1位。ソックス丈に限ればなんとシェア率約56%(同上)にものぼります。県内では北西部の大和高田市、広陵町、香芝市一帯にその生産が集中。もともと綿織物の産業が発展していたこの一帯に、明治に靴下の編み立て機が持ち込まれ、次第に農家の閑散期の副業として靴下作りが広まっていったそうです。

そんな日本一の靴下産地の技術を生かして商品開発をしている靴下ブランドがあります。奈良の県番号から名前を取った「2&9(ニトキュウ)」。ブランド名の示す通り、商品づくりを奈良県内の靴下工場に限定。「しめつけないくつした」「ぬげにくいくつした」など機能や履き心地を追求した靴下を、県内の各メーカーさんとオリジナルで開発しています。2&9のアイテムを例に、日本一の靴下産地ならではの個性豊かな靴下をいくつか追ってみましょう。

しめつけないくつした

しめつけないくつしたボーダー

ストレッチ性の強い糸を極力使わずに、細い糸を2本合わせて編むことで足をしめつけないように作られた靴下。通常履き口に入るゴム糸をあえて少し低い位置に入れることで、ずり落ちを防ぎならゴム跡がつきにくい仕様に。昨年11月にさんちが取材した御宮知靴下さんと何ヶ月も試作を繰り返したという、2&9のデビューアイテムにして一番の人気シリーズです。

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靴の中でするんと脱げてしまいがちなフットカバー。スポーツソックスを得意とし、世界的な大手スポーツブランドの靴下も手がける株式会社キタイさんと「どうしたらぬげにくくなるか」を研究して生まれました。2cm刻みの細かなサイズ対応や足の形にフィットするポケット状のかかとなど、キタイさん最新の立体成型技術を駆使して作られています。「もっとぬげにくくなりました」と自信を持って改良版の「2」を新たに出すところに、メーカーさんと一対一で商品開発をしているファクトリーブランドらしさを感じます。

におわないくつした

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インパクト大なネーミングの靴下には、越前和紙のふるさと福井県産の和紙繊維が編みこまれています。綿に比べて吸水性が高く匂いを分解する効果がある和紙繊維は、消臭・抗菌に優れ丈夫なので、何と宇宙滞在用の服にも採用されているそう。和紙繊維が靴下の内側で水分量を調節して、蒸れにくくさらりとした履き心地を保ってくれます。父の日にも人気が高いそうです。

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「しめつけないくつした」の逆を行く「しめつけるくつした」は、足首に強めの圧をかけ、ふくらはぎにかけて圧がゆるやかになる構造。血の流れをサポートしてむくみを防いでくれます。土踏まず部分にはゴム糸が入っていて、足裏を刺激して足の疲れを和らげてくれるそうです。敏感肌の人でも履きやすいよう、糸は人間の皮膚に近く蒸れにくい絹糸が採用されています。立ち仕事をしている女性に人気があるそうで、バレンタインを機会にお世話になっている女性に贈るのもいいかもしれません。

山を登るくつした

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その名の通り、山登りやハイキングの足元を考えて作られた靴下。疲れとともに指先が上がりづらくなるのを、つま先立体構造が助けてくれます。足袋型なのは親指に力を入れやすいように。生地は長時間の歩行による足の疲れを和らげるよう、クッション性のあるパイル編み。春先のお出かけシーズンに向けて「一緒に行こう」と贈ったら、先の楽しみがひとつ増えそうですね。

足の形は人によって千差万別。合わせる靴や体調によってもコンディションが変わります。だから「機械に合わせて靴下を作るというより、靴下に合わせて機械をセッティングします」とは、以前さんちでご紹介した御宮知靴下さんの工場長、山下さんの言葉。その時工場に伺って感じたのは、糸の素材、太さ、編み方、デザイン、作る機械など、靴下は無数の条件のかけ算で作られている、ということでした。一つひとつの条件を変えていくことで、全く顔の違う靴下が生まれる。それはひとえに履く人を思ってこそ。

大切な人の足元を包むもの。ぜひ、贈る人を想いながら「これ!」というひと品を見つけてみてくださいね。

<掲載商品>
2&9商品一覧
しめつけないくつした
ぬげにくいくつした
におわないくつした
山を登るくつした


文:尾島可奈子

※掲載商品は、2017年2月時点のものです。

土と暮らす、土鍋の飴色

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
きっぱりとした晒の白や漆塗りの深い赤のように、日用の道具の中にはその素材、製法だからこそ表せる美しい色があります。その色はどうやって生み出されるのか?なぜその色なのか?色から見えてくる物語を読み解きます。

立春を迎えました。暦の上では今日から春、新しい1年の始まりです。と言っても、1年で1番寒いと言われるのも2月。時折見かける梅のほころびを嬉しく眺めながら、今はただじっと、人も生き物も土の下で春が育つのを待っています。というわけで今日は、冬の名残を惜しみつつ、土から生まれた暮らしの道具にまつわる色のお話を。

土は何色、と聞かれたらきっと多くの人が茶色と答えます。お茶の色。シロアカという色が空が白んで明けていく様に由来するのに比べると、ずいぶんと具体的で、生活のにおいがします。英語ではBrown。調べると辞書によっても説明が異なります。「the color of earth or of wood(大地や木の色)」(コウビルド米語版英英和辞典)は一般的な感じですが、「the color of chocolate or earth(チョコレートや大地の色)」(CAMBRIDGE英英辞典)などはかわいらしいですね。しかし意外にも語源はクマ(bear)から来ています。やはりここにも暮らしの気配。

人は土を足元だけには放っておかず古くから様々な暮らしの道具の元にしてきました。日本で言えば縄文時代の歴史と縄文土器はセットで覚えますね。土の実際の色は、含む成分によって地域や地層ごとに白、赤、青、緑と全く色を変えます。近年では日本中の土を採集して色とりどりに展示するアーティストもいるほど。産地によって異なる焼きものの表情は器好きにはたまらないところですが、その「土っぽさ」を見た目にも機能にも活かしている暮らしの道具が土鍋です。

昔から「土鍋といえば伊賀焼」と言われるほどの土鍋の名産地、三重県伊賀の土は、はるか400万年前の琵琶湖の湖底に堆積してできた土です。太古の樹木が石炭化して生まれる亜炭(アタン)などを含み、火に強く細かな穴(気孔)がたくさんあるのが特徴です。火にかけると気孔が熱を蓄えて中の食材をじっくりと温め、火から降ろしても保温性が高いのだそう。まさに土鍋にうってつけなのですね。

土らしさを機能だけでなく見た目に楽しむのも伊賀焼の特徴。ザラザラとした質感や素朴な土っぽさをそのまま楽しめる、黒やべっこうのような飴釉(あめゆう)色が、伊賀焼の土鍋の定番です。

土鍋というと冬の道具のイメージですが、ゆっくり火を通す特徴は、もちろんご飯を炊くのにも向いています。思えば火と水と土を使って料理をする土鍋って、なんて原始的な道具なのでしょう。火の力を程よく伝えてゆっくり水分を吸いながらふっくら炊きあげたご飯を、鍋の底でちょうど飴色に焦げたお焦げと一緒にいただく。きっとこれは土鍋でご飯を炊く文化が生まれてからずっと変わらない口福です。土鍋のつやつやとした飴色を眺めていたら、ああ、お腹が空いてきました。

<掲載商品>
中川政七商店
土鍋


文:尾島可奈子