【家しごとのてならい】第5回:味噌を仕込む

毎日の家しごと。それなりに何とかできるようになり、だいたいは心得たつもりだけれど、意外と基本が疎かだったり、何となく自己流にしていたりするものってありませんか?

そのままで不都合はないものの、年齢を重ねてきたからこそ、改めて基本やコツを学んでみたい。頭の片隅にはうっすら、そんな思いがありました。

この連載では、大人になった今こそ気になる“家しごとのいろは”を、中川政七商店の編集スタッフがその道の職人さんたちに、習いに伺います。

とはいえ、難しいことはなかなか覚えられないし、続きません。肩ひじ張らず、構えずに、軽やかに暮らしを楽しむための、ちょっとした術を皆さんにお届けできたらと思います。

今回のテーマは「味噌を仕込む」。佐賀 丸秀醤油株式会社 代表取締役の秀島健介さんを講師に迎え、編集チームの白石が習いました。

今回の講師:丸秀醤油株式会社 代表取締役 秀島健介さん

1901年創業の老舗蔵、佐賀「丸秀醤油」の六代目。東京の大学で醸造技術を学び2017年に家業を継承。味噌や醤油づくりに欠かせない麹に魅せられ、その可能性を探る「麹ユニバース」などの取り組みも行っている。
https://shizen1.com/

味噌の基本

1,000年以上も昔から日本の食卓にあったとされる伝統食品「味噌」。味噌汁はもちろん、その他の汁物や炒め物、煮物など、さまざまな料理の調味料として活躍し、私たちの食生活を支えてくれています。

今回のテーマは、そんな「味噌」を自分で仕込むこと。

どこでも簡単に入手できることもあり、必要に迫られなかったということ、自家製となると途端にハードルが上がる感覚を持っていたこともあって、これまで、自宅で味噌を仕込んだことは一度もありません。

でも、実は一昔前には、自宅で味噌を仕込むことが今よりもずっと当たり前な時代がありました。自分のしたことを謙遜する際に使う「手前味噌」という言葉がありますが、これは、自家製の味噌の味わいを自慢する時に使われたのが語源になっています。それほど、どの家でも自家製の味噌が作られていたのだそうです。

であれば、自分にもきっとできるはず。と意気込んで、自家製味噌を作る際に押さえておきたいポイントや心構えを伺ってきました。

味噌の種類:最初のおすすめは「米味噌」

最初に聞いたのは、味噌の種類について。

秀島さん:

「作り手の目線としては、まず素材で味噌を分類します。米麹と大豆で作れば『米味噌』、麦麹と大豆で作れば『麦味噌』、大豆自体に麹菌をつけた豆麹で作れば『豆味噌』。それらを組み合わせたものが、いわゆる『合わせ味噌』で、組み合わせ方は地域によってさまざまです」

なんとなく、白や赤といった色で分かれるイメージを持っていましたが、それは材料ではなく工程の違いで作られるものなのだとか。

同じ米味噌でも、大豆と米麹の分量比や、大豆の下処理の違い、どれくらいの期間発酵させるかなどの諸条件で仕上がりの色は変わってくるそう。

基本的に大豆、塩、そして麹を混ぜて発酵させることで作られる味噌。非常にシンプルな材料ですが、同じ組み合わせでも、味や色味の仕上がりは千差万別。さらに、豆麹や麦麹など麹菌の選択肢も考えると、バリエーションはまさに無限です。

「ハマってしまうと本当にキリがない、“沼”ですね(笑)。逆に言えば、初めから自分の好みの味や風合いを追求するのは大変です。おおまかな基準を作るという気持ちで、まずは気軽に作ってみてもらえればいいのかなと。最初は米味噌がおススメです」

近くの酒屋さんやスーパーなど、米麹が入手しやすいこともあって、最初は米味噌がおススメとのこと。一度作ってみて、自分の好みや料理との相性などを確認しつつ、だんだんと調整していくのが良さそうです。

仕込みの時期と発酵期間

「味噌は基本的に冬に仕込みます。寒い時期は雑菌が繁殖しにくく、いい状態で発酵させることができるからです」

と秀島さんが仰るように、毎年12月〜2月頃が味噌の仕込みに最適な時期となります。

仕込んだ味噌は、一定期間おいて熟成させることで美味しい食べ頃の状態に。そうなるまでに、どのくらいの時間が必要なのでしょうか。

「今回の米味噌であれば、おおよそ3ヵ月程が目安です。

風通しが良くて直射日光が当たらないところに置いて熟成させてください。徐々に発酵が進み、その過程で大豆に含まれるたんぱく質が分解されて旨味成分になっていきます。

仕込み終わったら特にやることはありません。時々様子を見てあげて、茶色い、味噌らしい色になってきたあたりで味見をしてみる。良い塩梅だと思ったら、そこからは冷蔵保存に切り替えます」

冷蔵保存に切り替えることで、菌の活動が抑えられるので、それ以上味が変化しないようになるのだとか。菌は死んでしまったわけではないので、常温に戻すとまた発酵が進みます。

「一定期間熟成が進むと、今度は乳酸菌が増えて段々と酸味が強くなっていきます。

熟成させ過ぎた場合、味噌の味を元に戻すことは難しいのですが、焦らなくても大丈夫です。

そのままでは酸味が強かったりしょっぱすぎたりする時も、たとえば炒め物などの隠し味にはその方が美味しい場合もあります。または、他のお味噌とブレンドしてみるのもおススメです。

味噌は、原料が違うもの同士や産地が違うもの同士を混ぜても凄く美味しくなる。なので、そんなに神経質にならず、おおらかな気持ちで仕込んでほしいなと思います」

分量と工程

仕込み方の実践に入る前に、自家製の米味噌を作る際の基本的な分量と工程、保存方法などを教えていただきました。

「基本の米味噌を作る上で必要な材料は、大豆、塩、米麹の3つです。分量は、ざっくり塩1に対して、大豆2、米麹4くらいを目安にしてください*」

※大豆は茹でる前の重さ
※今回用意した材料は、塩220g/大豆450g/米麹800g

ちなみに、“麹”自体を自分で作るという選択肢もありますが、少し難易度も上がるため、今回は米麹をどこかで入手する前提で作り方を伺っています。

<工程>

①大豆を下茹でする

……乾燥した大豆を一晩水にさらしてから、3~4時間ほど茹でる(圧力鍋であれば、30分ほど)

②塩と米麹を混ぜ合わせる

……ビニール袋などに塩と麹を入れて振り、しっかり混ぜ合わせる

③大豆をつぶす

……人肌まで冷ました大豆を別のビニール袋などに入れて、手で押しながらつぶしていく

※すり鉢やマッシャー、麺棒などを用いてもOK

④大豆と塩、米麹を混ぜ合わせる

……③の袋に②の塩と米麹を投入し、ペースト状になるまでしっかりとこねて混ぜ合わせる

⑤容器に味噌を詰める

……混ぜ合わせた味噌を手に取り、直径5cmくらいの団子を作る。それを容器の隅に押し付けるようにして詰めていく。空気に触れる面積が小さくなるように、最後は平らにならしておく

⑥蓋をして保存

……カビを防ぐため、表面に塩を薄く引き、ラップ等で覆った後、蓋をして熟成を待つ

味噌仕込み、実践!

いよいよ、実際に味噌を仕込んでいきます。

今回は、大豆の下茹でが既に済んでいるので、塩と麹を混ぜるところからスタートです。

米麹と塩をどばっと入れる
しっかり空気を含ませてシャカシャカと振っていく

「イメージとしては、米麹の一粒一粒に対して、塩でコーティングしている状態を作ります。塩がついていないと腐りやすく、カビが生えやすかったり、酸っぱくなったりしやすいので。

米麹がだまになっていたりするので、ほぐしてあげながら混ぜてください」

とにかく、味噌の大敵はカビなので、まんべんなく塩と麹が混ざることが重要になってきます。ビニール袋が無い場合、大きめのボウルなどを使っても大丈夫です。

続いて、大豆をつぶす工程。下茹でした大豆を別のビニール袋に入れて封をし、粒が残らないように押しつぶしていきます。

体重をかけて押す

熱い状態の方がつぶしやすいので、下茹でした状態の大豆を購入して使う場合も、軽く茹で直して温めてあげると良さそうです。

時おり、袋をひっくり返しながら、黙々とつぶしていきます。何度押してもスルッと逃げるしぶとい大豆がいたりして、かなり体力を消費しました。ただ、プチプチをつぶしている時のような高揚感があって、無性に楽しい、不思議な感覚でした。

「大変な作業ですが、素材の温度を肌で感じながらつぶしていくのは、貴重な経験にもなります。弊社でワークショップを実施した際も、子ども達が一番楽しんでやってくれる工程です。

ご家庭でやる場合は足で踏んだりしてもいいですし、麺棒、すり鉢、マッシャーなどを使うのも問題ありません。とにかく、粒がなくなるまで頑張ってつぶしてください」

粒を無くすのであれば、フードプロセッサーを使うという手もあります。ただ、秀島さんの経験上、細かくきざまれ過ぎて滑らかさが失われる気がするとのこと。やはり地道につぶすのがおススメです。

大豆をつぶし終わったら、最初に混ぜ合わせた米麹と塩を大豆の袋に投入。そして、全体が均一になるまでひたすら揉み合わせていきます。

引き続き、力作業。この時は、袋の空気は抜いておく

最初は米麹だけの部分がパン粉に似たパサパサの触り心地。だんだん大豆が混ざっていくと、お味噌っぽく、塊になってきます。この時、大豆だけの部分が残ってしまうと、カビが生えやすくなるので、できる限り均一にすることが大切。先ほどの工程に続いて、中々の力仕事です。

「ちなみに、我々が実際に蔵で作る際は、一個の桶に800キロくらいの味噌を仕込みます。800キロを一度に混ぜるとばらつきが出てしまうので、20キロくらいずつ、40回に分けて仕込んでいます。

ただ、ご家庭ではそこまで神経質にならなくても大丈夫です。ばらつきもひとつの魅力ですし、もしカビが生えるとしても、空気に触れている表面から生えるので、その部分だけ削り取ってしまえば特に問題ありません」

ひたすら無心で混ぜ続けること10分。良い感じに混ざってきました。

次は混ぜ終わった味噌を、保存容器に入れていきます。

しっかり固めて団子の中の空気も抜いておく
この時点で味噌の良い香りが漂ってきて食欲がそそられます

一気に入れていくのではなく、少しずつ手に取って5cm程度のお団子を作り、容器の角を埋めるように敷き詰めていきます。

「空気が入らないように、容器の中をぴったりと味噌だけの状態にするのが理想です」

作った団子を拳でつぶしながら隙間を埋めていくと、密度の濃い味噌の塊が少しずつ積み上がってきて、ふと、「仕込んでるなぁ」という実感が湧いてきます。

最後はなるべく表面をフラットに

「仕込む前に一度手を洗って、いわゆるバイ菌はいない状態にしておくんですが、人の肌に住んでいる常在菌は味噌に移ります。

よく、仕込む人や家によって味噌の味が変わると言うのは、この常在菌の作用です。そう思うと一層愛着が湧くというか、自分の家の味噌を育てる楽しみが出てきます」

丁寧に説明を受けながら、ここまで約40分ほど。最後に、表面のカビを防止するために塩を薄く塗って、ラップをぴったりとかけて、蓋をすれば完了です。

常在菌の話も相まって、「俺の味噌が出来た!」という達成感がふつふつと湧いてきます。同時に、「早く食べてみたい!」というワクワク感も。

「味噌作りの失敗って、途中でカビが発生してしまうことくらいなんです。

仮にそうなっても、先ほど言ったように表面を削ってしまえば大丈夫。菌が生きていることが手づくり味噌の良さですから、『多少カビが生えてもしょうがないよね』と、おおらかに捉えてもらえれば、もはや失敗することは無いのかなと思います。

まずは怖がらずに一度作ってみてください」

秀島さんがそばに付いていてくれたおかげもあるのですが、本当に思っていたよりも難しくなく、特別な道具や準備も不要で仕込むことができました。

仕込んだ味噌は、教えていただいた通り、冷暗所に保管。一週間に一度くらいの頻度で様子を見ています。「カビが生えてしまってもしょうがない」という心構えでのぞんでいますが、今のところ順調な様子。この後の熟成が本当に楽しみです。

皆さんも是非、自宅での味噌作りにチャレンジしてみてください。

熟成を待つ、我が家の味噌

<取材協力>
丸秀醤油株式会社

佐賀市高木瀬西6-11-9 ※蔵元直売所「麹庵」併設
0952-30-1141

文:白石雄太
写真:藤本幸一郎

【わたしの好きなもの】スタッフ投票「2&9」編

突然ですが、11月11日がなんの日かご存じでしょうか?

実は、この日は1年の中でもっとも記念日が多いとされている日。「1」という数字や「良い(11)」という語呂合わせなどに因んだ記念日が多数指定されています。

その中のひとつが「くつしたの日」。

左右ペアとなったくつしたの形を「11」に見立て、それが2足並んでいるように見えることから、1993年に日本靴下協会が制定した記念日です。

中川政七商店のくつしたブランド「2&9(ニトキュー)」は、「リピートしたくなるくつした」をコンセプトとして、2011年の「くつしたの日」にデビューしました。今年の11月11日で、12周年を迎えます。

今回はブランドのデビュー12周年を記念して、私たち中川政七商店のスタッフが特に愛用している「2&9」商品についての投票を実施しました。

デビュー以来、季節や利用シーンに応じた多種多様なラインアップを揃えてきた「2&9」。その中で特に人気の商品として何が選ばれたのでしょうか。スタッフからの愛着コメントとともにご紹介します。

※「2&9」12周年特設ページはこちら

1位:ブランドデビュー当初からの代表作「しめつけないくつした」シリーズ

もっとも多くのスタッフに愛用されていたのは、「2&9」ブランドを代表する「しめつけないくつした」シリーズ。ボディ部分にストレッチ性の高い糸を使用せず、細い糸を2本あわせて編むことで、足をやさしく包み込む履き心地を実現しています。

“しめつけない”特徴はそのままに、丈の長さが違うタイプや少し薄手のタイプ、あたたかいウール糸のものなどをラインアップ。カラーやデザインのバリエーションも豊富に揃っています。

スタッフのコメント

「クルー丈の『しめつけないくつした』は、とにかくふくらはぎのしめつけ感がないので疲れにくいのが推しポイント。やさしい履き心地のわりに、ずれ落ちにくいのも嬉しいです」

「『しめつけないくつしたウール』も毎年重宝しています。ちくちく感が少なく、薄手でありながらもあたたかさがある。乾燥肌で冬場のくつした選びにずっと悩んでいた私にとって、とても頼りになる存在です!」

「一番のお気に入りは綿素材の『しめつけないくつした』です。肌に負担がなく快適で、シーズン毎に色柄を選ぶのが楽しみです」

「履き心地が良く入社した当時からファンです!部位によって使う糸の本数や厚みが異なる、まさに奈良の工芸品!履く人の足元に寄り添ってくれるくつしたです」

「立ち仕事なので、むくみがちで悩んでましたが、この靴下に出会い、解消されました!しかも、疲れにくい!ビビットカラーがもっと欲しいです!」

「通年を通して愛用中です。普段は麻やウールをあまり身につけないのですが、昨年から展開している『しめつけないくつしたウールkogin』はなめらかで、ちくちく感がなく履きやすくて重宝しています。デザインや配色も好きで、今年出た新色も少しづつ集めています」

「年間350日くらいの頻度で愛用しています。指先の縫製が気にならないのでノンストレス!汗をかいてもこもらない、蒸れない。意外と破れずに長持ちします。カジュアルすぎないハイゲージが出て嬉しいです!」

「しめつけないシリーズはひどい足のむくみと乾燥に悩まされていた私の救世主です」

「一番好きな商品は『しめつけないくつしたアンクル』です!最初は中途半端な丈感が不自然かな?と思っていました。しかしハイカットめのスニーカーとの相性が良く、履いた時にちらっと見えるのが気に入ってリピート。

冬場も館内は暑いので綿で充分で、レッグウォーマーと組み合わせるのに最適です。3年近く愛用していますがまだ破れないところがさすが『2&9』だなと。お客様にも“底と先っちょの部分の糸を多めに編んでいるので丈夫なんですよ”と激押ししています」

「『しめつけないくつしたウールkogin』のデビューは神戸店をワクワクさせました!お客様の評判もよく、スタッフ全員が1足は購入!私は、夏も含め色違いで5足購入しました。

お店ではスタッフ同士、“あ、今日赤なんだー!”とか“その洋服との組み合わせかわいいね!”などと褒め合っています」

「自分が企画した商品なのでそれぞれに苦労や愛着があります。特にブランドデビューから続く『しめつけないくつした』は何度も何度も試作して履いてを繰り返してできあがったものなので、これからも長く愛されてくれると嬉しいです。

推しポイントは口ゴムで脚がしめつけられてかゆくならないことです。ちょっとした不快感があるだけで気になってしまうので、1日中不快感なく履いていられるくつしたを目指しました」

→商品はこちら

2位:「薄手であたたかいくつした」シリーズ

スニーカーなどにも合わせやすいように、適度な厚みで仕立てた「薄手であたたかいくつした」シリーズが2位にランクイン。肌ざわりが良く保温効果に優れたメリノウールをパイル状にしていることで、足とくつしたの間に空気の層ができてあたたかく感じます。

スタッフのコメント

「ウール素材のくつしたは、どうしてもチクチク感が気になってしまいます。しかし、このくつしたはウールの中でも高級なメリノウールをパイル状にしているので全く痒みがありません。とてもあたたかく、私の冬にはなくてはならない靴下です!薄手なので靴の着脱がスムーズなところも気に入っています」

「ふわふわの履き心地と色味、指先が冷えないあたたかさが気に入って何色も揃えて愛用しています」

「毎年冬に履いています。内側がパイル地なので蒸れにくく、さらっとしているのが私のお気に入りポイントです」

「あたたかいけれど、厚みがありすぎるといつもの靴が履けない。という悲しみを見事に解決してくれた素晴らしき一品!毎年の秋冬に欠かせないアイテムです。

長く愛用して、穴が空いてしまったらダーニングもいいんですが、おすすめはボディの部分を切ってアームウォーマーにすること。外出先や室内でちょっと手首が寒いなという時にさっと装着でき、薄いのにあたたかい。チラッと見える色味もアクセントになり一石二鳥です」

「寒い冬に選びたくなるくつしたNo.1です」

「入社してすぐの頃、愛用中のスタッフさんから強くおすすめされて履いたのがきっかけでした。本当にあたたかく、薄手なのでスニーカーを履くのも楽々。毛玉などもできにくく、かかと部分のすり減りが少ない点も気に入っています。冬が近づくと毎年2足は購入する愛用品となりました!」

「なにかとかさばる冬物のなかで、薄いのにあたたかいって嬉しいです。今年の冬もたくさん履きます!」

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3位(同率):「もっとあたたかいくつした」シリーズ

同率で3位に入ったのは、「もっとあたたかいくつした」。保温性の高い断熱繊維とウールカシミア混の糸で編み立てた、 「2&9」の中でもっともあたたかい肉厚靴下です。

スタッフコメント

「昨年のお正月帰省時、母と叔母2人への贈り物に選びました。毎年、“寒い寒い”と言っていたので、これならどうだ!と思って贈ったのですが、後日連絡があり、“足先が冷えない冬は初めてかも”。と感動してくれたようでした」

「登山用のくつしたを履くほどではないけど、ちょっとだけトレッキングするとき。または、冬にゴツくて硬いハイカットブーツを履くときなんかに便利です。この厚さとしめつけが、靴の重さにも負けず、足の負担を軽くしてくれる気がします。

いかにも登山帰りだな、という足元にならないので、ついでに観光や買い物に行きやすくて嬉しいです」

「私の冬の必需品。ルームソックスとしてお風呂上りに履いても蒸れにくくずっとあたたかい!きつくないのにズレなくて、フィットしてくれる!色も大人っぽくて毛玉が目立ちにくいのも嬉しい。家族みんなで愛用しています!」

「毎年の冬支度で一番に取り出す必需品です。自分用以外にも、家族や友人みんなに配り、とても好評で、贈り物の定番としても重宝しています」

「新しい色が出るたびに買い足しながら、部屋履きとして愛用しています。厚手なのに乾きやすくて軽く、ふわふわしてフローリングの上でも床の冷気を防いでくれるので、東北の冬には欠かせません」

「我が家ではもはや床暖房の代わりレベルです。小さいサイズもあるので、子どもも私もみんな色違いで履いていて、寒くなると『そろそろ出して』と言われます」

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3位(同率):「さらっとするくつした」

同じく3位には、「さらっとするくつした」が選ばれました。暑い季節はもちろん、厚手の靴を履く冬の季節にも重宝するくつしたです。薄手ながらもじょうぶさにもこだわっており、老若男女問わずに履いていただけます。

スタッフコメント

「どうしても部屋干しが多くなる梅雨の時期。くつしたが乾ききらず、部屋干し臭が残ってしまうのが悩みでした。この『さらっとするくつした』は、麻素材で通気性がいいのであっという間に乾きます! 履き心地もさらっとしているので、夏場に足裏の蒸れが少ない点もお気に入りです」

「麻素材が入っているくつしたが特に好きです。蒸れずにさらっとした履き心地をぜひ一度、試していただきたいです!」

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その他:「ぬげにくいくつした」/「あたたかいくつした」/「山を登るくつした」など

ここまで、人気上位のくつしたを見てきましたが、それ以外にもさまざまな「2&9」商品について、愛用のコメントが集まりました。その一部をご紹介します。

スタッフコメント

「2&9の『ぬげにくいくつした』は本当にぬげなくて驚きです」

「『あたたかいくつした』は、私が中川政七商店で働き始める前から夫が自分で購入して愛用していました。無地で綺麗な色、適度な長さがお気に入りだそうです」

「『山を登るくつした』がダントツ推しです。疲れにくく、歩きやすいことに加えて、履き口ががやわらかい編立だから、足がむくんでも痛くない!立ち仕事で歩き回る私にはぴったりでした。しっかり編立てられているからか、かかとが破れにくいのも個人的におすすめポイントです。しっかり足を支えてくれるので、お年を召した方にもおすすめしています」


以上、【わたしの好きなもの】「2&9」編をお届けしました。

すでに「2&9」をご愛用いただいている方やこれから試してみようという方、次は別のラインアップも気になっているという方などに、少しでも参考になれば幸いです。

現在、「2&9」の12周年を記念した特集ページを公開中です。人気のくつしたを詰め合わせたWEB限定のお試しセットなどもご用意しておりますので、ぜひご覧ください。

暮らしを良くする家具づくり。カリモク家具が追求する、木の魅力と人の技の可能性

日本の工芸とともに、日本の心地好い暮らしをつくり続けていきたい。

中川政七商店は日々、そんな想いで全国のつくり手たちとのものづくりを進めています。

その中で今回、日本を代表する木製家具メーカー カリモク家具株式会社とともに、「座椅子」と「盆ちゃぶ台」という二つの家具を開発しました。

目指したのは、“床座”でくつろぐための家具。

畳文化がある日本ならではの、床だからこそ得られる安息のひとときに着目し、座椅子のある心地好い暮らしを提案します。

国産材の魅力を最大限に活かし、佇まいの良さや使い心地にもこだわり抜いた座椅子、そしてちゃぶ台はどんな風につくられたのか。

愛知県知多郡にある、カリモク家具の工場を訪ねました。

産地ではない場所だから生まれた「木を“使い込む”」文化

カリモク家具は1940年に愛知県刈谷市にて創業。以来80年以上にわたって日本の暮らしに寄り添った家具を提案し続けてきました。

木材の調達から資材管理、家具の生産から販売までを自社でおこなう日本有数の木製家具メーカーである同社ですが、その所在地が愛知県だと聞くと、少し意外に感じるかもしれません。

資材管理から製品の完成・販売まで一貫して自社で手がけている

木製家具の産地というと、たとえば旭川や高山、福岡の大川などが思い浮かびます。いずれも周辺に良質な木材の産地があり、その資源を背景に木工産業が振興してきました。

さらに、高山であれば寺社仏閣、大川には造船といった木工が隆盛する理由も存在し、宮大工や船大工など専門の職人たちが育ったという背景があります。

「その反面、このあたりには木工のDNAと呼べるようなものが何もなかったんです」

カリモク家具株式会社 取締役副社長 加藤洋さん

そう話すのは、カリモク家具 取締役副社長の加藤 洋さん。加藤さんは、カリモク家具の創業者である祖父の正平氏から「自分たちはずぶの素人集団だ」という話をよく聞かされていたそうです。

その素人集団がどうすれば、熟練の職人たちに負けないクオリティの高い家具をつくれるのか。そう考えて、積極的に機械設備を取り入れたり、他産業のやり方を学んだりということを続けた結果、今のカリモク家具のスタイルが固まったのだとか。

同社で働く人たちは折に触れて「木を“使い込む”」という言葉を用います。木材を出来る限り無駄にせず、効率よく利用するという意味で、ここに同社のマインドがよく表れていると感じました。

資材担当の女性。入荷した木材を余さず活用するため、日々素材と向き合っている

「創業当時、木材は信州や東北から運んできていました。せっかく遠路はるばる運んできたものを、決して無駄にできない。

産地から遠い不利な立地だからこそ、そうした想いが強くなり、機械の導入や他産業のやり方も柔軟に取り入れるマインドに繋がったのかもしれません」(加藤さん)

各資材の樹種や産地はバーコードで管理されている。ここから、どんな製品に使用するのかをプロの目で見極めるのも、木を使い込むために重要なポイント

資源の無い土地だからこそ生まれた、木を“使い込む”という考え方。木を“使い込む”ためにできることを模索し続け、どんな種類や形状、サイズの木材であっても工夫して使い切れる技術と経験を蓄積していく中で、カリモク家具純粋培養ともいえる職人集団が育っていきました。

どんな製品に使用するかを見極めた上で、最大限無駄なく使えるようにカットしていく
木材を継ぎ合わせることで様々な製品に活用できることも

人と機械が融合したものづくり

現在カリモク家具では、高度な機械技術と職人の技術を融合させる「ハイテク&ハイタッチ」という製造コンセプトを掲げてものづくりに取り組んでいます。

工場を見学すると、木材を研磨するロボットアーム、単純な直線ではなく有機的なデザインを加工できる機械、牛革の傷をチェックする電子ペンなど、家具作りの各工程に最新の機械設備が導入されていて圧倒されました。

「この加工が機械に任せられれば、もっと効率的にできるはず」。そんな現場の声をきっかけに設備投資が進むことも

「機械の方が効率がいい、あるいは安全である、というケースでは積極的に機械を活用しています。

それでも、あくまで主役は人の手。人の仕事を機械に置き換えるということではなく、むしろ人の手でなければできないことに人が集中できるように、機械が環境を整えているというイメージです」

そう加藤さんが話すように、それぞれの機械の前には必ず人がいて、その工程の仕上げを手でおこなっていることも印象的でした。

木は天然の素材であるがゆえに、ひとつひとつ硬さも密度も異なり、同じものは一つとしてありません。その個体差に対応するには熟練の職人の技術と経験が不可欠になってきます。

塗装工程。木の個体差で塗料の吸収具合も変わるため、ムラなく仕上げるには高い技量が必要

職人が職人であるために。人と機械の双方がアップデートする未来

「機械自体はお金を出せば買えるものですが、それを適切に使いこなす土壌ができていることが何より重要です。今の体制もまだまだ発展途上なので、改善できるところは日々磨き上げていきたいと思っています」

木材の特性に合わせた適切なセッティング、機械に取り付ける刃物の切れ味を保つ研ぎ作業など、機械を使うこと自体に関しても、職人の知見と経験が無ければはじまりません。

機械でできることは恐らく今後も進化していく中で、人と機械が融合したものづくりはどこまで続くのか。加藤さんは、それでも人の手にしか生み出し得ない価値は必ず残ると話します。

「素材として木を使って家具をつくる以上、人の技術でしか出せない丁寧さ、美意識、工芸的な価値、それらを製品に宿す余地は無限大にあると考えています。

むしろ職人が職人であるためには、そういった、人ならではの工程にもっと注力していくべきで、人も機械もどちらもアップデートしていくのが健全な未来なのかなと思っているところです」

木を知り、木を愛するカリモク家具と開発した床座のための家具

今回、中川政七商店が開発をお願いした「座椅子」や「盆ちゃぶ台」には、こうしたカリモク家具の精神や技術が詰まっています。

カリモク家具の“使い込む”という考えに私たちも共鳴し、いずれの製品も、通常は使いづらいと敬遠されがちな国産の広葉樹を採用。「座椅子」は楢材、「盆ちゃぶ台」は栗材をそれぞれ有効活用し、木の風合いが美しい製品になりました。

折りたたみ式の座椅子は、カリモク家具としても初めての挑戦でしたが、木材の使い方や構造にこれまでのノウハウを活かし、美しい佇まいと機能性・安全性を両立した、長く使っていただける家具に仕上がっています。

設計を担当した河合さんは、特に工夫した点や問題を解決した方法について、満足そうな表情で話してくれました。

「安全面を重視して、指を挟まないように設計時にリスクを低減しています。その次に強度面。単純に木材を厚くすれば強度は増しますが、せっかくの折りたたみ式で持ち運びを考えると重くなるのも避けたい。

そこで本当に必要な部分の強度だけを上げるような調整をしていきました」

設計を担当した河合さん

「ちゃぶ台については、通常、天板に使用する金属の止め具を使用していません。そのため、反りをどのように少なくするのかが大きなポイントでした」

一枚板ではなく、細長い材を継ぎ合わせる「幅はぎ」という方法でつくられた天板。その幅はぎの向きや、木材の幅、厚み、樹種など組み合わせを変えて何度もテストして、反りの少ない方法にたどり着いたとのこと。

よく見ると複数の材が組み合わさっていることが分かる。その風合いも美しい

春夏秋冬で湿度が大きく変わる、木部品には厳しい日本の環境で安心して使っていただけるように、湿度80%、温度50℃という過酷な条件下でテストをおこない、品質を確認しています。

ボイラーの蒸気を利用して木材の乾燥を行う人工乾燥機

家具づくりで社会や暮らしが良くなるように

私たち中川政七商店が日本の工芸を元気にし、そして心地好い暮らしを届けようとしているように、カリモク家具は家具づくりを通じて快適な暮らしを届け、日本の森を元気にしようとしています。

荒廃した日本の森を蘇らせるため、国産材の活用に取り組んでいるのもその一環です。

「家具をつくり続けることで、世の中が良くなってほしい」

加藤さんはそう話します。

国産材の適切な利用で日本の森が蘇り、お気に入りの木製家具を手にした人たちの暮らしが明るくなる。小さな範囲からでも積み重ねていけば、少しずつ世の中が良くなっていくかもしれない。

今回、初めてカリモク家具とともにつくった「床座」のための「座椅子」と「盆ちゃぶ台」。この家具を手にしていただいた方たちの暮らしが心地好く、快適になることを願っています。

文:白石雄太

写真:西澤智子

カリモク家具とつくった「床座」のための家具はこちら

「暮らしに定着する」台所道具ができるまで。デザイナー 柴田文江さんインタビュー

料理を作る、食べる、保存する。

日々の食生活の中で、私たちは様々な道具を利用しています。

昔から日本の食生活に寄り添ってきた工芸の道具には、使い勝手の良さに加えて、その存在自体を愛することができる自然な風合いと手ざわりがありました。

愛すべき道具との出会いは、食生活をより豊かにし、暮らしに新しい楽しみを与えてくれます。

日本の工芸に学び、佇まいの良さと機能性を両立した、今の食卓に馴染む道具を作りたい。

そんな風に考えて、今回、「暮らしに定着すること」を大切に多くの商品を手掛けてきたプロダクトデザイナー 柴田文江さんとともに、新たに台所道具を作りました。

「かきまぜやすい琺瑯のぬか漬け容器」と「吹きガラスの保存瓶」

暮らしの中での“ひと手間を楽しみたくなる”二つの道具はどのように生まれたのか。開発の経緯や普段の台所仕事について、柴田さんにお話を聞きました。

■暮らしに簡単に取り入れられる「ぬか漬け」の魅力

柴田文江さん

ーー柴田さんご自身も、ご自宅でぬか漬けを漬けられていると伺いました。

「私がちゃんとぬか漬けを始めてから、ちょうど3年くらいになると思います。

それ以前にもやってみたことはありましたが、休みの日にしか料理をしていなかったこともあって、なかなか長続きしませんでした。

コロナ禍になって、だんだんと家でご飯を作る頻度が増えてきて、『こんなに毎日作っているならぬか漬けもやれるかも』と思い、改めて始めてみたんです。

色々なものを漬けてみて、ゆで卵とか、山芋とか、そんな変わり種も美味しかったんですが、今ではやっぱり定番のカブやきゅうりの出番が多くなりましたね」

ーー自宅でぬか漬けを漬けるのは、少しハードルが高いようなイメージもあります。

「家でぬか漬けと聞くと、とても真剣にやっているように捉えられるかもしれないんですが、そんなことはないんです。慣れてくると、冷蔵庫に入れて結構ほったらかしにできるというか。

朝起きて、その日の夜ご飯は家で食べようという時は、お米を研いでから出かけるんです。その時に、ぬか漬けも冷蔵庫から出しておくとちょうどいい具合になるし、外で食べる日は入れたままにしておく。そんな風にしています。

長い出張の時は、古漬けになってもいいようなものを冷蔵庫に入れていったりします。さすがに少しすっぱくなり過ぎたなと思っても、細かく刻んで鰹節に混ぜたりするとすっごく美味しい。

その辺の塩梅というか、調整できるんだっていうのが分かってきました。きっと、皆さんが思っているよりもずっと簡単です」

■かき混ぜやすさを解決した、佇まいのよい「ぬか漬け容器」

ーー今回、ぬか漬け容器をデザインすることになったきっかけを教えてください。

「ぬか漬けは、定期的に底の方からかき混ぜてあげることが大切です。

これまでは四角い容器を使っていたんですが、単純に混ぜにくいのと、どうしても四隅にぬかが溜まってしまって、もったいないなと感じていました。その部分のぬかが役目を果たしていないなって。(笑)

野菜は基本的に丸っこい形だし、容器にも丸みがあった方が効率よく漬けられそう。そんな風に漠然と思っていて、ある時SNSでその気持ちをつぶやいたんです。

そうしたら中川淳さん(※)がすぐに反応してくださって、その流れでデザインする機会をいただきました」
(※中川政七商店 会長 13代中川政七)

ーーかき混ぜやすさと、見た目の美しさと、どのようにバランスを取ってデザインされたのでしょうか。

「まずは目測でアールの角度をある程度決めてから、3Dプリンターで形を出して、実際に手を入れてみながら修正していきました。

かき混ぜやすい丸みをつくるために、通常の、真円のアールでは底が絞られ過ぎてしまって安定感を損ねてしまいます。なので、細かくアールの角度を変化させて安定感を確保した上で、十分な丸みをつけるように工夫しています。

微調整したアールのおかげで、和風過ぎず、極端にモダンでもなく、どこか懐かしい雰囲気を残した佇まいになったかなと思っています。

■ぬか漬けをカジュアルに取り入れられる、ニュートラルなデザイン

ーー容器本体は、野田琺瑯さんがつくる琺瑯製、蓋は木の蓋を採用されています。

「お料理って、もちろんご飯を食べるためにやるんですが、半分は楽しんでやっているものなので、せっかくなら使う道具の質感も含めて楽しみたいんです。

そういう意味で、今回は琺瑯がいいなと思って選びました。におい移りしないとか、塩や酸に強いといった特徴もあるので、機能的にもぴったりだと思います。

蓋は、せっかく新しく作るなら、和風でも洋風でもないものができたらいいなと考えて、主張しすぎない木質の材料を選んでいます。

私はアボカドを漬けてパスタに入れたりもするし、セロリを漬けてピクルスみたいに食べたりもしていて、和食に限らないんです。そんな風にカジュアルにぬか漬けを毎日のご飯に取り入れるには、こういう見た目もいいなって思います」

「コロナ禍になって価値観が変わったのか、身体が心地よいもの、ほっこりしたご飯が食べたい、そんな風に思うようになりました。

誤解されたくないのは、そんなにちゃんとした料理をつくっているわけではないんです。

たとえば昨日は少し忙しかったので、簡単にうどんでも食べようと思って冷凍うどんを温めて、卵くらいは入れたりして。そこでもう一品なにか作るって大変ですけど、カブを漬けていたので一緒に食べたらとてもいい感じで。

自分でつくるぬか漬けが本当に美味しくて、炊きたてのご飯があって、お漬物があればそれで済んじゃうというか。洗って切るだけで一品できちゃうのでとても簡単です」

「失敗してもぬかが一気に悪くなることはないし、上澄みを取って色々やっていたらまた復活したりして。そんなに真剣にやらなくてもぜんぜん大丈夫だと思います」

■金具を使わない、お手入れのしやすいガラスの保存瓶

ーー 「吹きガラスの保存瓶」 についてはいかがでしょうか。

「元になった理化学用のガラスを見た時に、実験道具の印象が強いと感じたんです。なので、素材の美しさは生かしつつ、いかにニュートラルにできるか、という部分にこだわって全体をデザインしています。

いい感じに懐かしく、いい感じに現代的で、梅を漬けたりする手仕事にももちろん使えるし、キャンディーやフレーバーティーなんかを入れてもいい。ちょうどよい塩梅の瓶に仕上がりました」

「最初はもう少し底の方を絞った形にしようと思っていたんですが、中川政七商店さんから安定感についてのフィードバックをいただいて。修正してみると『あ、確かにこれもいいよね』となりました。そんな風にやり取りを重ねて良いものを作れたのも楽しかったです。

暮らしに馴染む、長く使っていただけるものになったんじゃないかなと思います」

ーー金具がない保存瓶というのが新鮮に感じました。

「金具とバネで止めているものって、毎日開け閉めしていると意外と大変だったりしますよね。これはすりガラスの摩擦で蓋を止めているので、すっと開けられて中のものを取り出しやすい。煮沸もできてお手入れも簡単だなと思います。

サイズ的には、一人か二人暮らしで梅やフルーツシロップを漬けて、ちょうどよいタイミングで使い切れるくらいの感覚です。私は朝にナッツを食べたりするんですけど、この瓶に入れておいたら密閉できて取り出しやすくて、見た目もきれいでいいなと思っています。

ーー今回、二つの台所道具をデザインされていかがでしたでしょうか。

「ぬか漬け容器は特にそうですが、私自身が本当に使いたいもの、使えるものが作れるということで、すごく面白く、ありがたい機会でした。

二つとも凄く良くできていますし、これからどんな風に使おうかなというのが楽しみです。


琺瑯のぬか漬け容器に木の蓋、そしてガラスの保存瓶。素材はそれぞれ違うけど共通の世界観が出せたと思っていて、この道具がキッチンに並ぶと、雰囲気が優しくなるんじゃないかなと。

形自体に強い主張があるデザインではないので、和洋関係なく、どんなキッチン・台所にも馴染んでくれると思います」

< プロフィール>
柴田文江:プロダクトデザイナー/Design Studio S代表
『エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションなど、国内外のメーカーとのプロジェクトを進行中。
iF金賞、毎日デザイン賞、Gマーク金賞、アジアデザイン賞大賞などの受賞歴がある。
多摩美術大学教授、2018-2019年度グッドデザイン賞審査委員長を務める』

文:白石 雄太
写真:元家 健吾

年末年始の帰省や挨拶のおともに、気の利いた手土産を

今年も残すところ数日となりました。皆さん、年末年始はどんな風に過ごす予定でしょうか?

とにかく自宅でのんびり過ごす。初売りに出かけて買い物を楽しむ。旅行先でリフレッシュする。

様々な過ごし方がある中で、久しぶりに実家へ帰省したり、年始の挨拶も兼ねて親しい友人宅や同僚宅に招かれたりする人も多いかと思います。

そんな時、皆で楽しめる手土産を持参できれば、大切な人たちと過ごす時間が更に豊かなものになるかもしれません。

そこで、新年におすすめの気の利いた手土産を求めて中川政七商店 渋谷店へ。辻川店長に、おすすめ商品を教えてもらいました。

お正月飾りなども多数取り揃えている中川政七商店 渋谷店

寿ぐ季節の番茶くらべ

お正月のあらゆるシーンにおすすめの番茶が4種類(七福番茶・春鹿酒粕番茶・炒り米番茶・じゃばら葛番茶)入ったティーバッグのセットです。

「たとえば、お酒を飲まない方にもお正月の特別なひとときを味わっていただけるセットです。中でも七福番茶はこのセットの中でしか試すことができないので、ご自宅用にもおすすめです」とのこと。

味わいや香りも様々な幅広い番茶の世界を楽しめるセットになっています。

セットやそれ以外の番茶は個別に購入も可能です

汁物くらべ

お湯をそそぐだけの、6種類の汁物が楽しめるセット。

「ごちそう疲れした胃にやさしくあたたかい汁物の手土産はきっと喜ばれること間違いなしです!」と辻川さん。

どれも香りにこだわってつくられており、クラムチャウダーや豚汁など、誰もが馴染みのあるものにも新しい発見があり楽しめるそうです。

一枚網手焼き 職人のおかき

おかき職人 高見恭平さんが手がける「TAKAMIOKAKI THE OKAKI ARTISANS」の手焼きのおかき。

昔ながらの一枚網で、職人が焼き加減を見極めながら一枚ずつ焼き上げています。

「素材にこだわった無添加のおかきなので、幅広い年齢層の方たちに喜んでいただけます」と、辻川さんも太鼓判を押す商品で、特に「お米の甘みに驚かれると思います。美味しいお茶と一緒に贈りたい逸品です」とのことでした。

めでたもなか

おめでたい縁起物の鯛、梅、瓢箪、招き猫をかたどったもなか。

「キリッとした赤い箱と中から出てくるめでたいモチーフのもなかが、お正月のめでたい雰囲気を盛り上げてくれます。贈る方も贈られる方も、お互いの顔がほころぶ、そんなお菓子です」

自分で餡をはさむ手作りタイプのため、作り立てのパリパリとした食感が楽しめる一品。

「自分で餡子を詰めるのも楽しいです。家族団欒の時間にぜひ!」

松山油脂 山神果樹 柑橘リキュール 500ml(渋谷店限定)

年末年始の食卓に、少し特別感のあるお酒も喜ばれるもの。

こちらは渋谷店限定となるクラフトリキュール。濃縮還元していない100%柚子果汁を使用しており、「ぎゅぎゅっと柚子を感じることができます」という商品です。

「軽い甘みが口に広がって、酸味とほのかな苦味が味を引き締めます。甘すぎず、お食事ともよく合います。ホームパーティーの手土産としても華を添えてくれると思います」

渋谷店ではそのほかにも独自にセレクトしたお酒や飲料を多数取り揃えています

植物由来のにごり湯の素 ユズ、スダチ、ショウガ

なにかと慌ただしい年末年始に、ほっと一息お風呂時間を彩る贈り物はいかがでしょうか。

香料・着色料不使用、植物由来原料の浴用パックで、ユズ・スダチ・ショウガの3種類。

「お湯の中で揉み出して香りを引き出します。自然そのものの香りと米ぬか特有のとろみをお楽しみいただけます」

花ふきん

中川政七商店のロングセラー商品「花ふきん」。日本らしい色合いに染めたかや織のふきんと品のあるたとう紙のパッケージで贈答にふさわしいたたずまいとなっています。

「ふきんは当店のお年賀の定番で、年始に新調される方も多く、もらってうれしい贈り物です。中でも大判薄手の花ふきんをぜひ試していただきたいです。かや織り特有の吸水速乾をより感じていただけるサイズと厚みです。ふわふわと育てていく楽しみもありますよ。年の初めに新しいふきん!おすすめです」

そのほか、様々なサイズやデザインのふきんをご用意しています

いかがだったでしょうか?

今回ご紹介した以外にも、中川政七商店では手土産におすすめの商品を多数取り揃えています。渋谷店やその他店頭で、遠方の方もECサイトにてご覧いただければと思います。ぜひ、気の利いた手土産とともに良き新年を迎え、素敵な時間をお過ごしください。

気持ちを晴れやかにしてくれる、自分好みの正月飾り

「来年こそは本気を出そう」

年末の追い込みを軽やかに諦めつつ、新年にやりたいことをあれこれ考えてそわそわする。そんな時期に差し掛かりました。

春夏秋冬、色々な季節の行事がある中で、やっぱりお正月はどこか特別なもの。

歳神様をお迎えして新年の幸福を祈る儀式としてもそうですが、前年の後悔や反省をリセットして再スタートを切るという気持ちの面でも、お正月の持つ意味は大きいと感じています。

お正月を迎える準備の中で特に大切に、そして楽しみにしているのが、新しい注連縄(しめなわ)飾りと干支飾りを用意すること。

どちらも地域やつくり手さんによって本当に様々な種類があり、お気に入りのものが見つかるとそれだけで気持ちが前向きになります。そして元日に飾ることがとても待ち遠しくなり、新しい年の訪れをより強く感じられるようになる。お正月飾りを選ぶことは、そんな体験とセットになっています。

おめでたい願いを込めた注連縄飾り

さまざまな形が作られている注連縄飾り

神聖な場所を示す注連縄に、稲穂や裏白(うらじろ)、だいだい、御幣(ごへい)などの縁起物を付けて作られる注連縄飾り。土地に伝承する物語が由来になっていたり、暮らしに馴染みの深い道具がモチーフになっていたり、全国各地でバラエティ豊かな注連縄飾りが今も作られ続けています。

中川政七商店では今回、「わらわら(藁)と喜んで(よろこぶ=昆布)、神(紙)を待つ(松)」という語呂合わせの意味を込めた組合せで、炭を昆布に、水引を松に見立てた注連飾りを作りました。炭の黒い色には邪気を払う願いも重ねています。

地域ごとや家単位で様々な形が存在する注連縄飾り。そんな、風土性・土着性の豊かさ、多様性を感じていただき、好みの飾りを選んでいただけるように、同じ想いを込めながら様々な形で注連縄飾りを表現しました。

二連飾り

注連縄飾り(二連飾り):約23×23cm

玉飾り

注連縄飾り(玉飾り):約23×26cm

輪飾り

注連縄飾り(輪飾り):約13×50cm

その他の注連縄飾りや鏡餅飾りなど、お正月飾りの商品一覧はこちら

昔から親しまれてきた干支飾り

無病息災や厄除祈念などの縁起物として昔から親しまれてきた干支もの。その年の干支を飾ることで「家内安全・商売繁盛」、人に授けることで「招福祈願・安寧長寿」という意味を持ちます。

2023年の干支は「卯(う・うさぎ)」。卯の跳ねる姿は「飛躍」に通じ、長い耳は福を集めるとされ、縁起がよいものといわれてきました。

かわいらしいイメージのウサギをモチーフにしつつ、会津の張子や瀬戸焼、こけしの技法でオリジナルの干支飾りを作りました。日本の伝統を感じられる品の良さを大切にデザインしています。

張子飾り 首ふり卯

張子飾り 首ふり卯(小/大)

福島県の「野沢民芸」さんとつくった、オリジナル絵付けの干支張子。素朴で愛らしい表情と長い耳が特徴です。ひとつひとつ筆を用いた手書きの彩色はまさに職人技で、心温まる味わいを感じられます。

干支張子 卯

干支張子 卯

金沢の老舗「中島めんや」さんと作った干支の張子。ウサギらしい丸みのある形を追求して形を起こしています。手作業の仕上げによりすべて表情が異なるのも魅力です。

瀬戸焼の干支飾り 卯

瀬戸焼の干支飾り 卯

愛知県瀬戸市で縁起置物や季節飾りなどの陶磁器を手掛ける「中外陶園」さんと作った干支飾り。古染釉と呼ばれる青みがかったつやのある質感の釉薬を用いています。古染釉が段差に溜まった時に青みが出る点を活かすため、耳や足の部分の段差を深くつけました。色数の少ない大人っぽい干支飾りです。

干支こけし 卯

干支こけし 卯

伝統的なこけしの技術を用いて作りました。斜めにカットした形状と、尻尾を別パーツにしたことで、よりウサギらしい形を表現しています。尻尾の部分にはこけしならではのろくろ模様を施しました。

その他の商品も多数「干支づくし」商品ページはこちら

少し気が早いかな、と思っているとあっというまに師走に入ってしまいます。余裕を持ってお気に入りのお飾りを見つけて、ぜひ、晴れやかな気持ちで新年を迎えてください。