甲子園球場のツタの壁「完成度まだ3割」育てる阪神園芸の隠れたプロ仕事

高校球児たちの夢の舞台、甲子園球場。

毎夏、熱戦が繰り広げられる2週間のあいだ、球児たちや観客が去った夕方からひっそりと仕事を始める人の姿が、甲子園球場にあります。

甲子園球場、ツタの壁

阪神園芸株式会社の松本匡司 (まつもと・まさし) さん。

阪神園芸の松本匡司さん

阪神園芸といえばその卓越したグラウンド整備が有名ですが、実際の仕事はもっと幅広いものです。

グラウンド整備で知られる阪神園芸の、別の顔

商業施設や集合住宅などの緑地づくり、公園の管理、そして甲子園球場をはじめとした運動施設の維持管理など。

中でも「園芸」の名にふさわしく、なおかつ甲子園球場らしい仕事が、風物詩となっている「ツタの壁」の管理です。

甲子園球場のツタの壁

1924 (大正13) 年冬、球場の設立から半年ほど遅れて植栽が始まったツタの壁は、平成に入るまで80年以上成長しつづけ、広げた葉の面積はなんとタタミ8000畳分。

2006年、球場リニューアルに伴って伐採されたのち、2009年に再びツタの植栽がスタートしました。

ツタの壁の育て方

「実はリニューアル前と後では、ツタの管理の仕方も、道具も違うんですよ」

松本さんが常に携帯している仕事道具
松本さんが常に携帯している仕事道具

松本さんは2004年、大阪府立園芸高等学校を卒業と同時に阪神園芸に入社。ツタの管理には新人の頃から携わってきました。

再植栽が始まってから1年後の2010年より「ツタの壁」の管理責任者に就任。リニューアル前と後、両方の姿を見てきた一人です。

阪神園芸の松本さん

日々の主な仕事は剪定と水やり。松本さんの指示のもと、社内で当番を組み作業に当たります。

改装前のツタは二層三層に壁を覆っていたため、成長させるよりも現状を保つことが仕事のメインだったそう。いまは、まだか細いツタをより太く、より遠くへ伸ばし「成長させる」ことが一番の課題です。

現在の壁の様子。まだ2階、3階部分にはツタが十分に行き渡っていません
現在の壁の様子。まだ2階、3階部分にはツタが十分に行き渡っていません

同じ剪定と水やりでも、勝手が違うと言います。

「リニューアル前は腕くらいの太さの茎もあって、看板や窓枠に絡みついていくものを思いっきり剪定していく感じだったんですが、今はまだ茎も細くて繊細なんです。前より優しく手入れしてやる感じですね」

リニューアル前のツタは、このような大きな鎌で手入れをしていたそうです
リニューアル前のツタは、このような大きな鎌で手入れをしていたそうです
現在は、この「木ばさみ」でツタを一本一本手入れしています
現在は、この「木ばさみ」でツタを一本一本手入れしています
枯れた太い茎などには剪定ばさみを使用。場所によって道具を使い分けています
枯れた太い茎などには剪定ばさみを使用。場所によって道具を使い分けています

立ち会った剪定作業の説明をしながら、松本さんは素早く不要な葉を摘み、手を休めません。

剪定前にまず「脈を見る」と壁を見上げる松本さん。健康具合を、ツタごとに見分けていく
剪定前にまず「脈を見る」と壁を見上げる松本さん。健康具合を、ツタごとに見分けていく
葉裏を見て、状態を瞬時に判断していく
葉裏を見て、状態を瞬時に判断していく
ボコボコと凹凸している茎の先端部分。実は表面が吸盤状になっており、少しの助けさえあれば、成長しながら自然と壁にくっついていくという
ボコボコと凹凸している茎の先端部分。実は表面が吸盤状になっており、少しの助けさえあれば、成長しながら自然と壁にくっついていくという
足元には摘まれた葉っぱが。そのまま腐葉土として土の栄養になる
足元には摘まれた葉っぱが。そのまま腐葉土として土の栄養になる

ツタの成長とともに、球場の安全も守る

「こういうところは注意が要るんですよ」と示されたのは、場内アナウンスを流すスピーカーや電気系統の操作盤が設置されている壁。

操作盤のところで何か作業をする松本さん
操作盤のところで何か作業をする松本さん

ツタはスピーカーや操作盤にも絡みつきます。漏電などを引き起こさないよう、細かく取り除いていかなければなりません。

ツタは壁に設置されているスピーカーや電気系統の操作盤にも絡まる。漏電などにならないよう、細かく取り除いていかなければならない
細やかな点検がツタの成長と球場の安全を守る

細やかな点検がツタの成長と球場の安全を守っています。

採光を妨げないよう窓まわりのツタもきれいに取り除かれます。緑に白い窓枠が美しく映えていました
採光を妨げないよう窓まわりのツタもきれいに取り除かれます。緑に白い窓枠が美しく映えていました

生やしてみてわかった、ツタの壁の思わぬ効果

そもそも、なぜツタは球場を覆っているのでしょう。

甲子園球場のツタの壁

「以前の球場はコンクリート壁でした。それだと殺風景だからという理由でツタの植栽を始めたようです。ですがリニューアルにあたって剥がしてみたら、壁がとてもきれいな状態で。ツタが壁面を守ってくれていたのだとわかりました」

甲子園球場ツタの壁

試合終了とともに始まる仕事

ツタは夏蔦といって、4月から成長をはじめて夏いっぱい葉を伸ばし、秋には落葉します。

「本当なら春から夏は、水をいっぱい与える時期。ただ、ちょうどそのころは、プロ野球や高校野球のオンシーズンに当たるんですね」

水やりには給水タンクやポンプを積み込んだトラックで球場をまわります。多くのお客さんで賑わう試合前やゲーム中は、「せっかく楽しみにきてくれているので」雰囲気を壊してしまわないよう、作業は控えるそうです。

必然的に、手入れができるのは試合のない日や、試合後の時間帯。

人気のなくなった夕方の球場に、松本さんの後ろ姿が
人気のなくなった夕方の球場に小さく、壁と向き合う松本さんの後ろ姿が

連日試合の続く高校野球の場合は、その日の最終試合のゲームセットが、松本さんの仕事開始の合図です。

試合が延長戦ともなれば、作業は夜遅くに及ぶことも。しかしどんなにスタートが遅くなっても、「明日にしよう」はないと言います。

「必要な時に十分に栄養を与えてあげないと。成長中のツタは繊細なので、一箇所でも具合が悪いと、あっという間にそのツタ丸ごと枯れてしまうこともあるんです」

甲子園球場のツタの壁を手入れする、阪神園芸の松本さん

球場一周でツタは300株以上。それぞれの状態に合わせた手入れは想像するだけで気の遠くなるような作業ですが、成長期間が限られるからこそ、一日一日の手入れが真剣勝負です。

ツタの見守り365日

仕事は季節ごとに少しずつ変わります。

春はカラスが天敵。巣作りのためなのか、ツタをついばみに来るのだそうです。

市販されている鳥よけのネットを使えば話は早いのですが、球場の顔とも言えるツタの壁、せっかくの景観を損ねてしまうので、細かく見回りをして防ぐしかないとのこと。

また、夏から秋にかけての台風シーズンは、大雨や強風でツタが壁から剥がれてしまわないよう、細いワイヤーを壁に巡らすなど事前の手当が欠かせません。

そして成長の止まる冬には、葉がまんべんなく球場を覆っていくようツタが伸びる方向を整えて、春を待ちます。

年間を通じた手入れを経て、少しずつ育ってきたツタの壁
年間を通じた手入れを経て、少しずつ育ってきたツタの壁

完成まで30年。成長を続ける甲子園の風物詩

「成長度合いはこの9年で3割くらいでしょうか。僕が定年するころに、やっと球場全面を覆うようになります。それが楽しみで仕方ないですね」

プライベートでは先日お子さんが生まれたばかり。大きくなった時に誇れる仕事をし続けたいと語ります。

「壁の保護とか、緑地管理と言っても子どもには難しいでしょうから、『あのツタは球場を守っているんだよ』と説明しようかなと」

阪神園芸の松本さん。管理している甲子園球場のツタの壁をバックに

もし球場でこんな後ろ姿を見かけたら、それは、そんなツタの壁を日夜守る、松本さんの後ろ姿です。

甲子園球場、ツタの壁を手入れする阪神園芸の松本さん

<取材協力>
阪神園芸株式会社
http://www.hanshinengei.co.jp/

文・写真:尾島可奈子

こちらは、2018年9月5日の記事を再編集して掲載しました。いよいよ今日から始まる甲子園。球場ではぜひツタにも注目です。

首里城そばのカフェ「CONTE (コント) 」で、沖縄の食とうつわを好きになる

沖縄・首里を訪ねたら、ぜひ立ち寄ってほしいカフェがあります。

ゆいレールの首里駅から首里城に向かう途中、ちょっと寄り道した路地裏にあるカフェレストラン「CONTE (コント) 」です。

首里城そばのカフェ「CONTE (コント) 」

控えめな看板、隠れ家のような雰囲気の店構えから一転、中へ入ると大きめの窓からたっぷりと日が差し込み、奥へ奥へと広々とした空間が広がっています。

首里城そばのカフェ「CONTE (コント) 」

「首里に来たらランチはまずここね。料理もうつわも素晴らしいです」

そう教えてくれたのは、沖縄の食の祭典「まーさんマルシェ」の記事などを取材してくれた、沖縄在住のテレビディレクター土江真樹子さん。

早速そのオススメのランチメニューを見てみましょう。

メニューは沖縄の食材をおいしく、たっぷり

ランチは通常4種類。沖縄の食材の美味しさを味わってほしいという店主の思いから、県産豚や魚、野菜がふんだんに活かされています。

オープン時からの看板メニューが「県産豚のロースト マスタードソース添え」
オープン時からの看板メニューが「県産豚のロースト マスタードソース添え」
こちらは「県産豚挽肉と紅じゃがのコロッケ ヨーグルトスパイスソース添え」
こちらは「県産豚挽肉と紅じゃがのコロッケ ヨーグルトスパイスソース添え」

メインディッシュに負けないくらい、島野菜を使ったデリもたっぷりと惜しみなく。沖縄の旬の味を、お腹いっぱい食べられます。

店内のディスプレイにもさりげなく島野菜や旬の食材が並び、オーナーである五十嵐さんご夫妻の、食材や土地への愛情が伝わってくるようです。

沖縄首里城そばのカフェ「CONTE (コント) 」
沖縄伝統の島らっきょう
沖縄首里城そばのカフェ「CONTE (コント) 」

コントという店名の意味

実は店名の「CONTE(コント)」とは、フランス語で「物語」「ショートストーリー」という意味。

「食に関わるお店である以上、お皿に料理がのぼるまでの、食材や生産者たちも含めた様々な物語が感じられるものを提供したい」と、お店の名前にしたそうです。

オーナー兼シェフの五十嵐亮 (まこと) さん。手には盛りだくさんの旬の野菜
オーナー兼シェフの五十嵐亮 (まこと) さん。手には盛りだくさんの旬の野菜

五十嵐さんが伝えたい「様々な物語」は、食材に留まりません。ランチをいただいていると、料理を飾るうつわの美しさに自然と目が行きます。

うつわも沖縄生まれが勢揃い

実は、CONTEで使われているうつわは沖縄の作家さんのものばかり。

右奥のスープ皿は、「木漆工とけし」さんのうつわ。沖縄で注目の工房です。左の赤いうつわは木村容二郎さん、手前の青い皿は大嶺工房、奥のご飯茶碗は宮城陶器さんのものと、沖縄の作家さんのうつわがずらり
右奥のスープ皿は、「木漆工とけし」さんのうつわ。沖縄で注目の工房です。左の赤いうつわは木村容二郎さん、手前の青い皿は大嶺工房、奥のご飯茶碗は宮城陶器さんのものと、沖縄の作家さんのうつわがずらり

オープン当初からご夫妻で展示会や工房をまわり、惚れ込んだ作家さんと丁寧に関係性を築いて作った、オリジナルのうつわがテーブルにのぼります。

うつわのことを語る五十嵐さんはとても嬉しそう
うつわのことを語る五十嵐さんはとても嬉しそう
ランチのプレートに使われていたのは宜野湾市に青鳥窯という工房を構える陶芸家・杉山早苗さんの八寸皿。オープンに合わせて製作してくれたそう
ランチのプレートに使われていたのは宜野湾市に青鳥窯という工房を構える陶芸家・杉山早苗さんの八寸皿。オープンに合わせて製作してくれたそう
沖縄首里 CONTE
毎日使っていくうちに表情が変わるのが魅力とのこと。野菜やソースの色が映え、料理をより美味しく見せてくれます

店内には物販コーナーがあり、気に入った作家さんのうつわを購入することもできます。

デザートや煮込み料理に使われている、木村容二郎さんのうつわ
デザートや煮込み料理に使われている、木村容二郎さんのうつわ
涼しげなグラスはガラス作家・小野田郁子さんの「吹きガラス工房 彩砂」のもの
涼しげなグラスはガラス作家・小野田郁子さんの「吹きガラス工房 彩砂」のもの
お隣の食物販コーナーには、宜野湾のパン屋さん「宗像堂」の天然酵母パンのコーナーが。週に一度、毎週木曜日の午後に入荷するそうです
お隣の食物販コーナーには、宜野湾のパン屋さん「宗像堂」の天然酵母パンのコーナーが。週に一度、毎週木曜日の午後に入荷するそうです

CONTE (コント) という店名にはもう一つ、お笑いの「コント」にもかけて「ユーモア」「笑い」の意味も込めているそう。

確かにこの場所で過ごしていると、「おいしい」以上に「沖縄の食って、うつわって面白い」と自然と思っている自分がいました。

<取材協力>
CONTE(コント)
沖縄県那覇市首里赤田町1-17
098-943-6239
http://conte.okinawa/
営業:11:00〜17:00(L.O.16:00)
定休日:月曜日
(情報は2019年7月時点のものです)

文:尾島可奈子
写真:武安弘毅

「お箸は5つのポイントで選ぶ」中川政七商店デザイナーが気づいた使いやすさの決め手

食卓に欠かせない道具、お箸。色や形、素材、太さ (持ち手 / 先端) 、かたち (持ち手 / 先端) 、重さなど様々ですが、みなさんはお箸をどうやって選んでいますか?

今日は、一人のデザイナーが考え抜いた「本当に使いやすいお箸ってなんだろう?」と、その答えとして生まれた新しいお箸のお話です。お箸の選び方に迷っている人は、きっと参考になるはず!

お箸選びの基準を求めて

「世の中のさまざまなお箸を調べてみると、お箸選びの基準は不明確なものでした。大手百貨店や有名なお店にも行ってみましたが『これぞ!』というベストの選び方は存在しません。つまり、実際に選ぶ人も何がいいかわからないのでは?という考えに至りました」

そう語るのは、中川政七商店のデザイナー渡瀬聡志 (わたせ・さとし) さん。

温故知新の精神をもち、長年使えてなおかつ現在にとってあるべき姿の商品を開発する中川政七商店。定番商品であるお箸を改めて見つめてみた渡瀬さんは、自分にぴったりのお箸を誰もが選べる基準探しを始めました。

デザイナーの渡瀬さん
デザイナーの渡瀬さん

「長さ」が基準と言うけれど‥‥

調べていくと、世のお箸屋さんが唱えるお箸選びの基準として「長さ」という考え方があることにたどり着いた渡瀬さん。
親指と人差し指を直角に広げ、その両指を結んだ長さを「一咫 (ひとあた) 」といいます。この1.5倍にあたる、「ひとあた半」が基準のひとつになります。

ただ、この「ひとあた半」で選んだ長さのお箸が渡瀬さんにはフィットしなかったのだそう。

「大まかな目安として捉えることはできるけれど、あまりしっくり来なかった。その他にも素材、塗り‥‥など、様々な要素が合わさるので、同じ長さでも商品によって全く異なる使い心地になってしまう」

たしかに、自分のお箸のほか、飲食店で出される色々なお箸の長さの差をあまり感じたことはないですが、食べやすいものとそうでないものがあるなぁと思い出しました。

そこで、渡瀬さんはお箸の構成要素を整理した表を作って研究をすることに。

「長さ、素材、先端の形状(四角・八角)、重さ、太さ」と項目を洗い出し、それぞれの要素がどのように働いているか調べていきます。実際に比べてみると、長さ・太さ違い、形や素材違い、サイズ感と重さの違い、などによって使い勝手が変わります。

お箸の様々な要素を抽出し、組み合わせた表を作って検証へ
お箸の様々な要素を抽出し、組み合わせた表を作って検証へ
試作したお箸。その数なんと254本!
試作したお箸。その数なんと254本!
箸の形状の違いによる掴みやすさ、使い心地を調べるために、箸使いに少し手間がかかる食材を選んで検証しました。食材は、あずき、焼き魚、しらたき、うずらの卵、高野豆腐
箸の形状の違いによる掴みやすさ、使い心地を調べるために、箸使いに少し手間がかかる食材を選んで検証しました。食材は、あずき、焼き魚、しらたき、うずらの卵、高野豆腐

選択が必要な要素と、選ばなくていい要素

要素はたくさんありますが、購入するときに細かく選んでいくのは大変です。検証していくと、要素の一つひとつを全て個々人が選ぶ必要はないことに気づいたそうです。

例えば、素材は重さや、風合いの好みが別れる材を省いていくと、ほどよい重量があり質感や耐久性に優れている「鉄木」が誰にとってもちょうど良い素材として集約されていきました。

驚いたことに、「長さ」は、ほとんどの人は22センチメートルがちょうど良かったとのこと。実は、この22センチメートルは夫婦箸の間をとった長さであるという興味深い結果。つまり、「長さ」も箸選びにおいては気にしないでよい要素となりました。

反対に、人によって大きく好みが分かれて集約しきれない、選ぶ余地として残したほうがいい要素も見つかりました。それは、持ち手の「かたち」と「太さ」。

「持ち手のかたち」は握ったときに角がある方が好みの人もいれば、丸に近い形を好む人もいます。 手の大きさによって心地よいものが変わる「持ち手の太さ」も選択すべき基準として残りました。性別による体格差など、その人の身体特性で手の大きさは様々。これらは自分に合う箸を大きく左右する、選ぶべき要素として残すこと。

新定義!お箸選びの基準は「持ちごこち」

200本以上のお箸を使って検証を重ね、整理していった結果、お箸選びに大事なのは世の定説である「長さ」ではなく、持ち手の「かたち」と「太さ」 からなる「持ちごこち」と定義できました。

そうして渡瀬さんは、自分にぴったりの「持ちごこち」を選べるお箸をつくりあげました。「持ち手のかたち」 は「四角」「八角」「削り」の3種類から、「持ち手の太さ」 は太め・細めの2種から選べるように。

しっかりと安定する「四角」
しっかりと安定する「四角」
ほどよく安定する「八角」
ほどよく安定する「八角」
手馴染みが良い「削り」
手馴染みが良い「削り」
2本の箸
よーく見てみてください‥‥。右が太めの箸、左が細めの箸です。写真だとちょっとわかりにくいのですが、持ってみると結構違うんです

機能面に加え、色合いなどデザインの検討も重ね、拭き漆仕上げの3色に絞られました。生産は、日本一の箸の産地である福井県若狭で、職人の手によって0.1ミリ単位にまで気を配って作られています。

新たに生まれた握り心地で選ぶお箸

お箸選びのポイント

最後に改めて、お箸選びのポイントを整理しました。

1、持ち手の太さを選ぶ。

2、持ち手の形を選ぶ。

3、色を選ぶ。 (拭き塗り 赤・茶・黒)

「お箸は実際に握ってみないと合うかどうかわからないもの」と、渡瀬さんは言います。日々の暮らしに無くてはならないお箸。食事をより楽しむためにも、使い勝手の良いお気に入りの一膳があると嬉しいですね。

ちなみに、渡瀬さんのお気に入りは「八角」なのだそう。みなさんはどれがお好みですか?自分にぴったりのお箸、ぜひ探してみてください。

<掲載商品>
拭き漆のお箸 (中川政七商店)

文 : 小俣荘子
写真提供:中川政七商店、木澤淳一郎

こちらは、2017年9月26日の記事を再編集して掲載しました。日本人にとってなくてはならないお箸。だからこそ長く使えて、しっくりくるものを選びたいですね。

甲子園の優勝旗。舞台裏には最高峰の職人たちのチーム戦がある

3代目「深紅の大優勝旗」が翻る令和の甲子園

甲子園の季節が、今年もやって来ました。

記念すべき第100回大会が行われた2018年、60年ぶりに新調されたのが優勝校に授与される「深紅の大優勝旗」です。

甲子園 真紅の大優勝旗
©時事通信

その大きさは縦1.2×横1.5メートル。ハトの絵柄と「優勝」の文字が金色に輝き、ラテン語で「VICTORIBUS PALMAE」 (勝者に栄光あれ) という文字が織り込まれています。

新たに作られた大優勝旗は3代目。先代と同じく西陣織の「つづれ織り」の技術で織られています。制作には1年6カ月もの歳月を要しました。

高校野球同様、この大優勝旗の舞台裏にも職人たちの熱い思いとチームワークの物語が。

制作を担当した平岡旗製造を訪ねてお話を伺うと、そこにはもう一つの「甲子園」がありました。

平岡旗製造株式会社
1887年創業の老舗旗屋「平岡旗製造」

制作費1200万円、京都最高峰の職人たちのチーム戦

専務の平岡成介さん
大優勝旗制作のプロジェクトを統括した、専務の平岡成介 (ひらおか せいすけ) さん

「これから数十年に渡って毎年使われる大切な大優勝旗のご依頼、特別な思いで制作にあたりました」

大優勝旗制作の予算は1200万円。一般的な旗づくりは、数万円から数十万円程の予算。連綿と続いてきた大会の100回記念。その重みある依頼です。

平岡さんの言葉にも力が入ります。

「3代目の大優勝旗は、デザイン、織り方ともに2代目を踏襲することが決まっていました。下絵、染め、織、縫製など全ての工程において、最高峰の職人さんを集めて進めました」

京都のものづくりは分業制です。隣接する工房同士で仕事を分担し、1つのものを作り上げていきます。

旗は依頼を受けた旗屋が、制作物の性質や予算などに応じて最適な工房や職人さんを選び、制作を進めます。長年ともにものづくりをする中で蓄積された、職人さんごとの強みや技の特色への理解からベストなチームを作るのだそう。

今旗に描かれるマークや文字は刺繍で仕上げることが一般的です。

一般的な手法で作られた旗。多くの旗は、生地の上に刺繍を施して仕上げるのだそう
一般的な手法で作られた旗を見せていただきました。多くの旗は、生地の上に刺繍を施して仕上げるのだそう

しかしこの大優勝旗は全て横糸だけで文様を表現する「つづれ織り」。文字や柄も糸を織り込んで描くので、繊細な絵柄の部分は1日でわずか1センチメートルしか進まないこともあったそうです。

つづれ織りの様子
つづれ織りの様子。巧みに爪を使って緯糸 (よこいと) を織り込んでいきます。写真は、文字を錦糸で描いているところです

球児たちに負けないタフさ

「大優勝旗は、球児たちが元気に力強く振ることもあります。壊れにくいようにしっかりと織って強度を高めました。

織り目が詰まっているので、最後の仕立てでは、糸を通すのに針にロウを付けて滑りやすくした上でペンチで引いたほどです」と平岡さん。

旗を掲げるポールにも様々なものがあります。大優勝旗では最上級の漆塗りのものが用いられました
こちらは旗を掲げるポールのサンプル。単色塗りのものから螺鈿装飾など様々なものがあります。大優勝旗では最上級の漆塗りのものが用いられました

10年以上、毎年メンテナンスに通った熱意

ところで、この大優勝旗作り、平岡旗製造が担当することになった背景には、平岡さんのひたむきな仕事と熱い思いがあります。

「私自身、大の高校野球ファンなんです。PL学園のKKコンビに憧れて、学生時代は野球に明け暮れる毎日を過ごしていました。

29歳の時に旗屋を継ぐため、この会社に戻ってきました。そんな私の初仕事は、甲子園の優勝旗につける竿頭綬 (優勝校名を記したペナント) 作りだったんです」

専務の平岡成介 (ひらおか せいすけ) さん
キリリとした表情でお仕事を語ってくださった姿から一変。高校野球の話になるとお顔がほぐれ、素敵な笑顔を見せてくださった平岡さん

「その年の甲子園は86回大会。初めて間近に見た2代目の優勝旗は既にかなり傷んでいました。45年以上使われ続けてきたのですからね。

自分の仕事を通じて大好きな高校野球に貢献できることはないか?と考えた時、補修など優勝旗にまつわることであれば役に立てることがあるのではと思いました」

こうして、甲子園開会式前日のリハーサル時に優勝旗のチェックを行う役目を無償で買って出た平岡さん。毎年甲子園に通い、優勝旗のチェックや手入れなど、旗屋としてできることは何でも引き受けました。

「毎年通って仕事をさせてもらうようになって数年経つと、入場のフリーパスをもらえるようになりました。担当者として認識していただけたのが嬉しかったですね」

優勝旗のチェックは室内練習場で行なっていましたが、数年後にはグラウンド入りの許可までをもらえるように。

「まさか自分が甲子園の土を踏む日が来るなんてと、感激したことを覚えています。

旗の持ち方や結び方の確認など、開会式で球児たちがよりかっこ良い姿で入場行進できればとお手伝いさせてもらいました」

旗の結び目
旗の結び目の見本を見せていただきました。しっかりと美しく結ばれています。ふさの部分が垂れ下がってしまっていたり、「かっこ悪い姿」にならないようにチェックするのだそう

毎年ていねいな仕事を重ね、信頼を積み上げてきた平岡さん。ついには、3代目大優勝旗の制作という大仕事の依頼を受けるまでになったのです。

子どもの頃からの思いが実を結んだ

旗屋の後継ぎとして生まれた平岡さん。勉強など、幼い頃から将来への準備をしてきました。小学生時代は受験勉強のため、少年野球に入ることが叶わず、勉強の休憩時間に一人で壁打ちをしていたといいます。

「野球に対しては、子どもの頃から醸成されてきた思いがありました。旗屋の仕事を通じて思いがけず甲子園と関わりが持てたこと、思いが実ったようです」

平岡さん

そんな平岡さんに、甲子園球児へ何か伝えたいことはありますか?と伺うと「こちらから言葉をかけるなんておこがましい」と、どこまでも控えめです。

「彼らは普通の人がして来た何倍もの努力をして、この場所に立っている選手。そのことへ敬意と尊敬の思いがあるばかりです。選手によってはこの夏が野球人生最後になる人もいます。ここまでのみなさんの野球人生に敬意を評します。

高校野球は、生き様というか人間模様が表れている。まさに青春の素晴らしさがあります。そこに私は熱くなるのだと思います」

日々練習を積み上げ、勝ち上がってきた選手による熱い戦いの場、甲子園。平岡さんが大優勝旗制作を担当するまでのひたむきな仕事ぶりにも重なります。

今年の優勝旗はいったい誰の手に渡るのでしょうか。この夏を締めくくる表彰の舞台では、真新しい深紅の大優勝旗にも注目です。

<取材協力>
平岡旗製造株式会社
京都市下京区四条通西洞院東入郭巨山町18番地 ヒラオカビル
075-221-1500
http://www.hiraoka-hata.com/

文:小俣荘子
写真:山下桂子

こちらは、2018年8月21日の記事を再編集して掲載しました。今年も目が離せない甲子園。優勝旗にもぜひ注目してみてください。

「長く愛されるものづくり」の要素を、Salvia(サルビア)主宰・セキユリヲさんに聞く

つくり手の人柄が見えてくるようなプロダクト。直感的に、近くに置いておきたいなと感じるものには、人の温度がこもっているような気がします。

「目指しているのは、新しいけど、懐かしいデザイン。

いつまで経っても古びない、長く大切にできるものをつくっていきたい」

デザイナーのセキユリヲさんが主宰する〈Salvia(サルビア)〉は、オリジナルデザインの靴下やハンカチ、ストールなど、日々の暮らしを彩るものをつくっている生活雑貨ブランドです。

Salviaのコンセプトは「古きよきをあたらしく」。

Salviaのコンセプトは「古きよきをあたらしく」。

東京・蔵前のアトリエで、日本各地の伝統工芸や地場産業など、つくり手の技術をいかしたものづくりをしています。

デザイナーのセキさんは、やわらかでやさしい温もりのあるsalviaのデザインをそのまま体現したような方。

今回はそんなセキユリヲさんに、Salviaの活動や、日本のものづくりについてお話を伺いました。

植物は人を癒やす力を持っている

Salviaというブランドは、もともとはセキさんの個人的な活動から始まりました。

子どもの頃から絵を描くのが好きで、グラフィックデザイナーとして本や雑誌のデザインなどを手掛けていたセキさん。

「植物のスケッチをしているときやパターンを描いているときが、いちばん心が安らぐんです。

植物の持つエネルギーを身に着けられたら、と、描き溜めていたスケッチを元にものをつくるようになったことが、Salviaの活動につながっていきました」

はじめは、自分でデザインしたテキスタイルを使って、クッションやカーテンなど、生活にまつわるものをつくりためていましたが、2000年に表参道のギャラリー・ROCKETで行った展示会をきっかけに、企業やメーカーとコラボレーションをしてものづくりをするように。

ある染織家との出会い

そんな中、セキさんのその後のものづくりに大きな影響を与える、ある職人さんとの出会いがありました。

インテリアテキスタイルの仕事で、当時新潟にあった「抜染」をしている染め工場と一緒にものづくりをしたときのこと。

※抜染(ばっせん):抜染剤を使い、無地染めの生地の色を抜くことで、模様や柄を描く手法。

それまではインクジェットやシルクスクリーンなどのプリントでテキスタイルをつくっていましたが、初めて職人さんと組んで布づくりを経験。

その道を極めている職人さんの技術に感動し、彼らとのものづくりのおもしろさにすっかり夢中になりました。

「自分ひとりではなく、自分以上にいろんなものを経験している人とご一緒すると、倍以上のクオリティの高いものが人々に届けられるんだなと実感できたんです」

そこからセキさんは、古くから続く職人さんの技術をいかしたものづくりに惹かれ、力を注ぐようになっていきました。

ものづくりの原点は「欲しいもの」

Salviaのものづくりは、まずは「これがつくりたい」「こんなものがあったらいいな」という、セキさんの思いから始まります。

次に職人さんを探しますが、なかには職人さんが見つかるまでに何年もかかることもあるのだそう。

そうして、ようやく出会えた職人さんとのものづくりが始まると、何度も現場に足を運んでは、職人さんと話し合い、試作を重ねていきます。

ときには予想もしていなかったようなサンプルができあがってきたりと予想外の展開や職人さんとの一連のやりとりがとにかく楽しいというセキさん。

「職人さんに『もっとこういうものできませんかね?』というと、『ちょっとやってみるよ』と言って、ぜんぜん違うものがでてくるんですよ。『じゃあこうしよう』『ああしよう』といって、思いもよらなかったものができあがる。その工程がすごくおもしろいんです」

小冊子「季刊サルビア」

完成したプロダクトだけでなく、職人さんとのものづくりの過程も伝えたくて、2006年から小冊子「季刊サルビア」を発行。ものづくりの裏側にある、あたたかなストーリーの数々を紹介しています。

テキスタイルを学びに、スウェーデンの小さな島へ

さらなる転機が訪れたのは、2009年のこと。

2000年に個人的な活動として始まったSalviaにもスタッフが加わり、徐々に仕事を任せられる状況になっていました。

「一生のうち、何年かは日本以外の国に住んでみたい」という気持ちがあったセキさん。2009年の秋から1年間、ご主人と猫ともどもスウェーデン留学へ。「カペラゴーデン」という小さな手工芸の学校で、スウェーデン織りや刺繍、染色などのテキスタイルを本格的に学びました。

「スウェーデンは、夫と何度か旅行で行ったことがあったんです。他の国にも行きましたが、(北欧が)居心地がよくて、自分たちの求めている感覚に近いなと思いました」

学校があるのは、エーランド島という小さな島で、スウェーデンの中でもとくに田舎で人間よりも羊の数の方が多いような、牧歌的なところだったのだそう。

スウェーデン、エーランド島
スウェーデン、エーランド島

そこには、何もないからこそ感じられる自然の生き生きした美しい姿や、ものづくりに没頭できる理想的な環境がありました。

「『今日、あの花咲いたね』というのが、みんなのいちばんの喜びだったり、話題の中心だったりするんですよ。

東京で暮らしていた私にとって、それがものすごく豊かなことだなと思いました」

スウェーデンで学んだ1年間のことを、とても大切な宝物のことのように話してくれたセキさん。

雪割草(ゆきわりそう)といって、雪を割って春一番に出てくるお花が咲いた日には、わぁーっと噂が広まり、みんなで走って見に行ったり。

「雪が降った日には、大の大人たちがみんなで懐中電灯をつけて、夜中の散歩に出かけこともかけがえのない思い出です」

セキさんが学んだ「カペラゴーデン」
セキさんが学んだ手工芸の学校「カペラゴーデン」
「トラス・マッタ」づくりでは、染色にも挑戦
北欧の家庭でおなじみの裂織りマット「トラス・マッタ」づくりでは、染色にも挑戦。

スウェーデンでの経験は、その後のセキさんのものづくりにたくさんの変化をもたらしました。

そのひとつが作品の色使いです。

留学を経て、スウェーデンの基本色に惹かれるようになりました。

「透明感があるんですよね。空気が澄んでいるからかな。色の使い方などもきっと、すごく身になっていると思います」

Salviaの商品「旅するハンカチーフ」
鮮やかだけれど強すぎない、セキさんの独特な色使いは、北欧の美しい風景を思わせてくれる。

そして、もうひとつ。

「カード織り」という、スウェーデンや北欧で伝統的に伝わる織り物の技法に出会ったことです。

カード(台紙)を織り機に見立て、くるくると回すだけで模様の織り物がつくれるシンプルな手法で、織り機の元祖となったものなのだそうです。

カード織り
カードにはABCDと書かれた穴があり、設計図どおりに異なる糸を入れて織っていく。

「織り物っていうと織り機がないとできない、道具を揃えなきゃいけないイメージ。でも、この小さなカードならどこでも、例えば、森の中でも織り物ができちゃうというおもしろさがあります」

スウェーデン滞在中、カード織りに長けているある先生との出会いがあり、その奥深さにすっかり魅了されたセキさん。直々にカード織りを集中的に学び、帰国後はSalviaのアトリエなどでワークショップを行うまでになりました。

「そこから、手でつくるものっていいな、と改めて思いました」

ものづくりから、ことづくりへ

セキさんがスウェーデンから帰国した翌年の2011年、Salviaのアトリエは東京の下町・蔵前に引越しをしました。

「蔵前のまちの人と人のつながりの濃さがが、すごく居心地がいいなと思ったんです」

Salviaのアトリエからの風景
「景色に惹かれた」という古いビルの3階にあるSalviaのアトリエは、隅田川に面していて、遊覧船がゆったりと行き交う風景や、川の向こうには東京スカイツリーも。

現在、蔵前のアトリエは、ものづくりの企画や発送を行うオフィスとしての役割のほか、月に1回だけオープンする手仕事を販売するお店「月いちサルビア」や、カード織りワークショップの開催など、「地域」と「人」や「もの」がつながる場にもなっています。

さらにこの夏ははじめての取り組みも。新潟のつくり手さんが主催するファクトリーイベントに、お客さんにもSalviaの一員として参加してもらうという体験型の企画を予定しています。

「これからは、『場づくり』や『ことづくり』をやりたいなと思っています。ワークショップや、Salviaの活動を一緒に体験してもらうとか。人と人とのつながりをつくっていきたいですね」

セキユリヲさん

まもなく20周年を迎えるSalvia。

セキさんの趣味の延長から少しずつはじまった活動は、職人さんの技術をいかしたものづくりや、その過程を伝えるための冊子づくり、スタッフとお客さんがつながる場づくりに。

さらには、お客さんにもものづくりの一部を体験してもらうような“ことづくり”へと、ゆるやかに活動の広がりを見せています。

そして、その根底にはいつも「つくることが好き」という、セキさんのおおらかであたたかな思いがあるように感じました。

<取材協力>
Salvia(サルビア)
セキユリヲさん
http://salvia.jp/

文:西谷渉
写真:中村ナリコ、 Salviaさんご提供(スウェーデン写真)

【わたしの好きなもの】THE 醤油差し


調理が一段とスピーディーに

醤油、酢、サラダ油。

私が「THE 醤油差し」に入れている調味料です。
傾けたらさーっと気持ちよく調味料が流れ出て、ここだ!というところでひゅっと頭を上げればピシッと止まる。最初に使ったときに感動して以来コツコツ買い集め、今や3本となりました。

蓋の開け閉めがいらず、手にとったらすぐに使える手軽さが便利で、私はこの3本を食卓用ではなく、調理中にさっと取れる場所に置いています。

調味料を瓶のまま使っていたときと比べて、「蓋を開けるのに手間どる」「そろそろと傾けたのにどばっと出てしまった」「瓶の口にたまった調味料をティッシュでおさえる」といった煩わしさから開放されることで、調理が一段とスピーディーになりました。

サラダ油も快適に

中でも意外なほど便利だったのがサラダ油です。サラダ油は醤油などの調味料に比べると粘度が高く、出るときはややスムースさに欠けるものの、蓋の開け締めで手を汚すことも、使いすぎることもなく、実に快適にフライパンに油を差すことができます。

そして、この手軽さが享受できるのは、すぐ手が届く場所、コンロのすぐ近くの目立つところに置いておけるデザインがあってこそ。醤油やお酢も、これまでは食卓に出すときはわざわざ小さな片口に入れていたのですが、今では「味が薄かったらかけてね」とキッチンからそのまま食卓に出せるようになりました。ホットプレートの使用時など、食卓に油を置くときにも本当に便利で美しく、お好み焼きを焼きながら「買ってよかった‥‥!」とその喜びを噛みしめています。

すっかり我が家の台所に欠かせないものになった醤油差し。料理酒や薄口醤油用など、まだあと数本買い足しを予定しています。(みりんは糖分が固まってしまってだめでした)

EC課 辻村



<掲載商品>
THE 醤油差し 紙箱入り