【わたしの好きなもの】化粧ポーチ

新しい生活に、マスクポーチ


このご時世、毎日マスクの生活が続きます。

そもそも花粉症なので春先はマスクが欠かせない私ですが、ここまで日常的にマスクをつけるようになると、 その扱いにも気を使いますよね。

ティッシュケースやポケットに突っ込んだりしてくちゃくちゃのマスクを持ち歩きたくないし、
暑くなってくると替えのマスクも用意しておきたい。

そんな思いから、普段の化粧ポーチにプラスしてお気に入りの”マスクポーチ”があれば気分もあがるのでは?と、 ちょうど良いポーチを探していました。
そうしたら、以前からの定番商品の中にピッタリのものを見つけました!



その名も「化粧ポーチ」なのですが、化粧品の汚れが取れやすいようにと内側がビニールコーティングされているのです。清潔を保ちたいマスクを入れるのに、ちょうどいい!少し気になるときは、除菌シートで拭いてから使っています。



仕切りがあるので、除菌シートやマスクスプレーを一緒に入れても、マスクと絡み合わないんですよね。



お気に入りの布マスクに使い捨てマスクも入れておいて、「マスクを忘れた!」という人に「これどうぞ。」とスマートに出すと、喜ばれると共にポーチも褒められたり。



思いがけず訪れたマスク生活。自分らしいお気に入りがあるだけで、この新しい生活もプラスな気持ちで過ごせています。

編集担当 宮浦

【お客様より嬉しいお声をいただきました】

「わたしの好きなもの」を読んで、店舗で手に取りました。
外食するときに外したマスクの収納に困っていましたが、このポーチにきちんと収まります。
中も綿にビニールコーティングしてあるので、拭いて清潔に保てます。
非常につかえます!!


<掲載商品>
化粧ポーチ
天然精油マスクスプレー
綿麻ガーゼの立体マスク
さくらのハンドクリーム

【はたらくをはなそう】小売課 課長 古谷 奈々

古谷 奈々

2019年2月入社。
経営企画室を経て、
2019年11月、コミュニケーション本部 小売課課長に就任。




「着眼大局 着手小局」

全体の状況を俯瞰しながら、目の前の小さなことから実践するという意味。

私は、この言葉をお守りのように携えてはたらいています。

つくりだしたい世界観をイメージして、具体的な目標に落とし込む。
そして、「迷い」と「決断」の積み重ねをしながら、着実に前に進め、きちんと成果をだしていきたいなと思っています。


目的を見失い、いただいた機会を膨大な単純作業と捉えてしまい、ふてくされかけたこと、
世界観はすり合ったけど、具体的な目標をつくらずに進めてしまい、挽回に苦労したこと、
世界観を描くことに囚われるあまり、手を動かせず、スピードがぐんと落ちたこと、、、

そういった「あまたの反省」を「あまたの気づき」につなげ、次に生かしていくことをコツコツと積み重ねていくうちに、この言葉が少しずつからだに染み込んでいっているような気がします。


起こっている事象を自分事に捉えることで反省が生まれる。
そして、気づきに転化するまで反省を育んでいく。
一足飛びにいかないからこそ、楽しいし、面白いなぁと感じられるようになってきました。


そして、ふてくされかけた時も、挽回できるか不安だった時も、手を動かせずに困っていた時も、いつも周りに人がいて、視座を上げてもらったり、激励されたり、感化してもらったり。

いろんな人に助けられ、与えられ、学ばせてもらって、今の私があります。

これからは、与えられるだけでなく周りに与えていき、そこから学べるような存在になっていきたいなと思います。

中川政七商店に入って一年と少し。

「花ふきんのあるくらしってゆたかだな」と心から共感し、
「トップダウンからチームワークへ」の記事に胸を打たれ、入社を決めました。

今は小売課の責任者をやっています。
現在、59ある各店舗では日々、ひとつひとつの商品が、お客様に心を込めて届けられています。

その積み重ねがビジョンにつながることに思いを馳せながら、
「着眼大局 着手小局」
とともに、前を向いて、楽しく、みんなと歩んでいけたらなと思います。

 

中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています!
詳しくは、採用サイトをご覧ください。




<愛用している商品>
●更麻
今年4月にデビューしたインナーブランド。 着心地、サイズ感、軽さ、文句なし。ヘビロテ間違いなし。 変化していく風合いも楽しんでいきたいなと思います。

●とびきりあたたかい腹巻き
秋冬シーズンの商品なのですが、個人的には年中愛用しています。
夏の冷房対策にも大活躍です。

●THE 洗濯洗剤
これ一本でなんでも洗えて、環境にもやさしい。
排水口きれいになるし、万能洗剤にもなります。
少量をはかって洗濯機に入れる行為もまたいいです。

宮本卯之助商店を訪ねて。浅草の老舗が昔ながらの手法で太鼓を作る理由

今日は浅草の老舗の太鼓づくりについてお届けします。

「お祭り」や「盆踊り」で欠かせない楽器といえば、太鼓。賑やかなお祭りの雰囲気のなかで響く「ドンドンドン! ド、ドン、ドンッ!」という太鼓の音を思い浮かべるだけで、胸が弾む人という人も多いだろう。

ところで、日本全国のお祭りや盆踊りを盛り上げている太鼓はどんな想いで、どう作られているのだろうか。

文久元年(1861年)の創業時から現在に至るまで神輿、太鼓など祭礼具や雅楽器の製造・販売を手掛けている浅草の老舗、宮本卯之助商店を訪ねて職人さんに話を聞いた。

浅草の言問橋近くにある宮本卯之助商店の本社兼工場
浅草の言問橋近くにある宮本卯之助商店の本社兼工場

太鼓づくりは木の見極めから始まる

同店では、1本の木をくり抜いて作られる長胴太鼓(ながどうだいこ)、部材を組みあわえて使う桶締太鼓(おけじめだいこ)など幅広い種類の太鼓を作っている。

長胴太鼓は一般的な和太鼓で、桶締太鼓は長胴太鼓に比べ軽く、紐の締め具合で音が調節できる
長胴太鼓は一般的な和太鼓で、桶締太鼓は長胴太鼓に比べ軽く、紐の締め具合で音が調節できる

今回、話を伺ったのは、山下圭一さん。現在の肩書は「神輿部長」だが、同社では、ひとりの職人が複数の仕事をこなせるように数年間で職場をローテーションするそうで、山下さんもかれこれ25年間、太鼓の製作に携わってきた熟練の職人だ。

山下さんの話を聞いて驚いたのは、太鼓づくりは木を選ぶところから始まるということ。木の見極めが、太鼓の質にもつながっている。

「この間も、新潟まで丸太を選びに行きましたよ。木はまず、切られた時期が重要でね。日本の場合、12月の終わりから2月の半ばまでの、木が休んでいるときに切られたものを使います。

春先以降の水を吸い上げ始めた時期に切った木で太鼓を作ろうとすると、たくさん水を含んでいるので割れちゃうんですよ。だから木を見極めなきゃいけない」

父親の代から職人として宮本卯之助商店で働く山下圭一さん
父親の代から職人として宮本卯之助商店で働く山下圭一さん

打面が2メートルを超える太鼓も

職人の厳しい目で選別された原木は、「荒胴」(あらどう)という太鼓の原型の形に整形された後、3年から5年、倉庫で寝かせて自然乾燥させる。

そして注文が入ると、ストックのなかから太鼓の用途や打面のサイズに合ったものを選ぶ。

例えば、取材時に製作していた1尺8寸(約54.5センチ)の長胴太鼓には樹齢150年から200年のケヤキが使われていた。ケヤキは丈夫で木目も美しく太鼓には最適だという。

山下さんはこれまでに、長胴太鼓は打面が5尺(約151.5センチ)、桶締太鼓は打面が7尺(約212センチ)の太鼓を作ったことがあるそうだ。

面が1尺8寸(約54.5センチ)の長胴太鼓。長胴太鼓を作るときには、木を無駄にしないためにくり抜いた内部の木からさらに小さな太鼓を作る
面が1尺8寸(約54.5センチ)の長胴太鼓。長胴太鼓を作るときには、木を無駄にしないためにくり抜いた内部の木からさらに小さな太鼓を作る

 

50種類以上のカンナで削り上げる

注文に合わせた木材を選んだら、いよいよ太鼓の製作に取り掛かる。荒胴型の木材は、職人の手によって太鼓に生まれ変わる。

「いまは、(サンド)ペーパーで仕上げるところが多いのですが、うちはカンナを使います。木材は年輪の部分が一番柔らかいのですが、ペーパーで仕上げるとそこがどうしても沈んでしまう。

木目もささくれ立ってしまうから、そこから水を吸って耐久性が落ちるんです。カンナは刃物だから平らになるので、木目が寝ます。それが大切なんですよ」

5_re
指先だけでミリ単位の微妙な調節をしながらも、カンナはシュッ、シュッとリズミカルに動き続ける
指先だけでミリ単位の微妙な調節をしながらも、カンナはシュッ、シュッとリズミカルに動き続ける

山下さんに許可を得て、カンナをかけたところを触らせてもらったら、ツルツル。太鼓の曲面に沿ってカンナを操り、ここまで滑らかに仕上げるのはまさに職人技だ。

「木には必ず目があります。木目に沿って削らないと表面がけば立つので、木目がどっちを向いているのかを見て削ります。

木がまっすぐならカンナをまっすぐ引けばいいけど、太鼓は婉曲しているので自分の手の感覚で調整するしかない。だから、ほかの人のカンナは使えません。

まったくの素人から始めたとしたら、5年やってもうまくできないでしょうね。おれはこれだけで18年やりました」

新人の頃は2つ、3つのカンナを使って小さい太鼓を削り、研鑽を積む。そうして少しずつ、大きな太鼓を手掛けるようになる。

太鼓の大きさやオーダーによって使うカンナが違うため、ベテランの山下さんは、ひとりで50以上のカンナを使い分けるそうだ。

経験を積むごとに、カンナの数が増えていく
経験を積むごとに、カンナの数が増えていく

太鼓の内側に記される名前の意味

削りの作業が終わると、木が水を吸い上げるための小さな穴(導管)を埋める目的で、「砥の粉(とのこ)」で木地(きじ)をコーティングする。これを「目止め」という。さらに4、5回和ニスを塗って乾燥を防ぐ。

太鼓の皮にも、同じように気を配る。太鼓の皮は白いイメージがあるが、宮本卯之助商店の太鼓の革は茶色い。その理由を「太鼓が好きで転職した」という広報の郡山さんが教えてくれた。

「牛の皮を使っていますが、毛を抜くときに薬品に漬け込むのではなく、昔ながらの糠を使った天然加工をしています。そのために適度な油分が皮に残り、豊かな響きがします」

太鼓の革が茶色いのも昔ながらの製法の証
太鼓の革が茶色いのも昔ながらの製法の証

木を選び、数年乾燥させて、カンナで削る。昔ながらの天然加工を施した牛皮を張る。こうした伝統的な手法で手間暇をかけて作るのは、単なるこだわりではない。繊細な気遣いによって、太鼓の音が深まり、寿命が延びるのだ。

「使用状況によっても変わりますが、木の樹齢と同じだけ楽器としても使用できると言われています」と語る山下さんからは、職人としてのプライドをひしひしと感じた。

創業156年の宮本卯之助商店に修理などで持ち込まれる太鼓には、100年以上前に同店で作られたものもある。かつては太鼓が出来上がると、太鼓に名前を記した焼きごてを押していたそうだ。

かつて完成した太鼓に押していた焼きごて
かつて完成した太鼓に押していた焼きごて

いまは胴の内側に製作者の名前を記しているが、どちらにしてもいつ誰が作ったものかわかる。だから、山下さんをはじめ職人さんはみな、「何百年後の人が見ても笑われないような太鼓を作ろう」という想いで仕事をしている。

宮本卯之助商店が本店を構える浅草で行われる、三社祭。日本でも屈指の盛大なお祭りの本社神輿をはじめ、多くのお神輿、そして太鼓も宮本卯之助商店の職人さんが手掛けたものだ。お祭りの日は、職人さんたちにとっても晴れ舞台。

祭りを楽しむ人たちと同じように、自分たちが精魂込めて作った太鼓の音に胸を躍らせている。

 

<取材協力>
宮本卯之助商店

東京都台東区浅草6-1-15
03-3873-4155

文・写真:川内イオ

*こちらは、2017年5月17日の記事を再編集して公開しました。浅草伝統の三社祭は今秋に延期へ。町の元気の源であるお祭りが開催できるよう、新型コロナウィルスの終息を願います。

「丸亀うちわ」を改めて知る。身近な工芸品に詰まった暮らしの知恵

今年も暑くなってきましたね。

今日は少しでも涼しい話を。と、夏の風物詩「うちわ」のことを話します。

年間約1億本が生産されているという、うちわ。エアコンや扇風機などの冷却装置がある中で、思っていたよりも多い数字に驚きました。

震災の影響もあってか“電気を極力使わずに涼をとる工夫”に注目が集まっているのでしょうか。いま改めて、昔から伝わる日本の知恵、うちわのことを見直してみたいと思います。


うちわのことなら丸亀へ

讃岐うどんでも有名な、香川県丸亀市。実は、国内うちわの9割が丸亀で生産されているそう。国産うちわを見たら、ほとんどの場合で丸亀出身だと考えて良さそうです。

うちわのことを学びに、丸亀市にある“うちわの港ミュージアム”にお邪魔しました。

“うちわの港ミュージアム’という名前の通り、港沿いにあります
“うちわの港ミュージアム’という名前の通り、港沿いにあります

丸亀うちわは、国指定の伝統工芸品

日本の夏の風物詩うちわですが、丸亀うちわは国が指定する「伝統的工芸品」にも選ばれているれっきとした“伝統工芸”です。

※「伝統的工芸品」とは、製法・技術・原料・産地などの条件に沿って、経済産業大臣が指定した工芸品のこと

こんなにも、全国的に身近な工芸品もなかなかありません。昔から長く使い続けられる身近な工芸品というだけあり、そこには暮らしの知恵が詰まっています。

改めて考える、うちわの魅力

とても今さらな話ですが、うちわの魅力は何といっても涼がとれること。本当に涼しくなるのかというと、実際に体感温度が2度下がるのだとか。驚きです。

体の表面の熱が奪われることで、人は「涼しい」と感じます。体の表面にある水分が気化するときに熱を奪っていくのですが、うちわであおぐことでよりその気化がより進んで、多くの熱を奪うことができる、という原理に基づいているようです。昔の人は感覚的に、それを知っていたのかもしれません。

次に思い浮かぶのは、台所でのうちわ。やはり「冷ます」時に便利です。

特に野菜は、うちわを使うとより美味しくなるような気がします。ブロッコリーやほうれん草のような青菜を茹であげてから、冷水にあげて色止めするのではなく、ちょっと頑張ってうちわで冷やす。すると、野菜の旨味がしっかり感じられて美味しいなと思います。

また、お弁当が傷まないよう冷ます時にもうちわの存在は欠かせませんね。

また、風鈴で風の音を聞いて涼むように、見た目で涼むことができるのもうちわの良さ。緩やかに風を送る姿には美しさがあります。

また、うちわを見ると夏が来たなぁと思うのは、日本の夏の風物詩の一つである証。どれだけ便利な冷却装置がでてきても、無くならないものなのだろうと感じます。

400年以上前に生まれた丸亀うちわ

丸亀うちわの始まりは、約400年前。徳川家光時代の1633年頃、丸亀藩主が製造を開始。金毘羅(こんぴら)参りのための船でにぎわう丸亀港で、お土産品として売り出されていたそうです。

その後、1700年代に丸亀藩の武士の内職としてうちわ作りが奨励されたことで、発展は加速。産地としての基盤を作っていったようです。

「伊予竹に 土佐紙貼りてあわ(阿波)ぐれば 讃岐うちわで 至極(四国)涼しい」

四国で歌い継がれているこのうたは、丸亀はうちわ作りに必要な材料がすべてを近くで揃えられることを歌っています

これも、丸亀でうちわ作りが発展した理由のひとつ。「伊予竹」の竹は伊予(愛媛)、「土佐紙」の紙は土佐(高知)、ノリは阿波(徳島)というように、近くに産地が揃っていることことが強みとなり、現代まで受け継がれています。

手仕事による、47の製造工程

丸亀うちわができるまでには、なんと47もの工程があります。

大きく分けると、「骨」づくりと「貼り」。そのほとんどを、今でも職人さんの手作業で行っています。それも、一人の職人さんが、すべての工程をすべて行うことも多いのだそう。

お話をうかがった “うちわの港ミュージアム” で実演をされていた長谷川さんもそのおひとり。

うちわの「骨」となる部分の製造工程を見せて頂きました。

持ち手の部分を作る工程。筒状から一定の幅に割った竹の、内側を削り取る。この幅の調整によって、握りやすさが変わるのだそう。
持ち手の部分を作る工程。筒状から一定の幅に割った竹の、内側を削り取る。この幅の調整によって、握りやすさが変わるのだそう。
「穂」と呼ばれる、うちわの面の部分の土台を作る工程。「切り込み機」で35〜45本の切り込みを、ものすごい速さで入れていく。印がある訳では無いのに、等間隔で仕上がるのが熟練の技。
「穂」と呼ばれる、うちわの面の部分の土台を作る工程。「切り込み機」で35〜45本の切り込みを、ものすごい速さで入れていく。印がある訳では無いのに、等間隔で仕上がるのが熟練の技。
熟練した職人さんは、竹を割る作業からここまでの工程を1日で数百本も行うのだとか。
熟練した職人さんは、竹を割る作業からここまでの工程を1日で数百本も行うのだとか。
面となる部分を編んでいく工程。「子どもでもできる簡単な工程」と作り手の方はおっしゃいましたが、真っ直ぐ編むのはなかなか難しそうです。
面となる部分を編んでいく工程。「子どもでもできる簡単な工程」と作り手の方はおっしゃいましたが、真っ直ぐ編むのはなかなか難しそうです。
編んだうちわの骨に形を付け、編みを美しく調整していく工程。「付(つけ)」というこの工程は、昔は「付師」がいたほど年季のいる作業なのだそう。
編んだうちわの骨に形を付け、編みを美しく調整していく工程。「付(つけ)」というこの工程は、昔は「付師」がいたほど年季のいる作業なのだそう。

ここまでで、うちわの「骨」が完成。

職人さんの早業に簡単そうに見える作業も、体験させていただくととても難しく全くうまくいきませんでした。

お話をお聞きした長谷川さんは、うちわを作りはじめて13年目。「でも、まだまだです。職人だなんて、言えません」とおっしゃいます。それだけ、高い技術が必要な丸亀うちわ作り。47の工程をすべて完璧にやるには、何十年の修行が必要なのだとか。

「プラスチックのうちわと違って、竹のうちわはしなりがいい。所作も美しいし、柔らかい風が送れます」と、最後に教えてくださいました。確かに、これだけたくさんの職人技が詰まったうちわの風は、気持ちがいいに決まってます。今年の夏は、伝統的工芸品・丸亀うちわで涼をとるのはいかがでしょうか。

<取材協力>
丸亀市うちわの港ミュージアム
香川県丸亀市港町307−15
0877-24-7055

文・写真 : 西木戸 弓佳

この記事は2017年春の記事を再編集して掲載しています。適度に体から熱を逃し、この猛暑を乗り切りましょう。

「鉄フライパン」で料理が楽しくなる。仕上がりに差が出る理由とお手入れ方法

こんにちは。細萱久美です。中川政七商店のバイヤーを経て、現在はフリーにてメーカーの商品開発や仕入れなどの仕事をしております。

その前は、食に関わる仕事を志して、お茶の商社に勤めていました。大学生の頃、それまで全く興味がなかった料理に目覚め、レシピの研究に夢中になっていました。

フードコーディネーターを目指すも、未経験ではなかなか門戸も開いておらず、現実的なところで食品メーカーに入ってみた訳です。その会社では中国茶のティーサロンを自営していたこともあり、一流料理人の監修を間近で勉強するなど良い経験をさせていただきました。

現在はと言うと、料理は普通に好きというレベルです。年齢を重ねると、凝った料理よりも良い素材を活かしたシンプルな料理が美味しいことに気付きます。そして味もさることながら、健康や美容も重視したレシピが多くなってきました。

そういった意味でも、なるべく自炊を心がけています。たまに外食もしますが、家で食べる日はお惣菜はほぼ買いません。本当に簡単な料理ばかりなので苦にはなりません。

初心者にも使いやすい料理初めの調理道具

毎日のことなので、調理道具にはこだわっています。使いやすさ、美しさ、使い込んでも味になる素材が選ぶポイントです。タッパーなども使うのでプラスチックを排除は出来ませんが、なるべく木や陶器、金属製品を選びます。

雪平鍋や蒸し器など昔からの道具も多いですが、圧力鍋やオーブンなど時短で美味しくしてくれる現代の道具も積極的に使います。

今回は、料理初心者にも使いやすくて、料理が楽しく感じられる「料理初めの調理道具」をご紹介したいと思います。

よその台所を見るのは楽しいですよね。そんな感覚で、ベテランの方にも参考になれば嬉しいです。

「焼く・炒める」に適した鉄のフライパン

今日紹介するのは「焼く・炒める」道具。私は鉄のフライパンをおすすめします。ステンレスやアルミのフライパンもありますが、鉄のフライパンが、焼く・炒めるに適した特徴として、

・熱伝導が良い
・熱源を選ばず高温料理が可能
・油馴染みが良い
・丈夫
・おまけに鉄分が補給できる

ことがあります。特に熱伝導の良さが、美味しさに直結しています。

逆に手に取りにくい点があるとしたら、重いことや手入れが大変そうというイメージでしょうか。

私が使っていておすすめのフライパンは、錦見鋳造の「魔法のフライパン」。商品名にやや大袈裟感がありますが、いたって現実的に真面目に作られたフライパンです。

三重県にある錦見鋳造は、社名にも付いているように鋳物のメーカー。魔法たる所以は、従来の1/3の厚みの鉄鋳物を独自開発したことによります。

これは確かに画期的で、厚みがない分軽いので、女性も難なく扱えます。そして通常の鉄フライパンよりも更に熱効率が良く、すぐ高温に。

焼く・炒めるには高温キープが美味しく作るポイントなので、仕上がりに差が出ますよ。炒飯やオムレツなどはその差が分かりやすいのでは。

料理を楽しく続けるには、やはり美味しく作れることが一番の張り合いになります。テクニックも必要ですが、働きものの道具には積極的に頼りましょう。

錦見鋳造「魔法のフライパン」で焼いたオムレツ
焼き加減は良いが、形がいまひとつでした

もう一つ気になるお手入れの点ですが、使い始めに多めの油を熱して馴染ませる「油返し」をするだけ。使用後は洗剤はなるべく使わずにお湯だけで洗います。むしろ楽ですし、すぐに油が表面に馴染みます。

フッ素加工のフライパンは油無しでも素材がくっつかないので、特にダイエット中や初心者には人気ですが、油の馴染んだ鉄のフライパンも案外くっつきにくいものです。

フッ素加工は長期間使うことでどうしても剥がれてくるので、ある意味消耗品。その点、鉄のフライパンは使えば使うほど良い艶になり、自分だけのフライパンに育つのも楽しみです。

錦見鋳造「魔法のフライパン」での調理風景

一人暮らしだと24cmか、野菜炒めなどには少し大きめの26cmも使いやすいです。油を馴染ませるので、「茹でる・煮る」には向きませんが、「焼く・炒める」には最高の働きをする『鉄のフライパン』を是非おひとつ。

<紹介した商品>
魔法のフライパン
https://www.nisikimi.co.jp/product/
※人気商品のため、納期はHPでご確認ください。

錦見鋳造株式会社
三重県桑名郡木曽岬町大字栄262番地
https://www.nisikimi.co.jp/

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美*こちらは、2019年5月16日の記事を再編集して公開しました


わたしの好きなもの「麻ニットのベレー帽/麻ブレードのベレー帽」


“オシャレさん”や”ハードルの高い帽子”のイメージが強く、コーディネートが難しそう、と敬遠しがちですが、Tシャツとジーパンのシンプルなスタイルでも、ワンピースやジャケットで綺麗にまとめても、相性は抜群。
 
実はベレー帽ってどんな服のテイストにも合うんです。
 
私も初めは抵抗がありました。憧れてはいたけれどなかなか手が出せない‥‥。
でも、それまで持っていた帽子や自分の髪型に、なんとなくマンネリや物足りなさを感じていたのも事実。意を決して試してみると、「なんにでも合う!」と拍子抜け。
 
それから私の中で定番アイテムとなっていましたが、ウール素材や厚手のものがほとんどで、春夏は出番なし。素材感や季節感が合わなくて、一年中楽しむことが叶わなかったのが悩みでした。
 
そんな悩みを解決してくれたのが、テイストが異なる2種類の麻素材のベレー帽。
 
まさに、「こんなのを待っていた!」という感じでした。その計算しつくされたシルエットや素材が醸し出す品の良さは一目瞭然。


麻ニットのベレー帽は美しい網目とハリとしなやかさのある生地感が特徴。女性らしい柔らかな雰囲気がありつつ、生地の程よい光沢が上品な印象を与えてくれます。
ボリュームも調整しやすいので、はじめてベレー帽を試す方にもおすすめです。出先で取らなくてはいけないシーンがあっても、軽く折りたためてかさばらないのも魅力的。
 
 
麻ブレードのベレー帽はまさに職人技。型を使わずに、職人さんの感覚で麻の紐を立体的に縫製して作られた麻ブレードは、コロンとした可愛らしいフォルムが特徴です。
麦わら帽子のような軽やかさと繊細さがありつつ、存在感のあるアイテムになってくれます。長く使っても型崩れしにくいのも嬉しいです。
 
どちらの形も素材に麻が使われているだけあって通気性が良く、暖かい季節でもストレスなく使えます。
 
また、前髪を出したりしまったり、角度を変えてみたりと、被り方ひとつで雰囲気を変えられるのも楽しみのひとつ。アジャスター付きでサイズ調整ができるのも安心です。
 
おかげでベレー帽が一年中楽しめるようになりました。ちょっとしたお散歩に出かける時でさえ、私の必需品となっています。


なんてことない日の、なんてことない服装なのに、少し遠回りをして帰りたくなるような、そんな気分にさせてくれます。
 
なかなかハードルが高い帽子のように思えますが、慣れてしまえばその万能さから出番が増えること間違いなし。手軽におしゃれを楽しみたい人にも、おしゃれをもっと極めたい人にも、両方の願いを叶えてくれる帽子です。
 


ルミネ大宮店 細井