「鉄フライパン」で料理が楽しくなる。仕上がりに差が出る理由とお手入れ方法

こんにちは。細萱久美です。中川政七商店のバイヤーを経て、現在はフリーにてメーカーの商品開発や仕入れなどの仕事をしております。

その前は、食に関わる仕事を志して、お茶の商社に勤めていました。大学生の頃、それまで全く興味がなかった料理に目覚め、レシピの研究に夢中になっていました。

フードコーディネーターを目指すも、未経験ではなかなか門戸も開いておらず、現実的なところで食品メーカーに入ってみた訳です。その会社では中国茶のティーサロンを自営していたこともあり、一流料理人の監修を間近で勉強するなど良い経験をさせていただきました。

現在はと言うと、料理は普通に好きというレベルです。年齢を重ねると、凝った料理よりも良い素材を活かしたシンプルな料理が美味しいことに気付きます。そして味もさることながら、健康や美容も重視したレシピが多くなってきました。

そういった意味でも、なるべく自炊を心がけています。たまに外食もしますが、家で食べる日はお惣菜はほぼ買いません。本当に簡単な料理ばかりなので苦にはなりません。

初心者にも使いやすい料理初めの調理道具

毎日のことなので、調理道具にはこだわっています。使いやすさ、美しさ、使い込んでも味になる素材が選ぶポイントです。タッパーなども使うのでプラスチックを排除は出来ませんが、なるべく木や陶器、金属製品を選びます。

雪平鍋や蒸し器など昔からの道具も多いですが、圧力鍋やオーブンなど時短で美味しくしてくれる現代の道具も積極的に使います。

今回は、料理初心者にも使いやすくて、料理が楽しく感じられる「料理初めの調理道具」をご紹介したいと思います。

よその台所を見るのは楽しいですよね。そんな感覚で、ベテランの方にも参考になれば嬉しいです。

「焼く・炒める」に適した鉄のフライパン

今日紹介するのは「焼く・炒める」道具。私は鉄のフライパンをおすすめします。ステンレスやアルミのフライパンもありますが、鉄のフライパンが、焼く・炒めるに適した特徴として、

・熱伝導が良い
・熱源を選ばず高温料理が可能
・油馴染みが良い
・丈夫
・おまけに鉄分が補給できる

ことがあります。特に熱伝導の良さが、美味しさに直結しています。

逆に手に取りにくい点があるとしたら、重いことや手入れが大変そうというイメージでしょうか。

私が使っていておすすめのフライパンは、錦見鋳造の「魔法のフライパン」。商品名にやや大袈裟感がありますが、いたって現実的に真面目に作られたフライパンです。

三重県にある錦見鋳造は、社名にも付いているように鋳物のメーカー。魔法たる所以は、従来の1/3の厚みの鉄鋳物を独自開発したことによります。

これは確かに画期的で、厚みがない分軽いので、女性も難なく扱えます。そして通常の鉄フライパンよりも更に熱効率が良く、すぐ高温に。

焼く・炒めるには高温キープが美味しく作るポイントなので、仕上がりに差が出ますよ。炒飯やオムレツなどはその差が分かりやすいのでは。

料理を楽しく続けるには、やはり美味しく作れることが一番の張り合いになります。テクニックも必要ですが、働きものの道具には積極的に頼りましょう。

錦見鋳造「魔法のフライパン」で焼いたオムレツ
焼き加減は良いが、形がいまひとつでした

もう一つ気になるお手入れの点ですが、使い始めに多めの油を熱して馴染ませる「油返し」をするだけ。使用後は洗剤はなるべく使わずにお湯だけで洗います。むしろ楽ですし、すぐに油が表面に馴染みます。

フッ素加工のフライパンは油無しでも素材がくっつかないので、特にダイエット中や初心者には人気ですが、油の馴染んだ鉄のフライパンも案外くっつきにくいものです。

フッ素加工は長期間使うことでどうしても剥がれてくるので、ある意味消耗品。その点、鉄のフライパンは使えば使うほど良い艶になり、自分だけのフライパンに育つのも楽しみです。

錦見鋳造「魔法のフライパン」での調理風景

一人暮らしだと24cmか、野菜炒めなどには少し大きめの26cmも使いやすいです。油を馴染ませるので、「茹でる・煮る」には向きませんが、「焼く・炒める」には最高の働きをする『鉄のフライパン』を是非おひとつ。

<紹介した商品>
魔法のフライパン
https://www.nisikimi.co.jp/product/
※人気商品のため、納期はHPでご確認ください。

錦見鋳造株式会社
三重県桑名郡木曽岬町大字栄262番地
https://www.nisikimi.co.jp/

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美*こちらは、2019年5月16日の記事を再編集して公開しました

中華せいろキホンの使い方は「放置する」だけ。一人暮らしや料理初心者にこそおすすめの簡単料理法

中華せいろを使い始めました

こんにちは。細萱久美です。

それなりの料理好き、そして道具にこだわりたいタイプの私ですが、「せいろ」を手に入れたのは1年ほど前。周りの声を聞いても、「気になっていた」「やっと手に入れた」という感じで使い始める方も少なくない様子です。

なぜ少しハードルを感じるかを考えると、

・かさばる
・扱いが難しそう
・サイズに悩む

などの理由でしょうか。あと「蒸す」調理は、ある程度電子レンジでまかなえるという点で必需品になりづらいのかもしれません。

私は、蒸すこと自体は以前からしていましたが、鍋に付随した蒸し皿で対応していました。せいろは気になりつつも、限りある収納を思うと躊躇しており、今回ようやく手に入れた訳です。

「照宝」の中華せいろ

選んだのは「中華せいろ」

買い求めてみると、まず見た目が美しい。完成された形です。

「照宝」の中華せいろ

私が今回選んだのは中華せいろ。

中華せいろは中国で、和せいろは日本で生まれ、それぞれの食文化に根付いたのかと思いますが、作りがほぼ同じなのが面白いのと、いずれも職人が数作ることで完成されてきた形なのだと思うと、民芸的です。

使い始めてみると、扱いにくさは特に無く、すっかり定番道具として馴染んでいます。

放置するだけの簡単調理。意外な素材にもおすすめな「せいろ」の使い方

蒸すのに、素材は肉・魚・野菜・豆腐・饅頭・点心など万能です。

蒸気で包み込むので、素材がふっくら柔らかく、旨味も逃げていないので美味しく仕上がります。電子レンジよりは時間が少し掛かりますが、時間が経ってもパサつきにくくしっとり感が保たれます。

素材の美味しさを感じられて、カロリーも抑えられるので、健康管理やダイエットにも良いのです。

意外な素材としておすすめは、カンパーニュやベーグルなど固めのパン。数日経って更に固くなったパンを蒸すと、ふわふわもっちりになって、焼くことでは得られない新しい食感を楽しめます。

蒸す際は、野菜は直接入れて蒸しても大丈夫ですが、クッキングペーパーを敷くと取り出しやすく便利。水分・油分の出る肉や魚はお皿の上に載せて蒸します。

蒸気が出始めたらせいろをセットして、5~10分。放置しておくだけの簡単調理。

蒸気がワクワク感を増します。開ける時は、素材の良い香りが立ってそこからご馳走という感じです。

見た目良く、開けるワクワクも手伝って、来客時のメニューにも最適。実は簡単調理なのに、なぜか手の込んだ料理に見えてしまうのも嬉しい点です。

「照宝」の中華せいろ

実はお手入れも簡単な“蒸す”道具「せいろ」

確かに嵩(かさ)はありますが、通気の良い場所に保管するのが好ましいので冷蔵庫の上に置いています。軽いので高いところにも気兼ねなく置いています。

お手入れは、そこまで汚れる調理はしないので、拭いたりさっと洗ってしっかり乾かせば問題ありません。

水につけっぱなしや洗剤は嫌うので、拭くだけの方がむしろ良く、調理中に蒸気で自然と殺菌されるので、不衛生にはなりません。

多機能の道具ではないので、とても便利!という実感ではありませんが、蒸すという一機能には抜群のパフォーマンスを発揮する道具だと思います。個人的には多機能な便利グッズよりも、何かに特化した道具の方が分かりやすくて好みです。

簡単で美味しいので、むしろ一人暮らしや料理初心者にこそおすすめしたい料理道具なのです。

愛用は「照宝」の中華せいろ

私は、全国からプロや料理好きが通う、せいろと調理道具の専門店「照宝」の中華せいろを愛用。横浜中華街でお店を構えて半世紀以上になる老舗です。

抗菌効果もある国産のヒノキを使い、しっかりと厚みのある素材を熟練の「曲げ」の技術でつくられたせいろは一生もの。自分の生活に馴染むのか試すために、お手頃なせいろからトライするのも良いと思います。

サイズとして、私はやや大きめの24センチを使っていますが、少量や一人分を蒸す際には小振りの18センチを1段や2段で使うのもコンパクトで良いと思います。

私もそろそろ追加しようかと考えています。置き場所を検討しつつ‥‥。

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。お茶も工芸も、好きがきっかけです。好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。素敵な工芸を紹介したいと思います。
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*こちらは、2019年7月22日の記事を再編集して公開いたしました。

「鋼の包丁」の魅力とは。料理好きおすすめの1本からお手入れ方法まで

こんにちは。バイヤーの細萱久美です。

日頃、奈良と東京を行き来しており、家を留守にすることもままありますが、奈良にいる時はなるべく自炊を心がけています。若かりし頃は料理が趣味という時期もありましたが、今は日常のことに。ただ調理道具は好きで厳選しています。

料理の基本・調理道具の基本といえば、包丁でしょう。他の道具はある程度の代用もありますが、包丁だけはなかなか代用が効きません。

100円ショップやスーパーでも安価なものが売っているので、とりあえずで購入した人も多いのではないでしょうか。

しかし、長く使うことを考えるならやはりそれなりに良い包丁を選ぶことをおすすめします。

切れ味が良く、切り口が綺麗なだけでも料理が楽しくなるのと、仕上がりの味にも実際に差が出てきます。

とは言え、良い包丁を選ぶのも難しいですよね。素材、形などを整理した上で、私のおすすめをご紹介したいと思います。

素材、形、色々ある包丁の種類

デパートのキッチン売り場でも結構な種類があり、木屋や有次のような調理道具専門店だとズラリと並んでいて、ある程度マトを絞らないと途方に暮れてしまいます。

店員さんに相談すると、初めの一本としておすすめされるのは大概「三徳包丁」もしくは「牛刃」だと思います。

三徳は、別名万能包丁と言われ、大きな肉やキャベツなども切りやすい「牛刃包丁」と、様々な野菜を切るのが得意な「菜切包丁」の良いとこ取りをしたものなので、まずは基本の一本に選ぶと良いと思います。

本格調理におすすめ!「鋼」の包丁

次に素材の違いですが、大きくは「鋼(ハガネ)」「ステンレス」「セラミック」があります。セラミックは耐久性がやや劣るので、出来るだけ鋼かステンレスを選びたいところ。

切れ味の良さと耐久性では鋼に軍配ですが、錆びやすいので手入れに少々気を使います。ステンレスは錆びにくく切れ味も合格点。若干研ぎにくいことはありますが、バランスは良いので初心者や料理は気軽に!という方にはおすすめです。

鋼包丁でのトマトの切れ味

私は鋼とステンレスの両方を持っていますが、調理に時間を取れる時は鋼の包丁を使います。切れ味を優先、そして本格的に料理をする気分になります。

ちなみに鋼は、刃金と同じこと。鋼が持つ、堅さと粘りという二つの要素が包丁にたるポイントです。鋼は「焼き入れ」で堅く、「焼き戻し」で粘り強さが出ます。

焼き入れは約800度に加熱してから急冷し堅くする工程。そして、堅いだけだと折れやすい状態の鋼を180度位で再加熱する焼き戻しをすることで折れにくい弾力性を生みます。

私が選んだのは、600年の歴史を持つ堺 打刃物「佐助」

私が愛用している鋼の三徳包丁は、大阪・堺の「佐助」製。「鋏鍛治」と名乗っており、植木鋏や盆栽鋏などの鋏から包丁、小刀など幅広い刃物を作る老舗です。

大阪の堺市は、新潟県燕三条市や岐阜県関市などと並ぶ包丁の主だった産地で、いずれも「打刃物」という「鋼と鉄を打って鍛えて作り出す刃物」で発展してきました。

堺打刃物は600年以上の歴史があり、プロの料理人が使用する和包丁のシェアが圧倒的に高いと言われ、それだけの品質と信頼を維持している産地です。

大阪・堺の鋏鍛治「佐助」

鋼と鉄という事なる金属を合わせる事で、切れ味と耐久性が出るので、この「刃金付け」は打刃物において重要な行程。更に佐助では独自の焼き入れ法で刃の硬度を高めているそうです。

佐助は種類豊富な刃物を作っていますが、現在5代目が一人で製作をしています。伝統的な製法で火を使う工程もありますが、予約で見学も出来ます。私も間近で迫力の鍛造を拝見しました。

職人が作っているのを間近に見たらすっかり欲しくなり、手に馴染む一本を選んで名入れをしてもらいました。名前が入るとマイ包丁という感覚が強くなって、大事に長く使おうと思います。

手入れをしながら一生使える包丁が欲しいとなれば、研ぎやすくて耐久性のある鋼の包丁をまずは一本手に入れてみてください。

大阪・堺の鋏鍛治「佐助」の製作風景
名前の彫られたマイ包丁

鋼の包丁のお手入れ。サビないためのコツ

気になる錆びやすさについては、料理中も水分をこまめに拭き取りながら使うことで避けられます。ちなみにステンレスも金属なので、水に浸けたままにすれば錆は出るのでご注意を。調理中の板前さんを目の前で見る機会があると、こまめにふきんで包丁やまな板を拭き取っています。

清潔な調理は、美しい一皿を作る気がするので、自分も心がけています。拭き取りには私は「晒し」を使っていますが、薄手でかさばらず便利です。

包丁を晒でふき取る

ちょっと錆が出た場合は、市販の錆落としで表面を軽く磨けば大丈夫。
切れ味が落ちてきたら研ぐ必要がありますが、それはステンレスでも同じこと。

慣れてしまえば、扱いはさほど難しくないと思います。包丁に限らず、台所道具は使うことが一番のお手入れ。ポイントを押さえて使い、そして手入れをすることで自分の手にしっかり馴染んでいくと感じます。

<紹介したお店>
佐助
大阪府堺市堺区北清水町3-4-20
http://www.sasuke-smith.com/
※不定休のため、ご訪問の際は事前のご連絡がおすすめです。

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美

*こちらは、2019年8月21日公開の記事を再編集して公開しました。

「アルミの雪平鍋」が和食に最適な理由。上手に選べば長年使える相棒に

こんにちは。細萱久美です。

若かりし時、フードコーディネーターなど食の仕事に憧れた時期もありましたが、今は単なる美味しいものが好きな大人になりました。

この歳になると量より質で、なるべく良い素材をシンプルに味わう料理が好みです。外食では海外の食も色々試したいのですが、自炊は和食が中心です。

和食の基本と言えば、「出汁」。

汁物、煮物、おひたし、うどんなど出汁のきいた料理はしみじみ美味しいと思います。出汁を引いたり、煮る・茹でるも和食の基本と言えますが、道具として最適なのは、アルミ製の雪平鍋です。行平鍋とも言い、どちらも正解だとか。

雪平鍋の豆知識あれこれ

雪平鍋は底が丸く胴が上に広がっているので、火にかけると液体がうまく対流するので、煮炊きを中心とした和食をつくるのに最も適している訳です。

雪平鍋

昭和初期の一般家庭では、伊賀焼の行平鍋があり、七輪などでお粥や煮物を作っていたとか。昭和20年代中頃になると、安価なアルミ鍋が一気に普及したそうです。

粥を炊くと米が雪のように見えるとか、槌目の模様が雪のように見えることから雪平鍋の字が当てられたという説があります。

槌目があるのは製造工程で出来る跡。丸いアルミの板を叩いて鍋の形に作っていきます。叩く理由は、表面積が広がって熱伝導が良くなる為と、叩くことで強度が上がる為です。

海外製の非常に安価な雪平鍋はプレス加工で模様を付けているだけのものも多く、それだと強度面で劣ると言えます。

特に和食料理屋の厨房でもよく見かけ、料理人にとっても欠かせない料理道具の一つです。プロが取っ手の無い丸鍋とヤットコを使いこなしているのをみると憧れますが、家庭ではやはり取っ手ありが安全で使いやすいと思います。

雪平鍋

サイズは家族の人数に合わせて

アルミよりも更に熱伝導の良い銅鍋も見た目の美しさに惹かれますが、やはり高価であることと美しさを保つお手入れが必要です。

そう思うと、十分に熱伝導も良く、軽くて、比較的廉価なアルミの雪平鍋はサイズをいくつか揃えたくなるほど使い勝手は良いものです。

サイズとしては、一人か二人暮しなら15センチと18センチ、三人以上なら21センチもあると良いかと。二人暮らしなら、15センチで味噌汁、18センチで青菜を茹でるなり、煮物を作るなりのイメージです。

21センチ以上の大きな鍋は、家庭のガスコンロサイズと合いにくく、必要な対流が生まれない可能性があります。

私は少し小さめの14センチと15センチ、21センチを持っています。14センチはキリッとした片口があるので、ミルクパンとしても使いマグカップに注ぎやすく気に入っています。

ちなみに弱点としては、酸やアルカリに弱いので、酢やワインなどを加えて煮るには向きません。また泡立て器などの金属の調理道具も苦手なこともあり、こんな理由からも西洋料理より和食向きであると言えます。

あと、普及の進むIHで使えない素材でもあるのですが、ガスコンロ用の鍋類をIHでも使えるようにする便利な金属板も販売されているそうです。

新生活を期に、自炊をスタートされる方にもまずは雪平鍋を一つ持ってもらいたいなと思います。無理せず「一汁一菜」からでも良いと思います。

選ぶときには、なるべく伝統的に槌目の打ち込まれた雪平鍋が、長く使えておすすめです。

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美

*こちらは、2019年7月10日の記事を再編集して公開いたしました。

オススメの「鍋つかみ」はミトン型?グローブ型?調理道具との相性で考える選び方

こんにちは。細萱久美です。

基本の調理道具をさんち連載で紹介していますが、次は何を取り上げようと台所を眺めていたところ、毎日必ず手に取るものがありました。鍋つかみです。

厳密には調理道具ではないかもしれませんが、調理をサポートする名脇役の一つです。鍋つかみが必要な調理道具が無いご家庭では、もしかしたら不要なアイテムかもしれませんが、我が家では欠かせない道具です。

私が鍋つかみを使うのは、鉄瓶、土鍋、琺瑯鍋、オーブンなど。鉄瓶は1日に何度か沸かすので、都度鍋つかみが必要になります。

仮に鍋つかみが無ければふきんで代用すると思いますが、火傷をしないためにもしっかり厚みがあって頼もしい鍋つかみが安心です。

鍋つかみには色々な形状があり、一般的にはミトン型・グローブ型・ホルダー型などがあります。素材もコットン以外に、シリコンやアルミ製など多くの種類が見られます。

私も複数の鍋つかみを持っていて、ミトン・グローブ・フラットホルダーと立体ホルダーの4タイプです。調理道具との相性で使い分けをしていて、断トツに使うのが立体ホルダー型。

使う調理道具やシチュエーションによって鍋つかみに求める機能が少し違うので、形状にもバリエーションがあるだろうと簡単に整理してみました。

素早く、パーツを掴みたい時はホルダー型(特に立体をおすすめ)

立体ホルダー型の鍋つかみ

愛用の立体型は、三角錐の形状をしています。掴む時の手の形に自然とフィットするので、素早く使いたい時に便利。鉄瓶や、土鍋、鍋蓋にはこれがベストです。

長年使っているのは黒田雪子さん作の「Tetra」という製品。藍染の生地を使って丁寧に作られています。

鍋つかみは焦げたりすることがあるのでどちらかと言うと消耗品かもしれませんが、このTetraは大事に10年くらい使い続けています。

使い込んだものの手馴染みが良く、全く手放せません。素早く掴む機能性と見た目の良さでは、今のところこれ以上の鍋つかみは見つかっておらず、無くなると困るので実は何個か在庫しています。

汎用性を求めるならばフラットのホルダー型

フラットホルダー型の鍋つかみ

市場のホルダー型は圧倒的にフラットが多いと思いますが、私はあまり使っていません。個人的には三角錐を推奨していきたい気持ちです。

ただ汎用性で言えばフラットは鍋敷きにもなるので、多機能を求めるならばフラットを一つ選ぶのが良いかもしれません。

鍋敷きとして使う例

素早く、高温の調理道具を掴みたい時はミトン型

ミトン型の鍋つかみ

私が次によく使うミトン型は、オーブン料理の時に使います。

オーブンはかなり高温になるので鉄板が素肌に触るとすぐに火傷してしまいます。素肌を出さず、しっかりホールドするにはミトン型が安心。着脱もしやすいので次の作業にもすぐに移れます。

オーブン料理で使用する例

しっかりホールドし、やや細かい作業をする時はグローブ型

グローブ型の使用例

グローブ型は、ミトンよりもさらにしっかりホールドしたい時に使います。鉄板は素早くミトンで掴みますが、ホールド力がやや弱いので、熱々のオーブン皿や土鍋を移動する際はグローブでしっかり掴みます。

比較的長時間、細かい作業をするにもグローブが圧倒的に使いやすいので、私にはあまり縁がありませんが、アウトドアにも便利そうです。

グローブ型の鍋つかみ

このブローブ型の鍋つかみは、中川政七商店のオリジナルで、最近うちにも仲間入りしました。

軍手を特殊な編み方で二重編みにし、熱が伝わりにくい構造になっているので、200度位のオーブンから出した鉄板を持っても問題なしとのこと。最近お菓子作りを再開したので、出番が増えそうです。

調理道具と吊るしてある鍋つかみ

すぐに使えるように、台所の壁に吊るしておきたい道具。なので、機能と同時に見た目にもこだわりたいものです。

一緒に吊るす道具は恐らく金属製が多いでしょうか。その中に、お気に入りの鍋つかみがあればきっと良いアクセントになると思います。

<紹介した商品>
Tetra

中川政七商店
二重軍手の鍋つかみ

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
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文・写真:細萱久美

キッチンばさみ「とりあえず」から乗り換えるなら、この一本

こんにちは。細萱久美です。

家にいる日は台所に立たない日はありませんが、手にする頻度が一番多い台所道具は、キッチンばさみかもしれません。

使用時間にしたら短いですが、使用回数が多いのと、毎日必ず使っている気がします。無いと困る調理道具の一つです。

ただし調理と言えるのは海苔や昆布を切る程度で、大かた袋を切ることに使っています。現代では袋に入っている食材が相当多いこともあり、昔に比べてどこの家庭でも必需品になっているかもしれません。

手で切れる袋もありますが、乾物など使い切らない場合は綺麗に切ってゴムなどで留めるのがささやかなこだわり。

またレトルトやラーメンのスープ、最近よく使う素材では、缶ではない紙箱入りのホールトマトやホールコーンなど、液体が跳ねる可能性がある包装資材はハサミで切ります。

そうすると自ずとハサミが汚れるので、洗うことになります。頻繁に洗われるというのが、文具や裁縫など他の用途ばさみと違う特徴でしょうか。

キッチンばさみ

一度買ったらあまり買い換えない印象のキッチンばさみ。私の実家のハサミも恐らく40年くらい使い続けている気がします。

それも使い勝手が良い証拠。使いやすいハサミを選べば、よほどヘビーに使わない限り半永久的に使えるのではないでしょうか。

キッチンばさみを選ぶ主なポイントは、

切れ味
手入れのしやすさ
握りやすさ

の三点です。

素材は、主にステンレス製とセラミック製があります。ステンレスは金属なので丈夫で切れ味が良く、刃先が分厚ければカニの殻など固いものもカットできます。

オールステンレスなら洗浄や消毒もしやすく衛生面も安心。ただし金属なので、やはり濡れたまま長時間放置は避けたいところ。

セラミックは陶器の一種で錆びることなく、ステンレスに比べて軽いので、長時間使用しても疲れにくいのが特徴です。ただあまり硬い食材をカットするのには向きません。

切れ味だけで選ぶならステンレスに軍配かもしれませんが、何をどんな頻度で切るのかを考慮して選ぶのが良いのでは。

手入れのしやすさとは、洗いやすく乾かしやすいこと。衛生的に使いたいのでこの点はマストと言えます。

ネジ部分に汚れや水が溜まりやすいので、ネジを外して両方の刃を分解できるタイプは優れもの。

私は食洗機は使いませんが、最近は食洗機対応も選ばれやすい重要ポイントとなっています。

握りやすさは、使いやすさに直結するので、手に馴染むか必ずチェックします。食材を切るのにキッチンばさみを長時間使う方は特にグリップのフィット感を確かめましょう。

ものによって、グリップの中心にギザギザのくぼみがありますが、キャップオープナーや栓抜きとして使うことができ、グリップに突起がついていれば、栓抜きや缶開けに役立ちます。

アウトドアでも便利なタイプかと思います。実家のはさみもこのタイプで、信州に親戚が多いせいか、子供の頃はよくクルミの殻剥きの手伝いに使っていた記憶があります。

私がここ数年愛用しているのは、「鳥部製作所」のキッチンスパッターというハサミです。

こちらは、金属と刃物の産地として有名な新潟県三条市のメーカーです。業界でもいち早くステンレス製の鋏の製造を始め、キッチンスパッターはメーカーを代表する製品です。

「鳥部製作所」のキッチンスパッター

燕三条は、年に1回工場の見学や体験ができる「燕三条 工場の祭典」が今年で7回目を数えすっかり恒例行事になっていますが、イベントとリンクした産地紹介書籍「燕三条の刃物と金物」(中川政七商店編 平凡社出版)の編集に携わった関係で、鳥部製作所さんにも訪問する機会がありました。

「燕三条の刃物と金物」(中川政七商店編 平凡社出版)

それが、以前から気になっていたキッチンスパッターを入手したきっかけとなりました。

このキッチンばさみは、オールステンレス。ネジ部で簡単に取り外しが出来るので、確実な洗浄と完全に乾かすことが可能で、食洗機にも対応しています。

熟練の職人が一つ一つ調整をして仕上げるので切れ味も文句なし。硬い甲羅も滑らず、さらに繊細な野菜も滑らかに切ることができる絶妙な波刃の設計です。

「鳥部製作所」のキッチンスパッター
「鳥部製作所」のキッチンスパッター

グリップも持ちやすくて重さも程よく、機能的に優れているのはもちろんのこと、機能から生まれたデザインも美しいのです。

グリップ部には棒材を使用するなど、実は製造工程の効率も重視された作りになっているのが、結果的に機能や美しさにも繋がっているという点も、産地の専門メーカーならでは。

製造背景を含めてトータル的にお気に入りの定番調理道具です。


鳥部製作所・キッチンスパッター

鳥部製作所・キッチンスパッター

株式会社鳥部製作所
新潟県三条市田島1-17-11
鳥部製作所 HP


細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

Instagram

文・写真:細萱久美