毎日を”好日”に。日々の幸せな食卓を願って生まれた「好日茶碗」

晴れの日も、雨の日も、昨日悲しいことがあった日も、今日が楽しみな日も。私たちは毎日、朝を迎え、食卓につき、食事をとります。

日常の何気ないシーンが、少しでも心地好く、幸福な時間になれば。そしてどんな日も、毎日が最良でありますように。そんな願いを込めて、中国でうまれた禅語「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を拠り所に、「好日茶碗」と名付けたご飯茶碗のシリーズを作りました。

全部で12絵柄を用意したお茶碗は、すべて職人の手で絵付けをおこなったもの。岐阜や石川、佐賀など、各地のつくり手に協力いただきながら、山水・草木・鳥獣・吉祥文様などをモチーフに、日本人が暮らしを営むなかで育んだ感性をお茶碗の景色として表現しました。

担当したデザイナー・榎本の言葉を借りながら、私たちが好日茶碗を通じて願うことをお伝えできればと思います。


かつての人々が絵付けに込めた想いを、今のお茶碗に載せて

ご飯茶碗をはじめ、茶器や花瓶など、日本の陶磁器には古くからさまざまな絵柄が描かれてきました。

吉祥紋、山水図、四季図、故事図。抽象的でダイナミックなものもあれば、繊細で緻密に描かれたものもあり、その絵柄は今もなお、各地の陶磁器にしばしば見られます。

昔の人はなぜ、そのままで十分使えるにも拘らず、陶磁器に絵を描いたのでしょうか。好日茶碗のシリーズを開発するにあたって、デザイナーの榎本はまずそこから考えました。

「昔から陶磁器が好きで普段からたくさん触れていました。そんななかで中川政七商店でも『食卓で毎日使える、お茶碗に特化したシリーズを作りたい』と思い、そうとなれば改めてお茶碗の歴史を知るべきだろうと、まずはいろいろ調べていったんです。

昔の人が使っていたお茶碗には、手に取るのが楽しくなる絵柄がたくさん描かれています。調べていくうちに、どんどんそこに注目したい想いが湧いてきて。もともと僕自身も絵を描くのが好きですし、絵付けのうつわも好きだったのですが、そもそも昔の人たちはどうしてこんなに豊かな景色をお茶碗に描いていたのだろうと、当時に思いを馳せてみたんですね。

和食器の絵付けは室町時代や安土桃山時代、江戸時代などから見られます。そしてその時代は、大多数の人が今よりも物理的に生きるのが困難だった時代です。例えば草花文様には繰り返す命を尊ぶ思いや自然の賛美を込めて、吉祥文様には日々の安寧や明るい未来を願って、といったように、うつわに絵を描くということは、豊かさへの、つまり好日への祈りだったのではないかと考えるようになりました」

食べることに苦労したり、争いが絶えなかったりした時代。うつわの絵柄からは「不安の伴う毎日に、少しでも幸せを感じられるように」という、当時の人たちの願いや想い、そして忘れずに持ち続けた遊び心を感じたと榎本は続けます。

「そうやって、さまざまな絵付けを知っていくにつれ、当時に込められた願いや想いは今の私たちにとっても、同じように必要とされるものではないかと思うようになりました。

今は物質的には豊かになったけれど、一方、疫病の流行や世界で起きる悲しいニュースなど先の見えない時代でもあります。日々の安寧への想いは強くなっていて、昔の人々が願ってきた祈りを今を生きている私たちも感じ始めているんじゃないかなと。

そんな風に考えて『かつての人たちが大切なものをすくいあげて、祈りや畏敬の念を込めて描いたように、現代の職人さんたちと好日に寄り添うお茶碗を作ってお客さんと一緒に味わいたい』と、好日茶碗のコンセプトに至りました」

過去と地続きにある、多様性を大事にした12絵柄

コンセプトが決まったら、次は一緒にものづくりをしてくださるつくり手探しと、絵柄の検討です。

榎本が今回、つくり手との関係で大切にしたのは「共創」というキーワード。

「中川政七商店のデザイナーが考えたものを、ただ作ってもらうのではない関係性に挑戦したい」と、それぞれが得意なデザインや、普段のものづくりの延長にある絵柄を咀嚼しながら、二人三脚で歩みを進めていきました。

「つくり手の喜びを感じられるようなうつわを、お客さんに楽しんで使ってもらいたい」。そこにも、好日茶碗らしいこだわりがあるのです。

肝心の絵柄はというと、榎本いわく“1000本ノック”のように、まずはひたすら案を考えていきました。ここでも、好日茶碗だからこそのこだわりが。

「ご飯を食べるのって、毎日の営みじゃないですか。食事のうつわで『好日を感じるってどういうことかな』と考えていくと、過去と地続きの毎日が表現されていることだと結論に至って。それで、絵柄を考える際には『昔の人が引き継いできたデザインのうえにあるもの』を共通のテーマとして置きました。

もちろん奇抜な絵柄が描かれたうつわも一つの価値だとは思うのですが、過去との地続き感で考えると断たれてしまう。だから、好日茶碗の絵柄は、日本を含むアジア圏で昔から描かれてきた模様や、暮らしのなかで手の届きそうな自然や植物から考えたいと思いました。それらのモチーフにこそ、身近なものへ愛おしい眼差しを持って未来を願ってきた、絵柄の本質があるのではないかなって。

うつわに絵が描かれてきた理由を考えると、『願いを届けたかった・伝えたかった』という、つくり手の想いがあると思うんです。そうやってつい、ものを描いてしまう行為って、ものづくりの原点なんじゃないかなと。そこから離れないようなお茶碗を作りたいとこだわりました」

6つの窯元・作家と共に作り上げている好日茶碗。多様性を楽しんでいただけたらと、表情も形も、三者三様ならぬ六窯元六様で本当にさまざまです。

「例えば『染錦稲穂雀(そめにしきいなほすずめ)』『染錦山水遊鳥(さんすいゆうちょう)』を作ってくださっている渓山窯さんは、有田の窯元です。染付と色絵が得意で、作られているものはすべて手描きで絵付けされています。渓山窯さんは、やらないことをきっぱり決めてものづくりに臨んでいる姿勢が面白い。理由を聞くと『めんどくさがりやだから』と冗談で言われるのですが(笑)、つっこんで聞いてみると、せかせかしないで作るのを大事にされているんですね。

代表の篠原祐美子さんは、幼少期にご自身のおじいちゃん、おばあちゃんが工房で仕事をしているすぐ隣で遊びながら育っておられて、その空気感がとても好きだったそうです。『その時の空気感を残したものづくりをしたい』と願って今もものづくりをされていて、できあがるものもゆったりしている。日ごろの姿勢が、作り出すものにも表れているなと感じています。そんな風に、窯元さんそれぞれの特徴も感じながら手に取っていただけると嬉しいですね」

好日茶碗 渓山窯「染錦山水遊鳥」

毎日の食卓から、日々の幸せを願って

それぞれに個性を持つお茶碗は、実は高台の裏やお茶碗の底に絵が入っている品も。食器を洗う時間など、食卓に並んでいるとき以外にも出合いや発見を用意しました。

どれにしようか迷ってしまうところですが、最初のインスピレーションや他のうつわとの相性、何よりご自身の食卓が楽しくなりそうかなど、ぜひいろいろな視点で心ゆくまでお考えいただき、とびきりの一つを迎えてください。

「絵があることによって気持ちが和んだり、無地のうつわにはない感情の動き方があったりするのを感じていただければと思います。ご飯を盛る前に食卓に並んでいるさまや、食器棚に置いて光が差している景色もいいですよね。でも、お茶碗は使っているときが一番美しい。気に入ったものを日常でぜひ、たくさん使ってください」

日々是好日。

ほかほかのご飯と、お茶碗に描かれた幸せな景色が、皆さんの毎日を少しでも「好日」にしてくれたらと願いを込めて。一つひとつ、少しずつ異なる手しごとならではの表情を、自分だけのお気に入りとして長くお愉しみください。


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文:谷尻純子

「お茶碗、どう選んでいますか?」うつわを愛でる3人の、食卓談義

個人的な話ですが、うつわが好きでたまりません。

食事を盛り付けるだけなら、夫婦2人で10枚もあれば十分なのかもしれませんが、色や形、手ざわり、大きさ、それらをひっくるめた独特の佇まい。そんな魅力に惹かれ、せっせと買い求めていたら、いつの間にか我が家の食器棚はいろんな表情の品で溢れ、いつでも私を励ましてくれる、宝箱のような存在になりました。

このたび中川政七商店では、そんな、機能だけではないうつわの良さを、食卓で楽しんでいただきたいと、さまざまな産地・さまざまな絵柄のお茶碗を集めた「好日茶碗」シリーズを発売しました。

うつわのなかでも特に「属人器」と呼ばれるお茶碗は、「決まったものを使う」「複数種類を持たない」という方が多数。買い替えるタイミングも、割れてしまったことを機に、という方が多いようです。

担当デザイナーからそんな話を聞いた私は、好奇心がむくむく。「改めて、他の人のお茶碗事情を聞いてみたい!」と思ったのです。

この興味をきっかけに、うつわ好きの3人の方に集まっていただき、好日茶碗シリーズの発売を前に「食卓談義」なる座談会を開催。うつわと、その中でもお茶碗に関するお話を伺ってみました。

座談会に参加いただいた方

左:境 祐希さん
夫婦と子ども2人の4人暮らし。ならまちの食堂・喫茶「七福食堂」の店主。骨董が好きで、自身で集めた古いうつわは店内でいただける定食の提供にも使用する。https://www.instagram.com/shichifuku.shokudo/
※今回の座談会場所も七福食堂さんで行いました

中央:岡田 理(しずか)さん
美術作家。陶器を素材としたオブジェを制作している。画家の夫と3人の子ども達とともに普段は主に古陶磁を食卓で使い、家族旅行では肥前や美濃瀬戸などで古窯跡地を回る。

右:あやかさん
夫と2人暮らし。「ごはん愛好家」という肩書で、奈良を拠点に料理家として活動。企業のレシピ開発を手がける他、自宅で開く料理教室は毎回すぐに予約が埋まる人気。
https://www.instagram.com/ayaka.i_03/


そもそも、何がきっかけで、うつわ好きに?

うつわを愛してやまない皆さん。

それぞれにこだわりや好みはあると思いますが、それは追々伺うとして、そもそもいつ、何がきっかけでうつわに目覚めたのでしょう?

あやかさん:

「大学生になって一人暮らしをはじめたときに、初めて自分でお茶碗を買いました。最初は100円ショップでシンプルなものを迎えて。

そのうち、人を呼んで食事を作ったり、おもてなしをしたりするのが好きだったこともあり、自宅に人が集まるようになってきたんですね。

それで、せっかく食事を出すなら美しく、ときめきのある形で出したいなって貪欲さが出てきて、それが始まりですね。そこから、アルバイトをしながら少しずつうつわを集める日々が始まり、今に至ります。誰かを喜ばせたくてハマったうつわ収集ですが、今では自分自身もごはんを食べるたびにときめいて、自分の楽しさにも繋がっています」

岡田さん:

「私は結婚してからですね。一人暮らしのときから、うつわを見るのは好きだったものの、料理をあまりしなかったので、暮らしのなかにうつわがあることにリアリティがなかったんです。

すごく好きになったのは結婚した後。夫婦ともに海外生活から戻ったタイミングで、新鮮な目で見る日本の古陶磁の面白さに夫がハマりはじめたのがきっかけです。最初は作家物のうつわが数枚ある程度だったのですが、ある日、お蕎麦が食べたいねってなったんです。それで蕎麦猪口を買おうと思い、いろいろ調べてるなかで、いろんな絵柄の蕎麦猪口があることを知って、絵が面白いなと気付いて。本当は2つあれば十分だったんですけれど、素敵なものがあれば迎えるようになりました。

蕎麦猪口って、おかずを盛ったりお酒を入れたりもできる。夫婦ともそんなにお酒を飲まないのですが、日々増える蕎麦猪口を使いたいがために、あえてお酒を飲んでいた時期もありました(笑)。

今ではいろんなうつわが家にあって、子どもたちもそれぞれに自分の好きな絵柄があるみたい。食事の時間になったら食器棚からうつわを引っ張り出してきて、その日の気分で選んでくれています。子どもが選ぶなかで『さすがにこれはダメ』というものもあるんですけど、頑丈そうなものを中心に、自分で決めたものを楽しみながら使ってもらってます。6歳の長男は染付のうつわが好きなのですが、4歳の次男は鉄釉や変わった柄が描いてあるものが好きみたいで。好みも個人差がありますね」

境さん:

「私もあやかさんと一緒で大学生くらいからですね。奈良で一人暮らしを始めたのですが、最初は色々とお金もかかるので、食器はほとんど実家から持ってきたものを使ってたんです。あの、パンのフェアでもらえるやつとか(笑)。あれはあれで、割れないし本当に便利です。

毎日暮らしていくのに何とか慣れてくると、料理にも改めて目が向くようになり、それでうつわにも自然と興味を持ち始めました。

私は古いものが好きで、一番最初に買ったのは、民芸館のミュージアムショップで見つけたマグカップ。知り合いの古着好きの方が『古着は作り手の思想を身に纏えるのがいいんだ』と言っていて、自分が好きなものを毎日使える喜びに気付いたのが購入のきっかけです。

それで、買いだしたらいろんなものに興味がわくようになって、骨董市や好きな作家さんの個展などで、お茶碗やプレートも集めるようになりました。でも実は、今もまだパンのフェアでもらったうつわも持ってるんですよ。そうやって、自分がお世話になったものが食器棚に並んでいる風景がいいな、生活やなって思いますね」

あやかさん:

わかります。私もまだ100円ショップで買ったうつわ、持ってます。もう本当に使いやすくて。電子レンジで何かを温めたいときとか、すごく気軽に使えるんですよね。だから、なかなか捨てられない。安いからダメとかではなくて、うつわごとの良さがありますよね」

うつわ初期と今で、選び方はどう変わった?

それぞれ異なるきっかけで、うつわの魅力に気付いた皆さん。ハマり始めた初期の頃と今では、選び方も変わったのでしょうか?

たくさん迎えてきたからこその気付きや、選び方のポイントを教えてください。

境さん:

「初期はうつわ単体としてビビッとくるものを買っていましたが、だんだん揃ってくるにつれて取り合わせを考えるようになりましたね。自分が持っている他のうつわに合わせて買わないと、極端なものだと食卓に並べても合わないようになってしまうなぁと」

岡田さん:

「我が家は今も、取り合わせよりも、ものそのものが好きで買っています。取り合わせを考えることもあるんですけど、日々勢いで選んでますね(笑)。ただ、子どもが増えるなど家族の形態が徐々に変化しているので、使いやすいサイズは少しずつ変わってきているかもしれません。

例えば、家族が増えてからは大皿をよく使うようになりました。おかず一品しか作りたくないような料理を作るのがしんどい日も、どんと盛り付ける大皿が素敵なものであれば、その日は幸せ。料理を頑張らなくても、うつわがお気に入りのものなら食卓は良く見えるということに味をしめて、ずっとうつわに助けてもらってます。

いくつかある家族の話題として、食卓に載ったうつわについて『今日の絵柄はこうだね』のような会話もしていて、それが家族の楽しみになっていますね」

岡田さん宅の食器棚写真(写真提供:岡田さん)

あやかさん:

「家族でうつわについて話すの、すごく素敵ですね!私も境さんと同じで、最初はキュンとくるかこないかで選んでました。出合ったら買う!という感じです。今は、うつわと料理の相性を想像してます。気になったうつわをすぐに迎えるんじゃなくて、そのうつわに何を盛りたいか考えてみて、『3種類以上思い浮かばないものは迎えない』というルールをつくっています。

というのも、初期の頃に気に入って買ったうつわのなかで、使いづらいものは結局、出番がなくなってしまって。それって残念だなと思うようになったんです。うつわは使ってあげて価値が芽生えると思っているので、そのうつわがいくらお店でキラキラしていても、いざ家の食卓にあがったときに活躍してくれるか、可愛がってあげられるかを大事にしています」

普段、どんなお茶碗を使っていますか?それぞれのお茶碗事情

それぞれの理由で、たくさんのうつわに日々愛情を注ぐ皆さん。ところで属人器と言われるお茶碗事情についてはいかがですか?

岡田さん:

「うちは古いものが好きなので、9割くらいは骨董ですね。あと子どもは、汁椀や大皿などは大人と同じものを使うのですが、お茶碗については使いやすさを考えて、某量販店のものなども愛用しています。数で言うと夫がどんどん買ってくるので、お茶碗だけでも常に20個ほどあって、かなりの量になってしまいました(笑)。

我が家は誰がどのお茶碗というのが決まってなくて、私と子どもが『今日はこれがいいな』という感じで選んでいます」

境さん:

「小さい頃からその日の気分で選んで使うの、いいですね。我が家は夫婦と小さい子ども1人、赤ちゃんが1人で、貰いものも含めてお茶碗は5個。ペアで買ったのもあるし、各々が好きなものをバラバラに買ったものもあります。

うちは岡田さんと反対で、それぞれが使うお茶碗が決まっていて、それをほぼ毎日使います。スタメンじゃないものを使うときは、洗い物が間に合ってないときですね(笑)。私はというと木の合鹿椀(ごうろくわん)を使っているのですが、それがすごく好きで。漆が剥げても使い倒したいなと思っているくらいです。かなり大きいのでごはんを盛るだけじゃなくて、汁を入れてもいい。それを毎日使っています。

さっき、取りあわせを意識してうつわを買っていると話しましたけど、いまお茶碗にしている合鹿椀は『これだ!』と思って迎えたもの。木の質感とか育っていくサマとか、そのものの魅力に惹かれちゃって。全然取り合わせられなくて、食卓で完全に浮いてますね(笑)」

境さんお気に入りの合鹿椀(写真提供:境さん)

あやかさん:

「私はクリーム色と白色、黒色の3種類を、ペアで計6つ持っています。大皿などは個性的なものも好きなのですが、お茶碗に関してはシンプルなものが使いやすいなって。毎回の食事でどれを使うかは、一緒に並ぶ他のうつわが何色かで、バランスを見ながら決めています。

実はもう一つ、ごつごつした緑系の奇抜な感じのお茶碗も持っているのですが、それを使うとごはんが美味しくなかったんですよ。それで、お茶碗によって、ごはんが美味しく感じられるかどうかは違うんだなって気付きました。柄はお気に入りなので、今は食器棚の中で箸置き入れとして活躍してもらってます」

あやかさんが愛用するお茶碗たち(写真提供:あやかさん)

手しごとのうつわを選ぶ理由

量販店で安価に手に入るものから、工業製品として機能性をしっかり持たせて作られるものまで、ひとくちにお茶碗と言っても出自は様々。

今回座談会に参加いただいた3人は手しごとのものを好んで使われているようですが、改めてなぜ、手しごとのものを選ばれているのでしょうか?

岡田さん:

「風合いというか、出ているオーラが違うように感じています。とはいえ、機能性を求めることももちろんあります。子どもがガンガンぶつけたりすると、素敵なうつわを使っていてもハラハラしちゃって楽しくなくなるから。あまり縛られずに、その時々で使い分けてますね。

実は昨日ちょうど、長年お世話になっていた某量販店のお茶碗を長男が卒業したんです。これまでは、お茶碗だけは子どもが扱いやすいものを使っていたのですが、隣に座っているお父さんのお茶碗を見て、『僕もこういうの使ってみたい』って。子どもも何となく独特の魅力に惹かれたのかな」

あやかさん:

「手しごとで作られたうつわからは、何だろう‥‥豊かさを感じますね。毎日3回ある食事の底上げをグッとしてくれる感覚があって、それが人の手で作られたものを使う理由です。幸福度が違うなって、とっても思います」

境さん:

「私は自宅でもお店でも、工業製品も結構使ってて。それはやっぱり、安定性とか再現性があるのと、気軽に使えるという理由が大きいですね。そういうものも必要やなって思うんですよ。そういうものがあるから、手しごとのものも良く見える。

そんななかで手しごとのものを使うのは、やっぱりそこに見える景色というか。特にお茶碗は、毎日使うものですよね。毎日食卓で見るたびに、買った時の思い出とか、うつわを取り巻く歴史みたいなものに思いが馳せられるので、よりいっそう愛着がわいていく。工業製品よりも、そういうものが乗りやすいんじゃないかなと思います」

七福食堂さんの食器棚

好日茶碗、自分が使うならどれですか?

最後は、新たに登場した好日茶碗シリーズのお話。6つの産地で計12絵柄があるお茶碗、皆さんだったらどれを、どんな風に使いますか?印象に残ったものを教えてもらい、実際に家庭でも使っていただきました。

境さん:

「私は『呉須独楽筋(ごすこますじ)』ですね。見た感じの印象が、自分が持っている骨董系のうつわと取り合わせが良さそうだなと思いました。あとはシンプルに柄がいい。これにごはんを盛って他はお味噌汁だけでも、かなり気分が上がりそうだなって」

境さん宅での様子。お茶碗にはよそわれたのは、奈良の郷土料理である「茶粥」(写真提供:境さん)

岡田さん:

『飴白格子(あめしろごうし)』です。白ごはんが美味しそうに見えるだろうなと思えたのと、深さがあるのでスープも飲めそうだなと。我が家は子どもたちが納豆ごはんを好んで食べていて、深いと混ぜやすいので、大人も子どもも使いやすそうだなという印象です。私はたくさんあるうつわの産地のなかでも、特に小鹿田焼が好きなのですが、それと合わせたときも温かみのある色がよく合いそうだなと思いました」

「あと、鹿が描かれた『さび白鹿(さびしろしか)』も可愛らしさがいいですね。デザインのルーツとして、『鹿は古くから禄(ろく=天からの贈りもの)と音が通じることから、幸いや喜びの象徴とされてきた』という話もグッときました。食卓は子どもたちにとって学びの場でもあるので、かわいい絵はもちろんですが、絵付けの意味を食卓で話すことで、その話が記憶に残るのもいいなって思います」

岡田家では、お茶碗にスープを盛り付け(写真提供:岡田さん)
※汁物を入れる場合は、目止めをしっかり行ってからお使いください
持ちやすい形は、お子さんの手でも安心(写真提供:岡田さん)

あやかさん:

「私は『安南唐草(あんなんからくさ)』。濃い色ではないのに、パッと目につく絶妙な淡い色が好きですね。あとはシンプルに使いやすそうだなって。ごはんを盛るだけじゃなくてスープも盛れるし、茶碗蒸しも作れそう。和にもエスニック系の料理にも合わせやすくて、スープを盛ってパクチーを載せるのも映えそうです。料理への妄想を一番かき立ててくれるお茶碗だと思いました」

あやかさん宅の食卓。赤や黄など鮮やかな野菜たちの色を、お茶碗が引き立てる(写真提供:あやかさん)

うつわが持つ、機能だけでない魅力。見ているだけでも心が和んだり、楽しくなったりする、暮らしの道具としての頼もしさをより感じる座談会となりました。

お気に入りのものをずっと使い続けてもいいし、毎日の気分に合わせて使い分けるのもいい。それはお茶碗もまた、同じなのだなぁと思いました。

心を寄せられるうつわで、日々を楽しく過ごしていけたら。
このたびの好日茶碗シリーズも、そんな楽しい食卓の、よき相棒になれば嬉しく思います。


文:谷尻純子
写真:奥山晴日


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【暮らすように、本を読む】#03『正しい暮し方読本』

自分を前に進めたいとき。ちょっと一息つきたいとき。冒険の世界へ出たいとき。新しいアイデアを閃きたいとき。暮らしのなかで出合うさまざまな気持ちを助ける存在として、本があります。

ふと手にした本が、自分の大きなきっかけになることもあれば、毎日のお守りになることもある。

長野県上田市に拠点を置き、オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する、「VALUE BOOKS(バリューブックス)」の北村有沙さんに、心地好い暮らしのお供になるような、本との出合いをお届けしてもらいます。

<お知らせ>

先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、中川政七商店の「みかん番茶」が書籍と一緒にお手元に届きます。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。



自分にとっての”正しい”を見つける。
『正しい暮らし方読本』

絵本作家・五味太郎さんによって、ユーモアたっぷりに描かれる様々な「正しい○○の方法」。思わず身構えてしまいそうなタイトルとは異なり、ほのぼのとしたイラストで、読む人の想像力を掻き立てます。

1993年発売の本書ですが、30年経っても全く色褪せない、むしろ新しさすら感じる、暮らしの切り取り方が絶妙です。

例えば、「正しい箸のもち方」では、握り込むように持ったり、両手で一本ずつ持ってもいい。指の形は人それぞれ、自分が気持ちよく食事できることが大切だと優しく語りかけます。

他に「正しいお弁当のあり方」や「正しい猫のかい方」でも、思わぬ角度から提示された正しさは、笑いを誘うのと同時に、妙な説得力があります。そんな風に自らの生活に照らし合わせながら読み進めていたかと思えば、ふいに「正しい怪獣とのつきあい方」なんてものが出てくるので、空想に耽ることもしばしば。

子どもが読めば楽しく感性が磨かれ、大人が読めばハッとする。社会を生きるうえで押し付けられてきた正しさを、その意味を、じっくり考えるきっかけになる一冊です。

特に心に残っているのは「正しいかさのさし方」にて、傘から体をはみ出しながらも、楽しそうに雨の中を歩く人のイラストと共にあるこんな一文。

"雨の日に外を歩くということは、「すこし雨にぬれてみる」という気持ちが大切ですから、雨がさはこのくらいが正しい"

日々の生活に窮屈さを覚えた時、この本を手に取り眺めてみる。完璧でなくても、他の人と違っても、自分なりの正解が見つかったならそれで十分。読み終える頃には、心が少し軽くなっているはずです。

ご紹介した本

・五味太郎『正しい暮し方読本』

本が気になった方は、ぜひこちらで:
VALUE BOOKSサイト『正しい暮らし方読本』

※先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、中川政七商店の「みかん番茶」が書籍と一緒にお手元に届きます。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。

VALUE BOOKS
長野県上田市に拠点を構え、本の買取・販売を手がける書店。古紙になるはずだった本を活かした「本だったノート」の制作や、本の買取を通じて寄付を行える「チャリボン」など、本屋を軸としながらさまざまな活動を行っている。
https://www.valuebooks.jp/


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【暮らすように、本を読む】#01『料理と毎日』
【暮らすように、本を読む】#02『おべんとうの時間がきらいだった』

【あの人の贈りかた】手間のかかる、贅沢な時間を届ける(スタッフ野村)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は企画・コンサルティング担当の野村がお届けします。

無駄で、面倒で、ささやかな贅沢を。
吉野ヒノキの芳香チップ」と「日本の精油シリーズ」

贈りものを選ぶときは、少しだけ贈る相手の輪郭を広げるようなものを選んでいる気がします。

毎日の生活や仕事に必要なわけではないけど、あるとちょっとだけ肩の力が抜けたり、いつもと違うことを考えたりできるもの。贈る・贈られること自体が、ある意味で不要不急で、日常のなかの余白だからこそ、せっかくなので日々の小休止になるようなものを選びたいのかもしれません。

お世話になった上司へ、御礼の品を選んだときのこと。常に仕事に追われているその人は、忙しさのあまり体調を崩して大変だった時期がありました。そのとき、常に香りを携帯して、自分のペースを保っていたとか。

そんなエピソードを思い出しながら、家でもゆっくり香りを楽しんでくださいと、芳香チップと精油をセットにして贈りました。芳香チップは、付属の巾着に入れてそのまま吊り下げてもよし、お皿などに盛りつけて精油を振っても楽しめます。

消臭効果もあるヒノキのチップなので、匂い取りとして使ってもらってももちろん良いのですが、せっかくなので木の肌触りを味わったり、精油を2、3滴垂らして一息ついたり、あえてちょっと手間のかかる時間の使い方をしてほしいという気持ちで選びました。

産地ごとの個性を楽しめるのも精油の魅力。旅先で、お土産としてその地の植物から採れた精油を買って帰ることもよくあります。このときは奈良に住む自分からの贈りものとして、吉野ヒノキの香りを選びました。自分はよく、休みの日の朝に湯舟にお湯を張り、浴室の隅にヒノキの精油を少し垂らして、ちょっとした温泉気分を楽しんだりもします。贅沢ですね。

そういえば贅沢の贅とは、役に立たないよけいなもの、という意味。日々の仕事や生活で充実している人にこそ、無駄で面倒なささやかな贅沢を贈ってみるのも面白いかもしれません。

<贈りもの>

・中川政七商店「吉野ヒノキの芳香チップ 巾着つき」
・中川政七商店「日本の精油シリーズ」

毎日のハンカチに香りをしのばせて。
「motta」「motta Handkerchief Perfume」

新しく仕事をはじめる親戚に贈ったのが、リネンハンカチと香水のセットです。ハンカチは何枚あっても困らないけど、自分ではあまり買い足さない。でもお気に入りの一枚があって、そこに好きな香りを吹きかけたりすると、結構気分が変わるものでもあります。普段はあまり意識されないけれど、意外と気持ちに寄りそったり、気分を変えてくれたりする存在です。

なかでもmottaは、麻のハンカチを使ったことがない方にもぜひ一度、試してみてほしい品。思ったより水を吸ってくれるし、たたんでもかさばらない。頼りになるハンカチで、いろんな色柄から選べる楽しみもあります。このときは、シンプルな緑の一枚に、深い森林の香りをイメージした香水を合わせました。

香りもののなかでも、身に着ける香水を贈るのはハードルが高いかもしれませんが、ハンカチとセットなら試してもらいやすいと思います。常に匂いのするのが苦手な方や、仕事の都合で香水がNGな方は、ハンカチにひと吹きしておいて休憩のときに一息つく、という使い方もできます。

その親戚は今まであまり香水をつけなかったようですが、今では毎日つけるようになって新しく買い足したとか。意外と?狙い通り?気に入ってくれた!というのも、贈りものの楽しみの一つですね。

<贈りもの>

・中川政七商店「motta 051」
・中川政七商店「motta Handkerchief Perfume」

ゆっくり頁をめくる贅沢な時間と、応援の気持ちを贈る「本」

何かあげたいものがあるわけではない、でも応援する気持ちを伝えたい。そんなときによく本を選びます。自分が好きな本から一冊をあげてもいいし、本屋さんに行ってその人のことを考えながら、これがいいかな?と考えるのも楽しい時間です。

本を読むのが苦手な人だったら、絵本や写真集もおすすめです。詩集や歌集もいいかもしれません。別に読み切らなくても、勉強やためになることがなくても、絵や写真を眺めているだけで心が安らぐこともあると思います。

忙しい毎日のなかでちょっと手をとめて、本の表紙を開く。読書がいいのは「ながら」ができないことです。音楽くらいは聞けますが、テレビやスマホは見れません。その意味では銭湯とか温泉に入るのに似ているかもしれません。他に何もできない時間というのも今、結構贅沢なことだと思います。

ひと工夫したいときは、本と一緒に、それに合ったものをセットで贈ることもあります。どこかの国のエッセイと、その国発祥のお菓子とか。前に「石をさがそう」というテーマの絵本と、石をさがすためのルーペを一緒に贈ったこともあります。本は無限にあるので、何を選んでもその人らしい贈りものができあがります。

この本は、ここ1年で一番いろんな人に紹介した一冊です。ちょっと疲れちゃったな、でも何に疲れているんだろう?そんな漠然とした、でも意外と複雑な悩みを、臨床心理士の著者が一つひとつ解きほぐしてくれます。絵本のように驚くほど読みやすくて、とても自分のことを語ってくれている。今を一生懸命生きている、すべての人におすすめです。

<贈りもの>

『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社 / 東畑開人 著)

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 企画・コンサルティング担当 野村隆文

【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 江藤あかね

江藤 あかね
中川政七商店 二子玉川ライズ店


2018年 中川政七商店 横浜ルミネ店 配属
2019年 中川政七商店 ラゾーナ川崎プラザ店 配属
2021年 中川政七商店 ラゾーナ川崎プラザ店 店長
2023年 中川政七商店 二子玉川ライズ店 店長



学生の頃から和紙の産地巡りをしたり、工芸のワークショップに参加したりと、ものづくりが大好きだったので、ずいぶん前から中川政七商店が手がける日本市などのお店を見かけるたびに買い物をしていました。

ある時、これからの生き方や子育てをしながらの働き方について見つめ直す機会があり、その頃たまたま買い物に行った中川政七商店で受けた接客や、素敵な包装紙などに感動し、お店だけでなく会社自体にも興味が湧くきっかけがありました。どんな会社だろうと調べてみると、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンや「こころば」(※十か条からなる中川政七商店の価値基準)などから、自分自身の大切にしていることと重なる部分があると分かり、思い切って中川の門を叩きました。

この会社に入って一番思ったのは、「いい人ばかりの会社だな!」ということ。これは他者を大切にする当社のしごとのものさしが根底にあるのですが、それを当たり前のように皆がやるというのは、実は難しいことですよね。

でもお店で感じるのは、周りの人を尊重する良い文化は、温かい気持ちを受け取った人がまた他の誰かにできたりして、自然と伝染していくものなんだな、ということ。私自身その輪に内包されて、人としても成長させてもらっているのを感じます。

私が店長として大切にしているのは、進むべき方向を示しながら、スタッフそれぞれが自分のスタンスで仕事を楽しむことです。自分の課題や目標と向き合っていくのは大変ですが、積み上げた努力が形になっていく楽しさを皆で共有したいのです。この考え方も当社に入ってから強く思うようになったことの一つで、そのための読書など勉強は欠かせません。店長の仕事として人を育てることはとても重要ですが、まずは育てる人が育たなければいけないのは言わずもがな。私も育ちながら、スタッフ皆で育て合っている感じです。

入社時はまだ保育園に通っていた子ども達も小学生になり、今は少し時間に余裕ができたのですが、それでも日々一緒に働いてくれる人たちの理解なくしては成り立ちません。そんな感謝の気持ちがまずあって、その上で「なぜ働くのか」と言えば、好きな仕事をすることは特別な何かではなく、自分の人生において欠けては困る大切なことの一つだからでしょうか。

日常の地続きに仕事と子育てがあって、趣味や家事の時間も全て、違和感なく共存している感じなのです。優先順位もその時々で変わるし、「こうあるべき!」という考え方はあまりしないようにしています。

ママ店長になれたのは、関わってくれた全ての人達のおかげ。そうして力を貸してくださったように、私もまた誰かの力になれたらと思います。これから子育てする可能性のある人や既にされている人が、今の頑張りの先にある自分の人生を想像したときに、私のように店長をする選択もできるんだと思ってくれたら、それだけでとても嬉しいです。

まだまだ続いていく自分の道が、これから何と出会ってどうなるのか、これからも楽しんでいこうと思います。

※写真は当店のスタッフであり、写真家としても活動されている柴田 真由さんに撮影してもらいました


<愛用している商品>

motta

タオルも良いのですが、ハンカチを扱う美しい手元に憧れます。mottaは濡れてもすぐに乾き、いつもピシッとハリがあるところが大好き。色柄も好みで、たくさんコレクションしています。

日本の精油

日ごろからコスメなどは自然の精油を使っているものを愛用しています。日本の精油シリーズも愛用中で、新作の南の森ブレンドは寝る前のストレッチなどリラックスの時間に香らせて楽しんでいます。

きほんの一式

シンプルですが表情豊かな釉薬が存在感あるシリーズです。食事を盛り付けると、ちょっとしたものでも美しく見せてくれるところが大好きです。家族のお茶碗や朝食用の平皿、汁物用に中鉢など、楽しませてもらってます。

【家しごとのてならい】第2回:お茶を美味しく淹れる

毎日の家しごと。それなりに何とかできるようになり、だいたいは心得たつもりだけれど、意外と基本が疎かだったり、何となく自己流にしていたりするものってありませんか?

そのままで不都合はないものの、年齢を重ねてきたからこそ、改めて基本やコツを学んでみたい。頭の片隅にはうっすら、そんな思いがありました。

この連載では、大人になった今こそ気になる“家しごとのいろは”を、中川政七商店の編集スタッフがその道の職人さんたちに、習いに伺います。

とはいえ、難しいことはなかなか覚えられないし、続きません。肩ひじ張らず、構えずに、軽やかに暮らしを楽しむための、ちょっとした術を皆さんにお届けできたらと思います。

今回のテーマは「お茶を美味しく淹れる」。奈良の大和高原にて、農薬や肥料を一切使用しない自然栽培のお茶を製造販売する、健一自然農園代表・伊川健一さんを講師に迎え、編集チームの谷尻が習いました。


今回の講師:健一自然農園 伊川健一さん

1981年、奈良県大和郡山市生まれ。健一自然農園代表。自然茶師。奈良県北東部の大和高原を中心に、農薬・肥料を一切使用しない自然栽培のお茶づくりを通して、人と自然が調和した世界の実現を目指し活動中。農事組合法人春日茶園監査。天理市里山地域つくりアドバイザー。奈良県山添村「かすががーでん」講師
URL:https://kencha.jp/



茶葉や道具の選び方と、心構え

お茶を淹れる、その前に。そもそも、茶葉や道具の選び方も実は曖昧だったりしませんか?本企画に臨んだ私はというと、普段は自宅に複数種類のお茶をストックしており、洋菓子なら紅茶、食事の後に飲むならほうじ茶、寝る前はハーブティー‥‥といった風に、何となくそのとき飲みたい味で選んでいました。

道具もしかりで、ガラスのティーポットや陶器の土瓶など、いくつか持ってはいるのですが、普段は見た目の気分で選ぶくらい。どんな風に選ぶと、よりお茶が美味しくなるのでしょう。

茶葉の選び方

伊川さん:
「まずは茶葉からいきましょう。お茶って昔から、禅や茶道とつながりの深いものというイメージがありますよね?そうやってお茶は心の栄養として飲まれてきたこともあり、なりたい気分で選ぶのもおすすめです」

「気分で選ぶ例として、シャッキリしたいときは緑茶がおすすめ。煎茶も、緑茶の一つですね。

理由としては大きく二つあり、一つはお茶の色です。これは主に、製茶製法によって変わります。詳しくは割愛するのですが、お茶の色味を思い浮かべてもらうと、緑・茶・赤と何となく三つほどあるのがわかるでしょうか?一般的に緑のお茶は発酵しておらず、茶や赤になると焙煎されていたり、しっかり発酵が進んだりしています。

緑のものは、中医学などでは、身体を冷やしたり気持ちをクールダウンさせたりする特性があると言われており、反対に赤や茶の焙煎しているものや発酵しているものは、気持ちをリラックスさせてくれます。その意味で、緑茶は茶色や赤色のお茶よりもシャッキリするんです。

もう一つは部位の話。茶畑を想像していただくとわかりやすくて、そよそよ揺れている上の新芽の部分、その下の新芽を育てた葉っぱの部分、それを支えている茎や枝の部分と、お茶に使われる部位は大きく三つに分かれます。

茶葉は上(新芽のほう)にいけばいくほど、カフェインの濃度が高くなるんですね。なので、シャキッとしやすくなります。

その二つの理由から、緑色で、なおかつ上の葉を用いている緑茶は、気持ちをしゃんとしたいときにおすすめです」

健一自然農園さんHPより引用

「ちなみに番茶は、新芽の一つ下の葉っぱや茎の部分を使って作られたお茶。カフェインが少ないため、シャッキリ感は煎茶に比べてかなり減ります。番茶にもいろいろ種類がありますが、例えばほうじ茶だと色味は茶で心を緩ませてくれる色なので、リラックスしたいときにいいですね。

また紅茶は、茶器に花の模様が描かれているものが多かったり、シチュエーションとしてもお菓子と一緒に食べたりと、優雅な時間を演出してくれるお茶です。紅茶は茶から赤っぽい色なので、シャッキリ系よりもほっこり系で、心がほぐれやすい。発酵させているので、身体を温める効果も少し高まっているんですよ」

<お茶を美味しく淹れる心得:茶葉>

・茶葉の色:緑は気分を冷静に、スッキリさせる。茶は心をゆるめ、赤はより優雅にしてくれる
・茶葉の部位:新芽のほうへいくほど、カフェイン含有量が高く気持ちがシャッキリする。リラックスしたいときは下の部位の茶葉を使ったお茶を選ぶ

茶器の選び方

続いては、道具類の選び方です。中国の雲南省で自生していたものを飲まれたことに始まり、4000年の歴史のなかで世界中に広まり、愛されてきたお茶。そのぶん、茶器もさまざまな種類があり、茶葉との組み合わせや、そのときの気分によって使い分けが楽しめます。

伊川さん:
「どんなシチュエーションで誰に対して淹れるのかで、選び方は大きく変わってきます。例えば急須やティーポットが大ぶりのものだと、2~3人で飲む際に使いますし、小さいものは1人用として活躍します。急須から注ぐお茶は1回で淹れきるのが美味しく飲むための鉄則なので、サイズ感はとても大事な視点ですね。

もう一つは材質。陶器は渋みや香りをやわらかくするはたらきがあるのに対し、磁器ものは味わいや香りがややシャープになります。ガラスは、うつわの影響を限りなく受けないので、茶葉の味や香りがクリアに堪能できます。

ちなみに、お湯を沸かすやかんやケトルは注ぎ口が大き目のものがおすすめです。その方が早く注いだりゆっくり注いだり、スピードが調整しやすいんです」

今回は、中川政七商店「耐熱硝子の多用急須 根竹」も持参

続いて、飲む道具はどうでしょう?

「飲み口が薄めにつくられているものは、微妙な味わいの変化を受け取るのに向いています。薄い素材のうつわって、手に持ったり、口にあたったりしたときに少し緊張しませんか?つまり、口元が少し緊張することで、より繊細な味わいを感じられるんですね。持った時点で自分の心がどう動くかが、味わい方にも影響するんです。

反対に、厚めの飲み口の茶杯(※湯呑みのこと)は、安心感があって心を和ませてくれます。『これで淹れなくてはならない』というルールはなくて、大事なのは、自分や相手を慮る気持ちです。どういう気分でお茶を飲んでほしいかで、道具を選ぶといいですよ」

言葉を介さずとも、道具や茶葉を通じて心を届ける。日本人が昔から大切にしてきた心のやり取りが、お茶を美味しく淹れるときのヒントになるのですね。

<お茶を美味しく淹れる心得:茶器>

・急須のサイズ感:急須の中のお茶は一回で淹れきるのが鉄則。何人分を淹れきれるのか、大きさは重要なポイント
・茶器の材質:陶器は味わいをやわらげ、磁器はややシャープに。ガラスはクリアに茶葉が味わえる
・茶杯の厚み:薄いものは気持ちが引き締まり、味に意識が向きやすい。厚みのあるものはリラックスさせてくれる

お茶の淹れ方

さて、道具と茶葉の選び方を学んだ次は、いよいよ茶葉ごとの淹れ方をならいます。今回用意したのは、煎茶・番茶・紅茶の三種類。リーフで淹れるコツと、自宅でよりなじみのある、ティーバッグで淹れる際のコツもオマケで教えていただきました。

茶葉は健一自然農園さんのものをご用意いただきました。左から煎茶・番茶・紅茶

淹れ方[1]煎茶

準備する道具:
・急須
・茶かい(湯冷ましとも呼ぶ)
・茶杯(湯呑みのこと)
・茶たく

今回は「お茶の時間をゆっくり楽しむ」をコンセプトに、小さめの茶杯で三煎淹れてみます。なお煎茶碗は小さめのものをよく見かける印象ですが、大きい茶杯がダメなわけではありません。伊川さんいわく、「一煎でたっぷり飲むのも悪くないんですけれど、一煎ごとの味の変化と淹れる時間を楽しむために、あえて小さいうつわで召し上がっていただきたい、という設えで、今回はご紹介します」とのことでした。

煎茶はお客様をもてなす際や、気分をスッキリさせたいときに向くのもあり、味に集中できるうつわで飲むとより楽しめるということのようです。

それでは、淹れ方をならっていきます。

1:湯を沸かし、茶器を湯で温めながら湯を冷ます

煎茶の場合は沸騰したお湯をいきなり急須に入れるのではなく、その前に準備が必要。100度のお湯をそのまま使用すると味に角が立ってしまうので、少しだけ冷まします。

伊川さん:
「ただし、温度計がないと『今が何度かわからへん』ってなりますよね。その場合は、1回うつわに移すごとに、10度くらい下がると考えていただくといいと思います。

いまケトルのなかで沸騰して、少し下がったお湯が95度ほど。それを一度、茶葉を入れていない急須に注ぐと85度くらいです。さらに茶かいに注いで75度。それを茶杯に入れると、だいたい65度ですね。この各茶器に注いでいく作業は、お湯を冷ますほかに、道具類を温めてお茶を適温で飲むという意味もあります」

2. 湯量に対し5%ほどの茶葉を急須に入れる

次に、急須に茶葉を入れます。だいたい5%ほどの濃度が目安。今回は100mlのお湯に5gの茶葉を使いました。ご自宅の茶さじなどですくえる茶葉のグラム数を覚えておくと、次からがとてもラクになるのでおすすめだそう。小さじに山もり2杯くらいで、5gくらいです。

3. 60~70度のお湯を急須に注ぎ、1分ほど抽出する

急須に茶葉を入れたら、先ほど茶杯に入れたお湯を急須に戻します。こうすると、急須に入ったお湯をすべて無駄なくいただけるため、急須にお茶が余りません。

入れ終わったら、1分ほど待ちます。

伊川さん:
「そのまま待っても良いのですが、心の余裕があれば両手で急須を抱えてゆったりと揺らすと、お茶の味がよく出ます。何より『お茶を淹れてる』という気持ちになれるので、おすすめです(笑)」

4. 濃度を均等に、最後の一滴まで茶杯に注ぎきる

注ぐときのポイントは、急須にあるお茶をすべて注ぎきること。淹れる位置が高すぎるとお茶が冷めてしまうので、急須に近い場所から淹れましょう。

このとき、すべての茶杯に均一の濃さで淹れることも意識します。今回の場合は下の写真右側から、1つ目→2つ目→3つ目と各6分目くらいまで淹れ、左まで行ったら残りの量を3つ目→2つ目→1つ目と、戻ります。最後の一滴まで、しっかりと淹れてください。

伊川さん:
「最後は急須を振らずに、自然と落ちてくるお茶を注ぎきります。これはゴールデンドリップと呼ばれる、お茶の味わいが凝縮された一滴です。注ぎきったら次も美味しく飲めるよう、急須の蓋は少しあけておきましょう。完全に蓋をしてしまうと茶葉が蒸れて、調理中のような状態になってしまうので注意してくださいね。

基本の淹れ方をお伝えはしましたが、おまんじゅうなどのお菓子がある際は少し濃い目に淹れる、何も添えずに飲む場合はあまり胃への刺激を濃くしすぎないよう、抽出時間を短くするなど、臨機応変に対応いただければと思います」

急須から一滴、一滴が落ちていくのを見るのも、心が整う時間。口に含む前に香りを楽しんで、いざ、いただきます。

その他のメモ:ティーバッグの場合

ティーバッグの場合は、急須にそのままティーバッグを入れます。注意するのは抽出時間。ティーバッグの茶葉はリーフのものより細かく砕かれているので、待ちすぎると濃く出てしまいます。15秒~20秒ほど早めに注ぎはじめるようにしましょう。茶葉が自然と広がり抽出することが美味しさの秘訣のため、マグカップなどにそのままティーバッグを入れてお湯を注ぐ場合も、強く振らずできるだけ静かに、優雅にゆったりと2~3回ティーバッグを揺らして、そっと取り出してください。

<お茶を美味しく淹れる心得:煎茶>

・茶葉の量は湯量の5%程度が目安
・湯は茶器に移し替えながら一煎目は65~75度まで冷ます
・お茶の濃度は抽出時間で、臨機応変に調整する
・ティーバッグの場合は、抽出時間を15~20秒ほど短めに
・茶杯にお茶を注ぐ際は、冷めないようになるべく近くから
・一度に複数杯を淹れる場合は、注ぎ方を工夫し濃度は均一に
・淹れる際に急須は振らない。最後の一滴まで注ぎきる

淹れ方[2]番茶

続いては番茶編。今回は番茶のなかでもほうじ茶を用意しました。使用する茶器について「お番茶は暮らしのお茶なので、煎茶よりもぽってりとした、おおらかな佇まいの茶器を用意しました」と伊川さん。ゆったりと構える茶器しかり、番茶は煎茶よりも気軽に淹れられるイメージですが、どんなポイントを押さえればよいのでしょうか。

いざ、淹れていきます。

準備する道具:
・急須
・茶杯、マグカップなど

1. 湯量に対し1.5%ほどの茶葉を、直接急須に入れる

煎茶のように茶器を温めてもよいのですが、番茶はカジュアルに楽しめるお茶ということもあり、今回は茶器を温めずにスタート。まずは湯量に対し、1.5%ほどの茶葉を急須に入れます。てならい時は2人分のお茶を想定し、3gの茶葉と200mlのお湯を使用しました。

伊川さん:
「煎茶は三煎で味の変化を楽しめるように、グラム数を少し多くしました。対して番茶は味の違いに集中するよりも、ほっこりとリラックスして飲むのに適したお茶。そのため、茶葉の量は1~2回で飲みきることに適した量にしています。ただし『こうしなければいけない』という決まりではないので、お好みの濃さで調整してください」

2. 沸かしたてのお湯を急須に注ぎ、1分ほど蒸らす

ケトルややかんで沸かしたお湯を直接急須へ注ぎ、1分ほど蒸らします。番茶の場合は、煎茶のように湯度を下げず、アツアツのお湯をそのまま入れて問題ありません。

伊川さん:
「食事のあとなどに召し上がられることも多いと思いますし、しっかりと温かく淹れておくと、ごはんを食べている間も冷めにくくなります。お番茶はいろんな種類がありますが、基本はすべて熱湯で入れて問題ありません」

3. 茶杯やマグカップに、濃さが均等になるよう注ぎきる

煎茶同様、茶杯ごとに濃さが変わらないよう、濃度の均等を意識しながらお茶を淹れます。最後の一滴までしっかり注ぎきってください。淹れ終わったらまずは香りを楽しみ、その後、ごくりといただきます。

その他のメモ:もう一杯飲みたいときは?

急須に残った茶葉で二杯目を楽しみたい場合は、同じようにお湯を入れたら抽出時間を長くとります。一杯目は1分ほどにしましたが、次は5分ほどが目安。そうすることで、一杯目と同じほどの濃さでいただけます。万が一、急須にお湯を注いだまま忘れてしまい放っておいても、番茶は渋くなりすぎないのでご安心を。

伊川さん:
「お番茶はカフェインが少ないので、長い時間抽出しても、渋くなったり濃くなりすぎたりしないのがいいところ。そういう意味でも、気軽に淹れていただけたらと思います」

その他のメモ:ティーバッグの場合

タグがついたタイプのものも、ついていないものも、茶葉の量を見極めながら湯量を調整します。煎茶の時と同様、ティーバッグのタイプは茶葉が細かく切られているので、リーフタイプよりも15秒~20秒ほど短めに注ぎ始めるようにしてください。

<お茶を美味しく淹れる心得:番茶>

・茶葉の量は湯量の1.5%程度が目安
・お湯は沸きたてのものを使用
・一杯目の抽出時間は1分ほど、二杯目は5分程度を目安に好みで調整
・ティーバッグの場合は、抽出時間を15~20秒ほど短めに
・一度に複数杯を淹れる場合は、注ぎ方を工夫し濃度は均一に
・淹れる際に急須は振らない。最後の一滴まで注ぎきる

淹れ方[3]紅茶

最後は紅茶。茶葉をしっかりと発酵させて作る紅茶は、多くが新芽の部分で作られるそう。煎茶と番茶で学んだことを思い出しながら、伊川さんに手順を伺います。

準備する道具:
・ティーポット
・ティーカップ、マグカップなど

1. 湯量に対し2%の茶葉を、直接ティーポットに入れる

寒い日は淹れたお茶が冷めにくいよう、ティーポットとティーカップを先にお湯で温めるのがおすすめですが、この日はまだ暑さがあったので茶器を温めずにスタート。湯量に対し2%の茶葉を、指でつまんで直接ティーポットに入れます。

伊川さん:
「ティースプーンで茶葉をすくっていただいても、もちろん大丈夫。今日のリーフは大ぶりなので、指でつまんで入れました。自分がつまむとだいたいどの程度のグラム数になるのか、一度量っておくとその後が便利ですよ」

2. 沸かしたてのお湯を、高い位置からティーポットに入れる

沸かしたてのお湯をティーポットへ注ぎます。紅茶を美味しく淹れるコツは、ティーポットのなかで茶葉を躍らせること。少し上から、しっかり空気を入れることを意識してお湯を注いでください。最初はティーポットに近い位置から注ぎ始め、だんだんケトルを上げていくと失敗が防げます。

3. 蓋をして3~4分ほど待つ

今回はカットしていないホールリーフを使用しているので、じっくりと茶葉が開くのを待ちます。目安はだいたい3~4分ほど。茶葉の大きさに応じて抽出時間は調整してください。待つ時間がたっぷりあるので、この時間にサンドイッチやスコーンを用意して、お茶の時間の準備をするのもおすすめです。

4. ティーカップに淹れる

煎茶・番茶同様、ティーカップに紅茶を注ぎきります。複数人分を用意する場合は、濃度が均一となるよう調整してください。このときは、カップに近い位置から淹れましょう。

注ぎきったら華やかな香りを楽しんで、いざ、いただきます。

その他のメモ:紅茶の場合、お湯の入れっぱなしはNG?

先ほど「番茶は急須に入れっぱなしにしても渋みが出にくい」とお伝えしましたが、紅茶はというと、「種類によりますね」と伊川さん。茶葉のどの部分を発酵させているかや、リーフの大きさによって渋みが出やすいかどうかは変わるそうです。一般的に、新芽が使われ、茶葉が細かく切られているものほど、渋みは出やすくなります。

その他のメモ:ティーバッグの場合

紅茶の場合、カップに直接ティーバッグを入れて、お湯を注ぐことが多いと思います。その場合は茶器が温まっていないと味がしっかり出ないため、ティーカップを先にお湯で温めておきましょう。寒い日はお湯を注いだ後、カップに蓋をして冷まさないようにしながら茶葉を抽出します。他と同様、ティーバッグは強く振らないよう注意してください。

<お茶を美味しく淹れる心得:紅茶>

・茶葉の量は湯量の2%程度が目安
・お湯は沸きたてのものを使用
・ケトルからティーポットにお湯を入れる際は、高い位置から
・一杯目の抽出時間は、ホールリーフで3~4分ほど。茶葉の大きさで調整する
・ティーバッグの場合は、抽出時間を15~20秒ほど短めに
・一度に複数杯を淹れる場合は、注ぎ方を工夫し濃度は均一に
・淹れる際に急須は振らない。最後の一滴まで注ぎきる


ひとくちに「お茶」といっても、使われる部位も違えば、製茶方法もさまざま。美味しく淹れるコツは、そのお茶の特徴を見極めることと、淹れる際のシチュエーションに合わせることの、大きく二つなのだと、てならいを通じて知れました。

今まで大雑把にお茶を淹れていた私ですが、気を遣うべきポイントを押さえられたので、次からはもっと“美味しい”へ、注力できそうです。

伊川さん、どうもありがとうございました。

<関連商品>

中川政七商店では健一自然農園さんと一緒に、番茶シリーズを製造販売しています。ぜひご自宅用や、ご贈答用にご利用ください。

番茶 小袋 雑穀と薪火の香り 茶の木番茶 ティーバッグ3包入
番茶 小袋 華やかに香る 茶花番茶 ティーバッグ3包入
番茶 小袋 おだやかな甘み りんご番茶 ティーバッグ3包入

文:谷尻純子
写真:関口高史