【家しごとのてならい】第1回:季節の果実でシロップ作り

毎日の家しごと。それなりにできるようになり、だいたいは心得たつもりだけれど、意外と基本が疎かだったり、何となく自己流にしていたりするものってありませんか?

そのままで不都合はないものの、年齢を重ねてきたからこそ、改めて基本やコツを学んでみたい。頭の片隅にはうっすら、そんな思いがありました。

この連載では、大人になった今こそ気になる“家しごとのいろは”を、中川政七商店の編集スタッフがその道のつくり手さんたちに、習いに伺います。

とはいえ、難しいことはなかなか覚えられないし、続きません。肩ひじ張らず、構えずに、軽やかに暮らしを楽しむための、ちょっとした術を皆さんにお届けできたらと思います。

第一回目のテーマは「季節の果実でシロップ作り」。奈良・西吉野にて、果樹を専門に栽培に取り組みながら、ドライフルーツなどの加工・販売も行う、堀内果実園の堀内奈穂子さんを講師に迎え、編集チームの谷尻が習いました。


今回の講師:堀内果実園 堀内奈穂子さん

1978年、奈良県生まれ。奈良県吉野の山麓で代々くだもの農園を営んでいる夫との結婚を期に就農。夫婦で堀内果実園のリブランディングを進める。くだものの美味しさや楽しみ方を広く知ってもらいたいと、フルーツアートクリエーターの資格も取得。現在は堀内果実園全般の業務に携わっている。
URL:https://horiuchi-fruit.jp/



シロップ作りの基本

梅しごとに始まり、「自宅で好みのものを作りたい」という声を多く聞くようになった果実のシロップ。梅を使ったレシピはたくさん見かけるものの、どうせなら旬ごとに季節の果実を使ったり、好みの果実でも作ってみたりしたいものです。

そういったわけで、今回はいろいろな果実で応用できるように、すべてに共通する基礎から習いました。

まずは下準備についてご紹介します。

【果実】シロップに向くもの、向かないもの

季節によって、旬を迎える果実はさまざま。果実シロップ作りというと梅しごとが最も定番ですが、もちろん他の果実でもシロップは作れます。

堀内さん:
「果実によってシロップ作りに向く・向かないは特になく、基本的には何でもシロップに使っていただけます。ただ、すももみたいに皮がしっかりしている果実は、シロップを出やすくするために、皮に穴をあけて漬けるのがおすすめです。そんな風に、皮の張り加減などの果実が持つ特徴によって、シロップが完成するまでの時間差はありますね」

実際に使用する際は、いちごのような皮のない果実はそのまま使用します。また、すもものように繊維がやわらかい果実は、切ると繊維を壊してしまいシロップがどろっとするため、切らずに皮へ穴をあけて使いましょう。柑橘などの果肉感がしっかりしている果実は皮を剥き、切って入れても問題ありません。

【果実】そのままと冷凍、どちらを使う?

好みの果実で作るシロップは、旬を過ぎても味わいたいもの。とはいえ、旬の時期はフレッシュなものが手に入りますが、時期を過ぎると果実によっては手に入らないこともあります。その場合、冷凍したものを使ってもよいのでしょうか?

堀内さん:
「冷凍した果実を使うのも、もちろん問題ありません。冷凍すると果実の繊維がやわらかくなり、解凍されるときに果実から出る蜜で砂糖も溶けやすくなります。早くシロップを完成させたい方は、溶けやすくするために冷凍がおすすめです。味はどちらも変わらないので、お好みで使っていただいて大丈夫ですよ」

【砂糖】氷砂糖、きび砂糖などの使い分け方

続いては、砂糖の使い分け方。果実シロップのレシピでよく使われるのは氷砂糖ですが、自宅にない場合や、普段から使っている好みのお砂糖がある方もいらっしゃいますよね。

堀内さん:
「一般的には失敗しにくく、果実の色もきれいに出る氷砂糖がよく使われますが、どのお砂糖を使うかは、漬ける方の好みで選んでいただいて大丈夫です。きび砂糖を使う方もいれば、はちみつだけで漬ける方もおられます。

我が家では氷砂糖か、たまにビート糖を使ったり、はちみつと半々にすることもあります。ただ黒糖のような色の濃いお砂糖を使うと、シロップの色がトーンダウンするので、ご注意くださいね」

【砂糖】分量の考え方

甘さの好みは人それぞれ。基本の分量は押さえつつ、自分好みの甘さを見つけたいところです。ただし、砂糖を少なくすることで失敗する危険もあるので注意しましょう。

堀内さん:
「砂糖と果実の割合は、1対1が基本。例えば、500gの果実を使う場合は500gのお砂糖を使うと、1対1の割合になります。甘みが気になる方は果実1に対してお砂糖を0.8とするなど、お砂糖の分量を少なくしても良いのですが、少なくするとカビやすくなるので注意が必要です」

【漬ける期間】飲みはじめと、保存期間

飲みはじめられるのは、お砂糖が溶けてから。季節や果実にもよりますが、だいたい1週間~10日ほどが目安です。ただし、1週間後ではまだ果実のエキスが出きっていないので、待てる場合は3か月ほど漬けてから飲みましょう。漬ける期間が長くなるほど、シロップの味はどんどんまろやかになるので、お好みのタイミングをぜひ見つけてください。

堀内さん:
「お砂糖がすべて溶けた時点で飲めはするのですが、漬けが浅ければ浅いほど、角が立った味になります。最初の頃はちょこちょこ味見をしてみて、ご自身がお好みの味を確認するのが良いかもしれませんね。1年、2年と漬けておくと、味はどんどんまろやかになります。

お砂糖を使っているため、シロップは基本的に数年間など長く保存が可能です。ただし長期にわたって保存すると、中の果実が黒っぽくなっていくので、気になる場合は3か月から半年ほどで取り出すようにしてください。色が気にならなければ入れておいても問題ありません。

取り出した果実はそのまま食べてもいいのですが、ジャムやスムージーにアレンジするのもおすすめですよ」

なお長期で保存する場合は、果実が砂糖にしっかり浸かっていないとカビなどの原因となります。シロップから浮いている面があればときどき瓶を回し、果実全体にシロップを回しかけるようにしましょう。

【保存場所】直射日光の当たらない、冷暗所で

せっかく作った果実シロップ。失敗せずに完成まで仕上げるためには、保存場所も重要です。直射日光のあたらない冷暗所におき、1週間ほどして砂糖が溶けてきたら、そのまま冷暗所で保存するか、冷蔵庫へ移動させてください。

堀内さん:
「最近は住宅環境が良くなり気密性が上がっているのと、特に夏は気温が年々高くなっているので、冷暗所がご家庭にない場合もあると思います。室内が高温になるのであれば、冷蔵庫保管がおすすめです」

保存の際は、マスキングテープなどに漬けた日を書いて瓶に貼っておくとわかりやすい

【トラブル発生】発酵したとき、カビたときの対処方法

果実を漬けている最中、注意していてもときどき起きてしまうのが、果実の発酵とカビ。

果実が発酵した場合は果実を取り出し、シロップだけを鍋に移し替えて70度ほどに熱し、10分ほど煮詰めます。瓶を洗い水気を拭き取ったら改めて消毒し、シロップの熱が完全に冷めた後、清潔な瓶にもう一度、果実とともに入れて漬けてください。

またカビた場合は、カビた果実は処分します。あとは発酵した場合と同じように、シロップを煮詰め、消毒した瓶にカビのない果実とともに入れて、改めて漬けてください。

<果実シロップづくりの心得:準備と保存>

・果実は好みのものでよし。それぞれの特徴により、下準備を変える
・果実は生でも冷凍でも問題なし。冷凍ものを使うとシロップが早く仕上がる
・砂糖の種類は好みで。果実と砂糖は1対1の割合が基本。減らす場合はカビに注意
・飲み始めは仕込みの1週間後ほどから。3か月ほど待つと果実感が増す
・長く漬けるほど、シロップのまろやかみが増す
・保存の際は直射日光の当たらない冷暗所や、冷蔵庫で
・発酵してしまったら果実を取り出し、シロップを煮詰めて再度果実と共に瓶へ戻す
・カビてしまったら果実を取り出してカビた果実は捨て、シロップを煮詰めて再度果実と共に瓶へ戻す

果実シロップの作り方

準備と保存について心得た後は、いよいよシロップ作りです。とは言っても、準備と保存のところさえしっかり押さえていれば、シロップ作り自体はとても簡単。材料と道具を揃え、いざ始めます。

準備物:

・保存瓶(密閉性のあるもの)
・ふきん
・アルコールスプレー
・竹串(すもも用)
・果実(今回はすもも、柿、ブルーベリー)

透明なガラス瓶の中で果実と砂糖が溶けていく様子を眺めるのも、果実シロップの楽しみの一つです。瓶は好みのデザインのものを選んで問題ありませんが、口径が広めだと果実が入れやすいのでおすすめです。必ず密閉できるものを選びましょう。

今回は中川政七商店「吹きガラスの保存瓶」を使用しました

また瓶は使用前に消毒が必要。アルコール消毒の場合はアルコールスプレーを、煮沸消毒の場合は瓶が入る大きな鍋と、瓶を扱うトングを用意します。瓶を拭くための、清潔なふきんも準備いただくと便利です。

※今回はアルコール消毒で行いました

1. 瓶を消毒する

アルコール消毒の場合は、瓶の内側にアルコールを吹きかけ清潔なふきんで軽く拭き取ります。煮沸消毒の場合はたっぷりのお湯を沸騰させた鍋に瓶を入れ、瓶の内側にしっかりお湯が回るよう、トングなどで瓶をやさしく回転させましょう。5分ほど煮て完了したら、瓶に残った水分を拭き取ります。

堀内さん:
「瓶は自然乾燥でも大丈夫ですが、水分が残っていると果実がカビるので、しっかり水分をとって使用してくださいね」

2. 果実と砂糖を計量する

作りたいシロップの量や、瓶の容量に合わせて果実と砂糖を計量します。今回は約1Lが入る瓶に対し、果実と砂糖を350g程度ずつ(計600g程度)用意しました。

3. 果実の下準備

果実をサッと洗い、水分を丁寧に拭き取ります。水分がついているとカビの原因になるので注意しましょう。

梅やブルーベリーの場合は皮を剥かずにそのまま使いますが、すもものように、皮に厚みのある果実には穴をあけてください。竹串を手に持って皮に刺し、ぷすぷすと全面をランダムに突いていきましょう。もし冷凍のものを使いたい場合は、半解凍して穴をあけるか、穴をあけてから冷凍しておきます。

パイナップルや柑橘類、柿などの果肉がしっかりしている果実は表皮を剥き、瓶へ入れやすいようにカットします。なお今回、柿はカットして冷凍したものを使いました。

梅やすもものようにヘタがついている果実は、ヘタ部分を竹串などで取っておきましょう。

堀内さん:
「果実を皮ごと使う場合は、できるだけ農薬や防カビ剤不使用のものを選んでくださいね」

すももは皮に竹串を刺し、穴をあけます

4. 清潔な瓶に、砂糖と果実を適量ずつ交互に入れる

下準備が完了したら、果実と砂糖が交互になるよう、瓶に詰めていきます。

まずは底にうっすらと砂糖が敷かれるよう、砂糖から先に入れましょう。このとき、あと2層ほど砂糖を重ねられるよう、量を残しておきます。

次に果実を入れ、砂糖、果実と重ねていき、最後に砂糖を載せて蓋をしたら完成です。

なお、冷凍果実を使用する場合は、解凍せずに冷凍状態のまま入れるのがおすすめ。解凍される際に果実から蜜が溶け出し、砂糖が溶けやすくなるため、シロップ作りが早まります。

5. 冷暗所に置き、一日に一度ほど瓶を回して果実に砂糖をなじませる

保管の際にじわじわと氷砂糖が溶け始めたら、果実に液糖がコーティングされるように瓶を回します。目安は一日に一度程度です。

堀内さん:
「見た目もかわいい果実シロップ。毎日世話をしながら、シロップの様子を眺めて楽しんでいただけたらと思います」

<果実シロップづくりの心得:作り方>

・瓶は消毒し、水分を拭き取っておく
・果実は特徴に応じて下準備を変える。果肉がやわらかいものは切らずに使う。皮が硬い場合は竹串などで穴をあける
・皮ごと使う場合は薬剤不使用のものを
・砂糖と果実は、交互に瓶に詰める。底に砂糖を敷き、上面も砂糖で蓋をする
・保存の際は一日に一度、瓶を回して液糖を果実にゆきわたらせる


「自宅でシロップを漬ける」と聞くと、何だかとても丁寧な家しごとのように思えますが、ポイントさえ押さえていれば、実はとても簡単。漬けている最中からその涼やかな景色が心地よく、好みの味を自分で調整できるのも、家で作るからこそです。

基本のシロップが作れるようになったら、ハーブを入れてみたり、スパイスを入れてみたり、少し珍しい果実でも挑戦してみたりと、いろいろ楽しめそう。旬を迎えるよろこびが、また、一つ増えました。

堀内果実園さん、ありがとうございました。


<関連商品>
中川政七商店では堀内果実園さんの商品を多数取り扱っております。ぜひご自宅用や、ご贈答用にご利用ください。また、堀内果実園さんのオンラインショップでは、果実の加工品の他、季節の果実やシロップキットなども販売されています。

堀内果実園 フリーズドライミックス
堀内果実園 シロップ
堀内果実園 柿の葉茶



文:谷尻純子
写真:関口高史

【はたらくをはなそう】茶論 店長 西優太廊

西 優太廊
茶論 奈良町店

2015年 遊中川 奈良町本店 配属
2017年 遊中川 奈良近鉄店 店長
2018年 茶論 奈良町店 店長



高校生の頃、通っていた商業施設に「遊中川」がありました。当時は店名を知らなかったのですが、店舗の入口にかかっていた麻の暖簾がとても印象的で、お店の前を通るたびにその暖簾を眺めていた記憶があります。

入社のきっかけは大学在学中に日本のものづくりに興味を持ち、中川政七商店を知ったこと。

あとから、高校時代に見かけていたあの麻の暖簾のお店も「中川政七商店」のお店だったと知り、この会社で働いてみたいと思い、店舗スタッフとして入社しました。

日本の工芸をベースにした生活雑貨の企画・製造小売とともに、茶道具関連の事業も展開する中川政七商店。私自身も入社して間もなく、社内で行われた茶道研修に参加したことがきっかけで、「茶道」を学び始めました。

現在は中川政七商店の茶道ブランドである「茶論」奈良町店の店長として、喫茶・稽古・見世を運営しながら、季節の茶会やイベントの企画、企業への茶道研修、出張稽古などを行っています。

仕事をする上で大切にしていることは「向き合うこと」です。

忙しくなり、つい、いろんなものを蔑ろにしてしまうとき、あえて一つ一つと向き合っていこうと意識します。

目の前の相手のために様々な準備を重ね、一つ一つの所作を丁寧にして一服のお茶を点てるように、仕事も一つ一つの積み重ねを大切にしていきたいと思います。

この仕事をしていて本当によかったと心から思う瞬間は、茶論を通じて「お客様に茶道の魅力が伝わった」と感じたとき。

最近は一緒に働くスタッフが同じようにお茶の魅力を語り、活躍する姿を見ると嬉しい気持ちになります。

これからもお茶での一服の価値を、多くの人に届けていきたいと思います。



<愛用している商品>

「油汚れも落ちやすい」ごはん粒のつきにくい弁当箱 大

サイズ感がちょうどよく、食べ終わった後もごはん粒がつきにくいので洗いやすい。見た目や質感も手作業ならではの風合いが感じられて嬉しい。そんな愛用品です。

筆ペン

日頃お世話になっている方へ宛てた手紙、年賀状、冠婚葬祭、少しあらたまって文字を書く際にはいつも使っています。

ビールのための純銅カップ

使えば使うほど銅の味わいも愉しめるカップ。サイズ感もお気に入りです。

【はたらくをはなそう】物流課 梅本洋平

梅本洋平
物流課


2014年 直営店の販売スタッフとして入社
2015年 通販課配属
2017年 物流課兼任



入社したきっかけは、初めて訪れた表参道ヒルズにあったお店で、手しごとを感じる商品の佇まいや、お店のスタッフがとても丁寧に商品を扱っている様子を見て、他の雑貨店とは違う空気感に感動したことです。

その前から中川政七商店の本を読んでいて、会社のことに関心はあったのですが、このお店での体験を通して自分も働いてみたいと思いました。

現在は通販のお客様からの受注と出荷を行うチーム、直営店の物流に関わる支援を行うチーム、障がいをもつスタッフのマネジメント、物流の業務改善を担当しています。

仕事をする上で大切にしている姿勢は”協働”です。

私が考える協働は、

・それぞれの強みを活かし、弱みを補い合える
・一人で問題解決するよりも、高いレベルでの問題解決ができる

の2つ。

そのために、実践しているのは、『話しにくい環境をなくすこと』です。

私には”話しやすい環境を作る”は仰々しく、
少し構えてしまうので、”なくすこと”を意識しています。

多様性のあるメンバーの力を最大限発揮できるよう、一人ひとりの意見を積極的に聞くように心がけていると、自分の発想には無いアイディアが生まれることも。
前向きなディスカッションは、仕事をする上でもっとも楽しい時間です。

協働は社内だけにとどまらず、取引会社の方、障がい者就労支援機関の方など、皆さんとの協働なくしては成り立たないものです。

まだまだ、力不足な部分もありますが、より良い環境作り、良い仕事が出来るよう、今後も取り組んでいきたいです。

店舗のように相手の顔が見えるわけではないですが、
スタッフの心配りや、どこか手の温もりが感じていただけるような物流、購買体験をお届けできるように努めます。


<愛用している商品>

ソフトパックティッシュのカバー

ソフトパック専用のティッシュケースで気に入るデザインのものを見つけることが出来ず、箱ティッシュを使い続けていましたが、これに出合ってからはシンプルなデザインと質感が気に入り愛用しています。

乾きやすいハンガー

厚手のパーカーなどを干す時に重宝しています。使わない時は、折りたためるため嵩張らず保管のストレスもありません。


「彩り豊かな」花ふきん 3枚セット(箱入り)

友人への贈り物やちょっとしたお返しの際によく利用しています。
贈る人に合わせて柄入りのふきん、季節のふきんを選ぶのも◎

【あの人の贈りかた】台所道具に、料理へのエールを込めて(スタッフ谷尻)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は編集チームの谷尻がお届けします。

料理がグンと楽しくなる「食洗機で洗えるひのきのまな板」

食べるのが大好きな私ですが、作るのはそこまで得意なわけでもなく、気分がのらない日もたくさん(いや、毎日‥‥?)。とはいえ疲れて料理をしたくない日も生活は続くので、少しでも作る気持ちを楽しくしたいと思い、一人暮らしを始めてから10年以上、台所周りの道具や、料理を格上げしてくれそうな調味料の収集を、もはや趣味のように続けています。

料理をするなかで、自分の食卓事情をグッと豊かにしてくれたのは、木のまな板と土鍋の存在。すいすいストレスなく食材が切れて、ふわふわもっちりのごはんが炊ければ、それだけで料理はこんなに心嬉しく、食事も美味しくなるのかと、それぞれ気付いた日には本当に感動しました。

台所道具って意外と、料理を始めた頃に何となく買ったもののまま、ということが多かったりしませんか?「とりあえず使えるから」と思って使用を続けてきたけれど、よい道具を迎えるとやっぱりウキウキするし、料理がラクになる。「家しごとのストレスが減り、少しでも楽しい時間になれば」。そう考えて、台所道具を人にあげることがままあります。

とはいえ土鍋は嵩張りますし、何よりデザインも大切な“好き”の一つなので、人に贈るには少し勇気が必要。一方、まな板はそれほどハードルが高くないのでは‥‥と思ってから、時々、友人を中心に暮らしに合いそうなものを贈っています。

木のまな板のよいところは包丁をしっかりと受け止めてくれるところ。プラスチックのまな板と違い刃が滑らないので、みじん切りや千切りもストレスなく捗ります。

けれど、少し気になるのはその重さ。まな板に厚みがあれば安定して切れるのですが、その分重さも出てしまい、片手でひょいっと持ち上げられず、作業がスムーズにいかないこともあるので要注意です。サイズとともに重さは大切な確認ポイントだと思います。

私のお気に入りは当社の「食洗器で洗えるひのきのまな板」。会社のキッチンスペースに置いてあったものを使った際に、その良さに気付き、これは!と嬉しくなりました。

一般的な木のまな板に比べると薄いのですが、包丁をおろしたときに刃がストンととまる感覚があり、何より軽い!おまけに食洗機に対応とは、推しポイントしかありません‥‥。

夫が一人暮らし時代にマルシェで迎えたという我が家の木のまな板は、もう10年選手。そろそろ買い替え時なので、こちらを自分にも贈りたいなと企んでいます。

<贈りもの>

中川政七商店「食洗機で洗えるひのきのまな板 小」
※大サイズもあります

ちょっと添えるのに便利で重宝「植物由来のにごり湯の素」

「仰々しくない程度に、気のきいたものを渡したい」
「プレゼントの予算まであと少しだけ余裕がある」

そんなときによくお世話になっているのが、「植物由来のにごり湯の素」です。ユズ・スダチ・ショウガと3つの香りがあり、それぞれ、その植物と米ぬかのみで作られた、香料・着色料不使用の浴用パックです。

家に残る物だと趣味があるし、食べ物も好き嫌いがあるし‥‥と悩むなか、入浴剤なら貰っても困らないし、いつもの暮らしにちょっとだけ幸せな時間が生まれる。何より、植物の香りでリラックスしてほしいという想いも込められるので、とても重宝しています。

自分自身もそうなのですが、忙しいとついついお風呂に入る時間を疎かにしてしまう方は多いもの。でもやっぱり、熱いお湯に浸かって一日の疲れをとってほしいなと思うわけです。

こちらの品は米ぬかのとろみが肌にやわらかくあたり、香りもくどくなく、さっぱり爽やかなので、しっかり長風呂を楽しんでいただけると思います。

いきいきと植物が描かれたパッケージもとっても可憐で、「あの人にプレゼントしよう」と手に取るとき、ついつい「自分の分も‥‥」と買ってしまう大好きな商品です。

<贈りもの>

中川政七商店「植物由来のにごり湯の素」

【番外編】季節の景色を贈る「季節の花束」

中川政七商店の品以外からも、一つ。

私はお花が大好きで、まちのお店に通うことはもちろん、サブスクリプションのサービスを利用したり、旅先のお花屋さんをめぐったりしながら、普段の暮らしのなかによく迎えています。

気軽に旬や色を取り入れて自宅の印象を変えられるところや、暮らしのなかに自然のものがある景色が好きなのだと思います。

なくても困らないけれど、あるのとないのとでは、明らかに心持ちが違う。もらったら、気分が明るくなる。自分では意外と買わない。ちょっと派手な色も、冒険して贈れる。相手の負担にならないような、予算の調整も意外としやすい。

「花を贈る」と聞くと、たいそうなことに感じる人も多いようですが、私はこんな風に考えながら、気軽に贈っています。

近くのお花屋さんでお願いすることもあれば、全国に“推し”のお店もあり、贈りたい相手のイメージに合わせて毎回お店は変えています。

ご紹介している写真は、東京に暮らしていた時代に足しげく通っていたmalta(マルタ)さんの花束。庭から摘んできたようなグリーンの使い方と、一癖ある花の合わせ方が絶妙に好みで、はじまりの機会をお祝いしたいとき、力強い草花の姿を応援に変えて届けたいと、よくお願いしています。

その人のイメージや贈りたい気持ちを言葉にしながら、花束をオーダーする時間も、またとても楽しいものです。

<贈りもの>

malta「季節の花束」
https://maison-malta.com/


贈りかたを紹介した人

中川政七商店 編集担当 谷尻純子

【暮らすように、本を読む】#01『料理と毎日』

自分を前に進めたいとき。ちょっと一息つきたいとき。冒険の世界へ出たいとき。新しいアイデアを閃きたいとき。暮らしのなかで出合うさまざまな気持ちを助ける存在として、本があります。

ふと手にした本が、自分の大きなきっかけになることもあれば、毎日のお守りになることもある。

長野県上田市に拠点を置き、オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する、「VALUE BOOKS(バリューブックス)」の飯田光平さんに、心地好い暮らしのお供になるような、本との出合いをお届けしてもらいます。

忘れたくない日々を、食卓に書き連ねて。『料理と毎日』

日々、目の前を流れていく景色を、大切に受け止める。

それは、今が盛りの食材を活かした料理を食すのと同じくらい、「旬を味わう」ことなのだと、本書を読んで思い至りました。

『料理と毎日』は、料理家である今井真実さんによる、1年間のキッチンメモをまとめたもの。単なるレシピ集ではなく、その題のとおり、毎日の出来事や家族とのやりとりが、献立に添えられています。

体操教室の体験に行くも、不安になって抱きつく息子。でも、最後には楽しんで笑顔で帰路につく。そんな日の、「トマトのねぎ味噌あえ、パルメザンチーズ」。

節分の日。鬼に扮した夫に容赦なく豆が飛び、最終的には家から締め出されてチェーンまでかけられてしまう。そんな日の、「トマトハンバーグ」。

日記も、レシピも、自然体の短い言葉でまとめられていて、その肩の力が抜けた構成の読み心地がなんとも気持ちよくて。「自由なおでん」と書かれた日の翌日の献立が「おでん2日目」となっているところにも、思わず頬が緩みます。

幼稚園の送り迎えをすること、夫と映画を見に行くこと、ひとりお風呂で読書をすること。その1日の中では確かなイベントも、時が経つにつれ彩りは薄れ、忘れたことさえ忘れてしまいがちです。昨日食べたものさえ、頭をひねらないと思い出せないように。

今しか出合えないものを、日記で、食卓で、丁寧にすくいあげていく。旬を味わうために必要なのは、技術ではなく、「気がつくこと」なのかも知れません。

さて、肩の力の抜けた本、と書いたものの、巻末には素材別・料理別の索引がしっかりと添えられています。押さえるべきところは、押さえる。プロのこだわりが垣間見れる心づかいによって、ますます本書が好きになってしまいました。

ご紹介した本

・今井真実『料理と毎日』

本が気になった方はぜひ、VALUE BOOKSさんで:
VALUE BOOKSサイト『料理と毎日』

※先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、中川政七商店の「レモン番茶」が書籍と一緒にお手元に届きます。詳細は、VALUE BOOKSさんのページをご覧ください。


VALUE BOOKS

長野県上田市に拠点を構え、本の買取・販売を手がける書店。古紙になるはずだった本を活かした「本だったノート」の制作や、本の買取を通じて寄付を行える「チャリボン」など、本屋を軸としながらさまざまな活動を行っている。
https://www.valuebooks.jp/


<同じ連載の記事はこちら>
・【暮らすように、本を読む】#02『おべんとうの時間がきらいだった』

<台所、料理に関する特集ページはこちら>
佇まいと勝手のいい台所道具
中川政七商店の調味料
毎日使いたい定番のうつわ
旬の手しごと

【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 芦田陽香

芦田陽香
中川政七商店コレド室町店 店長


2015年 中川政七商店みなとみらい店 入社前アルバイト
2016年 入社 
     遊中川 ルクア店 配属 
2017年 遊中川 ルクア店 店長
2017年 中川政七商店 ジェイアール名古屋タカシマヤ店 店長
2019年 中川政七商店 大名古屋ビルヂング店 店長
2021年 日本市 エキュート東京店 エキスパート
2021年 中川政七商店 コレド室町店 店長



中川政七商店を知ったきっかけは、就活を控えた2014年に放映されたカンブリア宮殿でした。

仕事について考えるときに、「将来何がしたいか」「どうなりたいか」という軸ではなかなか考えられなかった私ですが、おじいちゃんやおばあちゃんの家が好きで、田舎で育ったのもあり、古いものやものづくり、伝統的な文化や風習に対しては、「なんか好き」という気持ちや「こういうのがなくなってしまったら悲しい‥‥」という思いを持っていました。

番組を見て、中川政七商店が「日本の工芸を元気にする!」というビジョンに向かい事業を進めていることを知り、「そんな気持ちと仕事が結びつくなんて!」「会社のビジョンが意思を持っているなんて!」と驚き、この会社で同じ価値観を持って同じ方向を向いている人たちと一緒に働きたいと思い、ご縁あって300周年という節目の年に入社しました。

現在は都内の店舗で店長として、とても頼もしいメンバーと一緒にお店に立っています。

日々のお仕事のなかで、大事にしていることは「正しくあること」と「気持ちよくいる(ある)こと」です。

前者は、当社ではたらくうえでの心構え10か条が書かれた「こころば」にも含まれる言葉で、会長や社長からのメッセージでもあります。

自分に対して、お客さんに対して、同僚に対して‥‥人として正しくあるか。

直感的に思う「正しい」を大切にできているか。

いろいろな理由をつけてそれを後回しにしたり、曲げてしまうこともありますが、ふっとこの言葉を思い返しては「あかんあかん!」と自分に喝を入れて背筋を伸ばすようにしています。

後者は接客のなかで大事にしている言葉です。お店は、いろいろな人の手を経てできあがった商品を最終的にお客様にお届けする場所であり、会社や商品、作り手さんとお客様との接点でもあります。

そんなお店で、お客様を気持ちのよい笑顔でお出迎えし、気持ちのよい空間で気持ちのよい時間を過ごしていただけるよう、そして自分たち自身も気持ちよく働けるように整えることを意識しています。

なかでも嬉しいのは、やっぱりお客様からのお言葉です。「これ使ってるの!」と教えてくださったり、「いい商品に出合えた」「気持ちのよい買い物ができた」などと言ってくださったりすると、心のなかでは小躍りするくらい喜んでしまいますし、こちらこそ商品を手にとっていただいてありがたく、作り手さんからお客様への橋渡しができたことが嬉しい限りです。

中川政七商店には暮らしのなかで使う商品が並んでいます。各商品の”推しポイント”をしっかりとお伝えし、愛着を持って使っていただけたら嬉しいです。

お客様それぞれにご来店の目的も気持ちのよいお買い物の仕方も違うと思いますが、私たちのお店や接客を通じてよい出合いを見つけていただけるよう、力を尽くしていきたいです。


<愛用している商品>

夏の麻スリッパ

先輩に、「芝生の上を裸足で歩いてるみたいだよ!」とおすすめされて試すと、まさにその通りの爽快感に感動し、数年愛用中。べたつかず、裸足で履いて気持ちがよい、汗っかきな私の夏のマストアイテムです。

植物由来の保湿化粧水 

シンプルに丁寧に保湿をしてくれる化粧水で、季節を問わず肌のうるおいを保ってくれている感じがします。柚子の香りも心地よいので、癒されながらこれまでよりもゆっくりと肌をケアするようになりました。

常滑焼きの塩壷常滑焼きの砂糖壷

塩壷と砂糖壷をセットで使っています。陶器の調湿機能を利用して塩や砂糖を固まりにくくしているのが面白く、またふたつ並んでいる姿が可愛らしいのもあって愛用中。使い勝手もよく、これからも使い続けたい商品です。

2&9シリーズ

「しめつけないくつした」、「さらっとするくつした」など、各靴下の特徴をストレートに表現したネーミングに加えて、何より奈良でつくられたこの2&9(ニトキュウと呼びます!)は、機能性もデザインもとてもいいんです。季節ごとにシリーズを変えながらほぼ毎日履いていて、足元からその日の私を支えてくれる心強い相棒たちです。