【旬のひと皿】根菜と鶏つくねの生姜のスープ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



ひんやり冷えた空気のなか、台所に立つ湯気にホッとする季節になりましたね。12月に入り、2023年ももうすぐ終わり。「早かったね〜」とお客さんとお話ししながら、今年も無事に過ごせてきたことをありがたく思います。

一年頑張ってきた身体に「おつかれさま」の気持ちを込めて、今回は根菜から出る、やさしく奥深い味を楽しめる、鍋のようなスープを作ります。

野菜に火を入れるときは焦らずじっくりと、蓋をしながら蒸らすように。甘さを引き出してから出汁を入れて、出汁に野菜の旨味を重ねていきます。

お出汁は今回、お店で使っている数種類の節を入れた、通常より濃いめのものを使用しましたが、ご家庭では普段お使いの出汁でどうぞ。出汁の味は使う材料や好みの濃さなどによってそれぞれ違うので、ご家庭ごとの味ができあがると思いますが、出汁と野菜の旨み、それにつくねから出る鶏出汁の三重奏が、皆さまの身体の芯や心まで届くといいなと思っています。

師走は様々なイベントも多い時期ですが、どうかお身体にはお気をつけて。無事に年越しをするまでは気を抜けません‥‥。蕎麦屋だけに!(笑)

今年も良い締めくくりができますように、来年も皆さまにとって良い年になりますようにと、奈良から願っています。

少し早いご挨拶になりますが、旬のひと皿、2024年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

<冬野菜と鶏つくねのスープ>

材料(2人分)

・大根…1/4本
・にんじん…1/2本
・ごぼう…1/2本
・青ねぎ…2〜3本
・生姜…1かけ
・出汁…3~5カップ 
・塩…小さじ1弱〜お好みで調整

◆鶏つくね
・鶏ミンチ肉…150g
・白ねぎ…1/4本
・生姜…5g
・卵…1/2個
・塩…1.5g(お肉に対して1%)
・片栗粉…小さじ1強

つくねの材料は2人分の分量で書いていますが、卵 1/2個と中途半端なので、すべて倍量で作り、余った分は次の日のおかずやお弁当にしても。

また出汁の量は、スープとして食べたい場合は3~4カップ程度を目安に。まずはスープとして食べ、その後にご飯を入れ雑炊まで楽しみたい場合は4~5カップ程度とするのがおすすめです。適宜味見をしながら塩味を調えてください。

作り方

まずは材料の下準備。

ごぼうは皮をそぎ、食べやすい大きさで千切りにする。ボウルに入れた水に10分ほど浸し、アクを抜く。大根と人参は皮を剥き、同じく食べやすい大きさに千切りする。青ねぎも食べやすい長さになるよう、ざっくりと斜めに切る。

次に鶏つくねを作る。

白ねぎをみじん切りにし、生姜は皮をむいてすりおろす。ボウルに鶏ミンチ肉を入れて少し練り、粘り気が出たら白ねぎと生姜、溶いた卵、塩、片栗粉を加えてさらに混ぜる。

別の鍋にたっぷりの水を入れてコンロで熱し、沸騰したらつくねをスプーンですくい、湯に落としてサッと湯がく。表面が白っぽくなったら湯からあげておく。

続いてスープを作る。

鍋を熱し、サラダ油(分量外)少々を入れる。ごぼうの水分をしっかり切って鍋にこんもりと入れ、塩少々(分量外)を入れたら蓋をして、弱火でじっくりと汗をかかせるように火を入れる。時々かき混ぜながら炒め蒸しする。

すべての材料をスープで煮込む。

ごぼうを1本食べてみて、アク臭くなく美味しい!と感じたら、鍋ににんじんを加えて全体を混ぜ、塩(分量外)をする。蓋をしてじっと待ち、人参がしんなりしてきたら大根も入れて同様に。野菜をサウナに入れている気分で。ここでちゃんと野菜の甘味を引き出せると、スープの味もグッとよくなる。すべての野菜に軽く火が入ったら、出汁と塩を加えて煮る。

先ほどのつくねをスープのなかに落とし、じんわりと火を入れる。つくねはしっとり、スープには鶏の出汁を染み渡らせるような気持ちで。つくねに火が通ったら、最後にねぎと生姜を入れて完成。

アレンジ編:<シンプル雑炊>

余ったスープは冷蔵庫に入れて取って置き、翌朝にごはん適量と溶いた卵を入れて軽く火を通し、雑炊に。シンプルですが、冬野菜の旨みがじんわりと感じられるご馳走が完成します。
(食べる前に、翌朝用にスープだけ取り分けておくと衛生的です)

うつわ紹介

・基本のひと皿:食洗機で洗える漆のスープボウル 大 白

・調理に使った土鍋:伊賀焼の土鍋 小 飴

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和末生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。

【あの人が買ったメイドインニッポン】#13 エッセイスト・平松洋子さんが“最近買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、エッセイストの平松洋子さんです。トークテーマは、「最近買ったメイドインニッポン」。

それでは早速、聴いてみましょう。

プラットフォーム

ラヂオは7つのプラットフォームで配信しています。
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平松洋子さんが“最近買った”メイドインニッポン

平松洋子さんが“最近買った”メイドインニッポンは、「干物の干し網3段」でした。


ゲストプロフィール

平松洋子

東京女子大学文理学部社会学科卒業。2006年『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞、2012年『野蛮な読書』で講談社エッセイ賞、2022年「『父のビスコ』で読売文学賞を受賞。『食べる私』『日本のすごい味 おいしさは進化する』『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』など著書多数。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、平松洋子さんに出演いただきます。12/15(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【ハレの日の食卓】綴織の織元・清原織物さんの「車エビのトマトクリームパスタ」

季節の行事や家族の誕生日、人生の節目になるようなタイミング。
ハレの日は、食卓もいつもより少し特別です。

この記事はそんなハレの日の過ごし方が気になって企画した、この時期だけの短期連載。
暮らしを楽しむ作り手さんに、どんな料理でハレの日の食卓を囲んでいるのか教えていただきました。

今回は、滋賀県唯一の綴織(つづれおり)の織元・清原織物さんの「ハレの日の食卓」を訪ねます。

今回の取材先:

清原織物 代表 清原聖司さん
滋賀県唯一の綴織の織元。結納のふくさや着物の帯、劇場のどんちょうなど、ハレの日に使われる美術織物を古くから製造する。近年は「祝いの品々」をコンセプトにしたブランド「sufuto(すふと)」を立ち上げ、中川政七商店でも名刺入れやふくさを販売中。
https://kiyoharaorimono.jp/



清原さん:

室町時代の終わりから江戸時代の始まり頃にご先祖様が京都で創業し、100年ほど前に京都から滋賀へ事業所を移して以降、現在は滋賀で唯一の綴織の織元として商いをしています。

綴織は4000年ほど歴史があると言われている織物で、起源を遡ると古代エジプトまで遡るほど。それが飛鳥・奈良時代にシルクロードにのって中国から日本に入り、京都の御室(おむろ)という地域に根付きました。うちももともとは、そこで始まっています。

織物の特徴としては経(たて)糸が見えないこと。織物は経糸と緯(よこ)糸を交差させて織りあげていきますが、緯糸を強く打ち込んで織ることで経糸が見えなくなるんです。密度高く織るので生地が丈夫になりコシも出て、耐久性がある。おまけに使える色の数に制限がなく豊かな表現力を持つため、美術織物に向いているといわれます。例えば御神輿の装飾幕や舞台の緞帳(どんちょう)、着物の帯、結納の袱紗(ふくさ)など、主にハレの場に利用されている織物です。

その他に、今はこの技術をもっと多くの方に気軽に触れてほしい想いから、「祝いの品々」をコンセプトに「sufuto」というブランドを立ち上げました。10年程前に家業に入って目の当たりにしたのは、綴織の需要減少。このままだといけないと危機感を持ち、100年先にも綴織を残していくため、新たな事業を検討したいと考えたことがきっかけです。

sufutoでは今、名刺入れや袱紗、のし袋・ぽち袋などを扱っています。多くの方にハレの日の雑貨として手にしていただけるようなものを作りたいと考えて、綴織の技術で作る布製品だけでなく、祝いをテーマに商品展開の範囲を広げたんです。普段の暮らしで美術織物を目にする機会は多くない方も、sufutoを通じてハレの日に想いを馳せたり、その先にある当社や綴織に興味を持ってくださると嬉しいですね。

清原織物さんの、ハレの日の食卓

清原さん:

うちの“ハレの日”といえば、お正月や卒入学式。今はもう子どもが大きいんですけど、昔は卒入学式などのタイミングで実家に集まり、赤飯やちらし寿司を食べていました。

年末年始は大みそかの昼間から、工場や自宅の分の鏡餅や食べるお餅を子どもたちと作ってましたね。子どもたちが大きくなってもお正月には集まっているので、実家でおせち料理を食べたり、自宅で料理を作って囲んでいます。

今回ご紹介するのは、数年前からお正月の定番となったメニュー。沖縄にあるお取引先さんから毎年お歳暮でいただく車エビを使った、トマトクリームパスタです。糸を生業にしているので、パスタが糸っぽくて清原織物らしいかなと思い、紹介するメニューに選びました(笑)。

沖縄は車エビの養殖が盛んらしく、年末になると生きたエビをたくさん送ってくださいます。頂いたエビはおせち料理に使うんですが、それだけだと余ってしまって。せっかく頂いた美味しい食材なので別の料理にもアレンジしたいと思い、ちょっと豪華なパスタにして家族で楽しんでいます。

作るのはだいたい元日の夜や、2日のお昼くらいのタイミング。家族に向けて僕が作っていて、おせち料理に飽きてきているのか(笑)、みんな喜んで食べてくれますね。エビの頭も一緒に煮込むので出汁たっぷりで、ハレの日ならではの贅沢なメニューです。

清原織物さんの「車エビのトマトクリームパスタ」

材料(2人分):

・パスタ…200g
・車エビ…10尾
・にんにく…2片
・玉ねぎ…大1/2個
・トマト缶(ホール)…1缶
・生クリーム…100ml
・コンソメ(顆粒)…小さじ4
・塩…適量
・胡椒…適量
・オリーブオイル…適量

作り方:

1. エビは頭と身に分け、身部分の殻をむく。背ワタをとり、食べやすい大きさに切る。

2. にんにく、玉ねぎをみじん切りにする。

3. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で熱する。
 香りがしてきたら玉ねぎを入れて中火でしんなりするまで炒める。

4. エビの身を加えて炒め、トマト缶をあけてトマトを潰す。
 エビの頭とコンソメも加え、5分ほど煮込む。

5. 塩胡椒をして生クリームを加え、1分ほど煮込んだらエビの頭を取り出す。

6. かために茹でたパスタを投入したら火をとめ、全体をあえたら完成。
 うつわに盛る際、お好みで胡椒をする(今回は彩りでスプラウトも添えました)。

使った商品はこちら:

小鹿田焼の平皿 飴刷毛目 浩二窯
パスタのためのフォーク
※その他は取材先私物

文:谷尻純子
写真:奥山晴日

年末特別連載【ハレの日の食卓】:暮らしを楽しむ、4組の作り手さんを訪れました

季節の行事や家族の誕生日、人生の節目になるようなタイミング。
ハレの日は、食卓もいつもより少し特別です。

この連載はそんなハレの日の過ごし方が気になって企画した、この時期だけの短期企画。
暮らしを楽しむ4組の作り手さんに、どんな料理でハレの日の食卓を囲んでいるのか教えていただきました。

全4回、どうぞお楽しみに。


第1回:綴織の織物・清原織物さんの「車エビのトマトクリームパスタ」

https://story.nakagawa-masashichi.jp/257082

第2回:山と川と家具とお菓子・中峰さんの「ガトーショコラ」

https://story.nakagawa-masashichi.jp/257073

第3回:美濃焼の窯元・蔵珍窯さんの「ちらし寿司」

https://story.nakagawa-masashichi.jp/257079

第4回:奈良の茶農家・嘉兵衛本舗さんの「番茶ぜんざい」

https://story.nakagawa-masashichi.jp/257076


皆さまのハレの日が、どうか良き日となりますように。

【ヱビスビール×中川政七商店】ヱビスビールに合う、自宅のおもてなし料理

あっという間に12月。忙しなく過ごしつつも、今年1年の頑張りを労いたい季節でもありますよね。お店での飲み会も楽しいものですが、友人を自宅に招いての家飲みも気兼ねなくゆっくり話せて個人的には好きです。

人と食卓を囲む機会が増える季節ということで、本日よりヱビスビールコラボキャンペーン第三弾を実施中です。これから来る一年の締めくくりと新しい年に向けて、おもてなしやハレの日の食卓のお供には、ヱビスビールがぴったりです。
そこで今日は、気軽に作れておいしい「ヱビスビールに合うおもてなし料理」のレシピをお届けします。

中川政七商店の本社のほど近く、奈良で料理教室を営む、料理家のあやかさんに教えてもらいました。

料理家のあやかさん

料理家として活動する前から、毎週末、友人や知人に手料理を振る舞ってきたというあやかさん。常に自宅に人が集まるあやかさんに、おもてなしのメニューを決めるポイントについて聞いてみました。

「どんな方が来るのかによって、料理を決めています。例えば、旦那さんの友達を招待するのであれば、ビールが進むようながっつり系の料理。食材はシンプルで味付けがこってりしたものが多いですね。
女性の友人を招く場合は、旬の野菜と果実を組み合わせたものを作ってみたり。招く方に合わせて、どういう味の方向性がいいか考えながらメニューを決めています」

相手のことを思いやって作るからこそ、ついついお邪魔したくなる食卓が生まれるのですね。今日は、そんなおもてなしのプロである、あやかさんのご自宅にお邪魔して「ヱビスビールに合うおもてなし料理」をテーマに3品のレシピを教えてもらいました。

①かぼちゃの味噌チーズデリ風サラダ
②大和まなと桜エビの中華炒め
③鶏てりたま

①かぼちゃの味噌チーズデリ風サラダ

まず一品目は、デリ風サラダです。
「味噌やチーズなどコク深いものを入れて、ヱビスビールがすすむような味付けにしてます」とあやかさん。

コク深い味わいでありながら、作り方は至ってシンプル。食材と調味料を混ぜ合わせるだけで作れちゃいます。

▪️材料(2人分)
・かぼちゃ     250g(正味)
・ドライ無花果   2個
・クリームチーズ  30g
Aヨーグルト    大さじ2
A味噌       大さじ1/2
A醤油       小さじ1
Aメープルシロップ 小さじ1/2
Aブラックペッパー 適量
・素焼きナッツ   適量
・ミント      適宜

▪下準備
・かぼちゃはひと口大に切る。
・ドライ無花果は粗めに刻む。

1.かぼちゃを耐熱ボウルに入れて、電子レンジ600Wで5分加熱する。マッシャーで軽く潰す。
2.1のボウルにドライ無花果、クリームチーズ、Aを加えて和える。
3.器に盛り、砕いたナッツを散らし、お好みでミントを添える。

2024年開業予定YEBISU BREWERY TOKYOでビール醸造を担当するChief Experience Brewerの有友亮太さんからも、「かぼちゃやイチジクの甘味、味噌とチーズによるうま味とコクがヱビスビールと合う」と太鼓判。

自宅でおもてなしをする際、サラダは出したいものの、ビールに合うものって中々難しいなと思っていたのですが、これなら自信をもって出せそうです。

②大和まなと桜エビの中華炒め

2品目は、炒め物です。
「少しピリ辛な味を入れてパンチを効かせることで、ビールに負けないアクセントを作っています」とあやかさん。

大和まなは奈良の伝統野菜。せっかくなので、地のものや旬のお野菜をとリクエストしましたが、身近で手に入らないという方は、小松菜で代用してみてください。

▪️材料(2人分)
・大和まな      1束(約250g)※小松菜でも可
・桜エビ       7g
A醤油        小さじ1
Aオイスターソース   小さじ1
・豆板醤       小さじ1/4
・ごま油       小さじ1

▪下準備
・大和まなは根元を切り落とし、4cm幅に切る。

1. フライパンにごま油、豆板醤を入れて弱火にかける。
2. 香りが立ったら中火にして、大和まなの茎の部分を入れて、さっと炒める。
3.桜エビ、大和まなの葉の部分、Aを入れて、さっと絡める。

「香ばしいごま油や桜エビの香りと大和まなのうま味に豆板醤のアクセントがヱビスビールに合いますね」と有友さん。
実際に食べてみると、ピリッとした味が効いていて、お箸が止まりません。

③鶏てりたま

ビールと言えば、お肉や揚げ物など、こってりした料理が合いますよね。そこで、最後は肉料理をリクエストしました。
「ヱビスビールに合うというテーマだったので、甘辛なたれを絡めてこってりした味つけで作っています」とあやかさん。料理中から美味しそうな香りが漂います。

▪材料(2人分)
・鶏肉          1枚(約250g)
・卵           2個
・青ねぎ         適量
・塩           小さじ1/4
・こしょう        適量
A醤油、酒、みりん、砂糖 各大さじ1
A豆板醤         小さじ1/4
・片栗粉         大さじ2
・米油          大さじ1

▪下準備
・鶏肉はひと口大に切り、塩、こしょうをふり、片栗粉をまぶす。
・卵を溶く。
・青ねぎは小口切りにしておく。

1. フライパンに米油を入れて中火にかけ、溶き卵を入れて、半熟のうちに一旦取り出す。
2. 同じフライパンに鶏肉を入れ、両面を焼く。
3. 2にAを加え、とろみがつくまで煮詰めながら絡める。1を戻し入れて、さっと全体を混ぜる。
4. 器に盛り、青ねぎを散らす。

有友さんからも、「甘辛な味付けによるコクがヱビスビールとマッチし、こしょうのアクセントが食欲をそそり、ビールが進みます」とお墨付きをもらいました。

自分で料理を作るとついつい味が似ちゃう、ということも多いのですが、それぞれ味の方向性が違いながら、どれを食べてもビールが進む。自宅でのおもてなしにぴったりの3品です。
気軽に作れるレシピばかりなので、ビールで乾杯したい日には、ぜひ作ってみてください。

現在、ヱビスビール×中川政七商店のコラボキャンペーンを実施中です。
日常にハレの気持ちを呼ぶ、ヱビスビールのある食卓。皆さんも取り入れてみてはいかがでしょうか。


<キャンペーンについて>

12/5~発売の「ヱビス缶350ml 24缶」に、ヱビスビール×中川政七商店コラボのふきんとコースターが付いています(なくなり次第終了となります)。

キャンペーンページはこちら

<あやかさんプロフィール>

料理家・フードコーディネーター

「ごはん愛好家」という肩書で、奈良を拠点に料理家として活動。
企業のレシピ開発を手がける他、自宅で開く料理教室は毎回すぐに予約が埋まる人気。


<掲載商品>

食洗機で洗える木皿
美濃焼の中鉢
有田焼の平皿


<関連記事>
【ヱビスビール×中川政七商店】ブランドマネージャーが語る、ヱビスビールの魅力
【ヱビスビール×中川政七商店】ビール醸造家が語る、ビールとグラスのペアリング

【家しごとのてならい】第4回:漆器を扱いこなす

毎日の家しごと。それなりに何とかできるようになり、だいたいは心得たつもりだけれど、意外と基本が疎かだったり、何となく自己流にしていたりするものってありませんか?

そのままで不都合はないものの、年齢を重ねてきたからこそ、改めて基本やコツを学んでみたい。頭の片隅にはうっすら、そんな思いがありました。

この連載では、大人になった今こそ気になる“家しごとのいろは”を、中川政七商店の編集スタッフがその道の職人さんたちに、習いに伺います。

とはいえ、難しいことはなかなか覚えられないし、続きません。肩ひじ張らず、構えずに、軽やかに暮らしを楽しむための、ちょっとした術を皆さんにお届けできたらと思います。

今回のテーマは「漆器を扱いこなす」。越前漆器の老舗・漆琳堂の8代目当主であり、越前漆器伝統工芸士の内田徹さんを講師に迎え、編集チームの谷尻が習いました。


今回の講師:漆琳堂 代表取締役社長 内田徹さん

1976年福井県生まれ。 大学卒業後に家業で今年で230年目を迎える漆琳堂に入社。 10年余り祖父・父から漆器製造の下地・塗りを習い、 産地最年少で越前漆器伝統工芸士に認定される。 2019年漆琳堂の代表となり、現在に至る。
https://shitsurindo.com/



そもそも、漆とは

漆とは、ウルシの木の樹液を原料とする天然塗料のこと。自生しているウルシを傷つけることで樹液が流れ、それを集め精製して作ります。

人間がケガをすると血が出て、治癒に向けてかさぶたが出来るのと同じで、ウルシの木も傷がつくと樹液を流し、傷を修復するために固まる性質を持ちます。これを利用してうつわの塗膜として塗ったり、金継ぎのように接着剤として使われたりするのです。

ウルシの木(撮影:廣田達也/読みもの「漆は甘い、のか」より)

国内の漆は95%ほどが中国産、5%ほどが日本産。原料価格の安いことが理由ではなく、その質や採れやすさなどの理由で、100年以上前から中国産漆は使われてきました。ちなみに、日本産の漆は岩手県や茨城県で採られます。

漆の産地が中国や岩手・茨城にありながら、日本における漆器の産地は石川県(輪島塗・山中塗)や福井県(越前漆器)など、別の場所にあります。これは、漆の精製技術がそれらの産地ですぐれていたこと、また漆は湿気で固まるため、曇天で湿度の高い日が多い東北や北陸の地域に産地が集中したからといわれます。

内田さん:
「実は漆器は陶磁器と違い、材料や見た目、作り方が産地ごとに大きく異なるわけではありません。それは木地屋さん(きじや:木を削り、塗る前のうつわを作る職業)が全国の山を渡り歩いて漆器を作っていたことや、陶磁器のなかった時代にどの地域でも木を削って漆器を食事に使っていたことが主な理由です。ただ、越前漆器の場合は日用品や業務用、山中漆器だとギフト用、輪島塗だと美術工芸がそれぞれ多いなど、発展の仕方に傾向はありますね」

漆器の良さは、熱の伝導率が低いので熱いものを入れてもうつわが熱くならないこと。熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいまま食べられます。また陶磁器に比べて軽くて割れにくいのも漆器ならでは。漆を塗ることで強度が増すため、丈夫で長持ちするのも嬉しいところです。

一般的には汁物用としてのお椀のイメージが強いものの、かつてはご飯をよそう際の飯椀としても多く使われており、ご自身も家では漆器にご飯をよそっている、と内田さん。

「漆には衛生的にも効果があると言われており、洗い残した部分があっても菌が増えにくいという研究結果もあるようです。昔からお正月には漆器の重箱が使われますが、それももしかしたら、料理が長持ちする実感があったのかもしれませんね」

参考:うるし振興研究会による検証結果

育ていけるのが、漆器の楽しさ

また徐々に固くなっていく性質も、漆の特徴の一つ。一般的な化学塗料の場合は塗った日が一番美しく、その日から劣化の始まるものが多いのですが、漆の場合は「100年かけて硬化する」といわれています。つまり、私たちが手にする漆器はまだ育つ過程のもの。次の世代へ渡ったときが、一番ベストな状態かもしれません。

内田さん:
「最近嬉しかったのは、お客さまから修理の依頼をいただいたうつわの育ち方。中川政七商店さんの『食洗機で洗える漆椀』の塗り直し依頼だったのですが、手元に届いたものを見て、表面にツヤが増しているサマがすごくいいなと思いました。恐らく、ふきんなどで水分を拭き取ったりしているうちに漆の粒子が磨かれ、ツヤが出てきたんだと思います。大切に使ってくださったんだなって、とっても嬉しい気持ちになりました。お客さまに『新品をお渡しするんで、これはうちに頂けませんか?』と申し出たくらいです。

もちろん塗り直しで新品同様の見た目にもできますが、うつわの表情が変わっていくのも育てる楽しみの一つです」

左が5年間使用されたお椀、右が新品

【漆器を扱いこなす】其の壱:選び方

漆の基本を押さえたら、次に選び方を伝授いただきます。せっかく迎えるからには、自分にとってのベストなものを選びたい!どんな視点で求めるとよいのでしょう。

サイズ

まずは意外と難しいサイズから。日本料理店ではお吸物のお椀として、4寸(直径約12cm)が基本とされています。両手の親指と人差し指でお椀にちょうど手が回るくらいが、4寸の目安。

一般家庭でも昔はこのサイズを使うことが多かったそうですが、ただし、それはごはんと汁物、香の物が献立の主だった頃のこと。今はそこにハンバーグや野菜炒めなどのおかずも付く場合が多いため、お椀を4寸にすると献立全体の量を多く感じるかもしれません。

ご自身の食べられる量にもよりますが、今は汁物専用の場合、直径約11~12cm(3.6寸以上、4寸以下)のものを使うことが多くなっています。

内田さん:
「4寸だと具だくさんの豚汁とか、ちょっとした丼に合うサイズですね。5寸(直径約15cm)くらいだとうどんのような麺類に合うサイズになってくる。とはいえ、小さいと汁物限定になるので、多用途に使いたい場合、まずは4寸より少し大きいくらいの直径13~14cmのものを買っておくと使い勝手がよいと思います」

どんな用途に使うことが多そうか。イメージしながら選んでみましょう。

一般的にお椀は、布袋さんのお腹を横に見た形といわれる「布袋型」と、羽を反らしたような「羽反(はぞり)型」の二つが主とされます。布袋形のお椀は中腹にふくらみが出るので、汁を飲み干すときに角度をつけて持つことになり、他方、羽反型はフチが反っているので角度をつけずとも飲みきりやすいと、形によって所作が異なります。

左が布袋型・右が羽反型(写真提供:漆琳堂)

内田さん:
「羽反型だと顎を上げすぎず飲めるため、所作が美しくなると思います。また別の視点として、羽反型の場合すぐに汁が口もとへ流れてきますが、布袋形だとほどよくすすれます。だから、猫舌の人は布袋形がおすすめ、のような言い方もできますね。そんな違いを意識しながら選んでいただくといいのではないでしょうか」

加えて、もう一つ気になるのは高台の高さ。高い方が格式高いと思われる方も多いのですが、高低に用途の別はなく、好みで選んで問題ありません。

内田さん:
「もともと日本では囲炉裏の枠にうつわを置いて食事をしたり、外での田んぼ仕事の途中に草むらに置いてごはんを食べたりしていたので、持ちやすいことが高台が高くなった由来だとされています。『ハレの日の席では高くなくてはいけない』のようなことは全くなく、デザインのお好みで選んでいただいて大丈夫です」

続いては、色。漆器と聞いて思い出す色といえば、黒と赤。最近は色漆のものもよく見ます。

内田さん曰く、歴史を紐解くと黒は庶民の色、赤は高貴な色とされていたのだそう。そのためかつては、赤色の漆器は目上の人や男性用という使い分けもあったといいます。

内田さん:
「もちろん今は色による差別はなくなっていますが、赤が高貴な色だったことから、ハレの日のうつわだと僕は赤色をおすすめしています。一方で、法事のときは赤色は使わないなど、シーンに合わせて色を変えることはあると思います」

内田さん:
「あと、色の使い分けでもう一つ言うと、黒いうつわに白米を入れるとめっちゃはえるんですよ。つまり、美味しそうに見える。『黒いうつわでごはんを食べると肥える』って、昔から言われているくらいです。

一方でお味噌汁を飲み終わった後の味噌かすは、黒いお椀よりも赤いお椀の方が目立ちにくいので、汁物用には赤いお椀が広まったと聞いています。なので、ごはんをよそうなら黒、汁物なら赤、のような考え方でもいいですね」

ちなみに、漆琳堂さんが手がける漆器には、青やピンクのような色漆の商品も。生漆(きうるし)は精製すると有色透明になり、そこに顔料を加えて色を作るそうです。さまざまな色をした現代的な印象の漆器は、これまで漆器に盛られてこなかった洋食や中華にも使い勝手抜群です。

漆琳堂さんが手がける人気の「RIN&CO.」シリーズ。色展開豊富な他、高台をなくして洋食にも対応できるような形状に

なお、ツヤの有無については特に気にせず好みで問題ありません。

内田さん:
「ただ、例えば値段の張るお料理屋さんなどは間接照明がメインで少し暗いことも多いので、うつわにツヤがないと貧相に見えるんですね。なので僕たちは、ツヤのあるものをおすすめしています。反対に今の一般家庭では明るい照明がついているため、ツヤを消したマットな色のものをご提案する場合が多いですね」

重さ

お椀はだいたい100g前後。特に選び方の決まりはないので、持ちやすい重さの物を選ぶようにします。なお同じシリーズでも木の育つ環境や、手塗りの場合は漆の厚さで微妙に質量が違うこともあり得ます。可能であれば、持ってみてしっくりくるものを迎えると良いでしょう。

価格

漆器と聞くと高価なものに思えますが、現代では100円ショップや雑貨店での販売も見かけるようになりました。一方で、百貨店などでは一つ3万円ほどするような高価なものも。中川政七商店でも3000円台から、2万円弱の価格帯まで幅広く扱っています。

漆器の価格には主に、素材と塗料の組み合わせが関係します。例えば安い品は、塗料を塗る前のうつわが木ではなく、ABS樹脂のような素材で作られるため価格を抑えられるのです。また樹脂のなかでも、ピュアなものを使うこともあれば、別の用途で使われた後にリサイクルされた樹脂が使われる場合も。

さらに木地に木は使っているものの、木そのものを削るのではなく粉にして固める技法も、漆器の価格を抑えられる作り方の一つです。

内田さん:
「1000円から5000円くらいの品だと、木の粉を固めて作ったうつわに漆を塗ったものが多いと思います。現代と伝統技術のハイブリッドみたいなやつですね。

逆もあって、木地は木を削ったものだけど塗装はウレタンという場合もあります。このあたりの識別は、商品の品質表示を見ていただくのが一番です。

伝統的な木を削って作る技法のものだと、1万円以下は少ないと思いますね。

木を削って作るお椀って、そのお椀の大きさになるまで木の成長を待つしか作る術がないんですよ。『一寸倍』って言葉があって、一寸大きくなれば木地の値段は倍するといわれているほどです。なので、伝統技法で作られた大きなお椀だと3万円くらいのものもあります」

なお、一概にどれが悪い・いいという話ではありません。漆琳堂さんでも、お客さんの状況や価格別にさまざまな作り方を提案したり、挑戦したりしているそう。

内田さん:
「例えば業務用漆器であれば注文数が多く、納期が短い場合が多いため、ベストなサイズの木を探してそれを削って‥‥ってしていると時間が足りないんですね。だから木を削るのではなく、木の粉を固める技術を使ってうつわを作ることもありますよ」

<漆器を扱いこなす心得:選び方>

・サイズ:汁物専用なら直径11~12cm、多用途の場合は13~14cm、麺類に使う場合は15cmがおすすめ
・形:布袋型と羽反型が主。望む所作や、飲みやすさで自分にあったものを検討する
・色:日常では気にせず好きな色を使って問題なし。ハレの日は赤色がおすすめ
・重さ:使いやすいものを好みで選ぶ
・価格:素材と塗料の組み合わせで変わる。品質表示を確認し、自分が望むものを迎える

【漆器を扱いこなす】其の弐:扱い方

選び方を心得たら、続いて扱い方を習います。何となく扱いにくいイメージの漆器ですが、どんなポイントに注意すれば長く使って行けるのでしょう。

使用頻度

意外にも、「漆器の状態を保つには、よく使うのが一番」と内田さん。

使わないまま長期で保存するよりも、毎日使った方が健やかな状態に保てるのだといいます。高頻度で使った場合、傷みが早くなると気にされるかもしれませんが、修復サービスを使えばきれいになるので気にせずたくさん使ってあげましょう。

洗い方

中性洗剤を使い、スポンジの柔らかい部分で洗います。堅い部分は塗膜を傷つけてしまうので注意しましょう。水で洗っても問題ありませんが、うつわに付いた汚れを無理にこすると塗膜が削れるため、お湯で浮かせながら洗うのがおすすめです。汚れがひどい場合は、10〜20分ほどお湯につけてから洗うと汚れが落ちやすくなります。

ただし、長い間水につけておくと塗膜が変色する原因となるため、洗い桶に入れっぱなしにしたり、お味噌汁を入れたまま冷蔵庫で半日以上置く、などは避けてください。保存容器としては使わないようにしましょう。

また意外と見落としやすいのが高台裏の汚れ。洗う際には裏までしっかり洗うようにしてください。

なお食洗機に対応している、していないは、塗料の種類により異なります。商品パッケージや取扱説明書などを確認し、個別に判断してください。

スポンジの柔らかい部分で、やさしくキュッキュッと洗います

しまい方

しっかり乾かせるよう、食器かごに斜めに置いて水分をきります。漆器にカルキ分が残ると白い跡になり目立つので、気になる方は柔らかいふきんで拭いてから乾かすようにしましょう。布で拭くことで、もともとは不揃いな漆の粒子が均一になりツヤも増します。

長期で保存する場合は乾燥に注意。うつわ同士がくっつくのを避けるため、重ねる場合は薄い布やキッチンペーパーなどを挟み、乾燥しにくい場所に置きます。

とはいえ上述の通り、うつわにとって一番いいのは頻度高く使い続けること。2年も3年も使わないのはうつわの状態を悪くしかねないため、大切に取っておくのではなく、よく使ってあげてください。

修理

凹んだり塗膜がはがれてもご安心を。漆琳堂さんをはじめ、修復サービスをしている漆器屋さんに相談すれば、ひどい状態のものでなければ対応してもらえます。

凹みや塗膜の傷には漆を塗り直し、ヒビの場合は漆で詰め物をしてから塗装して、新品同様の表情でまた手元に戻ってきます。

内田さん:
「うちだと修理期間は4~6か月ほど。状態によって異なりますが、修理金額は購入金額の半額ほどで対応させていただいてます。長く使うために、ぜひご活用ください」

<漆器を扱いこなす心得:扱い方>

・使用頻度:頻度高く使う方が、漆器にとっては良い
・洗い方:中性洗剤を使い、スポンジの柔らかい部分で洗う
・しまい方(短期):水気をきってしっかり乾かす
・しまい方(長期):重ねる場合は薄紙などでしきり、乾燥しない場所で保存
・修理:ヒビや塗膜の剥げは修理可能。それぞれの状態にもよるので、詳しくは修理対応をする漆器屋へお問合せを

【漆器を扱いこなす】其の参:料理との合わせ方

最後に教えてもらったのは、食卓での“意外な”使い方。漆器といえばお椀のイメージが強く、お味噌汁やお吸いものは合わせる料理の定番ですが、それ以外にどんな料理に合わせられるのでしょう?

内田さん:
「汁物だけでなく、僕は白ご飯も漆器で食べます。あとは形にもよるんですけど、グラノーラを入れることもあるし、平皿っぽいものにはパスタやカレーを盛り付けたりもします。漆器は天然由来の素材かつ軽くて割れにくいので、お子さんが使うのにもおすすめです」

というわけで、まずは定番の汁物を盛り付けてみました。いつもの汁物も漆器によそうだけで、キリッとした表情になるような気がします。

汁物を入れたうつわは「食洗機で洗える漆のスープボウル 大 濃茶」、料理には「里いものとん汁」を使用

続いて別のうつわにグラノーラを入れてみました。口径が広く、少し深さのあるうつわを選べば何かと使えそうです。

「RIN&CO.越前硬漆 平椀 INDIGO03」を使用

内田さんの例にならい、カレーも合わせてみました。漆器でカレーを食べるのは初めてですが、陶磁器のうつわとはまた違った佇まいの良さが。

うつわは「RIN&CO. 越前硬漆 深ボウル L NORTH GRAY 01 」を使用。「産地のカレー 近江の黒鶏黒カレー」を盛り付けました

内田さん:
「あとはお蕎麦に使える大きさのものがあれば、ラーメンを入れるのもいいですよ。漆器は熱伝導率が低く、温かいものを盛り付けても手に持ちやすいし、料理も冷めにくいのがいいところ。ぜひ和食だけでなく、いろいろな料理に活用いただければと思います」

提案いただいた通りに、ラーメンを盛り付け。大椀があれば、麺類から丼ものまで幅広く使えそうです。熱い料理も冷めにくく、料理の美味しさをそこないません。いつものインスタント麺もちょっとリッチな印象になり、気分が上がります。

うつわは「食洗機で洗える漆椀 大椀 朱」、料理には「産地のラーメン きのこと食べたい鯛だしラーメン しょうゆ味」を使用

なお、料理に使う際は電子レンジでの使用は避けましょう。油や酸は、料理に使われる程度の量であれば心配無用。酢の物や揚げ物にも、気にせず使って問題ありません。

ただし、高温に熱した油を入れるのは傷む原因となりますので避けてください。

また汁物や、漆器を洗う際の湯の温度は、人の手がやけどしない程度であれば気にせず使って問題ありません。

<漆器を扱いこなす心得:料理との合わせ方>

・料理の種類:和食にとらわれず、洋食や中華などいろいろな料理と合わせられる。お気に入りの使い方を見つけると楽しい
・使用を避けるケース:電子レンジ調理、やけどする熱さの湯や高温に熱した油を入れるのは避ける



重厚な佇まいやお手入れが難しいイメージなどから、普段使いのうつわとしては、どうも自分にはハードルが高いと感じてしまっていた漆器。選び方や扱い方、また種類の幅や料理との相性などを教えていただくことでそんな気負いも消え、食卓への登場頻度が増えそうです。

万が一の際も修理をすれば、一生付き合っていける食卓道具に。私だけの漆器として育てていきたいと、改めて大切にしたい気持ちになりました。内田さん、どうもありがとうございました。

越前の街を見わたせる公園にもご案内いただきました。天気もよく、気持ちいいお散歩でした

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中川政七商店では漆琳堂さんと一緒に、普段から気軽に使える漆椀をつくっています。

食洗機で洗える漆椀
食洗機で洗える漆のスープボウル
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RIN&CO. -北の地のものづくり-
お椀やうちだ

文:谷尻純子
写真:奥山晴日