【季節のしつらい便】親子で過ごすお家時間に、干支の置物づくり

子供が大きくなってきたため、年末が近づくと来年の干支の話をするようになりました。

成長とともに、娘の知識も増えてきて、猫がいない理由なんかも知っています(ネズミに騙されて、十二支の競争に参加できなかった…という話です)。少し身近に感じるようになった干支の動物たち。今年はお家時間も増えたため、季節のしつらい便で、2022年の干支である「寅」の置物づくりを工作好きな娘と体験してみました。

絵の具とボンド、汚れないように新聞紙などを準備して、早速始めました。始めは、普通に黄色の寅にしようとしていましたが、「赤べこみたいにしたい」という理由から、赤い寅にすることに。面倒くさがりな性格で、絵の具をしっかり出さなかったり、下書きもしないで豪快に塗り始めたので、きれいに塗れるかハラハラしながらも見守りました。

最終的には、絵の具の塗りムラなどが良い感じの味になり、なかなか迫力のある仕上がりに。口を出さずに我慢したかいがありました。
縞模様の太さやバランスに悩み、時間がかかりましたが、最後まで自分で考えて描ききり、擦れた縞模様や、目の部分も、雰囲気が出ていい感じです。
最後にひげをボンドで付けて出来上がり。付ける前はひげが長く感じて切ろうとしましたが、ボンドを付けて穴に差し込むと、丁度良いバランスになったので、先に切らなくてよかったです。
ピンと伸びたひげが、寅の勇ましさを表しているようで、かっこよくなりました。

もう4年生になった娘にとっては、今回のしつらい便は難しくなかったようで、休憩をはさみつつ、絵の具が乾くのをゆっくり待ちながら、楽しく仕上げることができました。
休憩中には、「来年はもっと過ごしやすい年になるといいね」といった話をしたり、親子で楽しい時間を過ごすことができました。
自分で描いた寅の張子に大満足で、自分の机に飾るつもりでディスプレイを検討中です。

<掲載商品>
季節のしつらい便 お正月/寅

史上初の工芸産地体験型イベント「日本工芸産地博覧会 大阪2021」開催!

11月末、体験型イベント「日本工芸産地博覧会 大阪2021」が、大阪で開催されます。
北は北海道から南は沖縄まで、50を超えるつくり手が集い、ひとつの産地をつくる“史上初”の試みです。

人の手によって生み出される「工芸」を、これまで以上に好きになり、いつか本当の産地へ行きたくなる、そんなイベントを目指して鋭意準備中です。
皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

職人の技を見て、話を聞き、全ての工芸に触れる3日間

注染手拭いを乾かす際に見られる、伊達干しやぐら

目指したのは、産地のまるごと体験。
竹工でできた入場ゲートをくぐると、「伊達干しやぐら」や「たたら吹き」のインスタレーションが出迎えます。さらにガラス、金属、石工、陶磁器、木工、漆、紙、繊維、皮革など全国53の工芸産地が集結し、実際に製造現場を見学しているような臨場感ある実演やワークショップ、物販、産地の風土に根付いたフードマルシェなど、圧倒的な「工芸体験」をご用意してお待ちしております。

実際に製造現場を見学しているような臨場感ある実演

多数のワークショップを開催

【玉川堂】
1816年創業、銅板を金鎚で叩いて整形する鎚起銅器の技を継承。ワークショップでは金鎚で「銅器小皿製作体験」を開催予定。

【Hacoa】
越前漆器の木地作りで培った技術力と伝統をベースにした木製雑貨ブランド。ワークショップでは「無垢の鉛筆づくり」を開催予定。

【能作】
400年伝わる鋳造技術を用いて仏具・茶道具等を製造する鋳物メーカー。ワークショップでは「錫の鋳物体験」を開催予定。

【中川政七商店】
1716年麻織物の商いで創業後、工芸をベースにした生活雑貨を生み出す。ワークショップでは「しめ縄飾り製作」を開催予定。

ほか、多数のワークショップを開催予定です。
ワークショップのご予約は、10月末よりWebサイトにて受付開始です。

50を超える出店ブランド

かもしか道具店/Sghr 菅原工芸硝子/Hacoa/マルヒロ/玉川堂/能作/育陶園/HIDA/堀田カーペット/奥出雲前綿屋鐵泉堂/中川政七商店/ササキ工芸/OIGEN/注染手ぬぐい にじゆら/中村節朗石材/アルテマイスター/菊井鋏製作所/ヤマチク/弘前こぎん研究所/指勘建具工芸/和ろうそくkobe松本商店/谷口眼鏡/高野竹工/中井産業/チエモク/増田桐箱店/清原織物/すずも提灯/SOUKI/まくらのキタムラ/ISHIDASEIBOU/笠盛/鍋島虎仙窯KOSEN/FLAT(髙田織物)/箸蔵まつかん/和泉木綿/琉球びんがた普及伝承コンソーシアム/堺一文字光秀/HEP/幸呼来Japan/乾レンズ/タケフナイフビレッジ/五十嵐製紙/漆琳堂/佐藤繊維/京都絞美京/CHROMES/絞り染め体験工房 角野晒染/京からかみ 丸二/京都川端商店/伝統みらい/京都 宮井/エコノレッグ

“Lives & C rafts” 工芸について考えるカンファレンス

工芸や文化について深く考えるきっかけを提供するカンファレンスも同時開催。
テーマは、“Lives&Crafts”。現在開催中のドバイ国際博覧会にて日本館クリエイティブアドバイザーを務める齋藤精一氏、ファッションブランドmatohuにて手仕事を見つめなおすメディア「手のひらの旅」を展開する堀畑裕之氏、関口真希子氏、宗教史学者であり日本文化の深耕を牽引する中沢新一氏をはじめ多数のゲストが登壇し、工芸、産地、いのち、いとなみについて、講演およびパネルディスカッションを行います。

開催概要
日本工芸産地博覧会 大阪2021
日程:2021年11月26日(金) 、27日(土)、28日(日)
場所:大阪 万博記念公園(大阪府吹田市千里万博公園1-1)
入場料:無料
内容:日本全国の工芸品の展示・販売、ワークショップイベントの開催
   マルシェイベントの開催、カンファレンスイベントの開催
出店:工芸メーカー53社、フードマルシェ約10店

詳細はWEBサイトをご確認ください。

【季節のしつらい便】親子でつくるお正月のしめかざり

その名の通り何かと忙しい師走ですが、大掃除を終えた清らかな空気の中でお正月飾りを飾るひと時は、毎年の楽しみでもあります。
我が家の恒例行事。羽子板、破魔矢、干支かざりなどを並べて、最後に玄関にしめかざりを掛けると、新年に向けて気が引き締まる気がします。
中川政七商店でも職人さんによる素敵な注連縄飾りが多く販売されていますが、飾りのないシンプルな注連縄が好きな私は、いつか自分でつくりたい!とひそかに思っていました。そんな時、季節のしつらい便でしめかざりが出ると聞き、待ってました!とばかりに娘とさっそくつくってみました。

工作大好きな娘は、色々なしつらい便を楽しんできたので既に慣れた様子。付属のしおりでしめかざりの意味を学び、「鳥の形かわいいね!」と、いろいろなしめ飾りがあることも分かった様子。

つくり始めはまず紙垂から。切り間違えたりしながらもなんとか出来上がりました。小さい紙が大きな形になったことが、とても不思議でした。木札には、「元気」の文字を書いた娘。家族みんなが元気に暮らせますようにって願いを込めたそう。マジックで大きく書けました。

組み立ては少し力がいるので大人がワイヤーをとめるとスムーズにでき、稲穂のセットや藁の切りそろえなどは子どもがすると楽しいようです。ただ束を巻き付けるだけでも、藁の穂先をかっこよく見せるのは難しく、お店で売っている注連縄のつくり手さんの素晴らしい技術をあらためて感じながら、少しでもかっこよく!と二人で頑張りました。

まだ少し気が早いですが、出来上がったしめかざりを試しに飾ってみることに。初めてにしてはなかなかの出来上がりに大満足。真鍮のマグネットフックにかけると色馴染みもよく、素敵な仕上がりになりました。「年神様の玄関でできたね」と娘と盛り上がり、木札の通り来年もみんなが元気に過ごせるよう心から願いました。

<掲載商品>
季節のしつらい便 お正月/しめかざり

美味しいものが満載の秋。旬の味を食卓に取り入れる暮らしの道具

新米、さんま、栗、さつまいも、柚子…美味しいものが満載の秋。
旬の食材が豊富で、スーパーでの食材選びも、日々の料理も少しだけ楽しくなりますよね。私自身、新たな料理に挑戦してみようかな、という意欲が湧くのが、秋です。

そこで今日は、旬の味を食卓に取り入れる暮らしの道具をご紹介します。


旬の手しごとを愉しむ、柚子胡椒づくり

神谷よしえさんのゆずごしょう講座

梅仕事ならぬ、ゆず仕事。
昨年はじめて柚子胡椒をつくってみたのですが、おでんやお鍋、お肉、パスタと、大活躍でした。
食べた時の鼻に抜ける香りもさることながら、つくっている時の瑞々しい香りも手しごとならではの心地好さです。
旬の食材にひと手間かけることで。食卓に格別な味わいを運んでくれます。

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美味しいものが満載の秋こそ、土鍋ごはん

さつまいもや栗、キノコ類など、混ぜご飯に入れたい食材も豊富な秋の味覚。食卓の中央にどんと持ち込んで、土鍋で食べる混ぜごはんは、格別の味わいです。
彩りよく並んだ具材をほっこりゆっくりかき混ぜて、さぁどうぞ。

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自宅で、手軽においしい燻製づくり

夏場はもっぱらビールですが、秋冬になると週末ごとに様々なお酒を味わう愉しみも。あわせて、お酒のあてもあれやこれやと工夫のし甲斐がある季節です。
今年新たに挑戦してみようと思っているのが、燻製料理。
料理道具専門店「飯田屋」の店主に、初心者でも失敗がないとお勧めいただいた、かもしか道具店さんのくんせい鍋とともに、家呑みを愉しむことを画策中です。

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食卓を囲む時間に薬味を添えて

ほんのひと手間で、いつもの食卓をちょっとだけ特別なものに変えてくれるレモンやすだちなどの薬味。なくてもいいけど、あるとそれだけで嬉しいですよね。
食卓を囲む時間を、より美味しく豊かなものにしてくれます。

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いつもの台所仕事に、ひと手間くわえて。旬の味覚を愉しみつくそうと思います。

リビングや玄関先に飾れる雛人形。今の暮らしにちょうどいい初節句の楽しみ方

「今日は楽しい雛祭り」と歌いながら雛人形を飾ったり、ひなあられを食べたのはいつの頃だったか。雛人形を飾る環境も、ずいぶん変わりました。和室より洋室で、一軒家よりマンションで生活する人の多くなった今の暮らし。

「ちょっとしたスペースにも飾りやすく、普段のインテリアにも馴染むコンパクトな雛人形がないだろうか?」

そんな想いから生まれたお雛様があります。

「大人になってもかわいいと思えるように」。ふっくら微笑む木目込み雛飾り

国の伝統的工芸品にも指定されている「江戸木目込み人形」でつくったお雛様。ちょっとした棚の上にも飾れるサイズですが、着物には神聖で魔除けの力を持つとされる麻を用い、全ての工程が職人の手作業でつくられています。

衣装となる麻生地を人形本体の溝に沿って「木目込み」している様子

何よりの特徴はやさしい顔立ち。

子どものあどけなさを残しながら可愛すぎない、ふっくらとした微笑み顔は、「大人になってもかわいいと思ってもらえる顔立ち」を目指して職人さんと微調整を重ねながら完成しました。

リビングにも気軽に飾れて、毎年楽しみになる節句祝いを


実はこのお雛様は、我が子の初節句を迎えたデザイナーの「困った」から生まれたものでした。

「畳の上や床の間に置く段飾りのような大きなものは飾る場所がない」
「昔ながらの人形は、洋室では浮いてしまう」
「毎年飾るものだから、せっかくならお店でちゃんと見たいけれど、人形店は敷居が高く感じてしまう。もっと気軽に探せたら」

自身だけでなく、周りの子育て世代からも聞こえる悩みの声。子どもの成長を祝うせっかくの初節句なのだから、少しでも「困った」を無くして、もっとお祝いを気軽に楽しめるようにしたい。

そんな想いから、今の暮らしにあった大きさ、雰囲気、表情とは?をとことん考えて生まれたのが、このお雛様シリーズです。

例えばこの五人飾りは、A3用紙1枚程度(40×30cm)の飾り台サイズ。リビングにも気軽に飾れます。

女雛、男雛、三人官女のセットです

さらに十人飾りも敷台のサイズが幅40×奥行41cmと、玄関やリビングのキャビネットの上などに飾れるコンパクトさです。

飾り台は3つの箱を組み合わせてあり、お人形や飾り台など全てのお飾りをひとつの桐箱の中にまとめて入れられるので、節句以外の時期も場所を取りません。

女雛、男雛、三人官女、五楽人のセット

かさばらず、それでいて小さすぎない。ちょうどいい人形のサイズ感を、一般的な家庭の棚や玄関周りのスペースの面積から逆算して割り出していきました。

もちろん、和室や床の間に飾っても。空間がパッと華やぎます。

敷台や背景は組み合わせて選べるようにし、ご自宅にあった色合いや雰囲気を楽しめるようにしました。

女雛、男雛のセット

こうして「今の暮らしにあったものを」と生まれた中川政七商店の雛飾りシリーズ。木目込み人形以外に、奈良一刀彫りのお雛様も登場しています。

ころんと手のひらサイズ。飾り付けもシンプルな、奈良一刀彫りの雛飾り

まるで一刀で彫り上げたような素朴で力強い造形からその名のついた奈良一刀彫の雛飾り。

浦弘園氏作の立雛

木の塊からノミで彫りだされたお雛様は、ころんと愛らしい手のひらサイズです。明るい春らしい色彩で、洋間のちょっとしたスペースにもよく馴染みます。

誠美堂 神泉作の立雛

細かい飾りつけや広いスペースがいらないので、 奈良を代表する伝統工芸品でありながら、お子さんでも簡単に飾ることができます。

こちらは座り雛

飾りたいから飾る、お雛様に

どれだけ暮らしが変わっても、子どもの健やかな成長を願う親心はいつの時代も変わりません。暮らしが変われば、その暮らしにあったやり方で、季節のお祝いを楽しめるのがいちばんです。

節句の人形は、子どもの成長を見守るお守りのような存在。伝統行事だから、誰かに贈られたから「仕方なく飾る」のではなく、「飾りたいから飾る」お雛様との出会いが少しでも増えて、こうした季節の行事が、楽しく次の世代へ受け継がれていきますように。


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文:尾島可奈子

【心地好い暮らし】第2話 土鍋でご飯を炊く

「ご飯、土鍋で炊かへん?」夫に突然そう提案されてから、もうすぐ1年になる。
うちは夫が元料理人ということもあり、家庭内での役割分担として「食」は彼の領域で、食にまつわる日々の諸々は、概ね彼の意思によって決定されている。もちろん共働きなので、0:10ということはなく「どちらかというと」ではあるが、得意な方がやった方がなにかと良いよねということで自然とそうなった。なので、うちのシェフが今後我が家のご飯は土鍋で炊きます。というなら「まぁいいかな」というのが最初の感想だった。

とはいえ、米は食事のベース、炊飯器廃止というのは少しやり過ぎじゃないの?私上手に炊けないかもだよ?と共存の提案はしてみたものの、大丈夫、基本俺が炊くし。ということで、あっさり土鍋一本となった。

そうして、うちに3合炊きの小さな土鍋が導入されたのが1年前。今では私も噴きこぼれでコンロを汚すこともなく、かなり上手に炊けるようになった。つきっきりで見てないといけないんじゃないかという心配も、何度かやってみたら気をつけないといけないタイミングは沸騰がピークになる1回だということが分かってきて、セットさえしておけばタイマーと湯気が「今ですよ」と教えてくれる。

やっぱり炊飯器と違いますか?という質問に正直に答えると、炊飯器も十分美味しい。でも、水加減がばっちりで良い感じのお焦げができたホカホカ土鍋ご飯の美しさ美味しさは、純粋にテンションが上がる。炊き立ての喜びというか、つやつやと輝くご飯に視覚的にも盛り上がる感じ。単純だけどそれは結構大切な要素であることは間違いないと思う。

夫にはかなわないが、私もきれいなお焦げがつくれるようになった頃、次はあれだなという気がしてきた。時々割烹などでお目にかかる、土鍋で作る鯛めしや季節の炊き込みご飯。湯気を立てる土鍋をそのまま食卓の中央にどんと持ち込み、おもむろに蓋を開け、彩りよく並んだ具材をほっこりゆっくりかき混ぜて、さぁどうぞ。この勢いでそういうのをささっとつくれるようになっておきたい。絶対に美味しいし!

と思っていたところに、北海道の母親から鮭が半身ほども届いた。それはそれは見事な切り身で、あらゆる方法で美味しく頂いたが、それでも少し残ってしまった。あぁこれは、今こそやってみるべきではないのか、鮭ときのこの土鍋ご飯を!ということで、ちょうど撮影で我が家を使うという日に満を持してチャレンジしてみた。洗って浸水させたお米をざっと土鍋に投入し、お出汁を入れたら醤油・酒・塩と砂糖、上にきのこと鮭を並べるだけ。鮭は臭みがでると残念なので軽く焼いて、それだけが下ごしらえと言えば下ごしらえ。

結果。初挑戦でも非常に美味しくできました。撮影準備でお腹も減って、疲れてきた頃というのもあったと思うけれど、期待していた歓声も上がり、あっという間になくなってしまった。
炊飯時間は約30分。仕込みをいれても1時間もかからない。

道具を使いこなすというとハードル高いなと感じるけれど、やってみると意外とできたり、褒められて嬉しかったり。これくらいならできるかなと始めた些細なことが、知らなかった愉しみを教えてくれる。

土鍋ご飯、興味あるけど難しそう。私もそう思っていましたが、案ずるより産むがやすし。少し世界が広がります。美味しいものが満載の秋、機会があればぜひ。


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※文中で使用している道具は、「萬古焼の万能土鍋 白 大」になります。

書き手 :千石あや




この連載は、暮らしの中のさまざまな家仕事に向き合いながら「心地好い暮らし」について考えていくエッセイです。
次回もお楽しみに。