しもつかれ風根菜ソースに漬け込んだ鮭で、ふんわりと酒粕の香りをお楽しみいただけます。
材料(1人前)
鮭の切り身 1 枚、しめじ 適量、エノキ 適量、産地のおかずソース しもつかれ風根菜のソース 適量、サラダ油 適宜
手順
・「しもつかれ風根菜のソース」を鮭の表面にぬり、ラップをして20分休ませる。
・アルミホイルを2重にしてサラダ油をひき、ソースに付け込んだ鮭をのせ、きのこをのせて包み込む。
・オーブンまたはオーブントースターで蒸し焼きにする。
しもつかれ風根菜ソースに漬け込んだ鮭で、ふんわりと酒粕の香りをお楽しみいただけます。
鮭の切り身 1 枚、しめじ 適量、エノキ 適量、産地のおかずソース しもつかれ風根菜のソース 適量、サラダ油 適宜
・「しもつかれ風根菜のソース」を鮭の表面にぬり、ラップをして20分休ませる。
・アルミホイルを2重にしてサラダ油をひき、ソースに付け込んだ鮭をのせ、きのこをのせて包み込む。
・オーブンまたはオーブントースターで蒸し焼きにする。
焼きもので有名な愛知県瀬戸に、日本最大の招き猫専門博物館があると耳にしました。その名も「招き猫ミュージアム」。
そもそも身近にありすぎて、その由来や付き合い方を意外と知らない招き猫。ミュージアムを訪ねて、その魅力を探ってきました。
名古屋から私鉄で1時間ほどのところにある愛知県、瀬戸市。言わずと知れた焼きものの街ですが、ミュージアムの存在を知るまで招き猫のイメージは持っていませんでした。
実は瀬戸はかつて人形や鳥などを゙精密に表現したセト・ノベルティと呼ばれる海外輸出向けの置物を多く生産していた街。その元祖が招き猫だったそうです。
歴史は明治30年代から始まりおよそ100年。2005年にオープンしたというミュージアムは、洋風文化が入ってきた当時をイメージしたという和洋折衷の外観でした。
案内いただく井上さん、鈴木さんに続いて展示フロアの2階へ向かうと、様々な出で立ちの招き猫たちが、右手をあげ左手をあげ、お出迎え。‥‥すごい数です。
「ここには日本中から集めてきた招き猫がおよそ5000点、収蔵されています。日本で最大規模の招き猫専門博物館なんですよ」
5000点!一体どうやってこれだけの数を集めたのでしょう?
「実は全て、板東寛司さん、荒川千尋さんというご夫妻が個人で集められたコレクションなんです。元は群馬県の嬬恋にコレクションを展示するミュージアムがあったのですが、冬は豪雪地帯で、来られる方も限られていたのですね。
すると来たお客さんがみなさん、『もっとたくさんの人に見てもらった方が良い』と仰られて。それで元々招き猫づくり発祥の地であったわが町にぜひ、と移転先として手を上げました。運営している私たちは中外陶園という地元の焼きものメーカーです。日本で一番多く招き猫を作っているんですよ」
メーカーさんが運営している博物館というのも珍しいですね。ただ、正直に言うと、あまり瀬戸に「招き猫」のイメージがなかったのですが‥‥
「そうですよね。実は招き猫にも様々な変遷があって、時代や土地によってとっても表情豊かなんです。ひとつずつご紹介していきますね」
「招き猫は日本発祥の縁起物。江戸の町人文化の中から生まれました。浮世絵にも露天商が招き猫を売っている姿が描かれています。まず、右手、左手の違いはご存知ですか?右手がお金招き、左手が人招きの手ですね」
「元々の招き猫は左手を上げていたそうです。そのうち右手上げも作られるようになり、当時人々は着物の左のたもとにお金を入れていたので、お金を出し入れをする右手を上げた招き猫をお金招きと呼ぶようになったようです」
なるほど。左右による意味の違いは後からできたんですね。
「発祥は諸説あるのですが、豪徳寺の白猫伝説は有名な話です。他にも浮雲伝説や金猫・銀猫など遊郭が舞台の話も多く、遊女がお客を手招きする姿を真似た、花街のお土産だったとも。
江戸の花街で遊んだ旦那衆が郷里の奥さんに申し訳ないからと、お土産に買って帰るのが流行り、それが全国に伝わるきっかけになったという説です」
招き猫発祥にまつわる逸話は様々あるそうですが、どれも「猫の恩返し」の話だと言います。そちらも調べてみると面白そうですね。
「縁起物のひとつとして京都伏見稲荷の門前で売られるようになると、全国から参拝に来た人々が郷里へのお土産に持ち帰り、次第に全国各地でも様々な招き猫が作られるようになったと言われています。北の方は、色彩が鮮やかなんですね。伏見の招き猫は、やはりきつね顔です」
「黒猫の招き猫は、黒が魔除けや厄除けの意味を持ったためです。羽織りを着ているものもあります。これは、猫を格上げさせるため」
「この三河系土人形は、背中が塗られていないでしょう。なぜだかわかりますか?これは『質素倹約、無駄なことはしない』という三河の人間の気質なんですね。わざわざ裏まで見る人は少ないですからね」
「これは養蚕の盛んな地域で作られた招き猫です」
「お蚕の繭をネズミが食べてしまうので、本当は養蚕農家さんは猫を飼いたいけれど、すべての家が飼えるわけではありません。
そこで張子の招き猫や猫の描かれた掛け軸を家に飾ることが、さかんに奨励されたそうです。養蚕で有名な群馬はだるまの産地でもありますから、だるまさんを抱えた招き猫もいますね」
地域ごとに、なんて個性豊かなのでしょう。ミュージアムには、何時間でも滞在して棚の前から離れない方もいらっしゃるそうですが、その気持ちもわかる気がします。
次はいよいよ瀬戸の招き猫のゾーン。ちょっと、よく見かける招き猫と雰囲気が違います。
「伏見稲荷の門前で売られていた招き猫は、はじめひとつ一つ手作りでしたが、買い求める人が多くなると大量につくる必要から、石膏の型を使って焼きものを量産している瀬戸に白羽の矢が当たったそうです。
明治30年代頃でした。初めて作るものですから、一体どんなものか、はじめは手探りでのスタートです。
瀬戸の招き猫はスリムで猫背、より本物の猫に近い姿ですね。当時伏見稲荷の門前の商人から注文を受けたこともあってか、ちょっときつね顔で、伏見の招き猫に似ているでしょう」
確かに先ほど見た伏見のものに、面影が重なります。
「一方で、三河の土人形と古瀬戸招き猫の流れを組んでいるのがこちら。見覚えありませんか?」
あっ
これだ!いつも見慣れている招き猫。
「こちらは同じ愛知県、常滑の招き猫です。愛知県は招き猫の一大産地なんですよ。
常滑は、瀬戸の50年ほど後に招き猫づくりが広まりました。昭和20年代、常滑の主要産業だった土管が不況になってきた中で招き猫の新デザインを考案し量産したところ、そのデフォルメされた姿が人気になったのです。
それまで願掛けやお守りとしての縁起物だった招き猫が、高度経済成長とともに商売繁盛を願うアイテムとして日本中に広まり、現代まで招き猫の定番スタイルになりました。瀬戸型と常滑型、何が違うのかちょっと見比べてみましょう」
「瀬戸の招き猫の多くは磁器です。招き猫に欠かせない赤や金色の絵の具は一般的な1200℃の窯だと燃えて無くなってしまうので、750℃でもう一回焼いています。他にも色数が多いほど、焼く回数が増えていきます。
鈴は複数ありますね。前掛けにはひだがあります。手の上げ方が控えめなのも特徴です。焼く工程に手間がかかる分、価格も高くなります」
「対して常滑の招き猫は陶器です。常滑の土は赤いので、まず最初に全体を白く塗って、その上から絵付けをしていきます。もうひとつ、それまで首についていた鈴が、小判に変化しました。今では招き猫の定番スタイルですね」
見れば見るほど違いが浮かび上がってきます。時と場所が変わると、こんなに違うのですね。
両者を見比べていくと、常滑は「ザ・招き猫」なスタイルで一貫しているのに対して、瀬戸の方はちょっとずつ表情やポーズが違います。
「瀬戸の土は粘り気があるのが特徴です。海外に輸出された『セトノベルティ』は、人形の服のひだや指先など、細かな表現に瀬戸の土が向いていたからこそ生まれました。いろいろな形を作れる分、招き猫にもこれ、という定型がないんです」
なるほど。ふたつの産地をじいっと見比べていると、「もうひとつ、招き猫の三大産地と言われる産地があるんですよ」と教えていただきました。
「あまり見たことがない姿でしょう。九谷焼の招き猫です。顔にまで模様が入っていてユニークですよね。オリエンタルな雰囲気が受けて、作られたものはほとんど輸出されたために、あまり国内で出回らなかったのですね。他と違って耳は横向きで鈴も横についています。
また、ちょっと変わった座り方をしていますね。九谷焼の土は焼く前と焼いた後では収縮率が大きいので、安定するようにこういう座り方をしているとか、テーブルスタンドにも使われていたようなので、土台になるようこういう格好になったなど、諸説あります。以前九谷の方に聞いてみたのですが、今となってはもうわからないとのことでした」
他にも展示室にはコレクター垂涎の珍しい招き猫を集めたコーナーや、毎年のように増えていくコレクションを少しでも多く見てもらえるようにと設けられた企画展コーナー、ゆかりのある神社などを紹介したスペースなど、日本全国で育まれてきた「招き猫」文化がギュギュッとワンフロアに濃縮されています。
「2Fが、これまでの『過去』の招き猫を集めたフロアだとしたら、1Fは『現在』と『未来』の招き猫のフロアです。
現代のねこもの作家さんの作品を展示、販売しています。その横で、招き猫の染付体験もできますから、ぜひ後でやってみてください」
未来とは、自分がこれから作る招き猫、の意味だったのですね。体験は後の楽しみにとっておいて、せっかく興味と理解の深まった招き猫、最後に暮らしの中での付き合い方を伺いました。
「飾るのは、テレビの上でも、玄関でもどこでもいいんです。大事なのは、目につくところに置くこと」
あ、そんなお話を、以前取材に伺った高崎だるまの職人さんのところでも伺いました。家に迎え入れた時の自分の決意や願いを忘れないように、いつでもそばに置くのが大切、と。
「招き猫が好きで、ご自分のコレクションを写真に撮って手製したカレンダーを、送ってくださった方もいらっしゃます。『本物の猫のように大切にしている』とのお話でした。
今は大変な猫人気ですが、お家の事情で飼えない方もいますよね。そういう方のために、最近はペットショップで招き猫が置かれることもあるようです」
確かに、飼いたいペットの代わりになって、さらに福も招き寄せてくれるなら、これほど良い相棒はないかもしれません。
「目が合っちゃったから連れて帰る、という人も多いですね。このコレクションを蒐集されてきたご夫妻も『目の合った子を連れて帰ったら、その子がまた次の子を連れて来てくれて、今ではこんなことに』と笑って話されていました。願いがかなったら、また違う子を家族に迎え入れてくださいね」
時代によりところにより、こんなにも個性豊かな招き猫たち。
自分からお気に入りを探しに行くもよし、ある時はたと目があう運命を待つもよし。みなさんお一人おひとりにぴったりの招き猫との出会いがありますように。
<取材協力>
招き猫ミュージアム
愛知県瀬戸市薬師町2番地
0561-21-0345
http://www.luckycat.ne.jp/
文・写真:尾島可奈子
*こちらは、2017年2月26日の記事を再編集して公開いたしました。
<関連商品>
【WEB限定】【数量限定】上出長右衛門 招猫 三毛(麻の葉と魚)
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こんにちは。細萱久美です。
仕事では、日本の工芸や食品など、生活に関わる商品の仕入れや、オリジナル商品の企画に携わっています。そんな仕事柄、工芸にまつわる情報にアンテナを張っていると、単純に面白かったり、素敵なので紹介したい本がたくさんあります。ここでは、工芸や、工芸のある生活が好きな方には、ご興味頂けそうな本を紹介していきたいと思います。
初回に紹介する本のタイトルは『いいもの ほしいもの』。1984年発行のいきなり絶版からで恐縮ですが、古本は比較的手に入ります。
著者の秋岡芳夫さんは、戦後日本の工業デザイン黎明期から90年代にかけて活躍した工業デザイナー。工業デザイナーでありながら、消費社会に疑問を投げかけ「暮らしのためのデザイン」を持論に、各地で手仕事やクラフト産業の育成にも尽力された方です。
秋岡さんの提唱していた「身度尺(しんどじゃく)」という概念が興味深く、人間の体の寸法に作ったものは使いやすいく、体の寸法や体のうごきに合わせてものを作ることを「“身度尺”で測って作る」と言い、しばしデザインに活かされていました。機能とデザインの両立は、中川政七商店のブランドコンセプトに通ずるものがあるので参考となる考え方です。
この本では、産業ロボット任せでは作れない、工芸による「いいもの ほしいもの」を蒐めています。
例えば、漆のお椀。秋岡さんの考える工芸は、毎日使えるようなものを言います。漆椀も毎日使うので、秋岡さんの3年使ったお椀は1日あたりで計算すると9円だそう。しかも初めより艶が増し、まだまだ使えるのでかえって割安である、というお話。現代でも数字はそう変わりません。
他には関市の小さな工場で作られるポケットナイフ。工程の一部で機械を使うので、「機械で手づくり」です。このような工芸品は意外と多く、機械を手道具のように使いこなせるかは生き残りにおいても鍵。意識のめざめた現代の職人にしかやれないと秋岡さんは言っています。
そして、先ほどの身度尺の発想から生まれた椅子のお話も。
街の椅子と家の椅子には、違いが必要だと。日本では普通、家では靴を履かないのでその分座面高が街の椅子より低いべきで、しかも女性の身長に合わせた高さがなぜか男性にもしっくり。椅子の座は、低が高を兼ねる発見をしたとのことです。近い考えから生まれた「あぐらのかける男の椅子」は商品化されて今でも販売されています。
他にも30余りの工芸品が、職人やデザイナー、工場での手づくり、という観点から紹介されており、中には今では作られていないモノもありますが、いいモノ、気に入ったモノを大切に使おうという「消費者から愛用者へ」の秋岡さんの考えは、現代でも志向のひとつの主流となっているシンプルライフスタイルの参考になる本です。
<今回ご紹介した書籍>
『いいもの ほしいもの』
秋岡芳夫/新潮社出版
<この連載は‥‥>
仕事柄、工芸にまつわる基礎知識から、商品のアイデアソースとなるモノ・コト・ヒトには常にアンテナを張っていると思います。
情報源は、製造現場や一般市場、ネットやSNS、自分や他人の生活そのものから見つかることもありますが、幅を広げる点で頼りにしているのは、本や雑誌などの紙媒体かもしれません。製造現場を知ることは深掘りするには欠かせませんが、幅広い知識や思想、イメージと言ったことを広げる作業には本がとても大事です。
アナログ人間なので紙が好きとも言えますが、ふと思い立った時にいつでも見返すことが出来る本は増える一方です。
仕事上で何らか影響を受けた本の中ではありますが、単純に面白かったり、素敵なので紹介したい本がたくさんあります。ここでは、工芸や、工芸のある生活が好きな方には、ご興味頂けそうな本を紹介していきたいと思います。
細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。
文・写真:細萱久美
*こちらは、2017年2月21日の記事を再編集して公開いたしました。