二宮金次郎の銅像に隠されたメッセージとは。背負っているのは薪ではない?

二宮金次郎。のちの名乗りを二宮尊徳。

日本を代表する「偉人」は、この姿でお馴染みです。

最近は座像スタイルもあるそうですが、昔ながらの姿というとやはり立像タイプ
最近は座像スタイルもあるそうですが、昔ながらの姿というとやはり立像タイプ

「負薪読書」と言われるこのスタイルは、金次郎の弟子・富田高慶が金次郎の没年に出した『報徳記』の中の記述に基づいているそうです。

ところが。

「うちで作っている金次郎像は、薪に似ていますが違うものを背負っているんですよ」

と語るのは、二宮金次郎の銅像を90年に渡って作り続けるトップメーカー、平和合金さん。

一体どういうことなのでしょう?

二宮金次郎像作りの大手、平和合金が語る真実

全国の銅像の9割を作る銅器の町、富山県高岡市。

その中でも「二宮金次郎像」といえばここ、と名前が挙がるのが、株式会社平和合金です。昭和5年頃から90年にわたり、金次郎像を作り続けています。

玄関先には早速、金次郎像が。

銅製の看板の奥に見えるのは‥‥
銅製の看板の奥に見えるのは‥‥

その背中に背負うのは‥‥薪、ではないのでしょうか?

平和合金の二宮金次郎像

「うちではこの絵を元に銅像を作っているんです」

迎えてくれた藤田益一社長と和耕 (かずやす) さん親子が見せてくれたのは‥‥

平和合金の藤田さん親子
平和合金の藤田さん親子

小説家・幸田露伴が『報徳記』に基づいて記したという『二宮尊徳翁』の口絵。

『二宮尊徳翁』の口絵

実はこの口絵が金次郎の「負薪読書」の姿を描いた最初の絵とされ、のちの「二宮金次郎像」の原型になったと言われています。

『報徳記』に記してある通り、少年期の二宮金次郎が薪を背負い、本を読んでいるように見えますが‥‥

「よく見てください、この絵で背負っているのは、おそらくシバなんですよ」

藤田社長

シバ?

「厳密には、木の幹や枝を割った太いものが薪 (マキ) 。あまり大きくない雑木やその枝が柴 (シバ)です。どちらも燃料として使われてきたものですね」

そう、昔話で「おじいさんは山へシバ刈りに」と出てくるのが、この柴。おじいさんは自分用か売るためか、燃料になる柴を取りに行っていたのです。

薪と柴の違い、初めて知りました。

でも、絵のベースである『報徳記』では薪と記してあるし、背負っているものはマキでもシバでも、良いのでは‥‥?

「確かに太い薪 (マキ) を背負う像もあります。でも実は、絵のような細い柴の枝ぶりを表現できるのは、銅像ならではなんです」

金次郎像の後ろ姿

「鋳込み」と言って、溶かした金属を「型」に流し込んで作る技術の高さで発展した、高岡の銅器。

原型をはめた枠に砂を詰め、原型を抜いてできた空洞に金属を流し込むのが鋳込み。こちらはその流し込む型を作っているところ
原型をはめた枠に砂を詰め、原型を抜いてできた空洞に金属を流し込むのが鋳込み。こちらはその流し込む型を作っているところ

表面を削って立体を表現する石像などに対して、型を緻密に作ることで服のひだや人の表情まで、細かな表現をしやすいのが特徴です。

見せていただいた手持ちサイズの二宮金次郎の銅像も、細部まで生き生きと表現されています
見せていただいた手持ちサイズの二宮金次郎の銅像も、細部まで生き生きと表現されています

「それに金次郎は倹約を奨励した人でした。大きな薪を担ぐより、絵のように子どもでも拾ったりして集めやすい柴をたくさん背負っている方が、金次郎らしいと思うんです」

銅像なら、絵の通りの細い枝ぶりも表現できる。金次郎の人柄も伝わる。平和合金さんではそんな思いから、柴を背負った金次郎像を作り続けているのでした。

葉っぱなども細かく再現。これぞ高岡銅器の技術の結晶。実は積んである柴を何段にする、などのカスタマイズも可能だそうです
柴は葉っぱなども細かく再現。これぞ高岡銅器の技術の結晶。実は積んである柴を何段にする、などのカスタマイズも可能だそうです
手乗りサイズの銅像も、しっかり柴を背負っています
手乗りサイズの銅像も、しっかり柴を背負っています

そしてリアリティの追求はこれだけではありません。

像の細部を見ていくと、平和合金さんの「金次郎愛」と、そのトップメーカーたる所以が明らかになってきました。

パーツで見る二宮金次郎像

・読んでいる本は『大学』

手に持っている本は、金次郎が愛読していたという中国・戦国時代の思想書『大学』仕様。

金次郎が手に持っている本の原型

見せていただいた本の原型には「一家仁なれば一国仁に興り、一家譲なれば一国譲に興り、一人貪戻なれば一国乱を作す。その機かくのごとし」という有名な一節が、しっかりと刻まれていました。

・布は布らしく

金属なのにやわらかさを感じます
金属なのにやわらかさを感じます

・端正な顔立ち

「顔は、原型師という型を彫る職人の個性が、よく出る部分です。うちの金次郎像は、男前だって評判なんですよ」

確かに、すっきり凛々しいお顔立ちです
確かに、すっきり凛々しいお顔立ちです

柴をはじめとした精緻なつくりとともに、その端正な顔立ちも、平和合金製・二宮金次郎像の人気の秘密のようです。

貴重な二宮金次郎の原型の姿。パーツごとに型を作るので、手の部分はない
貴重な二宮金次郎の原型の姿。パーツごとに型を作るので、手の部分はない
人と比べるとこれくらいの大きさ
人と比べるとこれくらいの大きさ

それにしても、どんな人がどんなタイミングで金次郎像を頼んでいるのでしょうか?

こんな人が、こんな場所に建てている

「小学校の校庭に建っているイメージがあると思いますが、近年は幼稚園や会社からの注文が多いですね」

金次郎の思想や生き様に共感する経営者の人が建てることが多いそうです。

ある企業さんで新たに製造した像のお披露目の時の様子。藤田社長も立ち会いました
ある企業さんで新たに製造した像のお披露目の時の様子。藤田社長も立ち会いました

それでも現在、平和合金さんが新たに製造する金次郎像は年間10体ほど。

平和合金さんが金次郎像を作り始めた90年前頃は、学校に金次郎像を設置することが全国的なブームだったそうです。

しかし現在ではすっかり需要が減り、製造の難しさもあって手がけるメーカーも数えるほどに。

そんな中でも平和合金さんが金次郎像を作り続けるのは、誰より藤田さんご自身が、金次郎を敬愛しているからでした。

生産数は年間10体。それでも作り続ける理由

「なんで作っているか言うたら、それはやっぱり二宮金次郎の哲学を売りたいからですよ」

藤田さん

江戸後期に、現在の神奈川県・小田原市の農家に生まれた二宮金次郎。幼い頃に両親を亡くしながら勉学と家の手伝いに励み、24歳で家を再興します。

その才を買われて幕府に取り立てられ、全国各地の村を復興。建て直した村の数は600にのぼりました。

「大事をなさんと思わば小なることを怠らず勤むべし、小積りて大となればなり」

などの格言が象徴するように、農家一軒一軒が身の回りでできる工夫を奨励して村全体の再建に取り組んだ、農業の改革者。

一方で、勉学に励みながら家を助けた少年期の姿は、親孝行の模範として明治以降の教科書にしきりに取り上げられるように。これが、昭和の「金次郎像」ブームに繋がっていきます。

「まぁ簡単に言うと金次郎像は親孝行せいと、こう言っとるわけやから」

と真顔で息子の和耕さんに告げる藤田社長。

取材班一同大爆笑でした
取材班一同大爆笑でした

「金次郎が苦労して家の再興を果たしたように、この会社もやっぱり先祖からの預かりものなんですよね」

藤田さん

「技術的にも、うちは金次郎像を手がけたことで、それまで花器など小さなものを手がけていたのが大きな銅像も任されるようになり、今があります」

大型の銅像も作れるよう天井の高い平和合金さんの製造現場
大型の銅像も作れるよう天井の高い平和合金さんの製造現場

「こうして先祖の預かりもので商売させてもらう以上は、像を通して二宮金次郎の哲学や生き様を知ってもらうことが、何よりの恩返しで、また次の仕事にも繋がっていくと思っています。

銅像を作りながら、日本の誰もが知っている人の思想を広められるってすごいことじゃないですか」

像を売るのでなく、金次郎の哲学を売りたい。

そんな平和合金さんでは、普及活動の一環で全国の自社製・金次郎像の目撃情報を募集しているそうです。

実は古い像は問屋さんを介して納めていたため、どこに設置されているかわからないものも多いとのこと。

手がかりは技術の証である背中の「柴」と、90年前から変わっていない端正な顔立ち。

見かけた方はぜひお知らせを!

<取材協力>
株式会社平和合金
富山県高岡市戸出栄町56-1
0766-63-5551
http://www.heiwagokin.co.jp/ninomiya/

文:尾島可奈子
写真:浅見杳太郎

*こちらは、2019年3月30日の記事を再編集して公開しました。

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一刀彫の干支人形でめでたい新年を。発祥の地・奈良で知る1000年続く遊び心

正月飾りとは不思議なものです。

小さなものでも一つ、二つ、縁起ものを飾るだけで、新年を晴れやかに迎えることができます。

こちらは奈良を代表する伝統工芸の一つ、一刀彫の干支人形。

一刀彫の匠、「一刀彫 浦」の浦弘園(うらこうえん)さんの作品です。

2020年の干支は子(ねずみ)。

生き生きとした姿かたちで、今にもチューと鳴き出しそう。

ねずみの骨格や表情を巧みに捉えたノミ跡は、一刀彫ならでは。

大中小の3タイプ。大中小の3タイプ。かわいいねずみが梅の花の打ち出の小槌や米俵に乗って縁起良く、家の中にめでたさを運んでくれます
大中小の3タイプ。大中小の3タイプ。かわいいねずみが梅の花の打ち出の小槌や米俵に乗って縁起良く、家の中にめでたさを運んでくれます

ナチュラルな木肌と風合いは、洋室にも玄関にもすんなりと馴染みます。

伝統の趣きも愛らしく、今の暮らしを彩ります。

ルーツは大和国の一大祭事、おん祭

その一刀彫とは、一刀で彫り出したかのような大胆な面を持ち、あでやかな彩色を施した木工人形のこと。

各地に一刀彫りはありますが、発祥の地は奈良であり、奈良人形とも呼ばれます。

歴史は平安時代にまでさかのぼり、大和国の一大祭事「春日若宮おん祭」に用いられた神祭りの人形がルーツとされています。

一刀彫の作品は伝統の意匠をモチーフにしたものが多く、なかでも干支人形は人気の意匠。

ひきもきらぬ注文を受け、正月迎えの制作に追われるのは浦弘園さん。

興福寺の境内横手、猿沢池の畔という名勝地に面したところに工房を構えておられます。

人気の「月こよみ」は月ごとに楽しめる飾り付き

かわいい巫女さんの人形と12ヶ月の飾りがセットになった「月こよみ」は、ツイッターやインスタグラムで評判が広がり、ヒット商品となったもの。季節の彩りを捧げ持ちます。

月こよみ
月こよみ

1月は重餅で2月は鬼面。3月は雛人形で4月は桜の扇。5月は兜で6月てるてる坊主…。

毎月小さな飾りが変わり、一年を通して月の訪れを楽しむことができます。

季節ごとの飾りは、1月 重餅、2月 鬼、3月 雛人形、4月 桜扇、5月 兜、6月 てるてる坊主、7月 鬼灯、8月 西瓜、9月 菊、10月 紅葉、11月 毬、12月 雪うさぎ
季節ごとの飾りは、1月 重餅、2月 鬼、3月 雛人形、4月 桜扇、5月 兜、6月 てるてる坊主、7月 鬼灯、8月 西瓜、9月 菊、10月 紅葉、11月 毬、12月 雪うさぎ

心がけているのは、人間目線でなく、人形目線。

「自分も人形たちと楽しみながら彫る」ことが信条です。

眺めるほどに物語が浮かんできそう。

そんな遊び心のある作風で人気を呼んでいます。

新しいもの、今の暮らしに合うものを

「新しいものを生みたい」と浦さん。

伝統工芸だからと毎年同じものを作りつづけるのではなく、ひらめいたこと、浮かんだアイディアを盛り込んで、人形たちと向き合います。

「効率の良い仕事の仕方とは言えませんが、そうしたい。彫ることを苦しい仕事にしたくない。楽しい仕事にしたいのです」

だからこそ物語を紡ぎそうな生気にあふれた人形たちが彫られるのでしょう。

今、取材の合間も手を休めることなく彫り続ける、子の干支人形もそうです。

12年前とは異なる姿かたちは、幾度もスケッチを描き、アイディアを重ねて生み出したもの。伝統をまといながらも、今の空気を映し込み、今の暮らしに合う人形たちです。

手頃な干支人形から、一刀彫を初めて手にする人も多いでしょう。

浦さんは「どうぞ手に取り、触ってください」と言います。

「可愛いと感じたら触りたくなるでしょう。干支人形は地肌がほとんどだから、絵具も気にせず手にして愛でて、一刀彫りの木の面を、木の温もりを感じてください」。

切り出された木は、突きノミ、追い入れノミ、丸ノミなど何本ものノミや彫刻刀を用いて形にしていきます。

大切な道具たち
大切な道具たち

彩色は日本古来の水干し絵具や岩絵具、金箔など。

浦さんの色合いは極彩色の派手なものより柔らかな色目のものが多い。

かくいう浦さんの出身は奈良の山奥深く。大峰山系の荘厳な大自然のただ中にある十津川村です。

一時はサラリーマンとして勤めましたが、身になじまず退職。一刀彫の職人となり40年近くが過ぎました。

「一刀彫りの仕事でも、いやな仕事はしませんでした。好きな仕事を選んで、我を通してここまで来ました」

だから今でも一刀彫が大好きです。

好きだからこそ、熱を持って新しいもの、面白いもの、さらなる高みへと向かっていけるのでしょう。

年を重ねた今、「これからはもっと作家性を強めて、思うままに人形を彫りたいですね」

一刀彫の匠 浦弘園さん
一刀彫の匠 浦弘園さん

国内外問わず、ネット通販で作品を求められることも増えました。

「今は日本が再確認される時代ではないでしょうか。作品から奈良を、そして日本を感じてもらえたら、とてもうれしいですね」

奈良であり日本をまとった作品を生む。

そのためには「正直でありたい」

自分にも作品にも嘘をつかず、真摯に好きな仕事に打ち込み続けること。

「サラリーマンの同級生はそろそろ定年。余生を考えていますが、僕のゴールはまだまだ先」。

自分自身が向かう先も「楽しみですね」

ノミを持ち、彫り進めながら、休む間の無い手も一緒に語っているようでした。

<取材協力>
浦弘園
奈良県奈良市高畑町1122-9

0742-27-9045


<企画展のお知らせ>

奈良の一刀彫をはじめ、筆や墨を展示販売される企画展が開催されます。

企画展「奈良の一刀彫と筆」

日時:12月18日(水)〜1月14日(火)*1月1日(水・祝)は休ませていただきます
開催場所:「大和路 暮らしの間」 (中川政七商店 近鉄百貨店奈良店内)
https://www.d-kintetsu.co.jp/store/nara/yamatoji/shop/index02.html

大和路

*企画展の開催場所「大和路 暮らしの間」について

中川政七商店 近鉄百貨店奈良店内にある「大和路 暮らしの間」では、奈良らしい商品を取り揃え、月替わりの企画展で注目のアイテムを紹介しています。

伝統を守り伝えながら、作り手が積み重ねる時代時代の「新しい挑戦」。

ものづくりの背景を知ると、作り手の想いや、ハッとする気づきに出会う瞬間があります。

「大和路 暮らしの間」では、長い歴史と豊かな自然が共存する奈良で、そんな伝統と挑戦の間に生まれた暮らしに寄り添う品々を、作り手の想いとともにお届けします。

この連載では、企画展に合わせて毎月ひとつ、奈良生まれの暮らしのアイテムをお届け。

次回は、「奈良の一刀彫と筆」の企画展より「筆」の記事をお届けします。

文:園城和子、徳永祐巳子
写真:中井秀彦

【わたしの好きなもの】 BAGWORKS BICYCLEMAN

出かけるときのMYバッグはこれ!


今まで男性のおでかけスタイルはパンツの後ろポッケに財布とスマホ。とっても身軽なイメージでした。むしろそれだけで大丈夫?と不安なくらい。

でも最近は男性も荷物が多くなってきたようで、夫を例にあげると、財布とスマホは変わらずですが、さらにそこへ

・モバイルバッテリー
・ポーチ(リップクリーム、ティッシュ、除菌ウェットティッシュ)
・大量の鍵束
・おでかけ先で購入の500mlペットボトルのお茶

財布に至っては長財布なので、すでにパンツの後ろポッケの容量では足りない荷物量です。

そんな夫の荷物をすっきり収納、以来おでかけの定番バッグになったのが「BAGWORKS BICYCLEMAN」です。



もともとは自転車レースで補給食や飲料などを入れる「サコッシュ」という簡易バッグをリデザインしたBICYCLEMAN(バイシクルマン)。
マチは7cmとそこまで広くはないのですが、これで結構収納力があるのでちょっと驚きです。



ファスナーは本体より少し長めに作られているので、バッグのくちがパッと開けて荷物がよく見えます。荷物が取り出しやすく、財布にポーチ、ペットボトルのお茶など、ちょっと多めに荷物を入れたとしてもしっかりファスナーを閉めることができます。
外側のポケットもあると便利で、よく使うティッシュやハンカチは王道ですが、我が家ではおでかけ先のお寺でもらう細長いパンフや観光地オリジナルの地図なんかをさっと入れて、いつでも出し入れできるように使っています。



ショルダーベルトは本体背側に取り付けられているので、自然と体に沿うようになっていて、荷物の重さを軽減してくれたり、本体のパラフィン加工のおかげで多少雨で濡れてしまっても染み込まず撥水したりと、シンプルなつくりなのに機能性十分で男性でも持ちやすいデザインが夫にかなり好評。「ほんとこれちょうどいいんだよ!」と満足げな夫の顔を見ていると、つい自分もMYバッグにほしくなり、色違いを買おうか検討中です。

編集担当 今井

しめ縄の簡単な作り方・飾り方。プロに教わるしめ縄づくり体験

お正月の「しめ縄」を手づくりする

とある日の東京・表参道「中川政七商店」。店の一角には2畳分ほどの絨毯が敷かれていた。続々と集まる参加者は靴を脱いで絨毯の上に座り込み、足元には五本指、あるいは二本指の靴下を履いている──。

もうすぐお正月。その日は、年神様をお迎えするために必要なお飾り“しめ縄”を作るワークショップが催された。

今回は「麻」を用いた作り方を教えてもらうことに。

しめ縄といえば藁というイメージが強い人にとっては「麻」は意外かもしれない。実は、伊勢神宮のしめ縄は麻で作られているそうだ。

一方で出雲神社ではイネ科の植物「真菰(マコモ)」が使われており、全国の神社でも伊勢系と出雲系では稲藁と真菰でそれぞれ使い分けされている。

職人さんがつくった注連縄
職人さんの逸品。麻ならではのツヤと仕立ての美しいこと!

教えてくれたのは創業100年を誇る麻問屋「麻光」三代目代表の江藤富士江さんである。

代々続く麻問屋「麻光」三代目の江藤富士江さん
代々続く麻問屋「麻光」三代目の江藤富士江さん。全国各地の神社へしめ縄を納める。また、国産麻の可能性を広めるワークショップも多彩に展開

「麻」で作るしめ縄とは?「麻は、神様の“よりしろ”です」

「一口に麻といってもいろんな種類やタイプがありますが、今回は長くて硬く、しっかりとした精麻(せいま)を使っていただきます」

ワークショップの様子
精麻は2メートルほどの長さ。江藤さんの身長よりも大きい

精麻とは、簡単にいうなら大麻草の茎の表皮を手間暇かけて精製した繊維のこと。

古来の麻の栽培方法や精麻に仕立てるための伝統技術があってこそ、独特のツヤと輝きのある質の高い精麻になるのだとか。

大麻草の茎の表皮を手間暇かけて精製した繊維、精麻(せいま)
これが精麻。黄金色でツヤと輝きがある

「そもそも麻には“穢れを祓う(けがれをはらう)”という意味があります。邪から身を守り、ご縁を紡いでくれるんです。

神社で神主さんがお祓いに使う祓串(はらえぐし)という道具に巻きつけられているのも精麻ですし、伊勢神宮の御札『神宮大麻』に用いられているのもまた精麻です」

さらに精麻は鈴緒の材料でもあるという。鈴緒とは、神社でお賽銭をするときに鳴らす鈴に繋がる綱のこと。鈴を鳴らすために、私たちが揺らすあの部分である。

「つまり麻は、私たちと神様をつなぐアンテナなようなものであり“神様のよりしろ”という意味も込められています」

そんなありがたい精麻を使って、早速、しめ縄作りスタートだ。

撚り(より)をかけて、捩る(もじる)。初心者にもできる、つくり方

しめ縄は、地域や作り手によって多様な形やサイズがあるけれど、今回は初心者向けの作り方を教えてもらった。

しめ縄作りの様子
今回のしめ縄作りには、細く長い精麻7本を使う

それぞれの手元に7枚の精麻を用意。

「まずは精麻2枚を1セットにしてなめします。両手で揉むようにして寄り合わせ、2枚が1本の紐になるようにしながら、繊維を少し柔らかくしていきます」

この紐を3本作ったら、ここからが本番。
足の親指に2本の紐をかけて、縄状に綯(な)っていきます。

ワークショップの様子
足の親指にかけるようにして固定する

このときポイントは「しっかり撚り(より)をかけながら、捩る(もじる)こと」。

撚り(より)とは紐を回転させることであり、捩る(もじる)とは、撚った紐を互い違いに交差させて編んでいくことである。しかも、撚りをかけるのは右回転で、捩る方向は左回転‥‥。

撚って、捩る‥‥。頭では分かっているものの、これがなかなか難しい。紐を撚ってから捩る。撚ってから捩る‥‥。

途中、江藤さんから「しっかり撚らない(よらない)とほぐれやすくなり、しっかり綯え(なえ)ませんので、ぎゅっと撚って(よって)からしっかりと捩って(もじって)くださいね」との檄が飛ぶ。

ワークショップの様子

ん、んん?? よって、なって、もじる‥‥?

耳慣れない用語の連発に戸惑いつつ、また「撚り(より)をかけてね」「ときには撚りを戻しつつ」‥‥言葉遊びのようだと思いながら、江藤さんに手取足取り教えられ、次第に形になっていく。

頭で考えて作るというより、手の感覚で綯っていけるようになるのが面白い。

「しめ縄の職人さんたちはこの作業をみんなで集まって、おしゃべりしながら行います。このくらいの長さだったら2分もあればできるかしら」

私たちはといえば、すでに40分ほど経過しているだろうか。

ワークショップの様子
次第に慣れていき、1本の本縄になっていく

四苦八苦しながらもようやく本縄が完成したら、3本目の紐を用意して、同じく親指にかけ、

「これもしっかりと撚りをかけます。撚りをかけながら、本縄のらせんに寄り添わせるようにして、はめ込んでいきます」

ワークショップの様子
本縄の編み目の間にさし込むようにして綯って(なって)いく

ワークショップの様子
3本を綯うとこんな感じに。右の輪は親指にはめていた部分

ワークショップの様子
江藤さんの身長ほどあった精麻が、半分ほどの長さに

3本目の紐を無事に綯え(なえ)終わったら、最後に1枚だけ残っていた精麻で細い飾り紐を編む。これも同じく〝撚って、捩る(よって、もじる)〟の繰り返しだ。

ネックレスやブレスレットの紐としても使える
ネックレスやブレスレットの紐としても使えるとか

飾り紐でつくったネックレスをしている江藤さん
江藤さんのしているネックレスがまさに飾り紐を使ったものだとか

ワークショップの様子"
飾り紐で、本縄をしっかり留め‥‥

形は自由につくっていい

「飾り紐で本縄を留めたら、あとは好きな形に仕立てていきましょう」

しめ縄の一般的な形には、大根型、牛蒡型、輪型(わかざり)などあるが、どんな形にするのかは意外と自由だそうで、長いまま神棚用にしてもよし、丸めてリース型にもしてもいい。あとは形やバランス、毛先を整えれば完成だ。

参加者のお一人が作った世界でたった一つのしめ縄!
参加者のお一人が作った世界でたった一つのしめ縄!

麻のしめ縄は、いつでも触れる場所に飾る

「このしめ縄はお正月に限らず、1年中、愛でて、触れてほしいもの」と語る江藤さん。

藁で作ったしめ縄は、お正月に飾ったら1月15日に神社などで行われる“どんど焼き”で燃やし、天にお返しするという慣わしがあるけれど、麻のしめ縄は少し違うとか。

「先ほど申し上げた通り、麻は穢れを祓ってくれるものですから、普段から、日常的に身近に置いてほしいんです。

いつでも目について、いつでも触れられる場所に飾ってください。玄関や神棚でもいいですし、キッチンやリビング、寝室でもいい。ことあるごとにシュシュッとはらうように触れることを毎日のお作法にしてみては」

取り替えるのは、新しいことを始めようとするときや、何かに区切りをつけるときなど、その人それぞれの人生の節目でいいとか。

 

さて、まずは。

手作りの麻のしめ縄で、はじめてのお正月を迎えてみたい。

できあがった、世界でたった一つのしめ縄

<取材協力>
麻問屋「麻光」
神奈川県藤沢市大鋸924-3
090-7702-7276
asamitsu.fujie.81@gmail.com

 

文:葛山あかね
写真:mitsugu uehara

*この記事は、2018年12月19日の記事を再編集して公開しました。

引き出物の選び方とは。知っておきたい本来の意味とマナー

引き出物で気をつけるマナーとは?

結婚式の引き出物とは?

結婚披露宴で受け取る引き出物。

タオルなどの日用品やカタログギフト、地域色あふれるしきたり品や引き菓子など、その中身は様々です。

時代とともに定番の品も変化があるよう。本来の意味や、知っておきたいマナーをまとめました。

引き出物の起源とは

引き出物

もともと結婚式に限らず、宴席に招いたお客に対して主催者が贈り物を用意する習慣は古くからあったようです。

引き出物の語源は平安時代までさかのぼり、貴族たちの宴席で、帰るお客に主人が馬を「引き出して」贈ったことから、と言われています。

贈る品物は他にも犬や鷹、衣服など。さらに時代がすすみ、武士が主役の鎌倉時代に入ると、刀剣などの武具や、砂金や鯉、昆布など幅広い品物が引き出物に加わりました。

江戸時代に入ると、宴席の膳に添えたものを、お土産として持ち帰るのが主流に。

日持ちがよく古くから珍重されてきた鰹節や縁起の良い鯛が好まれ、引き出物の定番となりました。鯛をかたどった落雁なども用いられたようです。

現代における引き出物のマナー

・選ぶもの:引き菓子やしきたり品を組み合わせた奇数で。事前に親に相談を

引き出物は箱入りの「引き菓子」と、鰹節や赤飯などの「しきたり品」と組み合わせて3品もしくは5品の奇数にするのが吉とされています。

奇数を好むのは、偶数が「割れる」数だから。他にも縁が「切れる」、「去る」を連想させるものはタブーとされてきました(刃物や猿をかたどったものなど)。

近年あまり気にしないという人も増えていますが、招くゲストに合わせて配慮が必要です。

・しきたり品とは?

しきたり品は地域によっても寝具や縁起物をかたどったかまぼこなど、定番品が異なります。地域の慣習や家ごとのしきたりがあるので、親に相談しておくと間違いないよう。重たいほどおめでたい、とする地域もあるそうです。

まとまった数を頼む必要もあるので、注文した時に在庫がない!ということのないように前もってリサーチを。

・引き出物を用意しなくてもいい場合も

引き出物は基本的に、結婚披露宴に来てくれた人へのお礼の品。

挙式のみで披露宴を行わない (ご祝儀を辞退する) 場合は、引き出物を準備しなくても良いとされています。親族だけの食事会のような形式や会費制の式の場合は、引き出物の代わりにプチギフトを用意するケースも。

・包みのマナー

表書きは「寿」として、両家の名前もしくは新郎新婦の名前を載せた熨斗紙をかけて贈るのが一般的。

引き出物は一世帯に一つずつでOKですが、例えばご夫婦で別々にご祝儀をいただいた場合には、予備のご祝儀を渡したり、ない場合は後日お礼の品を贈ると良いようです。

・金額のマナー

引き出物の相場は披露宴の飲食代の1/3程度とされています。

引き出物の選び方

予算などが決まったら、いよいよ品物選びです。さんちで紹介したアイテムも添えてご紹介していきます。

根強い人気なのは式の当日もかさばらず、ゲストが好きなものを選べるカタログギフト。

重たいものや趣味嗜好が合わないものは好まれない傾向にあります。品物としてはタオルやちょっとした雑貨類など、普段使いに便利な日用品が人気です。

こちらは男女それぞれの使い心地の良さを追求した「THE TOWEL for LADIES/GENTRMEN」。箱入りで贈り物にもぴったり
こちらは男女それぞれの使い心地の良さを追求した「THE TOWEL for LADIES/GENTRMEN」。箱入りで贈り物にもぴったり


関連記事はこちら:「二人の門出に贈る 男女の理想の違いを追求したタオル」

食器など日常使いするものは、すでに持っていそうなものとかぶらないよう注意が必要。オリジナルデザインのお皿をオーダーメードするケースを、以前さんちでご紹介しました。

オーダーメイドの笠間焼
こちらは新婚夫婦が手がけたオーダーメイドの笠間焼


関連記事はこちら:「引き出物を『オーダーメイドの笠間焼』で作ってみました」

普段自分では買わないような高級品や、特別感のあるものが喜ばれるようです。

引き菓子の選び方

引き菓子はゲストが帰宅後に家族と一緒に食べる、お祝いのおすそ分け。日持ちのするものや小分けにして食べやすいものが喜ばれます。

定番はおかきなどの和菓子やバウムクーヘン、金平糖やマシュマロなどのボンボン菓子。名入れのしやすいカステラも人気のようです。

引き出物


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ゲストの好みに応じて「贈り分け」も

年代や関係性によっても喜ばれるものが異なるので、最近ではゲストによって引き出物を分ける「贈り分け」も増えているそう。

贈り分けをする場合は、中身が違うことがわかりやすい見た目は避け、同じ大きさの紙袋に入れるなどの配慮を。


こうしてまとめてみると、引き出物には選ぶ中身から贈り方、大きさまで、新郎新婦の「来てくれてありがとう」の気持ちと気遣いが随所に込められているのがわかります。

基本のマナーや意味を知っておくと、次に招かれた時も、自身が贈る側になる時も、心持ちが違いそうですね。

<参考資料>

『これで安心!結婚準備&マナー』ナツメ社 監修・遠藤佳奈子 (2016)
『すぐに役立つ <略式>冠婚葬祭ブック』三省堂 編著・三省堂編修所 (2010)
『どこまでOK?がすぐわかる!冠婚葬祭の新マナー大全』成美堂出版 監修・笹西真理 (2019)
『日本人のしきたり』青春出版社 編著・飯倉晴武(2003)

文:尾島可奈子

植物100%のお風呂ハーブ「jiwajiwa」で体の芯から温まる。体にやさしい奈良生まれの入浴剤

すっかり冬めいて、急に肌寒くなってきました。

こんな時は、湯船につかってゆっくり温まりたくなるものです。

世の中に入浴剤は数あれど、体にやさしい日本のハーブを使ったものを見つけました。

「jiwajiwa (じわじわ) 」のお風呂のハーブです。

奈良ゆかりの日本のハーブを使用

jiwajiwaのお風呂のハーブは、合成香料や着色料などの化学成分は一切含まれておらず、自然素材だけでできています。

ラインナップは、吉野ひのき、ゆず・レモングラス、よもぎ・大和当帰葉 (やまととうきば) 、柿の葉 甘茶、びわの葉・ドクダミの全5種類。

jiwajiwa

ヒノキ以外は無農薬で食用に栽培された植物だけを使っているので、万が一、お風呂のお湯を飲んでしまったとしても安心なんだとか。

「どの原材料も、奈良の中部・南部エリアで生産されたものなんですよ」

そう教えてくれたのは、jiwajiwaを手がけるチアフル株式会社の松本梓さん。

チアフル株式会社の松本梓さん
チアフル株式会社の松本梓さん

5つの中でもこれからの寒い季節におすすめなのが、よもぎ・大和当帰葉だそう。

奈良・深吉野 (みよしの) のよもぎと、高取の大和当帰葉の組み合わせは、ぽかぽか温まりたい時にはうってつけなんだとか。

あまり耳馴染みのない「大和当帰」は、奈良では自家用に栽培されていることも多く、根の部分は冷えや生理痛などの女性特有の不調に効く漢方薬として昔から使われてきたといいます。葉の部分は乾燥させてお風呂に入れたり、最近では薬味やみそ汁の具材として食用として使われたりするんだそうです。

jiwajiwa 大和当帰
大和当帰

本当に体にいいものを

30歳を目前に働き方を見直す機会があったという松本さん。

ちょうどその頃に出会ったのが大和当帰葉でした。

「私は奈良出身なのですが、実は大和当帰のことはあまり知りませんでした。ある日、帰省した際に初めて大和当帰葉のお風呂に入って、植物を乾燥させただけのものなのに体の芯からポカポカして衝撃を受けたんです」

jiwajiwa
写真提供:jiwajiwa

この経験に加え、松本さん自身が添加物入りの食品等で体調を崩しがちなこともあり、人の手が加わりすぎていない、なるべく自然なものの方が本当は体にはいいのではないかと思うようになったといいます。

それと同時に、会社員として全国を出張する中で、都市と地方の精神的・経済的ギャップを目の当たりにし、双方のバランスを取るような仕事がしたいと考えるようにもなったそう。

そんな考えに大和当帰が結びついて生まれたのがjiwajiwaです。

地元の人たちの間でしか流通していなかった大和当帰葉の入浴剤を可愛らしくパッケージ化して、県外の人たちにも手にとってもらえるような場所に置けたら面白いんじゃないか。

構想から2016年10月の商品発売まで、わずか10ヶ月ほどのことでした。

やさしい香りに嗅覚を研ぎ澄まして

パッケージを開けるとハーブが巾着袋に入った状態になっていて、そのまま浴槽に入れるだけ。巾着からじわりじわりと植物エキスが出てくるので、湯船の中で軽く揉むとやさしい自然の香りが広がります。

jiwajiwa
jiwajiwa
写真提供:jiwajiwa

「現代人の生活は、日々忙しく過ぎていきがちです。jiwajiwaのお風呂に入って、嗅覚をはじめとする五感を研ぎ澄ます時間、自分を見つめ直す余白の時間を持ってもらいたいです」

jiwajiwa
写真提供:jiwajiwa

1袋で2回使えるとのこと。さらにうれしいことに、使用後は天日干ししてしっかり乾燥させれば、靴箱や引き出しなどで消臭剤としても使えるんだそう。

jiwajiwaのブランド名に込めた思いを聞いてみると、「自然の力をゆっくりと感じてほしい。一気には効かないけど、『ちょっとずつよくなっていくよ』と伝えたいんです」と松本さん。

忙しさに振り回されそうな時にこそ、jiwajiwaのお風呂に入ってみる。

じわじわ、ゆっくりでも進んでいればいい。

身も心もやさしく解きほぐされて、はやる気持ちをちょっぴりスローダウンできそうです。

<取材協力>

jiwajiwa

公式サイト

文:岩本恵美

写真:中里楓