こんにちは。ライターの小俣荘子です。
日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。数多ある記念日のなかで、こちらでは「もの」につながる記念日をご紹介していきたいと思います。
さて、きょうは何の日?
7月23日、「ふみの日」です
「ふみの日」は、日本の郵政省 (当時) が1979年に制定した記念日です。「手紙の楽しさ、手紙を受け取るうれしさを通じて文字文化を継承する一助となるように」という考えのもと生まれました。旧暦で7月は「文月」。23日の「ふみ」の語呂合わせとの掛け合わせなのだとか。
必要事項を伝達する道具としてだけでなく、思いを交わしあったり、感謝の気持ちや季節の挨拶を伝える手段として必要不可欠だった手紙。
電話やインターネットなど新しい技術の登場によって、主要な連絡手段ではなくなった一方で、特別感が増しているようにも感じます。送り主の筆跡とともに受け取るメッセージは、まるで贈りもののよう。送るとき、相手のことを思い浮かべながら、どんなしつらえにしようか思いを巡らせる時間も楽しいものです。そんな手紙に彩りを添える存在が切手です。
郵便料金を証明する金券としての役割を超えて、とりどりのデザインで目を楽しませてくれる切手。「小さな芸術品」「紙の宝石」とも呼ばれます。切手の製造元として、日本の切手の歩みや技術情報をはじめ、国内外の珍しい切手を所蔵、展示している国立印刷局の「お札と切手の博物館」でお話を伺いました。
偽造防止とデザイン性を両立する遊び心
切手は、1840年にイギリスで生まれました。日本で最初の切手は明治4 (1871) 年に発行されています。竜が2匹描かれた「竜文切手」です。
金券である切手は、偽造防止の意味合いもあり、細かい細工や印刷技術をたくさん盛り込んで作られています。さらにはその技術を活用しながらデザイン性の追求も行われました。
特に高額切手では、偽造防止の工夫と美しさを両立させる遊び心が伺えることも。こちらはカナダの高額切手。細かい文字の印刷や微細な線で描かれる凹版印刷をはじめ、空や草の印刷には小さな熊のイラストのドット (微小連続模様と呼びます) が用いられ、右足の部分には「8」の文字が隠れています。
変わった素材を使った切手も
記念切手など特別な切手では、描かれるものだけでなく、素材が風変わりなものも。布やガラス、貝や金属など様々な素材が使われています。また、四角以外の形のものや、特殊なインキを使い、光ったり香りがするものなど日々新しいアイデアの切手が生まれています。
眺めていると、ついつい色々なデザインの切手が欲しくなってしまいます。集めるのも楽しいですし、使うときに選ぶ楽しさもあります。
暑中見舞いやお中元のお礼状、旅先から大切な方へのお便り。この夏は、お気に入りの切手を選んで、誰かに手紙を出してみませんか?
◆平成29年度 第1回特別展
「切手の国の探検隊~めずらしい切手を求めて~」
会期:2017年 (平成29年) 9月3日 (日) まで
開催時間:9:30~17:00
http://www.npb.go.jp/ja/museum/tenji/tokubetu/index.html
<取材協力>
お札と切手の博物館 (国立印刷局)
東京都北区王子1-6-1
03-5390-5194
http://www.npb.go.jp/ja/museum/index.html
<関連商品>
筆ペン
鹿の家族 革巻きペン
名尾手すき和紙 ちぎり便箋
苗字封筒 (ここかしこ)
文・写真:小俣荘子 (切手資料画像:国立印刷局 お札と切手の博物館 提供)
※こちらは、2017年7月23日の記事を再編集して公開しました。